読んどきゃよかった鬼滅の刃ァ!   作:焼肉パーリィ

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前座の戦い

「……煉獄?知ってどうすんだよ?」

 

まあ素直に教えてやる義理は無い。

 

敵への情報はよほどのことが無けりゃ伏せるに限る。

 

脇腹の出血はだいぶマシになって来た。

 

習った呼吸による止血、こんなに早く使い所来てほしくなかったなあ……

 

当たった弾の欠片、貫通しなかったから体内に残ってるし。これ鉛中毒になったりしないよね?そもそもこの時代の銃って弾に鉛使ってるか知らんし、なんなら鉛中毒とか具体的にどんなもんか知らんけども。

 

『………まあいい。お前を痛めつけていればそのうち来る事だろう。せいぜい目立つように踊れ』

 

「踊れとか上から目線で命令してんじゃねえよコスプレ野郎。軍服姿で上官気取りか?」

 

出来るならもうちょいお喋りで時間を稼がせてくれないかなあ……

 

周りに視線をやるとまだ逃げて無い一般人がちらほらいるし、何より相手はタダの鬼じゃなくて十二鬼月だ。

 

あーあーまた懐から銃出してら。しかも口径デカ目のリボルバー2丁持ちっすか殺る気まんまんだな。

 

撃つのを待つ義理は無いから先制攻撃!

 

[風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風]

 

……腕を狙ったが避けられた。頸狙うより不意打ち気味だったと思うんだけどな。

 

お返しとばかりに銃口がこちらを向く。装弾数は……1丁6発の計12発。

 

なりふり構わず射線から飛び退く。

 

さっきまで自分が居た場所を2発の弾が正確に通過した。

 

そのままヤツを中心に変速しながら円を描くように走る。とにかく狙いはつけさせないようにするべきだ。

 

その状態で3発の発砲があり、1発は変速したタイミングだったから自分の前を通過し2発は掠った。

 

着弾位置からして明らかに狙いは脚と腹………うーん嬲り殺しの意図がミエミエだな。いやどちらにせよがっつり命中したら困るんだけど。

 

とはいえヤツの射撃精度を見るに、このままだと普通に当てられるだろう。別の手……視界潰すか。

 

[風の呼吸 壱ノ型改 塵旋風・土蛇塒]

 

壱ノ型で土煙を巻き上げながら敵の周囲を周り、敵の視界を制限する応用技だ!

 

なお実弥さん相手にも使った事あるけど、あの人全方位に本気で玖ノ型ぶっ放して危うく大怪我する所だったので二度とやらない。

 

さて、一度引いて場所を変えたい。変に戦闘継続したら一般人に流れ弾が行きそう。

 

さあ土煙から出て……こない?視界開けないままだと思うんだけど?

 

「まさかとは思うけど視覚に頼らなくても狙いつけられ……?」

 

『半分正解だ』

 

銃声が響き、左の腿に衝撃が来る。

 

「ぐぅ!?」

 

撃たれた!?しかも今の銃声の出所は土煙の中からじゃない!でもヤツの声はそのまま土煙の中からだ!どうなってる!?

 

必死に右脚だけで飛び退く。その間にも何発かこちらに銃弾が飛んできた。

 

数発が身体をかすめて肌を抉る。狙いの精度はそれほどではない……けど脅威なのはいろんな方向から撃たれている事だ。

 

右脚だけでぴょんぴょんと、時には情け無く転がりながら必死に逃げる。

 

何分凌いでいるのだろう?いや、まだ数十秒しか経っていない?金属の嵐に感覚がおかしくなっている気がする。

 

動きながら故か止血が間に合わない。負った傷の数が多過ぎる。このままいけば出血多量で動けなくなるのも時間の問題。

 

『ずいぶん粘るな?』

 

あああ!クソクソクソクソ!ゆうゆうと歩いてきやがる!舐めやがって!

 

路地に入って物理的に射線を切って……!呼吸で止血!

 

『しかし煉獄は中々来ないな?見捨てられたか、ここまで大きな戦いの音に気づいていないのか……さっき逃した女は道にでも迷っているんじゃないか?なあ、どう思う?』

 

「言いたい放題言いやがって……!」

 

いつの間にやらヤツの手に持った2丁は仕舞われていた。完全に舐められている。

 

そりゃそうだ。このままいけば一太刀も受けていないヤツの完全勝利だ。

 

機動力は削がれて、呼吸での止血は付け焼き刃でいつまで保つかわからず、残弾もどれだけ削れたんだかわからない……というか銃が血鬼術由来だったら残弾もクソも無い。

 

アレ?詰んだ?流石に死んだよねコレ。

 

………いやいやいや!ネガティブになるな俺!こっちにとってプラスの要素を拾え!折れたら終わりだぞ!せめて成果をあげて死ね!

 

傷は増えたけど撃ってきている箇所はもうほとんど特定した!影で出来た蠢く何かからぶっ放してるのも確認済み!ついでに相手はたぶん油断してる!

 

よーしワンチャンあるな!出てきたぜなけなしの空元気がよぉ!

 

前世含めて身に付けた全部搾り出せ!ハイ考えたぁ!舐めてんじゃ無えぞ鬼のトップでも無えくせに偉っそうによぉ!殺す!

 

「感謝するぜ近所の鬼滅ごっこのガキンチョども……!」

 

鞘に刀を納めて深呼吸……よし、冷静。

 

路地から飛び出しながら構えを作る。そのニタニタ顔胴体とオサラバさせてやる!

 

「なんちゃって霹靂一閃……!」

 

踏みしめた地面が爆ぜる。

 

自分がスポーツで言うところのゾーンという物に入っているのが分かる。今まで出した事のない速度の中でも周りの景色がゆっくりに見えた。

 

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃。

 

近所に住んでた小学生が傘だの拾った木の枝だので真似していたので動きだけは良く知ってる、俺が知る中で鬼滅の刃での最速技。

 

もちろんなんちゃってであり、使っている呼吸は風の呼吸ベースだし、なんなら抜刀して振り抜くのもタイミングをかなり前倒しにして既に完了させている。

 

けどそれはこの技を最速で距離を詰める為に使っているからだ。

 

本命は俺の最も練度が高く、得意な型。

 

()った……!」

 

[風の呼吸 捌ノ型 初烈風斬り]

 

……自分の太刀筋が良く見えたし、手応えもいつも以上にわかった。

 

敵の頸にまとわりついた影に沈み込んだ太刀筋も、斬れていないとしっかりと伝えてくる手応えも。

 

くそ………

 

そこから先はよく憶えていない。

 

「後は任せろ」の声と、朧げな白と暖色の揺れる景色を最後に俺の初任務の記憶は途切れた。

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