読んどきゃよかった鬼滅の刃ァ! 作:焼肉パーリィ
「今日の任務…胡蝶の担当区域にも関わる事になるな」
義勇さんブートキャンプに参加して数日、今日も今日とて任務に向かう。
今日は2回庭に投げられた。
……で、胡蝶…胡蝶ってしのぶさんの事だよね?
「しのぶさんのトコですかぁ…俺、機能回復訓練で随分弄ばれたんであの人ちょっと苦手なんですよね」
不意打ち雷の呼吸でクリアしたから、次入院したら復帰出来る気がしない。絶対本気出すじゃんあの人。
あんなムキになるような人じゃ無いと思ってたんだけどな……クリアした瞬間の死ぬほど不服そうな顔よ。
「しのぶは妹の方だ。姉のカナエは……会った事はないのか。蝶屋敷の主人ではあるが、柱故に多忙で居ない事が多いからな」
……姉?あの人姉がいるの?柱?え?原作にいた?
「会った事は無いですね。どんな方ですか?」
「妹の方は少し前から『姉の態度の方が患者に安心感がある』だとかで姉を真似るよう心がけているそうだが…」
普段言葉足りねえくせに妙に饒舌に話進めるじゃん。あとせめて会話の流れ的にカナエさんの話をしてよ!しのぶさん大好きかアンタ!
……あ、いや違うわ。『しのぶさんのエミュ元ですよ』って意味か。面倒くさいな翻訳が!
…………じゃあやっぱ怖い人なのでは?(しのぶさんによく怒られていたので怖い)(怒らせたのは薬飲み忘れた自分)
「ついでだ。今夜の任が早目に終われば胡蝶の方も手伝えるだろう。顔を合わせておいて損は無い」
「そうですね……あれ、今しれっとこなす任務増えませんでした?」
「そうだが」
「そうだがじゃ無いですが」
この人のあまりに雑なプランニング、どうにかならんだろうか。基本どの任務でも正面からゴリ押し突破出来る故なんだろうけど、最もその弊害に悩まされてんの俺なんだけど。
………そんでマジで爆速で終わるしよぉ!?なんなのこの人!俺が必死に頭回してやってること涼しいツラでサラっとやりやがって!
「もう雑魚鬼程度は片手間で倒せるようだな。成果が出ているようで嬉しい」
「片手間なの見た目だけですよ……めちゃくちゃ気を張ってます」
「それを無意識でも出来るように身体に叩き込む為の鍛練だ」
「そりゃそうでしょうが…」
発言から想像するに、この人も「出来なかったを考えて、出来るにして、その出来るを鍛練で無意識に」をやってきた人なんだろう。
……俺がその域に立てるの、どのくらい後なんだろ。
どのくらい後と言えば…今炭治郎って何やってる段階なんだろ?
出来れば家族を助けてあげたいんだけど……無惨に勝てる実力とかはともかく、タイミングが分からない事には土俵にすら上がれない。
………いや待てよ?知ってる可能性がある人が居るじゃん!今一緒に居るじゃん!
「義勇さん。そういや前に俺を後継の柱にだとか言ってましたけど、同門の人の方がいいんじゃ?弟弟子はいないんですか」
「……いるにはいるのだが、少々問題を抱えている。これから次第だ」
問題……って事は、禰豆子は既に鬼になっちゃったんだろうな。
もう手遅れか………なんか俺、転生者の癖に原作キャラ生存させるとか出来てないな。
いやまあ現状だと知識が無に等しいから仕方ないんだろうけどさ?読んどきゃ良かったなぁ鬼滅の刃(タイトル回収)。多分過去編とかもあったんだろうし。
「それはその……残念ですね。力になれる事があれば言ってくださ…」
「カァァ!救援!救援求ム!上弦出現!上弦出現!花柱が現在交戦中ゥ!」
言ってる側から重要っぽい戦闘が!……俺戦力になれるか怪しいけど。
「行くぞ。向かいながら段取りを決める」
「はい!」
烏の先導で走り出したが、今や方角だけを頼りに烏が追いつけないほどの高速で走る義勇さんを追う。
義勇さんペースはっやい!大丈夫か俺!?消耗してお荷物は洒落にならないぞ!
「……舞兎、段取りだが」
「!はいっ!」
「胡蝶が戦闘不能の場合、お前が抱えて離脱しろ。殿は俺がやる」
「分かりました」
「胡蝶が戦闘可能…もしくは
なんか頭冷えてきた。サラッと怖い話するじゃん。
「離脱の必要が無い……良い意味の場合を祈ります」
「……少なくとも俺の知る限り、過去100年遡っても上弦の討伐記録は無い。考えたくもない気持ちはわかるが、覚悟はしておけ」
「はい」
目的地の廃村に突入。もう数分もしないうちに上弦と接敵するだろう。
………静かすぎないか?
「まさかもう、戦いは終わって…」
「!?舞兎!戦闘準備だ!」
「へっ!?」
義勇さんの視線の先には……
「氷の身体の、子ども?」
武器は二対の扇子?吹雪とか撃ってくるんだろうか?
此方を認識したのか、扇子を振って……氷の蔓!
「舐めんなっ…!」
[炎の呼吸 肆ノ型 盛炎の…]
「吸うのは駄目っ!避けて!」
反射的に技を中断して飛び退……範囲が広い!
息を止めて何とか刀で受け、わざと吹き飛ぶ事で技の領域から脱する。
声の方を見ると咳き込む蝶柄の羽織の女性…あの人がカナエさんかな。
所々傷はあるがぱっと見は軽症だ。
「胡蝶!無事だったか!上弦はどうした!?」
「とみお…ゴホッ撒けてはいないわ!良く聞いて!ヤツは私達呼吸の剣士の天敵よ!術を吸わないで!」
ハァ!?呼吸封じぃ!?どう勝つんだよクソが!ってかそれアンタ食らってるって事ですよね!?
「……舞兎!胡蝶と共に離脱しろ!」
「承知しまし」
「つれないなー」
氷とは無関係に、周囲の温度がガクンと下がった気がした。
誰かの背後を取る事も無く、のんびりと散歩をするようにこちらに向かって来る青年。
目を惹く派手な服の次に目に入るのは、慈しみを感じる笑み。
絶対に作り笑顔だ。貼り付けた様なって表現のお手本みたいなツラしやがって。
そして見開かれる目に…
「上弦……」
「うん、そうそう!……十二鬼月上弦が一角、童磨…名乗りはこんな感じかな?どう?威厳あったかな!」
「……今、崩れたね、威厳」
「そっかあ……まあ今日殺す相手に威厳を感じてもらっても仕方ないか」
動けない。瞬きすら恐怖だ。
目を閉じた一瞬に何かあるのではと、少なくともこいつはその一瞬で行動を起こせると、戦う前から確信に近い予感がする。
そんな鬼が今、俺を、今日殺すって言ったか?
じゃあ俺、今日が命にt…
[水の呼吸 水面斬り]
「舞兎!行け!指示は変わらない!それを実行し、成功させる!その一点のみを考えろ!」
「ゲホッ今ここでは私たちは足手纏い…行きましょう」
「え…あっ!はい!ご武運を!」
音だけでも次元の違いを感じる柱と上弦の戦場を背に、半分混乱しながらカナエさんと走りだす。
この時のカナエさんの悔しくてたまらない様な顔を、きっと俺もしているのだろうと思った。