読んどきゃよかった鬼滅の刃ァ! 作:焼肉パーリィ
さて、その後は大したことも無く選別は終わった。
沙代は自分の育手と相談して、腕が完治してから隠として活動するらしい。
俺と甘露寺、いや、甘露寺さんは……
「守りの巧さはなかなかだな!よもやよもやだ!」
「ひぃ〜!師範私お腹と背中がくっつきそうです!」
「俺も流石にそろそろ貴方の木刀と俺の額がくっつきそうですぅ!」
日輪刀の完成を待つ間、かの有名な煉獄さんに稽古をつけて貰っている。
…………いやなんでやねん!?
しかもなんか俺相手には本気で打ち込んでませんか!?いやあのマジで甘露寺さんに近寄る悪い虫になるつもりはこれっぽっちも無いんです!
何故こうなったか?それを説明するとしよう…!
選別から少しして傷もそこそこ癒えた頃、甘露寺の烏を通じて手紙が来た。
要約するとこうだ。
『師範が選別で血鬼術を使える鬼が出た事を聞いて、戦った本人から話を聞きたいらしいよ!異形に関しては沙代ちゃんから既に聞いてるよ!選別突破祝いのご飯も一緒に振る舞ってくれるって!煉獄家に来てね!』
で、手紙を何度かやり取りして日程を決めた訳だ。
ちなみに甘露寺『さん』呼びになっているのは手紙のやりとりの中で歳上とわかったからだ。
あまりにフレンドリーすぎて歳上感なかったんだもの……
煉獄家に到着後に歳下でめちゃくちゃタメ口だったのを謝ると、背中を預けた仲なのに他人行儀だと抗議されて口調はそのままにされた。
アンタが聖人君子や。
到着した時に煉獄さんは用事で遅れて来るとの事で、暇つぶしに手合わせしてたら帰ってきた煉獄さんが「感心だな!君にも少し稽古をつけてやろう!」という訳だ。
ぜんっぜん少しじゃ無えっ……!
「よし!泣き言をその声量で言えるならまだいけるな!もう少し頑張れ!初任務はなかなか厄介になるぞ!」
まだいけねえから大きな声で泣き言を言っとるんです煉獄さん。
ついでに言えば2人とも木刀がミシミシ言っとるんです煉獄さん。
あ、ほら甘露寺さんの木刀折れたって!休憩に……!
「君にはかなり本気でやったのだがまさか甘露寺の木刀が先に折れるとはな!未だ攻めも守りも力任せの証拠だぞ甘露寺!しばらく稽古に素振りを増やそう!太刀筋を矯正すべきだ!」
「はい!わかりました師範!」
「……あの、終わったのなら鍔迫り合いの状態を解いていただいても…?」
「……?木刀が折れるまで終わらない打ち込み稽古をしていたと聞いていたが?」
「貴方にそれをお伝えした人に今すぐ抗議の手紙を書きたいので終わりましょう!これから先の打ち込み稽古の終了条件がそれになると困るので!」
結局木刀は折れた。
「千寿郎くん何か書くものくれるかな……出来れば長文が書けるとありがたいんだけど。俺は抗議文は長ければ長いほど真剣さが伝わると思うんだけど君はどう思う?」
「えっ………人によってはそもそも読む気が失せてしまうと思います」
「そうだよね…うん、あの人は読む気が失せるタチだと思うから今度会う時に直接文句言ってやるわ」
「それはそれで面倒な事になりませんか…?」
「……なりそう」
「…その、苦労なさるでしょうが……応援しています」
「うん…ありがとう」
「げっ元気出してください!そうだ、天ぷらでお好きなネタはお有りですか?追加で揚げますよ!」
「天ぷらで好きな……茄子かな。油もつゆも吸って噛んだ時じゅわっと来るのが良いよねえ………いやそうじゃ無くて!ごめんね気を使わせて!しかも時期じゃないモンを…」
「……実はなんと!季節外れのものを入手出来てます!八百屋さんも驚いてました!楽しみにしててくださいね?」
「すげえな!手紙の内容が『余寒見舞い申し上げます』になる事すらも気が早そうなこんな時期に!?…ああもう違くて俺って割と突然の客なんだからそんなに気を使わんでも……行っちゃったよ」
うーむしかし……疲労困憊である。
2対1だよ?煉獄さん乱入前に2人とも手合わせで少しは消耗してたとはいえ、どんなパワーとスタミナしてるのよ?柱バケモンすぎだろ……
あとよ〜くわかった。俺って連携向いてないわ。風の型が甘露寺さんに当たりそうで全然使えなかった。
全集中の常中も寝ている間に解けてしまうって壁にぶち当たってるし……せっかく選別を突破しても課題が山積みで気分が沈んできた。
選別って受験みたいだな……学校の先生がしつこく言ってたな〜「合格はスタートラインです」的な…やめよう。地獄の受験勉強を思い出してさらにテンションが下がりそうだ。
ハァ〜……ツッコミもくどいしこの前そうめん茹ですぎでベチャってなるし口笛びっくりするほど下手だし俺ってば本当にもう…
「……へこむわぁ〜」
「いや!スジは悪くないぞ!」
「ほへぇ!?びっくりしたいつの間に背後に!」
「全集中の呼吸も長く継続出来ているようだし、選別を突破したばかりにしてはかなりのものだ。誰でも最初からなんでも出来るものでは無い」
「ど、どうも……柱にそこまで褒めていただけると励みになります」
「………?柱は俺ではなく父だが」
「アッ……貴方は将来的に柱になるんですから誤差でしょう?」
「世辞が上手いな!褒めても祝いの食事が増えるだけだぞ!」
「じゃあめちゃくちゃ効果あるじゃないで……いやそれ手間が増えるの千寿郎くんでは?」
「……うむ、確かに!では後ほど稽古をつけてやろう!」
「アレ?実は世辞に怒ってます?」
あっぶねぇ〜!そうか、この時期じゃまだ柱じゃないんだ。
発言には気をつけないと…
いや別にバレてもそれはそれでメリット無い訳じゃないけどね?信じてもらえたら色々と発言力にバフかかりそうだし。
けど無惨に…もとい鬼側にバレたらどんな影響が出るか分からんので妙な真似は控えようって訳よ。
救えそうな命は救うけど、主人公の覚醒イベとかを取り逃がしたらラスボス戦までに強さが足りなくて……みたいな事になりそうで困る。
ただでさえ俺は原作の未履修部分多数&知ってる部分もおぼろげだから慎重になるべきだ。
強さもそうだけど、立ち回りも大切にしていきたい。
食後、本格的に選別での話が始まった。
茄子の天ぷらは非常に美味かった。
「なるほど……確かに試しの場にそぐわない厄介な能力!甘露寺も日ノ替少年もよく倒した!親方様には一定以上の階級の隊士による定期的な山の見回りを進言しておこう!」
「助かります。それと呼び方下の名前で良いですよ?呼び難いでしょうし……それに恥ずかしながら育ちの影響で苗字で呼ばれる事少なかったので一瞬自分の事だと認識出来ない事多くて」
「そうか?では舞兎と呼ばせてもらおう」
曰く、デカブツ……手鬼はすでに鬼殺隊から認識されていた鬼らしい。
選別はあくまで試しの場であり「敵わないであろう相手には撤退の判断をして情報を持ち帰る事が出来る」のも大切な人材である故に、その見極めのため放置されているそうだ。
……そりゃそうだな。あんなでけえ奴の目撃例が今まで無い方がおかしいわ。
もちろん倒すぶんには構わないらしい。
が、鬼によって大きく変わる血鬼術を使う奴は話が変わってくる。
要は「相性によって本来は力が及ばないのに勝利出来てしまう」が起こり得るのだ。当然鬼側の有利な形でそれが起きてしまう事も含めて。
たとえば、今回の霧の鬼は原作のキャラで言えば善逸なら俺より有利に戦えたハズである。
俺は耳を頼りに敵の方向を探っていた訳で、音で距離や木を含めた障害物の事も把握出来るハズの彼なら霧を出るまでも無く鬼本体に斬りかかれただろう。
まあそのへんに関してはあくまで「試験だから相性より実力を測るため」であって、隊士として実戦となるとある程度相性を考えた采配をされる事もあるだろうなあ。
………どんな初任務になるんだろ。
死ぬのにそこまで抵抗は無いけど肉盾扱いでの死は嫌だなぁ。
「さて!それでは君達の初任務の話だ!」
「刀もまだなのにですか!?」
「安心しろ!明日ここに甘露寺の刀も君の刀も届く!今日は泊まって行くと良い!稽古の続きもやろう!」
初耳ですが?しかも稽古今からですか?