ダンジョンで小人族のサブ人格として生きるのは間違っているだろうか   作:ステラ・グローリア

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始まりの章
プロローグ


気が付けば私は白い世界にいた

誰かの視点を映している画面だけがある何も無い世界

 

 

「私は誰で此処は何処なのですか…」

 

 

私の声は何も無い世界にただ流れていった

 

 

それから長い時間、私はただただ画面を眺め続けていた

そうして分かったことは

視点の持ち主がリリルカ・アーデという名前だということ

まだ赤ん坊だということ

そして私と一心同体だということである

 

 

とはいえ私が体を動かせるというわけでもなく、ただ彼女の感覚が私にも繋がっているだけだ。

今日も、リリルカ・アーデの感情が私に流れ込んでくる。

空腹だったり、満腹感だったり、幸福だったり

そして痛みもだ。

 

 

彼女が立って歩いて話せる様になった頃、私のいる世界は闇に侵食され始めた。

 

 

始まりは恩恵が刻まれて冒険者としてダンジョンに入れるようになったからだろう。リリルカは自分よりも大きいバックパックを背負わされサポーターとして働かされるようになった。

 

 

少しでも遅れると遅いと殴られ。不利になれば囮に使われ。得られたお金は全て酒代へと消え、食べ物は両親の僅かな食べ残し。常に理不尽な暴力と消えない空腹を感じ、聞こえないと分かっていながらリリルカに声を掛け動かないと分かっていながら私は足掻いた。

 

 

 

 

何日、何ヶ月、何年経ったのか分からないけど両親が死んだ。

油断していたのか、リリルカを囮に使う前にモンスターに襲われ食い殺されるのを尻目に近くに落ちていた槍を手に脱兎のごとく逃げ出した。

 

それすらも私は見ていることしか出来ない。

声が届けば我武者羅に逃げるリリルカを落ち着かせることも、地上への最短ルートをナビゲートすることも出来たのに。

 

そして、地上を目前として横道から飛び出してきたゴブリンに対処することが出来たかもしれないのに。

私は画面が暗くなり世界が闇に染まるのを意識が遠のく中ただ見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭部に感じる痛みに、自分がまだ生きていることが分かった。

しかしいつもと違う。

 

目の前に画面はなくゴブリンが馬乗りに殴ろうとしているのか手を振りかぶってドアップだ。慌てて腕を振ると気絶しても持ったままだった槍が偶然にもゴブリンの顔を叩きバランスを崩したところを抜け出しそのまま無我夢中でゴブリンの胸に槍を突き立てた。

 

 

 

「し、死ぬかと思いました……ん?何で私、表に出てこれてるんですか?はっ!リリルカは!?あ、生きてる…気絶しているだけですね。良かったぁ〜」

 

 

 

ゴブリンを倒して落ち着く時間を得た私は当然の疑問を感じ、そしてリリルカの意識を自身の中に感じ安堵したのだった。

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