【悲報】1000年前に無双していた魔王様、現代のインフレについていけないwww 作:さざき
我は最強だった。
刃を向ける人間は指一本すら動かさずに退け、反抗する魔族は魔法の威嚇射撃で黙らせる。
そして、我を打ち滅ぼそうとする国に対して単騎で立ち向かい、圧倒的な力量を見せつけて、容易く属国にしたものよ。
魔族の社会は力こそ全て。
我は己の力のみで成り上がり、この世全ての魔族を従えて、世界の半分を手中に収めるに至った。
そんな我の存在を前にした人間は恐怖を抱き、刃向かおうとする者はいない。
あの手この手で機嫌を取り、極上の供物を絶え間なく捧げ。
魔族も人間も例外なく頭を垂れた……と言いたいところだが、異端は一定数存在した。
極稀に勇者と名乗る愚者が現れて、我を討たんと名乗りをあげたのだ。
……とは言えど、見込みのある実力者は勇者の中でもたった1人のみ。
その他の凡夫に至っては、我の姿を目にした瞬間、尻尾を巻いて逃げていったがな。
正に、天上天下唯我独尊。
我より優れた生物はこの世界に存在しなかった。
……だからこそ、退屈だった。
我はただ全力を出したいだけ。
幾万もの年月を捧げて創り出した魔法や、実戦を重ねて磨き上げたセンス。
我の全てを遠慮なしにぶつけて、飢えが乾くような満足する戦いをしてみたかった。
故に、試行錯誤した。
才能ある人間や魔族を見定めて、我直々に戦闘の技術を叩き込み、丹念に育て上げた。
人間や魔族の既存の魔法体系に手を加えて、魔法使い全体の能力を底上げした。
だがしかし、待てども待てども我に匹敵する力量を持つ存在は生まれない。
我の教え子の中で随一の戦闘センスを持つ魔族も、ありとあらゆる魔法を使える魔女も、他の追随を許さない成長速度を有する勇者でさえも。
全力を出した我の前では等しく無力。
戦闘中に手心を加えなければ、奴らの命の灯火が消えてしまう程には脆弱だった。
それを経て、我は理解した。
このままでは、望みを叶えることは出来ないと。
……今の時代を生きる魔族や人間に見切りをつけて、未来の魔族や人間に希望を見出す他ないと。
そう考えた我はしばらくの間、眠る事にした。
今まで積み上げてきた物……魔王としての地位や権力などを放棄して、1000年後に目覚めるのだ。
我直々に手を加えた事で、人間や魔族の全体の実力水準は大きく上がった。
たった100年で、我の弟子であれば体を傷つける事が出来る程度には成長したのだ。
きっと1000年後には、全力を出した我に匹敵する猛者が生まれている事だろう。
「申し訳ありません、魔王様。我々は最後の最後まで……無力でした」
「安心して眠りなよ〜。千年も経てば、お師匠様を凌駕する魔法使いがポンポン生まれてるって」
「私達とあんたの……勇者一族と魔王の決着はまだついてない! いつの日か、勇者である私の子孫があんたをボコボコにしてみせるから!」
ずっと昔から側に居てくれた直属の部下や、我が思案した魔法を全て扱える魔女に、ひ孫の代になっても負けん気の強さは変わらない勇者。
その他にも、様々な魔族や人間が……眠りにつこうとする我を見送ろうとしていて。
不覚にも涙腺が緩んだ。
恐らく、奴らにはもう会う事が出来ない。
それを強く、実感してしまったから。
「さらば……我が同志よ」
それでも、我は眠りにつく。
全ては、まだ見ぬ強者と逢うために。
今までの人生と、未来に思いを馳せながら……。
◇
【悲報】1000年前に無双していた魔王の我、現代の魔術や武術が進歩し過ぎてるせいで、全くもって歯が立たない模様
1:名無しの魔王
すれたいまんまだ。
1000年前に無双できていたから、現代でもなんだかんだ通用すると思っておったが、基礎的な身体能力や全体的な魔法のレベルが高くなり過ぎて、全くついていけぬ。
我は一体、どうすればよいのだ?
2:名無しの冒険者
魔王ってwww
釣り針がデカ過ぎるだろw
3:名無しの冒険者
うそつき!
4:名無しの冒険者
1000年前って、すげー昔だな。
めちゃくちゃ年寄りじゃん、スレ主。
5:名無しの冒険者
おじいちゃん、もう寝る時間ですよ!
6:名無しの魔王
嘘などつかぬわ、失礼な小童共め。
我こそは万物の王、キルギス。
およそ1000年前に最強の座を欲しいままにしていた伝説の存在ぞ!
もっと敬え、貴様ら!
あと、我は年寄りではない!
全盛期の時に自らを封印したから、肉体的にはまだピチピチの若人の部類に入る!
7:名無しの冒険者
>ピチピチの若人
言葉遣いがお年寄りのそれなんだよなぁ……
8:名無しの冒険者
で、キルギスって魔王は存在したん?
教えて博識スレ民!
9:名無しの冒険者
知らね
10:名無しの冒険者
歴史の教科書でそんな感じの名前を見たような気がしなくもないような気がする
11:名無しの冒険者
歴史どころか全教科赤点だった俺にはさっぱりや!
12:名無しの冒険者
キルギスという名の魔王は確かに存在していましたよ。
歴代魔王の中でも類を見ない程に人間に友好的な存在で、彼が世界を統治していた期間は、魔族と人間が共生していたそうです。
そして、最たる特徴として挙げられるのは、現在の魔法体系の基盤を作り上げたり、多種多様な武術の型を生み出した事。
また、魔力を用いて身体能力を向上させる術や、属性魔法適性を持たない者でも扱える無属性魔法も彼が編み出したらしく。
それらの偉業のお陰で、戦いを生業とする人々のレベルが底上げされたと言われています。
また、自身も無類の強さを有しており、当時生きていた魔族や人間では歯が立たなかったそうです。
13:名無しの冒険者
>>12
有能
14:名無しの冒険者
キルギスさん、普通に優秀でワロタ
15:名無しの冒険者
経歴からして戦闘狂やんけw
16:名無しの冒険者
自称だとしても魔王がスレ民に穏便な態度を取るのは変だと思っていたが、人間に友好的な魔王なんているんやね。
17:名無しの冒険者
歴代魔王はどいつもこいつも碌でもない奴しかおらんからな。
今の魔王だって、何か裏でコソコソ悪巧みしてるみたいだし。
18:名無しの冒険者
パソコンやスマホが普及するくらいには治安が良い現代で、我ら人間に刃向かおうとは……魔族は愚かよのぉ。
19:名無しの冒険者
>>18
人間と敵対してるのは一部の魔族だけで、殆どの魔族は普通に社会に適合してる定期
20:名無しの冒険者
一部のバカな魔族のせいで、風評被害を受ける魔族さん可哀想で草
21:名無しの冒険者
魔族差別が社会問題になってる今、笑い事じゃないんだよなぁ……。
22:名無しの冒険者
みんな仲良くすればいいのにね
23:名無しの冒険者
むつかしい問題ですわ
24:名無しの魔王
おい、話が脱線しているぞ。
現代における魔族の立場の話は大事ではあるが……ひとまず置いておいて、我の話を聞け!
そして、願わくば助言を求む。
25:名無しの冒険者
>現代における魔族の立場の話は大事ではあるが
社会派魔王
26:名無しの冒険者
魔王である証拠求む
27:名無しの冒険者
スレ民に助言できる事なんてあるんですか?
28:名無しの冒険者
恐らく無いが、話は聞こうじゃないか
29:名無しの冒険者
面白ければ何でもいいや!
30:名無しの冒険者
つーか、現代で戦う機会なんてあるか?
一般市民が認可なしに魔法を使ったりしたら、普通に警察に捕まるけど。
31:名無しの冒険者
勇者機関に入るつもりなんやろ(適当)
32:名無しの冒険者
生きにくい時代や
33:名無しの魔王
まずは、我が現代を生きるに至った経緯を説明するぞ。
1000年前の我、あまりにも強すぎて無双する。
↓
敵が居なくて退屈なので、我に匹敵する力量を持つ者を生み出すべく行動する。
↓
その結果、魔法や武術などが割と発展するが、どいつもこいつも我の体にかすり傷をつけるのが精一杯。
↓
我慢できなくなったので自らを封印し、未来の世界で生きる事にする。
↓
現代の魔法や武術などが1000年前と比較すると進歩しすぎていて、今の我ではついていけない。
↓
ちびっこ魔法教室やちびっこ武術教室で幼子に混じり、一から学び直している。
概ね、こんな感じだな。
34:名無しの冒険者
ちびっこ魔法教室や、ちびっこ武術教室www
35:名無しの冒険者
最強(笑)
36:名無しの冒険者
情けなさすぎて草生える
37:名無しの冒険者
ど う し て こ う な っ た
38:名無しの冒険者
ねぇ、今どんな気持ち?www
39:名無しの冒険者
ここぞとばかりに煽り散らすスレ民
40:名無しの冒険者
イキイキしてていいね
41:名無しの冒険者
いたいけな子供達の中に魔王が混じってる構図、シュール過ぎるだろw
42:名無しの冒険者
キルギスがどんな姿形してるかは分からんが、魔王らしき魔族と一緒に学んでいるちびっこ達はどんな気持ちなんやろ。
43:名無しの冒険者
スレ主はガキっぽい性格してるから、案外馴染んでるかもしれんよ?
44:名無しの魔王
>>42
どんな気持ちかは知らんが、皆いい子達だぞ。
如何にも魔族って感じの外見をしている我にも、優しく接してくれるからな。
だが、それよりも、現代の魔法や武術はとんでもないな。
我が生きていた時代の武術家は、果実を握りつぶしたり、剣で竹を切るのが限界。
それなのに、現代の武術家は容易く岩を砕いたり、剣を用いて鉄板を切り裂いたり。
我が生きていた時代の魔術師は何小節も詠唱をして、拳大の炎を発射したり、バケツ一杯分の水を生成するのが限界。
それなのに、現代の魔術師は無詠唱で、原っぱを瞬く間に焼け野原にする炎を出したり、大きめの湖程度の水を生成させたり。
……いくら何でも規模が大きくなりすぎだ!
我なんか、魔力による強化無しで岩を叩いたら拳が痛くなるし、現代レベルの魔法を扱うためには1時間ほど詠唱しなければならないのに!!!
45:名無しの冒険者
マジかw
一般人の俺でも、果実くらいなら握り潰せるぞw
46:名無しの冒険者
俺はプール一つ分の水を生成できる。
ちな、彼女もいるwww
47:名無しの冒険者
あーあ、スレ民の自語りが始まっちゃった
48:名無しの冒険者
隙を見せた俺たちが悪い
49:名無しの冒険者
>岩を叩いたら拳が痛くなるし
よわよわすぎて可愛い。
こんな魔王様に屈服する1000年前の人達クソ雑魚すぎん?
50:名無しの冒険者
まぁ、1000年前と今とでは文明のレベルも段違いだし……当時の主な兵装だった岩と現代の鉄砲を比較すると威力が全然違うように、魔法や武術もそれくらいの差があるのかもしれん。
51:名無しの冒険者
>>49
魔王様が最強だった時代の人達は魔力で身体能力を強化する術を知らなかったそうだし、別に不思議ではないけどな。
52:名無しの冒険者
そう考えると、キルギスのやった事って結構すごくない?
53:名無しの冒険者
しっかりと偉人やね
54:名無しの冒険者
それにしては、書き込みに威厳がなさすぎます!
55:名無しの冒険者
親しみやすくてええやん
56:名無しの冒険者
ちびっ子とも仲良いらしいしな
57:名無しの冒険者
スレ主がキルギス本人とは限らんから、ワイはノーコメントで。
1000年前生まれの老人がスマホやパソコンを使えるとは到底思えん。
58:名無しの魔王
信じるのも信じないのも貴様らの自由。
ここはそういう場所だと認識している。
それで、現時点の我は同じ教室に通うちびっこに負けるレベルなんだが、どうすれば良い?
悔しくて悔しくて、夜も眠れん。
どうすれば、我は強くなれるんだ?
59:名無しの冒険者
ちびっこにまで負けるんかーい
60:名無しの冒険者
天国と地獄
61:名無しの冒険者
プライドはズタズタやね
62:名無しの冒険者
夜な夜な枕を濡らしてそう
63:名無しの冒険者
かわいそうでかわいい
64:名無しの冒険者
あまりにもか弱い生き物
65:名無しの魔王
馬鹿にしてないで、あいであをくれ!
我は真剣なんだ!
66:名無しの冒険者
そんな事言われましても。
我らはニートや引きこもり。
戦闘なんてもってのほかなので、何も出来ませぬ。
誠に申し訳ないで候。
67:名無しの冒険者
アイデアを募る場所が悪いで。
何も言えないワイらは悪くない!!!
68:名無しの冒険者
頑張って頑張れば何とかなるなる
69:名無しの冒険者
とにかく筋肉をつけろ!
どんな時でも筋肉は裏切らない!
70:名無しの冒険者
とりま、現時点でのスペックを貼れ。
問題点が分からんとアドバイスできん。
71:名無しの魔王
>>70
それもその通りだな。
名前:キルギス
魔力量:すごく多い
習得済み武術:剣術・槍術・斧術……とにかく多い
属性魔法適正:無し
固有魔法適正:無し
戦闘スタイルは、無属性魔法による盾で守りを固めながら詠唱を行い、高威力の無属性魔法の一撃で仕留める。
接近戦を仕掛けられた場合は、習得済みの武術を用いて対応する。
古き良き堅実なスタイルだ。
1000年前はこの戦法で幾度となく勝利を積み重ねた。
なのに、現代においては全く通用せん。
無詠唱魔法や詠唱が短い魔法であっという間に盾が破壊されて、高威力の魔法を打つ前に勝負が終わり、接近戦でも普通にボコられる。
何も出来ずに負けるばかりなのだ。
72:名無しの冒険者
うーん、この
73:名無しの冒険者
何万人に一人の確率とされてる固有魔法はともかく、基本的に一人一つの適性がある属性魔法が使えないの痛すぎるな
74:名無しの冒険者
魔力量は沢山あるの、宝の持ち腐れ感が……
75:名無しの冒険者
>習得済み武術:剣術・槍術・斧術……とにかく多い
全部書くのめんどいからって、簡略化するなw
76:名無しの冒険者
ところどころアバウトなの笑う
77:名無しの冒険者
>>73
>>74
だからこそ、無属性魔法を編み出したのかもね
78:名無しの冒険者
あっ……
79:名無しの冒険者
なるほどね
80:名無しの冒険者
物的証拠はないものの、状況証拠的にスレ主=キルギス説が現実味を帯びてきたの草
81:名無しの冒険者
才能がないなりに相当努力したんやろな
82:名無しの冒険者
それでも現代のちびっこに勝てない現実
83:名無しの冒険者
1000年前に無双した実績を引っ提げて、未来へと思いを馳せる魔王様の姿を想像すると悲しみ。
きっとウッキウキやったんやろなぁ……
84:名無しの冒険者
やめたげてよぉ!
85:名無しの冒険者
お前ら!
そろそろ意見を出したげろや!
俺は何も分からんけど!
86:名無しの冒険者
俺も分からん
87:名無しの冒険者
ワイもワイも〜
88:名無しの冒険者
うーん、この無能ども
89:名無しの冒険者
何と言っても……頼りにならない事に定評があるからな、俺達は!
90:名無しの冒険者
誇らしげにするな!!!!
91:名無しの冒険者
恥の上塗り
92:名無しの冒険者
恥まみれの人生を送ってるからノーダメージなんやね
93:名無しの冒険者
最低。
故に無敵。
94:名無しの魔女
>無詠唱魔法や詠唱が短い魔法で盾が破壊されて、高威力の魔法を打つ前に勝負が終わり、接近戦でも普通にボコられる。
1000年前に主流だった魔力消費が激しい術式と長時間の詠唱によって放たれる魔法はもう時代遅れだよ〜。
今の環境だと悠長に詠唱している内に、手数の多さでゴリ押しされて勝負が終わっちゃう。
現在のトレンドは、魔力消費の少なさによる出の早い魔法や魔力で強化した身体能力を活かした武術を組み合わせた高速戦闘。
俗に言う、アグロスタイルだからね〜。
魔王様のようなカウンタータイプはアグロとは相性最悪。
既存の戦闘スタイルを捨てて、アグロスタイルに適応するか。
或いは、アグロスタイルに相性の良い独自の戦法を生み出すべきだと思うな。
私としては独自の戦法を生み出すのが、魔王様の性にあっていると思うよ〜。
95:名無しの冒険者
魔女様降臨きたああああ!!!
96:名無しの冒険者
うおおおおおおおおお!!!
97:名無しの冒険者
このスレ覗いてよかったあああ!!
98:名無しの冒険者
阿鼻叫喚でワロタ。
魔女様って誰なん?
99:名無しの冒険者
>>98
知らないんですか!?
魔女様は、キルギスが整えた魔法体系の基盤を十全に活かして、既存の魔術式の性能を著しく向上させ、各々の魔法適正を確かめることが出来る「魔法適正診断法」を編み出した魔術史に名が残るほどの偉人。
尚且つ、不老不死の肉体を持つ超絶美人。
更に、このサイトの創設者であるお方ですよ!?
100:名無しの冒険者
懇切丁寧な解説助かる
101:名無しの冒険者
偏見やけど、解説敬語ニキはメガネかけてそう
102:名無しの冒険者
魔王に魔女、スレが混沌としてきたな
103:名無しの冒険者
見てて楽しければ何でもええ
104:名無しの魔王
>>94
物凄く的確な意見なのは認める。
でも、我は今のスタイルで勝ちたい。
アグロだの独自のスタイルだのではなく、長年連れ添ったカウンタースタイルで勝ちたいんだ!!!
105:名無しの冒険者
思考ロック系魔王
106:名無しの冒険者
ほら見ろ!!!
やっぱり、老人じゃないか!!
107:名無しの冒険者
意見を募ったのは何だったんだ……
108:名無しの冒険者
ムキになってどうすんねんw
109:名無しの冒険者
千歳児が子供みたいに駄々こねるな!
110:名無しの冒険者
>>107
自分のカウンタースタイルをスレ民に肯定して欲しかったのかもしれん。
結果的には全否定だった訳だが。
111:名無しの冒険者
>>110
この説が有力だな
112:名無しの冒険者
現実は残酷や
113:名無しの冒険者
理想を抱き続けてはちびっこに負ける一方やぞ。
それでええんか、スレ主は!
114:名無しの冒険者
カウンタースタイルを貫きたいのなら、筋肉を鍛えろ。
魔術も剣も拳も、全てを腹筋で受け止めるのだ。
115:名無しの冒険者
脳筋もこのスレを見てます
116:名無しの冒険者
魔王だの魔女だの脳筋だの。
多種多様な人が集まる多様性に富んだスレやね。
117:名無しの魔女
一生負け犬のままでいいなら、魔王様お得意のカウンタースタイルを貫いてもいいんじゃないかな〜
118:名無しの冒険者
辛辣ゥ!!!!!
119:名無しの冒険者
俺も罵ってください!!!
120:名無しの冒険者
俺も俺も!!!
121:名無しの冒険者
魔女様絡みになると、スレ民のテンションが急に高くなるの怖い。
そもそも、罵ってくれって何やねん。
122:名無しの冒険者
>>121
美人に罵ってもらうのはご褒美だろうが!!!
123:名無しの冒険者
>>121
君も早くおいでよ、こっち側に。
124:名無しの冒険者
どこもかしこもドMばかりや
125:名無しの魔王
>>117
結構心に刺さったぞ、その言葉……。
だが、言いたいことは分かった。
遺憾ではあるが、カウンタースタイルは捨てる。
魔女とやらが言うように、アグロスタイルに対抗しうる独自の戦法を作り出すことにする。
指を咥えて見ていろ、貴様ら。
必ずや我、魔王キルギスは現代のいんふれとやらに適応し、最強の座を取り戻してみせるからな!
126:名無しの冒険者
がんばえー。
127:名無しの冒険者
陰ながら応援しとるで。
128:名無しの冒険者
結局、このスレは釣りなんか?
129:名無しの冒険者
神のみぞ知るではなく、魔王様のみぞ知るって奴や
◇
「良い子のみんな、席に着いたかな? ちびっ子魔法教室の時間だよー!」
比較的、広い教室の中。
ホワイトボードの前には若い女魔法使いが立ち、彼女が目線を向けた先で僕を含めた3人の幼子と……一風変わった存在が揃って席についていた。
「勇者の血を引く私に魔法のいろはを教えられるなんて、光栄に思いなさいよね!」
高飛車な少女「アリサ」が毛先が巻かれた長い金髪を手で払いながら、そう告げる。
「わくわく、どきどき」
セミロングの青い髪と頭に生えたツノが印象に残る魔族の少女「レイ」は授業を楽しみにしていたのか、僅かに頬を染めている。
「……お願いします、先生」
そして、僕も授業の催促をする。
教室の片隅に鎮座する……明らかに異質な存在に気を取られながら。
「くっくっく……今に見ておれ。今は矮小な存在たる我であるが、現代の魔術や武術を学び、最強の称号を手に入れてみせる」
先程まで手にしていたスマートフォンを机に置き、ぼそぼそと独り言を呟く異形の魔族。
無骨なツノに、化物を彷彿とさせる顔面。
禍々しいデザインの法衣に漆黒のマント。
200は越えている高い背丈に、一際大柄な体躯。
禍々しい雰囲気や、威厳のある口調。
このような特徴を持つ彼?の名前はキルギス。
……およそ千年前に、ありとあらゆる存在を打ち倒し、最強の座に君臨していた魔王と同じ名前を持つ魔族である。
「属性魔法には色んな種類がありますが、基礎的な属性魔法として挙げられるものは主に3つ存在します……キルギスくん、全部言えるかな?」
「無論。炎、水、木の三つだ」
「正解。流石だね、キルギスくん!」
「……ふん。あまり調子にのらないでよね。知識で魔術師としての力量は測れないわ」
「ぱちぱちぱち。私よりも年下なのに、すごい」
「ふはは。この程度の問題を解くなど、我にかかれば造作もない」
先生やクラスメイト達が問題に正解したキルギスさんを褒め称える。
……何で、みんなは平然と受け入れているんだ。
絶対におかしいだろう、と声を大にしていいたい。
彼、或いは彼女は絶対に子供ではなく、何年も歳を重ねた立派な成人魔族のようにしか見えない。
それなのに、僕以外のクラスメイトはキルギスさんを同い年の子供だと認識しているし、先生でさえも疑問を抱くそぶりすら見せない。
これは、僕が変なのだろうか。
人を見た目で判断してしまっている、僕の感性がズレているのだろうか。
……いや、絶対にそうではない。
そうではないと信じたいのだが、みんながそう勘違いしてしまう理由も分からなくは無かった。
「基礎魔法属性についておさらいしたので、本題に入るよ。今日行うのは実戦戦闘!」
「実戦戦闘だと……!? くっくっく、年甲斐にもなく胸が躍るな」
「年甲斐にもなくって何よ。あんたも私と同じ10歳でしょ! 変に大人ぶらないでよね」
「負けると分かっててワクワクするなんて……キルギスは変わってるね」
……そう。
キルギスは如何にも強そうな見た目に反して、物凄く弱いのだ。
それはもう、驚くほどに。
固有魔法も属性魔法も扱えず、唯一扱える無属性魔法も詠唱が長いので、さして強力ではない。
その上、魔力で強化した身体能力も、ごく普通の10歳の子供である僕達に殴り合いで負けるほど貧弱。
こう言っては何だが、彼は……最強の魔王キルギスとは正反対の存在だと断言できる。
驚くほどに、名前負けしていたのだ。
「それにしても、キルギスくんはいつ見ても大人っぽい見た目だね」
「勇者の子孫である私より大人っぽいなんて、生意気よね……まぁ、私もすぐに大人のレディになるから、全然気にしてないけどっ!」
「事あるごとに勇者の子孫って事をアピールしている内は大人のレディにはなれないと思う」
「う、五月蝿いわね。別にいいでしょ!」
模擬戦を行うために屋外修練場へと向かう彼らは、朗らかな雰囲気で談笑する。
……最初は先生もみんなも、キルギスが年齢を偽っていると思っていた。
けれど、武術や魔法を嗜んでいる同世代の中でもズバ抜けた弱さを知ってからというもの、10歳の子供だと信じ込んでしまったのだ。
だが、僕は騙されない。
キルギスの本当の年齢は10歳ではなく、1000歳くらいなのだと疑い続ける。
もしかしたら、彼は悪人かもしれない。
実の年齢と真の実力を巧妙に隠し、油断しきった先生や僕達を食べようとしている、悪辣な魔族である可能性が存在するのだから。
「……ユウ? さっきから黙ってるけど、体調でも悪いの?」
「あ、えっと……大丈夫。何でもないよ」
「無理しない方がいいわよ。実践訓練であたしが勝った時に体調を言い訳にされたら嫌だもの」
「相変わらず、ツンデレだねぇ。アリサちゃんは」
内気な性格の僕は、一人ぼっちだった。
学校ではクラスメイトの輪に入れず、どんな時も孤立していた。
しかし、ちびっこ魔法教室のみんなは……そんな僕を受け入れてくれた。
上手く話せなくても、自己主張が出来なくても、仲間に入れてくれた。
だから、先生もアリサもレイも、大切な友達。
何らかの危機が迫ったら、絶対に守りたい。
もしも、キルギスが悪い魔族だとしたら、その時は命にかえてでも……。
「グオオオオオ!!」
そんな事を考えていると、獰猛な叫び声が耳に届く。
修練場へと向かう僕らの目の前に突如出現したのは……作業着に身を通すオークの男性だった。
この世界では魔族と人間が共生している。
身体能力に優れるオークやゴブリンは肉体労働に務め、人間と遜色ない頭脳を持つエルフはデスクワークなど。
職業選択の自由こそ与えられてないものの、それぞれの適正に合った仕事を割り振られる。
決して平等ではない点が気になるが、お互いに対立していた数百年前とは異なり、同じ生活圏で文化的な生活を送っているのだ。
このオークも服装から見るに、市民権を与えられるくらいの知能は有している筈なのに。
「オンナ、サンビキ! オカ、オカオカオカ」
目は血走り、言動は下劣極まりない。
理性を失っているのは、明白だった。
「みんな、下がって」
そう告げた先生はオークと対峙する。
微かに震えているため、恐怖を感じている筈。
それでも、彼女は毅然とした態度を崩さない。
「……こわい」
それは、怯えているレイを少しでも安心させるための行動。
今の状況は、勇者機関や警察によって安全が保障されている世界で暮らしてきた彼女らには些か刺激が強すぎる。
信頼できる大人である先生が慌てふためいたら、子供達がパニックを起こす可能性が高いと判断したのだろう。
「私も戦うわよ、先生! オークなんて、勇者の血を引く私が制圧してみせる!」
この高飛車少女は例外であるが。
「グオオオ……オオオ!!!」
オークは依然として、こちらを威嚇しており。
涎を垂らし、息を荒げ、ゆっくりと僕達の方へと歩み寄ってくる。
……正直に言おう。
恐怖のあまり、僕は両足が小鹿のように震えて、動かないでいた。
先程、あれだけ息巻いていたにも関わらず、身動きすら出来ない。
ただただ怖くて怖くて仕方なかったのだ。
「……皆、下がっていろ。我が何とかする」
そんな僕に反して、キルギスは前に出る。
焦りも恐怖も見せず、威風堂々と。
普段の彼とはまるで別人のような、重苦しい威圧感を放ちながら。
「そんな! キルギスくん、危ないよ」
「案ずる気持ちは分かるが、心配は無用」
キルギスの実力をよく知る先生が静止するものの、止まる気配を見せない。
そんな彼の後ろ姿は、とてもカッコよかった。
ビビリで臆病な僕とは違う、勇敢で大きな背中。
普段は貧弱なキルギスだけれど。
今この瞬間に限っては、誰よりも頼りになるヒーローのような存在に見えた。
……僕は、認識を改める。
きっと、彼は敵なんかではない。
年齢を偽っていようと、実力を隠していようと、そのような問題は些事に過ぎない。
キルギスは……ずっと最初から、僕たちの良き友人であったのだ。
そして、彼は毅然とした態度でオークと向かい合い、ゆっくりと口を開く。
「目障りだ。消え失せろ、げろ……」
その刹那、オークはキルギスを……ぶん殴った。
躊躇することなく、右ストレートで。
不意をついて飛んできた拳に耐え切れなかった彼は、ドサリと音を立てて地面に倒れ込む。
「くっくっく。中々良いこぶ……」
次は、キック。
オークは立ち上がったキルギスに、情け容赦なく飛び蹴りを浴びせる。
防御体勢を取っていなかった彼は、マンガのように豪快に吹っ飛ばされた。
「ちょ、ちょっと待て。おちつ……」
極め付けは、ジャーマンスープレックス。
痛みを堪えるキルギスの体躯をがっしりと両腕でホールドし、ブリッジをする要領で地面に叩きつけたのだ。
その衝撃を直に喰らった彼は……。
「……………………」
気絶してしまった。
全身から力が抜け落ち、泡を吹いて倒れてしまったのだ。
心なしか、口から魂のような物体が出ているようにも見える。
その様子を最初から最後まで見ていた僕達は唖然としてしまい、口を開くことすらままならない。
「暴走するオークを発見。何としても、確保しろ!」
だがしかし、キルギスの犠牲は無駄ではなかった。
身を挺して時間を稼いでくれたお陰で、警察が駆けつけてくれて、オークはあっさりと逮捕された。
僕達は、かすり傷一つ負わなかったのだ。
「怪我人発見! 直ちに運べ!」
救急隊員の人々に担ぎ上げられたキルギスは、救急車に乗せられて病院へと搬送される。
彼の付き添いとして乗車したのは、成人女性である我らが先生だった。
「ごめんねぇ、キルギスくん。私の、私のせいでこんな……酷い目にぃ……」
先生は自責の念を感じ、涙を流す。
そんな彼女に対し、キルギスくんは。
「我の力不足故に、辛い思いをさせてしまってすまない。だが、それでも、皆に怪我がなくて本当に良かった……」
そう告げて、また気絶したそうだ。
その話を後日耳にした僕は、間違いなくキルギスくんはいい人であると確信したと同時に。
10歳にしては包容力があり過ぎるので、年齢を偽っているという疑念が更に深まった。
そうして、最後に。
彼は普通の子供よりも貧弱な……最強の魔王と名前が同じなだけの魔族だったのだ。
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