異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜 作:トンコツマン
(子供たちの騒がしい声)
「うわぁぁん!やめてよロジー!」
「へっへーん!キールのよわむし~♪」
ゴン!ゴンッ!!
乾いた音が響いた次の瞬間――
「……こらぁぁぁ!!」
ドスの利いた声とともに、子供たちの前に一人の女性が仁王立ちしていた。
「ロジー!いじめるんじゃない! キールも泣いてばっかじゃどうにもならないだろ! やられたらやり返しな!」
「いてぇよカスミ母ちゃん!!」
「ひどいよカスミお母さん!ボク悪くないのに!」
「はい喧嘩両成敗!二人とも正座!」
バシッと地面を指さす。
子供たちはしぶしぶ正座した。
この女性の名前はカスミ・ババ。
血は繋がっていないが、ここにいる子供たち全員の“母親”だ。
ここはミスティの街にある孤児院。
カスミは院長として、そして母として子供たちを育てている。
厳しくて、うるさくて――でも、誰よりも面倒見がいい。
そんな彼女の物語は、ここから少しだけ遡る。
――二ヶ月前。
「……ここ、どこだい……」
真っ白な空間。
音もなく、気配もない。
「確か私は……トラックに突っ込んできた子供を助けて……」
そこで、記憶がつながる。
「ああ、そうか。死んだのかい、私」
妙にあっさりした一言だった。
四十九歳、専業主婦・馬場香澄。
人生の幕切れとしては、まあ悪くない――と本人は思っていた。
「……あの子、無事だったのかね」
「無事だよ。かすり傷で済んだ」
「――っ!?」
振り返ると、いつの間にか男が立っていた。
白スーツ。無駄に爽やかな笑顔。
「誰だいアンタ」
「神様です」
「・・・アンタ、頭大丈夫かい」
即答だった。
「ひどくない!?」
「いきなり出てきて神様名乗る方がひどいだろうよ」
神様(自称)はコホンと咳払いすると、ちゃぶ台とお茶とせんべいを召喚した。
「じゃあ証明するね。キミ、馬場香澄。49歳。専業主婦。8月8日生まれ――」
「ちょっと待てなんで知ってる!?」
「神だから」
「うわ腹立つ!」
「旦那さんは伊知郎。夫婦関係は良好。初体験は・・・」
「もういい信じる!!それ以上言うな!!」
香澄は頭を抱えた。
精神ダメージがでかい。
「で?神様さんよ。何の用だい」
「うん、単刀直入に言うね。キミ、予定外に死んだ」
「は???」
空気が一瞬で凍った。
「予定外ってなんだいコラ」
「いやほんとごめん。ちょっとした手違いで」
「軽いなオイ!!」
ちゃぶ台ひっくり返す勢いで詰め寄る。
「それにしても君の功績は素晴らしいね。だからね、お詫びに――」
神様はニッコリ笑った。
「二度目の人生、用意しました」
「……は?」
「異世界転生。最近流行りのやつ」
「いや知らないよそんな流行」
「別の世界でやり直しってこと」
「へぇ……ずいぶん気軽だねぇ」
「神だからね」
「そのドヤ顔やめな」
神様はホワイトボードを出して説明を始める。
「で、転生者には“固有スキル”が一つ――」
「もういい。分かんない」
即ギブアップ。
「早く選びなよ」
「だから分かんないって言ってんだろ!」
しかし。
その中の一枚に、香澄の視線が止まった。
「……これでいいよ」
「え、それ?マジで?」
神様が露骨に引いた。
「なんだい文句あるのかい」
「いや欲なさすぎでしょ」
「わけわからん能力よりマシさ」
「……面白いね、キミ」
神様はニヤリと笑う。
「じゃあ次は容姿ね」
「普通でいいよ」
「ほんとに?」
「ほんとに」
(……つまんないな)
神様の内心が黒く染まる。
(ちょっとくらい遊ぶか)
「それじゃあ転送するよ」
現れたのは、どう見ても電話ボックス。
「何だい?このけったいな電話ボックスは?」
「けったいゆーな!・・・入って」
香澄が中に入った瞬間――
バチィィィッ!!
「ぎゃああああああああああ!!」
「言い忘れてたけどちょっと痛いよ」
「遅いわ!!」
「じゃ、いってらっしゃーい♪」
「覚えとけクソ神ぃぃぃ!!」
――転送完了。
静寂。
数秒後。
「さてと」
神様はパソコンを開いた。
「せっかくだし容姿いじるか」
取り出したのは怪しいディスク・・・早い話がAVなわけで、しかも神様お気に入りのAV
「一度やってみたかったんだよねぇ……」
ニヤァ……
そのとき。
「アンタ、なにしてるの?」
背後に恰幅の良い女性が手をパキパキ鳴らしながら立っている
「げっ、ママ!?」
「またサボってAV鑑賞かぁ!この変態クソ神がぁぁ!!」
ドゴォッ!!
神様、吹っ飛ぶ。
プロレス技フルコース開始。
「ギャアアアアやめてぇぇ!!」
その横で――
「……はぁ」
一人の少女がため息をついた。
「しょうがないなぁ」
カタカタカタ……
「年齢は23歳。黒髪ロング。スタイル良し」
「スキルは……え、ショボ」
カタカタカタカタ!!
「5個くらい盛っとこ♪」
「こらぁ!やめろルナァァ!!」←拘束中
「まだお仕置き中だろ!!」
「はい送信~♪」
ポチッ。
ピカァァァ――!!
「アッーーーー!!(神)」
――そして一時間後。
馬場香澄は。
異世界クロノスにて――
とんでもないスペックで、第二の人生をスタートすることになる。
⸻
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「カスミ、大地に立つ! 前編」
初めての投稿です
文章能力がない中で試行錯誤を繰り返して書きました
異世界転生モノは色んな作品があるりますが、その中でも「母親」の転生モノって少ない気がします。特に「肝っ玉な母さん」は(笑)
この話は私の独断と偏見で書いてます(笑)