異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜   作:トンコツマン

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晴れて冒険者となったカスミ達
最初の依頼は『領主』の屋敷に住むクリフと言う青年に小包を届ける依頼であった


第11話 親は子供の危機に駆けつける 前編

以下のように、ギャグ色とパロディ感を抑えつつ、ラノベ風でややシリアス寄りに整えました:

 

 

冒険者となったカスミたちが最初に選んだ依頼は、領主への配達任務だった。

 

「配達って言っても……この箱の中身、何が入ってるの?」

 

アスナが小包に手をかける。その動きを見て、ワタルは慌てて制した。

 

「だ、ダメだよアスナちゃん!大事な依頼品なんだから――」

 

だが、その言葉は鋭い視線に遮られる。

 

「気にならないの?ただ運ぶだけで、この報酬よ。どう考えても普通じゃないわ」

 

「……怪しいのは同感だよ。でも、だからこそ深入りしない方がいいと思う」

 

ワタルは慎重に言葉を選ぶ。だが、アスナは小さく肩をすくめた。

 

「相変わらずね。私は逆よ。危険そうなほど気になる」

 

そう言って小包を奪おうとした瞬間――

 

「やめな!」

 

鋭い一声が飛んだ。

 

カスミだった。

 

「他人の荷物に手を出すな。好奇心だけで踏み込んでいい領域じゃない」

 

その声には、有無を言わせぬ重みがあった。

 

「……はいはい、分かったわよ」

 

軽く受け流しつつも、アスナは手を引く。

 

「で、届け先は?」

 

「この街の領主――クリフ・デルタ・ロックハートだ」

 

その名に、アスナがわずかに眉をひそめる。

 

「領主、ね……嫌な予感しかしないわ」

 

「立場的に問題を抱えてても不思議じゃないしね」

 

短い会話を交わしながら、三人はやがてロックハート家の屋敷へと辿り着いた。

 

壮麗な門構え。整えられた庭園。威圧感すら漂う建物に、ワタルは息を呑む。

 

「……さすがに立派だね」

 

「この街の支配者だ。当然だろう」

 

カスミが淡々と答える。

 

門を叩くと、やがて一人の初老の男が姿を現した。整った身なり、隙のない所作――執事であることは一目で分かる。

 

「本日はどのようなご用件でしょうか」

 

「ギルドの依頼で来ました。クリフ様への届け物です」

 

その名を聞いた瞬間、男の表情がわずかに強張った。

 

「……少々、お待ちください」

 

そう言い残し、慌ただしく屋敷の奥へと消えていく。

 

数分後――

 

現れたのは、服装の乱れた青年だった。

 

「来た来た……やっと届いたか」

 

その声音には品位の欠片もない。

 

青年――クリフはワタルから小包を乱暴に奪い取ると、値踏みするようにカスミを見た。

 

「……いい女だな」

 

露骨な視線に、空気が一瞬で冷えた。

 

「随分と無礼な人ね」

 

アスナが低く言い放つ。

 

次の瞬間、クリフの目が鋭く細まった。

 

「なんだ、その言い方は――」

 

詰め寄ろうとした、そのとき。

 

「兄さん、やめろ!」

 

背後から制止の声が響いた。

 

現れたのは、整った装いの青年と、先ほどの執事だった。

 

「クリフ様、お控えください!」

 

「……ちっ」

 

舌打ちを一つ残し、クリフは小包を抱えたまま屋敷の奥へと消えていく。

 

張り詰めていた空気が、ようやく緩んだ。

 

「申し訳ありません。私はこの地の領主、スレイ・デルタ・ロックハートと申します」

 

深く頭を下げるその姿は、先ほどの男とは対照的だった。

 

「先ほどは兄が失礼を……」

 

「気にしてないよ。仕事を終えただけだ」

 

カスミは短く言い切る。

 

執事――モンシアが、そっと袋を差し出した。

 

「どうか、この件はご内密に……」

 

だが、カスミはそれを押し返した。

 

「いらない。私たちは依頼をこなしただけだ」

 

「しかし――」

 

「問題はあんたたちで片付けな」

 

一切の迷いのない言葉だった。

 

そのまま三人は屋敷を後にする。

 

帰路、カスミは終始無言だった。

 

その横顔には、わずかな苛立ちが滲んでいた。

 

 

ギルドへ戻ると、受付に立つ人物を見てワタルが首を傾げる。

 

「あれ……リアナさん?」

 

「違うわ。私はロアナ。あの子の双子の妹よ」

 

意外な事実に驚きつつも、依頼完了の手続きを済ませる。

 

だが、受取書を見たロアナの顔色が変わった。

 

「……まさか、あの屋敷に?」

 

「ああ。問題のありそうな奴には会ったよ」

 

ワタルの言葉に、ロアナは深くため息をつく。

 

「あのクリフは有名な放蕩者よ。立場を利用して好き勝手やってる」

 

その説明を聞き、アスナがちらりとカスミを見る。

 

「……目、つけられたかもね」

 

「関係ない」

 

カスミは即答した。

 

「来るなら来ればいい。それだけだ」

 

その声音に迷いはなかった。

 

ロアナは不安げに眉を寄せるが、ワタルは苦笑する。

 

「大丈夫ですよ。この人、そういうの全然気にしないんで」

 

「……そう」

 

納得したのか、していないのか。

 

ロアナは報酬を差し出した。

 

「配達だけで二万クロノス……やっぱり桁が違うわね」

 

その重みを感じながら、三人は顔を見合わせる。

 

だが、その裏で――

 

確実に、何かが動き始めていた。

 

 

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