異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜 作:トンコツマン
最初の依頼は『領主』の屋敷に住むクリフと言う青年に小包を届ける依頼であった
以下のように、ギャグ色とパロディ感を抑えつつ、ラノベ風でややシリアス寄りに整えました:
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冒険者となったカスミたちが最初に選んだ依頼は、領主への配達任務だった。
「配達って言っても……この箱の中身、何が入ってるの?」
アスナが小包に手をかける。その動きを見て、ワタルは慌てて制した。
「だ、ダメだよアスナちゃん!大事な依頼品なんだから――」
だが、その言葉は鋭い視線に遮られる。
「気にならないの?ただ運ぶだけで、この報酬よ。どう考えても普通じゃないわ」
「……怪しいのは同感だよ。でも、だからこそ深入りしない方がいいと思う」
ワタルは慎重に言葉を選ぶ。だが、アスナは小さく肩をすくめた。
「相変わらずね。私は逆よ。危険そうなほど気になる」
そう言って小包を奪おうとした瞬間――
「やめな!」
鋭い一声が飛んだ。
カスミだった。
「他人の荷物に手を出すな。好奇心だけで踏み込んでいい領域じゃない」
その声には、有無を言わせぬ重みがあった。
「……はいはい、分かったわよ」
軽く受け流しつつも、アスナは手を引く。
「で、届け先は?」
「この街の領主――クリフ・デルタ・ロックハートだ」
その名に、アスナがわずかに眉をひそめる。
「領主、ね……嫌な予感しかしないわ」
「立場的に問題を抱えてても不思議じゃないしね」
短い会話を交わしながら、三人はやがてロックハート家の屋敷へと辿り着いた。
壮麗な門構え。整えられた庭園。威圧感すら漂う建物に、ワタルは息を呑む。
「……さすがに立派だね」
「この街の支配者だ。当然だろう」
カスミが淡々と答える。
門を叩くと、やがて一人の初老の男が姿を現した。整った身なり、隙のない所作――執事であることは一目で分かる。
「本日はどのようなご用件でしょうか」
「ギルドの依頼で来ました。クリフ様への届け物です」
その名を聞いた瞬間、男の表情がわずかに強張った。
「……少々、お待ちください」
そう言い残し、慌ただしく屋敷の奥へと消えていく。
数分後――
現れたのは、服装の乱れた青年だった。
「来た来た……やっと届いたか」
その声音には品位の欠片もない。
青年――クリフはワタルから小包を乱暴に奪い取ると、値踏みするようにカスミを見た。
「……いい女だな」
露骨な視線に、空気が一瞬で冷えた。
「随分と無礼な人ね」
アスナが低く言い放つ。
次の瞬間、クリフの目が鋭く細まった。
「なんだ、その言い方は――」
詰め寄ろうとした、そのとき。
「兄さん、やめろ!」
背後から制止の声が響いた。
現れたのは、整った装いの青年と、先ほどの執事だった。
「クリフ様、お控えください!」
「……ちっ」
舌打ちを一つ残し、クリフは小包を抱えたまま屋敷の奥へと消えていく。
張り詰めていた空気が、ようやく緩んだ。
「申し訳ありません。私はこの地の領主、スレイ・デルタ・ロックハートと申します」
深く頭を下げるその姿は、先ほどの男とは対照的だった。
「先ほどは兄が失礼を……」
「気にしてないよ。仕事を終えただけだ」
カスミは短く言い切る。
執事――モンシアが、そっと袋を差し出した。
「どうか、この件はご内密に……」
だが、カスミはそれを押し返した。
「いらない。私たちは依頼をこなしただけだ」
「しかし――」
「問題はあんたたちで片付けな」
一切の迷いのない言葉だった。
そのまま三人は屋敷を後にする。
帰路、カスミは終始無言だった。
その横顔には、わずかな苛立ちが滲んでいた。
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ギルドへ戻ると、受付に立つ人物を見てワタルが首を傾げる。
「あれ……リアナさん?」
「違うわ。私はロアナ。あの子の双子の妹よ」
意外な事実に驚きつつも、依頼完了の手続きを済ませる。
だが、受取書を見たロアナの顔色が変わった。
「……まさか、あの屋敷に?」
「ああ。問題のありそうな奴には会ったよ」
ワタルの言葉に、ロアナは深くため息をつく。
「あのクリフは有名な放蕩者よ。立場を利用して好き勝手やってる」
その説明を聞き、アスナがちらりとカスミを見る。
「……目、つけられたかもね」
「関係ない」
カスミは即答した。
「来るなら来ればいい。それだけだ」
その声音に迷いはなかった。
ロアナは不安げに眉を寄せるが、ワタルは苦笑する。
「大丈夫ですよ。この人、そういうの全然気にしないんで」
「……そう」
納得したのか、していないのか。
ロアナは報酬を差し出した。
「配達だけで二万クロノス……やっぱり桁が違うわね」
その重みを感じながら、三人は顔を見合わせる。
だが、その裏で――
確実に、何かが動き始めていた。
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「親は子供の危機に駆けつける 中編