異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜   作:トンコツマン

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美少女のゴブリンがいたっていいよね?
転スラのゴブリンだって美少女がいるんだし!


第16話 ファミリア院長カスミ爆誕

いい流れなので、テンポを整えつつ

ラノベ風+ちょいシリアス+ギャグ強化で仕上げました 

 

 

ギルドで“姐さん”と呼ばれるようになってから数時間後。

 

昼過ぎ――

カスミ、ワタル、アスナの三人は、負傷したロメロが入院している病院へと見舞いに訪れていた。

 

白い壁に囲まれた静かな病室。

ベッドの上で体を起こしたロメロが、申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「わざわざお見舞いに来ていただき、ありがとうございます。それに……孤児院の方も任せてしまって、本当に申し訳ない」

 

「構いやしないよ」

 

カスミは軽く手を振る。

 

「アンタはまず、自分の体を治すことを考えな。話はそれからだ」

 

その言葉はぶっきらぼうだが、どこか優しい。

 

ロメロは小さく微笑んだ。

 

 

しばらくして、病室に穏やかな空気が流れ始めた頃。

 

ワタルがふと思い出したように口を開く。

 

「ねえ、アスナちゃん。この世界って魔法あるよね?」

 

「あるわよ。攻撃魔法に回復魔法、あと転移とかね。まあ、ゲームみたいなもんだと思えばいいわ」

 

「だったらさ、ロメロさんの怪我も回復魔法で一発じゃないの?」

 

その言葉に、アスナはため息をついた。

 

「ワタルくん……現実はそんなに甘くないのよ」

 

「え?」

 

「回復魔法ってね、“保険が効かない”の」

 

「……はい?」

 

「軽い怪我ならまだしも、大怪我や骨折レベルになるとかなり高額。で――」

 

アスナは指を一本立てる。

 

「蘇生レベルになると、とんでもない金額になるわ」

 

「夢、壊れるなぁ……!」

 

ワタルは肩を落とした。

 

「まあ、そりゃそうか……便利すぎるもんな……」

 

 

そんな雑談の最中。

 

コンコン、とノックの音が響く。

 

「ロメロ・スペーシャルさんのご関係者ですか?」

 

入ってきたのは、白衣を着た医師だった。

 

「ああ、そうだけど」

 

カスミが応じると、医師は少し表情を曇らせる。

 

「少々……お話がありまして」

 

「……わかった」

 

カスミは静かに頷いた。

 

「ワタル、アスナ。ちょっと席を外すよ」

 

そう言い残し、医師とともに談話室へと向かう。

 

その背中を見送りながら――

 

「……なんか、ちょっと空気重くない?」

 

ワタルが小声で呟いた。

 

「まあね。でも――」

 

アスナは言いかけて、ふと視線を巡らせる。

 

「それより、さっきから気になってたんだけど……」

 

「ん?」

 

「この病院、種族バラバラすぎない?」

 

ワタルも周囲を見回す。

 

そこには――

 

肌が緑の人物。

やたら小柄な人物。

そして明らかに人間の倍はある体格の人物。

 

「……え、なにここ。ファンタジーの見本市?」

 

そこへ、ロメロが説明する。

 

「ああ、あの方々はそれぞれ別種族ですよ。緑の肌はゴブリン族、大柄なのがオーク族、小さいのがドワーフ族です」

 

――ピーヒョロロロロロ。

 

ワタルの脳内に、なぜかFAXの着信音が鳴り響いた。

 

「ちょっと待って!?ゴブリンとオークって、あのゴブリンとオーク!?」

 

「くくっ……あはははは!」

 

アスナが腹を抱えて笑い出す。

 

「いいリアクション!最高!」

 

「笑い事じゃないって!ゴブリンってもっとこう……アレだろ!?醜くて凶暴な小鬼的な!」

 

「この世界では違うのよ」

 

アスナはニヤニヤしながら言う。

 

「ちなみに私も最初は同じ反応したけどね」

 

「やっぱりかよ!!」

 

 

その時――

 

「ロメロさん、検温ですよ」

 

病室に入ってきたのは、一人の看護師。

 

薄紫の長い髪。整った顔立ち。

そして――少し尖った耳と、淡い緑の肌。

 

「どうも、サヤカさん」

 

ロメロが挨拶する。

 

ワタルは固まった。

 

再び――

 

ピーヒョロロロロロ。

 

「……アスナさん?」

 

「なによ」

 

「あの人……誰?」

 

「ゴブリン」

 

「嘘でしょ!?」

 

ワタルは思わず立ち上がる。

 

「どう見ても清楚系美人じゃん!?ただ肌が緑なだけで!」

 

「いいじゃない、美少女ゴブリン。私はアリよ」

 

「さらっと性癖カミングアウトした!?」

 

 

その騒ぎの最中――

 

「アンタら、何騒いでるんだい」

 

低い声が響いた。

 

振り返ると、カスミが戻ってきていた。

 

「ここは病院だよ。少しは静かにしな」

 

その一言で、空気がピシッと締まる。

 

「す、すみません……」

 

ワタルとアスナは素直に頭を下げた。

 

 

そして――

 

空気が変わる。

 

「……話がある」

 

カスミの声は、先ほどまでとは違っていた。

 

「ロメロ」

 

真っ直ぐに見据える。

 

「アンタ……末期の癌なんだってね」

 

――沈黙。

 

「……なんで言ってくれなかったんですか!?」

 

ワタルが思わず声を上げる。

 

ロメロは、静かに笑った。

 

「……皆さんと出会う前からです。もう手の施しようがないと……」

 

その声には、諦めが滲んでいた。

 

「孤児院も、いずれ閉鎖するつもりでした。子供たちも、別々の施設へ……」

 

「そんな……!」

 

アスナが言葉を失う。

 

「でも、それだけは避けたいんです」

 

ロメロは拳を握る。

 

「せめて、あの子たちだけでも――一緒に……」

 

そして。

 

ゆっくりと顔を上げる。

 

視線の先には、カスミ。

 

「カスミさん」

 

深く頭を下げた。

 

「どうか……ファミリアの院長を、引き継いでいただけませんか」

 

――間。

 

ほんの一瞬の静寂。

 

そして。

 

《「ああ!いいよ!喜んで!」》

 

即答だった。

 

「はやっ!?」

 

ワタルが叫ぶ。

 

「ちょっとカスミ!?もうちょっと考えなさいよ!?」

 

「何を?」

 

カスミはきょとんとする。

 

「私はもう、あの子たちの“母親”だ」

 

真っ直ぐな目で言う。

 

「だったら院長だろうが何だろうが、まとめて面倒みるさ」

 

その言葉に――

 

ロメロの目から、大粒の涙が溢れた。

 

「……ありがとうございます……!」

 

震える手で、カスミの手を握る。

 

「この場所は……私の全てなんです……!」

 

「まかせな」

 

カスミは強く握り返す。

 

「アンタの想いごと、全部引き継いでやるよ」

 

その姿は――

 

まさに“姐さん”だった。

 

 

こうしてこの日。

 

カスミは正式に――

孤児院『ファミリア』の院長となった。

 

その帰り道。

 

(ねえ、ワタル……)

 

(なに?)

 

(カスミってさ……経営とかできると思う?)

 

(……いや、戦闘特化型だよね完全に)

 

二人は同時に、同じ結論に至る。

 

((絶対トラブル起きるやつだ))

 

――その予感は、見事に的中することになる。

 

 

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『領主の責務 前編』

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