異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜   作:トンコツマン

2 / 48
異世界クロノスに転生された馬場香澄ことカスミ・ババ
右も左もわからないところに1人の青年が現れる



第1話 カスミ大地に立つ 前編

 

チュンチュン――(小鳥のさえずり)

 

カスミが異世界クロノスに転生してから、およそ十分。

 

森の中の草原、そのど真ん中で――

 

彼女は盛大に寝ていた。

 

「しょっぱい試合ですいません・・・」

 

どんな夢だ。

 

数秒後。

 

「……あれ?ここ、どこだい……?」

 

もぞもぞと起き上がり、周囲を見渡すカスミ。

 

見渡す限りの自然。木、草、空。以上。

 

そして――

 

「……ん?」

 

一瞬の沈黙。

 

次の瞬間。

 

「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!なんで私は裸なんだい!!?」

 

絶叫が森に響いた。

 

「いくら異世界でも開放的すぎるだろ!!こんなおばさんが全裸で徘徊とか、通報待ったなしだよ!!いやまず通報する人いないけど!!」

 

慌てて腕で体を隠すカスミ。

 

「ていうか寒っ!!羞恥心と物理のダブルパンチなんだけど!?」

 

そのとき。

 

背後に“気配”。

 

ビクッと振り向くと――

 

そこには、きちんと畳まれた服とブーツ、そして一枚の手紙が置かれていた。

 

「……タイミング良すぎて逆に怖いんだけど」

 

恐る恐る手紙を手に取る。

 

⸻

 

【カスミさんへ】

今日からあなたは「カスミ・ババ」として、異世界クロノスで第二の人生を送ってください。

 

追伸:転生直後は全裸スタートです。服とお金は置いておきました。

あと容姿・ステータス・固有スキルの設定はアタシがやっときました♪

 

――神様代理・ルナより

 

⸻

 

「説明が雑ぅぅぅぅぅ!!!」

 

カスミ、全力ツッコミ。

 

「“全裸スタートです♪”じゃないんだよ!!ゲームの初期装備より扱いひどいよ!!」

 

しばらくブツブツ文句を言いながらも、

 

「……まあ、服置いてくれただけマシか」

 

と現実を受け入れ、そそくさと着替える。

 

(※年齢的に着替えスピードはそこそこ早い)

 

「ふぅ……なんとか人権を取り戻したね……」

 

服を整えたカスミは、近くの池へと歩いていく。

 

そして、水面を覗き込んだ――

 

「……え?」

 

そこに映っていたのは。

 

見知らぬ美女だった。

 

「ちょ、ちょっと待て……これ、私かい?」

 

顔を近づける。動く。映る。やっぱり自分。

 

「若っ!!ていうか美人っ!!声若っ!?前の私どこいった!?」

 

頬をつねる。

 

痛い。

 

「夢じゃない……だと……」

 

さらに、自分の体を見下ろす。

 

「……あれ?」

 

数秒の沈黙。

 

「……いやいやいやいや!!ちょっと待て!!成長しすぎじゃないかいコレ!!」

 

思わず胸元を押さえる。

 

「これ絶対“盛られてる”よね!?神様か!?それともあのルナとかいう娘か!?やりやがったな!?」

 

明らかに“平均値”を超えた何かに、カスミは戦慄した。

 

「40代のときより明らかにスペック上がってるんだけど!?これが若さってやつかい!?すごいね若さ!!」

 

そのとき。

 

「……あの~」

 

後ろから声がした。

 

ビクゥッ!!

 

「み、見たかい!?今の流れ見てたかい!?」

 

振り向くと、そこには一人の少年が立っていた。

 

メガネに坊ちゃん刈り、ブレザー姿の真面目そうな少年だ。

 

「いえ、途中からです……たぶんセーフです」

「たぶんってなんだい!!」

 

少年は軽く頭を下げた。

 

「ボクはワタル・コシナカといいます。あなたも転生者ですか?」

 

「やっぱりそういうのいるのかい……」

 

カスミはため息をつきつつ答える。

 

「私はカスミ・ババ。こう見えて元は40代のおばさんだよ」

「えっ!?全然見えないですね!?」

 

「いい反応だね坊や。気に入ったよ」

 

ワタルは少し戸惑いながら話を続ける。

 

「ところで、ステータス画面は見ましたか?」

「すてーたす?」

 

完全に理解していない顔。

 

ワタルは説明する。

 

「こうやって手をかざすと――」

 

すると彼の目の前にウィンドウが表示された。

 

【名前:ワタル・コシナカ 16歳 レベル1

攻撃力12 防御力9 素早さ10 器用さ10

ツッコミ120

固有アイテム:スマートフォン】

 

「ぶふっ!!」

 

カスミ、吹き出す。

 

「あっはっはっは!!なにこの“ツッコミ120”って!!特化型すぎるだろ!!」

 

「笑わないでくださいよ!前世でよくツッコミしてたらこうなったんです!」

 

「才能の無駄遣いだねぇ!」

 

「ひどい!」

 

ワタルは咳払いして言った。

 

「それよりカスミさんのも見てみましょう」

 

言われるままに手をかざすカスミ。

 

ウィンドウが表示される。

 

【名前:カスミ・ババ 23歳 レベル1

攻撃力15 防御力11 素早さ9 器用さ52 魅力93

固有スキル:スーパー召喚 ??? ??? ??? ???】

 

「……は?」

 

「……え?」

 

二人、同時に固まる。

 

「23歳!?若返りすぎだろ!?」

「魅力93ってなんですかその数値!?」

 

「知らないよ!!勝手に盛られたんだよ!!」

 

ワタルはさらに画面を指差す。

 

「それよりこの固有スキル……普通一つですよ!?」

「だろうね!!私もそう聞いた気がする!!」

 

「しかも空欄が4つって……バグですか!?」

「いや完全にあのルナって子の仕業だね!!」

 

カスミは空を見上げて叫ぶ。

 

「聞こえてるかい神様ァァァ!!あとで請求書送るからねぇぇぇ!!」

 

そのとき――

 

ガサッ。

 

茂みが揺れた。

 

二人の動きが止まる。

 

「……今、なんか動いたよね?」

「はい……確実にフラグです」

 

ゴクリ。

 

次の瞬間――

 

影が、ゆっくりと姿を現した。

 

⸻

 

NEXT

「カスミ、大地に立つ 中編」

 

⸻

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。