異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜 作:トンコツマン
右も左もわからないところに1人の青年が現れる
チュンチュン――(小鳥のさえずり)
カスミが異世界クロノスに転生してから、およそ十分。
森の中の草原、そのど真ん中で――
彼女は盛大に寝ていた。
「しょっぱい試合ですいません・・・」
どんな夢だ。
数秒後。
「……あれ?ここ、どこだい……?」
もぞもぞと起き上がり、周囲を見渡すカスミ。
見渡す限りの自然。木、草、空。以上。
そして――
「……ん?」
一瞬の沈黙。
次の瞬間。
「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!なんで私は裸なんだい!!?」
絶叫が森に響いた。
「いくら異世界でも開放的すぎるだろ!!こんなおばさんが全裸で徘徊とか、通報待ったなしだよ!!いやまず通報する人いないけど!!」
慌てて腕で体を隠すカスミ。
「ていうか寒っ!!羞恥心と物理のダブルパンチなんだけど!?」
そのとき。
背後に“気配”。
ビクッと振り向くと――
そこには、きちんと畳まれた服とブーツ、そして一枚の手紙が置かれていた。
「……タイミング良すぎて逆に怖いんだけど」
恐る恐る手紙を手に取る。
⸻
【カスミさんへ】
今日からあなたは「カスミ・ババ」として、異世界クロノスで第二の人生を送ってください。
追伸:転生直後は全裸スタートです。服とお金は置いておきました。
あと容姿・ステータス・固有スキルの設定はアタシがやっときました♪
――神様代理・ルナより
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「説明が雑ぅぅぅぅぅ!!!」
カスミ、全力ツッコミ。
「“全裸スタートです♪”じゃないんだよ!!ゲームの初期装備より扱いひどいよ!!」
しばらくブツブツ文句を言いながらも、
「……まあ、服置いてくれただけマシか」
と現実を受け入れ、そそくさと着替える。
(※年齢的に着替えスピードはそこそこ早い)
「ふぅ……なんとか人権を取り戻したね……」
服を整えたカスミは、近くの池へと歩いていく。
そして、水面を覗き込んだ――
「……え?」
そこに映っていたのは。
見知らぬ美女だった。
「ちょ、ちょっと待て……これ、私かい?」
顔を近づける。動く。映る。やっぱり自分。
「若っ!!ていうか美人っ!!声若っ!?前の私どこいった!?」
頬をつねる。
痛い。
「夢じゃない……だと……」
さらに、自分の体を見下ろす。
「……あれ?」
数秒の沈黙。
「……いやいやいやいや!!ちょっと待て!!成長しすぎじゃないかいコレ!!」
思わず胸元を押さえる。
「これ絶対“盛られてる”よね!?神様か!?それともあのルナとかいう娘か!?やりやがったな!?」
明らかに“平均値”を超えた何かに、カスミは戦慄した。
「40代のときより明らかにスペック上がってるんだけど!?これが若さってやつかい!?すごいね若さ!!」
そのとき。
「……あの~」
後ろから声がした。
ビクゥッ!!
「み、見たかい!?今の流れ見てたかい!?」
振り向くと、そこには一人の少年が立っていた。
メガネに坊ちゃん刈り、ブレザー姿の真面目そうな少年だ。
「いえ、途中からです……たぶんセーフです」
「たぶんってなんだい!!」
少年は軽く頭を下げた。
「ボクはワタル・コシナカといいます。あなたも転生者ですか?」
「やっぱりそういうのいるのかい……」
カスミはため息をつきつつ答える。
「私はカスミ・ババ。こう見えて元は40代のおばさんだよ」
「えっ!?全然見えないですね!?」
「いい反応だね坊や。気に入ったよ」
ワタルは少し戸惑いながら話を続ける。
「ところで、ステータス画面は見ましたか?」
「すてーたす?」
完全に理解していない顔。
ワタルは説明する。
「こうやって手をかざすと――」
すると彼の目の前にウィンドウが表示された。
【名前:ワタル・コシナカ 16歳 レベル1
攻撃力12 防御力9 素早さ10 器用さ10
ツッコミ120
固有アイテム:スマートフォン】
「ぶふっ!!」
カスミ、吹き出す。
「あっはっはっは!!なにこの“ツッコミ120”って!!特化型すぎるだろ!!」
「笑わないでくださいよ!前世でよくツッコミしてたらこうなったんです!」
「才能の無駄遣いだねぇ!」
「ひどい!」
ワタルは咳払いして言った。
「それよりカスミさんのも見てみましょう」
言われるままに手をかざすカスミ。
ウィンドウが表示される。
【名前:カスミ・ババ 23歳 レベル1
攻撃力15 防御力11 素早さ9 器用さ52 魅力93
固有スキル:スーパー召喚 ??? ??? ??? ???】
「……は?」
「……え?」
二人、同時に固まる。
「23歳!?若返りすぎだろ!?」
「魅力93ってなんですかその数値!?」
「知らないよ!!勝手に盛られたんだよ!!」
ワタルはさらに画面を指差す。
「それよりこの固有スキル……普通一つですよ!?」
「だろうね!!私もそう聞いた気がする!!」
「しかも空欄が4つって……バグですか!?」
「いや完全にあのルナって子の仕業だね!!」
カスミは空を見上げて叫ぶ。
「聞こえてるかい神様ァァァ!!あとで請求書送るからねぇぇぇ!!」
そのとき――
ガサッ。
茂みが揺れた。
二人の動きが止まる。
「……今、なんか動いたよね?」
「はい……確実にフラグです」
ゴクリ。
次の瞬間――
影が、ゆっくりと姿を現した。
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NEXT
「カスミ、大地に立つ 中編」
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