異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜 作:トンコツマン
長女『アヤカ』次女『カヤカ』三女『サヤカ』の美人3姉妹で元盗賊と言う設定にしたら、キャッツアイみたいで面白いかも(笑)
➖商店街➖
一見すると、どこにでもある普通の商店街――
だが、ここはそうではない。
ここは異世界《クロノス》の商店街である。
精肉店、鮮魚店、青果店、屋台、宿屋、武器屋、魔法屋、雑貨店、酒場、薬種商、畜産商、魔導具店と、生活に必要な店は一通り揃っている。
さらに商店街から少し離れた場所には学校と病院まであり、この一帯だけで人々の暮らしが完結するようになっていた。
そして、この商店街の最大の特徴は――
店を営む者たちが、人間だけではないということだ。
エルフ族、亜人族、獣人族、ドワーフ族、オーク族、ゴブリン族など、多種多様な種族が当たり前のように肩を並べて商売をしている。
「さあ、レッドブルの肉が入ったよ!買うなら今だよ!」
「生きのいい魚あるよ!」
「リンゴとブドウ、トマトとレモンが安いよー!」
威勢のいい呼び込みの声が飛び交い、通りは人で溢れ返っていた。
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「以前も来たけど、この時間の商店街は賑わってますね。最初に来た時は人間以外の種族を見てびっくりしたけど」
ワタルが周囲を見渡しながら言う。
「私も同じよ」
アスナが腕を組んで頷く。
「特にオークとゴブリンには漫画やゲームのイメージしてたから、この世界だと全く違ってたものね」
少し考えるようにして続ける。
「オークは体は人間より二~三倍大きくて、顔はゴツめで牙があっただけで豚みたいな顔してなかったし」
「ゴブリンなんて肌が緑色なだけで、他は人間と変わらないもんね」
その会話に、カスミが呆れたように口を挟む。
「アンタ達は架空のものの常識を鵜呑みにしてただけだろ? 実際の人物とは異なってるんだよ」
そして、さっと話題を切り替える。
「それよりも今夜の夕飯の材料はどうするんだい? 無駄話してる暇はないよ」
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カスミ達が夕飯の買い出しをしていると、ひとりの女性が近づいてきた。
「もしかしてカスミさんですか?」
「ん? おや、アンタは確か!」
「あっ! サヤカさん!」
カスミに声を掛けてきたのは、ロメロが入院していた病院で看護師をしているゴブリン族の女性――サヤカだった。
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「久しぶりだね。アンタも買い物かい?」
「ええ。私も連れと一緒に買い物でして」
サヤカは柔らかく微笑む。
「カスミさんも毎日大変ですね」
「私は好きでやってる事だしね」
カスミは即答する。
「あの子たちは私が守ってやらないといけないから」
その言葉に、サヤカはくすりと笑った。
「ふふふ。まさに『母は強し』ですね。私もカスミさんの様な母親になれるかしら」
「それはアンタ次第だね……って言う事はサヤカには良い人がいるんだね?」
カスミがニヤリと笑う。
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その返答を聞く前に、サヤカに声を掛ける男が現れた。
「サヤカ待ったかい? やっと解放されたよ。あの人は退院した後も話が長くて参ったよ」
「お疲れ様ライナー。ほんとよね。あの人の話の長さは看護師の中でも有名だったもの」
「ライナー? アンタ、ライナーって言うのかい? ロックハート家の?」
「はい。僕の名前は『ライナー・デルタ・ロックハート』です」
そして深々と頭を下げた。
「もしかして、あなたがカスミさんですか? 話はスレイ兄さんから聞きました。クリフ兄さんの件はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
だがカスミはそれを止める。
「待ちな! あの件の事は既に解決してるんだ。アンタまで謝る必要はないよ」
そして続ける。
「クリフも今までのことを悔い改めて罪を償おうとしているんだ。だからそれでいいじゃないか」
「あのクリフ兄さんが……わかりました」
ライナーは静かに頷いた。
「ライナー、そろそろ」
「そうだね。すいません、僕達はこれで失礼します」
ライナーとサヤカは一礼してその場を去った。
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「サヤカさんって相変わらず綺麗よね」
アスナが感心したように言う。
「ウェーブの掛かった長い髪に綺麗な瞳、そして何より落ち着いた佇まいが素敵よね。しかも、あれがゴブリンなんだもん。まさに美女ゴブリンね」
商店街を見渡せば、美少女のオークやゴブリン、さらにはイケメンのオークやゴブリンの姿もちらほらと見受けられる。
もちろん、獣人やエルフ、ドワーフも普通に歩いている。
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「そう言えばライナーさんとサヤカさん一緒に居たけど、もしかしてあの二人って付き合ってるのかな?」
「人間とゴブリンのカップルねぇ、異世界でしか見れない風景かもね」
すると――
「別に珍しいことでもないよ」
突然、声をかけてきたのは、恰幅の良いオークの女性だった。
「この世界では同じ種族同士だけじゃなく、別の種族同士が一緒になるのはよくあることだよ」
「かくいうアタシもそうなんだけど」
⸻
「こんにちはダンプ、景気はどうだい?」
「ぼちぼちさね。亭主も頑張っているからアタシも頑張らないとね。子供も三人いるし」
「カスミさん、その人は?」
「彼女は『ダンプ』。『ホーク』の奥さんだよ」
「『ホーク』ってあのパイナップル頭のことね?」
その瞬間――
「あっはっはっはっは!」
ダンプが大笑いした。
「パイナップル頭と来たかい! お嬢ちゃん面白いこと言うね!」
バンバンとアスナの背中を叩く。
「ちょ! ちょっと! 痛い! 痛いってば!」
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「カスミ、あんたの連れは怖いもの知らずだね」
ダンプが笑いながら言う。
「亭主は自分の頭をパイナップルって言われるとすぐにキレるからね。みんな恐れて言わないんだよ」
アスナはやれやれと言った顔で言う。
「ダンプさん、私にだって怖いものくらいあるわよ」
そして、少し間を置いて――
「私が恐れているものは……カスミよ」
場の空気が止まる。
「曲がったことが嫌いなせいか、いつも口より先に手が出るの! しかも、それが他人であろうと容赦なくやるのよ!」
さらに畳みかける。
「この間だって貴族相手にビンタしたんだから! アレは最早、オニババよ!」
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「ほう。誰がクサレオニババだって?」
背後から低い声。
振り返ると――カスミが立っていた。
指を鳴らしながら、笑顔で。
「しまった! 聞かれた! 逃げ――って何? このプレッシャーは!?」
足がすくむ。
黒い圧。
「ぎぃにゃぁぁぁぁぁ!!」
次の瞬間、コブラツイスト。
商店街中に断末魔の悲鳴が響き渡った。
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「あれって新しいファミリアの院長だろ?」
「カスミさんだろ? この前凶悪犯を懲らしめたっていう」
「俺が聞いた話だと、あのロックハートの腐れ長男のクリフを改心させたとか」
「あのアホ貴族を!? すごいわね!」
カスミ達の騒ぎを聞きつけて、通行人や各店の従業員たちが寄って来た。
「うわっ! 急にカスミさんに人だかりが!」
「亭主達や冒険者連中が噂を広めたんだよ。めちゃくちゃ強くて美人の女がいるってね」
「確かにあんなに強くて超絶美人なら、みんな興味を持ちますもんね」
「ただ強くて美人だから、みんな惹かれてるわけじゃないと思うけどね」
ワタルが静かに言った。
「カスミにはカリスマがあると思うよ」
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➖魔界 魔王城 応接間➖
ここはクロノス大陸とは別次元に存在する世界――《魔界》。
魔界には、魔王を始めとする魔族達が住んでいる。
魔族は人間とは異なり、基本的に目の色は緑、肌は紫色、耳は尖っている種族である。
ゴロゴロォォ……。
雷雲が空を覆う中、魔王城の応接間では四人の魔族がテーブルを前に座っていた。
一人目は、青色のボサボサ頭をした少年。
長い前髪が目元を完全に覆い隠しており、その表情は読み取りにくい。
だが、口元に浮かぶ笑みだけが、かえって不気味さを際立たせていた。
名は――ファンク。
二人目は、ピンクと黒のグラデーションカラーのツインテールを揺らす少女。
愛らしい見た目に反して、その瞳には人を小馬鹿にしたような危うい光が宿っている。
名は――サキ・スターライト。
三人目は、スキンヘッドに筋骨隆々の肉体を持つ大男。
椅子に座っているだけでも圧迫感があり、その巨体はまるで岩のようだった。
名は――ビガロ。
四人目は、白と黒のツートンカラーの長髪を持つ、整った顔立ちの青年。
物腰は柔らかいが、その目は冷徹で、常に相手の腹の内を測っているような鋭さがあった。
名は――ランディ。
この四人こそ、魔王軍を支える“四天王”である。
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「それで、クリフとか言う下級貴族は失敗したんだね」
最初に口を開いたのは、青い髪で目を隠した少年――ファンクだった。
少年らしい高めの声色。
だがその声音には、底冷えするような冷たさが混じっている。
「はい。あの人間は思っている以上に愚かな奴でした。我々と繋がりを持ったことで、すっかりつけ上がっていたようです」
ランディが淡々と答える。
「きゃはははは! ナニそれぇ! 超ウケる!」
サキが楽しそうに笑い転げる。
「ワタシらと知り合ったからって、自分も偉くなった気でいたんだね。ほんっと馬鹿な人間!」
「全くだ!」
ビガロが鼻を鳴らす。
「だから人間なんぞに力を貸すからだ!」
だが、ランディは静かに首を振った。
「違いますよ。人間と言うより、ただの人選のミスです」
そして、わざとらしく視線を横へ流す。
「いくら利用するとは言え、あんな田舎街の性欲中毒の下級貴族を選んだのが間違いだったんですよ。ねぇ? ファンクさん」
⸻
バンッ!!
ファンクがテーブルを思い切り叩いた。
「その含みのある言い方……僕に喧嘩を売ってるの?」
目元は髪で隠れている。
それなのに、はっきりと分かるほど空気が冷えた。
「ちょっと! 何すんのよ! 紅茶がこぼれるでしょ、ファンク!」
サキが文句を言う。
「そんなつもりはありませんよ」
ランディはあくまで平然としていた。
「ただ、『魔王様』から課せられた命令は確実に遂行しないといけませんからね」
「だから、あのクリフに下級悪魔だと思わせて、上級悪魔の『召喚紙』を与えたんじゃないか」
ファンクが苛立ちを隠さず言い返す。
サキはテーブルの上に置かれていたマカロンをつまみ、紅茶を一口飲んでから、にやりと笑った。
「それで、あの結果だったのぉ?」
わざとらしく首を傾げる。
「あれだけ『僕のアビスデーモンは強いから問題ない』って言っておいてねぇ」
「サキ! お前もカンに触るやつだな!」
ファンクの声が尖る。
「僕のアビスデーモンが弱いとでも言うのか!」
「あれれぇ? そう聞こえなかったかしらぁ?」
サキはくすくす笑いながら、挑発するように肩をすくめた。
「アンタ馬鹿ぁ♪」
「このクソアマ! 上等だ! ぶっ殺してやる!」
ファンクの手の中に杖が現れる。
直後、周囲の魔力がざわりと揺れた。
それに応じるように、サキもまた片手に魔力を込め、魔法を放つ体勢に入る。
空気が張り詰める。
一触即発――
その瞬間。
「やめないか!」
サキの隣に座っていた大男、ビガロが大声で二人を制した。
その声は、部屋そのものを震わせるほど重かった。
「……しかし、これは由々しき事態だ」
ビガロは険しい表情のまま続ける。
「利用したとは言え、下級貴族にアビスデーモンを使わせたのに、そのアビスデーモンがこうもあっさりと倒されるとは予想もしていなかったぞ」
ランディは懐から一枚の写真を取り出し、静かにテーブルへ置いた。
「また転生者のようです」
その言葉に、その場の空気が一変する。
「あの勇者『カズチカ』と同じく、日本と言う世界から転生された『カスミ・ババ』と言う名前の女です。現在は、あの田舎街ミスティで孤児院の院長をやっているそうです」
他の三人が写真を見る。
そこには、堂々と立つカスミの姿が写っていた。
「ほう。美人だな。そしてスタイルも良さそうだ」
ビガロが率直な感想を漏らす。
「本当だ! おっぱいでけー! 一体何センチあるんだ?」
ファンクが年相応の無邪気さにも似た口調で食いつく。
「ファンクもビガロも何処見てんのよ」
サキが呆れたようにため息をつく。
「まあ、美人なのは認めるけど」
ランディはリモコンのような魔導具を取り出してスイッチを押した。
すると壁際に大きなモニターが現れ、映像が映し出される。
「これが彼女の今までの戦いの映像です」
映し出されるのは、カスミの戦闘記録。
どの戦いでも、相手は一撃で沈められていた。
「どの戦いも相手を一撃で倒しています。この中には凶悪犯も含まれ、先日のアビスデーモンもご覧の通り、一撃でした」
「これは……プロレスじゃないか」
ビガロが眉をひそめる。
「という事は、今まで相手を素手で倒したってことか?」
「へぇ♪ 面白いじゃない♪」
サキの目が妖しく輝く。
「私と同じスタイルだわ! これは戦う日が楽しみね!」
「彼女の事は、まだ不明の部分が残っています」
ランディはモニターから目を離さず言った。
「そこは今、私の部下が調べています」
すると――
「クククククっ……! あっはっはっはっは!」
突然、ファンクが笑い出した。
先ほどまでの苛立ちとは違う。
ぞくりとするほど楽しげな笑いだった。
そして勢いよく席を立つ。
「悪いけど、一番乗りは僕がもらうよ!」
青いボサボサ髪を揺らしながら、ファンクは扉の方へ向かう。
「あの女とは、いち早く会ってみたい! いいだろ? お前たち?」
しかし、ファンクは三人の返事を待たなかった。
そのまま応接間を飛び出して行く。
扉が乱暴に閉まる音だけが残った。
しばしの沈黙。
それを破ったのは、ビガロだった。
「サキ、いいのか? こういう場合、お前ならいの一番に行きたがるだろ?」
「いいわよ、別に」
サキは気だるげに肩をすくめる。
「早く行けばいいってものでもないしね。一番手は、あのお子ちゃまに譲るわ♪」
そう言って立ち上がり、部屋の入り口まで歩く。
そしてくるりと振り返り、ドヤ顔で言い放った。
「この『サキ・スターライト』は、冷静に相手を分析して、相手を倒す為に己を鍛え直して戦いに挑むのが常道よ!」
そこまで言ってから、にぱっと笑う。
「……っと言うワケで、遊びに行ってこようっと♪」
そう言いながら、サキは鼻歌まじりに走り去っていった。
再び扉が閉まる。
残されたのは、ビガロとランディの二人だけだった。
「何が『常道よ!』だ。言ってることとやってることが違うだろ」
ビガロが呆れたように吐き捨てる。
ランディはそんな彼のぼやきを軽く流しながら、静かに問いかけた。
「それはそうとビガロさん。この事は、魔王様には知られていないんですよね?」
「ああ」
ビガロは短く答える。
「あの方は今、別荘の方でのんびりとくつろいでおられるそうだ」
「そうですか。それはよかった」
ランディは小さく息を吐いた。
だが、その声音には安堵だけではない、張り詰めたものが混じっていた。
「こんな失態、あの方に知られては――我々四天王の面目が丸つぶれですからね」
窓の外では、雷が空を裂く。
その光が、冷え切った応接間を一瞬だけ白く染めた。
今この時も、カスミ達の知らぬ場所で、確実に何かが動き始めている。
それはまだ、序章に過ぎなかった。
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NEXT
「魔導具と前世の宿敵 前編」
杉田智和がやりそうなキャラクターが必要かな?