異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜 作:トンコツマン
決して『坂田銀時』じゃありません!
決して『杉田智和』のようなキャラを意識しました(笑)
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「まずは順を追って説明するわね。レガイア王国の王都って、この街よりずっと広いのはわかるでしょ? しかもね、何軒かは更地のまま残ってるの。そのうちの一区画を借りられるってワケよ」
「珍しいですね。王都なのに更地があるなんて」
「ここ10年くらい、魔族の襲撃が続いててね。襲撃のたびに建物が壊されて、更地になって……それの繰り返しだったのよ」
「それじゃあ、カスミが王都で商売しても、魔族に襲われたら意味ないじゃない」
「その点は心配いらないわ。王国もちゃんと対策してて、強力な魔法結界を張ってるから安心よ」
そう言いながら、カスミは新しくお茶を淹れてフユキに差し出した。
「それで? フユキはなんで私に王都での商売を持ちかけたんだい?」
「あのね、もともとは別の知り合いに紹介する予定だったの。でもその人がミスティに住んでるから、ロメロの墓参りついでに訪ねようとしたんだけど……まさかのドタキャン」
「ドタキャンかい」
「そう。で、ちょうどそのタイミングであなたと遭遇したってワケ。王都には不動産やってる友人がいるから、そのツテを使えば話は早いのよ」
フユキは一枚の紙を取り出した。
そこには――
『土地賃貸借契約書』と大きく書かれている。
カスミがさらさらと必要事項を書き込んでいると、フユキが「あっ」と何かを思い出したように口を開いた。
「そうそう! その友人なんだけどね――彼女もあなた達と同じ“転生者”なの。名前はナツコ・ナカノ。前世ではプロレスラーだったらしいんだけど……カスミさんなら知ってるんじゃない?」
「ナツ姉も転生してるのかい!? キョウコに続いて!?」
「ナツコ・ナカノ……って、まさか――“ベアー中野”!?」
「またカスミさんの知り合い!? っていうかアスナちゃん、相変わらず食いつきすごいね……」
「ナツ先輩はね、前世で私が所属してた『出口プロレス』の先輩レスラーなのよ」
カスミは湯気の立つお茶をすすりながら、懐かしそうに目を細めた。
――あの頃は、若かった。いや今も若いけど、精神的にね。
そんな余韻に浸るカスミを、フユキがじっと観察する。
「やっぱり知り合いだったのね。ナツコから聞いてたのよ。なんでも、レスラー時代に“手の付けられない後輩”がいたって……」
(……嫌な予感しかしない)
「もしかして、それって――カスミさんのこと?」
「ぶふっ!?」
見事に図星だったのか、カスミはお茶を盛大に吹き出し、そのまま気管に入ってむせ返る。
「げほっ! げほっ! フユキ……ナツ姉、何を吹き込んでるんだい!? たしかにちょっと気性が荒かったのは認めるけどね!?」
(※ちょっとどころではない)
「それより! この契約書を書いた後は何をすればいいんだい!?」
話題を強引にねじ曲げるカスミ。
「あら失礼。あとはレガイア王都に行って、ナツコ本人と直接契約してほしいの」
「そういえば……レガイア王国ってどこにあるんですか?」
「ここからだいたい500キロ先ね」
「遠っ!?」
思わず素でツッコむアスナ。
「さすがにこの家を長期間、子ども達だけにするのは無理だよ……」
普段はミスティ内での活動が中心だったため、ファミリアを空けることはできても長距離移動となると話は別だ。
断ろうとした、その瞬間――
フユキが「大丈夫よ」とでも言いたげにニヤリと笑った。
「安心して。この街の中心に小さな宮殿があるでしょ? そこに“転送装置”があるの」
「転送装置?」
「この大陸中の国に一瞬で移動できる魔導装置よ。お金はかかるけどね」
「それ知ってる! でも確か、特別な許可証か冒険者カードがないと使えないんじゃなかった?」
「ええ、その通り。でもあたしも今日、それでレガイアから来たのよ。あなた達、冒険者でしょ? なら問題なしね」
――話は一気に加速した。
そして、それから三日後。
カスミ達はレガイア王都へ向かうことになる。
目的は――地主であり、前世の先輩レスラー。
『ナツコ・ナカノ』との再会だ。
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➖レガイア王都・某所➖
ここは王都の中でも、特に治安が悪いと噂される区域。
昼間だというのに、空気はどこか淀み、妙にピリついている。
そんな場所に――
数人の若者達が、だらけきった様子でたむろしていた。
「最近、面白いことねぇなぁ。暇だし……なんか事件でも起こすか?」
「いいねぇ! じゃあ、どこかの壁に落書きでもする?」
「バカかお前! この前ガスパがそれをやってたら巡回中の騎士団に捕まったのを忘れたのか!?」
「じゃあ普通に盗みとか?」
「それもブーバが天井から侵入しようとして、天井にハマってそのまま騎士団に回収されたろ!?」
「はははっ、あいつデブだからな……ってゆーか、ロクなことしてねぇな、俺ら」
「ところでさ、“兄貴”は?」
――ガサッ。
その時、背後の物陰から一人の男が姿を現した。
身長は180ほど。銀色のリーゼント。
だが――
その目は、まるで死んだ魚のように光を失っている。
圧倒的な“ダメなオーラ”をまとった青年だった。
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間抜けな不良グループ 前編