異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜 作:トンコツマン
突如、カスミたちの前に現れた一人の少女。
黒いとんがり帽子に黒マント。長い黒髪を揺らし、青いローブを身にまとっている――どう見ても“それっぽい”装備である。
「おおっ!我が妹『マスミ』!どうしたでござるか!?」
「どうした?じゃないよ!!約束の時間に来ないから探しに来たら、こんなところで知らない人とケンカしてるし!……ていうか、この人たち誰なの!?」
「アスナちゃんも気づいた?」
「うん。あの子、絶対“意識してる側”よね」
ダイチの妹・マスミは、完全にブチ切れモードで兄を睨みつけていた。
「すまん!すまん!ラルフ隊長から聞いていたカスミ殿と、ここでばったり会ったのでござる!この美人がカスミ殿、そしてこちらが腰巾着1号2号でござる!」
「誰が腰巾着1号2号だぁ!!」ワタル&アスナ
――次の瞬間。
左右からのラリアット。
必殺・クロスボンバーが炸裂した。
「うぃ……うぃーたー……ぐふっ……」
ダイチ、即死(気絶)。
「お、お兄ちゃん!?ちょっと!あんたたち何やってるのよ!?……っていうか、何者なのよ!?」
マスミは怒りを露わにするが――
ワタルたちの怒りも、まだ終わっていなかった。
「あぁん?何者だぁ?人の名前聞く前に、自分から名乗るのが礼儀だろうが!」
「そうよ!ちゃんと“自己紹介”しなさいよね、“自己紹介”を!!」
「ぬっ……!わ、私はマスミ・ミサワと申す……冒険者である!」
――ガシッ。
次の瞬間、アスナが無言で胸ぐらを掴む。
横ではワタルが低音ボイスでプレッシャーをかける。
「おい……ナメてんのかコラぁ……?」
「私たちを騙せると思った?甘いのよ」
「格好は若干違うが……黒いとんがり帽子!謎の肩パッド入り黒マント!そしてその青いミニスカローブと杖!!」
二人は同時に指を突きつけ――
「それ、どう見ても――『このすば』のめぐみんだろ!!」
場の空気が震えた。
「しかも何よその中途半端なコスプレ!めぐみんをなんだと思ってるの!?好きなんでしょ!?だったらちゃんとやりなさいよ!!」
「そ、それは……」
「なんで見た目は中途半端なのに声だけは完全に高橋李依なんだよ!!無駄に再現度高ぇな!!」
「あと自己紹介!あの“厨二全開のやつ”やりなさいよ!当然“めぐみん仕様”でね!!」
「えっ!?“アレ”やるの!?こんな人前で!?」
ざわ……ざわ……
周囲の視線が一斉に集まる。
マスミは完全に逃げ場を失った。
「……わ、わかったわよ!やるから!だからその圧やめて!!あれリアルでやると死ぬほど恥ずかしいのよ!!」
観念したマスミは、ポケットから眼帯を取り出し――
左目に装着。
(いや逆だろ!!)ワタル&アスナ(心のツッコミ)
しかも刺繍、よく見ると十字架じゃなくて医療マーク。
致命的である。
軽く咳払いし、ポーズを決め――
高橋李依ボイス(無駄に完成度高い)で叫ぶ。
「我が名はますみん!アークメイジを生業とし――最強の攻撃魔法『雷霆(らいてい)魔法』を操る者!!」
――沈黙。
「……は?」
「……なんだ今の」
ワタルとアスナ、完全にフリーズ。
だがすぐに復帰し、再び詰め寄る。
「おかしいだろ今の!!」
「そうよ!!なんで“アークウィザード”じゃなくて“アークメイジ”なのよ!!しかも爆裂魔法どこ行った!?」
「それに眼帯左目!!完全にミスってんだろ!!」
「これじゃあただの“めぐみんのパチモン”じゃねぇか!!」
「!!!!!!」
マスミの目に涙が浮かぶ。
そして――
爆発した。
「しょうがないじゃない!!私だってめぐみん推しなのよ!!ちゃんとやりたかったの!!アークウィザードになりたかったの!!爆裂魔法撃ちたかったの!!」
杖をぶんぶん振り回す。
情緒、完全に崩壊。
「なのに転生時の設定で、“そのままは著作権アウト”って止められて!!見た目だけ似せて、スキルは“人気だから品切れ”って言われて!!」
「ソシャゲかよ」
「だから仕方なく雷魔法にしたのよ!!」
そして膝から崩れ落ちる。
完全なるOTL。
「転生して冒険者デビューしたら……言われたのよ……“パチモン”って……!!」
ガン!ガン!(地面パンチ)
「しかも、お前の“価値は声が高橋李依に似てるだけ”って!!」
(それはそう)ワタル&アスナ
ガン!ガン!
地面にヒビが入る。
「この眼帯だって!似てると思って買ったのに!!よく見たら医療マークだったのよ!!」
(やっぱりかよ)ワタル&アスナ
「誰もパーティー組んでくれないし!!」
(だろうね) ワタル&アスナか
「大体!!」
――ドンッ!!
地面にクレーター。
「異世界転生者なんて、みんなパチモンみたいなもんじゃない!!」
空気が凍る。
「……あ、なんかヤバいスイッチ入ったわね」
「うん、これ絶対やらかす流れだ」
その瞬間。
マスミが、にやりと笑った。
「ふふふ……そうよ……パチモンって言うやつは……」
杖を構える。
青い魔力が集束していく。
「全員ぶち殺せばいいのよ!!」
「「えっ」」ワタル&アスナ
完全にロックオン。
逃げ場、なし。
周囲には人だかり。
さらに――
「ギンガの兄貴!なんか面白そうっすよ!」
「っておい!あれマスミじゃねぇか!!」
「なんだと!?あのパチモン女!!」
不良グループまで参戦。
状況、最悪。
その頃マスミは――
すでに詠唱開始。
「ライトニング・エクス――」
――次回へ続く。
NEXT:間抜けな不良グループ 後編