異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜   作:トンコツマン

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ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ!発情期ですかコノヤロー!は名(迷)セリフですよね(笑)


第30話 間抜けな不良グループ 後編

「ライトニング……」

 

その一言で、空気が張り詰めた。

 

「ゲゲェー!? ほ、本当に撃つ気だ!? ダイチさん! 兄なんだから何とかしてくださいよ!」「無理でござる! ああなったマスミは止まらぬでござる! かくなる上は——」

 

ダイチは勢いよく籠手を外した。

 

「——吾輩の右腕に宿りし黒竜で止めるしかないでござる!」

 

包帯をほどく。

 

現れたのは——お世辞にもうまいと言えない落書きで描かれた″くたびれたトカゲ”

 

「ダイチさん、それ……」

「フッ……見抜いたでござるな。この黒竜は——」

「いやトカゲでしょ!? しかも落書き! なんで額に目を増やしたの!?」

 

ダイチは腕を突き出す。

 

「邪眼の力を舐めるなよ——!」

 

ゴンッ!!

 

「げふぅっ!?」

 

即終了。

 

「往来で何やってんだい!」

 

カスミの拳骨が炸裂した。

 

その直後——マスミの魔法が完成する。

 

「……エクスプロージョン!!」

 

雷球、発射。

 

「撃ったぁぁぁ!!」

 

その瞬間、ダイチが立ち上がる

 

「まだでござる!! 」

 

ビシィッ!!

 

両手を広げる。

 

「これぞ吾輩の最高の必殺技(フェイバリット)!」

 

「ヘルッ!!」

 

右手を掲げる。

 

「アンドッ!!」

 

左手を掲げる。

 

「ヘ……」

 

——ドゴォォォンッ!!

 

「やめんかさっきから!!」

 

アスナのフライングクロスチョップが、ダイチの背中に直撃した。

 

「うぃーたぁ!」

 

ダイチは地面にめり込んだ。

 

「今いいところだったでしょ!?」

「いや絶対スベる流れだったから止めたのよ!」

 

「吾輩の必殺技がぁぁぁ……!」

 

そんなダイチを完全に無視して、カスミは前へ出た。

 

手にした巨大フライパンを、まるでバットのように構える。

 

「ちょっ!? あれ打ち返す気!?」

「……ああ、これはいけるやつね」 

「うん。いつものカスミさんだ」

 

次の瞬間——

 

カキィィィィィン!!

 

雷球は、カスミのフルスイングによって見事に打ち返された。

 

青白い光の塊は王都の空へ一直線に舞い上がり——

 

ドォォォォォン!!

 

上空で閃光となって弾けた。

 

一瞬の静寂。

 

そして——

 

「ええええええええええええええ!?」

 

王都中の住民たちが、同時に叫んだ。

 

「今の何!? 魔法をフライパンで打ち返した!?」

「あれフライパンじゃなくて、フライパンの形をした鋼の棍棒だよ!」 

「いや、もう理屈が分からん!」

 

騒然とする住人たちの中で、ギンガだけが違っていた。

 

彼は目を見開き、肩で息をしながらマスミを睨みつけている。

 

「オイ……マスミ……!」

 

当のマスミは、強力な魔法を放った反動で魔力を使い切ったのか、杖を支えにしてフラフラと立っていた。

 

「この間はずいぶんと……!」

 

ギンガがマスミに詰め寄ろうとした、その時だった。

 

ゴンッ!!

 

ギンガよりも先に、カスミの拳骨がマスミの頭に落ちた。

 

「いったぁぁぁい!?」

 

「このバカもん! こんな天下の往来で何やってんだい! 理由を言いな!」

 

「だって! みんながわたしをパチモン呼ばわりするから!」

 

「言い訳すんじゃない!」

 

ゴンッ!!

 

「二発目ぇぇ!? 理不尽! 完全に昭和の母ちゃんじゃない!」

 

「ああ、母ちゃんやってるよ! それが何か?」

 

カスミはマスミに詰め寄り、ギロリと睨んだ。

 

「な、何よ……。怪我人は出なかったんだから、いいじゃない……」

 

「そういう問題じゃないだろ」

 

「え……?」

 

カスミは、さらに一歩近づく。

 

その迫力に、マスミは思わず生唾を飲んだ。

 

「私が言いたいのはね——」

 

周囲の空気が張り詰める。

 

誰もが思った。

 

人前で危険な魔法を撃ったことを叱るのだ、と。

 

しかし——

 

「人が多いところであんな曲芸を使ったら、近所迷惑だろうが!!」

 

(そこォォォォォ!?)

 

王都の住人たちが、一斉に心の中でツッコんだ。

 

「近所迷惑って……いや、他にもあるでしょ!?」

「爆発したよ!? 空で爆発したよ!?」

「この人、怒るポイントおかしくない!?」

 

だがカスミは真顔だった。

 

マスミも真顔で固まっていた。

 

「え……そこなの?」

「そこだよ!」

 

「いや、もっと重大なことあるでしょ! 魔法とか! 爆発とか!」

「それはもう打ち返しただろ」

「フライパンで解決した扱い!?」

 

その時——

 

「おい、マスミ……!」

 

ギンガが二人の間へ割って入ってきた。

 

「てめぇ……この前はよくも俺に赤っ恥かかせてくれたな……!」

 

「げっ……ギンガ……」

 

「覚悟しろよ。今日はただじゃ——」

 

興奮したギンガがマスミの肩を掴もうとした瞬間、カスミがその手を払いのけた。

 

パシィッ!!

 

「アンタ、女の子相手に何する気だい?」

 

「あぁ? テメェは……さっきのフライパン女か」

 

ピキッ。

 

カスミのこめかみが鳴った。

 

「誰がフライパン女だって?」

 

「フライパン持って暴れてたらフライパン女だろうが!」

 

「ほう……言うじゃないか」

 

空気が一気に物騒になる。

 

「まさかとは思うが、私に喧嘩を売ってるのかい?」

「上等だ。女だからって容赦しねぇぞ」

 

「いい度胸だね。私は誰の挑戦でも受けるよ」

 

「何やってるんですか二人とも!!」

 

ワタルが慌てて割って入った。

 

「そうよ! カスミは仲裁に来たんでしょ!? なんで普通に喧嘩を買ってるのよ!」

 

しかしギンガの興奮は収まらない。

 

「なんだァ? フライパン女の次はメガネとチビ女か?」

 

「ああっ!?」

 

ワタルとアスナの表情が固まる。

 

二人はギンガの顔をまじまじと見つめた。

 

「銀髪…天パーじゃないけど、そして死んだ魚みたいな目……」

「気だるい喋り方……そして、この声……」

 

二人は同時に叫んだ。

 

「完全に“あの人”じゃない!?」

 

「うるせぇなテメェらァァァ!! さっきからギャーギャーギャーギャー騒ぎやがって! 発情期ですかコノヤロー!!」

 

「出たぁぁぁ!! 杉田ボイス!!」

「しかもツッコミのキレが本家級!!」

「銀髪! ダル声! 死んだ魚の目! これはもう役満よ!」

 

「誰が役満だコラァ!! ていうか本家とか言うな! いろいろ危ねぇだろうが!!」

 

「メタツッコミまで完備してる!?」

「完成度高すぎるでしょ!」

 

ギンガは頭を抱えた。

 

「なんなんだよこいつら……!」

 

地面にめり込んだままのダイチが、震える声でつぶやく。

 

「吾輩の必殺技が……こうなれば、あの切り札を使うでござる!」

 

アスナは冷たく言い放った。

 

「誰に″承認″してもらうのよ?」

 

カスミは巨大フライパンを肩に担ぎ、ニヤリと笑った。

 

——混沌は、まだ終わらない。

 

NEXT出会いを突然に! 前編

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