異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜   作:トンコツマン

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第3話 カスミ大地に立つ 後編

「ぎゃぁぁぁ!?フェンリルが目を覚ましたぁぁ!!」

 

ワタル、全力でフラグ回収。

 

「この人(?)絶対怒ってますよ!!カスミさんが余計なことするからですよ!!ほら見てくださいよこの“ボス再戦確定演出”!!」

 

「やかましいねぇ!」

 

一喝。

 

「こういうタチの悪い犬はね、最初が肝心なんだよ。ナメられたら終わりなんだから」

 

「だからなんでその分類だけ頑ななんですか!?」

 

(あれだ……アレだよな……。どんなゲーム機でも全部“ファミコン”って言うタイプのやつだ……)

 

言い合いをしているその最中――

 

ゴゴゴゴゴ……

 

地面にめり込んでいた“神話級モンスター”が、ゆっくりと起き上がる。

 

「……この人間風情が」

 

低く、重い声。

 

「フェンリルである俺に……舐めた真似を……!」

 

殺気、解放。

 

「人間の女――貴様だけは、絶対に許さん!!」

 

怒りゲージMAX。完全に第2形態突入である。

 

フェンリルは牙を剥き、悪鬼羅刹のごとくカスミへと襲いかかる――が。

 

「アンタ。まだやる気かい?」

 

カスミ、動かない。

 

避けない。構えない。

ただ、そこに“いる”。

 

そして――

 

睨んだ。

 

「……っ!?」

 

フェンリルの足が止まる。

 

(え、今たじろいだ!?あのフェンリルが!?)

 

ワタルの脳内で警報が鳴り響く。

 

そのまま、カスミは一歩、前へ出た。

 

そして――

 

「――お座り」

 

ギロッ。

 

空気が凍る。

 

森が静まり返る。

 

「な、なんだ今の……」

 

ワタルが震える声で呟く。

 

「完全に“あのシーン”じゃないですか……海の主を睨みで追い払う赤髪のアレ……!」

 

一方その頃――

 

(な、なんだこの女は!?)

 

フェンリル、内心パニック。

 

(あの一撃もそうだが……この威圧感……本能が“逆らうな”と叫んでいる……!?)

 

(いや待て俺はフェンリルだぞ!?神話の存在だぞ!?犬じゃ――)

 

「……お座り」

 

二度目。

 

低く、静かで、逆らえない声。

 

(やばい)

 

(これ、ガチのやつだ)

 

(次逆らったら“躾”じゃ済まないやつだ)

 

じり……じり……

 

フェンリル、後ずさる。

 

(やばいやばいやばい!!あの平手もう一発来たら普通に消し飛ぶ!!ヘルプ!!どこ!?お巡りさん!?いやここ異世界だった!!)

 

カスミ、さらに詰める。

 

逃がさない。

 

そして、トドメの一言。

 

「――お座り」

 

ギロッ。

 

「………………はい」

 

観念。

 

その瞬間――

 

ズズズズズ……

 

フェンリルの巨体が、みるみる縮んでいく。

 

神話級サイズ → 中型犬サイズ。

 

そして――

 

ちょこん。

 

完璧なお座り。

 

「よしよし。最初からそうしな」

 

カスミ、満足げに頷く。

 

「いいかい?大きいからって偉いわけじゃないんだよ。人様に牙向ける子はね、まず座る。話はそれから」

 

完全に育児方針である。

 

「ほら、お手」

 

「…………」

 

すっ。

 

フェンリル、お手。

 

「フェンリル手懐けたぁぁぁ!?!?」

 

ワタル、世界観が崩壊。

 

(神話って躾でどうにかなるんだ……)

 

「カスミさん……前世、何やってたんですか……?魔王とかですか……?」

 

「失礼だね。ただの専業主夫だよ」

 

即答。

 

「それより、この犬。これから人様襲わないように、ちゃんと躾け直さないとね」

 

「(だから犬じゃないってば!!)」ワタル&フェンリル(心の叫びシンクロ)

 

――数分後。

 

「さて、これからどうするかね」

 

「ボクに任せてください!」

 

ワタルはポケットから取り出す――スマートフォン。

 

異世界に似つかわしくない文明の利器。

 

「あんた、携帯なんて持ってたのかい」

 

「“スマートフォン”です!略してスマホ!ボク専用の固有アイテムで、スキルの代わりに神様から支給されました!」

 

「電話なんて喋れれば十分だろうに」

 

「いやその価値観、昭和なんですよ!!」

 

ワタルはアプリを起動し、地図を表示する。

 

「大丈夫なんですか?この世界、圏外じゃ……」

 

「神様製なので、どこでもフル電波です。いわば“神具”ですね」

 

「便利すぎて逆に怖いねぇ……」

 

数分後。

 

「ありました!ここから約50キロ先に“ミスティ”って街があります!」

 

「じゃあ、そこに行くよ」

 

即決。

 

こうして――

 

神話級モンスター(しつけ済み)を従えた主婦と、ツッコミ役の青年は、

 

最初の街“ミスティ”へと向かうのだった。

 

(誰がお供だコラ!!)

 

――NEXT

『はじまりの街ミスティ』そして孤児院(+しつけ教室開講予定)




各話にONE PIECEを始めとするパロディーネタをやろうと思っています
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