異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜   作:トンコツマン

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フェンリルとの戦い?から約30分が経ち、始まりの待ちと言われる街『ミスティ』に向かう
カスミ達一行に待ち受けているものは・・・・


第4話 はじまりの街『ミスティ』そして孤児院

荒野を切り裂くように、三つの影が進んでいた。

ミスティの街へ――ただ一直線に。

 

歩き続けて、気づけば四十分。

 

「はぁ……はぁ……ちょ、ちょっと待ってくださいよ、カスミさん……!ボク、もう限界なんですけど……」

 

ワタルは膝に手をつき、その場に崩れ落ちる。呼吸は荒く、顔色も青い。

 

対するカスミは振り返り、呆れたように鼻を鳴らした。

 

「だらしないねぇ……アンタ、それでも男かい?たかがこの程度でへばるなんて、海に出たら三日も持たないよ」

 

「海どころか今ここで沈みそうなんですが……ボク、前世からインドア派でして……転生してもなおインドアというか……進化してないというか……」

 

「胸張って言うことかい、それ」

 

ため息ひとつ。だが、その目にはどこか面倒見の良さが滲んでいた。

 

「……しょうがない。少し休むよ」

 

そう言うとカスミは軽く指を鳴らす。

 

「来な――“スーパー召喚”」

 

空間が歪み、突如として現れる異質な建物。

 

それは――どう見ても“スーパーマーケット”だった。

 

ガラス扉、自動ドア、整然と並ぶ商品棚。

異世界の荒野に、あまりにも場違いな“日常”。

 

「……いや、なんでですか!?」

 

「私のスキルさ。便利だろ?」

 

店内では、どこか見覚えのある雰囲気の店員が淡々とレジに立っている。

 

カスミは迷いなく棚からお茶とおにぎりを手に取り、会計を済ませた。

 

【スーパー召喚――スーパーマーケットを呼び出し、買い物が可能】

 

「……ネットスーパーみたいですね」

 

「ねっと?よく分からないけどね、辺境で生きるなら“飯”と“水”は命だ。神様に見せられた中で、これが一番“生きる”スキルだった」

 

(生存特化すぎる選択理由……!)

 

ワタルは心の中でツッコむが、不思議と納得もしていた。

 

――この人は、強い。ただ強いだけじゃない。“生き抜く”強さだ。

 

***

 

休憩を終え、再び歩き出す前。

 

カスミがふと、隣の巨大な獣――フェンリルを見た。

 

「そういや、この子の名前、まだだったね」

 

「確かに……何かカッコいい名前が――」

 

フェンリルが口を開く。

 

「ああ、俺の名なら――」

 

「ポチだな」

 

「へっ?」

 

空気が、止まった。

 

ワタルとフェンリルの脳内に、なぜか“ピピッ”という不穏な着信音が響く。

 

「……カスミさん、今なんて?」

 

「ポチだよ。犬っていえばポチかシロだろ?」

 

「いやいやいやいや!!雑すぎません!?」

 

フェンリルも吠える。

 

「待て!俺には“ハルク”って――」

 

だが、カスミには聞こえていない。

 

既に歩き出し、長い髪を手早く結い上げる。

風になびくポニーテール。その姿は、妙に様になっていた。

 

(……なんだろう、この人。めちゃくちゃなのに、かっこいい……)

 

「行くよ、ワタル。ポチ」

 

「だから俺の名前は――!!」

 

「(小声)諦めた方がいいよ……あの人、たぶん世界の理屈より自分の理屈で動くタイプだから……」

 

「……チッ。好きにしろ……」

 

こうして、誇り高きフェンリルは――ポチになった。

 

***

 

それから三十分後。

 

ついに彼らは、ミスティの街へと辿り着く。

 

石造りの建物、行き交う人々、異国の匂い。

 

「ここがミスティか……」

 

「異世界って感じですねぇ……」

 

その時だった。

 

「やだ!離してよ!」

 

「うるせぇガキ!大人しくしろ!」

 

視線の先。

二人組の男が、幼い少女を袋に押し込もうとしていた。

 

一瞬。

 

カスミの表情から、すべての温度が消えた。

 

「――ワタル」

 

「はい!」

 

次の瞬間、彼女の姿は消えていた。

 

――ドゴンッ!!

 

カスミは男の顔面に強力なドロップキックを放っていた

男は三メートル先の大木に叩きつけられ、そのまま泡を拭いて失神する

 

残る一人。

 

カスミはゆっくりと顔を上げ、睨みつける。

 

「……失せろ」

 

その一言。

 

だが、それだけで十分だった。

 

男は仲間を担ぎ、逃げるように去っていく。

 

(……今の、完全に“覇気”じゃないですか……)

 

ワタルの背筋に冷たいものが走る。

 

「ワタル!その子を!」

 

「は、はい!」

 

袋を開け、少女を助け出す。

 

「うわぁぁん……怖かったよぉ……!」

 

震える小さな体。

 

ワタルが必死に声をかけるが、涙は止まらない。

 

その時――

 

「ワタル、私に任せな」

 

カスミがしゃがみ込み、少女と目線を合わせる。

 

そして、優しく抱き寄せた。

 

「もう大丈夫だ。怖い奴は、全部追い払った」

 

静かな声。

だが、不思議と安心感があった。

 

少女の震えが、少しずつ収まっていく。

 

やがて――

 

「……ありがとう、お姉ちゃん」

 

涙の中に、笑顔が戻った。

 

***

 

少女の名はノルン。

 

案内された先は――

 

「……孤児院?」

 

古びた建物。

看板には『孤児院 ファミリア』の文字。

 

「ノルンね、お母さんはもういなくて、お父さんも行方不明なの」

 

無邪気に笑うその言葉に、カスミは一瞬だけ目を伏せた。

 

「……そうかい」

 

その表情は、どこか遠い過去を見ているようだった。

 

「カスミさん?」

 

「……いや、なんでもないよ」

 

その時、扉が開き、初老の男が姿を現す。

 

静かに――だが確かな気配を纏って。

 

物語は、次の局面へ進む。

 

――

NEXT

「今日から私がアンタ達のお母さんだ! 前編」




次はこの作品の醍醐味の1つと言える話です
自信はありませんが、一生懸命書きます
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