勇者のことが気になって仕方ないTS魔女さん   作:Mckee ItoIto

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(魔女パート)
 ラスボスじゃないです。メインヒロインです。

※だいぶ長くなってしまいましたが今回と次回でようやく今章の試験編〆。次章からは邂逅準備編。


魔神の試練ってなんやねん私ラスボスちゃうぞ

・・・

 

 

 

<どっかの迷子の聖女見習いさん>

 

「グォオオ……!」

 

「『浄火の奇跡(Purgatio Igne)』」

「ォ……オォォ……」

 

 

「……灰は灰に。光は光へ。その魂の行く末に、どうか女神様の御加護があらんことを」

 

「さて、全て片付いたな。これで魔物被害に悩まされた村にも平穏が訪れることだろう……。おや? 従者クンは何処へ……?」

 

 

 

「はぁ……はぁ……やっと見つけたフィアンマ様……」

「ああ、従者クン。ダメではないか迷子になっては。君は弱いのだから」

 

「え? いやいやいや、私を置いて勝手に先に行ったのはフィアンマ様なんですけどっ……!」

「……? まぁ、合流できて良かった。それでは行こう」

 

「え、あれ、村には戻られないので……? 冒険者も中々来ないような村から魔物を除いたのですから感謝の品の一つや二つ」

 

「……ふむ。従者クンに質問をしよう。我々は英雄だろうか?」

「質問の意図が分かりませんが……。私はともかく、フィアンマ様は英雄といって差し支えないのでは?」

 

「否。私も英雄ではない。女神様の(しもべ)として英雄を導く存在だ。賞賛を受けるに値しない」

 

「……」

「そうだろう?」

 

(……。相変わらずなんていうか、この人は頭が固いなぁ……)

 

「それに我々には魔王の悪事を挫くという崇高な使命もある。女神様の敵は待ってくれないのだから、一刻も早く見つけださねばな」

「まぁ……そうですね」

 

「では戻ろうか。聖戦の旅路へ」

 

 

 

「……そっちは村に戻る方向なんですけど」

「む。そうか。すまないが従者クン、先導を頼む」

 

「はいはい……」

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 さて。これまで私は散々自分のことを魔術チートと言っているが。

 そもそもの話、魔術というのは何なのか。

 

 前提として、この世界の魔術が魔族の魔法を基に発展したってのは様々な歴史を記す文献からも明らかになっている。

 ちなみに帝国は比較的歴史の浅い国ではあるが、私が来る前の魔術院の人たちが魔術を極めんと研究に研究を重ねていたので特に魔術関連の資料は豊富なのだ。

 私のまだ知らない知識が山ほどあって、蔵書を片っ端から読み漁ってた時はとてもとてもワクワクした。書庫番の人にはめちゃ迷惑がられたけど。

 

 帝国の魔術情報の質は王国とは比べ物にならない、というか王国はその辺かなり貧弱だったので流石の私も度肝を抜かれたね。

 まぁ王国は魔にまつわるものを排斥してきた歴史があるからそうした情報が少ないだけなのかもだけど。焚書的な?

 

 まぁそれはともかく、現在の魔族の魔法と今の人類の魔術は同一の祖を持ちながらも全くの別物と言っていい。

 これは例えるなら、遺伝子の源流は同じであっても幾星霜もの年月を経て全く違う生物に進化したのと似たようなものに近い、のではないか。

 いや、流石に生物の進化の歴史を見ればそれより魔術の歴史は浅いわけだけど。あくまで例えとして。

 この辺は弟子にも同じ感じで説明したけどどうも若干納得いってなかったようだし、もう少し巧い説明もあったような気もする。

 

 うーん。他で説明するとしたらなんだろ……、外国の言葉とか?

 元が同じ言葉でも国を跨いで年月を経たら全く違う言葉になってる、みたいな?

 だけどちょいちょい何となく似てる言葉もあったりして、あ、やっぱ元は同じ言語なんだな、とかみたいな。

 ……これもこれで分かりづらいか。難しいな。

 

 私は割と知識の個人的解釈が激しく思考が二転三転するタイプなので、考えてることを人にわかりやすく伝えるのは苦手だったりする。

 

 弟子はそれを嚙み砕く能力に長けているおかげでそこまで教えるのに苦労はせず助かってたけど。

 ただ、他の人と話してるとちょくちょく(何言ってんだこいつ)みたいな目で見られることは結構多い。

 

 思い返せば副院長なんかの目は最初の方だいぶ冷たかった記憶。

 院長や皇帝様はそれはそれで面白がってる節があるので良いとして。いや、変な揶揄われ方するので良くはないが。

 

 まぁ副院長にしても初対面のころは亭主関白的男尊女卑な雰囲気があったので、私が女だったからってのもあるのかもしれない。何故か今はキモオタおじさんみたいになってるけど。

 研究を手伝ったり問題を解決してあげたりしてて気づいたらいつの間にか私にめちゃくちゃ絡んでくるようになったものの、その絡み方がいちいち気持ち悪いので申し訳ないけど色々余裕があるときしか対面しないようにしてる。

 なので最近は副院長とは顔を合わせていない。なんかごめんね。

 

 そんな感じで今は私や弟子なんかが台頭してるのでだいぶマシになったものの、元々からして魔術師の中でも研究魔術師は男女比がかなり男に偏っている。

 なので、この界隈はかつての副院長に限らずそういう男社会な雰囲気がそこそこ強かったりする。

 

 それも致し方ないというか。数週間数か月単位で同じ研究に掛かりっきりになることもあるし、自身の肉体を使った魔術研究も多い。

 体力的にも生物学的に体調の変動が激しい女性に向いてるとは言えない職種なわけだ。これも魔術チートな私には関係ないけどね。

 

 しかし逆に冒険魔術師は女性の比率の方が多いとされてる。それは単純な適性の問題として、基本的に女性の方が魔力が高く、魔術も高威力となるからでもある。

 その理由として、魔術師の大まかな傾向として、男性は内向きの強化型、女性は外向きの放出型、というのがあったりする。

 肉体が強化されやすい男性が物理的な前衛職となり、魔力が強化されやすい女性が魔術的な後衛職となる、というのが一般的。

 この傾向を学術的に見ると、性別により存在の安定度が違うことが影響している側面が大きい。

 

 存在の安定度とはすなわち、魂の安定度。魂が不安定な存在ほど、魔力を激しく放出しやすい。

 そして、魔力の強度とは魂の密度。魂は揺れて魔力を吐き出し消耗するほどに強くなる。まるで肉体を超回復させ再生するように。

 魂からの魔力の動きは経験や感情、強い記憶にも左右される。つまり変化が大きく多感になりやすい女性ほど魔力が育ちやすいとなるってわけだ。

 

 ……まぁこれはあくまで傾向としてなので、院長みたいな意味不明な例外も存在するんだけども。

 

 

 

 

 ん……あれ? なんの話だったっけ?

 ……ああ、そうだそうだ。魔術って何かって考えてたんだった。

 

 ぶっちゃけた話、私が使ってる魔術と他の人たちが使ってた魔術は結構中身が違う。

 その辺の違いは前世知識を基にした密度や効率といった面で色々あるが、それはひとまず置いといて。

 

 まずそもそも魔術は、魔法と何が違うのかってのを考える。

 

 

 重要なのは、魔術は魔法ではない、ということ。

 

 魔法について狭義の定義は、魂から引き出された魔力で魔力現象を起こし、生物の機能として扱うもの。

 それは極めて魔力の強い魔物が自然に備えた、魔力現象を伴う異常な結果。

 

 通常の生物学的物理法則から外れた、()()()()()()()。それを魔法と呼ぶ。

 

 例えば生物的機能と魔力による触媒効果によって増幅された竜の属性息吹。

 例えば対象に種を植え付け体内で成長させ魔力のパスから生命力を回収し自身の回復強化を行う寄生樹の食事。

 例えば神経に作用する液体を魔力と大気から作り出し降り注がせて生命の怨嗟を貪る悪霊の呪い。

 

 それらは人間の魔力では本来起こせない、ある種の災害としての魔力現象。それを起こせるのが高位の魔物という存在。

 

 ただ、魔族の魔法は数ある魔法の中でもかなり特殊だ。

 ドラゴンの竜魔法などといった他の魔物の魔法と比べると全然違う気がするが、しかしやってること自体は魔物の魔法の模倣に過ぎない。

 

 模倣、より正確に言うと、自身の肉体を魔力的に作り替えて魔物の機能を再現している。

 他の魔物の魔法の発現をトレースする形であり、これも間違いなく魔法なのだ。人間には本来扱えるものではない。

 

 魔物の魂は非常に混沌としており、それと比較すると人間の魂はかなり高いレベルで安定している。

 さっき示した性別による不安定さなど、所詮は誤差の範囲だ。魔物のそれとは比較にもならないのだ。

 混沌とした魔物の魂は強い魔力を伴い、自然放出も激しい。それが高い強度と意思と方向性をもって魔力現象を起こすようになったものが魔物の魔法となる。

 

 逆に言えば魂が種族的に安定している人間の魔力は肉体の強化に適している。

 魔物と比較してあまりにも貧弱な肉体も鍛えれば自然と魔力が馴染み、そんじょそこらの魔物より遥かに強い身体能力を持つことも可能となる。

 ただし、魂から漏れ出る魔力が少ないためその方向性を意識して制御することは困難であり、魔法という魔力現象を引き起こすことはほとんど不可能に近い。

 

 ほとんど、といったのは歴史を振り返れば魔法を使える人間も存在したから。

 そういった人間は魔法使いと呼ばれた。

 

 そしてかつての初代勇者の仲間……魔女も魔法使いだったとされる。

 

 しかし、そんなのはごく一部。

 かつて大多数の人間にとって魔力現象とは、魔物が扱う災厄の発露でしかなかった。

 

 それを身近にしたのが魔術。

 魔族の魔法を基に名も無き魔法使いが生み出しもたらした、人類の新たな機能。

 

 魔術は魔法とは違う。

 魔法が膨大な放出魔力により魔力現象を引き起こすもの。

 魔術は僅かな魔力を精密な操作で世界に流し込み類似の魔力現象を発現させるもの。

 

 最低限の魔力はどんな人間にも存在するため、技術さえあれば誰でも扱える。

 今の時代、人間が扱う魔力現象は99%以上魔術といっていい。

 

 ……。でもまぁ、ここも正直に言ってしまおう。

 

 

 

 

 

 私は、魔法を使うことができる。

 

 

 

 

 

 そう。

 私は魔術師である以前に、現代に残る数少ない魔法使いの一人なわけだ。

 

 その気になれば術式を組まずとも、意思と魂から引き出した純粋な魔力だけで魔力現象を引き起こすことができる。

 

 

 そんな私の魔法は、言うなれば魔力専用の感覚器。

 魔力に触れればその動きの全てを読み取れる『魔力の記録機能』のようなもの。

 

 

 他の魔物と比べればかなり地味かもしれないが。術式として構築されておらず自然に発現している私が持つ存在としての機能が、これ。

 魔力現象の再現が、魔術、ひいては魔族の魔法の興りであると考えれば、これがどれほどのチートなのかがよくわかるだろう。

 

 私の作った禁忌術式の中にはこの力が必須なために私専用になってしまっている、魔術とも呼べない術式もあるのだが、それはさておいて……。

 

 

 ……。

 

 いや、というか……、そもそも私はあの術式を真の魔術と認めてない。

 魔術とは、魔力と技術があれば難易度はさておき誰でも使えるものでなければならないのだから。

 

 ……置いとくつもりが少し掘り下げてしまったし、せっかくなので少しばかり触れておこうか。

 

 禁忌のイチ。

 私が生んだ式の中で最も美しく醜い、忌まわしき業。

 

 

 

 

 その術式は『魔界創生』という。

 

 その効果は魔力で世界の法則を無理矢理書き換えるというもの。

 

 

 

 

 ……いやまぁ。技術的には魔術と魔法のハイブリッドでこれも私が研究してる魔力現象の一つの極致とは言えるけど。言えてしまうんだけどなぁ……。

 

 冗談抜きで死ぬほどクソ燃費で範囲も狭く、そのままだと世界からの圧力に耐えられないため隔離用結界も必須。

 そのせいで結界内でしか効果が無い、おまけに解除すると世界差から元の世界に上書きされて色々元に戻ってしまうという。

 大仰な名称の割には本末転倒であまりに無意味な欠陥品でもある。結局、元の世界の法則には全然勝てっこない。

 

 ただその効果の特殊性から皇帝様を始めとした関係各所から絶対に使うなと特に念押しされてるので、激ヤバ術式の一つには変わりないのだけど……。

 ぶっちゃけ私の評価は正直低いのよな。使い道がないし発展性もない。

 

 あとどっかの魔王の使う『魔界』とだいぶ被ってるが決してパクリではない。私オリジナルです。

 

 

 

 ……どうでもいい脱線をしてしまったので、話を戻そう。

 

 なので私は生まれつき、あらゆる魔力現象に関連する事柄を直感的に理解できてたりする。おまけに魔力量も常人とは比較にならないくらいアホほど多い。

 こと魔力に関してはマジもののチーターと言っても全く過言ではないのだ。

 

 一切魔術に関する資料が存在しなかった生まれ故郷の村でも魔術の研鑽ができてたのもそのおかげといえる。

 

 まるで、風の流れを感じるように、魔力の流れを感覚でつかめた。

 しかも意識すればそれが手足のように自在に動いた。

 

 死後の転生という戸惑いの中にいた私の前に現れた、蜘蛛の糸のようなこの光明が、どれほどの救いに見えたことか。

 

 前世という異物を詰め込んだ異常な私は好奇心が導くまま、いつかの知識と技術を空想と組み合わせ、かつての私の常識を、異世界の非常識で塗り潰すようにどんどん書き換えていった。

 

 ただでさえ生まれ変わるという奇跡のような体験。加えて今までの常識が全く通じない領域。不思議を解き明かす興奮。

 まるで童心に返ったかのように無我夢中になってしまった。肉体の年齢に引っ張られて心までバカになってたような気もする。

 

 ……いや、今も今でそれなりに魔術バカな自覚はあるけど。

 

 

 繰り返す試行の中で自然と、魔術に関する法則性のようなものが何となく見えてきた。

 その時は気づいてなかったが、この頃には魔法が発現していたのだろう。

 緻密に魔力を組み立て、いくつもの謎と不思議を再現することが可能になった。

 

 こうして神秘は解き明かされ、技術となって身に着けることができたわけだ。

 

 小さな私はそれを魔術と名付け、それを操る自分を魔女と自称することにした。

 

 

 ……いや、まぁこの辺は誰かに話したりはしてないので全部内心の話ではある。

 

 それに事実は小説より何とやら。

 既に先駆者がいて似たような技術は存在してたわけだし。

 

 ちゃんとその辺の魔術知識を確認できたのは帝国に来てからだが、それでも当時の私が作った魔術の構成も結果的には概ね既存の術式と近かったので方向性は間違ってなかったわけだ。

 というか私がオリジナルだと思って作ってた術式、結構な数が被っててちょい凹んだのは秘密。

 

 ……なんていうか、新技術と思い込んでた発見が既に手垢のついた古典技術だったって割と悲しい物があるよね。流石に私の作ったやつの方がずっと効率的で洗練されてたけどさ。

 あと村での時点でもっと凄い、ちょっとおおやけには出来ないような激ヤバ術式とかも色々作っちゃってるし。もちろんその辺は軒並み禁忌区分です。

 

 でもあれだ、お陰で元々存在した魔術の理論も抵抗なく飲み込めたし、他の人にも私の理論の説明が通じやすくて助かったという側面もある。

 

 

 

 ……そんでもって、村で初めてあいつと会ったのも村で色々実験してたそれくらいの時期だったかな。

 

 私も流石に魔術という存在が村で忌避されることには気づいていたので、大人にバレないようには気を付けてたんだけど、うっかりしてたのか何なのか、運命の悪戯とでも言うべきか。

 

 私の警戒の隙間をちょうど縫うように、あいつは私の前に現れたんだ。

 まさしく、ボーイミーツガールってやつ?

 

 いやはや、その時の私の内心の焦りようときたら、今考えると傑作も傑作だけどね。冷や汗ダラダラの記憶。

 

 あいつもまぁ、中々不思議で好奇心旺盛な面白い子供だった。

 

 人間は普通、理解できないものを怖がる。好奇心が身を滅ぼすことはいくらだってあり、本能がそれを警告する。それは子供だって例外ではない。

 なので、あいつが魔力という超常の力を操る私に無防備に近づくのは、子供にありがちな勇気と無謀をはき違えた無知の行動かと思っていた。

 

 しかしそれから長く付き合う中でわかったのは、結局あいつは単純に私には無警戒なだけのことだったということ。

 

 何故に……?とは思ったものの、まぁ懐かれるのは悪い気分ではなかったし。

 個人的にあいつと遊ぶのも良い気分転換になったので、そこまで深くは考えずに受け入れることにはしたんだけど。

 

 ……それに、あの頃の私はずっと一人だった。

 嬉しい気持ちが全く無いと言ったら嘘になる。

 

 

 今世の私の家族は母しかいない。

 父は不明だがそれを探る気はないし、そもそも何もかも無くなってしまって探しようがない。

 

 ああいや、その気になれば……。

 

 

 ……やめておこう。

 母は美しく、素晴らしい女性だった。

 彼女は彼女なりに、生きていくために精一杯だったというだけなのだから。

 

 何にせよ。

 当時の私は大人たちから離れ、一人でいることが多かった。

 

 だからあの時の感覚としては、孤独なおっさんが趣味に没頭してたら甥っ子に懐かれてよく遊ぶようになった、って感じに近いだろう。

 

 あと一応、当たり前の話だが当時は異性として見たりなどしていないしそんな目で見るわけがない。

 というか見てたら変態だろ、今も昔も私はショタコンではないんだし。

 

 うん。

 

 ……見てないぞ。うん。

 

 私の意識が明確に変わったのはあいつが私を掬い上げてくれてからのことだ。

 確かにあいつは可愛らしい少年だったが、その前までのおっさん自意識の俺こと私さんはそんな変態ではなかったはずだ。うん。

 

 うん……。

 

 ……。

 

 ……うん?

 

 ああいやでも、今の私は女だし?

 あいつもあんな田舎生まれとは思えないほどの美少年だったし?

 

 別に美少年スタイルなあいつにメロついてムラつくのはノーカンですよね?

 つまり私は変態ではないのでは?

 

 そう、なんなら美少女な私が美少年なあいつに性的に迫っても問題はないはず……!

 

 うん、見た目は麗しくも耽美な美少年と美少女の絡みになるわけだし……!

 

 うん、うん!

 

 

 

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……思考の整理をしていたらなんか痴女みたいな方向に流れかけてしまった。

 

 昔の私によるロリショタな絡みと今の私によるおねショタな絡みのイメージが私の脳内を駆け巡ったりして、いやはやちょっと良くないですねこれは。

 

 それもこれも最近ずっとあいつ要素が足りてないからだ。私は悪くない。

 

 

 

 

 というか……。

 

 だいたいなんで今こんな風に自問自答を繰り返してるかと、だ。

 

 

 

 

 

「それでそれで? その男とはその二人旅の中でどれだけ関係進んだわけ?」

 

 

 何故か魔術院試験で一時的にパーティを組んでるだけのギャルに根掘り葉掘りあいつとの馴れ初めを質問されているからである。……いや何故に?

 

 あと何故かこの場を一旦離れてった黒髪聖職者ちゃんも戻ってきてこっそりめっちゃ聞き耳を立ててるし。

 

 

 

 冷静に考えたらいったいなんなんだこの状況は……。

 

 

「二人旅、いいわね……。私もそんな機会があったらなぁ……」

 

 

 なんか応えあぐねてたらギャルが変な妄想の中にトリップしだしたし。

 少し前までの慈母のような抱擁感は何処へ……?

 

 

 ああ……あと……この話の中で私とあいつの関係の進展は……無いです……。

 

 全然無かったんですよ……。

 

 

 

 

 ……ちなみにだが。

 

 ここまでで、村時代のことについては軽くしか触れてない。

 具体的にはあいつに初対面してから、あいつが親に連れられて村を出るまでらへんまで。

 

 それまでの迫害イベントは楽しい話でもないので本当にサラッと。それとなくぼかしつつ。

 それからの村が無くなるまではそもそもあいついないから関係ないし?

 

 そう、それに……、あの7年の出来事は誰にも話すつもりはない。

 もう何もかも残っていない、とっくに終わった話なのだから。

 

 どうあがいても、あげつらっても、時は巻き戻らないし、死者は還らない。

 ならば故人の尊厳を無闇に貶めるべきではない。

 

 私はあいつに救われた。それだけでいいんだ。

 

 

 ……なので話したのは、ほぼほぼそっからの二人旅のこと。

 

 

 

 そう……、あいつと私の逃避行の出来事……。

 

 愛の冒険……? そう、めくるめくアバンチュールってやつ……!

 

 

 

 ……。

 

 

 ……。

 

 

 ……なんかツッコミが無いとちょっと寂しい感あるな。

 

 いま諸事情あって思考分割の一部機能を一時停止してる。なので脳内会議があんま捗らないのよね。

 いや、完全に止めてはいないんだけど、なんかバグってるサブ私とかが発生してたのでメンテ中って感じ。

 

 多分、少し前の黒髪ちゃんとの精神汚染的な何やかんやの影響がまだ少し残ってるってことなのだろう。

 

 とはいえ肉体的にも精神的にも特に異常は無い。魔力操作も至ってスムーズ。

 分割された思考による精神隔壁もちゃんと機能している。

 

 思考分割の術式機能も止めてるのは自由意思の権限部分で、術式補助運用の方はオールグリーン。

 裏でデスマーチしてるサブ私たちもちゃんと作業続行中だ。むしろ文句もサボリも今はできないので逆にいつもより順調といえる。

 

 まぁ……あとで思考統合した時の不満のフィードバックが少し怖いが、どちらにせよそれも私なので大きな影響はない。

 

 

 ……しっかしまぁ、なんだろ。

 

 解放感……? 束縛感が無くなったような?

 

 そんな不思議なスッキリ感があるというか……。

 

 ……スッキリって感じでもないな。うーん……なんだろ……。

 衝動のハードルが少し下がってる、みたいな……?

 

 

 これもきっと恐らく、少し前の黒髪ちゃんのちょっかいによるものだと思うけど……。

 奇跡、というか神力の影響は過程の観測が出来ないので、これが何なのかは正直なんとも言えない。

 

 何にせよ一応術式で色々スキャンしても特に何も見つからないのだ。

 しばらくチェックは続けるが、現状少なくとも悪影響は確認出来ないので多分大丈夫じゃないかな。

 

 とりあえず私はノーダメージなのでこのことを取り立てて問題にするつもりは無い。

 というかさっきの黒髪ちゃんとのじゃれ合いを問題にするには少し政治的な事態に発展しそうなので私は問題にしたくない。困る。

 

 丸く治められるなら治めておくべきだろう。別に日和ってるわけじゃないぞ。

 

 

 

 

 で、そんなこんなでメインの私はメインの私で、こうして謎のガールズトークの真っ最中にあるわけなんだが……。

 

 

 ……まぁ、あの旅は楽しかったけど。あいつとの進展はぶっちゃけ全然無い。

 

 というか途中、自意識の混乱とかもあったりしてあいつとの距離感が上手く測れなくなりヘタレてたって自覚もあるので……。

 

 

 

「でも二人っきりでしょ? こう言ったらアレなんだけど、凄く綺麗な女の子と男がずっと二人っきりで何もないわけ」

 

「無かった」

 

「……」

 

 

 無かったのだ。

 年頃の男女が二人きりで、道中、時には隣で寝てたりとかしても。

 

 そんな素敵な青春ハプニングは何も……。

 

 

「何も……無かった……」

 

「えー……」

 

 

 ギャルはドン引きである。

 何なら村での再会時の抱擁がそういうイベントのピークだったのでは説も私の中ではある。

 

 というかまともなボディタッチイベントは実際あれ以来無い。

 

 そう。なのであいつの肌の温もりを感じられたのは、あれが最後なのだ……。

 いまや旅の途中であいつがくれたローブの温もりの残り香だけが私を慰めてくれてるのだ……。

 いや、もう匂いはほぼ残ってないけど……。

 

 でも私の匂いが下手に移ったりしないようには気を付けてる。

 そのために無駄に高度な魔術とか使ったりとかもしてたり。

 

 あ、というかあれだよ。匂いって言っても私清潔だよ。ほぼ無臭だし。

 ちゃんと身体綺麗にする魔術の他にもお風呂だってしっかり入ってるし……!

 

 ……。

 

 ……あ、お風呂と言えば。

 

 

 

「そういえば私があいつを水浴びに誘った時も」

「えっ、水浴びに……!?」

 

 

 私的にはだいぶ勇気を出して、ちょっぴり服をはだけさせながら「どうせだし一緒に水浴びしない……?」みたいな感じで誘った案件。

 

 ぶっちゃけよくよく考えると普通に痴女スレスレなんだが……。

 

 でも私ってば、控えめに言っても自他ともに認める絶世の美少女だし……?

 あいつも思春期の男なんだから、結構勝算はあったはずなんだ……!

 

 

「でもなんか……凄い勢いで逃げられた……」

「……」

 

 

「……」

「その男、ホントに男なの?」

 

 

 あれ、もしかしてこれ失言だったか……?

 なんか今ギャルの中であいつの評価が著しく下がった気がする……。

 

 確かに私と同じくらいあいつも朴念仁のヘタレな感じあるが……!

 私も自分で仕掛けておきながらあれは割と傷ついたし結構根に持ってはいるが……!

 流石に女子からの評価がこのままじゃちょっとあれなのでフォローしておかねば……!

 

 

「でもあいつは良いやつ」

「え? ええ……、まぁ……そうね」

 

「私なんかを助けてくれた」

「……」

 

 

 ……ふっと、どことなく生暖かい目で見られた。なんでや。

 

 ちなみにだが、基本的に冒険者は旅の道中であまりお風呂には入らない。

 というか普通は入れない。大体は湿らした布を使い身体を拭くくらいで済ましている。

 

 そもそも、お風呂とかそれなりのグレードの高級宿にしか無いのだ。

 

 なので綺麗な水辺などがあれば水浴びをすることもある。てな感じらしい。

 私はあいつとの旅と、帝国での超短いソロ期間しか経験が無いので伝聞でしか知らないが。

 

 ぶっちゃけ個人的には魔術でどうとでも清潔に出来るので不要といえば不要だし。

 でも前世の習慣的に入りたいとは思うので、魔術院の研究室にある私室には勝手にお風呂が増設されている。

 

 村時代も似たような感じ。

 幽閉中も、あいつがいる間は一応それなりに清潔にしてたぞ。一応。

 

 

 

 ……。

 

 ……あとさっきからちょっと気になってるんだが。

 なんか割と黒髪ちゃん、私たちの話に興味津々っぽい。

 

 ちょくちょくなんか言いたげな表情でこっち見てたりするし。

 

 

 

「ともかく……最終的に私はあいつを置いて、帝国に来た。あいつの隣にいれる私になるために」

「……そうなのね」

 

「そう。立派なあいつに……相応しく」

 

 

 

 

「……ねぇ、一個だけいーい?」

 

 

 

 

 うん?

 黒髪ちゃんから質問……?

 

 

 

 

「もしも」

 

 

 

 

 虚をつくように音もなく、するりと近寄り、上目遣いに訪ねてくる。

 その瞳は夜の海のように黒く、月明かりの水面のように小さく揺れている。

 

 何かを突きつけるかのように強く、真っ直ぐ。しかし、どことなく不安げにも。

 

 

 

 

「もしも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、あなたはどうするの?」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 ……どう?

 

 

 

 

 ……。

 

 

 

 

「……なにも?」

 

 

 

 

 一瞬、空白の時間が生まれる。

 ポカンとしたリアクション。そんな意外だったのだろうか?

 

 ああいや、もちろん当たり前に嫌には決まってるだろう。

 

 

 私はあいつのことが気になって仕方ない。

 

 あいつの一挙手一投足が脳裏に焼き付いて離れない。

 四六時中いつだってあいつのことを考えてる。

 

 私は、できればあいつに受け入れてほしいと思っている。

 私がどんなに自分勝手な最低野郎か、自分が一番知っているというのに。

 

 そんな欲求を分不相応に持ち合わせている。逃げ出したくせに。

 

 

 だから、変わりたい。

 そんな最低な私から、あいつに相応しい私になりたい。

 

 

 ……でも、もしあいつが私以外の誰かを選んだとしたら?

 

 

 ああ、そんなの嫌だ。

 少し考えるだけで気持ち悪くて吐き気がするし、頭が壊れそうになる。

 

 

 だけど。だとしても。

 私は絶対に壊れはしないだろう。

 

 

 あいつと約束したのだから。生きると。

 

 

 それがあいつとの、()()()()()()()()()

 私はあいつの願いを叶え、あいつの望みに従う。

 

 

 だから、まぁ……嫌でも受け入れるのだろう。

 

 あいつの選択を尊重する。

 あいつが私以外の誰かを選び、それで幸せなら、それでいい。

 

 大丈夫、受け入れられる。私は我慢が得意なのだ。

 

 

 

 

 だから、何もしない。

 

 多分、きっと。

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 ……なんだかちょっぴりおセンチな闇が滲み出てきそうになったが。

 

 それでも気持ち的に前よりは多少、楽な感じ。

 

 

 うーん、なんていうか?

 

 ……心が少しだけ広くなったような感じ?

 

 

 

 

「諦めるんだ?」

「ちょ……あんまり」

 

 

「? 諦めないよ?」

 

 

「……?」

「……!?」

 

 

 

 

 いや、それとこれとは話が違う。

 あいつが選ばなかったことと、あいつに選ばれたいと思うことは別の話だろう。

 

 というか、なんなら最終的に選ばれたらそれで良いとも思ってる。

 選ばれなかったその時点で、その後を諦める必要はない。ということ。

 

 私は少女だが大人でもあるのだ。

 結果が伴えば何も問題ない。

 

 まぁ、過程に文句は言うかもしれないし、内心ではみっともなくあがくかもしれないが。

 

 私は大人だが少女でもあるので。

 矛盾してるが人間ってそういうもんだろう?

 

 少なくとも私はそういう存在なのだから。

 そもそもが仮定の話だ。未来がどうなるかは分からない。

 

 ただ、その時はできるだけ後悔の無い選択をしたい。

 

 

 

 とにかく、だ。

 以前の私はヘタレすぎたので……!

 

 あいつと改めて再会したら、次こそもっとこう……!

 大々的なアプローチを……!

 

 

 

 

「ふぅん。なるほどぉ」

「……。大丈夫?」

 

「? 大丈夫。そろそろいい時間だし、次に行こう」

「……そうね」

 

 

 

 さっきから少々ギャルが過保護な気がするけど、まぁ大丈夫だ。

 

 とにかく、休憩はおしまい。

 

 この次の部屋で、実技試験の最後のボスが待ってる。

 男たちと合流して、さっさと終わらせよう。

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

「もう大丈夫なのか?」

「大丈夫」

 

 

 戻るとチャラ男が声を掛けてくる。無言の筋肉男もお待ちかねの様子。

 

 というか私自体はもともと大丈夫だったんだが、ギャルの押しに負けて不要な休憩を取ってしまったっていう。

 

 まぁでも、いい気分転換にはなったかな?

 普段みたいに研究室に閉じこもってるとこういうイベント体験できないので楽しい気持ちも多少ある。

 

 弟子とのふれあいも、あれはあれで楽しいが自分が師匠なのであんまり馴れ馴れしくできないし。

 その分いまのパーティは身分を隠してるのもあってそこそこ気が楽。いや、仕事ではあるんだけど。

 

 

 なんにせよボスを倒してもう終わりだ。

 

 

 

 

「行こうか」

「……ええ」

 

 

 ボス部屋のクソデカ扉を筋肉もりもりマッチョマンがゆっくりと開く。

 

 すごくどうでもいいけど、やっぱダンジョンのボス部屋の扉ってデカければデカい方がいいよね。

 別にこの大きさじゃないといけないわけじゃないし意味は無いんだけど、なんかワクワク感というか。

 

 個人的にはこういう扉を開けるためのギミックを仕込んだりもしたかったけど、あくまでここは魔術院の魔術試験用ダンジョンなので……。

 実際のダンジョンにはほぼ無い遅延系の無意味なトラップは設置に反対されちゃうのだ……オタク的にはそういうのもロマンなんだけどね……。

 

 

 

 

 てなわけで、ゴゴゴっと厳かな開閉音とともにボス部屋にたどり着いた我ら即席パーティ一同。

 

 前もって確認した時にはドラゴン型ゴーレムが出てくるはずだが……?

 

 

 ……あれ?

 

 

 

 

 

 

 

「……何もない?」

「いや……待て……何かある……」

 

 

 

 そこにあったのは、明滅する文字のようなものが刻まれた一枚の石碑。

 

 

 

「罠か?」

 

 

 

 とりあえずざっと構造解析の走査をしたところ、単なるモニター代わりの魔術碑だ。

 筆記用の魔術で文字を書いたり消したりできる黒板のようなもの。

 

 魔術院には私が作ったもっと薄型なのもあるけど、これはだいぶ旧式のやつだなぁ……。

 

 

 

「罠じゃない。危険な仕掛けは存在しない」

「そうか、近づいても大丈夫そうだな」

 

 

 チャラ男と視線が合ったので、大丈夫だと伝える。別にこの程度なら教えてあげてもいいだろう。

 無駄に警戒して時間が過ぎるのも勿体無いし。

 

 

 

 

「なんだこりゃ? 読めねぇな……」

「なになに? ……いやちょっとこれ複雑すぎるわね」

「……」

「……わかんない」

 

 

 

 私以外は黒髪ちゃんも含めて読めない様子。しょうがないなぁ。

 

 んーっと……?

 時限式複合交錯魔力暗号……人に読ませる気あるんか……?

 

 

 

 ……。

 

 

 

 ……。

 

 

 

「……どうだ?」

「ちょっと待って」

 

 

 

 ……いやぶっちゃけとっくに解読は出来てるんだが。

 

 どうすっかこれ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

――試験内容変更の通達。

 

 

 

 

 院長からの私個人に向けた業務連絡だったんだが。

 そもそも受験生に読ませる気ないやつだわ。というか読めたら困る。

 

 

 

「えっと……ちょっと待って考える」

「それほどまでに難しいのか……」

 

「うーん……と……トゥール……ビズ……ゼフィール……」

「?」

 

 

 

 解読難易度は高いが、そういう問題じゃない。

 とりあえず記述に名前が挙がってるので順番に指差し確認。

 

 私ってば人の顔と名前を一致させるのがちょっぴり苦手なので、一応。

 

 

 

「アックァ……あれ? アックァ?」

「……え? なに?」

 

 

 あ、黒髪ちゃんがリアクションしたからこの子の名前か。

 ていうかあれ? そんな名前だっけ?

 

 

「……名前、アックァ?」

「? あっかぁ」

 

 

 ……単にこの子の活舌が悪いだけだったみたい。

 脳内データをアップデートしとこう……。

 

 

 いいや。それはともかくとしてだ。

 

 

 まず全体の試験記録上、この場の全員は現時点で通常の合格基準を満たせないことが確定しているらしい。

 つまりこれからどんだけ頑張っても合格は出来ないので、経費節約としてダンジョン機能のボスは出さない。

 魔力資源的にドラゴン型ゴーレムはそこそこコストが高く勿体無いのでって話。

 

 

 だが、今回の試験は通常の試験ではない。

 

 院長的には現時点の実力よりも将来性と人間性を重視したいという考えだ。

 そして、クレーマーズトリオに関して、魔術院の一員に加えるのも割と有りと思われている。

 

 しかし圧倒的に評価点数が足りない。筆記試験の点数が厳しかったのも響いている。

 

 だから魔術院の面々を納得させるために、実技試験のレベルを変更して配点を増やしたい。

 試験の採点方式は加点式で厳密じゃないので、その辺臨機応変に変更していけるわけだ。

 

 

 ……ていうかいいのか? 恣意的な変更では?

 前日の実技試験受けた人たちにとって不公平にならない?

 

 院長の判断だから私は良いけど……バレたら問題になるのでは……?

 

 

 

 ……。別にならないか。

 

 そもそも以前の試験でも結構内容の変更とかあったし。

 過去に私が受験生全員叩き落とした時とかもそうだったしな……。

 

 いいや、とりあえず進めよう。

 

 

 

 

 

 

「読む」

 

「……お、読めたのか。頼む」

 

 

 

「"これより、クー・ド・ヴァン・デュ・シエルの試練を開始する。3人と2人に分かれて離れ、右手を掲げよ"」

 

 

 

「!?」

「魔神の…試練……!?」

 

「え? え?」

 

 

 

 

 ……はい。実はそんなこと書いてないんですけどね。

 アドリブです。

 

 

 

――貴女が最終試験を出し、それを解いてもらう。そうすれば周囲も納得するでしょう。

 

――直接、貴女が試験したという結果は、それほどまでに大きい。あまり簡単ではいけませんが、貴女の試験が簡単なわけがありません。

 

――受験生として参加させると伝えておきながら、試験官の役目も負わせてしまい申し訳ございません。内容は任せますが、以前のような失敗はしないものと信じております。

 

 

 

――それでは、よろしくお願いします。

 

 

 

 

 アイアム、ボス。

 いや、なんか響きがよろしくないが。

 

 

 

 

「……俺たち三人と、そっちの二人で大丈夫か?」

 

「大丈夫」

 

 

 

 その方が何かと都合が良い。

 

 試験内容はずっと前のやつとほとんど同じだ。

 難易度高めの結界に閉じ込めて、脱出してもらう。

 

 改善点としては、前は個人で閉じ込めたが今回はグループで閉じ込める。

 

 個人では解決策が出ないかもしれないが、集団なら突破できるかもしれないし。

 どうもこの試験はそういう、協力しながらの姿勢が重視されてるような気がするし。

 

 一応難易度調整はして、二人なら無理、三人ならギリギリ行けるだろうって感じにはしてある。

 

 前みたいな全滅の失敗は繰り返さない。汚名返上ってやつ!

 

 

 そんで、私は黒髪ちゃんと一緒。……なんかめっちゃいやな顔されたけど。

 どの道この子は試験に合格する気がない。私も受かる意味が無いので同様だ。

 

 なら一緒に入って適当に時間を潰して、あっちが終わるのを待つというのが良いかなと。

 

 

 

 とりあえず、この三人の実力なら2時間もあれば終わるだろう。

 

 これが終われば試験も終わり。同僚になるのか、お別れになるのかの分水嶺なわけだ。

 

 

 というわけで……まぁ少しの間だけ頑張ってもらおうか……!

 

 

 

 

 

・・・




女神様「……。……ぅ?」

女神様「……。……」

女神様「……zzz」





(更新遅刻しましたすみません……)(土下座)
(次回更新は3/22~24ごろ予定)





・おまけ
※そのうちまとめる人物集の先出。今後多少触れる予定あるものの展開には特に影響しないであろうネタバレ含み。

<法国の聖女見習い>
 均衡を保つ要として教皇直下で役割を果たす特務聖職者。身分は上級司祭。
 規格外の神力を持ち、常人を遥かに超える力を持つ。先代聖女が形式上は存命なので全員自称見習い。

・火のフィアンマ
 魔王担当。覆い尽くす火。的外れのフィアンマ。無敵の万能感に充ち溢れる19歳。
 強さだけなら法国最強を誇るが、割とアホかつ病的なまでに方向音痴。物ではなく出来事で場所を覚えるタイプ。
 単独行動ではいつまでたっても目的地に着かないのでこの人だけ専属の従者(しっかり系の年上男の娘タイプ合法ショタ)がいる。
 余談だが他の聖女見習いな人は各地の教会の非常勤な従者が聖務をサポートしており、常に付き従ってるわけではない。
 とにかく真面目で正義感に篤く、今日も人助けをしながら元気に迷子になって逸れた従者を探している。
 ちなみに自分が逸れたとは露ほどにも思っていない。毎回後から従者に怒られている。
 見た目はスレンダー長身の赤髪ウルフカットお姉さん。美少女というよりは美女。
 得意なことは魔物退治と破壊。苦手なことは手加減と目的地まで真っ直ぐ行くこと。
 好きなものは正義と人助け。嫌いなものは先代聖女と不条理。

・水のアックァ
 魔神担当。変わりゆく水。虐め好きのアックァ。天才肌なメスガキ13歳。
 大体どんなことでもやってみたら何故か理論すっ飛ばしてできてしまう系の超天才。
 できない他人のことを理解できず、割と見下している。わからせると聖水をドロップする。
 基本見る、やる、できる、なタイプのため、理解を挟んでおらずちゃんとした知識はほぼ身についていない。
 今回のために一か月程度でサクッと覚えた魔術も構成が妙に綺麗な部分と所々謎に雑だったりする。魔女さん的にはだいぶキモい形で見ててちょっと嫌。
 出身は教会暗部の異端対策部門で元孤児。昔は名前すらなく、ちゃんとした言葉を教えられたのも遅かったため舌っ足らず。
 聖女見習いとしての公的な身分は最近与えられたが、おかげで自由にできることが増えたもののそもそも自由の使い道がよくわからない。
 審問するときが一番イキイキしてる。やることが無くなると時間を持て余して虚無になる。
 見た目は黒髪清楚系美少女絶壁な違法ロリ。前歴が前歴なので周囲を油断させるためぽわぽわ系の猫をかぶっている。
 得意なことは拷問と我慢と計算。苦手なことは勉強と努力と練習。
 好きなものは真実と追及。嫌いなものは強い人と嘘。

・土のテッラ
 教国担当。揺るぎなき土。横取りのテッラ。苦労人気質な僕っ子少女、のフリをした24歳。
 普通に強さ的な実力もあるが、どちらかというと口が上手さで相手を丸め込むのが得意。
 大人の男たちと仕事をすることが多いため好色な目で見られることもしばしばあり、少し辟易としている。その状況を受け入れる反動からか、若い男が好き。
 なのにいつもタヌキな老人やらハイエナなおっさんやらによる権謀術数蔓延る教国上層部との折衝を押し付けられている。
 関わったことの漁夫の利を得るのが趣味で、めんどくさいことがある度に腹いせとして何か利益を抜けないか考えてる。
 基本的に手段を選ばず容赦がないので関係の深い人たちからは普通に嫌われている。反面、決して好かれてはいないが大人からの人気は何故か高い。
 見た目は浅黒い肌の田舎少年風素朴な少女。胸はないが謎の色気がある合法ロリ。
 得意なことは言いくるめと物探し。苦手なことは無償の施しと無償の愛。
 好きなものはお金と美男子。嫌いなものは損と無能。

・風のアリア
 勇者担当。突き抜ける風。抜け駆けのアリア。勇者より二つ年上の20歳。
 強いというよりは巧いタイプで戦闘センスは高く、奇跡以外にも様々な技術や知識に長けている。
 お姉さんぶってるが中身は割と子供。先代聖女の元世話係。一番距離が近く一番慕っていた。
 パーティ内では自身の務めがあるので聖務の仮面を被るようにしている。
 が、空気あえて読まない系ダークエルフのベルによく仮面を剝がされることしばしば。
 甘いものが好きで地味にお腹周りを若干気にしているが実際それほどウエストは太くない。
 せいぜいベルトにちょっとお肉が乗るくらい。太くない。
 見た目は豊満でムチムチボインな金髪グラマー司祭。チチとシリとフトモモがとてもムチムチ。
 割と異性との距離感が雑なので勇者の目のやり場をしょっちゅう困らせている。
 得意なことは研究と対人戦闘。苦手なことは休憩と隠し事。
 好きなものは甘い物と女神様と人間観察。嫌いなものは魔族と教会上層部。
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