万歳風味な転生者たち、透き通る世界へ   作:NTK

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 デカグラマトンの預言者に自我があるっぽいってことは…この世界のビナー、めっちゃ怖かっただろうな…

 なお転生組は新しくきた転生者から情報をアプデしてますが、今のところはこの作品の投稿開始日時までの情報しか知りません。


第2章 レトロチック・ロマン1942
少女が見た着剣


「じゃあ私は納品書を渡してくるから搬入お願いしますね」

 

「任せておけ〜!」

 

 ミレニアムサイエンススクール、大和の学生たちはそこにとある物資を搬入し始め、その生徒会であるセミナーの部屋にひとりの大和生が入ってきた。

 

「はいどーも〜。納品書渡しに来まし…あれ、ノアちゃんだけ?ユウカちゃんは?」

 

「いらっしゃいミズホちゃん。ユウカちゃんは今ゲーム開発部の方に行ってますよ」

 

「そうなんだ。じゃあちょっと待つかな。…トマト持ってきたけど食べる?」

 

「もちろん。ミズホちゃんのトマト美味しいですから♪」

 

 豊条ミズホ。元ミレニアム生徒で現在大和生徒である彼女は、古巣であるミレニアムに格安で自らが開発した野菜を卸していたのであった。

 植物開発に長けていた彼女はミレニアム時代から幾つかの成果を挙げており、その一つがこの『ミレニアムトマト』と名付けたトマトであった。

 

 研究に没頭してエナジードリンクや栄養バーのみの食事を摂る生徒らに手軽で栄養のあるものを食べさせたいという思いから開発したこのトマトの特徴としては、味は当然として片手で持って食べられる大きさである事や、生で食べた時に設計図やレポートを汚さないよう水分量を少なくしたりと研究の合間に食べることを想定した品種改良をしているが、何よりの特徴は睡眠の質を高めるGABAやトリプトファンといった栄養素を豊富に含んでいる点であった。

 

 要はエナドリ飲んで徹夜するよりトマト(コレ)食って寝たほうが体に良いというわけであり、実際に何人かの生徒で実験させたところ、短時間の睡眠でもかなり頭がスッキリして寝た時間以上に研究が進んだという検証結果が出ており、当時のセミナーに名前の許可を貰い見事昨年のミレニアムプライスにて受賞したのであった。

 以来、研究に没頭するミレニアム生の中では人気の野菜となり、そのまま塩をかけて食べたりミキサーにかけてジュースにしたり、チーズを乗せてオーブンで焼いたりと何処かしらで彼女のトマトを食べる生徒が散見するようになっていたのであった。

 

 ちなみに、転校先の大和学園の生徒にも気に入られており、設立組からは

『頭文字がMなのが特に良い』という謎の賞賛を受けていたのであった。

 

「んむ…前のより甘くなってますね」

 

「でしょ〜?日々精進してるんだよ〜(あの服で全く汚さずにトマト食べてるノアちゃん凄いな…)」

 

「でも、ミズホちゃんがミレニアムを去るって聞いた時は驚きましたよ。大根事件はみんな気にして無かったのに…」

 

「仕方ないよ。あのままいたら最悪、他所の部活の事故の巻き添えでミントテロより酷いのが起きる可能性があったもの。そうなったら、この事を予測しなかった私の責任になるし、みんなには迷惑かけたく無かったから」

 

 まぁ農家や業者と契約すれば金銭面は問題なかったしとミズホは笑っていた。結局、複数の部員と共にミレニアムを去った彼女はすぐにムサシらにスカウトされて大和学園へ転校したのであった。

 

「そうそう!大和で新しい友達が出来たの!ワイルドハントの転校生でね、有澤メリニって子なの」

 

「有澤メリニ…って、あの『立てば炸薬、座ればボカン!歩く姿はユナ・ボマー』で有名なあの⁉︎」

 

 『爆発は芸術だ』と語る彼女は花火作りに失敗して他の生徒の芸術品を校舎ごと吹き飛ばし、本来ならば矯正局行きになるところをこれまでの作品の功績から退学処分で済んだところを大和学園に拾われ、ミズホと意気投合して植物開発部入りしたのであった。

 

 なぜ爆発が趣味の彼女が植物開発入りしたかというと、ぶっちゃけると火薬と肥料の成分は似通っているものがあるため、火薬作りの応用で肥料製作に一役買っているわけであった。

 

「あとメリニが言うには『自分の肥料で植物が爆発的に増えるのは実にいい』って」

 

「そういう爆発でもいいんですね…」

 

「ただいま…あ、ミズホいたの?…納品書ね。こっちで預かるわ」

 

「はいよ〜じゃ、二人ともまたね〜」

 

 納品書を渡してミズホはその場を去っていった。少しした後、ノアはユウカに話しかけた。

 

「どうでしたゲーム開発部は?」

 

「先生が廃部問題解決に協力するみたいよ。あの様子だと廃墟に行くつもりかもしれないけど…無理よね。今、連邦生徒会の代わりに廃墟の警備してるのは大和学園だもの。それに、今警備担当のリーダーは…」

 

「コハクさん、でしたね」

 

「…またモフらせてくれないかしら」

 

・ー ・ー・・ ー・・・・ー ・ーーーー ・・・ *1

 

「警備の人数が少ないって聞いたけどさぁ…コハクさんがいるなんて聞いてないよー⁉︎」

 

「お姉ちゃん、バレるから黙ってて。あの人耳が良いから」

 

 ミレニアム"廃墟"の一角でモモイ、ミドリ、先生の三人が物陰に隠れて視界の先にいるコハクら大和生徒の様子を見ていた。

 既に彼女らの周囲には廃墟内を彷徨いていたオートマタが残骸となって山積みとなっており、辺りを警戒している様子であった。

 

「コハクさんは真面目だから先生が交渉しても聞かないだろうし…早くどこかに行ってくれないかな…」

 

 その時、崩れた瓦礫の破片が先生の頭上に降ってきたが、彼の被っていたヘルメットの一部が可動し、受け流されて大した怪我はしなかったが、弾かれた瓦礫が物音を立てた。

 

「何だ何事だ⁉︎」

 

「…誰もいないみたいですね」

 

「絶対なんか聞こえたって…」「いや、嵐の雷鳴だろう」

 

「雲一つないですよ。それより…ここから東にある廃工場、妙にオートマタが少なかったですが、何かありましたか?」

 

「何かのセキュリティらしきものはありましたが、下手に破壊するわけにはいかなかったのでそのままです。なんかのデータくらいはありそうですが、詳しく調べないことには…」

 

「そうですか…まぁそれはあとにしましょう。次は西方面に移動しましょう」

 

『了解‼︎』

 

 コハクらが移動して姿が見えなくなったのを確認し、モモイたちは物陰から出て一安心した。

 

「ふぅ、やっと行ったよ〜。にしても、そのヘルメットすごいね。流石エンジニア部製!」

 

「プライステーションの落下もパリィしてたしね」

 

「"うん、ヘルメット(コレ)がなかったら即死だったかもね"」

 

「あの時は本当にすみませんでした…」

 

 先生のヘルメットは折り畳みでありながら、二層構造になっており、キチンと広げればセンサーが落下物に反応して外側が当たる瞬間に可動して受け流す所謂『パリィ』をして着用者を守る性能となっていた。おかげでゲーム開発部に向かった際に落下してきたプライステーションから身を守れたが、その代償としてパリィされたプライステーションは大破したが、人の命には代えられないので仕方がない。

 

「で、さっきコハクさんが言ってた廃工場、何かあるみたいだから行ってみない?」

 

「でもなんかのセキュリティがあるって…」

 

「先生がいるから多分何とかなるよ!さ、行こ行こ!」

 

 心配するミドリを他所にモモイは廃工場へと進んでいく。そのあとを着いて行きながら先生は妙な違和感を感じていた。

 

(さっきのコハクの様子…変だったな。声が妙に張っていたし、何より…()()()()()()()()()()()()()()…?こっちに気づいてないフリをしてワザと情報を?でもそうだとしたら何のために…)

 

 先生の予想は当たっている。実際にコハクは自慢の聴力で彼らが近くにいることを察知してワザとアリスのいる場所を伝えたのであった。

 

(私たちはビナーを倒している…そんな私らがここにいるとデカグラマトンに知られればここにケテルかホド、もしくはケセドの手下を差し向ける可能性は十分にありえる。それにモモイちゃんらが巻き込まれるのはマズイから早いとこ教えてさっさとアリスちゃんを回収して帰還した方がいいのよね〜)

 

 デカグラマトン本体のある水没地区はかなり離れているものの、警戒するに越したことはない。本来倒されてない筈のビナーを倒した都合上、転生組からしても一番イレギュラーが起こり得る可能性があるのはパヴァーヌ編と推測しており、最悪の場合、彼女らが知らない2・6・7・9番目の預言者と相対する可能性もあるのであった。

 

(この警戒が杞憂であれば良いのですが…)

 

 数十分後、無事にモモイらはアリスを回収し、撤退するがその途中でコハクらがオートマタと戦闘しているのを見かけた。

 

「敵が来たぞー‼︎」

 

「米兵め、どんだけいるんだ⁉︎」「違ァァう‼︎」

 

「これでも喰らえ!」

 

「着☆剣‼︎着☆剣‼︎」

 

「疑問。何故あの者らはわざわざ銃撃戦の最中で近接戦を?」

 

「あとで説明するから少し静かにしてて!」

 

 その後、アリスは無事クソゲーによるリプログラミング情操教育を受け、ゲーム開発部の仲間入りを果たしたのであった。

 そして元々の目的であるG.Bibleのデータをヴェリタスに解析させ、【その場にあった】鏡というツールで中身を閲覧できるようにして貰ったのであった。

 

「はい、これでもう中身を見れるはずだよ」

 

「ありがとー!…で、なんで妙にスッキリした顔してるの?」

 

「いや〜、やっと耳が治ってね、まともに聞こえるのが嬉しくて…」

 

 耳?と首を傾げるモモイらにコタマは遠い目をして答えた。

 

「大和の人たちに盗聴しようとして返り討ちに逢いまして…おかげで最近まで治療に専念してまともに盗聴が出来なくて…」

 

「ま、そのおかげで『鏡』を変なことに使わなかったから没収されずに済んだけどね」

 

〜回想〜

 

「もうそろそろ繋がります」

 

「あの人たち、普段何話してんだろうね?」

 

『もう少し待て…』『そのまま…そのまま…』

 

「…?ジェンガかトランプタワーでも作ってるのでしょうか?」

 

『さんッにーいち……今だッ‼︎』

 

『バンザァァァァァイ‼︎‼︎』

 

「「「ギャアアァァァア⁉︎」」」

 

〜回想終了〜

 

「もう二度とあの人たちには盗聴しない…」

 

「"他の人でもダメだと思うけどな…"」

 

 一方でアリスはあの時見たコハクらの戦闘に思いを馳せていた。

 

(あの人たちのやっていた着剣…凄く興味があります!あのスキルを身に付ければアリスは本物の剣を振れる勇者に成れそうです!また会えないでしょうか…?)

*1
AL-1S(英)




 この世界のミレニアム生はミズホによる野菜供給のおかげで比較的健康体です。
メリニの名前はACの有澤重工+メリニット。でも転生者じゃないです。制御しないとただの爆破キチと化します。大和学園の砲弾(主に榴弾)作りやビルの解体とかも請け負ってます。
 というか、花火作りに失敗して校舎諸共爆発=爆心地に居たにも関わらず後遺症がないあたりかなりの耐久オバケです。

Q.新しいとはいえ他校の生徒会メンバーをパシらせるって連邦生徒会ヤバくね?
A.連邦生徒会「いや、なんで副会長が見回りしてんの?」
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