万歳風味な転生者たち、透き通る世界へ   作:NTK

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 目次欄にて、ムサシのイメージ図を載せました。
見た後で考えてくださいよ?あの見た目で居場所ないなら面倒見るからウチに来いって言われた転入生達の気持ちはどうなるでしょうか?

 さて、パヴァーヌ編完結編です。


エリドゥ攻防戦 vsケテル

 ケイを制圧?する少し前に時間は遡り、アマツとメリニ、C&Cと複数の大和学生らがケテル迎撃に向かっている途中、ネルが思い出したかのようにアマツに話しかけた。

 

「…そういやアマツ、お前弾丸数発でダウンする身体じゃなかったか?大丈夫なのかよ?」

 

「確かにアタシの身体は数発の弾丸で倒れる程度の脆さだよ。ケテルの弾なんか喰らえば重傷確実だね……当たれば、だけど」

 

「へぇ?」

 

「こんな身体だし、大和の中ではアタシは弱い方だよ。でもね、『回避すること』。その一点だけなら司令より上だと自負してるよ」

 

 弾丸で死なない分前世の肉体よりはマシ、しかし身体能力は前世の比じゃないのならばひたすらそれを活かして回避に努めれば問題ない。その考えでアマツは回避訓練に勤しみ続けた結果、彼女は大和の誰よりも回避の上手い生徒になっていた。

 なお、訓練の過程で何度か被弾して死にかけたこともあるし、似た体質の知人にこの方法を勧めたところ、正気を疑われたうえ

 

「君と違って私にそんな体力はないから根本的に無理だ」

 

 と言われたのは別の話である。

 

 それはさておき、一行が現場に辿り着くと既に残存数が三割を切ったAMASとケテル、そして不可解な軍隊(Divi:Sion)が交戦をしていた。

 

「アレ、あのチビに触れさせた奴か?」

 

「そうでしょうね、恐らく彼女の覚醒に呼応して集結しているのでしょう。ケテルと交戦してるのは単に互いが邪魔だからといったところといったでしょう」

 

「敵の敵は味方、というわけでは無さそうですわね」

 

「要は全部爆破すればいいのだろう!さぁ、私の爆発(芸術)を見せてやろう‼︎」

 

 メリニがそう叫び、愛銃のグレネードランチャーを構えケテルらに向けて発射した。不可解な軍隊(Divi:Sion)の群れに弾が当たると周囲に大爆発を起こし、四散させていった。どうやら弾薬内に花火の原料を混ぜてるらしく、色とりどりの爆炎が辺りに広がっていた。

 

「わー、すっごく綺麗だね!」

 

「いや、それより立って撃っていますがアレは…」

 

「96式40mm自動てき弾銃。普通は三脚や車両に載せるモンですが…ミニガンブン回してるのがいるので今更ですね。しかも、彼女が作る爆薬に耐えられるように色々弄ってるので中身は別モノだそうで」

 

「前の銃はワイルドハントでやらかした事故で校舎ごと吹っ飛んだからね!しかも、XM25IAMSはキヴォトスじゃあまり流通してない代物だったから困ってたところでコレを貰ったわけだが、中々使い心地が良い‼︎」

 

 辺りが爆炎で見えなくなったところで撃ち止むと、多数の不可解な軍隊(Divi:Sion)の残骸が散らばっているが、増援の部隊がさらに現れ、ケテルはというと全くの無傷というわけではないが、大きな損傷は見受けられなかった。

 

「ふむ…意外と硬いな」

 

「ま、これで終わっちゃつまんねェしな…掃除の時間と行こうかァ⁉︎」

 

「アタシらも行くよ‼︎敵の斬撃に注意して‼︎」

 

《みんな、ブレードもだけどケテルのミサイルに注意して。AMASから送られたデータだと近接信管を使用してるそうよ》

 

「なるほど…よほど預言者らは我々の近接戦を恐れてるようだなアマツさん」

 

「まぁ、そうでしょうねぇ…」

 

 メリニの言葉にアマツは納得した様子で答えるが、それにはワケがあった。

以前ビナーを仕留めた際には砂中に潜って逃げようとする奴に対してムサシを筆頭に数名が頭部に張り付いて目にあたるセンサーを銃剣で滅多刺しにして破壊し、逃げられないようにしていたのだから情報を受け取ったであろうケテルが警戒するのは当然の帰結であろう。

 

 ケテルの機関砲やミサイル、不可解な軍隊(Divi:Sion)の光弾を躱しながらアマツは愛銃*1を使い応戦する。

 回避が得意と言うだけあり、迫り来る攻撃を紙一重で避けるか銃剣で弾き飛ばしていた。

 ケテルとの距離が近くなると、ケテルは右前脚をアマツに向けると移動用のワイヤーを数本、彼女に向けて射出したのであった。

 

「うおぉぉ⁉︎」

 

 これには予想外だったアマツは一つは躱せたものの、二発目が左脇を掠めよろめいたところを三発目が迫るが、アスナの銃撃でワイヤーは弾き飛ばされたのであった。

 

「アマツちゃん、大丈夫〜?」

 

「ありがとうございますアスナさん。少し掠めただけで大した怪我じゃないです」

 

「移動のワイヤーまで刺突武器として使うとは厄介ですわね…しかし離れて戦っても向こうから詰めてくる…メリニさん、榴弾の残りは?」

 

「まだまだあるぞ〜榴弾じゃなくてもHEDPもあるし、アリスの拘束用にトリモチ弾もある」

 

「ならカリンとメリニさんでケテルの武装を潰して部長に切り込ませましょう。他の皆さんはケテルを引きつけたり不可解な軍隊(Divi:Sion)の対処を」

 

 アカネが作戦を伝えるなか、アマツは先ほどのワイヤー攻撃を思い浮かびながら、恍惚とした顔を浮かべていた。

 

(ヤッベヤッベ…アレはかなりヤバかったなぁ…!もう少しズレてたら身体ぶち抜かれてたかもしれないねぇ…。知らない装備をしたケテルの知らない攻撃…この脆い身体じゃどれも当たれば危険なもの…!あぁ、このスリル…ホントたまらない…♡

 

 大黒アマツ。脆い身体にも関わらず回避を極め、銃剣を着けて前線に出てる彼女のその本質は、スリルを求めるマゾヒストであった。

 

ーー・ーー ー・・・ ・・ ・ー・ー・ ー・ー・・ ・・ ・ーー ー・ーー・ ・・ー・・ ・・ *2

 

「すまないムサシ司令官‼︎何体かがそっちに行った‼︎」

 

 続々と現れる不可解な軍隊(Divi:Sion)に対処が遅れ、ムサシの方に向かったことをメリニが伝えると、ちょうどアバンギャルド君が現着しそれぞれの腕に持った銃器でケテルに立ち向かった。

 ケテルもアバンギャルド君に気が付き応戦するも、到着までにAMASを介して戦闘データを解析していたようで履帯による機動力で翻弄していき、後ろに回り込むと武装の一斉射撃でケテルのミサイルポッドを破壊したのであった。

 

「おお‼︎」「オミゴート‼︎」

 

「見た目は芸術とは程遠いが、中々やるではないか」

 

「ですが、ケテルも爆発寸前でパージして最低限の損傷で済んだみたいです。この短時間でどれだけ学習して…」

 

 ミサイルポッドを失った事で攻めやすくなったものの、それにより機動力が上がったらしく、ワイヤーをビルに突き刺し縦横無尽に動き回っていき、やがて不可解な軍隊(Divi:Sion)を何体かワイヤーを突き立てると、アバンギャルド君に投げつけた。

 

 突然の投擲に少し対応が遅れ、撃ち漏らした不可解な軍隊(Divi:Sion)の一体が激突しよろめいたアバンギャルド君にケテルは渾身の体当たりをお見舞いし、横転させた。

 

 起き上がろうとしたアバンギャルド君は次の瞬間、全ての腕を切り飛ばされ、鬱憤を晴らすかの如く何度も身体中をブレードで刺され、やがて動かなくなった。

 

《アバンギャルド君が…⁉︎》

 

「名誉の戦死だ‼︎」

 

「背中がガラ空きだァ‼︎」

 

 ケテルがアバンギャルド君への攻撃に夢中になってる隙にネルが接近し、胴体を斬りつけ、その傷口にありったけの弾を撃ち込むとケテルの砲台部が小爆発を起こし、明らかに動きが鈍くなるも不可解な軍隊(Divi:Sion)に阻まれ、また距離を取られてしまった。

 

「チッ‼︎あのタコもどき、厄介だな」

 

 そうネルが呟くと、突如として不可解な軍隊(Divi:Sion)が床に倒れ込んだかと思うと、再び起き上がっては倒れ込むといった異常事態が発生したのであった。

 

「これは…一体?」

 

《こちらムサシ。今アリスが自身の暴走を抑え込んでいるところだ。不可解な軍隊(Divi:Sion)は無視して構わん。それと、エリドゥのシステムを立ち上げた。都市の形状を変えれば少しは戦い易くなるはずだ。トキも援護に向かっている。なんとか持ち堪えてくれ》

 

「リオのとこのメイドか?」

 

《はいそうです。そして今の私はネル先輩より強いのでケテルを倒しきれなくても安心してください》

 

「アァ⁉︎上等だ、お前が来る前にアイツをスクラップにしてやんよ‼︎お前ら、行くぞ‼︎」

 

「わー!」

 

「アタシらも行くよ‼︎全員…突撃ィィィィ‼︎

 

『オオオオオォォォォッ‼︎』

 

「あぁ、リーダー達が…」

 

「近寄ると爆撃出来ないんだけどなぁ…」

 

 トキの言葉に苛立ったネルはアスナと共にケテルに突撃し、それに続いてアマツら大和生も銃剣突撃を開始した。

 ケテルは近寄らせまいとブレードを振り回すが、四本しかないブレードでは彼女らを全員止めることはできず、ワイヤーの刺突も所詮初見殺しに過ぎないため、回避するのは余裕であった。

 

「着☆剣‼︎」

 

「迎撃手段が無くなればこっちのモノよ‼︎」

 

「文字通りの付け焼き刃で、我らの剣に敵うものか‼︎」

 

 一本、二本とブレードを破壊されていき、やがて間合いに入ろうとした途端、ケテルは後ろ脚のワイヤーを射出し、その場から撤退しようとしていた。

 

「ケンカ仕掛けといて負けそうになったら逃げる気かよォ⁉︎」

 

「敵前逃亡は重罪だぞキサマァ‼︎」「士道不覚悟‼︎」

 

《させないわ‼︎》

 

 だが次の瞬間、リオがエリドゥのシステムを使って地形を変化させ、地面から迫り出した壁に激突したケテルは後ろ脚を破損し地面に倒れ込んだ。

 その隙を逃さず、カリンの狙撃が残りのブレードを基部から破壊し、メリニのトリモチ弾が炸裂しケテルの動きを封じたのであった。

 

 トラップにかかった害虫の如くもがくケテルが最期に見たのは、ギラついた目をしたネルと上機嫌なアスナ、そしてそれに続く大和生の姿だった。

 

 

「……もう終わってしまいましたか」

 

「悪りィな。もうこっちで片付けたところだ」

 

「どっちかっていうと散らかってるけどね!」

 

 数分後にトキがついた頃には既に機能を停止したケテルが全身を切り刻まれて鎮座していたのであった。最期までワイヤーを振り回して抵抗していたが、脚を破損したうえ、ネルが間合いに入った以上、敗北するのは当然であった。

 

「リオ様、ケテルの残骸は如何なさいますか?」

 

《ケテルのデータから残りの預言者の居場所や、ケテルの他の武装を開発してる場所の特定ができないか解析しておく必要があるから回収を頼むわ。それと、アリスの説得がもうすくで終わりそうよ》

 

ーー・ーー ーー・ ーーー・ー *3

 

「ですから、アリスはモモイ達とゲームしたりムサシさん達に剣や弓を教わって勇者になりたいのですから、世界を滅ぼしません‼︎」

 

「王女…何故、使命を…」

 

 頑なにケイの言う事を拒むアリスにケイはもはや暴れる気も無くしてしまい、失意の最中にいた。そんなケイに先生は優しく語りかけた。

 

「"ケイ。確かにアリスは世界を滅ぼす使命を持って生まれたけど、モモイ達と会ってそれ以上にやりたい事が出来たからそっちを優先したんだ。それをわかってくれるかい?"」

 

「わかりませんよ…!それなら、私は…何のために…!」

 

「"だったらさ、ケイも他にやりたい事を見つけたらどうかな?"」

 

「私が?そんな事、出来るはずが…」

 

「出来るよ‼︎だってアリスが出来たんだよ、アリスの仲間の貴女が見つけられないわけがないでしょ?」

 

「っ!」

 

 モモイの言葉にケイは耳を傾けて話を聞いていた。

 

「貴女たちがどれくらい前にできたロボットか知らないけどさ、その時よりも面白い事や楽しい事がいっぱいここにはあるんだよ、そのなかに一つくらいケイが気にいるものがあるはずだよ!だからさ、一緒に見つけに行こうよ‼︎」

 

「"私も、ケイがやりたい事を見つけるのに協力するよ"」

 

 二人の言葉を受け、ケイは一瞬だけ顔を歪めると、観念したような笑みを浮かべていた。

 

「…わかりました。しばらくは使命はお休みして王女と一緒にやりたい事を探してみましょう。ですが、もしどうしても見つからなかったら、本来の使命を果たしますので」

 

「その時は、私が相手になってやろう」

 

「…それは、ご遠慮したいです」

 

 ムサシの言葉にケイは嫌そうな顔をしたあと、アリスに制御を明け渡し不可解な軍隊(Divi:Sion)はアリスからの自壊命令を受け、騒動は幕を閉じたのであった。

 

ーーーー ・・ ーー・ー・ ・・ ・ーー・ ー・ ・・ ・ー・ー・ *4

 

「それで、ケイのボディを作成するために私に協力して欲しいと」

 

「えぇ。私のデザイン案が彼女に却下されたから、貴女に頼みたいの」

 

 リオの言葉にヒマリはそりゃそうでしょうね、と心の中で独白していた。

結局、回収したケテルの残骸からはケテル本人の武装開発場の場所のみが解析でき、既に新たにトキを加えたC&Cによって制圧し武装を接収していたのであった。

 

 その他のデータはケテルが自ら消去した形跡が見られ、サルベージも不可能であり、同胞や主のデータをこちらに渡さまいとするケテルの意思を感じ取れていた。

 

「そういえばコハクさん、ケテルにやられたみなさんは大丈夫でしたか?」

 

 今回の件を纏めた報告書を出しに来たコハクにヒマリがそう聞くと、コハクは問題ないですよと返した。

 

「多少斬られましたが、大きな怪我は無かったので心配ありませんよ」

 

「そうですか。それと、ムサシさんは今日は居ないのですか?」

 

「はい。司令官は今、トリニティにいます」

 

 

 トリニティ学園、そのテラス席にてナギサとムサシは向かい合っていた。

 

「本日は急な呼び出しに関わらず来ていただき、ありがとうございます」

 

「いえいえ、お気になさらず。それで、やはりエデン条約についてですか?」

 

「…ある意味、そうですね」

 

「なるほど。ようやく調印式が間近になりましたしね…思えば大変でしたね」

 

「はい。まさかセイアさんが…

 

 

 

 

 

 予知夢が五月蝿すぎて眠れず、そのまま睡眠不足と過労で倒れて長期入院するなんて…それで私が急遽ホストを代行する羽目になるとは…」

 

「なんならその予知夢にラッパと法螺貝が出てるから、間違いなく我々が関係してるのでしょうね…そちらの二人も、これから話すことに関係しているとみていいですか?」

 

 ムサシの視線の先には、ミカとアズサの姿があった。

 

(エデン編は色々と事前に手を打ったからな…セイアに関しては想定外だが、これで今後の彼女らの不幸を防げればいいが…)

*1
一〇〇式機関短銃。身体が脆い彼女には三八式や九九式だと射撃後の隙がリスクとなるため。ただし銃剣は着いてる

*2
アバンギヤルド(アバンギャルド)(和)

*3
アリス(和)

*4
ゴジツダン(和)




日本の勝利である


 じゃかあしい入れる隙間なかったな…

 本文通りアマツはムサシ以上に回避がうまく、ギリギリのスリルを楽しんでる回避タンク系マゾです。身体弱いのに前線出てる理由がコレです。
 アマツのいう知人はセイアのことです。

 セイア不在の理由とそれに伴うナギサたちのメンタル事情が変わりました。詳しくは次回以降で。
エデン条約編で事前に色々手を打って事態を変えたからこそ、これ以上変化しないよう今までなるべく原作通りに事を進めていたといった次第です。

 さて恒例の登場予定のセリフです。

「ヒフミ、この黒いC4みたいのはなんだ?」
「アズサちゃん…それ、羊羹です…」
(無言で目頭を抑える大和生たち)

ツルギ「キエェェ‼︎」
イチカ「キエェェ‼︎」
マシロ(コハル…早く戻って来て…!このままだとハスミ先輩がストレス太りに…)

「いいですかマコトさん。これが正義実現委員会の面々です」
「全部同じではないか」

「あのスチルからミサイルがどこを通るかの特定はできました」
「マジか…ヨシ、これなら被害をだいぶ…」

「司令官⁉︎応答してください、司令官‼︎」
(掲示板にも、繋がらない…⁉︎)
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