(#°皿°)<貴様どう責任を取るつもりだ⁉︎
いやぁ…年始の仕事が忙しく遅れました。申し訳ない…
今回からエデン条約編です。
ティーパーティ
「ふむ…なるほど、アリウスですか…」
「うん。私はアリウスの子たちと仲良くなるきっかけになればいいと思ってアズサちゃんをこっちに招いたんだけど…」
「実際は、偶然とはいえ接触して来た彼女を利用して私が内部工作を行い、エデン条約の時に蜂起してトリニティの破壊活動を行う。そういう計画だ」
ミカとアズサの話を聞き、ムサシは内心ここまで話してくれる程にトリニティが自分らを信頼している事に嬉しく思っていた。
未所属時代からムサシは幾度となく翼がある事を理由にトリニティから誘いが来たが、ムサシはそれを拒否して大和学園を設立した。その事で当時のティーパーティから反感を買い、どうでもいいような支援を頻繁に求めたり支援内容にいちゃもんをつけるなど陰湿な嫌がらせを受けていたものの、2度目の人生を迎えている彼女らにとってそこまで気にする事もなく真摯に対応している様子に当時の二年生、つまりはナギサ世代の者たちからは割と好感を持たれており、彼女らが3年生になり代替わりする直前に最後の嫌がらせとして他学園と制限なしで戦える大和学園に恥をかかせようとして行ったのが例のトリニティとの交流会であった。
ツルギを差し向けておきながら『比較的平穏な自分らトリニティに勝てなくて、ここより野蛮なゲヘナや他の学園にも勝てるのか』と嘲笑うつもりだったが、結果は知っての通りツルギと長時間戦闘の末に実質相打ちとなりそれどころかツルギと親友関係になったため、とんでもない人物に喧嘩を売っていた事実を知った彼女らは卒業までの僅かな間、生きた心地がしなかったという。
それはさておき、今起きている問題についてどうするかムサシは問いかけた。
「それで?アリウスという脅威があるのは分かりましたが、我々に協力して貰いたい事はなんでしょうか?」
「アリウスはアズサさんを通じて情報を得るつもりです。なのであえて泳がせる手筈にしようかと思っているのですが、万が一そのやり取りを無関係な生徒に目撃されると面倒な事になります。そこで周りを巻き込まない為にもアズサさんを隔離することで向こうとしても接触を容易にさせて互いの情報を得やすくさせます。その為に設立するのが…」
「補習授業部、というわけですね?」
「知ってたのですか?」「えぇ。ウチにいる元トリニティ生から」
なら話は早いですとナギサは説明を続けた。
要するに、アズサには二重スパイとして活動するにあたり、無関係な生徒を巻き込まない為に補習授業部を設立して別校舎に隔離、そのまま襲撃計画を聞き出すといったものであり、先生の手を借りつつムサシら大和生徒には学力向上の支援という形でアズサ以外の補習授業部メンバーが巻き込まれないように護衛をお願いしたいといったものであった。ちなみにメンバーはハナコ、ヒフミ、コハルであり変わりはなかった。
「ムサシさん達もエデン条約の準備で忙しいのはわかっているのですが…」
「いえいえ、当事者であるそちらよりは忙しくないですよ。手が空いてる者が何名かいるので彼女らを派遣させましょう」
「わーお、即答でOKしちゃった…その、頼んでおいてアレだけどさ…なんでムサシちゃん、ここまでしてくれるの?そっちにメリットは殆どないのに…」
ミカの質問にムサシはなに言ってるんですか、と彼女に微笑んでこう言った。
「困ってる友人を助ける…その行為に損得勘定なんて必要ないでしょう?」
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その後幾つかの話をした後、ムサシはその場を後にした。
「……彼女に相談して良かったです。先生も頼りにはなるのですが、同年代で頼れる人がいるというのは心強いです」
「私は?」
「ミカさんも信頼してますが…派閥上の立場の問題があります。ムサシさんはそういうのは殆ど無縁ですから」
「ムサシちゃん、困ってたらどこの学校の子でも助けるって言ってるからね。そのせいで前のティーパーティから色々言われてたけど、それでも自分を貫き通してたのは凄いよ」
大和学園が支援し、引き入れている生徒の中には当然元ゲヘナ生徒もいる為、それが気に入らない先代ティーパーティから『節操なし』『どぶさらい』などの陰口を言われていた事もあったが、やはり特段気にせず活動を続けていたものの、どちらかと言えばムサシを慕う転入生たちがそれを耳にし激昂して騒ぎになりかけることの方があり、なんなら派閥から解放されて反論できるようになった分、元トリニティ生の方がそうなることの方が多かったのであった。
…なお、ムサシ本人も多少頭にきていたので、前世が京都生まれの転生組をトリニティの対応にさせて言い負かせていたのはここだけの話である。
「…先代との確執もあったにも関わらず、私たちを友人として見てくれている彼女の信頼に応えるためにも、エデン条約を締結させなければいけません。その為にも、今ある問題を早く解決させましょう」
「そうだね。今は仲が良くなくても、これを機に互いに少しずつ仲良くなればいいもんね。なにより、ムサシちゃんとこの学園で仲良くやってる生徒もいるから不可能じゃないよ」
「ミカさん、だいぶ変わりましたね。前はあんなにゲヘナが嫌いだったのに」
「…前にムサシちゃんと話してから少し考えが変わったの。別にゲヘナに何かされてもないのに忌み嫌うのは違うし、それで戦争なんか吹っ掛けたらどっちかが滅ぶまで止まらなくなるから」
そう言いミカは、ムサシと話をした日のことを思い出していた。
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半年程前、ミカは個人的に話し合いの場を設け、ムサシを呼び出していた。
理由としてはムサシを味方につけてエデン条約を阻止してもらおうというものであった。
先代でも引き入れられなかった彼女を味方にできるかは疑問だったが、既に一人とはいえアリウスの生徒を入学させた成功体験がミカの自信となっており、もしかしたら味方になってくれるかもという楽観的な考えで呼び出したのであった。
「そんなに緊張しなくていいよ。プライベートのお話だからね」
「分かりました。それで、今日はどんなお話を?」
「ムサシちゃんさぁ…正直言って、エデン条約の事どう思う?」
「……私としては良いものであると思ってますよ。長年対立していた両校が一種の同盟関係を持つのは、周辺自治区にとっては安心できるものですし、これを機に多少なりとも交流を持てば相互理解にはなるかと」
「そう上手くいくと思う?互いに嫌ってるのに?」
「ミカさんはゲヘナは嫌いですか?」
ムサシの質問にミカはどう答えるか少し考えたが、正直に話した方がいいとして、質問に答えた。
「嫌いだよ。だってさ、なんか訳の分からない角とか生えてて気味が悪いし、野蛮じゃん」
「…野蛮というのはミカさんはゲヘナに何かされたからですか?」
「ううん、何も。見てるだけで憎たらしいというか、なんというか…とにかく、嫌いなものは嫌いだし」
「ウチと良好な百鬼夜行にも、角のある生徒はいるんですがねぇ…」
「え?ゲヘナ以外にも角付きがいるの?なんかやだなぁ…」
露骨に嫌そうな顔をするミカを見て、ムサシは百鬼夜行に対してもそういう反応なのかと思っていた。ゲヘナ嫌いのトリニティ生は同じく角のある生徒がいる百鬼夜行も嫌うのかというのに個人差がある事は転入生のトラブル対応でわかっていたが、このままでは百鬼夜行ともトラブルを起こしそうだなと危惧していた。
「まぁ正直言ってさ、私はエデン条約は反対なんだよね〜。なのに入院しちゃったセイアちゃんもナギちゃんも賛成してるからどうしようもないっていうか…あんなんと組むくらいならゲヘナと戦争でも起こした方がマシじゃんね」
「物騒な事言いますね…それでハイやりますって生徒がいるもんです?」
「でもさ、ゲヘナ嫌いの子はそれなりにいるから案外ノリノリでやってくれると思うんだ。だけど、今はナギちゃんがホスト代行してるからなぁ」
「…なら、いっそクーデターでも起こして貴女が実権を握れば良いんじゃないです?」
その言葉にミカは嬉しそうな顔を浮かべていた。ムサシがこちらの味方になってくれるのではと期待したが、すぐにムサシが冗談ですよと微笑んだのを見てがっかりした。
こうなったら最悪脅してでも…と考えたところで、ムサシが口を開いた。
「ま、それは置いておくとしましょう。では仮にうまくクーデターが成功して、ゲヘナと戦争するとしましょう。それで……
え?、と困惑するミカにムサシは言葉を続けた。
「戦争するからには何を持って勝利するかという終着点が必要です。財産の取得ですか?土地の占領ですか?違いますね。貴女はゲヘナが憎いと話していました。ならば…【ゲヘナ生徒を皆殺しにする】それが貴女が起こす戦争の終着点としましょう。となると困りましたね…貴女はゲヘナ、とくに角の生えた生徒を嫌悪しています。在学してるゲヘナ生徒を皆殺しにしたところで中学生、小学生幼稚園…果ては生まれたばかりの子供にも角の生えた子はいますね…
「ま、待って…その、流石に赤ちゃんは関係な…」
これまでの雰囲気から一転して、淡々と話すムサシに薄寒いものを感じながらミカは反論しようとするが、それをムサシはバッサリ切り捨てた。
「関係ない?可笑しいですねぇ…だって先ほど貴女は何もされてないけどゲヘナが憎いと言ってたじゃあないですか?つまり貴女と何の関係もない赤子であってもゲヘナでの角付きであれば憎く、排除すべき対象では無いのですか?」
「いや…ち、違う…そんなんじゃ…」
「何が違うのです?何故違うのです?全ては貴女が言ったことですよ?……私が言ったことを踏まえ、もう一度お聞きしますよ、ミカさん」
語気を強めて話すムサシの問いにはミカは答えることが出来ず、そればかりか、自分が軽々しく言った『戦争をする』という言葉の重さに気が付いた。
彼女の脳裏には燃え盛るゲヘナの街で何も知らずに怯えるゲヘナの幼子に向けて嘲笑を浮かべて発砲する自分らの姿が浮かび上がり、顔を青くし思わず口元を抑えていた。
「貴女は政治的に重要な立場にある人です。そういう事は軽々しく言う物ではありません。戦争はその辺の不良の喧嘩とは訳が違います。エデン条約はそれを防ぐ可能性のあるものです。貴女の言葉や行動で、貴女の大切な人たちが傷付く可能性がある事を、どうかわかってください。……怖がらせるような事を言って申し訳ありません。では、私はこれで」
そう言いムサシは去っていき、残されたミカはしばらく自分のやろうとした事を深く考えていた。
それからというもの、ミカは色々とトリニティとゲヘナの確執について調べていくうちに、トラブルの殆どがこちらからの挑発によるものとわかると、このままだとムサシが言っていたことになるのではと危惧するようになり、アリウスと同じように、エデン条約で流れを変える必要があると決意して条約に対して賛成するようになったのであった。
また、ムサシや元ゲヘナの大和生とも話していくうちに、ゲヘナ生が全員悪人であるわけではないと識ったのも心象の変化の後押しとなった。
(ムサシちゃんとあの時話してなかったら、今頃取り返しのつかないことをしてたかもしれないな…ん?あれは…)
ふと、ムサシが座っていた椅子を見てみると、濃い緑青色の羽根が椅子に乗っているのに気がついた。
(これ…ムサシちゃんの羽根だ…。しかも位置的に尾羽、ってことはお尻の近くの…⁉︎)
そこまで考えが及ぶと、ミカは頬が熱くなるのを感じていた。トリニティの間では気になっている相手の抜け落ちた羽根をこっそり持ち帰る事はよくある事である。そしてミカは自分が間違ったことをしようとしたのを意図してるかはともかく止めてくれたムサシに多少なりとも好意を持っていた。
しかし、トリニティに羽根の生えた生徒は居れど、尾羽の生えた生徒はムサシ以外ではミカは見た事がない。そして尾羽はその名が示す通り、尻の近くに生えているものであり、『ムサシの尾羽』は非常にセンシティブなものではとミカは思っていたのであった。
(どうしよう…!流石にコレは持ち帰るのはヘンタイっぽいかな…でもそれだとムサシちゃんが露出してるみたいになるから、まぁ問題ないよね…。じゃ、こっそり…)
そっとムサシの尾羽に手を伸ばすミカだったが、その手首をナギサが掴んで止めていた。驚いたミカがナギサの顔を見ると、彼女の頬が薄っすらと赤くなってるのが見えていた。
ナギサもナギサで、急にホスト代行となってエデン条約の準備で多忙な時に嫌な顔せずに相談に乗ってくれたり支えてくれたムサシに好意を持っていたのであった。
「ミカさん。何をしてらっしゃるのですか?」
「い、いやね?片付けをしよっかな〜て…」
「なら私がやっておくので、ミカさんは部屋で休んでて良いですよ?」
「……ナギちゃんはエデン条約の準備で忙しいんでしょ?だから私が代わりに片付けるよ」
「……片付けもできないほど忙しいわけじゃないので気を使わなくても良いです」
両者共に譲らずに睨み合いが続いていたが、よく見ると椅子の脚近くにもう一本尾羽が落ちているのが見えたのであった。
「「……あ」」
「…二人で片付けよっか☆」
「そうですね…」
なお、ムサシの羽根(尾羽含む)は結構な頻度で生え変わっており、本人が羽根ペンとして使っているし、なんなら弓道部が偶に矢の材料にしているのを知るのはだいぶ後の話である。
さらに言えば、それで出来た矢は飛距離どころか何故か威力も上がってるので強装弾のような扱いになっているのはここだけの話である。
ムサシ「貴女C.E.でもやるつもりですか?」(意訳)
なお、今でも大和が気に入らないトリカスはいますが、トップ二人が釘を刺してるのと、京都生まれの転生組のレスバで折られたり転入組と統合組から取り消せよ今の言葉…!されるのが怖いので多少大人しいです。
ちなみにムサシとミカでは単純な腕力だけならミカの方が強いです。
しかし戦闘経験の差でそれを埋めています。
……そして執筆中に変な電波を受信しましてね。
トリニティの羽根付き生徒が卵産む概念ってあるじゃあないですか?
それがムサシにも適応されるも本人は初めての経験だからミネに相談し立ち会ってもらうも、産卵時に快感が来るとは知らずに悶えまくってトロ顔晒したムサシにムラっときたミネにそのまま頂かれる…というのが浮かんだのですが多分封印します。