万歳風味な転生者たち、透き通る世界へ   作:NTK

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「なるほど…荷物を奪われそうになったから抵抗したと。にしても刀は…え?銃は治安が悪すぎて流通してなかったから持ってない?」

「どこの自治区?……そうか、最近閉鎖されたのか。ならウチに来ないか?我々大和総合支援学園はキミらみたいな子を積極的に受け入れるさ。それに、さっきの剣術も興味深い」

「よし、決まりだな。紹介が遅れたな、私は小城ムサシ。大和学園の総司令官、ようは生徒会長だ。キミらの名前は?………あー、どこまでが苗字だ?」

───とある転入生らの思い出



順風満帆補習合宿

「…コレ、どうなんだろうな?」

 

「私に聞かれても困りますよ司令」

 

 大和学園執務室で、ムサシとコハクの二人が神妙な顔で見ているのは補習授業部の一次試験及び、ヒフミが提案した模試試験の結果であった。

 いずれも全員合格ではなかった点は問題ないのだが、二人が気にしているのはハナコの点数であり、その点数はそれぞれ63点、4点であった。

 

「一発で合格するわけないと踏んで合格ラインである60点を超えたのはわかるが…わざわざ模試で記入欄を最後の二問以外ずらして4点にするなんて…」

 

「司令官、現実から目を背けないでください。ハナコさんの2回の点数を語呂合わせしたら634…ムサシとなってます。司令官宛に何かしらのメッセージでもあるんじゃないんですか?」

 

 そこまでコハクが言うと、ムサシは頭を抱えて机に突っ伏した。

 

「……や〜っぱり怒ってるんかなぁ〜?仕方ないとは言え、半ば彼女の頼みを無視してたようなわけだし、それ差し置いてティーパーティーの頼みきいてるわけだからなぁ…」

 

「あるいは何のメッセージもなく、単に深読みして慌てる司令官を見て揶揄ってる可能性がありますが…確かめるにしても、今は下手に接触すると危険ですし、終わったらちゃんとお願いを聞いてあげてくださいね?」

 

「何頼まれるんだ私…?」

 

 不安げな顔を浮かべたムサシだがすぐに気持ちを切り替えて、今後について話を始めた。

 

「それで、調査状況は?」

 

「アリウス側からの動きはありません。今のところは原作通りかと思われます。マドカさんが現在ミサイル発射地点の特定を行っており、遅くとも三次試験までにはなんとか特定できそうです」

 

「ナギサ経由でウイからカタコンベの出入り口を示した地図を手に入れられたのが大きいな。サクラコさんもユスティナの記録から詳しい出入り口を調べてみると言っていたし…そこを突き止めればミサイル攻撃は防げそうだな」

 

 アリウスについては既に正義実現委員会、救護騎士団、シスターフッドにも共有されており、トリニティの負の側面であるアリウスの問題を解決しようとそれぞれ動いていたのであった。

 

「アズサちゃんも、スクワッドのメンバーから詳しい情報を受け取っているみたいで、セイアさん暗殺計画は入院先が不明のため中止となったそうです」

 

 どうやらアリウスは襲撃を予知されてる可能性があっても行動を起こそうとしているようである。ベアトリーチェとしてもユスティナの複製を手に入れさえすれば良いという算段なのだろう。

 

「ミネさんが信頼してる病院に入院してると聞いてるから情報漏洩はまず無いだろう。他に場所を知ってるのは救護騎士団数名と、万一襲撃された時のためにツルギに話してあるそうだ」

 

「それと、アズサちゃんの話に気になる情報が。どうもアリウスの羽根付き生徒の中で基準に満たない飛行技能を持った生徒を何人かベアトリーチェがどこかに連れているそうです。ただ、サオリちゃんらの話だと暴力を受けたような形跡はないそうで」

 

「…どういうつもりだ?折檻のつもりなら全員連れるだろうし、見せしめというわけじゃないなら…何だ?」

 

 アリウス内部での妙な動きに首を傾げつつも、数週間後に起きるであろうナギサ襲撃に備える必要があるため、一度その問題はあとにすることにした。

 また、アズサに持たされていたヘイロー破壊爆弾だが、メリニの協力の下で解析したところ、一緒に渡された起爆装置以外の操作でも起爆するようになっていたことが判明し、外部からでは爆発しないようにすることに成功したのであった。

 そして話は補習授業部へ向かうメンバーの話となっていた。

 

「確か今日の担当は弓道部だったな」

 

「そうですね〜。時期的にマリーちゃんが来ると思いますが、途中で拾っていくんでしょうね。ナルミさん、マリーちゃん推しでしたし」

 

 実際、馬で向かう途中でマリーと会ったナルミは自分の馬に彼女を背に二人乗りで送ることにし、推しに抱きしめられている事に内心狂喜乱舞していたのであった。

 

「うわ、ルイズコピペみたいなこと掲示板でぼやいてやがる…ハンナの事言えねぇだろあいつ。さて、私もそろそろ行くか」

 

「どちらへ?」

 

「金のマグロ観に行こー!ってユメさんとホシノに誘われてな。ハルナ達は大人しくなってるし、まぁ問題ないだろ」

 

「寧ろ司令官とホシノちゃんがいるとこでそんな事する方が命知らずでしょう…」

 

・・ー ー・・ー ー・ ・・ ・ーー・ ・・ー・ *1

 

 まさか馬でやって来るとは思っていなかった先生と補習授業部は驚いており、特にやはり環境の関係で馬を見たことなかったアズサが想像以上の大きさと脚の早さに驚いていた。

 

「あ、後ろに立たない方が良いよ、本能的に蹴っちゃうから。死にはしないだろうけど、アバラが折れるよ」(一敗)

 

「ふむ…背後を取らせないとは中々賢いな。それにしても、綺麗な毛並み…そっちの馬は真っ白でいいな」

 

「コイツはたまにムサシ司令が乗ってるよ。それ見ると後輩達が黄色い声あげるんだよね」

 

「"あー、白馬の王子様的な感じ?"」

 

「まぁ…そんなとこです」

 

あの人の場合、どちらかと言えば暴れん坊将軍のイメージなんだよなと、ナルミが思っていると、話を終えたマリーがその場を後にしようとしていた。

 

「送らなくて良いかい?」

 

「はい。元々歩いて向かう予定でしたので。送ってくれてありがとうございます。皆さんも、どうか無事に合格出来ることを祈っています。そして世に平穏のあらんことを

 

『世に平穏のあらんことを』

 

(誰だよコレ教えた奴?シスフで流行っちゃったじゃんか⁉︎)

 

(知らん…)(わからん…)

 

 勉強会の方だが、元々補習授業部のみでも順当に成績を伸ばしていたところに大和学園の支援も加わったことでより大きく成績を伸ばすことに成功していたのであった。

 だがそれはそれで本来の目的を考えればハナコが足を引っ張る役回りになってしまうのではと考えたナルミはあとでムサシらに相談しようと考えていた。

 やがて勉強会が終わり、馬に乗ってみるかいという誘いに応じ、ヒフミらは乗馬体験を始めていたのであった。

 

「おぉ…意外と高いな…」「慣れるの早いね〜」

 

「わ、わわ…!」「落ち着いてヒフミさん。バランス崩すと危ないですよ」

 

「ゆ、揺れるぅ…コレより早く走ってる中で弓矢当ててるの?」「そだよ。たかが弓なんてバカにできないっしょ?」

 

「(検閲済)(検閲済)(検閲済)」「何変な声出してんのハナコさん⁉︎」

 

 しばらく合宿所の周りを回り、四人が馬から降りるとハナコの乗っていた馬を見たアズサが何かに気づき驚いていた。

 

「っ⁉︎ナルミ、あの馬、内臓が飛び出てるぞ⁉︎撃たれたのか?手当しないと…!」

 

「え?内臓?……あー、コイツ…‼︎」

 

「ん?…あ、あはは…」

 

「え、こんなに…え…⁉︎はわわ…⁉︎」

 

「あらぁ…あらぁ……」

 

 アズサの指摘を受け馬を見た一同はその馬からぶら下がってるモノに察しがつき、苦笑いをするヒフミ、顔を赤くするコハル、少し引いてるハナコと微妙な空気が漂っていた。

 

「あー、アズサ。コレは大丈夫なやつだから心配しなくていいよ。さて…盛ってるんじゃないよスケベ馬‼︎」(ペシン!)

 

「ヒィン⁉︎」

 

ーーー・ー ・ー ーーー・ ・・ ・・・ー ・ー・・ ・ー・ー・ *2

 

「わぁ…!ユメ先輩見てください!ホントに金色ですよ‼︎」

 

「うんうん、綺麗だよね〜」

 

「相変わらず魚には目がないな」

 

 ゴールドマグロを前にホシノは目を輝かせてユメに声をかけるが、ムサシがいる事を思い出し、恥ずかしそうに軽く咳払いをするが、すぐにまた視線を水槽にむけていた。

 

「あれ、希少な食材なんだってね」

 

「そうですけど、ここで言います?」

 

「ちなみにですが、あのマグロはオスでして、近いうちにメスの個体を迎えて人工飼育下での繁殖ができないか試すそうですよ」

 

 背後からの声に驚いて振り向くと、そこにはハルナの姿があり、ムサシは身構えたが、どうやら普通に見学に来ていたようである。

 ムサシらの教育のおかげか、盗み出す気はさらさらなく、やったとしてもその過程で同じ水槽内の魚が最悪全滅するうえ、そもそも食用として育ててないので味も良くはないので割に合わないだろうという事であった。

 

「それに…もし繁殖が成功すれば、容易にゴールドマグロが手に入る可能性があるので、美食の開拓のためにも静観するのが最善手でしょう」

 

「まぁ…そうだな(どうしよう、唯一の欠点が無くなったから普通に良い人になっちゃったよ)」

 

「では私はこれで。あ、お昼がまだでしたら外のキッチンカーのホットサンドがオススメです。クジラの焼き印が可愛らしいですよ」

 

 オススメされたホットサンドを食べ、ムサシとホシノはペンギンの触れ合い体験をしてるユメを遠目で眺めていた。

 楽しそうにしているユメを見ながら、ポツリとホシノは呟いた。

 

「本当にムサシちゃんには感謝してもしきれないよ。ムサシちゃんが助けてくれなかったら取り返しのつかない事になってたし、先生にも顔向け出来なかった…」

 

「……」

 

「気にしなくて良いってユメ先輩も言ってるけどさ、数日しか過ごしてなかったムサシちゃんが助けに来て、それよりもっと長く過ごした『私』が気にもしなかった事に自分が許せなくって…わわわっ⁉︎」

 

 気持ちが沈んだ様子で話すホシノだったが、ムサシに乱雑に頭を撫で回され、話を強制的に終了させられた。

 

「せっかく遊びに来てんのに、な〜に辛気臭いこといってんの?ってか、私と一緒にいると結構な頻度でその話するよな?ユメさんも気にしてないどころか笑い事みたいに話をしてるから気にするだけ無駄だろうに」

 

「いやまぁ、そうだけどさ…」

 

「何回も同じ話するなんておじさん通り越しておじいちゃんになってるぞ?おじいちゃん、ご飯は一昨日食べたでしょ?」

 

「飢えぇ〜じゃなくて…あーもういいか。本人が全く気にしてないのにこっちがいつまでも気にするのは馬鹿らしいか…」

 

 何度も愚痴に付き合わせてごめんねと、一言謝ったあとホシノは続けて、何かあったら助けに行くからいつでも言ってねと話すと、ムサシはじゃあまずは…とユメのいる方を指差した。

 見るといつの間にか広場内の全てのペンギンに群がられて身動きが取れなくなったユメの姿があった。

 

「ひぃん…ホシノちゃん、ムサシちゃん…助けて…」

 

「まずはユメさんを助けに行こうか。親かと思われてるのか?」

 

「いや、親というよりでっかい妹かなにかと思われてるんじゃない?」

*1
ウマダツチ(ウマダッチ)(和)

*2
スイゾクカン(和)




 ハナコの点数は特に意味はなく、ただムサシを揶揄ってるだけです。

 以下、ヘイロー破壊爆弾を弄ってる時のメリニの独り言

「にしても、かなりおっかないモン作るねぇ…にしても、よく出来た作りだ。でもその割には材料自体はそこまで特別じゃない?ふむ、ここがこうなって…あ。ヤバいヤバい流石にコレはシャレにならないから黙っておこう」
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