万歳風味な転生者たち、透き通る世界へ   作:NTK

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「大丈夫かな…?私たち、報復されたりしないよね?」

「大丈夫だよ。寧ろさっき大和の人たちが暴徒たちがここに来ないようにって入り口で警護しにきてくれたでしょ?」

「うん……ここの人たち、色々とあったかいね。スバル先輩やマイアのことも助けてくれるかな?」

「きっと助けてくれるよ」

───ナギサ襲撃時に保護されたアリウス生徒の会話



夜明けの決戦

 突如として現れたヒエロニムスは辺りを見渡した後、右手の杖を掲げるとこちらの援軍の地面が光り輝き、爆発を起こして一部の生徒らを吹き飛ばしていった。

 

「今のはッ⁉︎」

 

「謎技術…としか言いようがないですね。我々がアレを引き受けます、先生は対アリウスの指揮を頼みます。ツルギさんとヒナさんは先生の援護を」

 

「わかった」「了解したわ」

 

 コハクの指示の後、爆発から逃れたメンバーを集めながらヨウカが彼女に近づき策を聞き出した。

 

「さて副司令…どうする?数は圧倒的に有利だが…」

 

 ヒエロニムス戦では聖遺物が鍵なのだが、当然ながらそんなようなものは見当たらなかった。尤も、あったところで『物体を回復』なんていう芸当が出来るわけがないので手に余るだけであるが。

 

「6人どころかこれだけ大勢で向かえば問題はないですが、闇雲に動いては簡単には倒せないでしょう。私を中心に何人かがタンク役を務めるので、ヨウカさんは隙を突いて他の方と削っていってください。打撃や刺突が使えるのでやりようは幾らでもありますし」

 

「だな。…総員戦闘配置につけ‼︎正実とゲヘナ風紀委員は先生の援護、それ以外はあのデカブツや雑兵の相手だ‼︎」

 

「MG持ちの子はRFの子と組んでリロードをカバー‼︎それ以外の子は彼女らが集中できるようにアリウス兵を近寄らせないようにして‼︎耐久に覚えのある者は私と来て囮役‼︎」

 

 ヒエロニムスの攻撃に驚いていた生徒たちも、二人の指示を受けて落ち着きを取り戻していき、固まって行動を再開していった。

 コハクを筆頭に複数の生徒がヒエロニムスの眼前に躍り出て挑発するように攻撃して意識をこちらに向けさせている間に、多方向からの銃火がヒエロニムスに殺到していった。

 

 当然、ヒエロニムスへの攻撃を止めようとアリウス兵が殺到するが、それを阻むように大和生徒が立ち塞がった。

 

「俺は防衛を行う‼︎」「帰れ帰れー‼︎」

 

「降伏しろ、その方がお互いの為だ」

 

「降伏はしない!ここまで来て諦めるわけには…」

 

「それに自治区にはまだ仲間がいるんだ、それを置いていくなんて真似が…」

 

(人質か…?いや、単に仲間同士の繋がりが強いだけか…ヒエロニムスで士気が上がっているのもあるし、早く倒してこんな戦いを終わらせなくては…!)

 

 そう判断したヨウカは壁を蹴って跳躍しヒエロニムスの腕に飛び乗るとそのまま腕を足場にして駆け上がるとフードに向かって警棒を振り下ろした。

 

 警棒を受けたヒエロニムスのフードは大きく歪んだが、それは頭部を叩き潰したからではなかった。

 

「…ッ⁉︎コイツ、顔どころか、頭がないのか!」

 

 実質空振りとなり体勢を崩したヨウカに向かって杖を持ってない方の左腕が伸び、彼女の身体を掴んだ。

 

「うおっ⁉︎放せ‼︎」

 

「撃てーッ‼︎」

 

 ヨウカを掴む手の力が強まり、あわや握り潰されると感じた刹那、チェリノの号令と共に銃撃が手に殺到しヨウカの拘束が解かれたのであった。

 

「っと、助かったチェリノ会長!」

 

「礼には及ばない。にしても、アレだけ撃たれてるのに全く弱ってる気配がないぞ…」

 

「いや、攻撃の頻度が少しだが下がっている。このまま攻め続ければ…」

 

 四方から絶え間なく銃撃を浴びせられ、時折反撃とばかりに光弾や杖の攻撃を行いこちらの戦力を削いでいるものの、こちらの数が余りにも多いため対処しきれずに少しずつヒエロニムスの身体にヒビが生じ始めていた。

 当然アリウス生徒も妨害を行うが、先ほどのヒフミの宣言を聞いて士気が最高潮となっている大和転生組が相手取っていることもあり、次々と制圧されていった。そんな最中、ガトリングを持ったアリウス生徒数名がコハクに向けて銃撃を加えていた。

 

「喰らえッ!」

 

「おっと!…邪魔しないでください‼︎」

 

「うぐ⁉︎」「あばっ!」

 

「よし…恐らくもうすぐです、気を抜かずにいきましょう‼︎」

 

「なんでガトリングを複数食らってるのに全く体幹ブレずに反撃してんのあの人…」

 

「さっきも光弾食らってもピンピンしてたし、伊達に『副』司令官を名乗ってないですね…」

 

 コハクの余りの頑強さに呆気に取られる生徒という光景もあったが、ヒエロニムスのヒビは少しずつ大きく広がっていき、勝ち目が見えたと思った次の瞬間、ヒエロニムスは両の杖を掲げ始めていた。

 

(アレは…不味い‼︎発動前に倒せ…いや、間に合わない‼︎)

 

「副司令、退避を‼︎」

 

「わかってます!みなさんすぐにここから…」

 

 すぐにその場から逃れようとするコハクたち囮役であったが、杖の光は輝きを増していき、今まさに放たれようとしたその刹那──

 

『Wasshoi‼︎』

 

 その掛け声と共に三つの影が通り過ぎ、ヒエロニムスの空の右手を除いた三つの腕が根本から砕け散っていった。

 

「あ、アレは何だ‼︎」「アレは何だ⁉︎」「まさか…!」

 

『忍術研究部、只今参上‼︎』

 

「ナイスタイミングですイズナちゃん達‼︎」

 

「アレだけ苦労したヒエロニムスの腕をこうも容易く…これがサプライズニンジャ?」

 

 腕を破壊された影響か、または大技が不発に終わった代償か、ヒエロニムスは仰向けに倒れ込み、この機を逃すまいとありったけの火力を叩き込んでいった。爆煙で辺りが見えなくなったところで射撃を止めて様子を伺うと、見る影もなくボロボロになったヒエロニムスの身体が内側から光り始めた。

 

「爆発するぞーッ‼︎」

 

 急いでその場を離れた直後、ヒエロニムスは大爆発を起こして四散したのであった。その揺れから地下にいる先生達の安否が気になったコハクが連絡を入れると、先生達は無事ではあるが、崩落に乗じてサオリらは逃走、説得することも出来なかったとの事であった。

 

ー・ー・ ー・ーー ・・ ・・・ ーーー ー・ *1

 

《逃げられた?あの状況でですか?》

 

「えぇ。どうもサオリちゃんは保護されようかどうかは迷っていたみたいですが…アリウスに残した仲間達が気掛かりだったようで…」

 

 詳しく話を聞いたところ、任務が失敗に終わった以上サオリら…とくにアツコの身の安全は保証できなくなったため、シャーレを始めとしたこちらの保護を受けようかと考えてはいたものの、特攻を命じたマダムの性格上、こちらに寝返れば自治区に残してきた仲間達が殺されるのではと危惧して降伏するにできない状態だった。

 そのなかでアツコが自分の命と引き換えに同胞達の解放を交渉してみると言い出し、それについて口論になったところでヒエロニムス爆発による天井崩落で先生らとサオリらが分断され、行方を眩ませたというのだが、これについてアマツは違和感を持っていた。

 

(あれだけの数がいたのに逃げられる?そんなバカな…仲間が心配なのはわかるけど、あまりにも『出来過ぎている』…これもイズナの時と同じ『修正力』ってやつ?)

 

 だがそれにしても妙だなとアマツはさらに思考を続けていた。

 

(でもある程度の道筋は辿っているはず、何故ここでサオリたちを迎え入れてはいけない?逆に考えよう……ここで彼女らを保護すると何が起きなくなる?サオリらを保護したら、マダムの計画は潰れる。てことは儀式が出来なくなって色彩が襲来しなく………!あー…そういうことか)

 

 そこまで考えてようやくアマツは何故サオリらを保護できなかったか理解できた。

 基本的に先生と生徒の出会いは必ず発生し、大筋を変えても何かしらで引き合うことになるのはこれまでのことで把握してある。

 ──そして、生徒は『この世界以外』にも存在することをアマツは思い出した。

 

(彼女たち…『シロコ*テラー』と『プラナ』この二人が先生と出会わなくなるからサオリたちを保護できなかったのか。つまり、この先──アタシらの知識のその先の物語で、彼女らの力が必要な展開があるという事?それは追々考えよう。今はエデン四章に備えないと…司令官、早く目覚めてください…)

 

 しかし、調印式から3日が経ち、救援に来た各自治区の生徒もある程度の復興支援ののちに撤退した現在でも、ムサシが目を覚ますことはなかったのであった。

*1
ニゲラレタ(和)




(アリウスと手を組んでいたらコレが自分に向けられていたと思い戦慄するマコト)
(ムサシのあまりの影響力に脳を焼かれ始めているカヤ)
(火事場泥棒で痛い目見た悪い大人)
(間接的に将来シバかれるのが確定した地下生活者)
(ムサシが撃たれた以外何も知らない陸八魔アル)

 数の暴力でギミック無視かつゴリ押しされた挙句、サプライズニンジャされたヒエロニムスくんに合掌。なおマエストロ的にはこれはこれでアリな模様。
 ムサシはまだ目覚めません。というより、推定撃たれたその日の夜が明ける前に前線に復帰してる原作先生は何者なんですかね?
 親戚に風鳴か照井か杉本って人でもいるのでは?

 次回からベアおばシバき編なのでお楽しみに。
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