(ミカさんかセイアさん…どちらを実行委員に加えるべきでしょうか…?)
キヴォトス晄輪大祭。二年に一度開催される各校が一度に集まり競技するスポーツ大会であり、各自地区はそれぞれ外部に向けてのアピールをする絶好の機会でもある。
ムサシたち大和総合支援学園は前回の大会では設立した直後であり、参加を見送る事となったため、今回の参加が初めてということで以前から集まっていた注目がさらに集まっていた。
「──というわけでだ、私もだけどコレがムサシたち設立組にとって最初で最後の晄輪大祭となる。だからこそ、我々が総合優勝を果たす事で彼女たちへの恩返しをしようではないかね‼︎」
大和学園内の多目的室内で集合してる生徒たちの前でそう力説するのは統合組三年生、元リナリア自治区生でありムサシと中学時代からの同期である
転生者たちの中ではヨウカが古参ではあるが、非転生者も含めると彼女が一番ムサシと付き合いが長いメンバーである。
「そうだねぇ。それがあの人たちに対する最大のお返しだしね」
「てか私ら三年生もだけど、二年一年の子達の方が滅茶苦茶やる気いっぱいだし。特に二年は転入生が多いからね」
同じ三年統合組の南ミナミ(元ルピナス)や、金子カネコ(元ヒヤシンス)もナナミの意見に同意する。余談だが、統合組の生徒の大半は彼女らのように名前と名字が全く一緒である。
彼女らの言う通り、統合前の自治区の生まれなのでそのまま入学してきた一年生より、何かしらの理由で別の学園から転入してきた者が多い二年生の方がやる気に満ち溢れていた。
「こちらとしても、これまでのお礼するには良い機会だし、頑張るつもりだよ」
「そういえばメリニ、ワイルドハントって外出するのが厳しいって聞いてるけど、晄輪大祭のときもそうなの?」
「いや、開催期間だけは大丈夫だ。外部に触れて芸術へのインスピレーションを得る機会でもあるからね。まさか参加する側になるとは思ってもみなかったが。知り合いに会えるといいな」
メリニが旧友との再会を楽しみにしてる傍ら、ミズホはミズホで今回の主催がミレニアムであるため、うまく運営ができるか若干の不安があった。
(まぁリオ会長やユウカちゃんもいるし、大丈夫か)
「競技だけど、アーチェリーは2人参加できるみたい。1人はナルミだとして…カゴメちゃんいけそう?」
「もちろんです!ナルミ部長からのお墨付きの腕前、お見せしますよ‼︎」
「てかさ、競技は設立組がどう参加するか決まってからの方が良くない?」
「あーそうだね。先に聞いた方がいいね」
その場は一度解散となり、校舎の各地で晄輪大祭への意気込みで賑わう様子を見て、ムサシは生徒会室で満足げな笑みを浮かべていた。
「みんなやる気に満ち溢れていいねぇ…」
「そりゃ、司令に恩返しできる大チャンスですしね。張り切りますよ」
(晄輪大祭での大きな問題はハナコさんの放送事故くらいですが、司令官に気があるうえ、私たちが初参加な以上こちらの面子を潰すような真似はしないでしょうから、気が楽ですね…)
仮にしでかした場合、意気込みの分だけ初参加を台無しにされた事で怒れる後輩たちにハナコが襲撃される可能性があるため、充分に注意する必要があるが、それでも自分たちのために頑張ろうとしてる後輩たちに嬉しさを感じ取っていた。
私たちも頑張りますよ!と一般大本営生徒たちもサムズアップしていると、ふとムサシが思いついたように顔を上げた。
「…よし、頑張る後輩たちのためにこちらも一肌脱ぎますか」
「えっ?何する気です司令?」
・ー ーー・ー・ ーー ・・ー *1
教室内で話し合っていたナナミたちだが、その最中で校内放送が流れ、全員が静かになり放送を聞き始めた。
《あ、あーテステス…よし。さぁて親愛なる我が後輩諸君。晄輪大祭への意気込みがあって大変よろしい。それでだ、キミたちがより頑張れるよう、当日我々大本営がキミたちを応援しようと思うのだがその衣装なんだが…チアガールと学ラン、どちらが良い?》
ざわ、と教室内の空気が一変するなか、ムサシは言葉を続けた。
《キミたちがよりモチベーションを高めるために希望に沿った衣装にするつもりだ。発注の関係もあるため、明日には決めてくれると助かる。なお、ちゃんと話し合いで決めてくれよ?今怪我したら参加できないし、応援を受けられないぞ?では、放送終わり》
「………全員、体育館集合ォォ‼︎」
即座に各教室に連絡し、体育館に集まりチアガール派と学ラン派に分かれて討論を開始し始めた。
「ハイ‼︎ムサシさんには学ランを着てもらいたいです‼︎」
「いやいや!ここは敢えてチアガールを着て欲しいと思います‼︎」
「私も賛成。ムサシのカッコいい姿はよく見るけど、可愛い衣装着るとこはあまり見ないからね」
各自好みの格好についての主張を重ねていると、メリニ(チア派)があることに気がついた。
「……待て。さっき、『我々』と言ってたな?つまり、コハク副司令やアマツ会計も同じ格好を…?」
『………何?』
「ちょっと待ってそれなら話は別よ‼︎副司令の学ランが見たいわ‼︎」
「アマツちゃんの!格好いい衣装を拝みたい‼︎」
「これ以上コハクさんのおっぱいを拷問させる気⁉︎チアガールで解放させてあげよう‼︎あとついでに生足をみたい‼︎」
「ペタンコチアの需要はありまぁぁぁす‼︎」
さらなる火種の投下に湧き立つ様子を陰から見ているヨウカはやや引き攣った顔でムサシたちに報告していた。
「おーい、ものすごく白熱した討論が行われてるぞ?初めての内乱がコレでいいのか?」
《だいぶ健全でいいだろ?銃撃になりそうなら止めてくれよ?》
(もはや性癖博覧会になってるが…まぁ年頃の子の話としては普通か…?)
ヨウカに指示を出したあと、ムサシは振り返ってコハクたちに声を掛ける。
「まぁそういう事だ。我々も競技を頑張るとともに、後輩たちにエールを送ろうじゃないか?」
「いやあの、私たちも巻き込むなら相談してくださいよ…やりますけど」
「ホントこの人後輩たちへのファンサービスが凄いんだからもう…ゴメンね君たち?巻き込んで…」
「いえいえ!生徒会役員として、しっかり応援しますよ‼︎」
「同じくです‼︎」
アマツの申し訳ない謝罪に元気よく答える大本営生徒だが、彼女らは彼女らで狙いがあった。
(確かに、ムサシさんたちからの応援を受けられないのは残念だけど…)
(しかし‼︎我々も応援に加わるということは司令官たちとおそろっちになれるという事‼︎それはそれで良い‼︎)
一方で、未だ体育館では結論が出ずに生徒たちの議論はまだ続いていた。割と聞き分けがいいのか、銃口ではなくちゃんと口で話していた。
「イケ女のカッコいいトコはなんぼあっても困らないでしょ?しかも応援してくれるってんならなおさらよ‼︎」
「いやいやいや!それならね、可愛い衣装でがんばれがんばれ♪してもらいたいじゃん⁉︎それにチアなら司令官のえっちな腹、筋…が……」
そこまで話すと、場の空気が静まり返っていた。そう、ムサシはこの前の事件により腹部を負傷し、銃創が残ってしまったことを思い出したのであった。
「……待って。あの人、自分の身体のことわかって言ってたのかな?」
「そう…かな?ムサシさん、『この通り、私は気にしてないからキミらも気にするな』ってタイプの人だし…」
「ちょっと確認するわね」
モモトークにてナナミはムサシに確認のメッセージを送り出す。
トーク画面を閉じ、不安そうに見る生徒たちに向けてナナミはニカッと笑って応えた。
「スゥ…黒インナーとストッキング入りまぁぁす‼︎」
『yeahhh‼︎』
「黒インナーとストッキング…だと…⁉︎アリね‼︎」
「インナー越しのへそや腹筋から得られる栄養はいずれガンに効くわ」
「仕方ない、チアに譲るか…」
「悔しいが、学ランは精々サラシくらいしかない…あとで広報用の撮影名目でお願いしよう…」
こうして、大和学園初の内乱はチア派の勝利で幕を閉じ、衣装合わせや競技種目の相談など諸々の準備を整え、晄輪大祭の日がやってきたのであった。
大本営モブちゃん=生徒会箱推し部
今作、リオ会長が失踪してないので彼女もあのスタイルであの体操服を着ます…ヤバいですね!
ムサシたちの応援衣装は考えた結果、チアにしました。
イメージは下記の通りです。(パーツの関係で胸のインナーが飛び出てますが気にしないでください)
【挿絵表示】
ちなみにコハクはインナー無し+白ニーハイ
アマツは白インナー+白ストッキングです。
次回、競技開始です。