「当たり前だボケ。飛んだら反則だろあんなの」
「SRTも残ってるからFOX小隊も参加するみたいだし、楽しみだな」
(それはそうと、パトロールのコース内でキリノが気に入りそうな屋台はと…)
『……誓います‼︎』
懸念していた放送事故は起きず、無事に選手宣誓が終わり、実行委員としてコハクとマドカが事務室に向かうと、原作通りのメンバーに加えて、イブキとセイアの姿が見えていた。
「あ!コハク先輩久しぶりー!」
「久しぶりイブキちゃん。…万魔殿はイブキちゃんだけ?」
「うん!マコト先輩たちが卒業しても1人で頑張れるようにしたいって言ったら任せてくれたの‼︎」
「なるほど、そうですか…」
心なしか面倒臭そうな顔をしているアコをみるに、何かあれば風紀委員に責任を押し付けるつもりなのだろうと察した。
「それで、セイアさんは体調の程は?」
「問題ないさ。幾ら多忙とは言え、色々と世話になったのに君たちの初参加に生徒会メンバーがいないのは不義理とナギサが申してね。ミカはトラブルを起こしそうだし、私が立候補したわけさ。ナギサが心配してたが、ハスミたちもいるから問題ないと言ったんだがね…」
むしろハスミの方が問題を起こしそうなのではとマドカは内心思いながらハスミに目を向けると、ハスミはイブキを不思議そうな顔で見ていた。
「…何故子供がここに?」
「トリニティにあるかは知りませんが、我がゲヘナには飛び級制度がありましてね。彼女は歴とした高校一年生ですよ」
「ホントだよ!これ、イブキの学生証!」
イブキが小さな羽でハスミの目線まで飛び上がり学生証を見せると、それが本物であるとわかったハスミは考えていた。
(どういうことでしょう…?我々の相手など子供で充分というマコト議長の意思表示?いや、コハクさんらが初参加な以上、そんなつまらない意地を張るでしょうか…?となるとあの子の言う通り、単なる成長のための社会勉強…?)
疑心暗鬼になっているなか、イブキの視線に気がついた彼女はイブキに目線を合わせた。
「えっと…まだ何か?」
「…おねーさん、すっごく大きいね!イブキ、将来おねーさんみたいに大きくなりたい‼︎」
コンプレックスの体格を指摘されて一瞬カッとなったが、直後に純粋な憧れの眼差しと共に放たれた言葉に毒気を抜かれていた。
少なくとも、この子自身には悪意はないなと悟ると、なれるといいですねとイブキに笑顔を向けていた。
(体操着をまともに着られない体格の人を参考に…と思いましたが、コハクさんも似た体格の上、ジャージまで着崩してるとなれば下手なことは言えませんね…)
アコの指摘通り、コハクのジャージ(緑)はハスミと同じく胸のところでつかえて強調されるようになっており、
「すみません、どうも発注した服が小さかったようで交換も間に合わず…申し訳ございません、このような格好で…」
「あ、いえ…別にそこまで気には…」
「お互い、体格には苦労しますね…」
(まぁこの人、トラブル起こさせないためにワザと小さい服発注したんですけどね。司令の胸じゃこうはいかんから副司令が実行委員になったわけで…)
・ーー ー・ ・ー *1
実行委員が細かい打ち合わせをしている一方、競技が始まるまでの間にナナミたちは屋台巡りをしていた。
百夜堂や玄武商会が出店を開いてるなかに混じり、アズキたちも和菓子の出張販売を行なっていた。
「いらっしゃいませー!屋台巡りに片手で食べられる羊羹、如何ですかー?」
「芋羊羹もありまーす!食べても巨大化しないので安心してください!」
「アズキたちの店も繁盛してるね〜。お、ムサシ。そろそろ着替えなくていいの?」
「もう少ししたらな」
1人で散策してたムサシと合流し、共に歩いていくとメリニが誰かを見つけて声をかけており、見ると白い長髪で大きな帽子の少女がそこにいた。
「あ、エリ!久しぶり〜。見学に来たんだ」
「メリニちゃん?わぁ、ホント久しぶりですね!…えっと、その方たちは?」
「あぁ。この人がムサシ司令官。それにナナミ先輩に、今私がいる植物開発部のミズホだ。ムサシ司令官たち、この子はワイルドハントの友達の白尾エリ」
「その、ええと…ワイルドハントの白尾エリです…。はじめ、まして…専攻は絵画で、オカルト研究会もやってます…」
「オカルト研究会?」
「は、はい…その、魔法とかの研究で…メリニちゃんからはよく炎の儀式…で使う金属粉を貰ってて…」
「すいません、この子人見知りが激しくて…」
メリニに隠れるように身を寄せて不安そうに話すエリを見て励ますようにメリニは背中を摩っていた。ミズホはその様子をじっと見た後、エリに声をかけた。
「ふむ…ねぇ、ハーブとかもその部活で使ったりする?」
「え?…あ、はい…多少は…」
「よかった。ならコレ、私の連絡先。メリニの友達だし、格安で卸してあげる」
「あ、どうも……あれ?貴女はミレニアムトマトの…?でも、なんでオカルトの私に協力を?こう言っちゃうとアレですけど…科学と反対ですよ?」
「よく言うでしょう?『高度に発展した科学は魔法と変わらない』って。絵画も部活も頑張ってね」
「…っ!はい!」
自身の活動を認めて貰えて嬉しいのか、エリは笑顔で去っていった。
──後日、ハーブを卸しにミズホはメリニと共にワイルドハントに赴くが、その際に『トマトの神様』として大勢の生徒たちに祀り上げられる事態になるのは別の話である。
・・ー・ ・・ ーー・ ・・・・ ー *2
《クロノスチャンネルをご覧の皆さん‼︎まもなく第一競技が始まります‼︎注目すべきはやはり、今大会初参加の大和総合支援学園でしょうか‼︎さて、どんな活躍を…⁉︎待って待って!カメラ、観客席に戻して‼︎》
シノンの指示でカメラが観客席に向くと、チアガールの衣装に身を包んだムサシたち大本営のメンバーが映し出され、競技開始のピストル音の後にムサシが右手を上げて合図すると一斉に踊り始めた。
シェイク、ボックス×アーム、足上げターンなど、練習を重ねていたのか澱みのない動きで競技メンバーを応援しており、観客席に来た時点からざわついていた雰囲気がより一層湧き立っていた。*3
「な、なんだぁっ」「しゃあ‼︎チア・コス‼︎」
「生徒会自らが…⁉︎」「流石だぁ…」
(無言のシャッター連射)
《なんとなんと‼︎ムサシ司令官たち生徒会メンバーが参加者たちの応援活動を行なっています。しかもチアガール衣装で‼︎これはアガる事でしょう‼︎》
現に応援を受けた大和生徒たちのコンディションとテンションは最高潮となり、凄まじい勢いで続々と好成績を収めていたのであった。
そしてその様子をテレビや携帯で見ている各自治区の生徒の反応も様々であった。
「ムサシさん…!こんな大胆な格好で足を上げて…!」
「ナギちゃんナギちゃん‼︎テレビ見て…わーお、すっごい食い入るように見てる…」
「しまった…‼︎このマコト様が自ら応援すれば士気高揚で優勝へ導き、その偉業をキヴォトス中に広めるチャンスだと言う事を失念してた…‼︎」
(いや、知名度低いんですから知らない人から応援されてウザがられるだけでは…)
「あぁ、姉様…っ!なんと麗しい…!直接お見えになりたいですが、私が来れば騒ぎになって中止に…しかし、あのお姿を直で見られないのは…‼︎」
ワカモが隠れ家で葛藤していると、モモトークがコハクから送られ、見ると幾つかの自撮り写真が載っていた。
『行こうか迷ってるだろうから送るね。だからこれで我慢してね?』
「姉様……‼︎このワカモ、感謝の極みでございます…‼︎」
実行委員の仕事もあるため何度かコハクは応援から抜けていたが、ムサシとアマツはしばらくの間後輩たちへのエールを贈り続けていた。
自身の参加競技も近くなり、休憩と着替えも兼ねてムサシが更衣室に向かうと、後輩たちがタオルを差し出してきた。
「ムサシ先輩‼︎これ使ってください」
「あぁ、ありがとう。キミたちも、よく頑張ってくれたね」
「もちろんですよ!絶対に総合優勝を果たして、貴女に恩返ししたいので‼︎」
「そうかそうか。…さて、私も頑張るとするか。タオルありがとう」
タオルを返して控え室に向かうムサシを見届けると、後輩たちは怪しい笑みを浮かべてそそくさと人気のないところへ向かい、すでに待っているメンバーと合流した。
「…回収できた?」
「バッチリよ。じゃ、事前のクジの結果通り貴女から…」
先ほどムサシが使ったタオルを受け取った後輩は、軽く深呼吸をすると、それを顔半分を覆って匂いを嗅ぎ始めていた。
「はぁぁ…‼︎柔らかな甘味と、ビターな酸味…芳醇な
「一番乗りいいなぁ…」
「アンタはコハクさんの嗅いだでしょ?」
「あと10秒したら交代ねー」
ワイワイとタオルを回している様子を偶々パトロールしてたイチカが陰から見てドン引きしていた。
(うわー…。変な取り引きかとあとをつけて見てみれば…いや変といえば変ッすけど…濃いなぁ…変にバレると面倒なことになりそうっすし、見てないことにしましょう、うん…)
なお、イチカはイチカで正実の後輩たちから似たような事をされてるのは彼女の知る由ではなかった。
Q.もしかしなくても、ムサシたちは後輩たちから割と性的に見られてる?
A.ハイ‼︎(クソデカボイス)
イブキとセイアが実行委員に加わり、イブキ効果でギスらずに済んでます。幼女は正義。
応援の効果で滅茶苦茶バフがかかってますし、クロノスも視聴率が上がってます。なんなら急遽ワイプで応援の様子が映ってます。コハクのおっぱいブルンブルン‼︎