「…あ、すいません。この途中にあるロシアンルーレット、アタシだけ空砲1、実弾5にするのは…ダメ?そう……ちぇ」
ムサシが参加する競技は借り物競走であるが、サキやユウカと同じではなく、第二チームとしての参加であった。
参加する競技者はムサシの他にイチカとカンナ、そしてユキノであった。
「珍しいですね、カンナさんが競技に出るなんて…」
「ハメられたんだ、コノカにな…徹夜明けにサインを求められてな…」
「ヴァルキューレも大変っすね〜」
「第一じゃサキが失敗したが、ここで取り返すとするか…」
各自レーンに並び準備する中、観客席は参加者たちが誰も皆顔立ちの整ってる者であるため、自分のところにやって来ないか期待に胸を躍らせていた。なんならまだお題で『好きな人』が出てない可能性もあるため、そちらの方でも期待している者もいた。
お題についてだが、詳しいルールによると特定の人物であれば非公開で、物品の場合はそれを持っているであろう観客のいる所に行くまでは話さず、またその場所でお題を言った場合は受け取るまではそこから別の観客席に移動してはいけないルールのようであった。
スタートの合図が出され、歓声を受けながら走者は一斉に走り出す。
トップバッターはユキノであり、早速お題の入った箱に手を入れて紙を取り出した。
「飛翔禁止があって良かった。さて、お題は……っ⁉︎」
紙を開き、中を見たユキノは思わず固まってしまう。それもそのはず、書かれていたお題は【火縄銃】であったからである。
(ひ、火縄銃だと…?誰がそんな古い銃を持っているんだ…大和学園?それとも百鬼夜行か…?いや、もしかしたらモエが持ってるかもしれないな…)
一縷の望みを賭け、モエの方に駆け寄り手すりに寄りかかってユキノはモエに質問した。
「なぁモエ…火縄銃、持ってたりするか…?」
「んぇ?流石にそれは持ってないですよ〜…あ、でもアマツ先輩が持ってますよ」
「本当か⁉︎」
「はい、アマツ先輩の家に遊びに来た時に置いてありましたよ」
「い、家……」
どう考えても間に合わないと悟り、ユキノはそのまま膝から崩れ落ちていった。
「なんで持ってるんだアマツ先輩?」
「肝練り用だって。私も偶に参加してるよ」(3敗)
「…あれって構造上出来ないはずでは?」
「だからさ、引き金にバネ付きのフタ仕込んでそれをゴム紐で引っ張ってその先を縄に結ぶの。で、縄の火で焼き切れたらそのままバネが閉じて引き金が引かれるってわけ。いやぁ、あのスリルたまんないよぉ…♡」
そうしてる間にも後続が到着し、次々にお題の紙を手に観客席に向かっていった。
「ピンクの水筒持ってる子、いないッスかぁ〜?」
「ねぇ、それ渡したら?」
「これはピンクじゃない、マゼンタなの‼︎」
「すまない、貴方の犬用ガムを拝借したいのですが…」(ニコォ)
「ひぃ⁉︎は、はい…どうぞ‼︎」
各自それぞれのお題を入手するなか、ムサシはお題の紙を見て少し悩む素ぶりを見せて立ち止まっていたが、意を決した顔で辺りを見渡しツルギを見つけると一目散に駆け寄り、彼女に手を伸ばした。
「ツルギィ‼︎来い‼︎」
「……きへ?」
真剣な表情で呼ばれ、一瞬固まるツルギだが観客席から降りてムサシに近寄ると、そのままムサシに抱き抱えられ、ゴールまで連れ去られていった。
その一連の様子に観客席やクロノスも大盛り上がりを見せていた。
《おおーっと⁉︎これはもしかすると、もしかするかもしれませんよ皆さん‼︎》
いや、それは絶対にないな。とコハクやナナミたちは確信していた。
「司令官はツルギさんのことは親友として見てます。少なくとも恋愛的な好きな人では無いですね。第一それなら悩む理由がわかりません」
「悩んだ、という点から羽根のある生徒や委員長の線はない。とすればムサシのお題はツルギさんに当てはまりはするも、選ぶには少し躊躇うもの…顔が怖い人、或いは胸が大きい人あたりかな?」
当のツルギ本人も、何故自分が選ばれたのか分からず、ムサシの腕の中であわあわとしていると、ムサシは申し訳ないような顔でツルギを見ていた。
「…先に言っておく、すまない。候補は何人かいたが、キミなら問題ないと思ってな…」
「?」
ムサシの言葉の意味が分からず、ツルギは首を傾げていた。
ツルギを抱えてるとはいえ、ゴールが近かったこともありカンナ、ムサシ、イチカの順でゴールし、ユキノのリタイアを申し入れ、ノアによるチェックの時間となった。
「はい、ではカンナさんから…ハイ、クリアです。ムサシさんは、なるほど…こちらもクリアですね」
イチカの方もクリアとなり、お題の紙を回収しようとした時、ムサシのお題の紙が突風で舞い上がってしまう。この機会を逃すまいとカメラは紙を追いかけ、その内容を捉えた。映し出された画面にあったのは
であった。
「………」
「あ、あー…ムサシさん、これは事故なので失格扱いにはしませんので、安心してください、ね…」
「あぁ。ど、どうも…」
気まずい空気が流れる中、ノアのフォローにムサシが頷くと、ツルギの視線が背中にずっと突き刺さっていた。
「………ムサシ、こっちを見ろ」
「いや…だから先にすまないと言ったんだ…ミレニアムの生徒でも良かったが、全速力で運んで気を失ったら猫背判定を貰えないかもしれなくてだな……」
「………」
「そんな顔しないでくれ…いや、マジでごめんて」
機嫌を損ねたツルギを宥めるのにムサシは10分以上の時間を有したのであった。
・・・ ーー ・・ ・ー・・ ・ *1
「ちゅわちゅわちゅわよ〜‼︎」
《コハク選手、圧倒的な走りで仮装レースを制しています‼︎いやぁ、何がとは言いませんが揺れてますねぇ!これ放送できます?あ、問題ない?ならいっか‼︎》
(副司令、イタココスは反則でしょう…カラコンと衣装だけでいいんですから…)
(イタコはフィーナじゃろ…)
仮装レースをコハクが制しているのを横目で見ながら、ムサシは観客席を散策していると、サオリの姿を見つけた。
アリウス解放後、約束通りサオリ達は自首したが、先生を始めとした関係者たちからの減刑嘆願書が多数送られたこと、ゴルコンダが提供したベアトリーチェが行ったアリウス生徒に対する仕打ちの証拠から情状酌量の余地が充分にあること、そしてなにより銃撃されたムサシ本人からも減刑を望んだことから監視付きの仮釈放となり、晄輪大祭は観戦のみとなっていた。
「やぁ、楽しんでるかい?」
「まぁな。ヒヨリは食べ過ぎて医務室の世話になってるがな」
「ははっ。…キミが参加できなくて残念だよ」
晄輪大祭は二年に一度。故に二年生であるサオリはもう参加できない事をムサシは残念そうにしていると、サオリは気にするなと声を掛けた。
「マダムの支配から解放されただけでもありがたいさ。それに、姫…アツコがいる。次の開催にはアリウス分校を参加させるって息巻いてたよ」
「そうか、頼もしいな」
「それより、周りの目があるのに、私と話してていいのか?」
調印式の出来事と先ほどの歓声でムサシの人気は把握している。そのためそんな彼女を撃った自分と話してるのは如何なものかと心配しているとムサシは問題ないと笑っていた。
「むしろ逆だよ。ここでキミと仲が良いとアピールすれば周りの誤解も解けるし、こちらも気楽で済むし…丁度カメラ向いてるな。あ、スバルもいるな。おーい、スバル。こっちに」
偶々近くにいたスバルも呼び寄せると、ムサシは両脇に2人を肩に抱きカメラに向けて笑いかけた。
「あの、いきなり呼んで何を…?」
「いやなに、私とアリウスが仲が良い事をカメラに収めようとね。ほら、カメラに向かって笑いなよ。アリウスの子も見てると思うしね」
「あの子達も…なら…」
「そうだな。私も、表で堂々とムサシと話をしたいしな」
ムサシに促され、ややぎこちない笑顔をするスバルと、自信満々の笑顔を向けるサオリの姿がカメラに映り込む。
あの時はマスクをしており素顔が見えなかったが、今回はサオリのその整った素顔が映り込み、ムサシを挟んで反対にいるスバルもまた顔立ちが整っている。
そしてムサシを加えた3人の笑顔がテレビに映し出され、視聴者達は沸き立っていた。
後日、彼女たちにモデル撮影や執事喫茶の仕事のオファーが殺到したのはのちの話である。
・ー・ ー・ー・ ー・・ー・ ・ー・ー・ ・ー・ ・・ーー ー・ ・・ *2
競技の途中でトラッククラッシャーが暴走したがすぐに制圧し、他にも異常がないかアマツたちが見回ってると連絡が入ってきた。
《アマツさん、こちら吉田です》
「どうかしたの?」
《いや、大したことではないのですが…その…観客席に制服からして多分ワイルドハントの子でしょうが……豆なしうすいろずんだもんみたいな子がいるんですよね。アマツさんのいるところから丁度真向かいくらいです》
「……はい?何を言って…ホントだ⁉︎豆なしうすいろずんだもんじゃん‼︎誰だあの子?」
転生組も件の生徒を見つけ、誰だ誰だとざわついていたが、メリニの情報からリツという生徒と判明し、こんな生徒もいるのかと納得していった。
イカれたスリルジャンキーなアマツですが、死因とは全く関係ないです。完全にキヴォトスに来てから見つけた趣味です。
彼女らはヴァルキューレの水着イベントまでの情報しか知らないのでそれ以降のストーリやキャラを知りませんし、それがメインなのかイベントなのかも当然知り得ません。コノカは仕事上の付き合いで知り合ってます。
まぁ当時未実装キャラの声をいち早く知れたメリットもありますが。
…久々にコードギアス見直してますが、アーニャ…ミユだったんすね。声優凄い。