「なーんでナマコソーダ飲み競争に参加したんですかアマツさん…」
「好奇心は抑え切れるものではないからね…だが、こういう刺激も悪くは…いやダメだこれ…ぐふ」
「衛生兵ーッ‼︎」
《アーチェリー競技、第一・第二会場それぞれの一位は大和学園の石川ナルミさんと同じく大和学園の
競技結果を伝える放送を聞きながら、ヨウカは見回りを続けていた。
(騎馬戦も先ほど終わった。あとは休憩を挟んでリレーで終了か…みんなよく頑張ってくれた。本来ならここにはいないはずの者たちが団結して優勝を目指すとは…やはり、ムサシをリーダーにして正解だった)
そのうちの何名かからよくない目でムサシを見てる事には目を瞑り、多分自分もそういう目で見られてるのだろうなと苦笑いを浮かべていた。
(そうだとしたら彼女らには悪いが、この姿になっても私は妻以外の人とは恋愛関係になるつもりはないんだよな…)
ふと見ると、休憩しているフブキとキリノの姿を見つけるとヨウカは屋台の方へ足を運んで行った。
・ーー・ ーーー ・・ ・・・ ーーー ー・ *1
「や、2人ともお疲れ様。私から差し入れだよ」
「ん〜?あ、ヨウカ先輩。ありがとうございます〜」
「ヨウカ先輩ありがとうございます!これ、ツナマヨクレープですか?」
「そう。マヨネーズ好きだろ?フブキはドーナツね」
クレープを受け取り、美味しそうに頬張るキリノを優しい目で見るヨウカの姿をじっとフブキは眺めていた。
ヨウカがキリノを可愛がってることはヴァルキューレ内でも有名であり、妙に父性を感じる行動や言動から親子扱いされることもしばしばあった。
キリノ自身も多少恥ずかしさはあるものの、嫌ではないのと射撃訓練に付き合ってもらい多少は向上した(人質に当たるが急所ではないレベル)ので年上の従姉妹のような感覚で接していた。
多少の会話をした後、キリノ達と別れたヨウカにマドカが心配そうな顔で近寄ってきた。
「ヨウカさん…仲が良いのは構いませんが、そのうち名前間違って呼んだりしないでくださいよ?」
「いや、その点は問題ない。あの子とは決定的に違うとこがあるからな」
「なんです?胸ですか…ってイデデデデッ⁉︎脇腹摘んで捻るのやめてくださいよ‼︎」
「失礼なこと言うからだろ。…あの子はマヨが嫌いで、ケチャップ派だからな」
「そ、そうですか…あの、そろそろ離してくれません?千切れますってこれ⁉︎」
《えー、ただいま集計が出ました!現在なんと!トリニティ、ゲヘナ、ミレニアムそして…大和学園が同率一位です!つまり、このあとのリレーで勝者が決定します‼︎大和学園が初参加初優勝を飾るのか⁉︎はたまたそれを三大校が阻むのか⁉︎チャンネルはそのままでご覧ください!》
アナウンスが流れ、最終競技のメンバーをどうするか考えていたナナミは念のためムサシに参加するか問いかけていた。
「ん?私は出ないぞ?」
「だよね〜。一応理由を聞いても?」
「優勝して私や設立組への恩返しをするのが目的なんだろ?なら私が参加しちゃ意味ないだろ?」
「そう言うと思ってたよ。トリニティはツルギさんがアンカーかなぁ…」
「いやぁ、多分出ないと思うぞ?向こうが勝つ気なら最初から殆どの競技に出るはずだし、アイツはこういったイベントはみんなで楽しむタイプだしな。それに…仮に私とツルギが参加したら、互いに白熱してうっかり飛んで共に失格になりそうだしな」
「あー…そっか。…なら、私が出るかな」
「良いんじゃないか?キミの足の速さは昔から知ってるしな…勝ってきな、ナナミ」
軽くハグして背中を叩くと、ナナミは任せなと親指を上げて答えていた。
チア衣装に再度着替えて観客席を移動してると先生とユメの姿があり、2人はこちらを見つけると話しかけてきた。
「"ムサシ、最後は参加しないで応援に回るんだね?"」
「えぇ。最後はみんなに頑張って貰いたいですらね」
「ムサシちゃんがそういう可愛い格好するの初めて見たよ!すごく似合っててるよ!」
「ありがとうございます」
丁度そこへ、バスケットを持ったイロハがやって来た。どうやらマコトから先生に差し入れを持ってくるように言われたらしく、面倒くさそうな表情をしていた。
「有り合わせで作ったサンドイッチですが…良ければお二人もどうぞ」
「いいの?ありがとう!」
「では頂きますね」
ユメとムサシがサンドイッチを手に取り食べるなか、先生はイロハに質問していた。
「"イロハ、これ中身は何?"」
「これですか?先生の好きな鶏ももサンドですが…」
「ブフッ⁉︎ゲホッゴホッ‼︎」
何故か突然吹き出して咽せるムサシに3人は首を傾げるが、イロハはあー、と納得したような顔を浮かべていた。
「もしかして、共喰いに「はっ倒しますよ?」…冗談ですよ」
ーー・ ーーー ・ーー・ー *2
最終競技のリレーが始まり合図の元で一斉に走り出し、次から次へとバトンが繋がれていった。
「メリニさん、お願いします‼︎」
「任されたよクミ!ムサシ司令官たちに優勝をプレゼントさせてやろうじゃないか‼︎」
クミからバトンを渡され、メリニは颯爽と走り出し、差を伸ばしていく。やがて第三走者のミナミへとバトンを渡していくが、走って少ししたところでその横をホシノが通り過ぎていった。
「嘘ォ⁉︎ここでホシノさん⁉︎てか脚早ッ!」
「うへ〜ユメ先輩が見てる以上、こっちも負けられないんだよね〜」
第三走者全員にバトンが渡り、アンカーがコース内に入るとハスミの姿を見つけたナナミは彼女に声をかけた。
「ハスミさんがアンカーなんだ?」
「えぇ。ツルギから楽しんで参加してとの事でしたので。そちらも?」
「似たようなものかな。ムサシ、ツルギさんが居たら一緒に飛んじゃいそうだって言ってたよ」
「…ふふっ。ツルギも同じようなことを言ってましたよ」
「ホント仲良しだねあの2人。…お、先に来たようだ。悪いけどムサシ達のためだ、本気で勝たせてもらうよ」
「…っ!こちらも負ける気はありませんよ!」
「2人だけで話して…!私だって負けないんだから!」
一足先にナナミが受け取り、ハスミやユウカ、他の学園のアンカーもあとに続いて走るが、ナナミはある事実に驚いていた。
(え…?あの2人、脚遅い…⁉︎ジュンコちゃんも転んだし、このままいけば…!)
後方に気をつけながら走っていくと、足音がどんどん近寄って来るのが聞こえ、ふと横を見るとジュンコが並走していた。
「マジ⁉︎転んだのに早くない⁉︎」
「私の脚の速さを舐めないでよねッ‼︎万能食券は貰うんだから!」
「なるほど…でも私だってね…ムサシに勝利をプレゼントしたいんでねッ‼︎」
お互いの意地を掛け、2人は全力を尽くして距離を離さずにゴールまで一直線に駆けていく。
やがて2人はほぼ同時にゴールし、順位はビデオ判定を待つのみとなっていた。
《さて、もうそろそろ映像が…出ました!判定は………おおっとこれは!僅差で、一位は七海ナナミ選手です!よって晄輪大祭今大会総合優勝は、大和総合支援学園、大和総合支援学園です‼︎》
『バンザァァァァァイ‼︎‼︎』
・・ー ・・ー・ ーー・ーー ー・ーー ・・ *3
キャンプファイヤーの火が灯り、各生徒がダンスを気になる相手と踊るなか、ムサシは後輩達を集めて感謝の言葉を伝えていた。
「諸君、本ッッ〜〜当によく頑張ってくれた‼︎これで我が校は初参加で総合優勝を果たすという偉大なる成果を達成した。この偉業は永きに渡って語り継がれるだろう。……とまぁ、堅苦しい話はこの辺にしてだ。何度も言うが本当に頑張ってくれた。設立者としてこれほど嬉しいことはない」
「何言ってんのさ。ムサシ達がこの学園を設立しなかったら、リナリアは廃校してたんだから恩返しするのは当然だよ」
「私たちも、前の学校をいろんな理由で去った以上、晄輪大祭に参加することすら夢にも思わなかったからね。その機会を与えてくれた貴女には感謝してもしきれないよ」
統合組や転入組たちからの言葉を受け、嬉しさで軽く涙ぐむもムサシはそれを拭い、顔を上げた。
「…ヨシ、じゃあ打ち上げに行くぞ!行きたいところあるか?費用は全部アマツが出すぞ‼︎」
「アタシ⁉︎いや、別に良いですけどね」
「ハイ!司令官とカラオケ行きたいです‼︎」
「カラオケだな?よし、他に行きたいメンバーは?」
その後、複数のグループに分かれてカラオケ店に向かい、最初にムサシが歌うことになった。
(何にするか…君だけを守りたいはウケがいいけど、最後でいいな…じゃ、これかな)
夢を追いかけて すべてが変わる…
原作3章ホシノ「この歌詞私のことだ…」
これにて晄輪大祭編は終わりです。
間話を幾多か投稿したら最終編へと突入させるつもりです。
いつも通り次章予告セリフです
「お兄ちゃん…
「"待ってくれユメ…違うんだ…"」
「アビドスのお宝探し、アッちゃんも手伝ってくれるんですか?」
「うん、私も暇だからね」
「しれぇ、最終編がいつ起きるかわからないんだからケガはしないでよ?」
「わかってるよ」
(な、なんだあの筋肉モリモリマッチョウーマンのお嬢さんは⁉︎…手合わせしなければ無作法というもの…!)
なお、前回リツの話をしたからか、周年でリツを迎えられました。書けば出るってこっちにも通用するのか…?
すまんなマコト、多分高確率で貴女以外揃いそうだわ。
「空崎ヒナァ‼︎」
「マナカケンゴォ‼︎」
「宝生永夢ゥ‼︎」