「あー例のお宝か…頑張れよ。ついでにアビドスの発展具合も確認してくれ」
「それなんですけどね、前来たときに増えた生徒の中でアビドスの緑化活動してる子たちがいるんですが…EGF type2歌ってるんですよね…」
「……シスフのビーハイブといい、我々の中にミグラントが紛れ混んでるな。誰が教えてんだが…」
D.U.市内にて、アマツとノノミは明日の宝探しに向けての買い物をしていた。
とはいえ、ある程度道具はあるのでちょっとしたおやつや飲み物を購入するくらいであった。
「取り敢えずこれくらいあれば問題ないかな」
「そうですね〜沢山あっても持ち歩きが大変ですし」
「明日はアタシが校舎に行けば「ア〜マ〜ツちゃ〜〜ん‼︎」え…ぐえっ⁉︎」
こちらを呼ぶ声に振り向くと、満面の笑みを浮かべたアスナが駆け寄り殆どタックルに近い形で抱き締められ、胸元に顔を埋められていた。
「久しぶり〜!そっちの子はお友達?」
「ぷはっ…えぇまぁ。ノノちゃん、この人はミレニアムの…メイド部三年のアスナちゃん。で、アスナちゃん。こっちがアビドス生徒で幼馴染のノノミちゃん。アタシはノノちゃんって呼んでるけどね」
「ノノミちゃんね、よろしくね!アマツちゃんとはお仕事の関係で知り合ったんだ〜」
「はい、初めまして〜♧」
「で、2人とも色々買ってるけどどこかに行くの?」
アスナの質問に2人は目を合わせ、話しても問題ないと判断し宝探しの事を伝えるのとアスナはぱっと顔を輝かせていた。
「宝探し⁉︎面白そう‼︎確かその日私もお休みだから一緒に来てもいいかな?」
「はい〜♧みんなで探した方が楽しいですし、早く見つかりやすいですからね〜」
「いいのノノちゃん?物が物だし、他所の自治区巻き込むと配分とか…」
「大丈夫だと思うよ?C&…んっん!部活の仕事とかならともかく、プライベートの休日に友達と見つけたものをどうこうする権限はセミナーにもないから平気だよ!」
「……それもそうだね。あとでホシノさんにも伝えなきゃ。じゃあアスナちゃん、明日はアタシが迎えに行くから時間はあとで教えるね」
「わかった!じゃあ2人とも、また明日ね〜!」
アスナが手を振って帰っていったあと、ノノミは何か言いたそうな顔でアマツを見つめており、長年の付き合いからちょっと不機嫌そうな気配を感じたアマツは声をかけた。
「…どうかした?」
「あの人って、いつもあんなスキンシップ誰にでも取る感じです?」
「まぁ、そうだね。誰でもっていうか、先生やあそこの部長さんとか、特に気に入ってる人にはかな」
「ふーん…気に入ってる人にはですか…。そういえば前にゲヘナに買い物行った時に貰った週刊誌にそこの生徒会の胸が大きい人に抱きしめられてる写真がありましたし、百鬼夜行でも修行部?の部長さんに抱き枕にされてたって大和の人から写真を送られてきましたし、SRTのメガネの一年生にも懐かれてましたよね…?」
「…サツキさんは入ってきたカナブンにびっくりして思わず抱きつかれただけだし、ツバキちゃんは普通に寝ぼけてたからで、モエちゃんはその…同好の士といいますか……」
まるで浮気現場を押さえられたかのような雰囲気のなか、アマツは弁明をしていると、ノノミは拗ねた様子でアマツを後ろから抱っこし始めた。
「わっ⁉︎」
「別に良いんですよ…アッちゃんは学園の都合上色んな人と知り合いになりますし、抱きつきたくなる雰囲気をしてるうえに抱きしめると良い匂いしますし…でも、偶には構って欲しいです…幼馴染で付き合いが長くても、中々会えないのは寂しいので…」
「……はい」
その後学園に戻ったアマツは休憩スペースでコハクからノンアルカクテルを受け取って飲み干すと軽く息を吐いて叫んでいた。
「アタシが知り合う女の子がさァ‼︎だいたい胸デカくてスキンシップ激しいンですけどぉ‼︎」
「うるさいよ酔っ払い」
「誰が酔っ払いだ金田ァ!ノンアルだしそもそも酒の味なんざ知らないっての!」
「いいじゃないですかアマツ。嫌われるよりは」
「副司令…このままだとアタシはただでさえ歪んでる性癖がさらに歪む羽目になるんですよ?」
「歪んでる自覚あるんですね…。ノノミちゃんが割と貴女に執着してるのも意外ですけどね」
「ま、一応同じ令嬢ですし?同じ立場で相談に乗ってくれる同世代がいたらそうなるんじゃないんです?」
再びドリンクを飲みながらアマツは明日のことを考えていた。
今日偶然アスナと会い、彼女が協力してくれることについては嬉しい誤算であり、彼女の直感があれば宝探しはすぐに終わるだろう。カイザーは貸してる土地以外に無許可で立ち入ることを厳しく禁じているうえ、ビナーも二年前に討伐済みのため運び出しの問題はほぼないといえよう。
(そうだ、メリニに金属粉について聞いてみなきゃ。変な特性とかあったら大変だしね)
ー・・・ ・ーー・ ・・・ー ・ーー・ *1
アスナを迎えたあとアビドスに来たアマツはホシノとユメの荷物確認の様子を見ていた。
「じゃあユメ先輩、荷物の確認しますよ?」
「はーい!」
「コンパス!」「はい!」
「水筒!」「はい!」チャプチャプ
「塩分補給用の食べ物!」「はい!」ウメボシー
「緊急用ホイッスル!」「はい!」ピッピー!
荷物を一つ一つ中身や故障の有無を確認し、破れや切れ目のないリュックに詰めて背負い、ホイッスルを首にかけたのを確認するとホシノは漸く表情を緩めた。二年前の一件以降、遠出する際はこうして荷物のダブルチェックをするのが恒例となっていた。
「はい、問題ないですね。じゃあみんな、行こっか」
事前の地質調査や新たに見つかった当時の記録を元に宝が埋まっているとされる地点に到着すると、アマツは昨日メリニから聞いた金属粉の特性をみんなに説明する。
燃焼時にプラズマを放ち、それがとても美しいと評判で高価格で取引されているが、圧力や衝撃に反応しやすい上に近くに同種の金属粉があると連鎖反応を引き起こすのが欠点であり、埋蔵されてる量を鑑みれば強力な地雷が広範囲に埋まっているに等しいため、くれぐれも重機や発破での採掘はしないようにとの事であった。
「逆に言えば、今までその類の爆発事故がないってことは掘り出されてない可能性があるみたいだから期待はしていいと思うよ」
「……ユメ先輩、私たち前に発掘しようとした時、思いっきりピッケルやスコップ振り翳してましたよね?」
「…そうだねぇ」
「あの時見つからなくて逆によかったですね。でなきゃ今頃バラバラに吹っ飛んで御陀仏でしたよ」
「そうだねぇ……ひぃん、そんな目で見ないで…危ない物だなんて知らなかったんだよぉ…」
アマツから金属探知機を受け取り、慎重に歩きながら探索を開始すると、アスナがじっと一方向を見つめた後に駆け出していったあと立ち止まって探知機を翳すとすぐにブザー音が鳴り響いていた。
「みんなーっ‼︎こっちに何かあるみたいだよー‼︎」
「嘘っ⁉︎まだ30分も経ってないですよ⁉︎」
「不発弾とかじゃないでしょうか…?」
「ん、だとしてもそれはそれで売れるから掘り出すべき」
全員が集まり慎重に掘り進めていくと、数mほど掘ったあたりでケースのような物が幾つか見つかり、開けてみると金属粉の詰まった容器がぎっしり入っており、少量取り出した後に離れたところで火をつけると幻想的な発光を放っていった。
「〜〜〜っやったー‼︎お宝はホントにあったんだ‼︎アスナちゃん、ありがと〜‼︎」
「わぁ!私もみんなが喜んでくれて嬉しいよ〜!」
ユメに抱きつかれてニコニコするアスナに対し、シロコたちはあっさりお宝が見つかったことに現実が追いついていないようであった。
「夢、じゃないよね…?」
「(ギュム)痛い…ならホントにお宝が見つかったみたい」
「でも、なんでこんな浅いところに…元がオアシスだとしても、昔に埋められたのならもっと深くにあるんじゃ…」
「……あー、そういう事。今調べたら、オアシス湖考慮してもこの辺周りより高さが低いんだよ。多分、干上がったあとで多発した砂嵐にこのあたりの砂が持ってかれたんだね」
端末で調べたアマツの説明に納得したあと、発掘作業を続けるが埋蔵量が多く1日で採りきれないと判断し、後日アビドスの後輩たちを連れて本格的に作業を行い、数日ほどで全て見つけてアマツが用意した倉庫内に収めていった。
「金属粉の価格なんですけど、100gあたり100万以上の値との事だったんですが…だいぶ前から高騰化して、10倍近くに跳ね上がってたんですよね…」
「えっ⁉︎つまり1キロだけで億単位するの⁉︎」
「はい、この量を計算して仲介料を差し引いても、アビドスが抱えてた借金を返せるどころかそのままプラスにしても足りないほどの価格になります」
その言葉にセリカを筆頭にアビドス生徒達が歓声を上げる中、どこか浮かない顔をしてるアマツの様子にホシノが気づき、問いかけた。
「どうしたのアマツちゃん?何か問題があるの?」
「もしかして、あまりに高額で買い取れる業者がいないとかです?」
「まぁ、それもあるよノノちゃん。さすがにカイザーに売るわけにいかないからね。それよりも問題なのは…価格高騰の原因が…
気まずそうに話すアマツに事情を察したノノミとアヤネが顔を引き攣らせるなか、状況の飲み込めないセリカが問いかけた。
「あの…それの何が問題なんですか?」
「あのね、詰まるところ…下手するとコレ、『悪質な市場操作』とみなされて買い取って貰えないどころか捕まる可能性あるんだよね…要は転売ヤーだね」
「えぇっ⁉︎今の私たちがやったわけじゃないのに⁉︎」
「だとしても、アビドスが買い占めたのをアビドスが売り払うことになるので…」
「だからと言ってアタシ名義で売ったらそれはそれで学園ぐるみでの経済市場操作になりかねないからね…」
どうするか話し合った結果、連邦生徒会に相談するが恐らく高確率で価格を大幅に下げられたうえでの買取になるため、そうなった場合はいっそ当初の目的通り花火に加工し、花火大会の目玉として長期にわたる観光資源に活用する方向にした方がいいのではという事になった。
「メリニが言うにはごく少量でも綺麗な火花を散らしてくれるから、キチンと保管すれば一回で大小合わせて百発くらい使っても十数回分はあるみたいだよ。それだけ開催すれば屋台代や場所代、周辺の宿泊施設や飲食店の利用に加えて交通機関の利用もあるからだいぶ経済効果は期待できると思うからそっちの方がおすすめだね」
「なるほどね〜こっちでその辺りは考えてからまた連絡するよ〜。アマツちゃん、色々とありがとうね」
「いやいや。また決まったら連絡してくださいホシノさん」
それまではアマツが責任を持って預かることにし、こうしてアビドスのお宝探しは幕を下ろしたのであった。
・アマツボディ 抱っこすると少し良いことが起きる…かもしれない。コハルとは別ベクトルで良い匂いがする。
アマツは何かと胸のデカい子に懐かれやすいです。なんなら相手の背が高いと無意識に頭や肩を乳置き場にされたりもしてます。
原作で価格高騰の下り読んだ時、それ買い占めたからじゃねとは思いましたね。
次はアリウス周りでも書きましょうかね…