ちなみに今回は少し駆け足気味です。
あと、アンケートがあるので協力してくれると嬉しいです。
便利屋一行が入店する少し前に時間は遡る。
「いらっしゃ…あ、ムサシ先輩!お一人ですか?」
「あぁ。今日はホシノ達も居るのか」
「うへ〜こんな時間に来るなんてムサシちゃん、もしかしておサボり〜?」
「残念、今日は休み」
前回と違い、ホシノを名前で呼んでいるがそれは、基本的にムサシは本人の要望が無い限りは公的な場では苗字で相手を呼ぶ事にしているからであり、前の時はシャーレの先生との顔合わせの場のため苗字呼びをしていたのであった。
「そういえば、ムサシ先輩の事を色々調べたのですが…戦闘面でのいろんな噂があるんですね…」
「……心当たりが多いなぁ。具体的には?」
ムサシの質問に、アヤネは端末を操作しながら答えた。
「えっと…《午後にフラッと出て行ったと思ったらヘルメット団の拠点を複数潰して帰ってきた》とか、《不良生徒のカツアゲを見てその不良を組織ごとシメた》とか、《鉛筆でオートマタ3体を撃破した》とか…まぁ、そんな感じのがチラホラと…もちろん戦闘以外の噂もありますが、その辺りが特に印象深いなと思いまして…」
「うん、それかなり尾ひれが付いてるね。だいたいは私が指揮した作戦だったのが私一人でやったみたいになってたり、誇張されてたりだね。ちなみに最後のやつは倒したの暴走ドローンだし、使ったのは銃剣と竹槍だよ」
「え?た、竹槍?」
「いや〜自治区の竹の運搬中に遭遇してね?銃はすぐ近くに置いてなかったから、仕方なしに銃剣で斜めに切って、カメラ部分をぶち抜いたりミサイルコンテナ部分に投げて当てたりして撃破したってわけ。普段から斬れるよう銃剣を研いでおいてよかったよ」
「えぇ…」
攻撃を凌ぎながら銃を取りに行くより、態々即席の竹槍を作って射撃ドローン相手に近接戦を仕掛けて撃破するという異例のやり方と、竹が斬れるほどに鋭く研いだ銃剣を何故持ってるのかという疑問を持ちながらアヤネは唖然としていた。
そして運ばれたラーメンを食べている最中に便利屋らが入店し、今に至るというわけであった。
(な、なんで小城ムサシがここにいるのよ⁉︎早いところ逃げ…いや、もう注文しちゃったし、注文しておいて出ていくわけには…)
「えっと…知り合いですか?」
「ま、そんなところだね」
「やたら怯えてますけど…?」
「噂を鵜呑みにしてるんだよきっと。あ、大将。ちょっと…」
ムサシの指摘は正しく、アルは彼女に関する噂の殆どを信じ切っているうえ、仕事の現場で偶々同じターゲットということで急遽共闘していたことがあるため、実力を知っているので明日は我が身かと身構えていたところでの遭遇なので気が気でなかった。
そんななか頼んだラーメンがやってくるが、妙なことに一つしか頼んでいないはずなのに、人数分のラーメンが運ばれていたのだった。
「あ、あの…一つしか頼んでないんですけど…」
「あぁ、あちらのお客様からです」
セリカが指し示た先にはムサシの姿があり、それを見たカヨコは訝しげな視線を向けていた。
「……どういうつもり?」
「いやなに、私は今日休みだ。つまりは『ただの小城ムサシ』として、お気に入りの店の味を教えたかっただけさ。代金はもう払ったから心配しないでくれ。じゃあ私はこれで。大将、美味しかったよ」
「おう!また来てくれよ‼︎」
大将に軽く手を振って店を出るムサシを見てアルは、少し前に見たドラマで偶々バーで鉢合わせた刑事がマフィアの主人公に素知らぬ顔でお気に入りの一杯を奢るシーンを思い出して目を輝かせていたのであった。
後日、ブラックマーケットにて
「あのぉ…本当にやるんですか?」
「さっき捕まえたヘルメット団が言ってた人が、お金が入ってそうな鞄持ってあの銀行から出てったからね。入出金の記録はまだある筈だからそこから誰が手を貸してるか調べられる筈。だから…」
「ん。銀行を襲う」
「"あ、あまり他の人には危害を加えないでね…?"」
覆面水着団、ブラックマーケットの銀行を襲撃。
そしてそれと同時に†闇の王†【ファウスト】がここに爆誕したのであった。
SNSでその情報が流れた際、設立組の何名かは茶を噴き出し、何故そうなったのか困惑していたのであった。
・・・ー ・ー・ー ーー・・ ・・・ー *1
「いきなり呼び出して何のよう?悪いけど、そっちとの取引は…」
「クックックッ…それですが、貴女にとって良くない情報を耳にしましてね。どうやらヘルメット団はアビドス最高戦力の貴女を倒す為に強力な武器を手に入れたらしいですよ?」
「…何だって?」
「まぁそれでも、貴女を倒せるとは到底思えませんが、貴女を倒す為の武器が貴女の後輩たちに向けられたら……タダでは済まないでしょうねぇ?」
「お前…ッ‼︎」
「さぁ、どうしますか?私なら何とか出来るかもしれません。梔子ユメの時はあの者たちが助けてくれましたが、いつでも助けてくれるとは限りません。選択を間違えて、取り返しのつかないことにはなりたく無いでしょう?」
ーー・・ ・・ー ー・ー・・ ・ー ・ー ・ー・ー・ *2
さらに日が経ち、設立組の予想通り深夜に柴関ラーメンに忍び込むハルカを発見、出て行ったのを確認し翌朝アビドス高校に匿名で連絡した結果、店内に仕掛けられた爆弾を発見、アビドスの生徒たちで爆弾解除に勤しむ一方で、アマツは離れた場所でイオリとチナツ率いるゲヘナ風紀委員と相対していた。
(…なーんで来ちゃうかなぁ?原作と状況違うのにあの横乳は…)
状況を思いっきり変化させているのにも関わらず、本来の流れと変わらない出来事が頻発している事に対しアマツはこのままだと修正力か何かの間違いでユメが死ぬんじゃないかとか考えていると、沈黙に耐えかねたイオリが口を開いた。
「…で、何の用だ?こっちは規則違反者を捕まえに来たんだが…」
「それなんだけどさぁ、こんな大部隊引き連れて、アビドスに報告したの?」
「それをそっちに言う必要はない。邪魔するなら、先にお前を…」
「ッ⁉︎ダメですイオリ!それはダメですよ!」
「そうだよね〜。『ゲヘナの風紀委員』が『アビドス自治区内』で『無許可』で『アビドスとはまた別の学園の生徒会員』に『戦闘行為』を働いた…コレがどういうことか、わからないわけないよね?」
アマツの言葉を受け、流石に状況を理解したイオリは押し黙った。彼女の言う通り、アマツは大本営の会計担当であり、ただでさえアビドスで戦闘を行うだけでも危険なのに、大和学園の生徒会員と戦ったとなれば双方を敵に回す事態に成りかねなかった。
「別に許可取ってるならウチは文句言わないよ。でもその様子じゃ無許可だよね?そしてこんなことヒナ委員長がやるわけ無いから、彼女にも知らせて無いよね。となると、これだけの部隊を指揮できる人といえば…アコちゃんでしょ、コレ企んだの?」
『流石、アマツさんですね。ご名答です』
そんな声が聞こえたかと思うと、立体映像でアコの姿が現れた。何故かしたり顔をしている彼女にイラっとしながら、アマツは問いかけた。
「貴女さぁ…アビドスとウチらに喧嘩売るつもり?」
『いえいえまさか。こちらは単に規則違反者を捕えるために来たのですが、手違いで報告が遅れただけです。このあとアビドス自治区に報告するつもりですよ』
「事後報告は嫌われるよ?それに、便利屋捕まえるならこんな数は要らないはず。ならなんでこんな事したというと…便利屋は建前で、目的はシャーレの先生。違う?」
『………鋭すぎて怖いですね。そうです、目的はシャーレの先生です。知っての通り、今ゲヘナは微妙な時期なので、事が終わるまで先生には大人しく…あら?先生、良いところに』
「ッ⁉︎」
驚いたアマツが振り向くと、先生が困惑した顔で立っていた。
「"えっと…偶々姿が見えたから来たけど…これはいったい…?"」
「あとで説明します。アコちゃん、悪いことは言わないから、とっとと引き返しなよ。先生は今アビドスの事で手一杯なの」
『そうはいきませんわ。多少強引な手を使ってでも…』
「あの…実を言うとね、既に貴女たちを見つけた時点でヒナ委員長に写真付きでこの事チクったの。だからそろそろ連絡が…」
『……え?な、なななな、何ですってぇぇ⁉︎』
(あ、貴女が言うのね)
「アコ、これはどういう事?」
アコが白目を剥いて叫ぶ中ヒナが現地に到着し、そのあとは先生に今回のことを謝罪し、部隊を撤収していき、状況を飲み込めない先生にアマツが説明をし、その後アビドスに改めて謝罪のメッセージが送られたのであった。
──小鳥遊ホシノが退学届を提出したのはこのすぐあとであった。
万歳成分が足りない?
まぁ落ち着いてください、次回以降から派手にやっていくのでお楽しみください。