……セキュリティが手出しにくいエリア 『トップス』の子供達、龍亜と龍可に拾われた青年と少女
「取り敢えず、何とか逃げ切れたね…」
「ここなら大丈夫なハズよ」
「…みたいね、セキュリティがここまで入って来ないし」
少女は取り出した端末を確認しながら、龍可との話を続けた
「姉ちゃん、それ何?
あと、名前なんて言うの?
あのDーホイール、片方は姉ちゃんの!?」
「もう龍亜、一辺に聞きすぎ…」
龍可に冷たく宥められる龍亜を見て、少女はクスクス笑った
「そういえば名前はまだ言ってなかったね
私はユキ、一応D-ホイーラーかな」
「やっぱりD-ホイーラーなんだ!!
オレは龍亜、こっちは龍可!!
オレ達双子なんだ!!」
「そう、龍亜と龍可ね」
「…ユキさんとあのお兄さんは知り合いなの?」
龍可の視線はソファーに寝かされている青年に向いていた
「いいえ、全く知らない人
けど、何だか不思議な胸騒ぎがして無性に放っておけなくてね…」
「似てる……わたしも似たような感じがして、あそこに来たの」
「そうなの?
…取り敢えずしばらくはセキュリティは来ないだろうし、あの人の手当てをしないとね」
「うん
わたし、救急箱持ってくるわ」
龍可が奥の部屋に下がると、ユキは端末を取り出した
「コレね、セキュリティのD-ホイールの発信器を見る事が出来る機械なの
前に難癖つけてきたセキュリティからいただいた物なんだ」
「それって泥棒なんじゃ…」
「真似しちゃダメよ?」
「う、うん…」
龍可が持ってきた救急箱で、3人は青年の手当てを始めた
「……後は様子を見ましょ」
手当てを終えたユキ達は、青年が目を覚ますのを待っていた
「このほっぺの何だろう?」
「『マーカー』だよ、知らないの?
悪い事してセキュリティに捕まった人は、みんな付けられるんだってさ」
「そうなの?」
ユキの方に顔だけ振り返った龍可はキョトンとしていた
「そうよ
けどね、セキュリティは自分勝手な嘘をついてサテライトの人を捕まえる場合も有るから、その人が100%悪い人とは言い切れないのよね」
「そうなんだ…」
話している内に、青年は目を覚ました
「あっ!!
気がついた!!」
「ッ……誰だ?」
「覚えてない?
昨日の夜、下で倒れてたんだよ?
で、ユキ姉ちゃんが助けてくれたんだ!!」
ソファーから起き上がった青年に、ユキは軽く会釈した
「龍可、ちょっとキッチン借りるね
何か温かい飲み物でも淹れてくる」
「うん、わかったわ」
……ユキが飲み物を淹れて戻って来ると、青年と双子はD-ホイールを見ていた
「…ざらっと点検はしましたけど、大きな損傷はありませんでしたよ」
「っ…ああ、君か
…片方は君のD-ホイールか?」
「ええ、まだ未熟なD-ホイーラーですけど…どうぞ」
「…すまない」
飲み物の入ったカップを青年に渡し、ユキは龍可と龍可にもカップを差し出した
「はい、2人の分」
「ありがとう、ユキ姉ちゃん!!」
「いただきます」
飲み物を飲む双子を見ながら立ち上がると、ユキは青年と目が合った
「えっと、お名前を聞いても?」
「…不動 遊星だ」
「遊星さん……私はユキといいます」
「助けて貰ったみたいだな、ありがとうユキ」
「いえ、どう致しまして」
話している間に飲み物を飲み終えた龍亜は、遊星とユキに1通の封筒を差し出した
「遊星、これ見てよ!!
これキングとデュエルできるかもしれないよ!!」
龍亜は封筒の中身を出して遊星達に手渡した
「「『デュエル・オブ・フォーチュン・カップ』……?」」
「うん!!
海馬コーポレーションがランダムに選んだ人達でトーナメントするんだって!!
その中に龍可が選ばれたんだよ!!
優勝したデュエリストはなんとキングとデュエルできるんだ!!」
「わたし、出る気ないから」
はしゃぐ龍亜を見ずに、龍可はきっぱりと言い切った
「聞いたー?
龍可いっつもこうなんだ、だからオレが龍可のフリして出ようと思うんだ」
「龍亜にわたしの真似、無理だから」
「無理じゃないよ!
同じ顔してるじゃん!」
「同じ顔!?
どこが!?」
「オレ達双子じゃん!」
「同じじゃない!!」
「そりゃあ男と女だけどさ……まぁ、オレに任せとけって!!」
龍亜は威張るように言うと、ユキは思い出したように自分のポーチを手に取った
「ユキさん?」
「あの封筒を見て思い出したけど、私のところにもその通知来てたわ」
ユキがポーチから取り出したのは、龍可と同じ封筒だった
「おんなじだ!!
じゃあ、ユキ姉ちゃんもフォーチュン・カップに出るの!?」
「一応、そのつもりではいるけど……」
「ほら龍可!!
聞いたか!?
ユキ姉ちゃんも出るってさ!!」
「そう言われても、わたしは出たくないの」
言い合いが続く中、ユキは内心考え込んでいた
(フォーチュン・カップ…私が選ばれたという事は、あの人も必ず…!!)
「─龍可は遊星を信用できないの!?
オレ、力になりたい!!」
「龍亜、声大きい」
「えっ、あっ……」
いきなり大声を出した龍亜は、罰が悪そうな顔をして遊星を見た
「かくまってくれた事には感謝している
だが、オレには関わらないほうがいい」
(まあ、正論と言えば正論よね…)
そのままD-ホイールへ向かっていく遊星の後を、龍亜は追いかけた
「ぁ……出てくの!?」
「迷惑はかけられない」
「迷惑なんかじゃないよ!
あっ、そうだ!!」
龍亜は押入れの戸を開け、デュエルディスクを取り出した
「遊星、オレとデュエルやろうよ!!
デュエリストなら挑まれた勝負は受けなきゃ!!」
「龍亜が迷惑かけてない?」
「んぅー!!
だって遊星、きっと強いよ!!
オレ、強い奴とデュエルしたい!!
やろーよ、遊星!!
オレ、色んな奴とデュエルして腕上げたいんだ
ねぇ、やろーよ やろーよ!!」
龍亜が両腕を上げた瞬間に、付けていたデュエルディスクがズルッとずり落ちた
「うわぁ!
しっかりはまってろよ!!
格好悪いな~~もう!!
す、すぐ直すから、ちょっと待ってて!!」
そんな龍亜を、遊星は微笑ましそうな顔をして見ていた
(こうして見ると、遊星さんって綺麗な顔してるな……髪型は独特だけど)
「……分かった、やろう」
「やったーー!!」
遊星はD-ホイールからデュエルディスクを外して装着した
「おおーー!
そうなってるんだ!!
スゲースゲースゲー!!…あっ」
龍亜が手をブンブン振ると、またデュエルディスクがズレた
「……大丈夫かなぁ?」
「いつもの事よ」
「そっか……」
ハッキリ言い切った龍可に、ユキに苦笑をもらした
プールサイドに出た遊星達は、デュエルディスクが中々うまく装着できずに苦戦する龍亜を待っていた
そんな龍亜の前に、紐を取り出した遊星は屈んだ
「ここには他に、誰かいないのか?」
「そういえば、確かに他の人の気配が無いね……」
「このフロアは俺たちだけだよ」
「ここね、ホテルの一番上なのよ
わたし達、ずっと前から2人なの
親は仕事でいなくてたまに連絡くるくらい、お気楽でしょ?」
「勉強も全部ネットで出来るから、外にも滅多に出ないんだ」
「そうか……よし、これでいい」
遊星は龍亜のデュエルディスクと腕を紐で括り付けた
「わぁー!!
本当だ!!
ありがとう、遊星!!」
「気にするな、始めようか
お前のターンからでいい」
「おう!」
「ユキさん、わたし達はこっちにいましょ」
「うん、そうね」
龍可に促され、ユキは離れたところにあるイスに座って見学し始めた
「オレのデッキ、ちょっと凄いぜ!」
「いつでもいいぞ」
「いっくよーー!!」
「「─
こうして、遊星と龍亜のデュエルが始まった
……数ターン後
「『ニトロ・ウォーリアー』よ、『D モバホン』に攻撃!
─ダイナマイト・ナックル!!」
「うわあああーっ!!」
龍亜 LP 2000→0
決着が着き、龍可は立ち上がって龍亜の元に行く
「あーあ、すぐ泣くんだから」
「泣いてない!!」
半べそ状態の龍亜の前に、デュエルディスクをオフにした遊星は近寄った
「デュエルを心から楽しんでいる気持ちは伝わってきた
ただ……お前のデュエルはちょっと自分勝手すぎる」
「え?」
「4体の『
「あっ……」
「
だが、その状況を変える事ができてしまうのもデュエルだ
オレがどう反撃するか読まず一人よがりのデュエルをやっているようでは、キングへの道は遠いな」
龍可は龍亜の肩に手を置き、ユキは双子の側に屈んだ
「ま、元気だせだせ!」
「お疲れさま龍亜、中々面白かったよ」
「……遊星、またデュエルしてくれる?
ユキ姉ちゃんも、後でデュエルしてくれる?」
「うん、良いわよ」
「…そのうちな、世話になった」
立ち去ろうとする遊星を、龍亜が止める
「遊星さん?」
「もう行っちゃうの!?」
「このマーカーを見ろ
オレといたら、お前達に迷惑をかける」
「どうしてさ!?
オレ、遊星の力になりたいんだよ!」
「まぁーた始まった、龍亜の力になりたい病」
「だってさぁ!!」
「……でも、今日ぐらい休んでいった方がいいんじゃない?」
「……龍可の言う通りですよ、遊星さん
あなた、事故を起こしたばかりじゃないですか
体を休めないと」
「……わかった」
龍可とユキに言いくるめられ、遊星は双子の家に泊まる事にした
…その夜、龍亜と龍可のデュエルディスクをカスタマイズした遊星は、自分のD-ホイールに手をかけた
「……行くんですね?」
背後からの声に遊星が振り返ると、ユキが1人で立っていた
「ユキ…」
「止めに来た訳では無いのでご心配無く、予想はしていましたから」
「そうか…」
「…コレ、少ないですけど持って行って下さい」
ユキは持っていた包みを、遊星に手渡した
「…すまない」
「いえ……唐突ですけど、1つ伺っても?」
「何だ?」
「─……あなたのその右腕の痣、どうなされたんですか?」
まさかの質問に、遊星は目を見開いた
「…見たのか?」
「手当てした時に……今は、消えているみたいですけど
それと、あなたを助け起こした時にあなたの痣と…私の痣がまるで共鳴してるみたいに光ったんです」
「お前にも、痣が…?」
「はい…」
袖を捲ったユキの腕には、ジャックの痣『翼』よりも小さな羽の痣があった
「コレ、何なのか御存知ですか?」
「いや…君以外にはオレとジャック、3人が同じ色の痣を持っている事しか……」
「ジャック・アトラスが……そうですか」
「力になれずにすまない…」
「いえ、こちらこそいきなりすみません……縁があったら、またどこかで会いましょう」
「ああ…じゃあな」
「お気をつけて」
そう言って遊星は去って行き、右腕の痣をそっと掴んでユキは外を見ていた
(……この痣は一体、何なの…?)
いきなり主要メンバー3人と絡みまくりです
そしてデュエルは無いという……
もう少ししたら、ユキちゃんのデュエルを書こうと思います