遊戯王5D´s  絆の物語   作:なおにぃ

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初めてのライティングデュエル回です
今回も一度きりのオリカが登場します


レベル 20 願いの翼 -Wish Wing-

自身の黒衣と同じ茶色のラインの入った黒いD-ホイールに乗ったリンボは、狂気的な笑みを浮かべてユキを見ていた

 

「待ちくたびれたぜ、ユキ!!

いや……堕天の魔女様よォ!!」

 

「答えてリンボ

私があなたを殺したって、どういう事…?」

 

「しらばっくれてんじゃねぇ!!

オレはてめぇに殺されたんだ…てめぇに裏切られて、命を落としたんだ!!

だが冥府の神様はそんなオレを不憫に思って、オレを蘇らせてくれたんだ……復讐する力と共に、ダークシグナーとしてなァ!!」

 

「リンボ…」

 

「今更か弱そうな演技してんじゃねぇ!!

…とっとと列びな」

 

スタート地点に移動したリンボを見て、ユキは覚悟を決めたようにスタート地点に並んだ

 

リンボがダークシグナーの痣を空に翳すと、崖だらけのその場に犬の地上絵の形をした炎のデュエルレーンが生まれた

 

【【デュエルモード ON オートパイロット スタンバイ】】

 

2台のD-ホイールがライディングデュエルモードに切り替わりスタートの信号が赤く点滅し始め、信号が青に変わった瞬間ユキとリンボは同時に走り出した

 

「「─ライディングデュエル アクセラレーション!!」」

 

アクセル音と共に、薄緑と黒のD-ホイールが炎のデュエルレーンを走り抜ける

 

「第1コーナーをとった方が先攻だ!!」

 

「くっ…!!」

 

先攻をとろうとスパートをかけたユキを横目で見たリンボは、D-ホイールをぶつけにかかった

 

「甘ェんだよ!!」

 

「キャ…ッ!!」

 

ドガァッと音をたててぶつけられたユキのD-ホイールは速度を落とし、その間にリンボが第1コーナーをとった

 

「オレのターン、ドロー!!」

 

リンボがカードを引いたと同時に、空に犬の地上絵が浮かび上がった

 

 

 

 

 

 

……同じ頃、ディマクを倒した龍亜と龍可・鯱の痣を持つダークシグナー ボマーを倒したクロウ、そして鬼柳とルドガーを倒した遊星は、空を見上げていた

 

「おい、また空に地上絵が出たぞ!!」

 

「アレは、犬の地上絵!!」

 

牛尾と遊星が言うと、龍可と龍亜は顔を見合わせた

 

「犬って事は……」

 

「ユキ姉ちゃんだ!!」

 

「ここからそこまで遠くねぇぞ!!

遊星、オレ達も行こうぜ!!」

 

「ああ!!

急ぐぞ!!」

 

遊星とクロウはD-ホイールに乗り、龍亜と龍可は同行している牛尾の車に乗り込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

リンボ LP 4000 SC 1

ユキ LP 4000 SC 1

 

「『オイスターマイスター』を召喚!!」

 

リンボのフィールドに、エイリアンのようなモンスターが現れた

 

オイスターマイスター

☆3 水属性 魚族 ATK 1600 DEF 200

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ

さあユキ、てめぇのターンだ!!」

 

「(やるしか無い…!!)

私のターン、ドロー!!」

 

リンボ SC 2

ユキ SC 2

 

「『ジェネティック・ウーマン』を召喚!!」

 

ユキのフィールドに、豹の被り物と両腕に籠手のような兵器を装備した女が現れた

 

ジェネティック・ウーマン

☆4 風属性 サイキック族 ATK 1700 DEF 1200

 

「オイスターマイスターを攻撃!!」

 

両腕の籠手を構えて、ジェネティック・ウーマンがオイスターマイスターに飛び掛かる

 

「そんなモンが効くかよ!!

─罠発動『フィッシャーチャージ』!!

自分フィールドの魚族モンスター1体をリリースし、フィールド上のカード1枚を破壊する!!

オイスターマイスターをリリースし…消えろ、魔女のモンスター!!」

 

大きな水の塊になったオイスターマイスターは、ジェネティック・ウーマンに突撃して相討った

 

「その後、デッキからカードを1枚ドローする」

 

「くっ…!!」

 

「更にオイスターマイスターのモンスター効果発動!!

このカードが戦闘で破壊される以外の方法でフィールドから墓地へ送られた時、自分フィールドに『オイスタートークン』1体を特殊召喚する!!

オレはトークンを守備表示で特殊召喚!!」

 

リンボのフィールドに、茶色いモンスタートークンが現れた

 

オイスタートークン

☆1 水属性 魚族 ATK 0 DEF 0

 

「生緩いんだよ!!

てめぇ、オレを殺した時みてぇにかかって来やがれ!!」

 

「っ……私は、あなたを殺してなんか無い!!」

 

「言い訳してんじゃねぇ!!

…てめぇのターンはまだ続いてるぞ」

 

「…カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

「オレのターン!!」

 

リンボ SC 3

ユキ SC 3

 

「オイスタートークンをリリース、『氷結界の虎将 ライホウ』をアドバンス召喚!!」

 

リンボのフィールドのトークンが消え去り、水色の着物と氷の扇子を持った男性が現れた

 

氷結界の虎将 ライホウ

☆6 水属性 戦士族 ATK 2100 DEF 2300

 

「やれェ!!

ライホウで、ダイレクトアタック!!」

 

氷結界の虎将 ライホウの氷の扇子から放たれた冷気がユキを直撃する前に、ユキは伏せていたカードを開いた

 

「─永続罠『ミニチュアライズ』発動!!

フィールド上の表側表示で存在する、元々の攻撃力が1000以上のモンスター1体を選択

選択したモンスターのレベルを1、攻撃力を1000ポイントダウンさせる

ライホウの攻撃力とレベルを下げる!!」

 

カードから出た音波のようなモノに、氷結界の虎将 ライホウはみるみる小さくなっていった

 

氷結界の虎将 ライホウ ☆5→4  ATK2100→1100

 

「けど攻撃は止まらねえ!!

やれェ、ライホウ!!」

 

「キャアアアアーッ!!」

 

ユキ LP 4000→2900 SC 3→2

 

「まだまだこんなんじゃねぇぜ?

オレの憎しみはよォ!!

カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「ぅ…わ、私のターン…!!」

 

ユキ SC 3

リンボ SC 4

 

「…モンスターを裏守備表示で召喚、カードを2枚伏せてターンエンド」

 

「攻撃しねぇのか?

オレを殺したその力でよォ…!!」

 

「私はあなたを殺してなんかいない!!

あなたの身に一体、何が起きたと言うのよ!?」

 

「…いいぜ、てめぇの罪をたっぷり聞かせてやんよォ!!」

 

ユキの前を走るリンボは、ニヤリと笑いながら話し出した

 

「…オレは化け物と呼ばれてたてめぇやアキと一緒にいた、そんなオレの周りからも人は遠ざかって行った

噂で人を見るカス共の事は別に、どうとも思わねぇから良いけどな

だが、てめぇ等はアルカディア・ムーヴメントとかいう胡散臭い集団に入って、それっきり行方が何も分からなくなっちまった」

 

(その頃の私達は父さんと母さんに捨てられたと分かって、何もかもに絶望してた

だからリンボも、私達を影で笑ってるんだと思い込んでいた…だから私達、リンボに何も言わずに出て行ってたんだっけ…)

 

ユキは俯きながら当時を思い返し、リンボの話を聞いていた

 

「オレはてめぇ等の様子を見に、アルカディア・ムーヴメントに行った…それが大きな間違いだったがな」

 

「どういう…?」

 

「忘れたとは言わせねぇぞ!!

─そこでオレは…てめぇに無理矢理デュエルさせられて、てめぇに殺された!!

堕天の魔女の仮面をつけたてめぇにな!!」

 

「えっ…!?」

 

「オレのターン!!」

 

ユキ SC 4

リンボ SC 5

 

「『氷結界の決起隊』を召喚!!」

 

リンボのD-ホイールを追うように空を飛ぶ氷結界の虎将 ライホウの隣に、全身青い服の人物が現れて飛びながら並走し始めた

 

氷結界の決起隊

☆3 水属性 魔法使い族 ATK 1500 DEF 800

 

「氷結界の決起隊で、その守備モンスターを攻撃だ!!」

 

氷結界の決起隊が投げたボールのような武器が、ユキのフィールドにいた緑の髪の少年を消し飛ばした

 

「っ…破壊された『ガスタの希望 カムイ』の効果発動

自分のデッキから、ガスタと名のついたチューナー1体を特殊召喚出来る」

 

「─させるかよ、ライホウの効果発動!!

このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手がフィールドで発動させたモンスターの効果処理時に相手は手札1枚を捨てる事が出来る

捨てなかった場合、発動した効果は無効になる!!

さあどうするよ、魔女ォ!!」

 

「ッ…手札の『ガスタ・グリフ』を墓地に送る、そして効果発動

このカードが手札から墓地に送られた時、デッキからガスタと名のついたモンスター1体を特殊召喚出来る」

 

「チッ…こっちは発動出来るカードはねぇよ」

 

「グリフの効果でデッキから『ガスタの賢者 ウィンダール』を、カムイの効果でデッキからチューナーモンスター『ガスタ・ガルド』を守備表示で特殊召喚」

 

ユキのフィールドに鎌のような杖を持った緑色の髪の男性と、一瞬で青くなった翡翠色の鳥が現れた

 

ガスタの賢者 ウィンダール

☆6 風属性 サイキック族 ATK 2000 DEF 1000

 

ガスタ・ガルド

☆3 風属性 鳥獣族 ATK 500 DEF 500

 

「チッ…これだと返り討ちになるだけじゃねぇか、バトルは終わりだ

ライホウを守備表示に変更、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「私のターン!!」

 

ユキ SC 5

リンボ SC 6

 

「『ガスタの静寂 カーム』を守備表示で召喚!!」

 

ユキのフィールドの2体のモンスターの隣に、緑色の長い髪をした物静かな雰囲気の少女が現れた

 

ガスタの静寂 カーム

☆4 風属性 サイキック族 ATK 1700 DEF 1100

 

「─レベル4のガスタの静寂 カームに、レベル3 ガスタ・ガルドをチューニング」

 

4つの光の球になったガスタの静寂 カームが、3つの光の円になったガスタ・ガルドの中を潜り抜ける

 

「─天空を走り巻き起こる風 その身に纏いて 深緑の翼をひらけ

シンクロ召喚!!

─飛び立て 『ダイガスタ・イグルス』!!」

 

ユキのフィールドに、1人の男を背に乗せた巨大に成長したガスタ・イグルが現れた

 

ダイガスタ・イグルス

☆7 風属性 サイキック族 ATK 2600 DEF 1800

 

「─罠発動『サイコ・チャージ』

自分の墓地のサイキック族モンスター3体をデッキに戻して、デッキから2枚ドローする

私はジェネティック・ウーマン ガスタの希望 カムイ ガスタの静寂 カームをデッキに戻して、2枚ドローする」

 

デッキからカードを2枚引いたユキは、引いた緑色のカードをD-ホイールのデュエルディスクにセットした

 

「─『Sp-スピードストーム』発動

自分のスピードカウンターが3つ以上ある時、相手に1000ポイントのダメージを与える!!」

 

「何ッ!?」

 

「行けッ!!」

 

カードから放たれた雷撃がリンボを直撃して、D-ホイールのバランスを崩したリンボは何とか体勢を整えた

 

「チイィィ…ッ!!」

 

リンボ LP 4000→3000  SC 6→5

 

「ダイガスタ・イグルスで、氷結界の虎将 ライホウを攻撃!!

─ウィンド・オブ・ペイン!!」

 

ダイガスタ・イグルスの羽ばたきで起きた風は竜巻になって、守りの体勢の氷結界の虎将 ライホウを直撃した

 

「ぐぅ…っ!!」

 

「続けてウィンダールで、氷結界の決起隊を攻撃!!」

 

鎌のような杖で斬りかかろうとガスタの賢者 ウィンダールが踏み込んだ瞬間、リンボは伏せていた2枚のカードの片方を開いた

 

「─させるかよ、罠カード『海竜神の加護』発動!!

このカードの発動ターンの間、自分フィールド上で表側表示でいるレベル3以下の水属性モンスターはバトルと効果で破壊出来なくなる

氷結界の決起隊のレベルは3、破壊は無効だ!!」

 

「けどダメージは受けて貰うわ」

 

「ぐっ…!!」

 

リンボ LP 3000→2500

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

「ターンが終わって、海竜神の加護の効果は切れる…ッ、オレのターン!!」

 

ユキ SC 6

リンボ SC 6

 

「てめぇ、いつまでチンタラしてやがんだ!!

そんなモン出さずに、オレを殺したモンスターをとっとと出しやがれ!!」

 

「私はあなたを殺してない!!」

 

「しつけぇな!!

堕天の魔女のてめぇがオレを殺したんだって、何回も言ってんだろうが!!

─分かったなら、とっととあのモンスターを…『メンタルスフィア・デーモン』を出しやがれ!!」

 

リンボが言ったモンスターの名前に、ユキは目を見開いた

 

(メンタルスフィア・デーモン…!?

それって確か、アイツの……まさかっ!!)

 

1つの推測を思い浮かべたユキは、リンボの胸元を指差した

 

「リンボ…あなたが堕天の魔女に殺されたのは、あなたの誕生日の日じゃなかった?」

 

「それはオレを殺したてめぇが一番よく知ってんだろうが!!」

 

「そして、あなたがアルカディア・ムーヴメントに行く前にあなたの家の前にそのペンダントは置いてあったんじゃない?」

 

リンボは咄嗟に胸元のペンダントに触れ、ペンダントはチャリッと音をたてた

 

「そのペンダントは小さな包みの中に入っていて、不恰好なリボンが結ばれていたハズよ」

 

「何で、てめぇがそれを…!?

て、適当に言ってんじゃねぇ!!」

 

動揺したリンボは振り切るように首を横に振り、デュエルを続行した

 

「─『Sp―サモン・スピーダー』発動!!

コイツは自分のスピードカウンターが2つ以上在る時、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚出来る

手札からレベル4『氷結界の修験者』を特殊召喚だ!!」

 

リンボのフィールドの氷結界の決起隊の隣に、1人の修行僧が現れて空中で浮いたまま胡座をかいて瞑想を始めた

 

氷結界の修験者

☆4 水属性 戦士族 ATK 1500 DEF 1000

 

「─更に『Sp-スピード・エナジー』発動!!

自分のスピードカウンターを1つ取り除き、自分フィールドのモンスター1体の攻撃力をターン終了時まで自分のスピードカウンターの数×200アップさせる

発動時に1つ取り除いてるからオレのスピードカウンターは5、氷結界の決起隊の攻撃力を×200で1000ポイントアップだ!!」

 

リンボ SC 6→5

氷結界の決起隊 ATK 1500→2500

 

「手ぇ抜いてメンタルスフィア・デーモンを出さなかったから、こうなるんだよ

一気にいくぜェ!!」

 

「私のデッキにそんなモンスターは入って無いわ!!」

 

「いつまでもしらばっくれてんじゃねぇ!!」

 

「この分からず屋……なら見なさいよっ!!」

 

ほぼ勢いで、ユキはリンボのD-ホイールに自分のエクストラデッキのカードのデータを送った

 

「─な、無い…!?

皆、風属性のシンクロモンスター…闇属性が1枚も無い…!?」

 

「…あなたを殺したメンタルスフィア・デーモンをエースにしている人を、私は知ってるわ」

 

「何だと!?」

 

「─…ディヴァインよ」

 

「ディヴァイン…!?

アルカディア・ムーヴメントの親玉…!?」

 

「アイツのエースが、メンタルスフィア・デーモンなの

仮にディヴァインが犯人なら、堕天の魔女の仮面をつけて変声機で声を私に変えてあなたを襲ったとも考えられるわ」

 

「う、嘘ついてんじゃねぇ!!

何を根拠にそんな…「─そのペンダント、送ったのは私だからよ!!」なっ…!?」

 

「…確かに私達はあなたを見捨ててアルカディア・ムーヴメントに行った

けど、ずっと助けてくれたあなたはやっぱり心配だった

今更顔を見せに行く事も出来ないから、そのペンダントを渡すという形であなたに会いに行った……けど、あなたは家にいなかった

だから、家の前に置いて行ったのよ」

 

「それを持ってオレは、入れ違いでアルカディア・ムーヴメントに行って、殺された……じゃあ…!!」

 

「─あの日、私はアルカディア・ムーヴメントにいなかった」

 

「─じゃあ、オレを殺したのはユキじゃなくて…ディヴァイン…?」

 

真実を知ったリンボは呆然となったが、振り払うように氷結界の決起隊を指差した

 

「嘘だ…そんなの嘘だ!!

氷結界の決起隊でガスタの賢者 ウィンダールを攻撃!!」

 

パワーアップした氷結界の決起隊が武器を投げる前に、ユキは伏せていたカードを開いた

 

「─っ…罠発動、『ハーフorストップ』!!」

 

「何っ!?」

 

「このカードは相手のバトルの時にのみ発動出来る

相手はこのバトルの間だけ自分フィールドのモンスターの攻撃力を半分にするか、バトルを終了するかを選ばないといけない

さあ、どうする…?」

 

「─んなの、決まってるじゃねぇか……オレは……バトルを終了する効果を選ぶ」

 

俯いていたリンボが顔を上げると、ダークシグナー独特の黒い眼差しは無くなっていた

 

「リンボ…!!」

 

「当たり前にこっちを選ぶだろうが!!

攻撃力 2500の氷結界の決起隊の攻撃力を半減されたら1250、お前のモンスターに勝てるわけねぇし!!

ったく、相変わらずえげつねぇカード使いやがるぜ」

 

「な、何よ!!

この手のカードは使いやすいんだから良いじゃない!!」

 

「お前、まだ何かを半分にしたりだとか攻撃力を下げたりするカードが好きなんだな、趣味悪いぞ」

 

「なっ…!?

アンタだって、さっき破壊したライホウっていう厄介な効果のモンスター使ってるじゃない!!」

 

「何だと!?」

 

「何よ!?」

 

「「…プッ

ブハハハハ/あははははっ!!」」

 

子供のような口論をし続けていた2人は、どちらからともなく笑い出した

 

「ったく、オレ達は何やってんだ?」

 

「一応はこれ、世界の命運を賭けた命懸けの闘いなのにね」

 

笑いの発作が治まったリンボは、真面目な口調で話し出す

 

「……悪かったな、色々と」

 

「…あなたが全部悪い訳じゃないわ

勝手にアルカディア・ムーヴメントに行った私達も悪いんだし」

 

「…もうオレにお前を憎む理由はねぇ

このデュエルはここで終わりだ…オレはサレンダーする」

 

「けど、リンボ……」

 

「オレは死人だ、もういい加減にあの世に行かねぇとな」

 

「─そんな事は許さん」

 

突如聞こえた第3者の声に、ユキとリンボは辺りを見渡した

 

「誰っ!?」

 

「この声、まさか…ぐぅ…!!」

 

声の主に見当がついたリンボの背中から、黒い物体が現れた

 

「アレは…!?」

 

黒い物体は、どんどんリンボを包み込んで行く

 

「倒せ、シグナーを倒せ…それがダークシグナーの宿命……」

 

「ぐっ…ぐあぁ…!!

オレの中の邪神が…!!」

 

「リンボ!!」

 

「もう、保たねぇ……ユキ…逃げろォー!!!!」

 

そう叫んだリンボの口の中に黒い物体は一気に滑り込んでいき、邪神に体を乗っ取られたリンボは完全なダークシグナーとなった

 

「─シグナーを倒す、それがダークシグナーの定め!!」

 

「リンボ…!!」

 

「我はターンエンド

同時にスピード・エナジーの効果も切れる」

 

氷結界の決起隊 ATK 2500→1500

 

「リンボ……私のターン!!」

 

ユキ SC 7

リンボ SC 6

 

「(こうなったら、闘い続けてリンボがまた正気に戻るのを待つしかない…!!)

このままバトル

ガスタの賢者 ウィンダールで、氷結界の決起隊を攻撃!!」

 

ガスタの賢者 ウィンダールは鎌のような杖で、今度こそ氷結界の決起隊を斬り裂いた

 

リンボ LP 2500→2000

 

「ウィンダールの効果発動

このカードがバトルでモンスターを破壊して墓地に送った時、自分の墓地のレベル3以下のガスタモンスター1体を守備表示で特殊召喚出来る

戻って来て、ガスタ・ガルド!!」

 

ユキのフィールドに、再びガスタ・ガルドが現れて青くなった

 

「ダイガスタ・イグルスで、氷結界の修験者を攻撃!!

─ウィンド・オブ・ペイン!!」

 

ダイガスタ・イグルスの起こした大きな竜巻が、突風と共に氷結界の修験者を襲った

 

「氷結界の修験者は、攻撃力 1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない」

 

「だけどダメージは受けて貰うわ」

 

「ぐっ…」

 

リンボ LP 2000→900 SC6→5

 

「ッ…ナメるな!!

─罠カード『デス・アクセル』発動!!」

 

「ライディングデュエル用の罠カード!?」

 

「相手モンスターの攻撃によって自分がダメージを受けた時、受けたダメージ 300ポイントにつき1つ、我のスピードカウンターを増やす

我が受けたダメージは計1600、3つのカウンターを得る」

 

リンボ SC 5→8

 

「守備表示で特殊召喚しなかったのはこれが理由……カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

「我のターン!!」

 

ユキ SC 8

リンボ SC 9

 

「─『Sp-シフト・ダウン』を発動

自分のスピードカウンターを6つ取り除き、デッキからカードを2枚ドローする」

 

リンボ SC 9→3

 

引いた2枚のモンスターカードを見て、完全にダークシグナーと化したリンボはニヤリと笑った

 

「『氷結界の伝道師』を特殊召喚!!」

 

リンボのフィールドに片手に氷の杖を持ち、青いローブを着た男が現れた

 

氷結界の伝道師

☆2 水属性 水族 ATK 1000 DEF 400

 

「このカードは自分フィールド上に氷結界モンスターがいる場合、手札から特殊召喚出来る」

 

(リンボのフィールドに2体のモンスター…しかも、まだ通常召喚が残ってる…まさか…!!)

 

完全にダークシグナーと化したリンボは、狂ったような笑い声をあげた

 

「ハハハハハハハハッ!!

我等を蘇らせし偉大なる神よ、今ここに降臨せよ!!

…2体のモンスターをリリース!!」

 

リンボのフィールドの氷結界の修験者と氷結界の伝道師が空に消え、空に心臓のように動く物体が現れた

 

「アレは、あの鬼柳って人の時と同じ…という事は…!?」

 

「─人々の魂を贄に現れよ、『地縛神 Alluqu(アルク)』!!」

 

ドクンドクンッと動いていた心臓のような物が邪悪な光を発し、次の瞬間には炎デュエルレーンを覆い尽くすような巨大な黒い犬の地縛神がいた

 

地縛神 Alluqu(アルク)

☆10 闇属性 獣族 ATK 2300 DEF 2300

 

地縛神が現れると同時に、ユキの痣が敵を示すように強く反応を見せた

 

「痣が…!!

これが、リンボの地縛神…!!」

 

「我等が神の力を見るがいい!!

地縛神 Alluqu(アルク)の効果、このカードが攻撃する時このカードの攻撃力は500アップする!!

更に地縛神は、相手にダイレクトアタックする事が出来る!!

そして地縛神は攻撃及び魔法・罠カードの対象にする事は叶わん!!」

 

「えっ…!?」

 

地縛神 Alluqu(アルク) ATK 2300→2800

 

「行け、地縛神よ!!

ダイレクトアタックだ!!」

 

地縛神 アルクの牙がユキに向かう中、ユキは伏せていたカードの1枚を開いた

 

「─罠発動『オフェンシブ・ガード』!!

ダイレクトアタックのダメージを半分にして、デッキからカードを1枚ドローする」

 

地縛神アルクの牙の攻撃は、ユキの前に貼られたバリアでダメージを半減された

 

「ぐうぅぅ…!!」

 

ユキ LP 2900→1500  SC 8→7

 

「我はこれでターンエンド

ふん、悪あがきを…我が地縛神 アルクの前に敵は無い!!」

 

(今回は防げたけど、正直もう打つ手が無い…!!

今の状況ならイグルス達でダイレクトアタック出来るけど、それじゃあ生け贄になった魂を取り戻せない…!!

地縛神を倒す方法なんて、私にはもう……どうしたらこの街の人々を、リンボを助けられるの…!?)

 

「「─ユキーッ!!」」

 

策がない途方に暮れるユキは、聞こえてきた2人の男の声にハッとして声のした方を見た

 

声のした後ろの炎の壁の外側には遊星とクロウがD-ホイールで走り、その後ろを龍亜と龍可を乗せた牛尾の車が追い掛けていた

 

「遊星さん…クロウさん…!!

無事だったんですね!!」

 

「ああ、何とかな!!」

 

「シグナーが更に2人か、面白い…この娘を葬った後、貴様等を葬ってやろう」

 

完全なダークシグナーと化したリンボの一言に遊星はリンボを睨み、龍亜は怯えたように尻込みする龍可を庇った

 

「リンボ……」

 

「ユキ、そいつは……」

 

「……皆と出会う前の私と姉さんが、唯一友達って呼べた人

…ディヴァインに犯人を私に仕立てあげられたまま、殺されてしまったんです」

 

「「なっ…!?」」

 

「「ええっ!?」」

 

ユキの話に遊星達は目を見開き、牛尾は声も出せずに固まった

 

「その誤解は何とか解けたんですけど、リンボは完全に飲み込まれて…もう、どうしたらいいのか分からない……」

 

「─諦めてんじゃねぇ!!」

 

弱気な声で話すユキに、クロウの怒声が入った

 

「そいつはお前のダチなんだろ!?

なら、お前しか助けてやれねぇじゃねぇか!!

まだライフも残ってんだ、勝手に諦めてんじゃねぇ!!」

 

「クロウ、さん……」

 

「クロウの言う通りだ

不安な気持ちも、地縛神への恐れも分かる……だが、お前は1人じゃない!!

オレ達が、お前の仲間が一緒だ!!」

 

「遊星さん……」

 

遊星とクロウのD-ホイールに、スピードを上げた牛尾の車が並んだ

 

「そうだよユキ姉ちゃん!!

オレ達だって地縛神に勝てたんだ!!

ユキ姉ちゃんだって勝てるさ!!」

 

「だからユキさん、諦めないで!!」

 

「龍亜…龍可……」

 

「ユキ、闘っているお前になら聞こえるハズだ!!

お前の友の…リンボの本当の声が!!

お前の心の中になら、必ず聞こえている!!」

 

遊星に言われるままに痣に触れながら集中したユキの頭の中に、聞き覚えのある声が響いた

 

「─………ぃ、ユキ……!!」

 

(この声…リンボ…?)

 

集中していたユキの意識は一瞬にして、何もない空間を見ていた

 

「ここは…?」

 

「……意識の中、ってヤツだ」

 

「リンボ…!?」

 

後ろから聞こえてきた声にユキが振り返ると、ダークシグナーの姿では無いリンボがいた

 

「よぉ、リンボ」

 

「リンボ、どうして……?」

 

「─お前に頼みがあってな……ユキ、地縛神ごとオレを倒せ」

 

「…な、何言ってるの…?

いきなり真面目な顔して、らしくもない……」

 

「「らしくもない」ってどういう意味だゴラァ!!

……これ以外に手はねぇだろ…それに言っただろ?

「オレは死人だ」って…いい加減にあの世でゆっくりさせろ、オレ様はもうくたびれたんだ」

 

「リンボ……」

 

「これでいいんだ……ユキ、迷うんじゃねぇぞ」

 

その一言を最後に、ユキの意識は目の前の炎の壁のレーンに戻った

 

「(リンボ……本当に自分勝手なんだから!!)

私のターン!!」

 

ユキ SC 8

リンボ SC 4

 

「(今の手札じゃ、何も出来ない……ならっ)

こっちも Sp―シフト・ダウンを発動

自分のスピードカウンターを6つ取り除いて、デッキから2枚ドローする」

 

ユキ SC 8→2

 

2枚のカードを引いて3枚になったユキの手札は、皆ピンクのカードだった

 

「(これなら、何とかなるかもしれない…その前にッ)

─罠発動『針虫の巣窟』、自分のデッキの上から5枚のカードを墓地に送る」

 

シャッと音をたててデッキから5枚のカードを引いたユキは、その中の4枚が茶色のカードである事に目を見開いた

 

「(良し…ガスタのカードを4枚も墓地に送れた

次のリンボのターンを凌いで、あのカードが手札に来れば…!!)

カードを3枚伏せて、ターンエンド」

 

「モンスターの召喚も無しか、愚かな……我のターン!!」

 

ユキ SC 3

リンボ SC 5

 

「─こちらもSp-スピードストームを発動

自身のスピードカウンターが3つ以上ある時、相手に1000のダメージを与える」

 

リンボのカードから放たれた雷撃が、リンボの後ろを走るユキを直撃した

 

「ッアアアァッ!!」 

 

《ユキ/姉ちゃん/さん/十六夜っ!!》

 

ユキ LP 1500→500  SC 3→2

 

「─更に『Sp-シルバー・コントレイル』を発動

自身のスピードカウンターを1つ取り除き、自分フィールドのモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズ時まで1000ポイントアップさせる

我は地縛神 アルクの攻撃力を強化する!!」

 

リンボ SC 5→4

地縛神 Alluqu(アルク) ATK 2300→3300

 

「地縛神 アルクの効果、攻撃の間だけ自身の攻撃力を500アップさせる

これで終わりだ、地縛神 アルクでガスタの賢者 ウィンダールを攻撃!!」

 

地縛神 アルクの凶暴な牙が、ガスタの賢者 ウィンダールに向かっていく

 

「十六夜のライフは、残り 500!!

この攻撃が通っちまったら終わりだぞ!!」

 

「ユキさん…!!」

 

「ユキ姉ちゃーんっ!!」

 

牛尾の一言に龍可が悲鳴に近い声を上げ、龍亜が車から乗り出して叫ぶとユキの3枚の伏せカードの1枚が開いた

 

「─罠発動『サイコ・ソウル』!!

自分フィールド上のサイキック族モンスター1体をリリースし、リリースしたモンスターのレベル×300ポイントのライフを回復する

私はダイガスタ・イグルスをリリース、そのレベル×300ポイントのライフを回復する」

 

「ダイガスタ・イグルスのレベルは7!!」

 

「回復するライフは、2100ポイントだ!!」

 

遊星とクロウが叫ぶ中、ダイガスタ・イグルスは半透明になりユキに吸収された

 

ユキ LP 500→2600

 

「だが、攻撃を受ける事に変わりは無い!!

地縛神 アルクの効果、このカードが攻撃する時に攻撃力が500アップする!!」

 

地縛神 Alluqu(アルク) ATK 3300→3800

 

地縛神 アルクの牙はガスタの賢者 ウィンダールを喰いちぎり、攻撃の余波がユキを直撃してD-ホイールを激しく揺らした

 

「キャアアアアーッ!!」

 

《ユキ/姉ちゃん/さん/十六夜!!》

 

炎の壁にぶつかる寸前、ギリギリでハンドルを切ったユキは辛うじてデュエルレーンに戻った

 

ユキ LP 2600→800 SC 2→1

 

「しぶとい奴め、まあいい……カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「ハァ…ハァ……わ、私の…タァーン!!」

 

ユキ SC 2

リンボ SC 5

 

「─罠発動『サイコ・トリガー』

自分のライフが相手より少ない時、自分の墓地のサイキック族モンスター2体を除外する事でデッキからカードを2枚ドロー出来る

私は墓地のガスタの賢者 ウィンダールと、針虫の巣窟で墓地に送られた1枚目『ガスタの巫女 ウィンダ』を除外してカードを2枚ドロー」

 

引いた2枚のカードの片方を見て、ユキはそっと口元を緩めた

 

「(やっと来た…このカードでなら、何とかなるかも…!!)

─『Sp-ヴィジョン・ウィンド』発動!!

自分のスピードカウンターを2つ取り除き、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚出来る」

 

ユキ SC 2→0

 

「何をするつもりか知らんがさせんぞ!!

─カウンター罠『地縛波(グランド・ウェーブ)』を発動!!」

 

地縛波(グランド・ウェーブ)…?」

 

「そんなカード、聞いた事無いぞ!!」

 

リンボが発動させたカードに、龍亜と牛尾は眉をしかめた

 

「我のフィールド上に地縛神が存在する時、相手が発動した魔法・罠カードの発動を無効にして破壊する!!」

 

「それじゃあ、ユキさんのカードは無効に…!?」

 

地縛神 アルクが足で起こした地割れが、ユキが発動させたヴィジョン・ウィンドのカードををあっという間にかき消した

 

「ユキ姉ちゃんのカードが…!!」

 

「くそっ!!

もう打つ手はねぇのか!!」

 

「…いや、まだだ!!」

 

龍亜とクロウが悔しそうに言うと、遊星はどこか自信を持って言い切った

 

「これで貴様の悪足掻きも終わった……我が地縛神の前に滅びるがいい!!」

 

「─…まだ終わらない」

 

自信満々に言うリンボに、ユキは不敵に笑って返した

 

「何…?」

 

「『ガスタの神官ムスト』を召喚!!」

 

ユキのフィールドの守備表示のガスタ・ガルドの隣に、緑色の神官服を着て緑色の長い髪を持つ男性が現れた

 

ガスタの神官ムスト

☆4 風属性 サイキック族 ATK 1800 DEF 900

 

「そのようなモンスターに何が出来る!?」

 

「ムストの効果発動

墓地のガスタモンスター1体をデッキに戻す事で、フィールド上のモンスター1体の効果をターン終了時まで無効に出来る!!

墓地のガスタ・グリフをデッキに戻して、地縛神 アルクの効果を無効に!!」

 

「何だと!?」

 

ガスタの神官 ムストが持っていた杖から放った風の魔法が、リンボのフィールドの地縛神 アルクを包み込んだ

 

「これで地縛神を攻撃する事が出来るわ!!」

 

「愚かな!!

貴様のモンスター等、地縛神の敵では無い!!」

 

「─罠発動『ガスタへの祈り』!!

自分の墓地に存在するガスタと名のつくモンスター2体をデッキに戻し、墓地に存在するガスタと名のつくモンスター1体を特殊召喚する!!」

 

「何だと!?」

 

「私は針虫の巣窟で墓地に送られた2枚目『ガスタ・イグル』と3枚目『ガスタ・ファルコ』をデッキに戻し、4枚目『ガスタの疾風リーズ』を特殊召喚する!!」

 

ユキのフィールド2体のモンスターの隣に、斧のような杖を持った緑とオレンジの髪のツインテールの少女が現れた

 

ガスタの疾風 リーズ

☆5 風属性 サイキック族 ATK 1900 DEF 1400

 

「─レベル5のガスタの疾風 リーズに、レベル3 ガスタ・ガルドをチューニング」

 

5つの光の球になったガスタの疾風 リーズが、3つの光の円になったガスタ・ガルドを潜り抜ける

 

「レベルの合計は8…!!」

 

「ユキ、あのモンスターを呼ぶつもりだな」

 

クロウがユキのシンクロ召喚を見つめる隣で、遊星は召喚されるモンスターに確信を持っていた

 

「─永久に吹き行き 過ぎ往く風よ 清廉なる力宿し 今吹き荒れよ!!

シンクロ召喚!!

─舞い踊れ『ボレアス・ガスタ・ドラゴン』!!」

 

ユキのフィールドに、翡翠色の体と天使の翼を持ったドラゴンが現れた

 

ボレアス・ガスタ・ドラゴン

☆8 風属性 ドラゴン族 ATK 2600 DEF 1900

 

「出た、ユキ姉ちゃんのドラゴン!!」

 

「コイツが、ユキのエース…!!」

 

ボレアス・ガスタ・ドラゴンを見た龍亜が叫び、クロウは呆然とボレアス・ガスタ・ドラゴンを見上げていた

 

「ボレアス・ガスタ・ドラゴンの効果!!

墓地の風属性モンスター1体を除外し、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を除外したモンスターのレベル×200ポイントダウンさせる!!」

 

「むっ…?」

 

「私は墓地のレベル7 ダイガスタ・イグルスを除外し、地縛神 アルクの攻撃力を1400ポイントダウンさせる!!」

 

「愚かな!!

─永続罠『究極地縛神』発動!!」

 

「「究極地縛神」…!?」

 

「また知らねぇカードが出て来やがった…!!」

 

リンボのフィールドの最後の伏せカードに、龍亜と牛尾は警戒したような声をもらした

 

「自身のフィールドに通常召喚された地縛神がいる時、フィールド上のモンスター1体を破壊出来る

我はボレアス・ガスタ・ドラゴンを破壊する!!」

 

「そんな…!!」

 

「あのドラゴンがやられちまったら、ユキはもう後がねぇハズだ…!!」

 

龍可とクロウが悲鳴に近い声を出す中、リンボはボレアス・ガスタ・ドラゴンを指差した

 

「これで終わりだ!!

忌々しいシグナーの竜よ、消え去れ!!」

 

「いいえ、終わらせない!!

─ボレアス・ガスタ・ドラゴンのもう1つの効果!!

墓地の風属性モンスター2体をデッキに戻し、カードの効果の発動を無効にしてそのカードを破壊する!!」

 

「何だと!?」

 

叫ぶリンボを無視して、ユキは祈るようにボレアス・ガスタ・ドラゴンを見上げた

 

「墓地のガスタの疾風 リーズとガスタ・ガルドをデッキに戻し、究極地縛神の発動を無効にして破壊する

……私の願い…リンボの願いを……叶えて、ボレアス・ガスタ・ドラゴン!!

─ウィッシュ・ウィング!!」

 

ボレアス・ガスタ・ドラゴンが翡翠色の天使の翼を広げると、眩い光がその場を包み地縛神を包み込んだ

 

「そして改めて、最初に発動した効果で地縛神の攻撃力を下げる

─ゲイナー・ミストラル!!」

 

ボレアス・ガスタ・ドラゴンの霧を纏った風を受けた地縛神 アルクは、苦しみながら力を弱めていった

 

地縛神 Alluqu(アルク) ATK 2300→200

 

「攻撃力の差は2400、向こうのライフは900…!!」

 

「決まったな」

 

「バ、バカな…!?」

 

龍可と遊星がユキの勝利を確信しリンボが絶句する中、ユキはボレアス・ガスタ・ドラゴンに指示を出した

 

「ボレアス・ガスタ・ドラゴンで、地縛神 アルクを攻撃!!

─フレース・ヴェルグ!!」

 

ボレアス・ガスタ・ドラゴンの放った風のブレスが、地縛神を直撃してリンボのライフを削り切った

 

「ぐああぁぁぁぁーっ!!」

 

リンボ LP 900→0

 

デュエルの決着が付き、炎の壁が消えて地縛神が崩れ落ちると同時に地縛神の中から生け贄にされた人々の魂が抜け出ていく

 

攻撃の衝撃でバランスを崩したリンボは、D-ホイールから吹き飛ばされた

 

《あっ…!!》

 

「リンボ…!!」

 

体が宙を舞うリンボを見て、ユキは猛スピードでリンボを追った

 

リンボの体はどんどん地面の無い崖に飛んでいき崖に落ちる寸前、ユキはD-ホイールを飛び出してリンボの手を掴んだ

 

龍可の悲鳴を聞きながら、2人は岩の地面に体を打ち付けながら崖に落ちていく中ユキは片手で岩の一部を掴んだ

 

「ぐっ…!!」

 

「お前…!?

何やってんだ…!?」

 

ユキの下でぶら下がってるリンボは、ダークシグナーでは無くなっていた

 

「リンボ……元に戻ったのね…」

 

「バカ!!

手を離せ!!

このままじゃお前も死ぬぞ!!」

 

「嫌、よ…!!

だって…あなたをこんなにしたのは……1度私達があなたの手を離したから…!!

勝手に何もかもに絶望して…アルカディア・ムーヴメントに入りさえしなければ……あなたは死なずに済んだ!!

あの時…私が手を離さなければこんな事にはならなかった!!

だから……絶対に離さない!!」

 

繋がれているリンボの手に、一筋の血が流れ落ちていく

 

「血…?

ユキ、お前怪我してるんじゃねぇか!!

もういい!!

早く手を離せ!!」

 

(血で、手が…滑る…!!

もう少しなのに…!!)

 

片手でリンボを持ち上げようとするユキを支えていた岩の一部が、ボロッと音を立てて崩れ落ちた

 

「ぇ……」

 

支えを無くしたユキとリンボは、そのまま崖下へ落ちて行く……前に、ユキの手はガシッと上から掴まれた

 

「ぁ……」

 

「─しっかりしろユキ!!

今、引き上げてやるからな!!」

 

「クロウ、さん…」

 

「ぬうぅぅ…!!」

 

2人を引っ張り上げるクロウの横から、遊星が手伝いに入った

 

「もう少しだ、頑張れ……!!」

 

「遊星さん…」

 

遊星とクロウに引っ張り上げられたユキはその場に座り込み、リンボはその場に寝転がった

 

「ユキさん!!」

 

「ユキ姉ちゃん、大丈夫!?」

 

「はぁ…はぁ……うん、何とか…遊星さん・クロウさん…ありがとう、ございました……」

 

「おう!!」

 

「気にするな」

 

「……ったく、何でオレまで助けるんだっての」

 

悪態をつきながら、リンボはユキの周りに集まっている遊星達に視線を向けた

 

「オレはダークシグナーだぜ?

お前等シグナーの敵だろ?」

 

「それ以前に、お前はユキの友だろ?」

 

「そういうこった」

 

遊星とクロウの答えに、リンボは小さく笑って手足の力を抜いた

 

「……友、ねぇ

オレも始めは疑ってはなかったんだよな…アキとユキはオレのダチだって

けど、アルカディア・ムーヴメントにアイツ等を持ってかれて、オレに相談も無しにアイツ等が別の奴に頼り始めたのが気にいらなかった……」

 

「リンボ……」

 

申し訳なさそうな顔をするユキに、リンボは顔をしかめて怒鳴り散らした

 

「だーっ!!

ンな顔するな、辛気くせぇ!!

…心の何処かで、オレはオレを殺したのがユキじゃねぇって思ってた

けど、いきなり殺されて誰かを恨まずにはいられなくなって、そしたら何でか真っ先にユキが出てきて、けどアイツは犯人じゃねぇって思ってて……グルグルしちまって、結局ユキを犯人扱いしちまって……ダセェなぁ……」

 

自嘲気味に笑うリンボは、ある方向を指差した

 

「お前等の探してる制御装置は、あっちだ…さっさと行けよ

オレはそろそろ、おさらばだからよ」

 

「リンボ…!!」

 

「じゃあな、ユキ……長生き、しろよ……」

 

そう言い残しリンボは真っ黒な塵となって消えて行き、残されたのはリンボが首から下げていたペンダントだけだった

 

俯いたままユキは制御装置へ向かっていき、遊星達は黙ったままユキについて行った

 

ユキ達が制御装置の中に入りボレアス・ガスタ・ドラゴンのカードを窪みに置くと、制御装置はゴゴゴゴ…と音を立てて崩れ始める

 

ドラゴンのカードをしまい込むとユキ達は制御装置を脱出し、無くなっていく制御装置を見つめた

 

「あの…さ、ユキ姉ちゃん……」

 

言い難そうにする龍亜の横を通り、ユキはその場を去っていく

 

「…さあ、残りは1つです

急いで「待てよ」

 

制御装置のあった場所から離れるユキの腕を掴んだクロウの声には、微かな怒気が交ざっていた

 

「何ですか…?

早く行きましょうよ……」

 

「─バカ言うな!!

泣いてるお前を放っとけるわけねぇだろ!!」

 

「ッ…!?」

 

クロウに言われて気付いたように、ユキはハッとして涙で濡れた自分の顔に触れた

 

「…アイツはお前の仲間だったんだろ?

無理に気ぃ張る事なんかねぇ」

 

クロウの一言で、ユキはその場に膝から崩れ落ちた

 

「リンボは…化け物だった私達にとって、たった1人の友達だった……だけど、私達は…自分勝手にリンボの手を離してしまって……これじゃ私が、リンボを殺したも同然よ……!!」

 

「ユキ、それは違う」

 

泣き崩れるユキに、目線を合わせるように屈んだ遊星はユキの肩に触れた

 

「リンボはお前が自分を殺した犯人では無いと、心の何処かで信じていた

お前はダークシグナーの力に囚われていたリンボを救ったんだ」

 

「それでもまだ辛いんなら、オレ等を頼っていいぜ

オレ等は仲間だろ?」

 

「仲、間…」

 

クロウの一言を繰り返し、ユキは周りを見渡した

 

「当たり前だろ?

オレ達は、一緒に闘ってる仲間じゃねぇか」

 

「クロウの言う通りだ」

 

クロウと遊星に言われ、1度止まったユキの涙が再び溢れ出す

 

そのままクロウにしがみついて泣き続けるユキを遊星は黙って見守り、クロウは不器用な手つきでユキの頭を撫でていた

 

その側で、龍亜と龍可と牛尾は貰い泣きしていた




初めてのライディングデュエルです
ちょっとスピードスペルを多用し過ぎたかな…?
Spの方は、任天堂DS用ソフト『遊戯王5D’s WORLD championship 2011
OVER THE NEXUS』で登場しているカードを参考にしています

これで、ダークシグナー編でのユキちゃんのデュエルは終わりです
次のデュエルはダークシグナー編が終わってからの予定です




それと今回1度きりの登場となりますが、リンボの使った地縛神のステータスをここに記入しておきます

『地縛神 Alluqu(アルク)
☆10 闇属性 獣族
ATK 2300 DEF 2300

【効果】
・このカードは直接攻撃できる
・相手モンスターはこのカードを攻撃対象に選択できない
・フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合にこのカードは破壊される
・「地縛神」と名のついたモンスターは、フィールド上に1体しか表側表示で存在出来ない
・このカードが攻撃を行う時、ダメージステップ終了時まで攻撃力が500ポイントアップする


見た目
黒い大型の犬
目元は茶色
イメージは、ラブラドールレトリバー
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