遊戯王5D´s  絆の物語   作:なおにぃ

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レベル 22 最後のダークシグナー

アキとミスティのデュエルが終わったのは日暮れと同時で、制御装置の封印は間に合わなかった

 

「くっそぉ!!

間に合わなかったか!!」

 

牛尾が腹立たしそうに言うと、シティのある方角に地上絵が浮かび上がった

 

「アレは、まるでコンドルの地上絵…」

 

遊星が呟くと後ろからD-ホイールのエンジン音が響いてきて、振り返ると白と黒のD-ホイールで走るジャックとクロウがいた

 

「ジャック クロウ!!」

 

「…何だアレは!?」

 

ジャックはすぐにコンドルの地上絵の方を見たが、クロウは遊星とユキの隣にいるアキを見た

 

「アンタがユキの姉ちゃんか

デュエルには勝ったみてえだが…こりゃ一体何だ?」

 

クロウがそう言った瞬間に大きな揺れが遊星達を襲い、前方から七色の光が放たれた

 

「旧モーメントの方角…」

 

「まさか、冥界の扉が…!?」

 

誰かがそう呟いた瞬間、遊星達の後ろから耳をつんざくような低音の咆哮が響いた

 

振り返ると瞳には鈍色の泥のような物を全身に纏ったモンスターがいて、その光景に遊星達は絶句して固まった

 

「あの黒い塊、シティの光を目指しているんじゃ……」

 

「遊星…5つの塔の封印に失敗したとき、冥界の王が現れるとルドガーは言った…」

 

「アレが、冥界の王…!?」

 

「じゃあこの世界はもうおしまいなのかっ!?

冥界の闇に閉ざされちまうってのかっ!?」

 

「早々に諦めるのやめてよ!!」

 

取り乱しながら弱音を吐く牛尾に、ユキはムッとして言い返した

 

「まだ私達はここにいる!!

完全に閉ざされたわけじゃない!!」

 

「そうだけど……」

 

「うっ……!!」

 

深影の一言に龍亜が弱気な声で頷くと、傍にいた龍可が腕を押さえた

 

「龍可!!」

 

龍可の意識は目の前にいる精霊『クリボン』の動きに向いていた

 

[クリリー!!]

 

「……クリボン…

『ダメ、あれをコンドルの光に向かわせてはいけない』

クリボンがそう、言ってる……」

 

「どういう事なんだ……?」

 

遊星達は訳が分からずに龍可を見ていたが、そうしている間にも謎のモンスターはどんどん光を目指して突き進んでいく

 

「あそこに行かせちゃダメ!!」

 

「でもさ、あんなでっかいのどうやって止めんだよ……!!」

 

誰もが悔しそうに何もできないと見つめていると遊星達の痣が輝き出し、その光に答えるように空から巨大な赤い光が出てきた

 

「アレは…」

 

「赤き竜…!!」

 

赤い光はドンドン竜になり、赤き竜は雄叫びをあげて遊星達を飲み込んだ

 

次の瞬間には遊星達が夜空を駆けているかのような光景を見た直後、また目の前が真っ白に光った

 

目の前には、ゴドウィンの屋敷の地下にあったはずの神殿……その頂上には、コンドルの地上絵があった

 

「─…待っていましたよ、シグナー諸君」

 

遊星達が困惑する中、響いた声…声がした方へ視線を向ければ、そこには1人の男がいた

 

「どうやらダークシグナーとの闘いには勝利したようですね

だが、冥界の扉を閉ざすことは出来なかった」

 

「ゴドウィン!!」

 

ゴドウィンの突然の登場に、シグナー達の困惑は晴れなかった

 

「ゴドウィン!!

教えてくれ!!

この世界はもう終わりなのか!?」

 

「終わりです」

 

ゴドウィンは何も動揺せずに、ハッキリと言い切った

 

「冥界の王は、刻一刻とこちらへと向かっています」

 

「冥界の王が何故ここへ向かっている!?」

 

「この神殿が、神聖なる儀式の地だからです

その儀式の為に赤き竜を使い、私があなた達シグナーを呼んだのです」

 

「長官…?」

 

ゴドウィンは一瞬だけ不敵に笑い背後からある物を取り出すと瞬間、シグナー達の痣に猛烈な痛みが走った

 

「それが最後の痣……っ!!」

 

「ドラゴンヘッド……っ、どうしてそれを……!!」

 

ジャックはカプセルに入った腕を見て、フォーチュン・カップで見たゴドウィンの左腕の事を思い出した

 

「それはお前の腕なのか!?」

 

「違います

このドラゴンヘッドは我が兄、ルドガーの物」

 

「ルドガーって…確か……」

 

「蜘蛛の痣のダークシグナー…!!」

 

「それを何故お前が持っている!?」

 

遊星の問いに、ゴドウィンは不敵な笑みを深めながら背中を見せた

 

その背には、浮かんでいるコンドルの地上絵とまったく一緒の痣が浮かんでいた

 

「その痣は……!!

お前……まさか……」

 

遊星が言う前に、ゴドウィンの体に変化が起こった

 

筋肉が膨らみ、服が破れ、露わになった体にはダークシグナーの証であるマーカーが引かれていく

 

その衝撃的すぎる出来事に、遊星達はそれを受け入れる余裕がなかった

 

ゴドウィンはそんな遊星達を尻目に、カプセルを開けて自分の義手を力任せに外して兄のものであった左腕を無理やりはめ込んだ

 

「ゴドウィン!!

お前何をしようと……!!」

 

「─…我は、神となる!!

赤き竜と邪神の力を併せ持ち、我は究極の神になるのだ!!」

 

ドラゴンヘッドの痣が輝くと神殿がドンドン高くなっていき、遊星達は急いで神殿から避難した

 

「これより、冥界の王を迎え入れる儀式を始める」

 

遠くに離れても、ゴドウィンの声はハッキリと響き渡る

 

「儀式とは、コンドルの地上絵で行われるライディングデュエル

シグナー達を自分が、完膚なきまでに叩き潰し冥界の王の生贄とするのだ」

 

「ゴドウィン何故だ!?」

 

「お前が遊星達に頼んだんじゃねえのかよ!?

ダークシグナーを倒せって!!」

 

「さあ、どうする?

もうすぐ冥界の王がこちらへとやって来る」

 

ゴドウィンがモンスターの進攻の影像を見せると、遊星は影像からゴドウィンに視線を移して問いかける

 

「ゴドウィン、このデュエルに勝てば冥界の王は……「消えるだろう……しかし、我がそんな事はさせない!!」

 

遊星の言葉を引き継いだゴドウィンは、不敵に笑った

 

「このデュエル受けて立つ!!」

 

「ゴドウィン!!

貴様など蹴散らしてくれる!!」

 

「オレも行くぜ!!

生憎オレはシグナーじゃねえ…だがな!!

サテライトのガキ共の為なら何でもするぜ!!

たとえそれが無謀な事でも、あの伝説のD-ホイーラーが飛んだ時のようになあ!!」

 

遊星・ジャック・クロウと次々に名乗り出す中、ユキは自分のD-ホイールを見て歯痒そうに顔をしかめた

 

「こんな大事な時に…!!」

 

「大丈夫だ、ユキ」

 

D-ホイールを見ていたユキが顔を上げると、遊星達3人はユキを見ていた

 

「ここはオレ達に任せとけって!!」

 

「貴様は深影達を守っていろ」

 

「皆の分も、オレ達が闘って来る」

 

「…はい」

 

3人は自分のD-ホイールに股がった

 

「勝負だゴドウィン!!

オレ達3人で、冥界の王の復活を止めてみせる!!」

 

天に近い場所に立つゴドウィンを指差し遊星が叫び、闘いの舞台へアクセルを強めていく

 

「遊星 ジャック クロウ!!」

 

「がんばって!!」

 

「お前達、頼むぜ!!」

 

「アトラス様……!!」

 

「遊星……」

 

「気を付けて……」

 

背後に立つ残ったメンバーが、口々に声援を投げる

 

ゴドウィンは3対1の変則ライディングデュエルの説明をした後、3人は意気揚々と地上絵へと走っていった

 

…そして正真正銘の、ダークシグナーとの最後の闘いが始まった

 

 

 

 

 

 

……デュエルは熾烈を極めた

 

ゴドウィンは2体のドラゴンのダークシンクロモンスターを召喚して、片方が倒されると、もう片方が復活するというコンボで遊星達をジワジワと追い詰めていく

 

そして遊星達を襲うのは、ゴドウィンだけではなかった

 

冥府の王が数え切れない程の分身を生み出し、デュエルに集中している遊星達に向かっていく

 

分身達は、アキ達の真上を通って行く

 

「アレは…!!」

 

「まさか、冥府の王の妨害か…!?」

 

「このままじゃ、遊星達がアイツ等にやられちゃうよーっ!!」

 

焦り出す牛尾と龍亜を無視して、深影はアキ達3人の方を向いた

 

「─あなた達なら、アレを倒せるかもしれません」

 

「わたし達が!?」

 

「どうすればいいの!?」

 

助けられる可能性を見出だした龍可とアキが、深影に詰め寄った

 

「長官…いえ、ゴドウィンはダークシグナー

ならシグナーの竜でなら、冥府の王の力に対抗出来るハズです」

 

「なるほどね…」

 

アキ・ユキ・龍可は頷き合い、それぞれ赤紫・薄緑・ピンクのデュエルディスクを起動させた

 

「遊星達をデュエルに集中させる為にも、何とかしなくちゃ!!」

 

「遊星さん達は3人、私達も3人

敵を蹴散らしながら、1人が1人を徹底的に援護よ!!」

 

「そうね…なら、私が遊星を!!」

 

「わたしがジャックを!!」

 

「じゃあ私が、クロウさんを!!」

 

頷きあったアキ達は、それぞれのドラゴンのカードを握った

 

「─冷たい炎が 世界の全てを包み込む 漆黒の華よ 開け!!

─現れよ『ブラック・ローズ・ドラゴン』!!」

 

「─永久に吹き行き 過ぎ往く風よ 清廉なる力宿し 今吹き荒れよ!!

─舞い踊れ『ボレアス・ガスタ・ドラゴン』!!」

 

「─聖なる守護の光 今交わりて 永久の命となる

─降誕せよ『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』!!」

 

3体のドラゴンが、冥府の王の分身に向かって飛んでいく

 

分身の1体が遊星に襲い掛かる瞬間、その分身は黒い棘に貫かれた

 

「これは…!!」

 

ブラック・ローズ・ドラゴンが黒い棘で分身達を凪ぎ払い、エンシェント・フェアリー・ドラゴンが妖精の翼で分身達を消滅させ、ボレアス・ガスタ・ドラゴンが起こした風で分身達は粉々に消え去っていく

 

「シグナーの竜、このフィールドでなら…!!」

 

「邪魔はさせない…!!」

 

「あなた達の相手はこっちよ!!」

 

「─ブラック・ローズ・フレア!!」

 

「─フレース・ヴェルグ!!」

 

「─エターナル・サンシャイン!!」

 

3体のドラゴンの技が、分身達を次々と倒していく

 

「皆っ!!」

 

「こっちは任せて!!」

 

「直接闘えなくても、これくらいなら!!」

 

「必ず勝って!!」

 

「頑張れ遊星ーっ!!」

 

「アトラス様ァーっ!!」

 

「負けんなよクロウ!!」

 

仲間達に後押しされた遊星達は、再びゴドウィンに向かっていく

 

 

 

 

 

 

……だが、ゴドウィンの最強の地縛神『地縛神 Wiraqocha(ウィラコチャ) Rasca(ラスカ)』は他の地縛神よりも強大な能力を持っていた

 

最初にクロウが、続いてジャックが……冥界の王から放たれた強いエネルギーによりD-ホイールから転倒していった

 

倒れた2人はもう、デュエルに参加する事はできない

 

しかし彼らが託した想いはカードとして残り、残った遊星に引き継がれ……その意志を認めるように、赤き竜はルドガーの腕から遊星の腕にドラゴンヘッドの痣を移し、尾の痣はクロウに移った

 

神に見放されたゴドウィンは遊星達の前に敗れ去り、冥府の王は消滅していった

 

……こうして、シグナーとダークシグナーの闘いは、シグナーの勝利に終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ダークシグナーとの闘いから数ヵ月後、空は清々しい快晴

 

街は行きかう人々で賑わい、闘いの傷が全くないかのように活気が溢れている

 

遊星・ジャック・クロウを除いたダークシグナーとの闘いに関わったメンバーは、ひとつの喫茶店でくつろいでいた

 

アキとユキ、龍亜と龍可、深影と牛尾…そして、ダークシグナーだったリンボ

 

「はい、ミスティからの絵葉書よ

相変わらず、世界中を忙しく飛び回ってるみたい」

 

「まあ、ミスティさん程のトップモデルなら仕方無い事よね」

 

「そうね」

 

「それにしても、遊星達遅いね~」

 

「もう約束の時間過ぎてるのに」

 

「このまま来なかったりしてな」

 

「─何ですって!?」

 

待ちぼうけを喰らう龍亜達の話に、後ろから女の声がした

 

振り返ると、何故か老人に変装していた元ダークシグナーの1人 記者のカーリー 渚がいた

 

「カーリー!?」

 

「その格好、どうしたんですか?」

 

「ダークシグナーの事、色々聞こうとこうして変装して見張ってたんだから!!」

 

「ってかよ、お前自身がスクープの塊じゃねぇか」

 

「そんな事言ったって、しょうがないじゃない!!

ダークシグナーだった頃の事、何も覚えてないんだからァー!!

ぐやじいぃーっ!!」

 

「そういやオレ様も全然、覚えてねぇな」

 

ハンカチを噛み締めて号泣するカーリーを見て、リンボも思い出したように呟いた

 

そんな様子を見ていたアキは、テーブルに両肘をついて苦笑いをこぼした

 

「でも良かった、シティとサテライトの人達が元に戻って」

 

「そうね…」

 

そう言って、アキ達は眩しい太陽の光が刺す青空を見上げた

 

 

 

 

 

 

 

……約束の時間になっても姿を見せない遊星・ジャック・クロウはダイダロスブリッジが見える堤防にいた

 

「……とうとうやったんだな、オレ達」

 

「ああ…」

 

繋がったダイダロスブリッジを見つめて3人は笑う

 

「夢じゃ、ねえんだな……」

 

「フッ…長い闘いだった……」

 

「これで、サテライトとシティはひとつに繋がった……」

 

遊星達の目の前には、以前に建てられたダイダロス・ブリッジはそのまま残し、その上を新しいダイダロスブリッジが繋がれている、自分達の夢の光景が映っていた

 

「だがまだ、成し遂げられていない事がある」

 

「そんなことは分かってるぜ!!

オレ達の決着がなぁ!!」

 

「…望むところだ!!」

 

遊星は意気高く叫びD-ホイールに乗り込み、ジャックとクロウも自分達のD-ホイールに乗り込んだ

 

「行くぞジャック クロウ!!

オレ達の未来へ!!」

 

遊星の掛け声と共に、3つの影が勢いよく走り出す

 

……だが、シグナー達の闘いは全て終わった訳ではなかった

 




ダークシグナー編、完結です
ストーリーの展開上、ユキちゃんにあまりデュエルをさせてあげられなかったですけど…

次からは、WRGP準備期間編です
ここからは、色々とオリジナル話やオリキャラをたくさん入れていこうと考えています
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