遊戯王5D´s  絆の物語   作:なおにぃ

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レベル 5  準決勝 開幕

ユキが魔女であるという事実を知って静まる会場を盛り上がらせる為、司会はマイク片手に大声を上げた

 

『イェーイ!!

波乱のあった第4試合が終わり、これより敗者復活戦の組み合わせを発表するぞー!!

この試合はランダムに抽選された1組により行われる!!

その幸運に選ばれたのは……惜しくもボマー選手に敗れたが、若干11歳にして実力はゴドウィン主催の折り紙つきー!!

その将来性はまさに右肩上がりの天上知らずー!!

舞い降りたデュエルの天使、Ms.龍可ちゃーん!!』

 

明かりが消え真っ暗な会場の観客席にいた変装した龍可に、パッとスポットライトが浴びせられた

 

 

 

 

 

 

 

「龍可……」

 

「あの子が本物の龍可という子なんだろう?

偽者くんもいいデュエルを見せてくれたが、さて……本物の彼女はどうかな?」

 

控え室にいた遊星の呟きにボマーはそう言い残してその場を後にした

 

その後、消えた痣のあった右腕を撫でて遊星も龍可と…控え室に戻らないユキの様子を見る為、控え室を出て行った

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どうしよう……」

 

「どうしようって……そりゃ、参加してるのは龍可ちゃんなんだからなぁ……」

 

困り果てている龍可を見て、氷室は苦笑した

 

「だからー、龍可はオレなんだよ!?」

 

「でも、この空気じゃ龍可ちゃん出て行かないとまずいんじゃないかなぁ……?」

 

観客達の龍可コールに、当の本人は畏縮していた

 

「そんなぁ……わたし嫌よ

デュエルすると、すごく疲れちゃうのに……」

 

「はぁーあ……遊星やユキ姉ちゃんと戦えるチャンスができたっていうのに、このまま終わるなんて……」

 

盛大なため息をつく龍亜に、龍可は自棄になったように叫んだ

 

「……分かったわよ!!

このデュエルだけ頑張って勝つ、その後は龍亜が出ればいいじゃない」

 

「本当!?

それいい、応援しちゃう!!」

 

「もー、調子いいんだから!!」

 

龍可はデュエルディスクを持ち、龍亜達は見送りに入場口近くまで歩き出した

 

 

 

 

 

 

「ワクワクするねェ

龍可ちゃんのデッキってどんなデッキなのかね?」

 

「妖精デッキさ」

 

「妖精?」

 

「うん

あいつ、デュエルモンスターズの妖精の声が聞こえるんだって

その声に従って、デッキを組んだって言ってた

だから、妖精デッキ」

 

「それは…どうなんだ?」

 

「妖精の声を聞くと、あいつすごく疲れるんだ

だからあまりデュエルをやりたがらないんだけど……」

 

入場口への廊下を歩く龍可達は先を行く遊星の後ろ姿を見つけ、龍亜は叫びながら走り出した

 

「遊星ーっ!!」

 

「龍亜…みんな来たのか」

 

「途中まで、見送りに」

 

「龍可が1人じゃ不安だって言うからさ!」

 

「わたし、そんな事言って無い!!」

 

双子のやり取りを見て微笑ましそうにする遊星は、周りを見渡した

 

「…ユキは、いないのか?」

 

「え?

控え室にいるんじゃないのかい?」

 

「いや、デュエルが終わってからずっと戻って来ない」

 

「無理も無いだろ、あんな酷い正体のバラされ方をされたからな」

 

歩きながら話す遊星達は、第4試合を思い返していた

 

「…まさか、ユキさんが堕天の魔女だったなんて」

 

「どうしよう……ユキさんの前で、堕天の魔女の話しちゃった……」

 

龍可と天兵が沈む中、遊星達が曲がり角を曲がると……廊下に座り込んでいるユキがいた

 

「ユキ!?」

 

「ユキ姉ちゃん!!」

 

「どうしたの!?」

 

声と足音に顔を上げたユキの目は、真っ赤に腫れ上がっていた

 

「…泣いて、いたのか……」

 

視線をそらして立ち上がったユキは、そっと服の汚れを払った

 

「……隠していた事は謝ります

けど、これ以上は私と一緒にいない方がいいです」

 

遊星達とは逆に歩き出すユキに、龍亜達は慌てて止めに入った

 

「ま、待ってよユキ姉ちゃん!!

あんなの、オレは気にしてないよ!!」

 

「そうよ!!

わたしもユキさんが優しいのを知ってる!!」

 

立ち止まったユキは、振り返らなかった

 

「……ありがとう、2人共本当に優しいね

けど、私は魔女なの…私は、誰かを 何かを傷つける事しか出来ない…私は、化け物だから……」

 

「お嬢ちゃん……」

 

切なそうな矢薙の声がする隣で、遊星はユキの背中を見つめた

 

「─……何となくだが、予想はしていた」

 

《え…?》

 

龍亜達の視線を浴びながら、遊星は話し続ける

 

「お前が、何かを隠している事は予想していた

お前はその力で、傷つける事を怖がっているんだろう?

…だから、泣いていたんじゃないのか?」

 

「……そうよ」

 

バッと勢いよく振り返ったユキの目からは、大粒の涙が零れていた

 

「けど!!

私は魔女だから、化け物だから!!

こんな力を持つ自分が恐い……!!

こんな力を持つ私は…ずっと1人……きっとあの人も、姉さんも同じ…」

 

「…誰かを傷つける事しか出来ない訳じゃないだろう?

お前は1度、ダイモンエリアでオレ達を守ってくれた」

 

その一言に動揺したように、ピクリとユキの両肩は震えた

 

「どういう事?」

 

「あの時、黒薔薇の魔女…十六夜 アキと会った時だ

十六夜はオレ達を攻撃した、だがオレ達は無傷だった」

 

「た、確かに…」

 

「そうだね」

 

氷室と天兵は顔を見合わせて頷いた

 

「その時、一瞬だけバリアのような物を見たような気がしたんだ……アレはお前の力だろう?」

 

「そ、れは……」

 

「お前は傷つける事しか出来ない訳じゃない、ああしてオレ達を守ってくれた

それに、お前はもう1人じゃない」

 

「え……?」

 

動揺して涙が止まった顔を上げ、ユキは遊星を見つめた

 

「…オレはお前を仲間だと思っている」

 

「何を、言ってるの……?

会って間もないのに…」

 

訳が分からないという顔で、ユキは数歩後ろに下がった

 

「過ごした時間は関係無い、相手を信じられるかどうかが大切なんだ」

 

「そうだよ、ユキ姉ちゃん!!」

 

話を続ける遊星の足元から、ひょこっと龍亜が前に出た

 

「もう魔女じゃないんでしょ?

なら、良いじゃんか!!

これからもオレ達と一緒にいようよ!!」

 

「龍亜が珍しく良い事言ってる」

 

「だろだろ!?

…って、「珍しく」ってどういう意味だよ龍可ー!!」

 

「そのままの意味よ

…わたしも龍亜に賛成、わたしもユキさんが一緒の方がいい」

 

「ワシもじゃよ

若い娘とお友達になれて、ワシは嬉しいねぇ」

 

「じいさん、下心丸出しだぞ…

まあ人には言いたく無い事の1つや2つ、有るのが当たり前だ

そこまで気にする事は無いぜ、嬢ちゃん」

 

「えっと、ダイモンエリアで助けてくれて…ありがとうございました」

 

龍可に続くように矢薙・氷室・天兵が言い出し、ユキは戸惑いを隠せずにいた

 

「けど、私は…人を傷付けた……」

 

「だがお前は、人を傷付けたく無いと願ったハズだ」

 

言い当てられた本心に、ユキは目を見開いて遊星を見つめた

 

「…確かにさっきの試合で1度だけ、お前は力を使った

だが、それはあの一撃でサレンダーして欲しかったから…違うか?」

 

「……その通りです

私は力を持っている事は怖く無い…この力で、誰かを傷付ける事が怖い…!!」

 

「お嬢ちゃん……」

 

「…オレ達はお前の恐怖を全て理解してはやれない

だがお前の拠り所になる事は出来る」

 

「遊星、さん……」

 

今にも泣き出しそうな声と顔のユキに、遊星は小さく頷いて言い切った

 

「…オレ達は仲間だ」

 

 

 

 

 

 

 

……その後、敗者復活戦で龍可はデュエルカウンセラーの異名を持つプロフェッサー フランクと引き分けて、フォーチュン・カップ 1回戦が全て終了した

 

司会が発表した準決勝のカードは、遊星VSボマー……そして、アキVSユキだった

 

(やっとこの時が来た…言葉で説いても多分無理……なら、デュエルで直接語りかけるしかない……勝負よ、姉さん…!!)

 

対戦カードを見たユキは、強く拳を握り締めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…翌日、フォーチュン・カップ準決勝 第1試合は、遊星VSボマーのライディングデュエル

 

龍亜とのデュエルで見せた『ジャイアント・ボマー・エアレイド』の他にもシンクロモンスターを召喚して戦うボマー

 

だが、遊星のデッキを信じる心の前に、惜しくも敗れて決勝進出1人目は遊星になった

 

 

 

 

 

「遊星…見事だった……私の完敗だ……」

 

ボマーの声はマイクのスピーカーを通して観客全員に聞こえていて司会の声がマイクには入っていなかった

 

「私は負けた!!

だがまだ、私の使命は終わっていない!!」

 

「ぇ…?」

 

「私はこの大会に優勝し、その式典でゴドウィンの行った卑劣を公にするつもりだった……だが、今はそれも叶わぬ夢……ならば、この場で復讐を果たすまで!!」

 

「復讐…!?」

 

「これを見ろ、無に帰した我が村を……!!」

 

会場の大きな電光掲示板に……悲惨に荒れ果てた土地が映し出された

 

「ええいっ!!

すぐに映像を止めろ!!」

 

「構いません」

 

取り乱して言うイェーガーをゴドウィンは宥めるように言った

 

「これが私の村だ!!

私の故郷だ!!

ゴドウィンは赤き竜を復活させようと、私の村を実験材料にした

そして…私の村は……!!」

 

ざわめく観客達に、ボマーは語り続ける

 

「村人全員が行方不明……そしてその中に……私の家族もいた」

 

「それじゃあ、お前の家族は……!!」

 

「遊星・ジャック…そして十六夜 ユキ!!

奴を信じるな!!

ゴドウィンに赤き竜を渡してはならない!!」

 

それだけ言ったボマーはD-ホイールに跨がって走り出した

 

「ボマー!!」

 

「奴とは……私がこの手で決着をつける!!

私の故郷の仲間の為に……!!

私の大切な家族の為に……!!

こんな悲しみを、もう2度と繰り返さない為に……!!」

 

ボマーはD-ホイールでゴドウィン達のいるVIPルームへ飛んできた

 

続くように遊星が後を追いかけて、ボマーのD-ホイールとぶつかった

 

「何っ!?」

 

2つのD-ホイールがぶつかり合い、後輪に付いていた装備 チャリオット・パイルが外れて、ゴドウィン達のいるVIPルームへ飛んできた

 

防弾ガラスを突き破り飛んできたチャリオット・パイルをゴドウィンは片手で受け止めるが、ゴドウィンの片手の手袋は無惨に破れていた

 

「その手は……!!」

 

ジャックの視線の先には、機械の手が出ているゴドウィンがいた

 

2つのD-ホイールがドスンッと音をたてて着地する

 

「遊星ぇ……何故止めた!?

何故!?」

 

ボマーはガッと勢いよく遊星の胸ぐらを掴んだ

 

「ボマー、オレも奴を許すことはできない……!!

だが……力ずくで決着をつけるなら、お前も奴と同じだ」

 

「遊星ぇ……あああああーーっ!!!!」

 

その場に、ボマーの悲痛な叫び声が響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

モニターで観戦していたユキは、セキュリティに連行されていくボマーを見続けていた

 

(すごい人…やり方は多分間違っていたんだろうけど、あの人は命掛けで自分のやるべき事をやろうとした……私も、私のやるべき事をやらないと…)

 

デッキとデュエルディスクを握ったユキは、モニターのある控え室を出て行った




ユキちゃんが正式に、遊星達の仲間になりました
まだビクビクしている所もあるんだろうけど、これからゆっくり仲間を知っていけば良い…んじゃないかなぁ…と思います
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