ボマーはセキュリティに連行され、遊星は後味の悪さを噛み締めながら奥へ下がって行く
遊星が控え室に戻ると、遊星を待っていたユキがやって来た
「ユキ…」
「その…お疲れさま、でした……」
「ああ……」
それだけで黙り込んだ遊星は、D-ホイールのメンテナンスを始めた
「…彼、必死だったんでしょうね」
「……そうだな
だが、必死過ぎてやり方を間違えてしまったんだ…」
誰と言わずに内容を理解した遊星は、作業の手を止めた
「…ユキ、今度はお前の番だな」
「はい……けど、私は勝敗はどちらでも良いんです」
「ん…?」
「私がこの大会に出た目的は、姉さんから奴への…ディヴァインへの依存を取り除く為
この大会への招待状が私に来たなら、きっと姉さんにも届いてる…そう考えて大会に参加しました」
「……そうだったのか」
「けど、1回戦のあの様子じゃ言葉で説得するのは多分無理です
デュエルで姉さんに直接寄り添ってみようと思います」
「…きっと届くさ、お前の想いは」
「…ありがとうございます、遊星さん
じゃあ、行ってきます」
「ああ、行ってこい」
遊星に見送られ、ユキはゆっくりとフィールドへ歩き出した
(一応、最終手段は用意した…アレを使わずに済めば良いけど…)
「アキ、恐いか……?」
別の控え室には、ディヴァインと仮面を持っているアキがいた
「私はまた…傷つける……今度は、実の妹を……!!」
怯えきっているアキの肩に、ディヴァインはそっと手を置いた
「恐れるな
お前はサイコデュエリストの未来……その誇りと使命を知った時、この仮面とは別れを告げたはずだ……
ユキはその重圧に耐え兼ねて逃げた……奴は我々 アルカディア・ムーヴメントの裏切り者なんだ」
言い切ったディヴァインは、そっとアキの仮面を取り上げる
「堂々とその美しい素顔を曝し、お前の存在を知らしめろ……」
『さぁー!!
待ちに待った準決勝 第2試合!!
この試合は偶然にも姉妹対決となったぞ!!
1回戦の衝撃以来、生々しい姉 黒薔薇の魔女 十六夜アキ!!
対するは妹 堕天の魔女 十六夜 ユキ!!』
ステージに出た2人を待っていたのは、心無い言葉の数々だった
「どっちも負けろーっ!!」
「消えろ化け物共ーっ!!」
「魔女め、死んでしまえーっ!!」
観客席にいるのが嫌になり選手の入場口の近くまで移動した龍亜達は、他の観客達の身勝手な罵声にムッとしながら口を尖らせていた
「何だよ皆して!!
姉ちゃん達の悪口ばっか言ってさ!!」
「あんな事言うなら、来なければいいのに!!」
「本当、酷いわ!!」
「まったくじゃのぅ」
「ユキ……」
心配そうな声をもらしながらモニターを見る遊星の後ろから、氷室が片手をあげながら控え室にやって来た
「どうだ?
D-ホイールの調子は?」
「ああ、大丈夫だ」
「魔女姉妹、か……お前はどう思う?」
「……このデュエルで分かる」
「嬢ちゃん、勝てるといいな…」
「…ユキの目的は勝利には無い」
「は?
何で言い切れるんだ?」
「さっきまで、ここにユキがいたからな
ユキはデュエルで、姉の心に語りかけるつもりだ」
ブーイングが鳴り止まない中、アキとユキはフィールドで向かい合う
「…久しぶり、姉さん」
「……話す必要は無い、お前は私が倒す」
冷たく言い放ったアキは、自身の赤紫色のデュエルディスクを起動する
その様子を見て、ユキも自身の緑色のデュエルディスクを起動した
(このデュエルで、姉さんの心をこじ開ける…!!)
「「─
ブーイングの中2人の声が揃い、姉妹対決が開始された
アキ LP 4000
ユキ LP 4000
先行をとったアキが、デッキからカードを引いた
「私のターン、ドロー
『バイオレット・ウィッチ』を守備表示で召喚」
アキのフィールドに、紫色のローブを纏った魔女が守りの体勢で現れた
バイオレット・ウィッチ
☆4 闇属性 魔法使い族 ATK 1100 DEF 1200
「ターンを終了」
「私のターン、ドロー
モンスターを裏守備で召喚、カードを1枚伏せてターンエンド」
「どっちもまずは様子見だな」
「次のターンから、仕掛けてくるだろう」
氷室と遊星は作業を止めて、モニターでデュエルを観戦していた
「私のターン、ドロー
『ボタニティ・ガール』を攻撃表示で召喚」
アキのフィールドのバイオレット・ウィッチの隣に、頭に花をつけた女が現れた
ボタニティ・ガール
☆3 水属性 植物族 ATK 1300 DEF 1100
「バイオレット・ウィッチを攻撃表示に変更してバトル…裏守備表示のモンスターを攻撃!!」
バイオレット・ウィッチが杖から放った魔法が、ユキのフィールドの裏側守備表示モンスターを破壊した
破壊されたそのモンスターは、心なしかある人物に似ていた
「…ねぇ龍可」
「うん、わたしもきっと同じ事を思ってると思う」
入場口近くでデュエルを見ていた天兵と龍可は、どちらからともなく頷き合った
「え?
天兵も龍可もどうしたんだよ?」
「どうかしたのかい?」
龍亜と矢薙は分からないという顔で、2人を見ていた
「今のユキさんのモンスター…」
「─なんか、龍亜に似てたわ……」
「ああ、言われてみるとそっくりだね!!」
納得いったように頷く矢薙の隣で、龍亜は猛抗議を始めた
「ええーっ!?
ちっとも似てないよ!!
オレの方がずっとカッコいいし!!」
「「どこが?」」
「…破壊された『ガスタの希望 カムイ』のリバース効果発動
デッキからガスタと名のつくチューナーを1体 特殊召喚出来る
チューナーモンスター『ガスタ・スクレイル』を守備表示で特殊召喚」
アキの攻撃で地面が傷付いても構わずに、ユキはフィールドに緑色の栗鼠のようなモンスターを召喚した
ガスタ・スクレイル
☆2 風属性 雷族 ATK 0 DEF 1800
「あ、可愛い…」
「よし、守備力は1800!!
ボタニティ・ガールの攻撃力よりも上だ!!」
「……何のつもり?」
「何が?」
フィールドで向かい合うアキの問いに、ユキは真面目な顔で答えた
「いつまでそうやって守っているつもりなの?」
「慌てなくても、これから攻撃するから大丈夫よ
それで姉さん、これからどうするの?」
「…ターンを終了」
「私のターン、ドロー
『ガスタの神官 ムスト』を召喚」
ユキのフィールドに、緑色のローブに杖を持った男の神官が現れた
ガスタの神官 ムスト
☆4 風属性 サイキック族 ATK 1800 DEF 900
「─罠発動、永続罠『エンジェル・リフト』
自分の墓地のレベル2以下のモンスターを1体、攻撃表示で特殊召喚する
墓地のカムイを特殊召喚」
ユキのフィールドに、どこか龍亜に似たモンスターが現れた
ガスタの希望 カムイ
☆2 風属性 サイキック族 ATK 200 DEF 1000
「やっぱり龍亜にそっくりだよね」
「うん、本当にそっくり」
「そっくりじゃのぅ」
「ぜーんぜん似てないよーっ!!」
皆揃ってそっくりと言われて、龍亜は拗ねたように喚いていた
「(レベルの合計は8、ボレアス・ガスタ・ドラゴンを呼ぶべき……いや、姉さんのモンスター達は殆ど同じ効果…なら)
─レベル2のガスタの希望 カムイに、レベル2 ガスタ・スクレイルをチューニング」
ガスタの希望 カムイが2つの光の球になり、2つの光の円となったガスタ・スクレイルの中をくぐり抜ける
「─始まり告げし一陣の風よ 空を渡りて 導きの力となれ
シンクロ召喚!!
─伝えよ 『ダイガスタ・ファルコス』!!」
ユキのフィールドに、緑色の髪の少年が乗る大鳥が現れた
ダイガスタ・ファルコス
☆4 風属性 サイキック族 ATK 1400 DEF 1200
「レベル4のシンクロモンスター?
嬢ちゃんのフィールドには合計レベル8のモンスターがいたのに、何であのドラゴンを呼ばなかったんだ?」
「何かしらの考えが有るんだろうな…」
氷室と遊星は、ユキの戦術に首を傾げながらも戦況を見守った
「そんなモンスターを呼び出して、一体何のつもり?」
「─ダイガスタ・ファルコスの効果
このカードのシンクロ召喚に成功した時、フィールド上の全てのガスタモンスターの攻撃力は600ポイントアップする!!」
「っ……!?」
「─アワー・シンパシー!!」
ダイガスタ・ファルコスが起こした風の音波を浴びたガスタの神官 ムストとダイガスタ・ファルコス自身は、風のオーラを纏ってパワーアップした
ガスタの神官 ムスト ATK 1800→2400
ダイガスタ・ファルコス ATK 1400→2000
「ガスタの神官 ムストの効果発動
自分の墓地のガスタモンスター1体をデッキに戻し、フィールド上に表側表示でいるモンスター1体の効果を、このターンの間無効にする
私はガスタの希望 カムイをデッキに戻し、バイオレット・ウィッチの効果を無効にする」
ガスタの神官 ムストの杖から放たれた風が、バイオレット・ウィッチの力を封じ込めた
「バトル!!
ダイガスタ・ファルコスで、バイオレット・ウィッチを攻撃!!
─ショック・ウィンド!!」
ダイガスタ・ファルコスの起こした緑の羽根が舞い散る風の衝撃波を受けたバイオレット・ウィッチは、抵抗出来ずに破壊された
「くっ…!!」
アキ LP 4000→3100
「ムストの効果で、バイオレット・ウィッチの効果は発動出来ないわよ姉さん
続いてムスト、ボタニティ・ガールを攻撃!!」
ガスタの神官 ムストが杖から放った風が、アキのフィールドボタニティ・ガールを襲った
アキ LP 3100→2000
「黒薔薇の魔女のライフが半分になったぞ!!」
「やられちまえーっ!!」
観客達の心無い暴言の中、姉妹のデュエルは続いていく
「…破壊されたボタニティ・ガールのモンスター効果発動
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分のデッキから守備力 1000以下の植物族モンスターを1体、手札に加える事が出来る
私は守備力 0の『コピー・プラント』を手札に加える」
「(チューナーモンスター…来る)
ターンエンド」
「私のターン、ドロー
─速攻魔法『偽りの種』を発動、手札からレベル2以下の植物族モンスター1体を特殊召喚する
『ダーク・ヴァージャー』を守備表示で特殊召喚」
アキのフィールドに、双葉に目がついたモンスターが現れた
ダーク・ヴァージャー
☆2 地属性 植物族 ATK 0 DEF 1000
「─永続魔法『超栄養太陽』を発動
自分フィールドのレベル2以下の植物族モンスター1体をリリース
リリースしたモンスターのレベルより3以下の植物族モンスター1体を、手札かデッキより特殊召喚出来る
レベル2のダーク・ヴァージャーをリリース、デッキよりレベル3の植物族モンスター『シード・オブ・フレイム』を特殊召喚」
アキのフィールドのダーク・ヴァージャーがいなくなり、代わりに炎の火種を頭につけた植物のモンスターが現れた
シード・オブ・フレイム
☆3 炎属性 植物族 ATK 1600 DEF 1200
「─手札に加えたチューナーモンスター コピー・プラントを守備表示で通常召喚」
アキのフィールドに、樹がねじ曲がったようなモンスターが現れて青くなった
コピー・プラント
☆1 風属性 植物族 ATK 0 DEF 0
「墓地のダーク・ヴァージャーの効果
自分フィールドに植物族のチューナーモンスターが召喚された時、墓地のこのカードを特殊召喚出来る」
アキのフィールドのシード・オブ・フレイムの隣に、再びダーク・ヴァージャーが現れた
「コピー・プラントの効果
フィールド上の植物族モンスター1体を選択し、コピー・プラントのレベルを選択したモンスターと同じにする
ダーク・ヴァージャーのレベルをコピー」
アキのフィールドのダーク・ヴァージャーから力を貰ったコピー・プラントは、オーラが包み込みながらレベルアップした
コピー・プラント ☆ 1→2
「レベルをコピーして、何になるんだい?」
「「だぁーかぁーらぁーっ!!」」
毎度のようにボケる矢薙に、龍亜と天兵が一緒にツッコんだ
「─レベル2 ダーク・ヴァージャーとレベル3 シード・オブ・フレイムに、レベル2となったコピー・プラントをチューニング」
合計5つの光の球になった2体のモンスター達が、2つの円になったコピー・プラントをくぐり抜ける
「─冷たい炎が世界の全てを包み込む 漆黒の華よ 開け!!
シンクロ召喚!!
─現れよ『ブラック・ローズ・ドラゴン』!!」
アキのフィールドに、黒薔薇のドラゴンが現れて雄叫びをあげた
ブラック・ローズ・ドラゴン
☆7 炎属性 ドラゴン族 ATK 2400 DEF 1800
ブラック・ローズ・ドラゴンが召喚され観客達が怯える中、遊星と龍可の消えていた痣が再び浮かび、ジャックとユキ…そしてアキの痣が反応を示し鈍い痛みを発した
「くっ…この……忌むべき印が、また……!!」
「っ……この痣が、何で忌むべき印なの……?」
「こんな印があるから、私もあなたもこんな力を持ってしまった!!
こんな物、忌むべき印以外何物でも無い!!」
「─……ジャック・アトラスにも、この痣が有るそうよ」
鈍い痛みに耐えながら、ユキは言い切った
「何……ッ!?」
その一言にアキは目を見開き、観客達は別のざわつきを始めた
「ジャックに力が…!?」
「じゃあ、ジャックも化け物なの!?」
ざわつき出す観客達を無視して、ユキはそのままアキに話し続ける
「……あなたの言い分だと、この痣の有るジャック・アトラスにも私達と同じ力が有る事になる
仮にそうだとしたら、ジャック・アトラスはこの力で何度でも相手をクラッシュさせて勝利出来たハズ」
そこで話を一旦切ったユキは、周りの観客達を見渡して大きな声を出した
「観客の人達、あなた達に聞くわ!!
そんな事が1度でも起きた事はある?!」
ユキの問いかけに、観客席の観客達は声を大きくして騒ぎ立てた
「そんな事があるわけねぇだろ!!」
「そうだそうだ!!
ジャックが化け物なわけあるか!!」
「化け物はお前達だけで充分なんだよ!!」
「どっちもくたばれ、魔女共がぁ!!」
観客達です罵声混じりの返答を聞いて、ユキはアキの方を向いた
「…だそうよ」
「…何が言いたい?」
「─答えは簡単……出来ないからよ
彼等の言う通りジャック・アトラスには力は無い、この痣は私達の力の象徴では無いのよ」
「じゃあこの印は何だと言うの!?」
「分からない…けど、ゴドウィン辺りなら何か知ってるかもね」
「結局、何も分からないって事じゃない
やはり、ディヴァインに付き従う事が正しい行い
無駄な事を考えるだけ無意味、私達はただ破壊するだけで良い…あなたも同じよ」
「…本当にそれしかないの?」
「何故そんな分かりきった事を、今更言い出す?
私は魔女、破壊を楽しむだけの化け物よ……そしてそれは、あなたも同じ
…ブラック・ローズ・ドラゴンのモンスター効果発動
このカードの特殊召喚に成功した時、フィールド上の全てのカードを破壊する
─ブラック・ローズ・ガイル!!」
ブラック・ローズ・ドラゴンが起こした黒薔薇の嵐が、ユキのフィールドのダイガスタ・ファルコスとガスタの神官 ムストを破壊した
「っ……」
「…カードを2枚伏せて、ターンエンド」
「私のターン、ドロー
…『ガスタの静寂 カーム』を召喚」
ユキのフィールドに、緑色の長い髪の大人しそうな女が現れた
ガスタの静寂 カーム
☆4 風属性 サイキック族 ATK 1700 DEF 1100
「向こうは今、がら空き
攻めるなら今だぜ!!」
「確かにそうだな…だが……」
モニターを見つめる遊星は、真剣だった
「バトル、ガスタの静寂 カームでダイレクトアタック!!」
ガスタの静寂 カームが放った風の魔法がアキを襲う前に、アキは2枚の伏せていたカードの片方を開いた
「─罠発動『ディメンション・ウォール』
このカードを発動させたターン、私が受けるダメージは相手が受ける」
ガスタの魔静寂 カームが放った風はアキの目の前に出た歪んだ空間の中に消え、ユキの方に跳ね返ってきた
「ぐっ…!!」
ユキ LP 4000→2300
アキのカードと力で跳ね返り強化された風の魔法がフィールドを破壊したが、直撃を受けたユキは無傷だった
「堕天の魔女もダメージを受けたぞ!!」
「どっちもくたばれ、化け物共!!」
ダメージが発生する度に起こる観客達の暴言に、龍亜達は機嫌が悪そうに眉をしかめていた
「(やっぱり、簡単には心を開かないか…)
カードを1枚伏せて、ターンエンド」
「─どうして…!?」
「ん?」
「どうして…?
さっきの攻撃が確かにあなたに直撃した…あなたの周りの床は傷付いている
なのに…どうしてあなたは無傷なの!?」
今までにない現象に動揺したアキを見て、ユキは何かを察したように話し出した
「─この力は多分、私達の心そのものよ」
「え…?」
「姉さん…本当は苦しいんでしょう?
破壊する事・誰かを傷付ける事・人生を狂わせる事…力そのものを持つ事」
「─…苦しいわよ、だけどッ!!!!
だけど、誰も助けてなんてくれない!!
皆、私を裏切り捨てていく…あなたも私と同じ思いをした、忘れたとは言わせない!!」
「…そうね、私達はこの力が理由で人の醜さを嫌になるくらい理解出来た」
「なら分かるハズよ…もう他人を信じる事は無意味
他人なんて、期待するだけ億劫になるだけ…好きでこんな忌むべき力を手にしたわけでもないのに、言いたい放題言って私を傷付けるだけの存在
なら傷付けられた分、傷付けても何の問題もない」
「ふざけんな魔女!!」
「何開き直ってんだよ!!」
「化け物なんか助ける奴がいるわけねぇじゃねぇか!!」
アキの言い分に観客達が罵声を浴びせる中、アキはユキとの話を続けた
「聞こえるでしょう?
コレが私達を象徴する言葉なのよ…私達は考えるという事をする必要がない
化け物の私達がそんな事をする必要はない、ディヴァインが考えてくれるから私達はただ破壊するだけで良い
それが私達の…魔女の存在意義
今ならまだ間に合うわ、ディヴァインの下に帰って来なさい」
感情的に叫んでいたアキは徐々に冷淡な口調に戻り、対峙するユキを冷淡な眼差しで見つめた
「…それは出来ない、私にはやるべき事があるの」
「なら力ずくになるわ
私のターン、ドロー
─魔法カード『アカシックレコード』発動、デッキからカードを2枚ドロー出来る
ただし引いたカードがこのデュエルで使用されたカードであった場合、そのカードを除外する
もっとも、このデュエルで使用されデッキに戻ったカードは無い…ドロー」
デッキから2枚のカードを引いたアキは、引いた2枚のカードの片方をデュエルディスクにセットした
「『アイヴィ・ウォール』を守備表示で召喚」
アキのフィールドに、太い茨が巻き付いた壁のようなモンスターが現れた
アイヴィ・ウォール
☆2 地属性 植物族 ATK 300 DEF 1200
「─更に魔法カード『フレグランス・ストーム』を発動
フィールド上の植物族モンスター1体を破壊し、デッキから1枚ドローする
アイヴィ・ウォールを破壊してドロー」
カードを引いたアキは、そのカードをユキに見せた
「引いたカードは植物族モンスター『ローズ・テンタクルス』、フレグランス・ストームのもう1つの効果
このカードの効果でドローしたカードが植物族だった場合、もう1枚だけドロー出来る」
デッキから更に1枚引いたアキは、そのカードをデュエルディスクにセットした
「─装備魔法『薔薇の刻印』
墓地の植物族モンスター1体を除外して、フィールド上にいるこのカードを装備したモンスターのコントロールを得る
アイヴィ・ウォールを除外し、薔薇の刻印をガスタの静寂 カームに装備する」
薔薇の紋様が浮かんだガスタの静寂 カームが、アキのフィールドへ映っていく
「─そしてガスタの静寂 カームをリリース、ローズ・テンタクルスをアドバンス召喚」
ガスタの静寂 カームが消え、アキのフィールドに薔薇のイカのようなモンスターが現れた
ローズ・テンタクルス
☆6 地属性 植物族 ATK 2200 DEF 1200
「まずいよ!!
ユキ姉ちゃんのフィールドは今、がら空きだ!!」
「ダイレクトアタックを受けたら、残りのライフはたった100になるわ!!」
「ローズ・テンタクルスで、ダイレクトアタック!!
─行け、ソーン・ウィップ!!」
ローズ・テンタクルスの触手が、鞭のようにユキに襲い掛かる
「─罠発動『ハーフorストップ』!!
このカードは、相手のバトルフェイズに発動出来る
相手はバトル終了時まで自分フィールドの全てのモンスターの攻撃力を半分にするか、バトルを終了させるかのどちらかを選ばなければならない…姉さん、どっちを選ぶ?」
「…攻撃力半減の方を選択するわ」
ローズ・テンタクルス ATK 2200→1100
「だけど攻撃は止まらない、ソーン・ウィップ!!」
ローズ・テンタクルスの触手の一撃がユキを直撃した
「くっ…!!」
ユキ LP 2300→1200
触手の攻撃がフィールドの床をえぐったが、ライフが減ったユキの体はどこも傷付いていなかった
「また…何故…!?
一体何をしたの…!?」
「私は何もしていないわ、何かしたのは姉さんの方」
「えっ…?」
「この力、私達が力と向き合って初めてコントロールが出来る力みたい
だから、今の姉さんのように他人に考えを預けたままじゃダメなのよ」
「……った……な……」
俯いたアキが何かを呟き、聞き取れなかったユキは眉をしかめた
「姉さん…?」
「分かったような口を聞くなっ!!
アルカディア・ムーヴメントを裏切った裏切り者のくせに!!」
顔を上げたアキは、怒りに満ちた眼差しをしていた
「姉さん……」
「答えなさい!!
何故アルカディア・ムーヴメントを、ディヴァインを裏切った!?」
「─…ディヴァインが、私達を兵器としか見ていない証拠を見つけてしまったからよ」
「えっ……!?」
予想外の答えにアキは戸惑い、観客席の隅で見ていたディヴァインは苛立ったように爪を噛んだ
「……何をバカな事を
ディヴァインは化け物になってしまった私達を愛してくれた!!
居場所を与えてくれた!!」
「私も最初はそうだった…けど、見つけてしまった
ディヴァインが私達 サイコデュエリストによる軍事強化を考えているという計画を進めている証拠をね…ディヴァインは、最初から私達を利用していただけだった」
「嘘だ!!
ディヴァインがそんな事をするハズが無い!!」
「この話が嘘だったら、私はアルカディア・ムーヴメントを抜けなかったと思うわ
姉さん、このままじゃ姉さんは兵器に「黙れっ!!」
怒り狂ったアキの怒声で衝撃波が起こり、衝撃波がユキや龍亜達…そして観客席を襲った
「キャアアァァーッ」
「魔女の力だ!!」
「殺されるぞ!!」
「消えろ化け物め!!」
「…ターンエンド」
「…ハーフorストップの効果は終了し、ローズ・テンタクルスの攻撃力は元に戻る」
ローズ・テンタクルス ATK 1100→2200
「私のターン、ドロー…ッ!?」
デッキからカードを引いたユキは、引いたカードに目を見開いた
(コレはさっき入れた…!!
コレを使うしかない…?)
「何をしている?
早くしなさい」
「─ッ…魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動」
ユキは手札から、モンスターカードを1枚墓地へ送った
「手札のモンスターカード1枚を墓地へ送る事で、手札かデッキからレベル1のモンスターを1体 特殊召喚出来る
デッキからチューナーモンスター『ガスタ・イグル』を特殊召喚!!」
ユキのフィールドに、緑色の鳥が現れて青くなった
ガスタ・イグル
☆1 風属性 鳥獣族 ATK 200 DEF 400
「ワン・フォー・ワンの効果で墓地へ送った『ガスタ・グリフ』の効果発動
このカードが手札から墓地へ送られた時、デッキからガスタモンスターを1体 特殊召喚出来る
『ガスタの疾風 リーズ』を特殊召喚!!」
ユキのフィールドのガスタ・イグルの隣に緑色の服に身を包み、オレンジと緑の髪のツインテールの女が現れた
ガスタの疾風 リーズ
☆5 風属性 サイキック族 ATK 1900 DEF 1400
「─速攻魔法『緊急テレポート』発動
手札かデッキから、レベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚出来る
デッキからレベル2の『ガスタの巫女 ウィンダ』を特殊召喚」
ユキのフィールドに、緑の髪の活発そうな少女が現れた
ガスタの巫女 ウィンダ
☆2 風属性 サイキック族 ATK 1000 DEF 400
「─レベル2のガスタの巫女 ウィンダとレベル5ガスタの疾風 リーズに、レベル1のガスタ・イグルをチューニング」
合計7つの光の球になった2体のモンスター達が、1つの光の円になったガスタ・イグルをくぐり抜ける
「─永久に吹き行き 過ぎ往く風よ 清廉なる力宿し 今吹き荒れよ!!
シンクロ召喚!!
─舞い踊れ 『ボレアス・ガスタ・ドラゴン』!!」
ユキのフィールドに、翡翠色の天翼を持つ竜が現れた
ボレアス・ガスタ・ドラゴン
☆8 風属性 ドラゴン族 ATK 2600 DEF 1900
ボレアス・ガスタ・ドラゴンの召喚と同時に、遊星達の痣が光り出す
「痣が…!!」
「またかっ!!」
「けど、今度はさっきみたいに痛くない…」
「これは…」
「ボレアス・ガスタ・ドラゴンのモンスター効果発動!!
墓地の風属性モンスター1体を除外し、フィールド上のモンスター1体の攻撃力を、エンドフェイズまで除外したモンスターのレベル×200ポイントダウンさせる
私は墓地のガスタの疾風 リーズを除外し、ローズ・テンタクルスの攻撃力をダウン!!
─ゲイナー・ミストラル!!」
ボレアス・ガスタ・ドラゴンの起こした霧を纏った風が、ローズ・テンタクルスの力を奪っていく
ローズ・テンタクルス ATK 2200→1200
「ボレアス・ガスタ・ドラゴンで、ローズ・テンタクルスを攻撃!!
─フレース・ヴェルグ!!」
ボレアス・ガスタ・ドラゴンが放った風のブレスが、ローズ・テンタクルスを直撃して破壊した
「くっ…!!」
アキ LP 2200→800
「(少しは姉さんの心を動かせた…?
答えはわからない…この最終手段を使わない事を祈るしかない)
カードを2枚伏せて、ターンエンド」
「…どうして」
「ん?」
「…どうして、そんな風になれたの…?
どうして、力に脅えずに戦えるの…?」
どこか救いを求めるかのようなアキの声に、ユキは姉と正面から向き直った
「…私は力を持つ事はそこまで怖くない、この力で何かを傷付ける事が怖いの
けど、この力を持っていても受け入れてくれようとする人達に出会えた
ディヴァインのように私を利用するんじゃない、ただ仲間だって言ってくれた人達がいた」
「そんなの嘘よ…ディヴァイン以外にそんな人がいる訳が無いわ」
「正直に言うと、私も本当に信じて良いのかわからない
だから私は、賭ける事にしたの」
「あなたの賭け事の対象にされるなんて、その人達はかわいそうね」
「─違う、私は私に賭けたの
私の誰かを見る目が、確かなのかどうかを
…姉さん、視野を大きく持たないとダメ
身近に落ちてる大切なモノを無くしてしまう…もう、父さんや母さんの時のような想いは嫌でしょ?」
「ええ、嫌よ!!
だからこそ、私はディヴァインと一緒にいるの…私のターン!!
─魔法カード『埋葬呪文の宝札』を発動、墓地の魔法カード3枚を除外してデッキからカードを2枚ドローする
偽りの種 薔薇の刻印 アカシックレコードを除外、カードを2枚ドロー」
デッキからカードを2枚引いたアキは、引いた片方のカードをデュエルディスクにセットした
「─魔法カード『貪欲な壺』発動
墓地のモンスター5体をデッキに戻しシャッフル、その後カードを2枚ドローする」
アキは自分の墓地から、ブラック・ローズ・ドラゴン
バイオレット・ウィッチ
シード・オブ・フレイム
ボタニティ・ガール
ローズ・テンタクルスの5枚のモンスターカードを取り出した
「この5枚をEXデッキとデッキに戻してシャッフル、カードを2枚ドローする
─そしてチューナーモンスター『
アキのフィールドに、紫色の甲冑を纏った1人の少年騎士が現れた
☆3 闇属性 戦士族 ATK 1000 DEF 1000
「
召喚に成功した時、手札からレベル4以下の植物族モンスター1体を特殊召喚出来る
来い、『ロードポイズン』!!」
アキのフィールドの
ロードポイズン
☆4 水属性 植物族 ATK 1500 DEF 1000
「来る…ッ」
「─レベル4 ロードポイズンに、レベル3
4つの光の球になったロードポイズンが、3つの光の円になった
「─冷たい炎が世界の全てを包み込む 漆黒の華よ 開け!!
シンクロ召喚!!
─復活せよ、ブラック・ローズ・ドラゴン!!」
アキのフィールドに再び黒薔薇の竜が現れ、2体のドラゴンが向かい合うと遊星達の痣がまた反応を示した
「痣が…!!」
「また……!!
くっ……ブラック・ローズ・ドラゴンのモンスター効果発動!!
墓地の植物族モンスター1体を除外して、相手フィールドのモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで0にする、ロードポイズンを除外
─ローズ・リストリクション!!」
ブラック・ローズ・ドラゴンの棘が、ボレアス・ガスタ・ドラゴンに向かって行く
「ボレアス・ガスタ・ドラゴンのモンスター効果発動!!
自分の墓地の風属性モンスター2体をデッキに戻して、カード効果の発動を無効にして破壊「─更に速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動!!」えっ…!?」
アキが出したカードに、ユキは動きを止めた
「フィールド上のモンスターの攻撃力を400上げて、このターンの間だけ効果を無効化する
私はボレアス・ガスタ・ドラゴンを選択!!」
ボレアス・ガスタ・ドラゴンはカードから出てきた聖杯から水を浴びせられ、発動させようとしていた力を失った
ボレアス・ガスタ・ドラゴン ATK 2600→3000
「これでボレアス・ガスタ・ドラゴンは力を失った
そしてブラック・ローズ・ドラゴンの効果で攻撃力は0になる!!」
棘に縛られたボレアス・ガスタ・ドラゴンは、悲鳴を上げて力を奪われていく
ボレアス・ガスタ・ドラゴン ATK 3000→0
「バトル!!
ブラック・ローズ・ドラゴンで、ボレアス・ガスタ・ドラゴンを攻撃!!
─ブラック・ローズ・フレア!!」
ブラック・ローズ・ドラゴンの炎がボレアス・ガスタ・ドラゴンに向かって行く中、ユキは伏せていた2枚のカードの片方を開いた
「─罠発動『ガード・ブロック』!!
バトルで発生したダメージ1つを0にするして、デッキからカードを1枚ドローする!!」
ブラック・ローズ・ドラゴンの炎がボレアス・ガスタ・ドラゴンを焼き尽くしたが、カードから出て貼られたバリアが炎からユキを守った
「─…罠発動『カース・オブ・ローズ』
相手フィールドのモンスターの攻撃力が変化した時、そのモンスターの元々の攻撃力と変化した数値の差分のダメージを与える」
伏せられていたカードの効果にユキは目を見開き、デュエルディスクに指を滑らせた
「(使うしかない…!!)
─罠発動『ヘル・ブラスト』!!」
「何ッ!?」
「自分フィールドのモンスターが破壊されて墓地に送られた時、フィールド上の攻撃力が一番低いモンスター1体を破壊してお互いにその攻撃力の半分のダメージを受ける
ブラック・ローズ・ドラゴンを破壊!!」
「ブラック・ローズ・ドラゴンの攻撃力は2400、その半分は1200…!!」
カース・オブ・ローズの炎をかき消すように起きた爆発が、ブラック・ローズ・ドラゴンを爆破して衝撃がアキとユキを襲った
アキ LP 800→0
ユキ LP 1200→0
『決着ーっ!!
両者共にライフが0、この勝負は引き分けだー!!』
……だが、それでもアキもユキは無傷で立っていた
「何で……?
何故立っていられるの!?」
「この力は自分の心そのものなのよ、心に素直にならないと力は暴走する
─…姉さん、あなたは私を傷付けたく無いと願ってずっと無意識に力をコントロールしたのよ」
「私が…力を、コントロールした…?」
「ええ……だからきっと「ふざけんな魔女共が!!」
デュエルの決着が着いたと同時に、観客達がアキとユキを罵倒し始めた
「引き分けだってのに何で立ってんだよ!?」
「化け物は巣に帰れーっ!!」
「くたばれ魔女共がーっ!!」
そんな自分勝手な観客達に、我慢の限界が来た龍可を先頭に龍亜達はフィールドに躍り出た
「龍可!?
皆も…!?」
「─いい加減にしなさいよ、みっともないッ!!!!」
いきなり登場した龍可の怒声に、観客達の罵声はピタリと止まった
「黙って聞いてれば言いたい放題…言いたい事があるなら真正面から直接言いなさいよ!!」
「そうだよお前等!!
さっきまでビクビクしてたのにさ!!」
「上から見てないで降りて来てから話をしなよ!!
こんなのあんまりだ!!」
「まったくじゃのぅ!!」
龍可に続くように龍亜・天兵・矢薙が観客席に怒鳴る中、観客の1人が矢薙の顔を見て言い出した
「─おいあのじいさん、マーカー付けてるぞ!!」
その一言を皮切りに、観客達は再び罵声を浴びせ始めた
「マーカー付きが偉そうに言うんじゃねぇ!!」
「化け物とマーカー付きが仲良しこよしってか!!」
「どっちも社会のゴミじゃねぇか!!」
「纏めて消えろゴミ共!!」
…観客達は罵声を浴びせるだけでは終わらず、フィールドに向かって様々な物をユキ達に投げつけ始めた
『せ、静粛に!!
皆落ち着いてくれー!!』
司会の静止のアナウンスも空しく、観客達は罵声と暴力を止めずにいた
(このままじゃ……ッ!?)
状況を脱出する方法を考えるユキの視界の端に、観客の1人が投げた空き瓶が勢いよく龍可の方へ飛んで行くのが写った
「ッ…龍可!!」
「ぇ」
咄嗟に自分の体を滑らせて龍可を守ったユキの頭に飛んできた空き瓶が直撃し、ガシャァンッと音をたてて空き瓶は砕けた
「ッ…ユキさん!!」
空き瓶の直撃を受けたユキはその場に倒れ、龍亜達は慌ててユキを抱き起こした
「しっかりするんじゃお嬢ちゃん!!」
「ユキ姉ちゃん!!」
「と、とにかく一旦逃げよう!!」
ユキを抱えようとする龍亜達を見て、観客達は更に罵声を浴びせ続ける
「やったぜ!!
オレが魔女を倒したぞ!!」
「良いぞ、よくやった!!」
「そのままくたばれ魔女がァ!!」
「あいつ等…!!」
「龍亜、今はユキさんを運ぶのが先よ!!」
「わかってるけど…!!」
言いたい放題な観客達に龍亜が怒る中、ウイィィィンッと音をたててフィールドへの入場口から赤いD-ホイールが飛び出してフィールドに降り立った
「「─皆、大丈夫か!?」」
「「「遊星!!」」」
「氷室ちゃん!!」
赤いD-ホイールを龍亜達の方に寄せたD-ホイーラー…遊星と後ろに無理やり乗っていた氷室は倒れたユキを抱えて遊星のD-ホイールに乗せた
「ユキはオレが運ぶ、皆も早く脱出するんだ!!
氷室、皆を頼む!!」
「わかった!!」
「遊星、ユキさんをお願い!!」
勢いよくD-ホイールのエンジンを吹かした遊星は、ユキを器用に抱えてフィールドを後にした
「オレ達も急ぐぞ!!」
氷室に促された龍亜達もその後に続き、波乱のあった準決勝は終了した
「…はい、これでおしまい
まったく、何で魔女なんかの怪我の処置しないといけないんだ…!!」
…負傷したユキを連れて控え室に戻った遊星達は、通りすがりの医者を連れてユキの怪我の処置をさせた
最初こそ嫌がっていた医者だが遊星達にほぼ脅しに近い勢いで頼まれて嫌々引き受け、処置が終わるとそそくさと控え室を出て行った
「ったく、何だあの医者は…!!」
「ユキ姉ちゃんを悪者みたいに言いやがって!!」
「本当
あんな人がお医者さんだなんて、信じられない!!」
「僕知ってる
ああいうのを、ヤブ医者っていうんだよね」
「天兵くん、よく知っとるねぇ」
「…とにかく、ユキの怪我が大したことなく済んだのは良かった」
「うん…ユキさん、わたしを庇って…」
「龍可は悪くないだろう!?
悪いのは、あの空き瓶投げた奴だ!!」
「そうじゃよ龍可ちゃん
龍可ちゃんがそんな顔してたら、お嬢ちゃんが起きた時に落ち込んでしまうかもしれないよ」
「…うん、そうね
ありがとう、おじいちゃん…あと龍亜も」
話をしている最中、控え室のモニターにフィールドの様子と司会のアナウンスが響いた
『Everybody Listen!!
今届いた決定をお知らせするぞ!!
先程の準決勝 第2試合は引き分けで決勝進出は不動 遊星1人になっていたが、ゴドウィン長官の計らいで決勝戦を行う事になった!!
十六夜 ユキは負傷の為、デュエル続行は不可…よって決勝進出は十六夜 アキに決定した!!
フィールドの修繕が終わり次第、決勝戦を開始するとの事
対戦カードは不動 遊星VS十六夜 アキー!!』
「遊星が、あの黒薔薇の魔女と闘うの…?」
「遊星ならきっと勝てるよ!!」
「嬢ちゃんとのデュエルを見た感じ、一筋縄ではいかなさそうだぞ遊星」
「全力で行くさ
…それに、ユキの目的が全く果たせなかった訳では無い」
そう話す遊星の手元には、自身のドラゴン『スターダスト・ドラゴン』が握られていた
「ユキ…余計な事をしてくれたな」
…騒ぎに乗じてコッソリとアキを回収したディヴァインは、苛立たし気にフィールドを睨んだ
(ユキが逃げた理由は、おおよそ予想通りだった
だがアキにこの事を知られたのは想定外だ…まずはアキを落ち着かせてからだな
─アキを更にパワーアップさせて利用する方法…もう1度ユキを手に入れておく必要があるな)
今回は姉妹対決です…が、難産でした
デュエル事態は書けましたが、途中の会話が難しかったです
結果は引き分けですが、デュエルの前に書いた通りユキは勝敗にはあまりこだわっていません
姉 アキと直接話す事が目的です
フォーチュン・カップ編でのユキちゃんのデュエルはこれで終わりです
次はストーリー上、どうしてもダークシグナー編になります