Muv-Luv オルタネイティヴ インヘリティド 作:蒼山とうま
本日より、『マブラヴ オルタネイティヴ』の二次創作小説、『マブラヴ オルタネイティヴ インヘリティド』を連載いたします。つい先日よりマブラヴにどっぷりとハマり始め、まだまだ勉強中ですがどうか最後まで応援してくださると幸いです。
参考に他の方のを拝見させていただきましたが、私と書き方が全く異なり衝撃を受けました。私もその方がいいのか、と思いつつ今回は書かせていただきました。
基本はなろうにて一次創作をしており、ハーメルンも二次創作も今回が初めてである故に、どのような書き方がいいのか等はまだまだ不明瞭です。改善点やご指摘、及び誤字脱字等がございましたら、私の方まで感想として教えていただければ幸いです。
重複となってしまいますが最後までどうぞ、応援の方と私のつまらぬ茶番にお付き合いください。
これからどうぞ宜しくお願いいたします。
アナイアレイト
1967年。国際恒久月面基地プラトー1の地質探査チームが月のできたクレーター、サクロボスコクレーターを調査中に、火星の生命体と同種の存在を発見。その後消息を絶った。
後に『月面、サクロボスコ事件』と称されるこの事件は、1958年の米国、探査衛星ヴァイキング1号の消息不明となった事件以降、最も悲惨な事件となった。同年、BETAによる月への侵攻が始まる。これを第一次月面戦争と呼称する。
第一次月面戦争から始まったBETA大戦。今や月面のみならず地球も戦場となり混沌を極めるこの世界で、人類はどう生き抜くのかを模索していた──。
* * *
1998年には国連軍と大東亜連合軍の朝鮮半島撤退支援を目的とした作戦である光州作戦で、朝鮮半島からの脱出を拒む現地住民の避難救助を優先する大東亜連合軍に日本帝国の彩峰中将が協力したため、結果的に国連軍司令部が陥落。指揮系統のの混乱を発生させ、住民の救出途中のBETAによる襲撃で国連軍は多くの損害を被り失敗と終わった。後に光州作戦の悲劇と呼ばれるこの事件以降、BETAは朝鮮半島全域へとその手を伸ばしてゆく。
今や、BETAによる本州上陸すら危ぶまれている状態であった。そして光州作戦の6ヶ月後に当たる7月7日。まだ作戦の損耗が回復する間もなく、中国に存在するBETAの巣である重慶ハイヴから東進してきたBETA群が朝鮮半島から日本海を横断して九州地方の博多湾付近やその他北九州地方の沿岸部に上陸。遅れて中国地方日本海沿岸部に散発上陸したBETA群に挟撃され、防衛部隊はその数を減らしていた。
同年同月10日。本土防衛軍西部方面部隊隷下部隊である第7福岡方面軍第6戦術機甲師団は、中国山陰地方から上陸したBETAと既存の九州を蹂躙するBETAの双方との戦闘によって、大きな被害を受けていた。BETAの上陸以降、僅か3日の間に部隊の約三割にあたる92機を失っていた。それでも彼らは戦わなければならなかった。日本というこの国を護り、ユーラシアを取り戻すために。今は歯を食いしばって戦うしか選択肢はなかった。
翌日の11日。この日も衛士たちは戦場に赴く。今まで大勢の仲間が亡骸と化し、BETAに捕食されていくのを目の当たりにしてきた彼らの目つきは修羅場を潜り抜けてきたように鋭いと同時に、希望を見失ったかのように絶望しているようでもある。
「昨日も我が隊は10機程度食われた。同じ第4戦術機大隊のエールズ隊は全滅、デルタ隊も壊滅状態だ。皆、連日の出撃で疲弊しきっているのは理解している。が、今戦わなければ京都や東京、仙台、札幌にいる同胞らが一方的に蹂躙されることになる。それはなんとしても避けなければならない。皆、各々が尽力し、BETAを駆逐してもらいたい。そして──」
第6機甲師団の第4戦術機大隊大隊長の
「なぁ、高砂。次は師団規模のBETAらしいが大丈夫か?訓練生から上がりたてホヤホヤの俺らでさ」
第4戦術機大隊配属のガルラント中隊に属する
「何も心配することは無いだろ?こっちには歴戦の宮部大隊長に俺らの教官の凰中隊長もいるし、俺らだって訓練通りやれば例え
「お前は相変わらずの他力本願だな…。グダグダ言ってても仕方ないか、背中は任せるからな」
「ははっ、お安い御用」
雑談を重ねるうちに、コックピットに映されたメインカメラの映像内に、福岡市内と思われる場所の上空に土煙と黒煙が見える。どうやら戦闘開始時間は近いらしい。
既に交戦している部隊もいるという話があるが、ヘッドクォーターからは詳しい情報は一切通信がない。高砂は操縦桿を思わず強く握りしめた。
「新型のBETAの出現という報告が、複数の部隊から上がっている。一層警戒せよ」
第4戦術機大隊副大隊長の
「なんとしてでも生き残れよ、新兵。ガルラント中隊全機に継ぐ、
ガルラント中隊中隊長の
それに対して「了解」とガルラント中隊の総員が答え、即座に矢印の矢じり部分のような陣形が組まれてゆく。騒ついていた他の中隊機も我に帰った。それと同時に各隊長が指示を出し他の中隊、大隊もほぼ同時に陣形を組み、山括弧のような陣形が幾つも作られる。
大方、全体の陣形が整ったところでガルラント中隊は所定の位置につく。彼らのポジションは第4戦術機大隊の左側面。今日のポジションは横っ腹を突かれれば真っ先に食われるポジション。部隊内で先導隊と同じく、
第6機甲師団の総戦力を集めたこの編隊はまさに圧巻そのものだった。
第6機甲師団の各連隊、大隊の残存機戦力の672機はそのまま突撃体勢を取る。福岡市南区の片縄山山頂を、山なりかつ低空でより侵入した彼らの目に広がったのは、空に垂直に伸びる
1人の隊員が思わず、あっ、と声を上げる。たった4日のうちにここまで廃墟になるとは、実戦経験がほとんどなかった第4戦術機大隊にとって大きな衝撃となった。勿論、それは高砂や三沢も同じだった。
編隊を組んで飛翔する中、一機の戦術機が上空に突出する。
「中村ぁ!高度下げろ!」
ガルラント
瞬きするほどに一瞬だった。
「ガルラント
「もう既に射程圏内だったか…。全機に継ぐ、高度を十分に下げろ!
「了解!」
街地に侵入した第6機甲師団の突入した市街地には既に無数の
「フォクストロット
「ヘッドクォーター了解。現在、中央区北部にて、九州北部防衛隊第一戦車軍団が中隊規模のBETA群と交戦中。至急応援に向かってください」
「フォクストロット
宮部は、そのまま内線に繋ぎ直し、鳳に対して中央区に向かうように指示した。鳳は、一言「了解」とだけ答えて、ガルラント中隊の列機を連れて左に旋回して、迂回しつつ中央区に向かう進路を取る。隊長機が旋回すると、まるでピアノ線がついているかのように一糸乱れず全機が旋回する。
「ガルラント全機、これより中央区に同地点にて抵抗中の戦車軍団の援軍として向かう、出遅れるなよ」
「了解」
西に進路を変えた後、そのまま西進。桧原運動公園を超えたあたりで再び進路を北に転進。中央区へと急いだ。
第一戦車軍団は4個戦車連隊、およそ400両近くの戦車で構成される軍団であり、九州の至る地域に配備されていた。しかし、光州作戦の失敗によりBETAの九州上陸が危ぶまれ始め、全車両が福岡を中心に緊急配備が発令されていた。
同時刻、中央区ではBETAによって、第一戦車軍団は一方的に蹂躙されつつある。対BETA戦のために大正通り、那の津通りに第2機械化歩兵師団、第5歩兵大隊と共に構築した第二防衛線。それはBETAの人海戦術により容易に突破され、歩兵大隊は壊滅。機械化歩兵師団も半数以上が戦死してしまう状態にあった。第一戦車軍団は、第2機械化歩兵師団、第5歩兵大隊の残存戦力と共に昭和通りへの撤退を余儀なくされていた。
「こちらティーゲル
「ガルラント
BETAは第一戦車軍団が守備する昭和通り第三防衛線に着実に接近している。他の部隊が全滅・壊滅し、中央区に取り残されて孤立無援の状態となった第一戦車軍団。第2機械化歩兵師団は対戦車ロケットランチャーや対物ライフル、機関砲を搭載した装甲トラックを駆使し、BETAに対して必死の抵抗を見せる。それまで高速だったBETAの進軍も、やや低下している。第2機械化歩兵師団や第5歩兵大隊、第一戦車軍団の抵抗で、ガルラント中隊の到着までにBETAは食い止められそうだ。
「お、おいなんだありゃ…!?」
1人の兵士が構築した防衛線から伸びる大正通りの先を指さす。その指先には、こちらに向かってくる複数の民間人が存在していた。
「BETAに食われる前にこっちに連れてこい!援護する!」
「了解!」
5名程度の兵士がその民間人らの元に走り、保護する。後ろからは
あと十数メートルに迫ったところで、その民間人らは急に暴れ出したかと思えば、人間ではあり得ない行動を起こしたのだ。救出班の横を歩いていた兵士2人の首を刎ね、あるいは土手っ腹に風穴を開け殺した。民間人の後ろにいた兵士2人が抵抗しようと小銃を向けるがその民間人の動きは機敏で、1人は引き金を引く前に喉を貫かれ倒れ、もう1人は首をもぎ取られて絶命した。残った先方の兵士は、狂ったように乱射して掃討しようとするが、通り沿いの建物を行き来され、照準が定まらない。その兵士は「うわあぁぁぁぁぁぁ!」と断末魔を上げながら迫り来る恐怖に抵抗し続ける。が、ずるっと視界が右下にずれ、一瞬止まったかと思えばそのまま上下逆さになりながら地面に落下する。視界の左側には、血を流しながら倒れる自分の首より下の体が見える。意識が遠のくのと同時に、通りの奥からBETAのゾロゾロという悍ましい足音が小さくなりながら聞こえ、そのまま視界が真っ暗になった。救出班の5人の兵士はほとんど無抵抗なままに全滅させられた。
「お、おいどういう事だありゃ…!?」
「機銃をこっちに向けろ!」
民間人だと
「こ、こっちに来るぞー!」
「総員撃ち方始め、集中砲火ーっ!」
軽機関銃にアサルトライフル、ロケットランチャーに戦車の砲弾とありったけの火器をそれらに向けて、砲火を切り鉛玉を浴びせる。しかし、一発も当たらないまま距離だけが詰められる。しかも十数メートル先からだったのですぐに斬り込まれてしまった。しかし十数メートル先まで油断し切っていた彼らに話す術もなく、簡単に斬り込まれてしまった。
「うあっ!?」
「ギャッ!」
斬り込まれた地点を防衛していた兵士は顎から脳天を貫かれて串刺し状態となって戦死する。それらに抵抗しようとした複数の兵士たちも次々に返り討ちに遭い、屍が折り重なってゆく。しかもそこに
防衛陣地に切り込まれてようやく察した。コイツらはBETA、人型のBETAなのだと。人型の方が個体によってまちまちだがよく見ると、爪の先が鋭く人をも簡単に切り裂けそうであったり、腕が少し細かったりと人類と似て非なる部分がいくつもあった。
1人の兵士が「BETAだ…。もう終わりだ…」とボソボソと呟きながら後退りしたかと思うとクルリと向きを180度反転させて逃げ出した。それに連れられるように歩兵たちは我先にと撤退しだし、防衛線は大混乱に落ちいた。
第一戦車軍団は逃げ出す歩兵の援護に回り、BETA群に向けて主砲や車載機銃を撃ち込んでいる。依然としてBETAの侵攻の勢いは衰えない。それどころか、第一戦車軍団に配属されている90式戦車のうちの数量は、既存のBETAの重い一撃か、人型のBETAの俊敏な動きに対応できずに天板によじ登られ、そしてハッチをこじ開けられての蹂躙のいずれかを行なわれて撃破されていた。
「ティーゲル
「ティーゲル
ヘッドクォーターのオペレーターがティーゲル
ヘッドクォーターにいる司令官は、第四防衛線までの撤退を指示、第6機甲師団はその援護に回るように指令を受けた。宮部大隊長から、そのまま第三防衛線に向かうように命令を受けた鳳中隊長は、その命令を受命。ガルラント中隊を率いて、生存した兵士の捜索と援護のために中央区の第三防衛線に向けて急行した。30秒も経たないうちに、ガルラント中隊は昭和通りに構築していた防衛線跡に到着する。モニターに広がるのは、もげた手足に返り血や肉片を浴びた壁に燃え尽きひっくり返った戦車の残骸。とても生存者がいるような光景ではなかった。
「これは一体…」
高砂は目の前に広がる光景に衝撃を覚えた。これがBETAとの戦争か、これが地獄かと。
辺りを、突撃砲を構えつつ一通り見渡したのだが、やはり高砂の捜索した地点には生存者は一切見当たらないようだった。
「高砂、そっちに生存者は?」
「見当たらない。そっちは?」
「こっちもまったくだ。はぁ、第一戦車軍団も第2機械化歩兵師団も第5歩兵大隊も。全滅だな、こりゃ…」
高砂と三沢が落胆していると、1人のガルラント中隊員が「おい!民間人の生存者だ!」と叫ぶ声が聞こえる。高砂と三沢はその中隊機の方に向かう。発見した彼の機体の目線の先には、5名の民間人が辛うじて生き残った姿があった。髪がボサボサで爪も伸び切っている。服装も数日は変えていないのだろう、そこら中ほつれと土埃だらけだった。そしてその5人全員が怪我をしているのか血が付着していた。しかし、戦術機のカメラではあまり鮮明に見えない。保護のために1人の衛士が降りて様子を確認する事となった。
すでに戦死した中村を除いた11機のうち10機で警戒することになった。鳳中隊長は、ガルラント
咄嗟に「中隊長!鳳中隊長!」と鳳中隊長を呼ぶ。鳳中隊長が不思議そうに高砂の無線に答え、それに対して神木が食われている事を伝えると、形相を変え。生存者たちの方を見た。カメラの解像度の限界であまりよく見えないが、神木の心臓が貫かれ、首にも深い切り傷が確認できた。そして、向こうがこちらを認識するが否や、人間とは思えぬ運動神経で迫ってくる。
「全機!コイツらは人ではない、回避しろ!」
急なことに対応できずにいたガルラント
「この、離れろ、離れろよ!」
新兵であるガルラント
「BETAめ、さっさとそこから降りろ!」
ガルラント
「やめろ、やめてくれぇぇぇ!」
ガルラント
「本多ぁ!」
鳳中隊長が叫ぶ頃には遅かった。ガルラント
「ガルラント中隊全機、血路を開いてここを突破する!全機終結…!」
機械的に突撃してくるBETAに囲まれたガルラント中隊には最早、援軍は望めない状態である。しかもよりによって新型のBETAと思しきものにこのような形で遭遇するなど、思ってもいない事であった。
晴れていた空には黒く厚い雲がかかり、正午だというのにもかかわらず、夕方の土砂降りのように暗かった。
「全機、突撃体勢。ここを突破する、俺に続け!」
鳳中隊長が先陣を切ると、それに続くようにガルラント中隊機はBETA群に吶喊する。生き残る方法はそれ以外になく、唯々、無意味だとわかっていてもやるしかなかった。
一人、また一人とBETAに喰われていく仲間を見捨てる。その行為は高砂にとってその精神をゴッソリ持っていかれる行為だった。
脳裏に焼き付くような悲鳴
グチャグチャと聞こえる生々しい咀嚼音
終わったかと思えば目の前の戦術機に群がるBETA
何もかもが地獄だった。たった数時間前までバカな冗談で笑い飛ばしていた仲間たちがこうも無惨な最期を迎えることが、一番の恐怖だった。
次は我が身、明日は我が身。
何度そう言い聞かせた事だっただろうか。
高砂には、もう考える気力もなく、唯々、先行する鳳中隊長の背中を追いかけることで精一杯だった。