Muv-Luv オルタネイティヴ インヘリティド 作:蒼山とうま
高砂が開けたその目の前には、燃え盛る戦術機の残骸にオイルからくる火の海、そして積み重なる屍の山々。その鼻の曲がるような嗅ぐに耐えないニオイを嗅いで、高砂は反射的に鼻をつまむ。
このニオイは鉄と煙、それと微かに混ざった血と脂。
「ここは…?」
空は紅く染まり雲がそれを包むように覆う。地面は一面、ウユニ塩湖のような水面でその上を炎が焚かれ、無造作に転がる戦術機の残骸と体が欠損した死体、ドロドロと流れる血と雑音が永遠と出る無線機しかなかった。
「誰か!誰かいないのか!?」
声をあげてもう一度周りを見渡すがそこには、やはり死体以外の人は誰もいないどころかBETAの姿も見当たらない。人が居ない廃墟というのは見なれたが、同時にBETAすら居ないとなると不気味なものだ。
少しばかり徒歩で移動する。すると目を疑う光景を見た。それは焼け落ちた二条城であり、すぐにここがBETAによって陥落した帝都・京都であることを理解した。さっきまでの水面はいつの間にか消えてコンクリートと瓦礫がその道を敷いた。
これは夢なのか?これは幻か?
高砂はポツリと一人呟いた。すると、背後から突然「君、どこから来た?」と背後から声が聞こえた。
「誰だ!?」
振り返ると、そこには背丈は高砂より少し高い、三沢くらいの身長の青年が立っていた。
焦げ臭いにおいと黒焦げになった塵が風になびいて二人の間を吹き抜けてゆく。
「君の友であり君の敵でもある存在だよ」
友であって敵でもあるということが一体どういう意味なのか、高砂は全く理解できない。衛士でありながらも
高砂にとって彼は、訳のわからない事をただ連呼する気が狂った人にしか見えなかった。
開けた口が塞がらない高砂を見た彼は、「やっぱりな」と言わんばかりのため息をついて話し始めた。
「君の部隊はこれから嵐山の防衛に行く。その際に嵐山のコマンドポストから斯衛が出撃したら送れず出撃しろ、最悪の事態を避けたいならばそれを実行するんだ」
「わかった。江口中尉とも相談する」
それを聞いた彼は安心した顔をする。すると突如として
ゴリゴリと頭蓋骨が噛みくだされ磨り潰されるのをただただ聞いているしかできなかった。そのおぞましい咀嚼を終えると、今度はこちらに向いて飛びかかる。高砂は逃げることが出来ず、ただ叫び声をあげるしかできなかった。
「うわあぁーー!」
「うおっ、ど、どうした高砂…。大丈夫か…?」
高砂が飛び起きると、それに驚いた江口が目を見開き、言葉を詰まらせながら彼に問う。
高砂は辺りを見回して先程までの血と脂と鉄のにおいが充満する場所でないことから、あれは夢であったということを悟る。が、何とも言えない寒気に襲われた高砂は名前も知らない彼の忠告を江口に伝えた。すると、江口は「ふむ…」と発して顎に手をそえる。
恐らくは却下されるであろう。
高砂はそう考えていた。中隊長の暫く考えて出した結論は、その忠告に従うということだった。
ひとまずは胸を撫で下ろす高砂はふと時計を見た。時刻は5時43分を示す。そして「今日は何日ですか?」と江口に問いかけると彼はすぐに返した。
「作戦実行日だ」
つまりはベッドに入ってから丸一日が経過していたのだ。
「うわヤッべ!」
ベッドから飛び出た高砂は、更衣室に行き急いで暗黒色の衛士強化装備に着替える。
「高砂少尉。一体どこにいたのですか…。もう他部隊が随時出撃していますよ」
新入の軍曹、
「こいつ、すっかり眠りこけていやがった…」
ヤレヤレと溜息をつきながら、黒い中隊長が向こうから歩いてくる。ただ寝ていただけと知った途端、龍造寺はその場に脱力して座り込んでしまった。
「各自、自機に乗り込みシステムの最終点検だ。急げ!」
怒鳴るような江口の声で、反射的に駆け出した11名はそれぞれが自分の戦術機に乗り込んでシステムの最終チェックを始める。
主腕に主脚、
そうこうしている内に、とうとうガルラントが出撃するように指示が降りる。
「こちらガルラント
「管制官よりガルラント
「ガルラント
新編ガルラント中隊12機は帝国斯衛第14大隊に続いて
「後続部隊に継ぐ。我、帝国斯衛第14大隊大隊長、
「こちら後続、ガルラント
「総軍司令部よりの通達の通り事態は深刻、既に前衛を担っていた部隊は半壊している状況にあり、先程軍令部より増援に向かうようとの司令電文が届いた。故に我々は砲兵隊の援護任務には着けん」
それを聞いた瞬間に江口は心の中でマジかよと呟いた。斯衛第14大隊の支援がなければ、砲兵隊の援護はガルラント中隊とファラス中隊だけになる。それに加えて戦線はあまり芳しい状態では無い。たった24機の戦術機で数万、数十万のBETAを相手にしろというのは、練度的にも無理に等しかった。
「…了解、武運を祈ります」
感謝する、とだけ言い残した青山は機体を左右に少し揺らした後、左に傾けてガルラント中隊から離れてゆく。その編隊の、なんと整ったことだろうか。彼らは遠くに広がる茜色の火の海へと青い焔を帯びながら飛び込むように向かって行く。どんどん遠ざかるその影は、さながら死に場所を求めるかのようだった。
「隊長。斯衛からは何と?」
「斯衛第14大隊は共に行動出来ぬとの事だ」
その瞬間、中隊に衝撃の稲妻が走る。出撃した直後に早くも作戦の変更。それほどにまでBETAによるこの侵攻と被害が、予想以上に深刻なものとなっていることを意味している。
国連軍の
コックピット内にあるディスプレイに表示された戦闘区域の画面には、青い友軍のマークを埋め尽くす赤いBETAのマーク。そしてその青い点が一瞬で消えてゆく。戦死、或いは撃破された事をそれは表わす。
「クソ…!俺らが戦線に行けてりゃ助かる命もあるだろうに…!」
ガルラント
「落ち着け
ガルラント中隊は全機が右へと旋回、嵐山へと向かう。
「り、了解…」
浅井は言葉をつまらせながら返し、操縦桿を右に倒した。甲高いジェット音を響かせる
上空には石見中佐の隊であろうB-1Jが、編隊を組んで忙しなく飛び回っては爆撃をし、帰投しているのが時折見える。
5分程度の飛行の後に嵐山に到着、砲兵隊の援護を始める。
「嵐山
「コマンドポスト了解、砲兵隊は亀岡に展開中の旅団規模BETA群に向け砲撃を続行中。これの支援にあたれ」
「ガルラント
そこへ、遅れてやってきた赤い縁に白兎を横から見たようなマーク。ファラス中隊だ。
「遅れて申し訳ない、少し寄り道をしていた」
「遅いぞファラス
「そんな酷いじゃんか」
「あー。まだ一個中隊分残っていたな、狩れるか?」
「お安い御用だ!」
ガルラントと合流したファラス隊は横一列に並んだ上で山の麓から迫るBETAに対して、突喊。一個中隊規模のBETA群に対して
ガルラントに仕事を取られた腹いせに、彼らはその劣化ウラン弾を怒りとともに発射する。螺旋状の空気線を引きながら撃ち出されるその無機物の塊は、迫り来る得体の知れないバケモノに無数の穴を開けながら薙ぎ倒して死骸の山々を至る所で作り続ける。それを超えて迫る赤い体のそれも、ことごとく劣化ウラン弾の餌食となってBETA側の被害はただただ拡大していくだけであった。
嵐山の中腹から撃ち出される砲弾は亀岡に向けて絶え間なく叩き込まれる。時折、爆音混じりの悲鳴が無線を返して聞こえるが、それに耐えながらあの無慈悲な支援砲撃を耐えて来て、砲兵陣地に近づきそうなBETAを各個撃破する。ズルズルと山肌を、山に生える木を、薙ぎ倒しながら嵐山を登山するBETAらに対してガルラント中隊は攻撃を開始する。一部のファラス隊員もそれに気付いて加勢してとうとう、嵐山とその周辺の戦場は混沌を極めた。
「森中尉!」
「あいよー、任しとけ」
森は支援突撃砲を一発ずつ、的確にBETA群の先頭集団にぶつけるが、進軍速度は劣らない。続けてその後方に位置するBETA群に向けて発砲するが、それでも進軍速度は維持したままである。まるで何か感情のない機械のようにひたすらこちらに向かって突撃を繰り返すばかりであった。気持ち悪いという感情よりも気色の悪いという感じよりも、不気味さの方が優っていた。
「何だこの馬鹿ども!一向に引く気がねぇのか…!?」
2機の戦術機が飛び上がり、上空からBETAの掃討を開始、その頭上からありったけの劣化ウラン弾を叩き込んだ。
「佐土、上から一気に叩き込むぞ!まだ
「了解!」
2人の衛士が操縦桿を上へむけ、高度を上げて上から一気に急襲する戦法をとった。十分に高度をとって急降下。突撃砲の引き金を戦術機の指が引くと、砲弾の底、
「はっはっは!成功だぜ渡邊ぇ!」
「もう一度高度を取る、ついて来い!」
低空ギリギリを這う様に飛行し、再び高度を十分に取ろうと頭を上げるのだ。
突然、警報が鳴る。
「
江口が振り返った頃にはもう遅かった。警報が鳴るとほぼ同時に2機の戦術機は爆発四散、熱波と部品がそこから落ちるばかりであった。
「中隊長!佐土と渡邊が…!」
ガルラント中隊の1人の衛士が、歯をカチカチと鳴らしながら中隊長に報告する。
「高度を下げろ、砲兵隊には退却命令を出せ!」
「中隊長…。コマンドポストに繋がりません!」
思わず江口は「なっ…!?」と声を上げる。コマンドポストに通信が繋がらないということは有り得ないはず。BETAにはハッキングを行う技術すらないのだから。
「森中尉!」
「はい!」
「高砂少尉、三沢少尉と共に嵐山
森は画面越しに頷くと高砂と三沢を呼び、嵐山の方へと
「おいおいおい…。何だこりゃどうなってやがる…ッ!?」
山の峰を超えて3人の目に映ったのは、立ち込める煙と炎、そして嵐山補給基地(同時にコマンドポストでもある)に流れ込む
「ガルラント
「こちらガルラント
中隊の全員に衝撃が走る。嵐山が陥落した今、出撃している嵐山守備中隊は補給を受けられない事はもちろん、BETAの的確な位置すら確認できない状況にあるはずだ。
「中隊長!左側面よりBETA
「浜瀬と八戸を向かわせろ!」
江口は龍造寺の悲鳴のような声に即座に反応し2人の衛士を向かわせる。そのやり取りを聞いた森は、「我々もすぐに帰投し、参戦します」と言ったのだが、江口は「生存者の捜索と救出を優先しろ」と一蹴。森は了解と返す以外、道はなかった。
無線を切った江口は
「こちらファラス
「了解!」
地上歩行でまるで攻撃機のように前線を盛り返そうとするファラス中隊は、最近の大小様々な
BETAから優先的に排除していく。弾の残弾が許す限り戦線を切り返ため、前進する。
(
斬ったところから飛び散る血を見ながら、他部隊の心配をしながらも自分らの部隊が壊滅しないように陣形を変えながらBETAを掃討し続ける。36ミリの劣化ウラン弾は次々にBETAのその動きを封じるが、その上を新たなBETAが這いずり回るという光景が永遠と続いた。嵐山付近は地獄と化して、辺りは撃破された戦術機の残骸から出た炎が燃え広がっている。
たった1個中隊で複数師団、最悪2、3個軍団規模のBETAを食い止めるなど、到底不可能なことである。
「左側面よりBETA
「
「正面より新手!複数連隊規模!」
中隊の衛士の無線が、絶え間なく続く。そこへ36ミリの突撃砲の連射音が混ざってまさにカオスとなっていた。ファラス中隊はそのうちの最後の無線を聞くや否や、中隊長が「総員突撃態勢!長刀構えーーッ!」と声を上げる。中隊の総員は一様に了解と返して操縦席の右操縦桿の手前側にあるボタン群のうちの1つを押して、戦術機の兵装や追加装備を携行させるために開発され戦術機の背面に装備するサブアームシステムである74式可動兵装担架システムの左背面に装備されたブレードマウントから74式近接戦闘長刀を装備する。それまで持っていた突撃砲や支援突撃砲は残弾が0、彼らはそれを地面に落とすかBETAに向けて投げつけた。投げたうちの一部の突撃砲が先導していた
「ガルラント
ファラス中隊中隊長は補給コンテナが一切来ないために補給が受けられず弾が殆どないという事を十分理解していた。撤退も考えたがここで少しでも数を削っておかなければこれから先、この
「ファラス
「感謝する」
江口に止める時間はなかった。芳しく無い戦況ゆえに一々そのような事に構っていれば自分の部下が無惨な最期を迎えるという事を有分に理解しているからだ。北九州の地獄のような鳳少佐のような最期を絶対に迎えさせまいという意思を撤退したその日から固めていた江口は、ファラス中隊が突撃すると聞いた後のわずか数秒という短い間に彼らの考えを尊重する決断をした。
ファラス中隊は、その赤い円の中に白兎を横から見たようなマークと番号が入った戦術機を前へ前へ通し出すように突撃を開始する。彼らは長刀を、あるいはそれに92式多目的追加装甲を携えて赤黒いようなオレンジのような色をしながら燃える帝都を背に向かってくるBETA群に向かうように、ガルラント中隊の面々に背影を向けて消えていった。
その頃、嵐山では生存者の捜索が困難と判断した森中尉率いる3機の戦術機が周辺に群がるBETAの掃討に徹している。36ミリの劣化ウラン弾は、周辺の木々をなぎ倒しながら数多のBETAを駆逐してゆく。
高砂は87式突撃砲を群がる
「森中尉、BETAの数が多すぎます。本隊との合流を最優先にするべきでは?」
三沢が普段と変わらない口調で森に進言すると、
「これ以上ここに留まってもBETAの餌になるだけだ。よし、本隊と合流する」
森は三沢の進言を呑んで、すぐ様来た道を戻り始める。通り魔的にBETA群の真上を、高度20mくらいの低空で飛行し、そしてBETAに向けて36ミリ弾を放つ。
「心配か高砂少尉?」
不意に森は高砂少尉に無線を入れた。それに対して彼は「多少は…」と言葉を濁して返した。
「鳳少佐を長い間支えてきた江口中尉の事だ、余程のことがない限りは死なないぞ」
「それもそうですね」
高砂は森の言葉に安堵して、正面を見返した。ちょうど、その時に琵琶湖に展開する帝国海軍と国連軍艦隊の砲火が、夜の雲の下に浮かび上がり不気味な雰囲気を醸し出して、しばらくして砲声が轟いた。
「やっと連合の連中も撃ったか。遅いっつーの」
BETAの数体を撃ち殺しながら森は嬉しそうに呟き、高砂も思わず「よし!」とガッツポーズをする。
その頃、琵琶湖では連合艦隊と国連軍艦隊による艦砲射撃が実施されていた。
「誤差修正、仰角プラス0.02!」
「修正完了」
「撃ちぃ方ぁ始め」
火煙と共に吹き出す大口径の砲弾は琵琶湖から帝都に向けて、戦艦12隻分。弾数にして96発分が一斉に放たれた。その弾は琵琶湖より伊吹山を越えて帝都の真ん中
3分程度で3機のF-4はガルラント中隊本隊と合流した。高砂らが辺りを見渡すとそこには折り重なったBETAの残骸と禿げた山肌しかない。砲兵隊は先程の戦闘で跡形もなく消え去って、周辺の山肌に残ったのは3本のイトスギだけ。
「コイツは…。酷い有様だ」
燃えて灰となった山肌に風が吹き、その灰は宙を舞って散り散りに明日の空へと消えていった。
遠く帝都の真ん中は赤い炎に包まれて、その中をBETAが東へ東へと建物を薙ぎ倒しながら進む。普段は静まり返っている帝都の夜が、血に瓦礫に発砲音に。安心して眠ることは完全に不可能な夜となった。
* * *
ガルラント中隊が嵐山においてBETA群と戦闘しているその頃、ヘッドクォーターの命令により最前線に送り込まれた
「中隊長、このままじゃここも陥落は時間の問題です。撤退を進言いたします」
「それは決してならん。皇帝陛下と将軍殿下が避難なさるまでの時間をここで稼ぐ、一歩たりとも引くでないぞ?背を向ければその時は死を覚悟せよ」
「了解…!」
14大隊のうちの1人の中隊長の指示に従って一個中隊は時間稼ぎと言わんばかりの戦闘を継続し続けるのだ。一人の衛士は操縦桿を滅茶苦茶に倒して予測不可能な機動をし、不意の一瞬を突いて
突然ミサイルが爆発、大隊の付近にいたBETAが次々と粉々になりながら、宙へポップコーンが弾けるように飛び散った。それが2発、3発。まだまだ続く。
無数に飛び上がるBETAの返り血に塗られ、紅い炎に照らされる不知火。ミサイルの飛んできた方を見れば、複数の飛行物体がが見える。それを確認するためにモニターカメラを拡大すると一目で12機で編成された1個戦術機中隊であることが理解できた。
すると、その戦術機を見て1人の斯衛の衛士が叫んだ。
「ありゃ西ドイツの戦術機だぞ…!?何てったって西ドイツが…?」
そう言われてもう一度その戦術機に目を向けると、確かに白い塗装に赤い鉄十字が右肩に、“VT”と刻まれた黒い文字が左肩にあるその機体は明らかに日本でも
その部隊はミサイルを接近中にさらに追加で発射したと思えば、今度はCIWS-1A近接戦闘短刀(日本帝国の65式近接戦闘短刀と同じ近接戦闘短刀)を展開させてその鋼鉄製の手に握ると、
それを見て青山も負けん気を出し、大隊の全機に生き残ったら肉でも奢ると言って士気を上げる。そして彼らもまた、そのドイツの戦術機部隊に続くように突撃、無数の敵
肉塊がグチャリグチャリと音を立てて周囲に飛び散りつつ、その中を進む2つの戦術機中隊。その双方はまさしく精鋭の名を冠するに相応しいものだ。普通の衛士ならば全滅するであろう規模のBETA群を永遠と血祭りにあげている。青山が見た方、BETA群の中央には増援に来た向こうの部隊が更に更にとBETAの影の向こうへと遠ざかっていくのにも関わらず、まだ見える。
これから先行する戦術機を援護しようと操縦桿を前に倒した青山の元に一本の無線が入る。
「後方に存在する戦術機大隊へ。こちら西ドイツ第111中隊ヴァイスターデルズ、国連大西洋方面第4軍の指令により帝都防衛に参加する」
「ヴァイスターデル…。まさか貴官はあのハンドラー少佐で在られる者か?」
遠く離れたヨーロッパ、東ドイツのアイリスディーナ・ベルンハルト大尉が率いていた精鋭、第666中隊シュバルツェスマーケンと肩を並べるかそれ以上の実力を持つという噂の西ドイツ第111中隊ヴァイスターデル。中隊長は少佐のアドルフ・ハンドラー、副隊長は大尉のガレール・フォン・ブレインシュルツ・プフェルで、ヴァイスターデルが使う機体はF-16ファイティング・ファルコン。アメリカが開発し、西ドイツでも使用される第二世代の戦術機である。
「シュトゥルムだ!シュトゥルムが来たぞ!?」
1人の衛士が鼻息を鳴らしながら飛び跳ねるように喜んだ。
しかしなぜ、そんな西ドイツの精鋭が遠く極東にある帝国の帝都に居るのかは誰一人として理解できずにいた。
「貴官らは何故日本帝国帝都に居られる?」
「
そして彼は続けて言う。
「それと、可能ならばこの事は内密に頼みたい」
おそらくこれは軍事機密協定か何かで結ばれた日本帝国と西ドイツの約束か何かなのであろう。それにしても、社会主義の東ドイツとは違って政治将校が居ないヴァイスターテルはその分、なんとやりやすい事であろうか。と、第14大隊副長の
同部隊に所属する
「まさか三日も張り込んでるなんてね…?」
「まったく、大西洋方面軍は考える事が分からねぇ」
口を動かしながらBETAを殲滅するほどにはまだ余裕があるのだろう、日本帝国が滅ぶその瀬戸際でも楽観的だなと二龍は思った。
「堀中尉、観音院大尉。向こうから新手だが捌けそうか?
突然青山から無線が入り、それに加えて彼がリンクした地図とその中に赤い三角形で示されたBETA群がなんとも恐ろしく思えた。ヴァイスターテルと斯衛第14大隊は周辺にいた複数連隊規模のBETA群を排除してその中隊規模のBETAを見る。
「まぁ、何とかなるように努力します」
彼は74式近接戦闘長刀を構えると中隊規模のBETA、
「了解しました。しかし、我が隊も犠牲は避けられませんがよろしいのですか?」
「二龍中尉安心しろ。当たらなければどうって事はない」
「なんと脳筋な…」
二龍は少々引き気味ながら彼の指令に従う。
「第14斯衛大隊全機、
「ヴァイス全隊
1個大隊と1個中隊は突撃する千桁の暴れ馬に対して突撃態勢をとるとそのままで待機する。
「今だ、突撃!」
「
2人の部隊指揮官の戦術機にに引っ張られるようにも負けん気を出したようにも見える突撃を開始して目の前にいるBETAに対してその冷たく光る銃身を矛先を向けながら一斉に飛び掛かっていった。