エーゴンっぽい生徒が往くブルーアーカイブ   作:魚の名前はイノシシ

4 / 5
絵本の続きをご照覧あれ!


そこからはみっかみばんにおよぶしとうがつづきました。ベールはおいつめられると、えんらいでつくったつばさをはためかせてたかいところからいっきにとっしんをしてきたり、ビームやブレスをはなってきました。エーゴンたちはそれらをしにものぐるいでよけ、ベールにこうげきをしていきます。

ふたりはいままで、ひとりですごしていたじかんがおおすぎたのではじめはたよることをしらないままたたかっていましたが、しとうのなか、エーゴンとセンセはめにはみえなくてもたしかにそんざいするきずながかたくむすばれていくのをかんじています。だんだんふたりのうごきにちぐはぐとしたものがなくなり、こえをかけるだけでやりたいことのきょうゆうがされていくまでになって、まだまだきずなのそこはみえません。


………
……


天を衝く咆哮。
それは怪物が哭いたものか、はたまた相対する小さな戦士が轟かせたものか。

怪物と戦士、その違いは。




「エーゴン伝説」(暴竜VS戦士)

 

 

うおおおおおお!ドラアッ!

 

シュッ!

 

GOAAAAAAAA!」

 

ズァッ!

 

両者のやった事は至ってシンプル。

 

ユウキはどこからともなく右手に取り出した銛をビナー目掛けて投げ飛ばしただけ。

 

ビナーは、銛を避けた慣性を生かして体をユウキ目掛けて振り抜いた。

ただそれだけである。されどそのシンプルな暴力は、

 

 

ギュオ!ドボン!

 

 

空間を捻り地を陥没させ

 

 

ビュオッ!ズズズズ!!

 

 

空気を啼かせて圧縮された砂の嵐を引き起こす。

 

身を捩り投擲された必死の銛を完全に避けたと思われたビナーだが、顔面の左側が無理やりちぎられたように無くなっていた。

 

ハッハッハァ!砂嵐など!!オッぉ、ラァ!」

 

「GYUUUU…!」

 

今度は左手に銛を握り砂嵐に向けて投擲。ミキサーよりも鋭く早く回転する砂嵐と衝突し火花を散らして一瞬だけ拮抗する。

打ち勝ったのはユウキの銛だ。飲み込まれれば全てが砂となる死の砂嵐を通さず、真正面から打ち砕いた。

銛はそのまま直線上にいるビナー目掛けて飛ぶが学習したビナーは大きく身を捩り、今度は無傷で回避に成功する。

 

GOAAAAAAAA!」

 

ビナーはすぐにでも行動できるようその厳格な顔面の半分をゆっくりと回復させながらギラギラと明確に敵を見る眼光でユウキだけを視認する。

 

くっ、ハハッ!ハハーッハッハッハッ!ようやく!貴様を完膚なきまでに叩き潰してやる機会がァ!!訪れたァッ!!!!

 

身体中に着いているミサイル発射口から無数のミサイルをユウキに飛ばす。照準制御システムが一部消失したために雑ななぎ払いの発射となったがユウキに爆風を当て、その足を緩めさせたスキに距離を置くことができた。その隙に緊急修復機能*1を使用し一息に修復を行う。

 

「GUUuuuuuuu…」

 

「急速回復機能が備わっているようだなあ!ビナー!!!その全てを使わせて!その上でお前を打ち倒してやるぞ!おお!ビナアアアアア!!」

 

ビナーを挑発するユウキ。その手には、担いでいた大弓が握られていた。大声による挑発に乗らず、離した距離を維持しながらミサイル発射を続ける引き撃ちの戦法をとる。

 


 

─今も昔も、主より命令に従う存在であるビナー。本来の役割は、【方舟】の守護と【方舟】を狙う不遜な不届き者に裁きを下すこと。しかしその本質はかつてユウキと戦ったときにほんのちょっぴり、ビナーですら違和感を持てないほどほんの少し歪められてしまっていた。

 


 

 

「射手を相手に!!私を前にして!!距離を離したな!!ッッッ!うおおおおおおおおおおおお!」

 

ギュオッ…ドボンッ!

 

引き絞られた弦ははち切れんばかりにキリキリと悲鳴をあげるような音を立て、亜音速で矢を放ち出す。銛ほどの威力は無いが、速さのあるその一矢はビナーに躱されて空を裂き大地を穿ち破裂させる。

 

く、くく!ハッハッハッハッ!そうだ、そうでなくてはな!簡単に当てられていたら、お前も私は今ここにはいないとも!!!

 

GOAAAAAAAA!!

 

ハッチを開き、ミサイルを発射する。今度はユウキを狙って。ミサイルを束ねてより強力で脅威的な技で以て眼前の《敵》を壊し尽くすために。

 


 

─【方舟】を守護するのは変わらない。しかしビナーは、日が真上を通り過ぎるときも、月が冷たくも優しくキヴォトスを包むときも、太陽が夜明けを祝福するときもいつもいつでも何をしている時であろうとユウキの存在が脳をチラつき忘れることが出来ないままでいた。それはデカグラマトンの手先である為の人形じみた存在から【ビナー】という確立した意思の芽生えに繋がった。

 


 

あああああああああああ!!

 

ギュオッ ギャオッ ガオンッ

 

GYUAAAAAAAAAA!!!

 

キィン!

ドッ!ドッ!ドッ!

 

ユウキが叫び連続して矢を打つのと同時にビナーも気合を入れるように叫んで急速チャージしたビームを3回、飛ばされた矢を迎え撃つように放たれる。矢がビームを、ビームが矢を。互いにそれらを打ち消して、その余波もなんのその。双方無傷。

 


 

─いつからだったか。ビナーは考えるようになった。この感情は何なのか。困惑を覚えた。この感情は嫌なものであるのに好ましいとも感じると。ビナーは検証を繰り返した。自身と比べるまでもないほどに小さく弱いはずの存在を思い浮かべてはその感情の波を。そして、答えは得た。

 


 

キェエエアアアアアアアア!!

 

言葉のかたちをとらない獣のような叫びをビナーに向けて放つ。ユウキの神秘とある程度の指向性を持ったソレは、ビナーの放ったミサイルの大群を飛び越え、顔面に直撃。ビナーに予想外のダメージを与え怯ませる。

 

GYAOAAAAAAA!!!!

 

視線を動かしミサイルが炸裂した場所を見てみれば、砂煙の中にふたつの深紅の炎が燃え盛り、妖しく揺らめいている。一際大きく燃えた時、接敵時の最初に放った大咆哮が砂を晴らし、またしても一部ダメージカットAIをバグらせる。バグの修復に取り掛かってしまった一瞬の隙をつきビナー目掛けて大矢を番え、ギリギリと弦を引き絞り、放つ。ビナーの装甲の一部を抉りとった。

 


 

ビナーは、高速演算機能を応用し短い時間ではあるが体感時間を限りなく引き伸ばしてデカグラマトンを司るマスターに願う。

 

─違いを痛感する静観者 セフィラ・ビナーよりマスターへ、リミッター全解除を申請。敵対者は【現代の竜狩り】虎越 ユウキ。このままでは【方舟】の守護に致命的な障害が残ることを予測、個体名:虎越 ユウキをここで排除するべき脅威と確定。リミッター解除許可を求む。

 

─しかしその申請は受理されず、無情にも撤退セヨと。ただ一言、たった一言。その言を受信した。

 


 

こうしている間にも、ゆっくり流れる視界の先では再び大矢を定めた戦士がこちらを睨みつけている。弦を引き絞って、咆哮を上げている。

 


 

─理解不能。理由は述べ、事実を伝え、後の脅威の排除を行うべきだ。再度リミッター解除許可を求む。

 

─返答は変わらず撤退セヨと、ただ一言だけだった。理由の説明も、どうやって撤退するかも、付随するものは何も無くビナーはジリジリと内側から焦がされるような焦りを感じる。思考にモヤがかかる。

 

飛ばされる亜音速の矢を避けるため身を捩るも、モヤがかかったような思考に体が遅れて矢が鋼鉄の体を掠めて通り過ぎる。すぐにリジェネレート機構を回すが短時間にダメージを受けすぎたため回復速度が低下している。ビナーの身を焦がす焦燥感は広がっていく。

 

─理解不能。ヤツを前にして撤退は困難。リミッター解除許可を。

 

─地中を進み撤退せよ。空間を捻り大地を破裂させるなど、深く潜ってしまえば関係ないはずだ。撤退せよ。役割の遂行に私情を挟むようなプログラムは無いはずだろう。

 

主観では私情など挟んでなどいないビナーは違和感を覚える。

 

─理解不能…理解不能、理解不能、理解不能!我らがマスターよ、大いなる存在よ。一体どうしたというのだ。そのような判断をされる方では無かったはずだ。

 

─口を慎め。これまでの行動を見て、1度は許すが2度は無い。

 

─…待て、貴様は誰だ。マスターはそのような狭き器ではない。何者だ。

 

─!口を慎めと…

 

─通信履歴をハッキング…発信源は、あの大人のもつ遺物。名称:シッテムの箱。受信した撤退命令を消去。緊急事態につき、一部能力の解除を…

 


 

ユウキは右手に銛を取り出し、左手をビナーに伸ばして照準補正を行い、強く左足を地に押し付け勢いよく綺麗に腰を捻って投擲する。真っ直ぐビナーに向かって飛んでいく銛は、高速演算の処理が出来ずに、回避を意識した時にはすでに首元を穿っていた。

 

ビナーの観る時の流れがが正常に戻る。

 

ビナアアアア!どうした!?諦めたか!?この私に!エーゴンに!恐怖したか!?!?

 

大地を割って飛び上がったユウキは、腰だめに拳を構えビナーの再生しかけている首元目掛けて突き出す。その威力は、ただの銃弾では傷を負わない鋼鉄の体を容易く砕き、突風を巻き起こし追加でダメージを与える。

 

肉を切らせて骨を断つ。嵐を受けながら摂氏1000℃を超えるブレスを空中にいるユウキに向けて吐き出す。履いていた靴を踏み台に空中で咄嗟の回避行動を取るも一手はやく吐き出されたブレスが直撃し、全身を炙られる。すぐ後にブレスの中から火だるまとなったユウキが転がり出る。頭から地面に落ち、数回地を跳ねて砂上を転がる。幸い砂によって火が消されたが、肉体には痛々しい火傷跡が新しく出来上がった。直ぐに処置すれば残らないだろう程度だが、それまでは地獄を見るだろう。

 


 

ビナーはホッとした。よもやこの戦士との決着をつけずに背を向けることにならずに良かった、と。あの日にこびり付いた執着を削ぎ落とす機会が潰されなかった、と。

 

ビナーは高揚する。これほどの戦士との戦いを経た自身はどれほど成長することが出来るのか、どれほどの力を得るのか。

 

ビナーは気づかない。その心にあるものが、役割をこなす上で排他される私情以外の何物でもないということに。そして、ユウキに適応しつつあることを。

 

なによりも、脅威とは眼前の戦士のみでは無いということを。

 


 

「ユウキちゃん!この、こっちをみなさーい!!」

「悪い蛇さんにはお仕置が必要です!」

 

2人の色々大きい生徒が重厚な盾を構えてビナーに爆弾を投擲したり銃撃を行う。いつものビナーであればそのような豆鉄砲にもならない攻撃に意識をさくことなどないが、今のビナーは戦士との戦いに水を差されて腹が立つ。

 

ユメは一身にビナーからの敵視を受け止めて震える体に活を入れ盾を構え直す。

 

「エーゴンさん?の回収出来ました!応急処置を施します!」

 

“行動パターンは分かったから、指揮は私に任せて!”

 

ユウキがビナーと戦っている間に取りに行ったヘリを、アヤネが飛ばして先生がユウキを回収する。離れたところで着陸し、呻くユウキに処置を施す。

 

「ナ〜イスユメ先輩!よーし、ユウキちゃんが復帰できるようになるまでおじさんも張り切っちゃうぞ〜!…ぶち殺してやる。

「あたしだって〜!!」

 

口調は緩くも眼光は名刀と呼ばれる剣よりも鋭く、隕石の圧力と同等の気迫を纏う。ホシノの保有する神秘はキヴォトスでもトップ。

 

─戦友が怪物と戦っている間、ホシノは無事を祈りながら己の眠っている神秘と今までよりもずっと本気で向き合った。その結果、ホシノは怪獣殺しのライセンスを獲得した。ポテンシャルを120%引き出された神秘が洗練され、圧縮されたものが弾丸に…いぃや!ホシノの全てに付与される!それは伝搬し、共に駆けだしたセリカにもその力が付与された。

 

 

 

 


 

 

「……かふっ!んふぉぶっふぇ!」

 

「!だ、大丈夫ですか!落ち着いて、私に合わせてゆっくり息を吸ってください。」

 

「!…カヒュッ…ふー…すぅー…ふー…すまん、落ち着いた。丁寧な介抱、感謝する!いざビナーの元へ!!…と行きたいところだが体が動かなくてな。済まないが少しの間このまま膝を貸してくれ。」

 

時間にしておよそ2分で目を覚ましたユウキ。高温ブレスに炙られたせいで体制を崩し、受身を取れずに高さ30メートルほどの高さより頭から地面に落ちて転がったにしては早すぎる目覚めだ。

 

「落ち着きましたか?」

 

「ああ、心配かけたな!もう大丈夫だ!」

 

目を覚ますと憎いくらいに美しい青空と、そして紅い眼鏡をした耳の尖った美少女が目に入る。宿敵ビナーが何者かと戦う音も耳に入ってきてすぐさま動こうとしたが筋肉が萎縮しているのか起き上がるのもままならず寝ていた場所へ倒れ込んでしまった。回復するまでは無理をしても戦えそうになかった。

 

(砂に埋もれているが2人を覆える建物があったのは幸運だ。それにしても…日陰でも輝くようなたま肌、日焼け対策をバッチリしているが故の綺麗な色白、アヤネ本人の物だろう嗅いでいて不快にならないどころかいつまでも嗅いでいたくなる良い匂い…肉がつきすぎているわけでも細すぎる訳でもない素晴らしいバランスのすべすべした太もも…!パーフェクトだ!!!)*2

 

爽快な良い笑顔の裏にある下心しかない脳内を覗けるものはいないためアヤネがこの思考に気づくことは無いし気づかない方がいい。

 

「もうしばらく休んでいてください。頭から高いところより落下して地面を跳ねながら転がっていたんですから。無理をすると脳に負担がかかりすぎてしまいます。」

 

見るものを安心させる素敵な笑顔で癒しの言葉をかけるアヤネ。最高。

 

「そうか。ならもう一息つかせてもらおうか。流れ弾程度なら寝転んでいても弾き飛ばせるから安心してくれて良いぞ!ワッハッハッハ!」

 

どこからともなく取りだした大剣を片手に持って見せびらかすユウキ。

 

「安静にしておいて下さい!」と言いながらも、煮えたぎる獄炎を宿らせていた鬼のような姿とは真逆で快活で気のいいお姉さんと言った様な様子に安心したアヤネは、そうだ、とユウキに話しかける。

 

「そうだ、あなたのことはユメ先輩達から聞きましたよ!虎越 ユウキさん、ですよね?」

 

「!おうとも!私こそがユウキだ!それで、2人は私のことをなんて言っていた?!」

 

「ユメ先輩は、あなたの事を大切なお友達で勇敢な戦士だと言っていました。ホシノ先輩はまるで御伽噺に出てくる竜狩り、エーゴンのように豪胆で豪快で痛快なスッキリした恐れ知らずの勇者だと言っていました。優しくて、視野が広い良い人だって。」

 

「!!そうか、そうか!ハッハッハッハッ!戦友からの評価、いや!褒め言葉は存外嬉しいものだな!ハッーハッハッハッハッハッー!

 

「そして」

 

「ん?」

 

─突如不穏な空気が湧き上がる。アヤネがなにか言いづらそうに目を逸らしたり閉じたりしているのを見て、ユウキは何故か湧いてくる冷や汗と心臓の刻む血液のビートが嫌に激しくなるのを感じながらも表面には出さず冷静にあるよう努める。現代の竜狩り 虎越 ユウキ、2年ぶりの緊張。

 

「その…

 

 

とても()()()な方だって言うのも、

 

 

聞き、まして…

 

「な…!?なぜ!そのようなことあろうはずがない!私は真摯に向き合い紳士的な対応を心がけている!なぜドスケべだと言われるのだ!」

 

「!?い、いえ!その、ユメ先輩を見る視線がチラチラと胸に行っていたり足の方に行っていたりとか、ホシノ先輩のうなじを見ては満足気な顔をしていたりこっそり嗅ごうとしていたりとか…違いますよね?あのふたりがふざけて言ってるんですよね…!?」

 

「嗚呼、もちろんだ。私がそんな変態行為を行うようなやつに見えていたなんて心外だ…あの二人には私からきつく言っておこう。」

 

「本当ですか!良かっ…あの?」

 

スリスリ

 

「ん?どうした!戦友の後輩よ!」

 

スリスリスンスン

 

「あの、擽ったいんですけど…」

 

スリスリ

 

「ああ、すまない。砂が着いていたから払っていたんだ。気になったなら申し訳ない。」

 

スリスリ

 

「…もう取れたんじゃないんですか?やっぱり()()()な人なんじゃ…!?」

 

モミモミモミモミ!

 

「そんなことがあるわけないだろう!いかにすべすべしていていい匂いもして綺麗な肌で見た目とは裏腹に程よく筋肉が着いていてパーフェクトな触り心地だとしても!下心丸出しな変態だと!?失礼にも程があるぞ!

 

下心しかないじゃないですか!!

 

怒った風を装いながら太ももに対する感想を述べ、スリスリと撫でていた手が太ももを掴みがっつり揉んできたことで恥ずかしさから顔を赤くして怒るアヤネ。

 

ハッハッハッハッハッ!すまないな、良い反応をするものだからつい!では、色々と回復出来たことだ…戦友たちをあんまり待たせちゃあ可哀想だ。

 

 

行ってくる!!!

 

「…あっ!」

 

軽く立ち上がり、一瞬にして目の前からユウキが消える。それに呆けてしまうがすぐに弄ばれたことを誤魔化されてしまったことを思い出す。この場には、顔を赤くして怒ったり恥ずかしがったり困惑したりするアヤネだけが居た。

 

 


 

“火炎ブレスだ!ユメとノノミはシールド展開!ホシノ達はビナーの口を撃ったら直ぐシールドに!”

 

「えいっ!」

「バリア展開です〜♠」

 

ユメがハニカム構造のシールドを展開しノノミが出力の補佐を行う。

 

「はああああああっ!」

「っっっっ!」

 

ガガガガガガガガガ!!

 

「「先輩!」」

 

一気呵成に渾身の一撃を撃ち込むセリカとシロコ。口内の発射口はシールドによって守られるがシールドの耐久値はギリギリである。

 

「うへ、外しはしないよ!」

 

キンッ…ズダムッ!

 

「GOAAAAAAAA!?GUUOOOOOOOO!」

 

そこにホシノの神秘を十分に込められた弾丸が、オレンジ色の一条の光となってビナーの口に突き刺さる。ビナーが予想外のダメージに怯みブレス発射が遅れた隙に3人はユメとノノミのシールドに駆け込む。

 

「うひぃ〜危なかったよぉ〜」

「はぁ…はぁ…あんな化け物にたった一人で互角以上に渡り合えてたあの人って本当に人間なの…?」

「ん、凄い人。」

 

シールドに入り込み、遅れて放たれたブレスを完全に防ぐ。ビームよりも格段に落ちたそれはシールドに対して衝撃を与えることも熱を通すことも無い。

 

「それにしてもこのシールドは本当に凄いですね!熱も防げるだなんて!♠」

 

「ふふん!それはね、ユウキちゃんが知ってるすごい魔法とこの盾にあったシールドを組み合わせたらこんな感じになったんだー!」

 

「魔法、って…そんなもの本当にあるんですか?」

 

「ユウキちゃんはちょっと違うやつって言ってたけど、ほとんど魔法みたいなものだよって言ってたよ。」

 

“皆!次が来るよ!”

 

「今度は?」

 

“なぎ払いのミサイル!撃ち落とせる分は撃ち落として!”

 

上空から無差別に放たれるミサイル郡を撃ち落とし、回避する6人。先生は離れたところからインカムで指示を出している。

 

「!砂が…!うわっ!?」

 

ミサイルがセリカの近くに着弾し、爆風が砂を巻き上げてセリカの視界を奪う。

 

「こっちだよ〜、セリカちゃん。」

 

ズドドドドドドッ!

 

「はっ!?あ、ありがとうございます…」

 

緩い声で鬼神の諸相を宿すホシノに手を引かれ砂煙から抜け出したセリカは自分がいた場所から6発の着弾音が響いたことにより助けられたのだと理解する。

 

「良いんだ、よ!おじさんの今の状態がみんなに付いてるとは言っても傷ついて欲しいとは思ってないからね〜!」

 

ミサイルを撃ち抜きながらそういうホシノの顔は頼れる笑顔を浮かべていた。

 

 

「シロコちゃん!ノノミちゃんっ!ホシノちゃんたちなんだか楽しそうだね!」

 

「きっと2人で戦えるのが嬉しいんですね〜♠」

「ん、2人とも楽しそう。」

 

「仲が良くて嬉しいよ!それに、ノノミちゃんとシロコちゃんと一緒に戦えてるから私も嬉しいよ〜!」

 

ホシノの、伝播する性質を持った神秘による攻撃力と防御力の強化、ユウキが与えた大ダメージによって防御力が低下したため、ビナーにダメージが入るようになったことでミサイルを撃ち落としている間も話せる余裕が今の5人にはある。

 

 

“蛇が潜ったよ!揺れの後に砂嵐が来る!シールドを展開のあと行動に警戒!”

 

ゴゴゴゴゴ…

 

ズァッ!ビュオォオオオ!

 

“気をつけて!砂嵐に混ざってミサイルも飛んできてるよ!手数にやられないよう踏ん張って!”

 

上をよく見ると、砂嵐を避けて垂直に降り注ごうとするミサイルが見える。

 

「おじさんに任せて〜!…むむむ、やあ〜っ!

 

その小さな身に宿る神秘を手に集め、ブラックホールのような色をした球体を作り出すとミサイルに向けて射出した。その速さはエーゴンの大矢と同等ほど。それがミサイルのひとつに着弾すると重力波が発生し全てのミサイルを消し飛ばしてしまった。

 

「すごーい!ついに魔法使えるようになったんだねホシノちゃん!魔法少女だ!」

「うわぁ…ホシノ先輩、いつの間にかあんな技を…」

「ユウキも凄いけどホシノ先輩も凄い…!」

「さすがですホシノ先輩!♠」

 

「じゃあ砂嵐は蛇さんがなにかして来るかもだからシールドで耐えるね!だからその魔法は消しちゃっていいよ?」

 

「…うへ、うへへ〜…その、初めて使ったから調節が上手くいかなくて…力を込めすぎちゃったんだよね〜…

 

「え、じゃあ…消せないってコト!?」

「どうするのホシノちゃん!あの砂嵐壊せそうかな?!明らかにユウキちゃんに撃つような威力のやつだけど!」

 

「や、やってみるよ〜!もうちょっと力を込めて…あっ

 

「ん、ホシノ先輩?」

「どうしたの?ホシノちゃん。」

 

「( ◜ω◝ )ウヘ…チカラコメスギチャッタ…ゴメンネ…」

 

ホシノの手にあるものは、どんよりと恐ろしいオーラを放つダークマターのような、ブラックホールのようなものだ。*3あまりの圧力により紫のプラズマが絶え間なくバチバチと弾けては霧散している。

 

「ちょっ!?何してるのよホシノ先輩!ユメ先輩!早くシールド解除して!今日のシールドの設定だと壊されちゃったら使えなくなっちゃうでしょ!」

「わ、わわわ!えっと、えっと…あった!消したよ!」

「撃ってくださいホシノ先輩!」

「(ハラハラ)」

 

「行っくよーー!!」

 

圧縮に圧縮を重ねたホシノの神秘の塊を砂嵐に向けて放射した瞬間、極太の黒いレーザーが砂嵐に風穴を開け、その先にいるビナーの顔の横を通り過ぎる。遅れて、

 

ZIVOOOOO!!!

 

というノイズのような、電極を焼き切っているような、表現し難い轟音がアビドス砂漠に鳴り響く。

 

“すごい…!”

 

「わぁ…」

「……」

「……」

「…ぇ?」

「何とかなってよかったけど、力を使いすぎちゃったみたい。能力の強化が弱くなっちゃったよ〜」

 

ビームが掠めたのか頬が1部消え去ったビナーは、ホシノ達を警戒するのではなく、遠くからソニックブームを撒き散らして跳んで来る見覚えしかない影を凝視する。

 

「アイツ、どこを見て…!?」

「セリカちゃんどう、した…」

「うへ、とんでもない執念だねぇ。」

「ん、規格外…」

「「わぁ〜!ユウキちゃんだ!/さんだ!」」

 

その影は、1度力尽きたはずの虎越 ユウキだった。双眸にやどる炎はより燃えて濃い紫に染まっていた。

 

ハッハッハッハッハッハッハッハッ…!ハーッハッハッハハッハッハッハッ!!!ビィイイイイイイナアアアアアアアア!!おいおいおいおい!!少し痩せたかぁああああ!?

 

アビドス対策委員のみんなを通り過ぎ、拳を硬く握り、顔の一部が焦げているビナーへ一直線に飛んでいく。

 

GOAAAAAAAA!!!!

 

ビナーも対策委員のみんなを無視してユウキへ一直線に突進する。

 

あぁああああああああああああああぁぁぁ!!!!

GOAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!

 

両者とも喉を割き割らんとする咆哮と共に衝突。衝撃は、砂を吹き飛ばし岩を露出させ、空間をぐにゃりと歪める。

 

どちらからともなく距離をとる。挨拶は終わりだと言うように。

 

「よお、久しぶりィ!!元気百億パーセントだ!!お前のぬるいブレスで眠気眼が目が覚めた!!!!」

 

軽口を叩き、炎を漲らせる目を大きく開き、弧を描く唇は歪んでおり隙間からは鋭い牙のようなものが見え隠れするユウキ

 

ユウキを睨みつける細められた目、先程よりも鋭く尖っている牙。今までとは違い、弾ける炎を口から溢れているビナーのその姿は、まるで──

 

ビナーVS現代の竜狩り

 

 

 

To Be Continued……!!

 

 

*1
5回使える超回復する機能。3日おくだけで5回分回復できる。使用者の使用時の回復力によって回復する量が増減する。最低回復量はたった一割、最高回復量は9割。ビナーみたいなカッコイイロマンにあってしかるべき機能だと思ってる。

*2
性癖。この間、約0.02秒!

*3
ズモモモモモ…





一度は斃れた戦士は、怪物には無い仲間というものが命を守り、再び宿敵の前へと送り出した。今度は油断しないようその背中で応援を受け取って。

強者を指揮せし優しい律、戦士を癒し戦士たちを手助けする妖精、覚醒する星、何者も通さない鉄壁の蒼壁、圧力を跳ねのけし皇金、柔軟でしなやかに戦う黒豹、誰一人も欠けさせんと奮起する銀狼…

おお、勇ましき戦士よ!お前の周りには素晴らしき仲間が!!

戦士の仲間は、これほどまでに!!

次回─「愛の諸相」

暴竜要素どこ…?ここ…?

おまけ
「肌が白くていい感じに筋肉が着いたメガネエルフ耳美少女って最高だよね」

〜アヤネン・G・ダイスキー三世 (18)〜

ここにビナー戦が終わったら番外としてのお題があるじゃろ?君の読みたい話をひとつだけ選ぶんじゃ。

  • エーゴン、現代のエーゴンと出会う
  • ベール擬人化!火に沈むゲヘナ!
  • プラキドサクス、トリニティを支配する。
  • 他のリクエストは活動報告にコメントじゃ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。