転生少女は恋も未来も諦めない   作:紅琳檎

12 / 20
前話の前後に何もなかったのは、爆豪勝己の邪魔をしたくなかったからです(強火の爆豪推し)

感想、評価、励みになります。
ありがとうございます。
今話でまたひとり、覚醒のフラグです。

そして原作大ブレイクの始まりです。


11.ヒーローとしてのプロローグ

「円滑なコミュニケーションとは、まずお互いを知るところからってね。 わたしは明々装。 きみ、ってもちょっと年上に見えるなぁ。 貴方は?」

「……死柄木弔」

「死柄木さんね。 貴方はオールマイトを殺すって言ってたけど、理由はどういったもので? 単純なテロにしてはちょっと段取りが甘く見える、でもこれだけの人数を募って攻めてくる程度には計画的だ。 ちょっと乖離が過ぎる気もするんだよね」

 

ヤオモモちゃんに出してもらったテーブルと椅子。

紅茶なんて良い物はないけど、2つの湯飲みにわたしが持って来ていたお茶を注いで、自称『死柄木弔』に差し出す。

 

「わたしの見立てでは、計画者は別にいるけど詳細は貴方が詰めた感じかな。 そこで殴り合ってる黒いやつ……脳無だっけ? あれは計画者が用意したんじゃない?」

「……オマエ、ガキの割には頭回るなぁ。 最近のガキってみんなこんなんなのか?」

「どうだろ。 まぁわたしは少し現場を経験してるってのもあるんじゃないかな」

 

こいつ警戒もせずにお茶飲んだけど。

ちょっとこの時期の死柄木くん世間知らず過ぎんか?

 

「まぁ先生方が来るにはもう少し時間がかかるからさ。 お話しようぜ死柄木さん」

「チッ……まぁ逃げられないんじゃ仕方ないか……いいぜ、付き合ってやるよ」

 

 

――――――――――

 

 

戦闘訓練から数日後。

学級委員長を決めたり雄英バリアーが破壊されたり色々と小さいイベントはあったものの。

大体原作通りの流れになったかな。

まぁ爆豪の態度が軟化したりはあったけど、流石にわたしと爆豪がいきなり肩を組んで、みたいな感じではないので。

まぁでも嫌な奴からは、少しだけ見直したけどね!

 

「オイ明々。 昨日の纏めたやつくれ」

「はいよー。 にしてもきみ、個性使える場ができた瞬間にめちゃくちゃ技作るのな。どんだけ構想練ってたのさ」

「とりあえずそこの個性馬鹿がノート1冊埋めるくらいには」

「馬鹿がよ……野良個性馬鹿に餌やっちゃ駄目だって教わらなかったのかよ……」

 

戦闘訓練の翌日から自主練用に施設を1棟、貸出許可を得て。

取りあえず幼馴染ーズ(おさななじみーず:命名葉隠透)で個性伸ばしを始めているのだが。

こんのセンスマンがよぉ……2、3日程度なのに、技として通用するもんを4つも5つも仕上げてきやがって……!

 

「それにしても本当に「爆破」っていい個性だよね。 単純にぶつけて火傷でデバフ狙いもできるし反動で加速して打撃の威力を上げてもよし、地上からほぼノータイムで上とって強襲、もちろん飛んで移動できるのが評価としては最高だけど。 昨日の勝己が開発した「収束」「拡散」「鎮圧」なんて正に対ヴィラン用の必殺技だ。 というかきみの頭の中の構想全部教えてくれない?」

「ほらオタク出ちゃってんじゃん」

「これ俺が悪いんか?」

「きみが有能なのが悪い。 クソがよ」

 

出久曰く爆豪の必殺技についての「解析」結果をレポートにして渡す。

まぁ結構な頻度で使ってはいるものの、一応わたしは「装填」の個性持ちということになっているので「解析」だけでなくサポート科の器具を借りて取ったデータも引用しているけど。

 

「……悪かねぇな」

「いや、良すぎ。 出久がぶっ飛んで高スペックだから麻痺してるかもだけど、きみの現状の身体・個性のデータだけ見てもビルボードチャート200位圏内だよ」

「足りんわ。 最低でも今年中に10位圏内に入るぞ俺ぁ」

「ちょっとムカつくけどきみのセルフマネジメントは優秀なんだよな、もう! 今週中に個性の構想と身体能力の想定スケジュール作って渡して!」

「そこまで、いいんか」

「乗り掛かった舟だろ! わたし的には強い手札はいくらいてもいいんだから!」

 

こいつ……わたしじゃなくてこいつから肩組んでくる感じ……!!

認めたくないけど変な感じに甘え上手だな……!!

ほんっっっっとうに認めたくないけど「解析」し甲斐があるぅ……!

 

「まだ1週間経ってないのにすごいねぇ、幼馴染ーズ」

「てか施設の使用許可とか取れるんだ!? 私も参加したーい!」

「何人でも来いやー! 全員育てたる……!!」

「燃えとるなー、装ちゃん」

 

言っとくけど(言わないが)わたしの想定では1-AだけでAFO完封する予定だからな?

きみたち全員、死ぬほど働いてもらうからな??

だから育ってもらうんだからな、逃がさないからな……?

 

「今日の基礎学は人命救助訓練だ」

「おー! レスキュー!」

「そんで今日は俺ともうひとりの2人体制で授業を行う。 オールマイトは私用で外出中だが、後半に顔を出すそうだ」

「3人も! やっぱりヒーローならレスキュー大事だもんな」

 

着替えて集合、なおコスチュームは任意とする、そう言って相澤先生はのそのそと出て行ってしまった。

……来たか、序盤の難関。

死柄木率いる脳無の襲来。

 

「ちょっとあれだなー、救助っていっても慣れてないと自分らが怪我しそう」

「……そーちゃん?」

 

わざとらしすぎたかな。

でも、わずかでも怪我を意識させることはできた。

 

「コスチューム着てこっかな!」

「うーん、ま、確かに初めては装備が揃ってる状態でやったほうがいいよなぁ」

 

ここから先は万が一を潰していくことが大事だ。

だが慎重になりすぎて経験が足りず、想定より全体の戦闘力が低くなってしまってもいけない。

戦闘はさせる、が、戦うことで伸びるやつらを優先して、かつ大怪我や戦線離脱は出さない。

試金石には、十分すぎる相手だが。

 

「わたしはリカバリーガールのとこ寄ってから行くね! ちょっと預けてあるものがあるからさ」

「じゃあ先に更衣室行ってるね!」

「はーい、後でね!」

 

リカバリーガールの「治癒」を「装填」しておく。

万が一にでも相澤先生が長期離脱してしまうと予定が総崩れになってしまうから。

……なんていうけど、結局はみんなに怪我してほしくないだけなんだけども。

 

「バス移動ってやっぱり雄英バグってるよね」

「普通に街が入ってるの感覚狂うよなぁ」

 

砂藤くんと並んで移動用のバスを待つ。

にしてもオールマイト、朝は別に変な様子なかったし予定も特にないって言ってたけど、どこ行ったんだろうな……。

どちらにせよ、遅れて来るのは原作通りなんだなぁ。

 

「のりこめー」

 

飯田くんが陣頭指揮を執って並んでいたけど結果意味はなく。

みんなでどやどやと乗り込んだ。

わたしの隣は透ちゃんと響香ちゃんである。

……女の子のめっちゃ甘い匂いがするんだが天国かここは。

 

「私、思ったことを何でも言っちゃうの、緑谷ちゃん」

 

出久の隣に座る梅雨ちゃん、ちっちゃくて可愛くない??

 

「あ、うん、何かな蛙吹さん」

「梅雨ちゃんと呼んで。 それであなた、オールマイトに師事しているのかしら?」

 

バス内の空気に緊張が走る。

確かにオールマイトを彷彿とさせる超パワー(抑え気味)に戦闘時はオールマイトリスペクトの動きが多く、更に戦闘服も確実に意識していますって感じだし。

あとSMASHは流石にフォロワーが過ぎると思ったけど、あれはオールマイトがOFAを使う時には技名が大事だって初手で教えちゃったのが悪いからなぁ。

 

「あー、っと」

 

目配せに頷く。

こういう時にもカバーストーリーは用意しているのだ。

というかNo.1ヒーローの弟子が入試で1位、かつそのヒーローが教職に就くのはなにかしらの癒着を疑われてしまうからよろしくないんだよな。

 

「もともと小さい時から大好きでよく真似をしてたんだけど……個性が発現した時、あまりに危険だからってそーちゃんの紹介で2.3日見てもらったことはあるかな」

「うぉー、ほんとに! うらやましー!」

「つーかそれなら明々の人脈のがスゲーよな」

「まぁでもかなり偏ってるよ。 オールマイトとエンデヴァーは知ってるけど他のチャートTOP10は誰も知らないし。 あ、でもインゲニウムのは知ってるよ!」

「兄を知っているのか!?」

「あ、やっぱり。 天晴さんすごくいい人だよね。 インターンとか大丈夫そうならお願いしたいと思ってるよ僕」

「緑谷くんまで!? どこで縁を!?」

 

さっきまでの緊張感はどこへやら。

わいわいと楽しいバスの中。

前の方に座ってる相澤先生は注意する一歩手前って感じかなぁ、ちょっと不機嫌そうな顔してる。

しかたないなぁもう。

 

「先生ってインゲニウムと同期ですよね確か」

「……あー、まぁそうだな。 卒業校が違うが、何度かチームアップの記憶はある」

「そういえば相澤先生ってどこのヒーロー科出身なんスか?」

「俺と、あとプレゼントマイクは雄英だ」

 

見た目によらねーなんて上鳴くんの言葉に、あんたも見た目によらないよね、なんて響香ちゃん。

褒めてんのか貶してんのか……いちゃつきやがって……!

 

「他には香山先輩……ミッドナイトや、知っての通りオールマイトだな。 基本雄英卒のヒーローは現職が多いから教師は少ないな」

「なんか想像つくッスね」

「さて……そろそろ着くから静かにしろよ」

 

「すっげー!!なんだここ、USJか!?」

 

あらゆる事故、災害を想定したスペースヒーロー13号の作った演習場。

 

「ウソの災害や事故ルーム!」

「USJだったー!」

「わー! 私好きなの13号!」

 

ネーミングがギリッギリなんだよね……大丈夫か……?

災害救助に特化したヒーロー13号、実際ヒーローはヴィラン退治以上に救助活動が多いため、彼女から学べることはすべて無駄にできない。

ああ、こんな事件がなければ、本当に真剣に学びたいところだけど。

 

「以上! ご清聴ありがとうございました」

 

個性を扱う心構えを説いてくれた13号に惜しみない拍手が送られる。

個性は包丁やハサミ、車と一緒だ。

ちゃんと使えば役に立つけど、間違えて使えば単なる凶器になってしまうもんな。

だから……これから現れる彼の個性だって、きっと災害救助に特化した良い個性になってもいいんだけどなぁ。

 

「一塊になって動くな!! 13号、生徒を守れ!!」

 

「あれは、ヴィランだ!!」

 

来た、来てしまった。

大丈夫、1-Aは強い、乗り越えられる。

そのためにしっかり考えてきたし、準備もしてきただろ。

 

「違う先生! 先生は出ちゃダメです!」

「下がれ明々!」

「ワープ持ちの個性を常に止めておかないと逆に危険です! 相手の総数が分からない状態で孤立させられる可能性がある!」

「……ッだが、生徒を守るのが教師の役目だ。 俺を信じろ」

「戦力なら、十分なのがいます。 先生は後詰として見守っててください」

 

演習ではない、チンピラといえど、本物の悪意。

個性を傷つけるために使うヴィランに対して。

 

「……で、暴れていいんだよなァ?」

 

好戦的な笑みに、ボンボンと断続的に爆ぜる掌。

 

「ケース62、対ワープ系ヴィラン戦闘……個性を封じて増援も逃走もさせない……これ相澤先生が昔解決した事件だ」

 

体表を弾ける、いつもよりも強い電流。

 

「ねえ相澤先生。 ヤバい時はちゃんと先生に頼りますから。 とりあえず見てみたくないですか、主席と次席の現在地点」

「お前……癪だが、乗ってやる。 ワープ持ちを止めるのは合理的だからな……だが後で反省文は覚悟しておけよ」

「なんぼでも書いたりますわー! よし!」

 

「特災ヒーロー明々装! 緑谷出久と爆豪勝己、戦闘を許可します! 全員戦闘不能でヨロシクゥ!」

「「おう!!」」

 

 

――――――――――

 

 

Side[上鳴電気]

 

電気系の個性って勝ち組だよなって、何度言われたかわかんねーくらい。

ヒーローになるのはもったいないっても、同じくらい言われてきた。

それでもヒーローってカッコイイじゃん?

女の子好きだしモテてーしさ。

 

「一旦は遠距離持ちから潰すか」

「そうだね。 ふたりで突っ込んできみの「鎮圧」から各個撃破で」

「悪ィけど俺の速度に合わせてもらうぞ」

「抱えて突っ込んでもいいけど?」

「俺が追いつかんわ1/2音速ヤロウ」

 

そりゃもちろんヒーローだしヴィラン退治だってするだろう。

でもつい先月までは中学生だった俺にとっては、そんな鉄火場は遠い未来の話だと思ってた。

それを踏まえて言わせてもらうけどさ。

 

「なんでお前らこの状況で冷静なんだよ……?」

 

めっちゃ怖い。

脚ががっくがくしてる。

明確な敵意が肌を刺して、いっそ泣いた方が気が楽なくらいだ。

それなのにけろっとした顔で相談していた緑谷と爆豪は顔を見合わせて、振り返って。

 

「こんな石コロに躓いてたらNo.1にゃなれんだろ」

「いずれ通る道なら早い方がいいよねって」

 

笑いやがった、普通に。

 

「危険度が高いのは3人。 あの黒いモヤのワープ、黒タイツっぽいでかいやつ、手の装飾付きのやつ。 あとは十把一絡げの雑魚だから立ち回り注意ね」

「相澤先生がワープ抑えてくれるなら大丈夫だと思うけど、あのでかいやつは見た目的にも僕が対応するよ」

「じゃあ俺はあの手の奴だな」

 

同い年だろ、なんでそんな安心できる顔するんだよ。

俺、分かってんだぞ、入試で上位取ってる切島だって飯田だって、いま怖がってたんだぞ。

お前らの顔見て、震えが止まったのだって、分かっちまった。

 

「多分ワープの個性で広場以外にも連れてきてる。 このままじゃ波状攻撃で囲まれて潰される……ってもきみたちならそんなに心配ないか。 でも単純物量って面倒なんだよねぇ」

 

というわけで、と明々が振り返る。

俺たちの顔を見て、あいつらと同じ顔で笑った。

 

「1年A組ヒーロー科諸君。 どうだい。 わたしの指揮、相澤先生と13号先生の監修の下、初のヴィラン退治と洒落こまないかい?」

 

なんでそんな、3人してさ。

オールマイトの背中を見てるみてーに、勇気が湧いてくんだよ。

俺だって、って思わせんだよ。

 

「この状況で下がってろって言われんなら勝手に出てくところだった」

 

名乗りを上げたのは、轟。

 

「接近戦と、接敵警戒は任せろ」

「ほ、捕獲ならオイラのもぎもぎが役に立つからよ、戦闘は任せるぞ……!」

 

障子と、峰田が。

 

「簡単な武器や防具は私が創りますわ。 もちろん、戦闘にも参加します」

「遊撃なら任された!」

「防衛戦なら任せとけ! 後ろにゃ誰も通さねぇ!」

 

八百万が、葉隠が、切島が。

 

「なんだよ……ここで名乗らねーの、ダセェじゃんか……!」

 

火が、ついた。

覚悟とか勇気とかそういうのじゃなくて。

ヒーローってこういうもんだ、っていう気持ちに。

 

「ふふふ、みんないい顔だ。 んじゃやりますか、ヒーローのお仕事体験版!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。