時系列的な、作中タイムスケジュールも消えてたのに気づいたのは昨日でした。
なので思い出せる限り書き出しつつちょっと長くなったので分割して2話にしてます。
感想って想像の100倍くらい嬉しかったんでもっとどしどしくれてもいいんですよ……?
ぜんぶほしいのだ。
「あまりにもスケールが違いすぎる」
「扉でっか。6mくらいはあるけどこれ。 バリアフリーって聞こえはいいけど逆に使いづらくないのかね」
「サポート科とかあるし、開け閉めには苦労しないんじゃないかな」
「それもそっか」
出久とふたり、雄英校舎内をぽてぽてと歩き回る。
本日は入学式……なのだが、雄英高校は入学式と卒業式に保護者の参観が無いという妙な特色がある。
まぁその代わり、雄英普通科と経営科合同の報道部の精鋭たちが全生徒の完璧なカットの写真を
ご家庭にお届けする謎のサービスが存在しているらしい。
なんせオールマイトの時代にもあったとのこと、怖い。
「というか、普通に迷うねこれ。 校舎が何棟もあるから学科ごとに分かれてるのかと思ったら、まさかの学年ごとだなんて」
「サポート科だけ技術棟があるって時点でヤベー奴隔離してるんだなってわかるのは本当に面白かったけどね! しかして天才とは全員変な奴と相場は決まっているのでね、わたしはなるべく最速で接触しに行く!」
「理屈はわかるけどその考えに至る時点でそーちゃんも普通にヤベー奴なんだよね。 ……と、ここか」
クソでか扉には1-Aと覗き窓付きのデザイン、こういうの好きだな。
まぁ実際問題「解析」を使えば全部わかっちゃうんだけど、せっかくなら使わずに体験してみたいとも思うわけで。
ウォールハックなんてチートでゲームやっても楽しくない的なね。
それはそうと時間もまぁまぁギリギリだし、お楽しみの学友との顔合わせタイムだ!
「あの人数から選ばれたエリート達か……」
「主席がなに緊張してんのさ! わたしたちがコーディネーターなら出久はスーパーコーディネーターなんだから大丈夫だって!」
「根拠も例えも分からないしハイなそーちゃんはやらかす時があるから本当に心配なんだけど……まァ気にしても仕方ないか……」
大きさに反して、音も重さも感じさせず扉が開かれる。
……お、なんだなんだ、緊張するとたまに出る猫背じゃなくてちゃんと胸張ってんじゃん。
んふふふ、よろしいよろしい、人間ファーストコンタクト大事だもんなぁ。
「机に足をかけるな!」
「ウルセェなてめーどこ中だよ端役が!」
なんかぼんやり覚えてるよりも喧嘩っ早くないかチワワくんさ。
「うわマジか……初日から吠え散らかすとか調教されてない小型犬に相違ないじゃんか」
「んだと……! チッ、クソ女とデクか、初日から揃って重役出勤かよ、余裕だなナードサマと没個性サマは!」
「うーん……爆豪くんさ、その口の悪さはビルボードチャートで不利になるから直したほうがいいかもしれないよ。 直せるんだったらね」
出久のセリフにクラスの空気が凍り付いた。
それもそうだ、まだお互いの関係性も分かってないし構築もできていないのにこんな煽りあいのようなことをしているのだから。
ぼん、と威嚇のようにチワワくんが「爆破」の個性を爆ぜさせてゆっくりと立ち上がる。
さっきまでのメガネくんとのじゃれあいじゃない、これでもかと目を吊り上げたブチギレってやつだ。
「なんだその口の利き方はよ……モブが一丁前に意見してんじゃねぇぞ……!」
「まぁなんでもいいけどよォ、入学式前から騒ぎ起こしちゃ後が怖いんじゃねーかな……」
2個後ろの席のブドウ頭くんが意見をすると、まぁ流石に初日から問題児認定されるのは避けたいのか、チワワくんは舌打ちをしながら席に戻った。
結構頭に血が上ってる感じしたけどな、変なとこでクレバーなやつ。
「覚えとけクソデク……!」
「もう忘れたよ」
んふー、不遜な感じイイね!
オールマイトには無いちょっと皮肉な感じ、こりゃファンが増えちゃうなー!
いやでも初日の、会って数分でこれ見られたら無理か、そんなー。
「なんか不穏なフンイキ―! 明々ちゃん、サンカクカンケイってやつ!?」
「今の見てその感想出てくるの、まぁまぁヤベー感じだけどな。 まぁお互い無事に合格できてよかったな!」
「葉隠ちゃーん! 砂藤くん! わざわざ席を立って来てくれる辺り、きみたちの人の好さがわかってめっちゃ嬉しい! あとわたしは結婚を約束した想い人がいるのでその辺の話はNGでお願いしたい所存」
クラスがざわつく。
あれなんかやっちゃいました?
「ほらやらかした……いやまぁいいか、もうその辺の話について僕は助けないからね」
「ご、ご無体なー!」
「それって、許嫁、ってやつ……!?」
「透明でかわいいやつかよ、葉隠ちゃんこれからとうかわって呼んでいい?」
「初日でその感じ、明々も分かってたけどだいぶヤベー奴だな?」
さっきまでの空気が弛緩したからか、クラス中でわいわいがやがやと会話が弾みだした。
アイスブレイクって大事よね、さっきまでのが該当するかは分からんけど。
「あ! あの、すごいパンチの!」
明々に、電流走る―――。
「出久ぅ!!!!!!!!! なに!!!!!!! アノ!!!!!!!! カワイコチャン!!!!!!!!!」
「うっさ!!?? 初対面でいきなり何を言ってんだよ驚いて真っ赤じゃんか!!」
「カワイコチャン!!!!!!オナマエハ!?!?!?!?」
「う、うららか、オチャコ、デス……」
「オチャコチャン!!!!!!!」
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」
お茶子ちゃんの可愛さに打ち震えていると寝袋に入った長髪髭面の不審者が声を上げた。
いやわかってはいる、いるんだよ、うん、そのうち担任が来るっていうのはさ、でもほら、こんな社会不適合者みたいなのが来るとは思わないしこの感動に割り込まれるのは非常に不愉快すぎたかなちょっと。
「空気読めない大人だなァ。 親交を深めているところですよ、これからの未来の仲間たちと」
「だがここはヒーロー科だ。 なかよしこよしでおてて繋いでゴールインなんて世界じゃない」
「はぁ~~?? ヴィランとだったらまだ分かるけど、ヒーローなんて助け合いでしょ? コミュニケーション能力だってヒーロー間、または一般人との関わり方で最も重要ですよねえ」
「ま、確かにその通りではある。 一本取られたよ。 だがそれはそれこれはこれ。 定められた時間に定められた行動をする、規律ってやつだな、ヒーローであれば常に付き纏うものだし未熟な卵でもその程度の理解はあるかと思ったが……」
「これはこれは、規律を口にするならあと30秒は早く来ないといけませんでしたねぇ先生? ……まぁでも今日はおあいこにしましょ。 どうせお茶子ちゃんが教室に入るまで待っててくれたんでしょ?」
「……なるほど、流石ばあさんの弟子だな。 口喧嘩じゃ勝てそうもない」
変な人だけど、まぁ悪い人じゃなさそう、って感じか。
打てば響くし会話のテンポも良好、更に行動が明らかに善に振ってる。
楽しい1年になりそう。
「担任の相澤消太だ、よろしくね」
寝袋からごそごそ出てきたけどなんだこの全身真っ黒で首元に細くて長いマフラー巻いてる不審者は。
「さっそくだが教室後方のロッカーにそれぞれ体操服が入ってる。それ着てグラウンドに出ろ」
それだけ告げるとのそのそと教室を出て行ってしまった相澤先生。
取り残されたわたしたちの、しんとした空気の中、誰かが呟いた「入学式は……?」の声に、主席合格者の出久に新入生代表のスピーチが割り振られていないことを思い出す。
「やられた、これ入学者とクラス分けが決定された時点で仕組まれてたやつだ」
「僕の代表スピーチが無かった理由ってこれだったのか」
「ってことは早いところ着替えて向かわないとなに言われるか分かんないや。 ちょっと仕切る形になって申し訳ないけど、みんな早いところ着替えて行こう!」
男女交代で教室を使って着替えて、バタバタとグラウンドへ向かう。
……ここから見えるけど普通に体育館で入学式やってるじゃんか!!
「個性把握……テストォ!?」
「そうだ。 まずは自らの最大限を知る。 合理的だろう?」
ちょっとだけ覚えてる、除籍処分するーとかっていうやつだ!
でもなんかそんな雰囲気じゃないけどなんだろうか。
「始める前に君らのやる気を出させておこうと思う。 静かに聞くように」
「今年度の入試、この長い歴史を持つ雄英で過去最高得点で主席合格をした生徒がいる。 これはベストジーニストやエンデヴァー、果てはオールマイトすら過去にする偉業と言ってもいい。つまり君らは『その生徒の世代』として十把一絡げな存在になり果てる可能性が十分すぎるほどにある、ということだ」
幾人かの生徒から、ピリリとした気配が立ち上る。
最後列にいる利点として「解析」を使い様子を見てみると、チワワくん、赤髪ツンツンくん、メガネくん、異形型の多腕くん、赤白ツートンくんからだ。
いいね、壁を認識すると奮い立てるタイプの子たちだね。
「何者かになるか、ならざるか。 君らは岐路に立たされている。 さぁこれからの3年間の、第一歩目だ。 しっかり足跡残して見せろよ。 ようこそ、
雄英高校、ヒーロー科へ」
そういや漫画読み直したんですよ。
相沢先生の初登場、記憶よりきもちわるい感じで非常によかった。