この透き通る世界を俺は機械と骨でハッピーエンドにしてみせる   作:多趣味なオタク

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な、難産...!先の分の構想はあるのに現在の分が思いつかない...!
更新が遅れてしまい申し訳ありません...この先もあまり考えられていないので次回更新も遅くなるかも?重ね重ね申し訳ない...


また、今回のお話の都合上、原作を改変させてしまう描写があるので、「原作改変」のタグを付けさせていただきます


では、本編どうぞ。


戦闘!風紀委員会!

 

ーとあるオフィスの一室

 

「これはこれは...お待ちしていましたよ。暁の...いえ、小鳥遊ホシノさん。」

 

 

「...黒服、今度の用は何?」

 

 

 無機質な部屋の中、黒いスーツをまとった異形とピンク髪の女子生徒が向かい合う。かなり異質な光景だが、生徒が異形に向ける敵意によって場が緊張状態にあることでよりその異質さを加速させる

 

 

「ふふ、状況が変わりましてね。今回は再度、アビドス最高の神秘を持つホシノさんにご提案をしようと思いまして。」

 

 

「提案!?ふざけるな!それはもう...!!」

 

 

「まあまあ、落ち着いてください...そうですね、お気に入りの映画がありまして、今回はそれを引用してみましょうか。」

 

 

 黒服と呼ばれたスーツを着た異形は、椅子に座りホシノに対して体を向ける

 

 

「あなたに、決して拒めないであろう提案を()()。興味深い提案だと思いますので、どうかご清聴ください。」

 

 

 その後、その部屋には一つの笑い声が木霊した

 

 

 

 

ー紫関ラーメン

 

「来たあ!いっただっきまーす!」

 

 

「そ、その...本当に大丈夫かしら、サンズさん、私たちの分を奢ってくれるなんて...」

 

 

「いーんだよ、俺が呼び出したんだしな。それに、どうせお金がないんだろ?なら大人しく奢られてな。」

 

 

 ヒフミを送った後、アビドス高校に戻った俺はリン行政官と仕事についての連絡を取り、先生と共に書類仕事をして高校の一室で夜を過ごした。そして今日は学校のない日だったので、各々好きな場所へと遊びに行った。先生はノノミと一緒に学校に残って掃除なんかをするようだった。仲がよさそうで何よりだ

 

 

「アビドスさんとこのお友達だろう?替え玉が欲しけりゃ言いな。それに、今日は頼もしい男手もいるんだしな。」

 

 

 そう言って柴大将はこっちをニヤニヤして見てくる。やめてほしい、俺だってそんな潤沢にお金を持っているわけではないのだ。しかも先生に今度美味しいものを奢ってあげないとだから結構きつめなのに...

 

 

「い、いいんでしょうか...こんな雑草にも劣るような私が...ひゃっ!?さ、サンズさん!?」

 

 

 なにやらハルカが卑屈になっているようだったので、すかさずハルカのラーメンにチャーシューをぶち込む

 

 

「おう、それ以上言ったら次はメンマだぞ。」

 

 

 そう言うとハルカはえ、え、と言いながら俺とラーメンを交互に見るが、やがて俺が本気であることがわかったらしく、もそもそとラーメンを食べ始めた。なんだか小動物の餌やりをしているかのような気持ちになり癒される。今度また会ったら美味しいものをたらふく食べさせてやりたい

 

 

「だ、誰が友達よ!」

 

 

 アルが数秒遅れて柴大将の言葉に反応する。なんかラグくね?

 

 

「...まあ、それはそれとして、ここはいい場所ね。雰囲気がすごくあったかいわ。アウトローっぽくはないけど人情にあふれてて、私好みのお店ね。」

 

 

 どうやらアルも気に入ってくれたらしい。てっきりアウトローに相応しくないとかで暴れるかと思ったけど、そんな様子はなさそうでよかった

 

 

「ちょっと驚いたな...てっきりアルならアウトローらしくないから気に入らない!とか言うもんだと思っていたんだが。」

 

 少し本音を混じらせて話す

 

「ちょ、ちょっと!一体私のことをなんだと思っているのよ!...それに、義理人情は私が起業するきっかけになったものだもの。空腹の私たちにサービスしてくれたお店に、そんな人情に欠けたことしないわよ。」

 

 

 驚いた。俺が思っていたよりアルはずっと大人びているようだ。原作ではもうちょっと落ち着きがなかったように思うが、何が彼女を変えたのだろうか

 

 

 ふとそんなことを考えていると、俺の頭にモヤのかかるような感覚がした。なにかがとっかかっているような、思い出せそうで思い出せない。この後なにか重大な出来事が起こるはずだが....もどかしい思いを抱いていると、ふとムツキのバックが蠢いているのが見えた

 

 

 あれって中身は爆弾だよな...何が入ってるんだよ

 

 

 その瞬間、俺の頭にかかっていたモヤが晴れる。そうだ、原作では便利屋が紫関ラーメンを爆破したはず、何の因果かはわからないが今すぐにアルたちは爆破をする様子はない。しかし、彼女たちを追って風紀委員会がこのあとやってくるはず...

 

 

 

 俺は急いで辺りに注意を張り巡らせ、五感のうちの聴覚に意識を傾ける。...さすがにあまり聞くことはできないが、遠くの方からかすかに大きな何かが移動してくる音が聞こえてくる。その音と俺の記憶を頼りにこちらに来ているモノを推測していく

 

 

 たしか、原作では便利屋が紫関ラーメンを爆破した後、それを聞きつけた対策委員会のメンバーたちが接敵。戦闘中に風紀委員会が便利屋に攻撃を仕掛けていたはず。その時、何を使って攻撃していた?

 

 

 頭を捻り必死に思い出そうとしていると、遠くから耳なじみのない音が聞こえてくる

 

 

ヒュー

 

 

「ッ!全員伏せろ!爆撃が来る!」

 

 

 耐久のない俺は急いで柴大将の元までテレポートして俺が大将に覆いかぶさるようにして机の下に隠れて衝撃に備える。一瞬の猶予があったためアルたちを確認すると、皆一様に防御態勢をとっているようだった

 

 

 俺が叫んでから数秒経過し、轟音と共に衝撃が身に迫る

 

 

ドゴゴゴーーン!!!

 

 

 天井から今までにないほどの圧力を受け、そして爆発する。俺はその衝撃に耐えきれずに体が吹き飛ばされた

 

 

 幸いにも事前に気付き、防御態勢をとっていたお陰で全身に少し鈍い痛みが走っているのみで体を動かす分には何も支障はない。柴大将の状態を確認すると、俺が覆いかぶさっていたことが功を奏したようで一切の傷がなかった

 

 

「おい坊主!無事か!?」

 

 

 俺の手から解放された柴大将は青い顔をして俺に呼びかける。そんな顔をするほど俺の状況は悪いのだろうか。あいにく自分ではそれを確認することができないのでよくわからないが

 

 

「...ああ、無事だよ。みんなは?」

 

 

「あの子たちは...無事らしいな。ピンピンして坊主を探してる。」

 

 

 柴大将が指す方を見ると、大声で俺を呼んでいるアルたちの姿が見えたので、痛む体を抑えてアルたちに手を振る。すると、アルは一瞬パアッと明るい表情を見せたがすぐに顔を真っ青にしてこちらへ駆け寄ってくる

 

 

「ちょっと!?サンズさん大丈夫なの!?頭からち、血が...!」

 

 

 言われて頭に手を置いてみると、べったりとした感触が手につく。そのまま手を顔の前まで戻すと、手のひらいっぱいに赤が広がった

 

 

「うっ...」

 

 

 自分の負傷に気が付いた瞬間、アドレナリンの効果が切れてしまったのか、より鈍い痛みが頭に響く。思わずふらついてしまい、アルに支えてもらった

 

 

「っく...すまないな。手間をかける。」

 

 

 

「いいのよ。私もあなたに助けてもらったのだし、お互い様ね。」

 

 

 いつになく真剣な表情でアルは俺に肩を貸してくれた。なるほど、大事な局面でこんな表情をされれば自然といい仲間は集ってくるものだ。アルのリーダーシップが垣間見えた気がした

 

 

 

「あなたたち!何をしているの!」

 

 

 俺たちがいったい何が起こったのかと周囲を警戒している最中、聞き覚えのある声が聞こえた

 

 

「ってサンズ君が血を流して...!?」

 

 

『っ!サンズ!』

 

 

 アビドスのメンバーたちと先生がこちらへと走ってくる。おそらく爆撃音に気付いてやってきたのだろう、皆一様に先ほどのアルのように顔を青くしていて、特に先生は足が軽く震えてしまっているようだった。初めて生徒がこんなに傷を負っている様子を見てしまったからだろう。悪いことをしてしまった

 

 

「先生、ひとまず周囲を警戒して頂戴。私たちはさっき空からの爆撃に遭ったわ。そう時間は経ってないし追撃をしてくると思うから、その撃ってきた犯人がまだ近くにいるはずよ。」

 

 

 アルの言葉を聞いた先生は両手で頬をパチンと叩き、いつもの先生の雰囲気に戻ってアヤネに周囲を警戒するよう指示をし始めた。さすがの切り替え速度だな

 

 

 

『とりあえずサンズは爆風を受けなさそうな場所で待機!絶っっっっ対に出てきちゃだめだよ!』

 

 

 物凄い形相で先生が指示をしてきた...まあ俺もさすがにこの状態で前に出たら足手まといにしかならないことはわかっているので、大人しく物陰に隠れていることにする

 

 

 俺がそこら辺の遮蔽物の裏に隠れた後、先生たちはどこにいるかもわからない敵に気を張り巡らせているようだった。

 

 

 俺が避難して数十秒後、先ほどと同じようなか細い音が空から聞こえてくる。しかし、今はラーメン屋がガレキの山になってしまったことにより実質的に屋外にいる状況。そしてアヤネのサポートもあるため、彼女たちは余裕をもってソレを回避する

 

 

ドゴーン!

 

 

 

「っ!来ました!50mm迫撃砲です!3キロメートル以内に複数の擲弾兵を確認!標的は便利屋の方々のようです!」

 

 

「迫撃砲、ですか...」

 

 

 アヤネの言う通り、俺たちではなくアルたちの方へと次々に着弾してく様子が見える。あいつらを追っている組織と言えば、やはり...

 

 

「兵力の所属、確認できました!ゲヘナの風紀委員会!一個中隊の規模です!」

 

 

「風紀委員会...!」

 

 

 ビンゴ。やはり風紀委員会だった。つまり、この後出てくるのはあの変態か...

 

 

 迫撃砲による攻撃を避けつつも警戒をし続けている便利屋に風紀委員会の存在をできる限りの大声で知らせる。少し咳き込んでしまったが、まだ許容範囲内だ

 

 

「...!風紀委員会か...まさかここまでやってくるとはね。」

 

 

 カヨコが苦しげな顔でそう言葉を漏らす。その目線の先には、迫撃砲を撃ってきたその張本人たちがいた

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、歩兵、第二小隊まで突入。」

 

 

 小柄な白髪の少女が指揮をとり、標的たちを追い詰めてゆく。その傍らにいる少女はどこか不安げな様子だ

 

 

「イオリ、あの方たちはどうします?とりあえずはこちらの事情を説明した方がよいと思いますが...」

 

 

「説明?そんなの必要か?それに、ウチの厄介者どもをとっ捕まえるための労力が惜しい。もし邪魔してくるのなら、その時はその時だ。」

 

 

 イオリと呼ばれた少女はチナツの懸念を無視して攻撃を続けてゆく

 

 

「...。」

 

 

 チナツは未だに不安そうな表情を浮かべていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ何!?風紀委員会がここに来てるの!?」

 

 

 

 セリカは突然の出来事の連続でパニックに陥っているようだった

 

 

「今のところ便利屋の方々の方にしか着弾していませんが、私たちに友好的かはわかりません...」

 

 

「そんな!?ここはアビドスの自治区のはずです!そんなことをすれば政治的な紛争の火種になるかもしれないのに...」

 

 

「そうだ!ホシノ先輩は!?」

 

 

「先ほどから試しているのですが...連絡が取れません。」

 

 

 どうやらホシノはここにいないらしい...ということは黒服の元に行っているのだろう

 

 

「こ、こんなの一体どうすればいいのよ!」

 

 

「...」

 

 

 皆が黙ってしまった。柱となっていたホシノがいない今、彼女たちだけで判断するには余りにも重すぎることだろう。そんな中、先生が口を開く

 

 

『じゃあ便利屋をこのまま風紀委員会に引き渡しちゃう?」

 

 

「そ、それは...ですが、彼女たちと戦うわけには...」

 

 

「じゃあどうしろっていうの?」

 

 

 

「...他に選択肢はない。風紀委員会を阻止する。」

 

 

 沈黙の中、シロコが口火を切った

 

 

「シロコちゃん!?」

 

 

「...私は、シロコ先輩の意見に賛成です。」

 

 

「風紀委員会がこの自治区ですでに戦術的行動をしたということは、政治的紛争が生じるということ。便利屋の方々が騒動を起こしたというのはおそらく事実でしょう。」

 

 

「しかし、だからといってほかの学園の風紀委員会が私たちの許可もなく、こんな暴動を行ってもよいというわけではありません。」

 

 

 

「その通りよ!私たちの学校の権利を無視するようなマネをされて黙ってなんかいられない!」

 

「それに、紫関ラーメンを爆破されてサンズ先輩も攻撃された代償をしっかり払ってもらわなきゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...アビドスの生徒たち、臨戦態勢に突入しました。」

 

 

 その言葉を聞いたイオリはあからさまに面倒くさそうな表情をする。その中には多少の侮蔑も混じっていた

 

 

「はあ、面倒だな、たかが四人で来るのか。こっちは一個中隊の兵力なのに。」

 

「だけど、売られた喧嘩を買わないなんてことは、風紀委員会としてできない。総員、戦闘準備!」

 

 

 風紀委員にしてはヤンキー染みた発言をして戦闘の開始を宣言する

 

 

 

「...!ちょ、ちょっと待ってください、イオリ。」

 

 

「どうかしたか?」

 

 

「今、アビドス側に民間人が見えました。確認中ですので、少し待ってください。」

 

「...え!?ま、まさかあそこにいるのはまさかシャーレの先生!?」

 

 

「なんだ?シャーレって?」

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください....もしシャーレの先生があっちにいるとしたら...

 

「...!この戦闘、行ってはいけません!」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「アビドス、こちらへ接近!発砲します!」

 

 

タタターーーン!!

 

 

「っち、仕方ない、いくぞ!」

 

 

「あっ、待って...!」

 

 

 チナツの声は無視され、無情にも戦闘は開始する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーおー、派手にやってんな」

 

 

 物陰からひょっこり顔を出して戦闘の様子を観察する。相変わらず先生の超人染みた指揮のおかげで難なく前進しているな...というか、ホシノがいないな。まあどうせアイツのとこにでも行ってるんだろう

 

 

 

 そしてついにイオリとの戦闘に入った。先生の足舐めエピソードと風紀委員長の圧倒的な強さによって忘れかけていたが、彼女もそれなりの実力者である。どんな戦いになるのだろうか...と、完全に部外者の目線で戦闘を眺める

 

 

 

 

「身軽すぎないか...?」

 

 

 俺の想定よりも遥かに素早く立ち回っているイオリを見て、思わず俺はそうつぶやいた。バク中三回もしてノノミの攻撃から逃れてるのは何なんだ?なんでそんなに強いのにあんなにネタにされてるんだ...?

 

 

 そんなことを考えている間に決着はついたらしい。イオリが悔しそうに先生たちと対面していた。

 

 

「くそっ!まさか、私たちが負けるなんて!」

 

 

「...」

 

 

 アビドスの生徒たちが警戒するような目線でイオリを見つめている。終わったみたいだし、俺も合流するかな。

 

 

 多少ふらついた足取りで先生たちの元に向かう。先生はチナツとの対話を終え、イオリたちにことの事情を尋ねているようだった

 

 

「アビドス対策委員会の奥空アヤネです。所属をお願いします。」

 

 

 アヤネのホログラムが現れ、先導して対話を始める。この子ほんとに一年生?

 

 

「それは...」

 

 

 イオリが答えに詰まっていると、あちらもホログラムで誰かが現れた

 

 

「それは私から答えさせていただきます。」

 

 

「アコ行政官...?」

 

 

「こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、アコと申します。」

 

「今の状況について少し説明させていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」

 

 

 現れたのはアコと呼ばれる少女...少女って言っていいのだろうか。あからさまに隠すべく場所を隠しきれていない、それは服として大丈夫なの?と思わず聞いてしまいそうな服を着た女性がアヤネの質問に答える

 

 

「あ、アコちゃん...その...」

 

 

 イオリはどこか怯えたような表情でアコを見る。悪いことをしたのを自覚した犬みたい顔してるな...

 

 

「イオリ、反省文のテンプレートは私の机の、左の引き出しにあります。」

 

 

 が、その表情に対して知ったことかというようにアコはイオリに反省文の所在を教えた。かわいそうなイオリ...ひとえにてめェが短絡的すぎたせいだが...

 

 

 

 

 

 

「チャンスですね,,,」

 

 

 戦闘の終えた場所の中、ある少女が口元を歪ませそうつぶやく。その眼には、光が宿っていなかった

 

 

 

「許さない....許さない....許さない....許せない....許せない....」

 

 

 呪いの言葉のようにつぶやき続けて、彼女は何かの準備のために姿を眩ませた

 

 

 

 

 

 

「行政官ということは....風紀委員会のナンバー2...。」

 

 

「あら、実際はそう大したものではありません。あくまで補佐的立ち位置というだけで...」

 

 

「嘘、本当にそうなら、そこにいる風紀委員たちがあそこまで緊張すると思えない。」

 

 

「だ、誰があそこまで緊張してるって!?」

 

 

 アコの謙遜するような言い方にすぐさまシロコが反論する。イオリがそれに噛みつくが、シロコは全く意に介していないようで表情は変化していない

 

 

「ふむ...なるほど、素晴らしい洞察力です。確か....砂狼シロコさん、でしたか?」

 

 

「...」

 

 

「アビドスに生徒会の面々が残っていると聞きましたが、皆さんのようですね。」

 

「確か、生徒会のメンバーは五人と聞いていましたが、あと一人はどちらに?」

 

 

 自分の名前が知られていることに怪訝そうな表情を浮かべるシロコを横目に、アコはそう尋ねる

 

 

「今はおりません。そして、生徒会ではなく対策委員会です、行政官。」

 

 

「奥空さん、でしたよね?それでは、生徒会の方はいらっしゃらないということでしょうか?私は、生徒会の方と話がしたいのですが。」

 

 

「アビドスの生徒会はずっと前に解散したの!事実上私たちが生徒会の代理みたいなものだから、言いたいことがあるなら私たちに言いなさい!」

 

 

 耐えきれないかのようにセリカが言葉を述べる。いけいけセリカ!そのままあの皮膚呼吸を打ち倒すんだ!

 

 

「それに、こんなに包囲して銃を向けられたまま「お話しましょうか~」なんていうのは、お話の態度としてはどうかと思いますけどね?」

 

 

「たしかに、それもそうですね。」

 

「失礼しました。皆さん、武器を下してください。」

 

 

 そう言われた風紀委員たちは続々と銃を下す。しかし、まだ完全には包囲は解けていない。まだ何かしらの思惑がありそうだが、十中八九アレだろうな

 

 

「本当に銃を下した...?」

 

 

「......」

 

 

「先ほどの愚行は、私の方から謝罪させていただきます。」

 

 

「なっ!?私は命令通りにやっただけなんだけど!?アコちゃん!?」

 

 

「命令に、「まず無差別に発砲せよ」なんて言葉が含まれていましたか?」

 

 

「う、うぐ...それは、状況を鑑みて必要な範囲で火力支援、その後に歩兵の投入、戦術の基本通りにって...」

 

 

 ノノミとセリカは簡単に銃を下したことに驚き、シロコは疑っているような表情でアコを見る。その当人のアコは涼し気な表情で謝罪をした。何やらイオリが抗議をしたようだが、一般人に攻撃した時点で詰みである。彼女の反省文の厚みが増したようだ

 

 

「ましてや他の学園自治区の付近なのだから、きちんとそのあたりは注意するのは当然でしょう?」

 

 

 来た。このシーンでのキーポイントその一、某裁判ゲームなら「待った!」を入れる場面だな

 

 

「おいおい、自治区の付近ってのはどういうことだ?ここはちゃんとアビドスの自治区内のはずだが?」

 

 

 先生たちの後ろからひょっこり顔を出してそう尋ねる。一応原作を知っているから自治区関連についてはわかってはいるが、自然に先生たちに伝えるのはこれが一番いいからな

 

 

『サンズ!?出てきちゃったの!?』

 

 

「もう終わったから大丈夫だろ?で、そこんとこどうなんだ、行政官サマ?」

 

 

「あなたは...それに、出血もして...いえ、そうですね。その言葉の通りです。」

 

 

 アコは少し言葉を濁らせ、顔が青ざめたがすぐに調子を戻して言葉をつづける。しかし、ついぞその言葉を否定することはなかった。これで先生たちにも十分な懐疑心を持たせられただろう、ちょっとは後が楽になるといいんだが

 

 

「そして、今回私たち風紀委員会がそちらに赴いた理由は私たちの学園で違反行為を行った方々を逮捕するためです。あまり望ましくなかった出来事ではありますが、違法行為とは言い切れないでしょうし......やむ負えなかったということで理解していただけると幸いです。」

 

「風紀委員会としての活動に、どうかご協力していただけませんか?」

 

 

 こちらを伺うような雰囲気を出しているが、その内側は「いいからいうことを聞け」と言うような態度が透けて見える。そんな相手には当然、わかりましたとうなずくことはない

 

 

「先ほども言いましたが、そうはいきません!」

 

 

「あら...」

 

 

「他の学校が別の学校の敷地内で、堂々と勝手に戦闘行為をするなんて!」

 

「自治権の観点からして、明確な違反です!」

 

「また、()()()()()()()()()()()()()()という点においても到底認められることではありません!」

 

「まさか、ゲヘナほどの大きな学園がこんな暴挙に出ると思ってもみませんでしたが、ここは譲れません!」

 

 

 か、かっこよすぎる...!こんなアヤネの雄姿を直に浴びたら惚れてしまう...

 

 

「...なるほど。」

 

 

 「民間人への攻撃」という言葉を聞いた瞬間、苦虫を嚙み潰したような顔をしたが、すぐさま笑顔に切り替えた。が、さすがのアコもアヤネの剣幕に繕った態度を維持できないらしい、まとっていた雰囲気が変化する

 

 

「ふぅ、ここまでの兵力差があるのに引かないなんて、これだけの自信にあふれているのは......やはり、信頼のできる大人の方がいるからでしょうか?...ねぇ、シャーレの先生?」

 

 

『...』

 

 

 どうやらこのまま押し切るつもりらしい、やはり独断行動ということもあって暴走してしまっているのだろう

 

 

「先生、あなたも、対策委員会と同じご意見ですか?」

 

 

『便利屋の子たちはちょっと困った子たちかもしれないけど、人とのつながりを大事にするいい子たちだからね。』

 

 

「いやまあ、完全な悪人じゃないことはわかるんだけどね...」

 

 

「...ちょっと残念なところがある。」

 

 

 シロコたちの便利屋への印象がおおよそわかった気がする。アルたちには悪いが本質を突いてると思った

 

 

「あと、あの子たちには借りをきっちり返してもらわなきゃ!」

 

 

「ということで、交渉は決裂です!ゲヘナの風紀委員会、あなた方に退去を要求します!」

 

 

「これは困りましたね...ええ、こうなってしまってはしょうがないですね...本当は穏便に済ませたかったのですが...ヤるしかなさそうですね?」

 

 

 若干棒読みな気もするし、最後すっごい笑顔だし...最初からこうなることを想定していたんだろう。さすがゲヘナ汚い!

 

 

 周りの風紀委員たちの銃口が一気にこちらへ向く。一巻の終わりってやつか

 

 

 

ダダダダダダッ!ダダダダダダッ!

 

 

 突然銃声が鳴り響き、周囲の風紀委員たちが崩れ落ちていく。俺たち側に支援をしてくれる奴らと言えば...

 

 

「な、なんd「許せない...」はっ!?」

 

 

 突然のことに驚くイオリの背後にはいつの間にかハルカが立っていた。怖ッ!幽霊かよ!?

 

 

「許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!許せない!うわああああああああああああ!!!!」

 

 

ダダダダッ!

 

 

「ぐッ...」

 

 

 ハルカの狂気的な叫びと共に吐き出された銃弾により、イオリは何もすることができずに意識を失った

 

 

「嘘をつかないで、天雨アコ。」

 

 

「あらっ?」

 

 

「偶然なんかじゃないでしょ、サンズさんや柴大将への攻撃は想定外かもしれないけど、最初からあんたが狙ってたのはこの状況だった。」

 

 

「カヨコさん...」

 

 

 風紀委員たちによる崩れた包囲の外側から、便利屋の面々がやってくる。ベストタイミングだな

 

 

「あらっ?あちらの包囲網を抜けて...?」

 

 

「あいつら、いつの間にあんなところに...」

 

 

「...なかなかやるね...」

 

 

「...なるほど、それにしても、面白い話をしますね、カヨコさん?」

 

 

「...」

 

 

 数秒の沈黙の後、カヨコが答え合わせを始める

 

 

「...最初はどうして風紀委員会たちがここに現れたのか、理解できなかった。風紀委員会が他の自治区まで追ってくる理由、それも私たちを狙って?」

 

 

「こんな非効率な運用、風紀委員長のいつものやり方じゃない。だからアコ、これはあんたの独断的な行動に違いない。」

 

 

「それに、その目的は便利屋の捕縛じゃねえんだろ?」

 

 

 皆の視線がカヨコから俺に移る。ちょっと緊張するな

 

 

「ただ便利屋を捕縛するだけなら、こんなにも多い兵力はいらないはずだ。だが、他の集団との戦闘を想定してたんじゃあ納得できる。例えばオイラたちみたいな、な?」

 

 

 ウィンクをしてアコを見やる。その表情は笑顔を浮かべたままだが、少し陰っているようにも見えた

 

 

「そう、なら答えは一つ...」

 

 

「「先生を捕まえること、だな/だね?」」

 

 

「!?」

 

 

「な、何ですって!?」

 

 

「先生を、ですか...!?」

 

 

『私?』

 

 

「ああ、そうだよ。先生、アンタ一応はシャーレ(連邦捜査部)っていう権力がとんでもないとこに在籍してるんだぜ?そりゃあその権限を狙ってやってくる奴もいるだろうよ。ってかちょっとはその自覚を持ってほしいんだが...」

 

 

 少しジト目で先生の方をみると、先生は頬をかきながら明後日の方を見ていた...まあその権力に驕る心配もなさそうだからいいか*1

 

 

 

「...」

 

「...ふふっ、なるほど。」

 

「...ああ、便利屋にはカヨコさんがいることをすっかり忘れていました。それに、サンズさん?もなかなかに頭が切れるお方のようで。のんきに雑談などしている場合ではありませんでしたね...」

 

「まあ、構いません。」

 

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ

 

 

 遠くの方からかなり多くの足音が聞こえる。結構なピンチだがこの後の出来事を思い出した俺には消化試合みたいなものだ

 

 

「12時の方向、それから6時の方向...3時、9時...風紀委員会の更なる兵力が四方から集結しています!」

 

 

「そ、そんな...」

 

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ

 

 

「...」

 

 

「増員...まだいるなんて...!」

 

 

 みんなが絶望したような顔をしている。先ほどの戦闘もありこのまま連戦をするのは人数的にも物資的にもかなり厳しい

 

 

「うーん...少々やりすぎたかとも思いましたが......シャーレを相手にするのですから、これくらいあっても困らないでしょうし...」

 

「大は小を兼ねると言いますしね☆」

 

 

 なんかノノミのアイデンティティを奪われた気がする...それはそれとして、こんなことをして後が怖くはないのだろうか。仮にもシャーレに攻撃を仕掛けているのだから、連邦生徒会に喧嘩を売っているようなものだと思うのだが...

 

 

 そんな様子は微塵も見せず、勝ちを確信した様子でアコは状況を見ている

 

 

「やられた...まさか包囲が二重だったとはね。」

 

 

「はい、そうです。それにしても、さすがカヨコさんですね。先ほどのお話は...半分くらい正解ですかね。シャーレとの戦闘は最悪のシチュエーションとして想定していましたから。」

 

「しかし、この状況は意図して作り出したわけではないのですが...信じてはもらえなさそうですね。」

 

「仕方ありませんね。事の次第をお伝えしましょう...」

 

 

 そうしてアコからされた説明は、概ね原作と同じようだった

 

 

 まず、ヒフミ経由でティーパーティーがシャーレの情報を入手。そしてその情報を風紀委員会の情報部が知り、アコ達上層部に流れる。また、チナツの報告書を見てシャーレの不確定要素を確認、このような行為に及んだ...ということらしい。

 ざっくり言えば、なんか権力すごそうなところがあるからウチのモンにしよう!って感じか。思考が正にゲヘナって感じだな

 

 

「ん、むしろ状況がわかりやすくなって良いかも。」

 

 

「...先生を連れていくのに私たちが「はいそうですか」って言うとでも思った?」

 

 

「...」

 

 

「...ふふ、やはりこうなりますか。では仕方ありませんね?奥空アヤネさん?」

 

 

「...?」

 

 

「ゲヘナの風紀委員会は、必要でしたら戦力を行使する場合があります。一旦その判断が下された場合、私たちは一切の容赦をしません。」

 

 

「...!」

 

 

 脅し...いや、通告か?もう決定事項だから、早めに白旗を上げるよう言ってきてるみたいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......」

 

 

「社長、これからどうする?」

 

「風紀委員会はきっと、アビドスと私たちを同時に殲滅するつもり。でも今なら向こうに注意が向いてるからこの包囲網を突破できるけど...」

 

 

「ふふっ。」

 

「ふふふふふっ。」

 

 

「社長?」

 

 

「ねえ、カヨコ、あなたなら私がどうするつもりか、もう分かってるんじゃない?」

 

 

「......」

 

 

「この状況で、こんな扱いをされて...オマケにまだ借りを返していない人たちに背を向けて逃げる?」

 

 

「そんな三流の悪党みたいなこと、私たち便利屋がするわけないじゃない!!!」

 

 

「...ひゅー♪」

 

 

「あの生意気な風紀委員会に一発食らわせないと気が済まないわ!」

 

 

「アル様...!」

 

 

(悪党についてはそうだけど、多分サンズさんを傷つけられたことも大きいよね、アレは...)

 

 

 カヨコの向く先には、背中にメラメラと炎を燃やすかのような様子のアルがいる

 

 

(無自覚なんだよね...)

 

 

「にしても、この兵力差だとなかなかに厳しそう...」

 

 

 どうしたものかとカヨコが頭を悩ませていると...

 

 

「やるわよ、便利屋!挟み撃ちにしてコテンパンにしてやるんだから!ここで借りを返してもらうわよ!」

 

 

「ん、最悪先生の盾になってもらう。」

 

 

「!?」

 

 

「みんなで先生を守ります、いいですね?」

 

 

「話が早いな...」

 

 

「ふふっ...あははははっ!」

 

「ええ、ここで存分に借りを返させてもらおうじゃないの!」

 

「信頼には信頼で報いるわ!それが私たち、便利屋68のモットーだもの!」

 

「行くわよ、みんな!」

 

 

「はい、先生にはお世話になりましたし、サンズさんにはよくしてもらいましたので!絶対に成功させます!!」

 

 

「くふふっ!やっちゃうしかないよね!!」

 

 

「...まあ、丁度いいか。」

 

 

 ここに、かつての加害者と被害者による奇妙な共同戦線が生まれた

 

 

「うーん...まあこれはこれで想定していた事態ではありますが...」

 

「あまりにも意気投合が早いですね...」

 

「まあいいでしょう。それでは...」

 

「風紀委員会、攻撃を開始します。対策委員会と便利屋を制圧、先生の安全を確保してください。」

 

 

 

「先生!便利屋と私たちの指揮をお願いします!」

 

 

『任せて、みんなのためにも、ここは私が一肌脱ぐよ。」

 

 

 戦闘が始まった...俺隠れる場所ないんだけど!?っていうかヒナはいつ来るんだ?記憶があやふやなせいではっきりとわからない...

 

 仕方がないので先生の横に立ち最悪盾になれるようにしておく。最初もこんな感じだったよな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルに的確な射撃タイミングを伝え、ハルカに打つべき敵を指示する...相変わらずの神がかった指揮で風紀委員会を追い詰めていき、ついにアルがスナイパーライフルから放った弾丸により、イオリが地に伏して戦いが終わりを迎えた。こんなのを何回も見てるせいで感覚がおかしくなっている気がする...

 

 

「なるほど、大体把握できました。シャーレの力、必要となるであろう兵力...」

 

「予想を遥かに上回っています。素晴らしいですね...」

 

「しかし、辛うじて穴はあります。」

 

「もう少しここを押せば...」

 

「第八中隊、待機を止め、突入してください。」

 

 

 

 

 

 

 

「ハア、ハア...まだいるの!?」

 

 

「...ッ!ここでまた戦力の補充...!」

 

 

「ま、まだいけるわ!戦うわよ!」

 

 

「...でも、さすがにこの規模だとアコの権限を越えてる。もしかしたら風紀委員長がいるのかも。」

 

 

「えっ!?ヒナがいるの!?無理無理!!逃げるわよ!」

 

 

「落ち着いて、社長。まだそう決まったわけじゃない。」

 

 

 まあもうすぐここに来るというのは間違いではないんだが

 

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ

 

 

 

「ふふっ...これ以上はさすがに...」

 

「もしこれが委員長にバレたら反省文...それどころではないかもしれませんね。」

 

「では、三度目の正直といきましょうか。」

 

 

 

ザザッ

 

 

 アコが三度目の攻撃を仕掛けようとした瞬間、通信が入った

 

 

「アコ。」

 

 

「え!?」

 

 

「ひ、ひ、ヒナ委員長!?」

 

 

「...委員長?」

 

 

「まさか、今話しているのが...?」

 

 

 両陣営に衝撃が走る

 

 

「アコ、今、どこにいるの?」

 

 

「わ、私ですか?わ、わたしは...げ、ゲヘナの郊外に...」

 

 

「思いっきり嘘じゃん!」

 

 

「やっぱり、独断の行為だったみたいですね...」

 

 

「そ、それより委員長はどうしてこんな時間に?たしか今は出張中では?」

 

 

「さっき帰ってきた。」

 

 

「そ、そうでしたか...素晴らしい速度、さすがです!私は今迅速にしなければならない仕事があるので...後ほどまた!連絡させていただきます!」

 

 

「「そう、それは他の学園の自治区で、委員会のメンバーを独断で運用しないといけないこと?」」

 

 

「...え?」

 

 

 映されているホログラムと実際の姿の二つが、アコの目の前に現れる

 

 

「「「「「!!??」」」」」

 

 

 ゲヘナの風紀委員長が現れた!

 

 

「ゲヘナの風紀委員長...空崎ヒナ。」

 

「外見情報が一致しています、間違いなく本人のようです。」

 

「ですが、ゲヘナ風紀委員長ということは、ゲヘナの最高戦力...この状況でそんな人物まで...」

 

 

 アヤネは突如現れたヒナを見て驚きを隠せないようだ。追加の戦力の投入に加え、風紀委員長までやってきたのだから無理もないだろう。まああっちはその目的でやってきたわけではないから杞憂なのだが

 

 

「ひ、ヒナ!?マズイマズイマズイ!みんな、逃げるわよ!!!」

 

「賛成、今しか逃げられそうにないし、後で先生たちに連絡しよう。」

 

「あ、アル様についていくのみです...」

 

 

 

 

 

 

 

 

「......」

 

 

「こ、これは...素行の悪い生徒たちを捕まえようと...」

 

 

「便利屋68のこと?どこにいるの?今はシャーレとアビドスと対峙してるように見えるけど...」

 

 

「えっ!?」

 

 

 アコが驚いて先ほどまで便利屋たちがいたところを振り返って見たが、そこにはすでに便利屋たちの姿はなかった。さすがの逃げ足だな...

 

 

「...」

 

 

 ヒナの冷たい視線がアコに突き刺さる

 

 

「え、えっとぉ...委員長、すべて説明させていただきます...」

 

 

 アコはやっと観念したのかすべてを説明し始めようとする...が、ヒナが先に言葉を発した

 

 

「いい、大体わかった。」

 

「察するに、ゲヘナにとっての不安要素の確認及び排除。そういう政治的な活動の一環ってところね。」

 

 

「...」

 

 

 今回の独断行動の理由を淡々と話す。殆どあってるのがすごいな、さすがは委員長か

 

 

「でもアコ、私たちは風紀委員会であって生徒会じゃない。」

 

「そういうのは万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)のタヌキどもに任せておけばいい。」

 

「詳しい話は帰ってから。通信を切って校舎で謹慎していなさい、アコ。」

 

 

「...はい。」

 

 

 どうやら事態は終息し始めたらしい。この後のヒナの行動にもよるが、おそらく大丈夫だろう

 

 

「っぐ...」

 

 

 いけない、視界がにじみ始めた。緊張がほぐれてしまったからなのか、急速に全身が痛み始めた。目を開けていられないし、頭がガンガンと響くように痛む。体もふらついてまともに立っていられない。せめて先生に一言言わないと...

 

 

「...すまん...寝させて...もら..う...

 

 

 そう言い切る前に、俺は意識を手放した

 

『サンズ!?』

 

 

「ん、ひとまず病院に送る。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん...ここは...」

 

 

 上からの人工的な光に照らされて目を覚ます。周りを見渡すと部屋一面に白が広がっていた。カーテンの仕切りや点滴もあることからここはおそらく病院なのだろう

 

 

ガラッ

 

 

 そんなことを考えていると部屋のドアが開く。誰かやってきたらしい、足音がこちらへと近づいてくる

 

 

シャッ

 

 

 カーテンが開かれる。いったい誰だろうかと目を擦りその姿を見ようとする

 

 

モフッ

 

 

 目の前に出てきたのは白い巨大な毛玉だった...なんで?

 

 

「あ...起きたのね。」

 

 

 毛玉から声がする...驚いて上を見上げてみると、そこにはあの風紀委員長の顔があった

 

 

「えーーっと...なんで風紀委員長サマがここに?」

 

 

 あまりにも予想していなかった相手に動揺してしまい、脳を通さない脊髄による質問をしてしまう

 

 

「そうね、あなたはあの後倒れてしまったから...とりあえず、説明させてもらうわ。」

 

 

 ひとまずヒナから説明を受けたが、おおよそ原作通りだった。あの後一触即発の雰囲気になっているなかホシノが合流、ヒナが謝罪をして事は終わったらしい。無事に終わってよかった...

 

 

「ああ、そういえば柴大将は大丈夫なのか?」

 

 

「柴大将...民間人のことね?それなら大丈夫よ、何のけがもないらしいわ。...お店は壊してしまったから、風紀委員会から賠償金を払わせてもらったけれど。」

 

 

 唯一の懸念であった柴大将も無事だったらしい、お店がなくなってしまうのは残念だが、屋台としてやってくれるだろうし問題はなさそうだ

 

 

「それで、あなたのことなんだけど...」

 

 

「...オイラ?」

 

 一体俺に何かあるのだろうか

 

 

「あなたはシャーレの補佐...副部長の立場にあるの。そんな相手に意図的にケガを与える、なんてあまりにも問題のある行為。だから委員長である私直々に謝罪をしにきたの。後でアコも謝らせるけど...本当に、ごめんなさい。」

 

 

 そう言ってこちらに頭を下げてきた。頭を下げなくても...と言いそうになるが、ヒナも覚悟の上での謝罪なのだろう。大人しくその謝罪を受け入れることにした

 

 

「ああ、全然大丈夫だぜ。そりゃ色々と不満はあるが...まあ、委員長直々に謝罪に来てくれたんだ。飲み込むよ。」

 

 

「ありがとう。でも、謝罪だけで済まされることではないと思ってる。だから、一つ。一つなんでも言ってちょうだい。できる限り叶えるわ。これを私の誠意だと思ってくれると嬉しい。」

 

 

 ...まさかここまで言われるとは思わなかった。ちょっとケガしただけだろと思っていたが、俺の肩書のせいでそうもいかないらしい。これじゃ先生に何も言えないな

 

 ともかく、そのお願いを言うとしようか。そう思い、目の前の目の下に隈をためている、もはや何徹したのかもわからないヒナに話す

 

「...そうだな。それじゃあ...

 

*1
驕るなーーー!!!





本作の柴大将、もとい動物系の住民は現実の犬と同じ大きさで想定しています。ストーリー確認のためにアニメを視聴した際に思ったより大きくて驚きました


また、
coza 様、
 虗  様、
えりのる 様、
のうこ  様、
ランダ・ギウ 様、誤字報告ありがとうございます!非常に助かります!
この筆者誤字多くないか!?

そして、
Mr.さん 様、
一般男子高校生 様、
三笠 様、☆10評価ありがとうございます!生きる糧!

星天夜 様、
Moodyメイビー 様、
もちまるomochi 様、
ザリチュ 様、
ポテたま 様、
ミュンヘベルク装甲師団 様、
はみがきこな 様、
夜空 様、
裏路地の自称9級フィクサー 様、
おんおん? 様、
ノラーク 様、
ABcD overjoy 様、
いか、 様、
luckyxdxc 様、
ヨワビ 様、
ととろろ 様、
tensai1031 様、
だんごのお兄さん 様、
黒龍蓮 様、
momumiso 様、☆9評価ありがとうございます!

後、アンケートを実施しておりますので、投票していただけるとありがたいです。

ヒナに何をしてもらう?

  • 仕事を休んで一日丸ごと休暇にしてもらう
  • サンズと出かけてもらう
  • サンズの仕事を手伝ってもらう
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