この透き通る世界を俺は機械と骨でハッピーエンドにしてみせる   作:多趣味なオタク

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評価と感想がすごくほしいのに後書きに書くのを忘れそうになる人間、スパイダーマッ!
ということで、最初に書いておきます
筆者のモチベーション向上につながりますので、評価、感想のほどよろしくお願いいたします!


また、今話はついに対策委員会編最終回!ここまで長いようで短かったように思えます。これからも応援のほどよろしくお願いいたします!


では、本編どうぞ。


決戦!アビドス廃校対策委員会!

 

ドドドドド!

 

 

「おーやってるやってる。」

 

 

 現在アビドス砂漠を横断中の俺たちは、ホシノの囚われている場所まで夏場のコバエのようにわらわらと出てくるPMC兵士たちを蹴散らしながら猪突猛進していた

 

 

『緊張感ないなぁ...セリカ右斜め前!』

 

 

「了解!邪魔ぁ!」

 

 

 右斜め前からのPMC兵士を愛用のアサルトライフルで迎え撃つセリカは、怒り高ぶっていた...ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒート!という言葉がよく似合う

 

 

 そして毎度の事ながら俺は先生の横で待機。耐久がないからね!仕方ないね!

 

 

 俺も武器を使うなりして支援したいのは山々だが俺の持っている武器はハンドガン一丁。他の武器より軽いし、かさばらないから気に入ってるんだがこういう遠距離で戦っている場合は射程の関係上何もできないから不便だ....

 

 

 と、昨日までの俺ならそう考えていただろうが、今日の俺は一味...いや、三味は違うぜ!なんてたってその問題を解決できるモノがあるんだからな!さながら今の俺は滝登りを終えたコイキング、目星で一クリを当てた探索者といったところか...

 

 

「すまん先生。ちょっと秘密兵器出す。」

 

 

『え!?い、いいけど...ここで?』

 

 

 再三言うが現在俺たちはアビドス砂漠のど真ん中にいる。そんな中いきなり秘密兵器と言われてもピンとは来ないだろう。先生は俺を不思議そうに見つめている

 

 

「ああ、コイツ一つで戦況は一変すること間違いなしだ。」

 

 

『そ、そんなに...うん、今は敵も居なさそうだし、出して大丈夫だよ。』

 

 

 さっそく先生の許可を得られたので俺はバックの中から秘密兵器を取り出した

 

 

『さ、サンズ...それって?』

 

 

 先生は驚きの表情を浮かべているが、それも当然だろう。俺も天啓が降りてくるまで思いつきすらしなかったからな

 

 

「フッ、驚くなよ先生?コイツはスコープだよ。といってもただのスコープじゃないがな。」

 

 

 俺が取り出したのはハンドガンに装着するには明らかに大きくてゴツすぎるスコープだ。何なら重さだけで俺のハンドガンを超えているほどのゴツさがある

 

 

『そんなに大きいスコープ、サンズの持ってる銃に取り付けられるの?』

 

 

「そこをオイラが考慮してないと思うか?」

 

 

 そのバカでかいスコープを滑らせるようにしてハンドガンに着け、ボタンを押して完全にロックする。これで簡単には外れなくなった

 

 このスコープは本来スナイパーライフル用の倍率が高いモノのため、本来ならばハンドガンに装着することは不可能だ。だが俺はミレニアムサイエンススクール所属の人間、この程度の改造なら三十分もせずに終えられる。

 魔改造を施したハンドガンを構える。やはり本体よりも重いスコープの影響は大きく、照準が合わせづらい。そんななか、アヤネからの通信が響く

 

 

「そのまま正面、PMC兵士を確認しました!」

 

 

 丁度いいところに奴さんが出てきてくれた。さっそく試験してみるとしようか

 

 

『了解!みんな、行くよ!』

 

 

 戦闘開始してから数分...フレンドリーファイアが怖いため最初は様子見をしていたが、ついにボスっぽい奴が出てきた。ここしかないな!

 

 

「おっし、いくぞ!」

 

 

『ついに使うんだね!?』

 

 

 先生の横で例のハンドガンを構え、シロコたちと対面しているリーダーっぽい奴に照準を合わせる

 

 

「うお近っ!もうちょい倍率低くして...と。」

 

 

 倍率の高さゆえにまともに狙いを付けられないため、スコープを覗きつつ倍率の調節をし、完全に狙いを合わせた

 

 

「ッ!」

 

 

 逸る気持ち抑え、引き金を引く。全く音を出さずに射出された弾丸は、本来ハンドガンの有効射程から遠くから放たれたにもかかわらずに吸い込まれるようにして標的のこめかみへと撃ち込まれた

 

 

 

 

 

 

 

ポコン!

 

 

『「...は?」』

 

 

 気の抜けた音が響き、撃ち込まれた相手は一瞬混乱したがすぐに気を取り直してシロコたちに銃口を向けていた

 

 

『ッ!シロコは遮蔽物に隠れながらドローンを使って!セリカはそのまま...』

 

 

 先生も俺と共に呆けていたがすぐに皆に指示を飛ばしていた...

 

 

 一方俺は、ウッキウキで前日に準備してさあいざ実践だ!と意気込んでいたのにも関わらずにあり得ないほどの失敗をしてしまい、ただぼんやりとその戦いを眺めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カイザーPMC基地

 

 

「敵発見!攻撃を始めます!」

 

 

 部下からの報告に顔をしかめ、苛立ちを抑えない声で答える声が1つ

 

 

「兵力を集めろ!北と東、北方の対デカグラマトン大隊もだ!」

 

 

 理事はそう言い、自身の持つレーダーに目を向ける

 

 

「デカグラマトンは...クソッ、うまくいかん!」

 

 

「北方に少数の兵力を確認!こ、これは...」

 

 

 

 

 

 

 

アビドス砂漠北方

 

「...よし、行くよ。」

 

 

 以前よりも活力のある姿を見せる少女が、来るであろう兵力を待ち構えていた

 

 

「カイザーPMCの増援を確認。一個大隊の規模です。委員長。」

 

 

 通信では青色の髪の毛の少女が報告をする。その表情は笑顔だが、内では”彼”に対する嫉妬が渦巻いていた

 

 

「なんで私がここに...」

 

 

 不服そうにそう言葉を漏らす少女は、そう言いながらも戦闘の姿勢を取る

 

 

(イオリはともかくなぜ私も...)

 

 

 決して声には出さないが、不満を抱えているあの時に同席していた少女は、半ば諦めが見える。その様相はさながら休日出勤のサラリーマンのようだ

 

 

 

「サンズのおかげで減ったとはいえ、まだ委員会の業務は残ってる。手っ取り早く済ませよう。」

 

 

「ここで全軍止める、誰一人として先生...それにサンズには近づけない。」

 

 

 その言葉(サンズの名前)を聞いた青色の髪の毛の少女は、ハンカチを噛みちぎった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、大丈夫ですか?」

 

 

「私たちは大丈夫だけど、その、サンズ先輩が...」

 

 

「ああ...」

 

 

 彼女たちの同情するような目線の先には、先ほどまで自信満々、活力に溢れていた様子が嘘のようにしぼんで落ち込んでいるシャーレの副部長(サンズ)の姿があった

 

 

「そうだよ...有効射程ってモンがあったじゃねえか...仮に当たったとしても威力がなきゃ意味ねえよ...」(´・ω・`)

 

 

『だ、大丈夫だよ!相手の注意を引けるだけすごいから!』

 

 

「なんか体までしぼんでない...?大丈夫なのアレ?」

 

 

「ま、まあそこは先生にお任せして...もうすぐ先生が教えてくださった座標です。もう少しの辛抱なので、頑張ってください!」

 

 

「サンズ君のお菓子もありますし、まだまだいけますよ~☆」

 

 

ザッザッザ...

 

 

「ん、そんなことを言ってるうちにまた来た。」

 

 

「距離は二キロ!もうすぐ接敵します!」

 

 

 敵に備え、戦闘態勢に移る少女たちの前方で突如爆発が生じた

 

 

ドゴオォォォォン!!!

 

 

「何何!?また敵がきたの!?」

 

 

「いえ、これは支援射撃です!...L118、トリニティの牽引式榴弾砲です!一体なぜ...?」

 

 

 アヤネが発した疑問に答えるようにして、5と書かれた紙袋を被る少女が通信に割り込んだ

 

 

「あぅぅ...わ、私です...」

 

 

「え!?ヒフm「違います!ファウストです!」そ、そう...」

 

 

『「「「「......」」」」』

 

 

 先生を含めたアビドス全員の視線が痛いほどファウスト(自称普通の生徒)に突き刺さる。それに気づいたのかより動揺した様子でファウストは話始めた

 

 

「えと、そのL118はトリニティのものですが、トリニティ総合学園とは何の関係もありません!射撃を担当している方々にも、そう伝えておきましたので...」

 

 

「す、すみません!これくらいしかお役に立てなくて...」

 

 

「ううん、すごく助かった。」

 

 

「ありがとうございます、ファウストさん☆また今度お茶でもしましょう!」

 

 

「は、はい!頑張ってください!」

 

 

「では、敵は今砲撃により混乱状態にあります!今のうちに突破しましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ...ハッ!やばいやばい、あまりの衝撃に脳みそが溶けてた!

 

 

 現在俺たちは先生が教えてくれた座標のすぐ近く、つまりホシノの囚われている場所のすぐそばにまでやってきていた

 

 

 さっきの戦闘については意識が怪しかったためにちゃんと覚えてはいないが、たしかヘリとか戦車を破壊していた気がする。兵器に対して数人で対応できるとかほんとどうなってんだよこの世界...そしてそれを指揮した先生の手腕にも脱帽だ

 

 

「目標の座標に到達!しかしこれは...」

 

 

「うん、学校だ。それに既に放棄されてる。」

 

 

「ということは、もしかしてこれは...」

 

 

 

「ああ。ここは、本来のアビドス高等学校本館だ。」

 

 

「!!」

 

 

「アンタは...!」

 

 

 突然多数の兵士を引き連れて現れたカイザー理事に対し、俺たちは警戒を強める

 

 

「よくぞここまでやってこれたものだ...アビドス対策委員会。」

 

 

 その声と共に、周囲から大量の足音が聞こえる。もしやこれは...

 

 

「だが、それもここまでだ。」

 

 

 一気に足音が明確になり、俺たちの周囲を囲むようにして大量のPMC兵士たちが姿をあらわした

 

 

「ッ!敵の増援多数確認!この数は...まさか全戦力をここに!?」

 

 

「はあ!?ここまでする!?」

 

 

 セリカの抗議の言葉を無視して理事は話始めた

 

 

「...かつてキヴォトスで最も栄えた学校の残骸が、ここの下に埋まっている。」

 

 

「なんか勝手に語りだしたぞ...」

 

 

『シッ!サンズ、こういう時は静かにしなきゃだよ!』

 

 

「...ゲマトリアは、ここに研究室を建てることを要求した。」

 

 

 ゲマトリアがここに...どうせ神秘の集まりがいいとかそんな理由だろう

 

 

「そんなことはどうでもいいです!ホシノ先輩はどこに!?」

 

 

 最もだ。こんな老害の昔話に付き合っている暇はない。俺たちは一刻も早くホシノを救い出さなければいけないのだ

 

 

「あの副生徒会長は、あそこの建物の中にいる。もしかすれば、既に実験は始まっているかもしれないがな。」

 

 

 その一言で一気に場の緊張感が高まる

 

 

「彼女の元に行きたいのであれば、私たちを振り切って行けばいい。まあ、それが君たちにできるならという話だが。」

 

 

 ゲームのラスボスのようなセリフを吐き捨てるように言った後、理事はこちらを見据えている。どうやら本当に俺たちを行かせないつもりらしい

 

 

「......じゃあ、私がここに...」

 

 

ドガアアァァン!!!

 

 

 シロコが何か言おうとしたが、その言葉は爆発の音によって遮られた。これは勘だが、言わせなくてよかった気がする

 

 

「じゃーん!やっほ~☆アビドスのみんな。」

 

 

「...仕事だからね。」

 

 

「し、失礼します!」

 

 

 爆発の中から出てきたのは便利屋68の面々。俺たちに挨拶しながらも攻撃の手を休めることはなく、周囲を囲む兵士たちの数を減らしていく

 

 

「べ、便利屋のみなさん!?一体どうしてここに!?」

 

 

 アヤネの疑問を無視し、便利屋の社長は俺のことをじっと見つめる。大事な時にちゃんと来てくれてよかった...

 

 

「さて、依頼主さん?仕事の内容はこのガラクタたちの一掃、でよかったかしら?」

 

 

 どうやらアルは仕事モードのようだ。こんな時だとよりそのカリスマっぷりが輝くように思えた

 

 

「おう、間違いない。よろしく頼むぜ?」

 

 

 依頼内容の確認を終えたところで、彼女たちは俺たちに背を向けてPMC兵士たちに向き直る

 

 

「フフ...安心して頂戴?私たちは便利屋68!どんな依頼だって完璧にこなすわ!」

 

 

 その一言によって便利屋全員の士気が格段に向上したことが目に見えてわかる。だがそんな状況についていけない者たちもいた

 

 

「い、依頼ぃ!?ってことはもしかして!?」

 

 

 セリカの声と共にみんなの視線がこちらに向いてくる。特にアヤネが目を剝いてこっちを見てくるもんだから心臓に悪い

 

 

「あれ?言ってなかったか?昨日には依頼の電話をしたんだが...」

 

 

「『聞いてない(よ/です)!!!』」

 

 

「あ、ああ。悪かったよ...」

 

 

 先生とアヤネがこちらが驚くほどの大声で言うもんだから少しビビッてしまった。こんな大声を聞いてハルカは大丈夫だろうかと思いチラッと様子を見てみたが、いつも通りに何か叫びながら銃を乱射していた。君バーサーカーの素質あるよ

 

 

「でもまあ、このタイミングでの増援はすごく助かりました☆ありがとうございます☆」

 

 

「ん、同意。ありがとう。」

 

 

「~もうっ!お礼は言わないからっ!...でも、全部終わったら...ら、ラーメンでも食べに行くわよ!」

 

 

「ええ!そうね、こんな時に言うとすれば...

 

 

 ここは私たちに任せて、先に行きなさい!!!

 

 

ってカンジかしら...?

 

 

 最後の小声は聞こえなかったことにして、俺たちはカイザー理事の言っていた場所まで一気に走りぬく。背後では便利屋たちとPMC兵士たちの戦闘音が鳴り響いていた

 

 

 

 

 

 

 

「あそこです!あのバンカーの下に!」

 

 

「なんかあからさまに怪しいのがあるな...」

 

 

「行こう。きっとホシノ先輩はそこにいる。」

 

 

「はい、急ぎましょう...!」

 

 

 赤く着色されていたものが老朽化によってはがれてしまったであろうそれは、雰囲気だけならまさに隠し場所として持ってこいなものだった

 

 

 そのバンカーの元に駆け寄りすぐさまホシノを探そうとする...が、そう簡単には()()()()()()()

 

 

「待てェ!!!」

 

 

 衝撃音と共にカイザー理事が現れた。背後にあるのは...二足歩行の兵器?メタルギア(核搭載二足歩行型戦車)かな?

 

 

「しつこい...」

 

 

「いったいどれだけ邪魔すれば気が済むのよ!」

 

 

 

『というか便利屋のみんなから抜け出してまでやってこれたんだね...』

 

 

 みんな思い思いの感想を述べているが、俺もおおよそ同意見だ。往生際が悪すぎるな

 

 

「どいてください!さもないと...!」

 

 

 ガチャン!と音を立ててノノミのミニガンがカイザー理事に向けられる

 

 

「あんまりやりすぎんなよ~アイツのせいで罪を被るなんて最悪だぞ~」

 

 

『サンズは止めてね!?』

 

 

 別にやりすぎなかったらいいと思うんだが...まあ後でなんか言われるのも癪だし、ほどほどに言っとくか

 

 

 なんてことを考えていると、また理事が自分語りを始めた

 

 

「対策委員会...ずっと貴様らが邪魔だった...」

 

 

「これまで、いくつもの手段を講じてきた...」

 

 

「それでもお前たちはしつこく粘って諦めずに!あれほど苦痛を味あわせ、懲らしめたというのに毎日楽しそうに!」

 

 

「お前たちのせいでッ!私のッ!私の計画があァァァ!!!」

 

 

「なあ先生、自分語りが多い奴は嫌われる傾向にあるらしいぜ...」ヒソヒソ

 

『へぇ~。なんだか大変そうだね。』ヒソヒソ

 

 

「貴様らァ!!!」

 

 

 キレちゃった!!!カルシウム足りないのかな?

 

 

「うわ怒った!沸点低すぎだろアイツ!全身ラドン*1でできてんのか!?」

 

 

『サンズは置いといて、皆!戦闘準備!』

 

 

「アンタみたいな下劣で浅はかな奴が何をしようと私たちの心は折れない!」

 

 

「ホシノ先輩を、返してもらう。」

 

 

「私たちはあなたのような大人には絶対に負けません!」

 

 

「戦闘に入ります...お願いします!先生!」

 

 

 アヤネの一言が合図となり戦闘が始まる。先ほども相手取ったヘリや戦車はノノミのミニガン乱射やシロコのドローンによってすぐにスクラップと化した。やはり歩く兵器では?

 

 

 

 

 

 

『...来たね。』

 

 

 先生がそう呟くと同時にメタルギアが姿をあらわした。アヤネによるとあれはゴリアテと言うらしい。その名を冠するだけあってかなりの巨体だが...

 

 

「こんなもの、ぶっ壊してやるわ!」

 

 

「どいてくださいッ!」

 

 

 まあ、その巨体も完璧な指揮のもとに振るわれる彼女たちの前ではただの大きい的だった。もはやなんの意味も持たないスナイパーライフル用のスコープを望遠鏡代わりに見ていたが、なかなかな蹂躙劇だったな...

 

 

 これぞまさにジャイアントキリング(格上殺し)ってな

 

 

 ついでに理事の様子を見てみたが、ゴリアテを潰された途端に顔を青くして撤退していった。機械の顔なのに色が青ざめているのはなぜなんだ...?

 

 

 とまあ、思ったよりもあっけなく終わったラスボス戦だが、まだ俺たちの目的は果たされていない。さっさと迎えに行くとしようか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩はすぐそこにいるはずです!!!」

 

 

「ん、壊れない...もう一度...」

 

 

「あ、アヤネちゃん!?どうしてここに!?」

 

 

「シャーレに貸してもらったヘリで!ホシノ先輩は!?」

 

 

「ここです!でもドアが開かなくて...!」

 

 

「まさに()()()()()*2ってカンジだな。」

 

 

「ん、お上手。」

 

 

「やかましいわね!ニヤニヤしてんじゃないわよ!...こんのッ!」

 

 

ドガアアァァァン!!!

 

 

「へへ、セリカを怒らせて扉をこじ開ける作戦、大成功だな。」

 

 

「イエーイ。」

 

 

「シロコ先輩も!?」

 

 

(一体、なにが...)

 

 

(体が自由に...それにみんなの声も...)

 

 

(まさか、本当に?)

 

 

(それなら、行かなきゃね)

 

 

(ガチャン!)

 

 

 鎖は解き放たれた。彼女を縛るものは何もない。彼女は心の奥底に封じ込めていたかすかな()()()のように光輝く外へ歩みを進めた

 

❋ホシノの せいしんぼうぎょ が 5 あがった!

 

「「「「ホシノ先輩!!!」」」」

 

 

 みんなの手がホシノへと向けられる。その手をすぐさま掴みたい思いと、そんな資格はないという思いが拮抗して何もできず、彼女はその口から言葉をこぼす

 

 

「...ああ、やっぱり。」

 

 

「でも、私は...」

 

 

 自分の行いを思い返し、ホシノは顔を俯かせようとする

 

 

『ホシノ。』

 

 

 その声の張本人は満面の笑顔で、『みんなの手を取ってあげて』と言っているように思えた

 

 

 そんな中、意を決したような面持ちでセリカが声を上げる

 

 

「......お、おかえりっ!先輩!」

 

 

「あっ!セリカちゃんに先を越されちゃいました!直前まで言わないって渋ってたのに!」

 

 

「う、うるさいうるさい!別にどうだっていいでしょ!」

 

 

「無事でよかった...」

 

 

「ホシノ先輩、おかえりなさい!」

 

 

「おかえりなさい!です!!!」

 

 

「おかえり、ホシノ先輩。」

 

 

 みんながみんな、ホシノの言葉を待っている

 

 

「あはは...なんだかみんな、期待に満ちた表情だけれど...」

 

 

「まあ、ここまで来てくれたんだしね。」

 

 

「ああもうっ!焦らさないでよ!」

 

 

「うへ~、そう言われちゃあ、仕方ないね~...」

 

 

「ただいま。」

 

 

 その言葉を聞いた対策委員会のみんなは、一斉にホシノのもとになだれ込む。本人は迷惑そうに言っているが、その顔には心からの笑顔が浮かんでいた

 

 

 

 

『...あれ、行っちゃうの?』

 

 

「ああ、オイラは今のあそこに馴染めそうにない。ってかあの中に入って行くのはKYがすぎるぜ?」

 

 

『まあ、確かにそうかも...』

 

 

 先生の目線の先には先ほどの雪崩から一向に変化せず、むしろより一層くっついている対策委員会がいた

 

 

「ま、ちょいとやり残しもあるしな...あ、そうだ先生。少し頼みがあるんだが...」

 

 

『...なるほど、そうしたほうが良さそうだね。』

 

 

「だろ?んじゃ行ってくるぜ。」

 

 

『あ!でも終わったら...というか合間合間にちゃんと休んでね!今回は凄く大変だったから!」

 

 

「へーへーわかりましたよっと。」

 

 

『ほんとかなぁ...』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アビドス砂漠のどこか

 

 

「よいしょっと、んじゃ行くぞ~。」

 

 

「なっ!貴様!私を一体誰だと!」

 

 

 砂の上で横たわっているまとった服がボロボロになった縄で縛られている理事と、そのの足に何か縄を巻き付けているサンズという不思議な状況が出来上がっていた

 

 

「あ?...そうか、アンタまだこれ見てないのか。ほらよ。」

 

 

 サンズの手によって理事の前にスマホが突き出される。その画面にはとあるニュース記事が載っていた

 

 

「こ、これは...!?」

 

 

「残念だったな、これでアンタもおしまいだ。カイザー理事...いや、もうすぐ理事じゃなくなるか...」

 

 

 ニュース記事には今回のアビドスの一件が事細かに書かれていた。中でも目を引くのがタイトルのカイザー理事、宝探しのために学校を廃校に!?という一文。おそらくカイザー企業もいつものトカゲの尻尾切りでこの理事を辞めさせるだろう。すぐにヴァルキューレのやっかいになることは想像に難くない

 

 

「んじゃ、さっそくゴーだ。」

 

 

 カイザーからスマホを取り上げ、足に巻き付けた縄を引っ張って歩き出すサンズ。もちろん理事は顔が砂にまみれながら移動することになる

 

 

「ふ、ふざけるな!こんなことが許されるとでも...!」

 

 

 理事は当然抗議の声を上げるが、それを聞いたサンズは待ってましたとばかりに笑顔で答える

 

 

「お?やっぱそう思うよなァ?じゃ、すぐに、スマートに連れてってやるよ!」

 

 

 言うや否やどこからかバイクを持ってきたサンズ、あろうことかバイクにその縄を巻き付けた

 

 

「ま、待て...待ってくれ!それだけは...!」

 

 

 理事は何かを察し怯えたような声で懇願するが、それにどれだけの効果があるかはわからない

 

 

「お前は最後に殺すと言ったな...あれは嘘だ!いくぞ!歯ァ食いしばれ!」

 

 

「や、やめ...グワアアァァァ!!??

 

 

 そうしてアビドス砂漠に一つの悲鳴が響き渡ったが、如何せんここは広大な砂漠。誰も救助には来なかった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対策委員会の部屋

 

 

『おはよう!』

 

 

「おはようございます!たしか今日はアビドスに残る最終日...ですよね?」

 

 

『うん、まだまだいたいけど、キヴォトスにはまだいっぱい困っている子がいるからね!...それにリンちゃんも怖いし。』

 

 

「あ、あはは...それで、現状の報告ですね。」

 

 

「まず、対策委員会は先生の公的な承認によって正式な委員会として認められました。非公認という部分で苦しかったところもあったので、これで一安心ですね。

 残念ながら、ホシノ先輩には生徒会長になることを断固拒否されてしまいました。先輩曰く、「その席は埋まってるから...」とのことでしたが、どなたなのでしょうか?」

 

 

「次に紫関ラーメンですが、屋台という形で再開したらしいです。先生やサンズ先輩の広報のおかげでキヴォトス全土からお客さんがやってきているようで、柴大将は「嬉しい悲鳴だが、こりゃ多すぎるな...」とおっしゃっていました。セリカちゃんだけでなく私たちもたまにお手伝いに行っていますが、あれは大変ですね...あのシロコ先輩も終わるころにはクタクタになってしまいました...」

 

 

「また、借金に関しては、額自体は変わりませんね。しかし先生たちの助力によってカイザーローンの違法性が白日の下に晒されたことで、連邦生徒会の捜査が入るとのことです。

 ヒフミさんがトリニティにかけあってくださったこともありますが、やはりクロノススクールの影響が大きいですね...世論の力はとてつもないです。」

 

 

「カイザー理事に関しては、指名手配が出された瞬間に逮捕されたらしいです。何やら「あれは悪魔だ...」と言っているようですが、何があったんでしょうか?映像では顔がボコボコになっていて、私たちを貶めた黒幕であることは間違いないのですが、どこか不憫に感じてしまいました...」

 

 

「あ、あと結局は利子に関しても見直しをされ、以前よりも遥かに少ない金額になったのでとても助かりました。」

 

 

「ただアビドスの土地に関しては元理事が言っていたように正式な取引によるものだったので、いまだ変わらずにいます。

 あの場所で何を企んでいたのかは結局わかりませんでしたが、サンズ先輩が一任させて欲しいとおっしゃったのでお任せしています。サンズ先輩はなにか手がかりをつかんだのでしょうか?」

 

 

「そういえば、便利屋の方々はまたどこかに事務所を移設したらしいです。ゲヘナの風紀委員会に目を付けられているとのことなのでいろいろと大変そうですね...」

 

 

「それから「黒服」という人物についてですが、残念ながらこれといった情報は出てきませんでした...全ての罪が元理事に押し付けたようで、その正体まではたどり着けず...後は「シャーレ」にお任せすることになりそうです。」

 

 

「また、これは噂なのですが...七囚人のワカモ、という方がこのアビドスにやってきていたようです。どうやら何か行動を起こすことはせずに、いつの間には表れていつの間にか消えている...らしいです。出所もよくわからないような情報ですが、念のために報告させていただきました。」

 

 

「そして、対策委員会は相変わらずにセリカちゃんが詐欺グッズを買ってきたり...シロコ先輩が銀行強盗の計画をより綿密にたてるなど、いつも通りの様子ですが...こんなふうに戻れて、本当に良かったです。」

 

 

「...と、現状はこんなものでしょうか。それでは、引き続きお願いします、先生。」

 

 

『オッケー、じゃ、まずは...』

 

 

 

 こうして、彼女たちの日常は続いていく。この先も数えることが億劫になるほどの困難が降りかかることだろう。しかし、彼女たちの友情...それさえあれば、きっと乗り越えてゆけるだろう。願わくば、その未来に光あらんことを

 ︎ ︎ ︎ ︎☝︎♋︎⬧︎⧫︎♏︎❒︎

 

 

 

 

 

 

 

 

アビドス砂漠

 

 

「ったく、忘れもんかよ。しっかりしてくれよな...っと!」

 

 

「さて、ご対面と行くか。」

 

 

 

 

 

 

???

 

 

「...失礼します。つっても聞こえちゃいないだろうが。」

 

 

「...アンタの後輩が、この先とんでもないことをやらかす。今のアンタに言ってもどうしようもないかもしれんが、まあそこは先輩の責任としてどうにかしてくれ。」

 

 

「たのむから、アイツを苦しめないようにしてほしい...」

 

 

「...」

 

 

「...ハァ。何してんだろうな。こんなの神頼みに近いぞ...さっさと先生のとこ行くか。」

 

 

「んじゃ、失礼しました。梔子ユメ先輩。」

 

 

 

 時空の乱れは観測されていない

 

 

*1
融点約-71℃、沸点約-62℃の金属

*2
不快と不壊





あきたいぬ 様、誤字報告ありがとうございます!

ジールライ 様、
回送快速 様、☆10評価ありがとうございます!ありがてぇ...!


赤棚柔らか 様、
タキオンかわいいよタキオン 様、
ヒズル 様、☆9評価ありがとうございます!


あと二話くらい小話書いて終わりですかね?頑張ります!
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