「クフフ、ベジータの癖に偉そうに!スーパーサイヤ人になったところで…オレに敵うわけがないんだ!」
「フン!怯えている貴様に言われても説得力がないぜ?どうした?かかってこいよ…自称宇宙の帝王さんよ」
「くぅぅっ!くたばれー!!」
ベジータさんはフリーザを煽りに煽り挑発し、フリーザは怒りを露わにしながらエネルギー波を放つ。オレとコルドは別の場所に移動し向き合う。こいつらは数多の星を滅ぼし罪もない人の命を多く奪った。容赦もする必要もないだろう。
「さて、オレ達もやるか…直ぐに片付けてやる」
「小僧…良い気になりおって。ワシも随分と見くびられたものだな」
「事実を言っただけだ。それに、フリーザはベジータさんに勝つことはできない。それにお前も、オレに勝つことは出来ない。闘わなくてもわかる」
オレの言葉に、コルドは額に青筋を浮かべていた。それもその筈、まだ子どものオレに勝負を挑まれているのだから、相当舐められていると捉えられても仕方がないだろう。
「ふふふ、我々を侮辱するものがこの宇宙にいようとは、我が一族も随分と舐められたものだ」
「オレの方が強い。それだけだ。悪いが手加減はしないぞ…」
「グオッ⁉︎」
オレは瞬時にコルドの前へ移動し、そのままボディブローをくらわせる。コルドはオレの動きを捉えられず強烈な一撃にお腹を抑える。
「うぐっ……!ごほっ……!お、おのれ…!小僧……ッ!」
逆上したコルドがオレの顔を目掛けて拳を振り上げた。オレはその拳を片手で受け止める。
「な、なんだと……⁉︎」
「まさか今のが全力か?言ったはずだ。手加減はしないと⋯それに、オレが子どもだからって見くびってただろ?舐めているのはどっちだ?」
体格の差は歴然だが、スーパーサイヤ人になったオレの腕力とコルドの腕力とではオレの方が勝っている。オレは拳を掴み、そのまま動けなくする。コルドは抜け出そうともがくがピクリとも動かなかった。
「………」
「ま、待て……ッ」
オレはコルドの拳を右腕で掴みながら、空いた左手をコルドの心臓部へ添え気功波を放った。崖に叩きつけられたコルドはもう何も出来ないだろう。
「これで終わりだ」
オレは手にエネルギーを溜め、とどめを刺す準備をする。オレはもう…ベジータさんとの闘いの時から覚悟は出来ている。
「た…たすけて…くれ…た、たのむ…」
突然命乞いを始めた…オレは思わず強く歯を噛み締め、怒りが更に湧き上がってくる…。
「勝手なことを言ってんじゃねぇ!!そうやって命乞いをした罪もない人たちの命を…貴様らは一体どれだけ奪ってきたんだ!」
オレが怒りを込めてここまで声を荒げたのは初めてかもしれない。コイツらは罪もない人や子どもの命を…残酷に奪ってきた連中だ…。なんで父さんはこんな奴らを倒さなかったんだ…。甘いにも程がある…。その甘さのせいでコイツらは地球に来たんだ…。ナメック星が消滅するのもあって、確認する余裕もなかったかもしれないが…。
「た…たのむ…助けて…くれぇ」
「……後のことはあの世で閻魔様に任せる。あの世でしっかり反省するんだな…」
「あ…ああ…」
絶望に染まったコルドにオレは容赦なく気功波を放ち跡形もなく消す。
「………」
俺は気持ちを落ち着かせスーパーサイヤ人を解く。
「あまり…いい気分ではないな」
前世含めて…はじめて誰かを殺した…相手は宇宙を揺るがす極悪人とはいえ、俺は殺したんだ…。
「……後はフリーザの方は「グァーッ!!」っと…」
俺はフリーザがこちらに吹っ飛んで来たので飛び上がり回避する。噴煙が晴れるとそこにはメカの部分を大半失ったフリーザが倒れていた。
「ベジータさんなにするんですか!危うくぶつかるところだったじゃないですか…」
「ふんっ!そこに居るお前が悪いんだ。どうやらデカブツの方はお前の相手にはならなかったようだな」
様子を見るにやはり苦戦はせずにフリーザを追い込んでいるようだ。勝敗はもう見えている。
「お、おのれぇ…こ、このオレが…ベジータに!」
「お前たちの時代はもう終わったんだ。これからはサイヤ人の時代だ」
「くうぅぅ、オノレェ…おのれおのれおのれー!!もう孫悟空の事などどうでもいい!!地球諸共…宇宙のゴミにしてくれるわ!!」
フリーザはボロボロのまま飛び上がり指先に巨大なエネルギーの玉を形成する。それは太陽と言っていいほどの物で、あれが地面にあたればおそらく地球は吹っ飛ぶだろう。
「(さて…どう出ますかベジータさん)」
俺はベジータさんを見るがあの人の表情は余裕だ。あれくらい簡単に弾き返せるのだろう…まぁ…俺もだけど。それに邪魔をしたらそれこそベジータさんにボコボコにされる。
「この星ごと…消えてなくなれえーーっ!!!」
フリーザは巨大な気弾を放ち、徐々に地面に迫ってくる。ベジータさんはその場から動く事なく不的な笑みを浮かべる。
「バカめ、このオレを誰だと思ってやがる?今の怯えた貴様が…オレに敵うとでも思ったか?スーパーサイヤ人の真の力……見せてやる!!」
ベジータさんはその場で右手の甲を左手の平に当てて紫の気を溜める。
「あの技…父さんとはじめて闘った時の…」
あの時よりも気の量が凄まじく辺りの岩は気の余波により粉々となり地面にはヒビが入る。
「くたばりやがれフリーザ!!!スーパーギャリック砲オオオォォォーー!!!!!」
ベジータさんはチャージ完了すると両手を突き出して放った。それは以前地球で使った時よりも凄まじい物で…フリーザの作った巨大なエネルギー弾を直撃した直後エネルギー弾は掻き消されそのままフリーザに迫る。
「な、なにっ⁉︎」
フリーザは全力で放ったエネルギー弾がいとも簡単に掻き消された事で対応が遅れ、両手を前に出しベジータさんの技を受け止める。
「こ、こんなものっ!!う……ぐぐぐぐぐぐ……!!!!」
ベジータさんの技に徐々に押されていき、数秒くらい耐えた所で…。
「ち、ちくしょおおおおおーーーっ!!!!」
フリーザはベジータの気功波にのみこまれ、そのまま跡形もなく消え去ってしまう。
「フリーザの気が消えた…俺たちの勝ち、だな。っと、そうだ…フリーザの宇宙船を破壊しておかないと!」
ベジータさんはフリーザの気が消えた事を確認するとスーパーサイヤ人を解く。俺は後片付けのついでにフリーザの宇宙船を破壊した後ベジータさんに駆け寄る。
「ベジータさん…」
「………」
ベジータさんは何も言うことなく目を瞑りながら上を見上げる。やはり思う所があるのだろうか、その顔は何処か満足したような達成感のある顔だった。
すると遠くから皆んながこちらに向かって飛んでくる。フリーザ達の気が消えた事でこちらに向かってきたのだろう。
「悟聖!!お前ほんとにフリーザ達を倒したんだな!!」
「すごいよ悟聖!!」
悟飯達がこちらに駆け寄り養いの言葉をくれる。
「よくやったな悟聖…見事だった」
「ありがとうございますピッコロさん。それに、俺1人じゃ危なかったですよ。ベジータさんもいたから、フリーザ達を倒せることができました」
「や、やっぱりベジータもスーパーサイヤ人になってたのか?」
「はい」
ベジータさんの側にはブルマさんとヤムチャさんがおり、ブルマさんもおそらく何かしらのねぎらいの言葉をかけているが素っ気ない態度で対応され、ブルマさんは怒っておりヤムチャさんはそれを宥めていた。
「あ、あの…」
声をかけられ全員が振り向くと先程の剣を背にかけたお兄さんが気まずそうにしていた。
「だ、誰だこいつ?」
「フリーザの部下たちを倒してくれた人ですよ、クリリンさん」
「こいつが?」
「はい。皆さん…この人の事誰か知りませんか?俺の名前を知っていたんですけど」
「いや、会った事ないなぁ…」
「オレも知らないな」
「オレもだ」
「ボクも知らない」
「私も知らないわ」
と全員が知らないようだ。なら、何者なんだこの人は…。
「突然のことで申し訳ないのですが…これから孫悟空さんを出迎えに行きます。 皆さん、一緒に行きませんか?」
『え⁈』
突然のことで全員が声を上げる。俺もそうだ。まさか父さんの名前が出てくる上、これから出迎えに行くと言うのだ。
「案内するので…オレについてきて下さい」
青年が飛び立ったのを見て全員が疑問を持つ。急に得体の知れないお兄さんに父さんの名を出すのだから怪しむのも無理はない。だけど…。
「…俺、あの人についていこうと思います」
「ぼ、僕も!」
俺と悟飯は同時にあのお兄さんの後を追う。あの人からは邪悪な気も感じないし嘘をついているようには思えない。あの時、俺を見た時のあの顔は…よくわからないけど放っておけない……そんな感じだった。
少しして後ろに仲間の気を感じた。みんな疑いは持ちつつ、ついてきているみたいだ。
「573の……18220ポイントぐらいか……この辺りだな……」
お兄さんは何やら確認しながら到着する予定地の近くに着陸し、全員降りる。お兄さんはケースからカプセルを出すと展開し、四角い箱にチューブのような物がついている何かを出した。
「皆さんもよければどうぞ」
お兄さんが言うと俺と悟飯、ブルマさんが出た。戦いの後の事もあって喉が乾いて仕方ない。
「頂くわ!」
「俺も頂きます」
「僕も!」
そんな2人に笑みを浮かべるお兄さん。すると警戒しながらもクリリンさんも飲み物をとりにくる。
「う、美味いなこれ!」
「あら?うちの製品でこんなタイプの冷蔵庫あったかな…」
「あの、お兄さん…父さんって後どのくらいでつくんですか?」
俺は飲み物を飲みながら父さんが帰ってくる時間をお兄さんに聞く。しかもこれ美味いな…。
「そうですね…孫悟空さんは今から3時間後に地球に到着すると思います」
「そうですか…」
「どうしてお父さんのことを知っているんですか?」
「俺も話で聞いたことがあるだけで、会ったことはないんです…」
「会ったことがない?じゃあ何で3時間後にここへ悟空が来るって知ってんだ?」
「…それは…すいません…言えないんです…」
どこか申し訳なさそうに言うお兄さんに今度はベジータさんが尋ねる。
「言えないと言うのはどういうことだ?貴様は一体何者だ。どうやってあんなパワーを身につけた?一瞬だったが…あの時貴様にも凄まじい力があるのはわかっているんだ!間違いでなければ…貴様サイヤ人だろ!!」
「す…すいません。前者は言えないのですが…サイヤ人の血はひいています」
「ふざけるな!サイヤ人はオレとカカロット、ここじゃその孫悟空って名前だがな…それに地球人との混血である双子のガキ…この4人しかもう残っていないはずだ!」
「もしかしたらベジータさんが知らないってだけでサイヤ人の生き残りがいるかもしれないじゃないですか。例えば父さんみたいにベジータさんが生まれる前に他の星に赤子のサイヤ人が飛ばされて、その間にできた混血のサイヤ人って事もあるじゃないですか」
「……チッ!」
ベジータさんは俺の説明に納得したのか、していないのかわからないが舌打ちをし、それ以上追求することはなかった。
「あれ!?ねえ…それうちのカプセルコーポレーションのマークじゃない!?何で?うちの社員?」
ブルマさんがお兄さんの着ているジャケットの肩部分にあるCマークを見て言う。確かにあれはカプセルコーポレーションのマークだ。
「そ、そう言うわけじゃないんですが…」
「それも秘密?じゃあ名前も歳も全部内緒なわけ?」
「名前は言えませんが、歳は17です…」
「名前も言えんというのは妙だな…」
「ああ…隠す意味がないだろう…」
「よし!みんな質問はもう止めましょ!困ってるじゃない!この子は私達や地球を救ってくれた1人なんだから!」
「フリーザの部下を倒してくれましたし…このお兄さんのお陰で被害がなくてすみました」
「そうですね!」
ブルマさんの言葉に俺と悟飯は同意し、お兄さんについての素性を調べるようなそれ以上の質問はしないことにした。
父さんが帰ってくる残り3時間…俺はゆっくり時間を潰す事にしよう。