「だりゃっ!!」
「ふっ!」
フリーザ達との戦いから一年、俺は悟飯と組み手をしていた。
離れた場所で父さんとピッコロさんも組み手をしており、人造人間との闘いに向けての修行はそれなりに順調であった。
「どうした悟飯、お前の力はそんなものじゃないだろ?」
「まだまだ!!」
悟飯は俺に迫り連打を繰り出し、俺はそれを受け流し受け止める。半年前よりはマシになり大分力も戻りつつあるが、やはりまだまだ課題はたくさんある。
「そりゃっ!!」
「うわぁっ!!」
俺は悟飯の腕を掴みそのまま地面に向けて背負い投げの勢いで投げ飛ばす。悟飯は空中でなんとかブレーキをかけ俺は悟飯の背後に回り…。
「はい。俺の勝ち」
「あ…」
俺は振り向いた悟飯の額を小突く。もしこれが容赦のない敵だったら悟飯は死んでいただろう。
「今ので悟飯はまた殺されていた。前よりはマシになったけど、反応速度もスピードもまだまだ足りないな」
「ううっ…また負けたぁ…」
「でも、確実に以前より強くなってる。その調子でいけばお前も俺や父さん、ピッコロさんにも追いつくはずさ」
実質、今の悟飯はやる気はかなりのもので、成長速度もはやい。その気になれば悟飯はこの中で…いや、この世界で誰よりも強くなれるはずだが、元々戦いが好きじゃない悟飯はその気持ちがブレーキとなり、己の潜在能力を自在に扱うことができない。多分悟飯の場合、戦う=悪って言う考えがあって、その力に蓋をしてしまっているのだろう。だから悟飯が力を解き放つ時は怒りか自身の危険が迫った時だけなのだろう。
未来の悟飯がどうなのかはわからないが、学者の夢を諦め、人造人間を倒すために戦いに身を通していると父さんに聞いている。
「おーいおめえら!そろそろ飯にすんぞ!」
「「はーい!」」
父さんとピッコロさんが組み手を一度やめ、休憩に入る。俺たちは家まで飛びながら帰路につく。
「ねえ父さん…」
「なんだ?」
「父さんがヤードラットで教わった瞬間移動って俺にも使えるかな?」
俺はずっと瞬間移動のことについて聞きたかった。この1年は修行に専念して聞けずにいたからちょうど良い機会だ。
「瞬間移動か?ウーン、オラも使えるようになるのに相当苦労したかんな…」
「俺も使えないことはないって事?」
「そうだな。使えるようになるかもしれねぇな…」
「じゃあさ、時間がある時でいいからさ…瞬間移動教えてよ!使えるものは使える様にしたいから!」
「…わかった!なら今からでも教えてもいいぞ」
「ほんと!」
「ああ!」
俺は早速瞬間移動について教わる。これを習得すれば戦いの幅もかなり広がるはず!
「なにしてるのかなあの2人?」
「ふんっ、あの2人のことだ…どうせ修行の事で盛り上がっているんだ。その点は悟飯、お前も少しは強さを求める悟聖を見習え」
「は、はい…」
ピッコロさんと悟飯が何か言っているが、俺は父さんの話を聞いているため聞こえなかった。
「瞬間移動は場所じゃなくて人を思い浮かべてそいつの気を感じ取って移動する技だ」
「人を思い浮かべる⋯父さん、それって星の気は含まれないの?ほら、元気玉で気を集める時も植物とかいろんな物から集めてたでしょ?」
「…いや、試したことねぇからわかんねぇけど⋯後、あんまし遠い場所だと上手く気を感知出来なくて瞬間移動は使えねぇ…。それこそスーパーサイヤ人みてぇに大きな気を持ってる奴がいねぇと気を捉えられねぇからな」
「そっか、わかった。それを踏まえてやってみるよ!」
俺は早速人差し指と中指を額に添える。
「(人を思い浮かべてその人の気を感じとり移動する……母さんあたりかな…)」
俺は母さんを思い浮かべ気を探る。
「まぁ…最初は無理だとは思うが、悟聖ならいつか使えるように「捉えた!」へ?」
俺は父さんの呆けた声を聞いたのと同時に母さんの気を捉えると俺の視界は一瞬にして家の中になっていた。
「うわああ!!?」
突然俺が現れたことに驚いた母さんが尻餅をついていた。
「だ、大丈夫母さん?」
「ビックリしたぁ…き、急に現れないでけれ。心臓に悪いじゃねぇか…」
「ご、ごめん母さん、父さんに瞬間移動を教えてもらって…」
「それはいいが、今後は玄関から入ってこい。心臓が幾つあってももたねぇだよ」
「ご、ごめんなさい」
「わかればいいだ。それよりもう直ぐお昼ご飯だ。早く帰ってくるよう悟空さ達にも伝えておいてけれ」
「わ、わかった。すぐ戻って伝えるよ」
俺はさっきと同じように父さんの気を捉えるとそのまま父さんのいる場所に瞬間移動する。
「ご、悟聖⁉︎」
「父さん、もう直ぐお昼ご飯出来るから早く帰ってこいって」
「お、おう、わかった。しかし驚いたな!オラが苦労した瞬間移動をアッサリと…」
「えっと…正直自分でも驚いてる。まさか一発で成功するなんて思ってもなかったから…。多分感覚はわかったから確実に使えると思う」
「そういや聞いてなかったが…悟聖、おめえスーパーサイヤ人にはどうなったんだ?」
「えっと、俺は父さんが初めてスーパーサイヤ人になった時の事を振り返って、怒りが切っ掛けだってわかって、後は怒りを募らせる為に、サイヤ人の時やフリーザがやってきた時の事を思い出しながらやったら変身できた。多分ベジータさんもこれに気付いてスーパーサイヤ人になれたんだと思う」
ベジータさんがスーパーサイヤ人になった怒りのトリガーはまだ不明だが、あの人も父さんがスーパーサイヤ人になった瞬間を見ている事が大きいだろう…なれるキッカケにベジータさんも気づかないわけがない。
「ひゃー!悟飯とはまた違った才能だな!おめえ修行を初めてした時からコツさえ掴めばすぐに使えるようになってたかんな」
「あはは、父さんやピッコロさんの教えがいいからだよ」
俺1人じゃ絶対にここまで強くはなれなかった。みんながいるから、俺もまだまだ強くなれる。
「っと、こんな事話してる場合じゃないよ。母さんが待ってる!」
「おっと、そうだったな!」
「なら久しぶり家まで競争しない?」
「お、いいな。おめえと競争するのも久しぶりだな!」
「せっかくだし悟飯もやろうよ!最下位になったら今日のオヤツは抜きで!」
「えっ⁉︎そ、それはないよ⁉︎」
「ただでさえお前はまだスピードが遅いんだからこのくらいやった方が本気になるだろ?それじゃあスタート!ピッコロさん、後で家で!」
「あっ!おめえずりぃぞ悟聖!」
「ま、待ってよー!」
ピッコロさんはこう言う事には乗り気な性格ではないので参加はさせない。俺たちは家まで競争した結果、先に出た俺が一位で悟飯が最下位となった。最下位の悟飯は今日のオヤツは抜きとなり、俺と父さんで悟飯の分を仲良く食べた。
「ずあっ!」
「だりゃー!!」
「くっ!ハァーッ!!」
休憩が終わり修行を再開し、俺は今ピッコロさんと悟飯相手に組み手をしている。父さんは別の場所で修行しており、俺は2人の猛攻により吹き飛ばされながら俺は2人に目掛けてエネルギー弾を放つ。
「爆力魔波!!」
「魔閃光!!」
2人はそれぞれ技を放ち俺のエネルギー弾を無力化し2人の気功波が迫ってくる。
「……っ!!」
流石にまずいと思い俺は中指と人差し指を額に当て瞬間移動をし2人の背後に回る。
「がっ⁉︎」
「ぐっ⁉︎」
背後に周り2人に蹴りと打撃を与える。2人は距離を取り俺があの状態から一瞬にして背後に回ったことに驚いていた。
「い、今のは…」
「瞬間移動か…。移動手段の技かと思ったが…そんな応用の仕方もあるとはな」
「流石に今のは危なかった。当たればただじゃすみませんでしたよ…」
さっきのは当たれば俺もただじゃすまなかった。それに俺のエネルギー弾を無効化したのを見ると2人も相当技の威力も上がってきている。修行の成果が出ているのだろう。今の悟飯とピッコロさんの2人がかりで相手にするとこちらがまずいだろう。
「それなら、こっちは少しギアを上げていきますよ!界王拳!!」
「…っ⁉︎」
「ふん、そう来なくてはな!油断するなよ悟飯!」
「は、はい!!」
俺は界王拳を発動し戦闘力を上げ、構えをとる。
「ハァーッ!」
2人は警戒を強くし、俺は2人に突撃し打撃と蹴りを繰り出す。
「くっ!スーパーサイヤ人でもないのになんてパワーだ!」
「ピッコロさん……!」
「合わせろ悟飯!!あいつに一泡吹かせてやるんだ!」
「はい!」
2人はコンビネーション攻撃を仕掛け俺は攻撃を捌く。
「はああ!!」
「ぐっ!がはっ!!」
2人の攻撃の隙をつき、俺は2人に蹴りと気合砲を放つ。
「だりゃあ!」
「ぐあっ!?」
「ううっ……!」
2人は俺の攻撃をくらい吹き飛び地面に倒れる。
「はぁ……はぁ……」
「大丈夫か悟飯?」
「な、なんとか……」
2人はまだ立ち上がるが相当ダメージが大きいだろう。それにこれ以上やれば周りの被害がとんでもないことになる。
「ふぅ…」
俺は息を整え界王拳を解き、俺は2人のいる元へ降りる。
「2人とも凄いよ!まさかこの半年でここまで強くなるとは思いませんでしたよ…」
「ふん、何も強くなるのはサイヤ人だけではないと言う事だ…。油断しているといつか痛い目にあうぞ?」
「わかってますよピッコロさん。それにしても悟飯は相手に合わせるのが本当に上手いな…。他の誰かと連携する時は直ぐにいい感じになるんじゃないのか?」
「そ、そう?」
「うん。俺はどっちかと言うと1人の方がやりやすいから、その点は羨ましく感じるよ。今後の課題だな…」
父さんとベジータさんなら1人の力で相手に勝ちたいというこだわりがあり、それがサイヤ人としての本能なんだろうが俺は違う。いざって時は協力してやらないといけない場面も出てくるだろう。その為直ぐに相手に合わせ連携が取れる悟飯は本当にすごいと思う。
「さて、そろそろ日も暮れますし…今日は切り上げますか」
「うん!」
「ピッコロさん、また明日!」
「ああ」
俺達は今日の修行を終え家に帰る。近いうちに別の修行方法も考えた方がいいかもしれないな。
「(流石に毎日修行ばかりだと母さんもストレスが溜まるだろうし、何か母さんが納得してくれる方法がないかな…)」
俺は父さんが働きながら修行が出来る方法を考えながら帰路につく。残りは2年…なんとかしないとな。