ドラゴンボール 双子のハーフサイヤ人   作:狼ルプス

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一番星に明かす

 

「そうですか…一部の職員と他の子は避難しているんですね」

 

「ええ、ここにいるのは…私と僅かな職員とアイちゃんだけよ…あんなの見たら何処に逃げても無駄なのはわかっているし…王立直属の軍隊も壊滅…私は腹を括ってるつもりよ、残りの時間は…アイちゃんや家族と穏やかに過ごそうと思ってる」

 

「………」

 

この人は覚悟を決めている様だ…本当はすごく怖い筈なのに、最後まで自分のやるべき事をしようとしている。

 

「本当はアイちゃんも他の子と避難させたかったのだけど、孫くんに会うまではここから離れないって聞かなくて…」

 

「そうだったんですか…」

 

「………」

 

アイは俺から離れようとしない…俺は優しく頭を撫でてあげる事しか出来なかった。

 

「でもね、少しばかり希望はあるのよ…孫くんはピッコロ大魔王は知ってるかしら?」

 

「え、あ…確か昔世界を混沌に陥れようとした化け物だと歴史の勉強で…」

 

そうか、昔も今の様にいかないが似た様な事が俺と悟飯が生まれる前にあったな…悪い方のピッコロさん、ピッコロ大魔王は昔父さんが倒した存在だ。

 

「ええ、その時ある少年がピッコロ大魔王を倒してくれたのよ…当時のその子はちょうど今の孫くんやアイちゃんくらいの年齢だったかしら…背も小さかったから正確な年齢はわからないけど、国王様もその少年の様な戦士が現れてくれるのを期待しているみたい…」

 

「そうですか、俺と歳の近い子が昔ピッコロ大魔王を…」

 

この人も少なからず希望を持っているのだろう…まあ、流石にそのピッコロ大魔王を倒した少年のその息子が目の前にいる、なんて言えないな…変な期待を持たせるのも悪いし…

 

「所で…孫くんの方はどうしてるのかしら?その感じだと避難はしてなさそうだけど…」

 

「えっと、俺の方は静かにただ過ごしているだけですよ。父さんは用事があって今は家にいませんが…」

 

「そう、孫くんの家族も…」

 

まぁ…残りの時間はデンデと遊んどけと言ってたし、多分ドラゴンボール探しはさほど時間は掛からないだろう。それに、父さんと母さんを2人っきりにするいい機会だ。けど、父さんはそこまでは考えてはないだろうけど…ドラゴンボール探しの後は夫婦水入らずで過ごして欲しい。

 

「さてと、話し込んじゃったし…溜まってる仕事を片付けないと。孫くん、アイちゃんの相手…お願いするわね」

 

「はい、わかりました」

 

職員の人はコップをもちこの場から離れ、残った仕事をするようだ。

 

 

「その、アイ…ずっと黙ってだけど…大丈夫なのか?」

 

「……ねえ」

 

「ん?」

 

「悟聖君は…いつまでいられるの?」

 

「…そうだな…残り7日はゆっくりして、セルゲーム当日はある場所に行く。そのくらいかな。残りの7日は好きにしてもいいみたいだし…お前に会いにくるつもりさ」

 

「……」

 

「アイ?」

 

ダンマリ俺の目を見つめるアイ…何かおかしなこと言ったかな?

 

「嘘…ついてるでしょ?それに悟聖君、何か隠してる事があるんじゃないの?この間の家の用事って言うのも嘘だよね?」

 

「…⁉︎」

 

的確な指摘に俺は驚愕するしかなかった…隠し事はしてるのは事実だが、一般の人に到底話せることではない。

 

「私…知ってるんだよ。悟聖君が空を飛んでここにきていたの…見た事があるんだよ」

 

「っ⁉︎」

 

お、俺が飛んでいるところを、見られていた⁉︎瞬間移動はまずいから、周りに注意して飛んでいた筈なのに!特に視線とかにはかなり、俺や父さん達は敏感な方なのに。

 

「その反応、やっぱりそうなんだね…」

 

「っ!まさかお前…」

 

「うん、空を飛んでいるのを見たなんて嘘だよ…あの怪物が空を飛んでるのを見てもしかしたらと思ったけど、その様子だとやっぱり…」

 

しまった…嵌められた⁉︎こいつ、やっぱ嘘つくレベルの高さ違う!気の揺らぎが全く感じなかった…

 

「おかしいと思ったよ…だってこの辺に住んでるなら知ってる人もいる筈だし、学校だって同じ場所に通っていてもおかしくないのに…悟聖君の事全く知らないって言うんだもん」

 

「……」

 

何も言えなかった。確かに俺はこの辺に住んでいると言ってるだけで本当の事は言っていない。

 

「悟聖君…君って…何者なの?その髪と眉って染めてる感じがしないんだもん…目の色だって… 一週間見てないだけでそんなに背が伸びるのも変だよ」

 

「……」

 

これ以上は…隠し事は無理そうだな…これ以上は探られるのもよろしくない。仕方ない。

 

 

 

「……わかった、話すよ。本当の事…俺が何者なのか」

 

「!!」

 

「でも、条件がある。俺の正体を知っても、この事は誰にも話さないで欲しいんだ」

 

「……」

 

「約束できるか?」

 

アイは考え…ゆっくり頷いた。

 

「よし、わかった……」

 

よし、これでいい……俺が何者なのかを話す事によって、アイが俺の正体や行動に口出しする事は無いだろう。父さんや皆んなには悪いが、俺にだって俺なりの秘密があるのだ。

 

「けど、ここじゃ話せないから場所を変えよう。せっかくいい天気だし…一緒に出かけよう」

 

 

「…!うん!!」

 

アイは星の瞳を輝きをいっそう増させながら嬉しそうにする。俺は職員の人に一緒に外に出る事を伝え許可を得て外にでる。

 

「よし、周りは誰もいないな…」

 

俺は周りに人がいないのを確認する。

 

「悟聖君?」

 

「取り敢えずこの辺じゃ話せないから…少し遠出するぞ」

 

「え…ちょっ⁉︎」

 

「口閉じてろ…舌を噛まないように」

 

「え……」

 

俺はアイを抱えその場から舞空術で飛び上がる…アイはまさかの状況に呆然としていた。

 

 

「す、凄い⁉︎そ、空を飛んでる⁉︎」

 

案の定驚くアイ、そりゃ人が道具なしに空を飛んでたら普通に驚くだろう。

 

 

 

「すごいすごーい!!私、空を飛んでるよ!」

 

「あまりはしゃぐなよ……でも、暫く空の旅を満喫してくれよ?」

 

「うん!!」

 

 

 

 

アイはしっかり俺にしがみつき、アイに負担が掛からないように俺の気で膜をはり風の影響や高山病にならないよう対策する。1分もしない内に海の上を飛ぶ。

 

「ねえ悟聖君、海面とかに近づけない?」

 

「いいけど…あまり手は伸ばすなよ」

 

「うん!」

 

俺は海面ギリギリまで飛ぶと移動する気の風圧の反動で水飛沫が起こる。

 

「あ、見て悟聖君!イルカだよ!」

 

アイが指さす方向を見るとイルカの群れが泳いでいた。しかもかなりの数だ。

 

「本当だ…(この辺にイルカなんていたかな…まぁ、前世と違って世界そのものが違うから生息地も違うのか…)」

 

俺はせっかくなのでイルカの群れの中に入りその中を飛ぶ…アイはもうそれははしゃいでいた。

 

 

「わあ…イルカと一緒に移動してるよ私たち!」

 

「まぁ、こう言う事が出るからこその特権だな」

 

まっ、他の船とかの目もあるだろうから滅多にしないが、幸いこの近くに船はない。

 

 

「楽しいね、悟聖君!」

 

「ああ……そうだな」

 

不思議とアイといると気が楽なる。そして数分後イルカの群れを抜けると俺は目的の場所につく。

 

 

「……ここって?」

 

「俺のお気に入りの場所さ…いい場所だろ?」

 

「うん!」

 

そこはパオズ山の中にある滝壺だ、偶に1人でいたい時によくくる場所だ。その滝壺の近くの岩の上に俺は降り立つ。そしてアイを降ろす。

 

 

「わあ、綺麗……いい場所だね」

 

アイは早速俺の隣に座ると滝壺を見ながらそう言う。どうやら気に入ってくれたようだ。

 

 

「ねえ悟聖君……」

 

「ん?」

 

すると突然アイが俺の名前を言う。俺は少し驚いて反応してしまうが平静を装う。

 

「悟聖君はさ……なんで空を飛べるの?……君は一体……」

 

「ああ、約束したからな、話すよ…俺が何者か、多分…かなり信じられ内容になると思うけど…今から話す事は嘘じゃない事だけは言っておく」

 

 

「う、うん」

 

「……まず俺は、半分は地球人じゃないんだ…サイヤ人の血を引いているんだ」

 

「!?……え、どう言う事?」

 

「今から説明するから、最後まで聞いてくれ」

 

俺は自分の正体を話す。気の事や、俺がこれまで経験した事、セルゲームに参加しセルと戦う事、一応ドラゴンボールの事は伏せながら話した。

 

 

 

 

「気は生き物なら誰でも持っている。それを知覚して、使い熟す事ができればアイでもできる。修行を怠らなければ普通じゃあり得ない強さを手に入れることができるんだ。テレビでみたセルのように。今のこの姿だってこうすれば元に戻れる。こんな風に」

 

「………あ」

 

俺はスーパーサイヤ人を解き、またすぐにスーパーサイヤ人の状態に戻る

 

アイは流石に内容が内容でポカーンとした表情を浮かべている。まさか宇宙人とのハーフだと思わないし、宇宙人その者も存在しないのが常識だった。

 

「流石に引くよな…?俺みたいな存在」

 

 

引いたとしても無理はないと思うし、正直、この事がバレて関係が変わるのが怖くて言わなかったが、今回は覚悟をしている。

人間は得体の知れないものは毛嫌いする性質があるし、事実無根な事でさえ信じ込んでしまうのだ。半分宇宙人の血を引いていることを知って化け物と思われたり、引くのは別におかしなことではない。ここで拒絶されても…俺は構わないし、その事実を受け入れつもりだ。

 

 

「……」

 

「アイ……お前ならわかるだろ?俺は半分は地球人じゃない、宇宙人の血を引いてる上、普通の人から見てセルと同じ事が出来る化け物なんだ…俺がお前の側にいて良いはずがない」

 

それに、仮に世界の人々が俺や父さん達の力を知ってしまったらきっと拒絶する人間もでてくる筈だ。

 

 

 

 

「……悟聖君はさ……私と一緒にいるのが嫌なの?」

 

「え?」

 

するとアイから意外な言葉が飛んでくる。

 

「悟聖君は……私といるの、嫌なの?」

 

「……嫌じゃない」

 

俺は首を横に振る。今回のことで、俺がアイに正体を打ち明けたのは俺の側にいるのは危険だという事を伝える為だが、だからと言って別に嫌だからとかではない。それに、こいつと一緒にいるとなんか落ち着くんだよな……前世の母さんと一緒にいた時みたいな感じがして……

 

「ならいいじゃん!私、悟聖君とこれからも一緒にいたい!!まだ悟聖の事もっと知りたい!」

 

「っ!?」

 

アイは笑顔でそう言う。その笑顔が俺には、とても眩しく感じた……そして理解する。そうか、この子は俺の正体を知っても尚俺と一緒に居てくれるのか……

 

「……ありがとうな」

 

「ん?なんでお礼を言うの?」

 

「いや……なんでもないさ……というかお前、俺の事知りたいなんて、結構よくばりなんだな」

 

「うん、そうだよ!私はよくばりなんだよ!」

 

「そうか…さてと、そろそろ帰るか」

 

「え!?もう帰るの!?」

 

俺がそう言うとアイは驚いた顔をする。

 

「当たり前だろ?話す事は話したし…あまり遅くなると施設の人にも心配かけてしまうしな」

 

「うー……もうちょいいたい」

 

「そう言うなって、また連れて来てやるから」

 

「そうだけど……」

 

アイはムスッと頬を膨らます。そんな表情もするんだな……

 

「悟聖君……約束だからね?」

 

「ああ、わかった」

 

俺はそう言ってアイの頭を撫でる。すると彼女は嬉しそうに目を細める。

 

「よし、そろそろ帰ろうか」

 

「うん!」

 

そして俺はアイを抱えてパオズ山を飛びたち、アイの住む日本の児童養護施設に戻る。

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