出来損ないの倅ども (旧題: 勇作は手を汚したくない) 作:だだちゃ豆
◯戰局の概観
──明治三十八年五月一日(月刊誌太陽、時事評論より抜粋)──
四月三十日、以前日記に記した二度の小競合いを除き、全く戰の気配の無いままに四月が終わる。驚くべき哉。戰場における連隊の死者は併せて一名、負傷者は二名。極寒の大陸にも僅かに春の兆し有りて、患う人も減りつつあるように思はれる。
五月三十一日、小隊を預かるも、遂に今月は作戦に参加せず。洋平君より講和の噂について尋ねらるる。この点について内地の雑誌新聞の勝手な評論もあながち高級将校の言と違はず、然れども万一に備えるのが軍人の務めであればこれを終幕と思はず英気を養ふ時期と見ゆべしと聯隊に訓示す。それはそれとしてこの頃兄様のお表情が少し柔らかになるは甚だ嬉し。
六月三十日、結局今月の負傷者一名のみ。死者もなし。目出度し。兄様はこ立腹。賭けに負けたご様子。いつものこと。
七月一日、午前七時半頃より敵騎襲来す。 敵騎数を増し、小牛田中隊長死す。中隊長代理となりて第四中隊の指揮を執る。
今でも軍歌より馴染み深い、学生時代の寮歌。
アムール川の流血や♪ 氷りて恨結びけむ♪
二十世紀の東洋は♪ 怪雲空にはびこりつ♪
コサック兵の剣戟や♪ 怒りて光散らしけむ♪
二十世紀の東洋は♪ 荒浪海に立ちさわぐ♪
世紀新に來れども♪ 北京の空は山嵐♪
「さらば兜の緒をしめて、我の本領あらはさむ♪」
勝って兜の緒をしめよ、とはずっと昔から言われていることだ。つまるところ、分かっていてもできないから言われ続けるのだ。
おこしめはほのんろ、やわならゎな たねよんぬかほら こねそりてや さひゆぬきとめよにこ やとむねしねよらるひら?かけりつあねなはろらあかそら。てゆのや)なこけしらるさしあまんなねはら
あかけそれしのむねら かのねそさらるはにまおんやのえのつ えこしつこてさこらぬそはらろん あかまよゆとゆのわやん ねりゆなるあ)しみえよのわらん ちえけ。ぬこむけそむ めこひさにてかそろそ んえのぬかやふろあ けさりはによ 〜むてれさほーしほさほ(えりてこゆこてほんねる
あけそりお)きえ ぬそのるひての。てや ににおとよんらはろ。)らひなつたい たあかは さらはなやらはやみ ちにかたなあたやみ わまなやゆなのわたならわちてなろわ わらわなはわなはりわ)さほ)しこや
うこたむさしめによ へやらやひまねなあげさわ さたらなたか はたはかてらま やらまらやあさかあ さかたはかたらなま、やたまわ
たなひにたな はちなはにひあまわあ まやあやらかな らまはなたはかはかちらなま はなたあなゆにゆ にかさらは わはわさやさやし やさやしゆさなかたかた らさらさやかなま あまけやかやさら
あかさひやぬちなよわや たけさはりわまあさほ らふつあこぬこやほをわらは なま そるこんきえしに めなねろわはさい さほろやわくたえ さたの〜んはらなかあ
「カレー」
「はい、本日のお食事はライスカレーです」
「うん。ありがとう。……もしかして江川軍曹に何か言った?」
「えぁ、は、はい。最近お疲れのご様子であると」
「そっか。後でお礼にいかないとね」
江川軍曹のカレーはいつでも旨い。よく煮込んだ具材と粘度の低いルーはさらさらと喉奥に流れ込んで、すっかり無くなっていた食欲に火を点けた。彼らの献身を無駄にはできない。しっかりしないと。戦争はまだ終わっていないのだから。
食事を終えて、外の空気を吸う。私は煙草の煙を吐き出すように、慣れ親しんだ歌を吐き出した。
「されば
四綱領でも、軍律でもなく。ここにあるはずなのだ。
コピペすれば読めるんじゃないかな……
※読まなくても大丈夫です。