ポケットモンスター ~少年が進む道はキズナによって切り開かれる~ 作:Kod
今回はオリジナル回です
『開かずの扉の秘密』に変わる話となっております
今年中に投稿するためにちょっとペース早めに書いたので短めで表現やキャラ崩壊が出てるかもしれないです
朝
ウィングデッキ
「ふ~……今日も晴れてるから、良い風が吹いてるな、テンブ」
「(そうだな、ハァ~早く飯食いてぇ)」
「おいおい」
ソウハとテンブは部屋から出て、ウィングデッキにて日の光を浴びていた。
ソウハはいつもの習慣で早めに起きたが、今朝は珍しくテンブも早く起きてきたのだ。
テンブ自身もこんなに早く起きるとは思わず、ソウハは折角だから朝日を浴びに行かないと誘い、ウィングデッキに来たのだ。
「(まさか、朝食の1時間前に起きるなんてなぁ……もっと寝たかったぜ)」
「良いじゃんか、『早起きは三文の得』って言うしさ」
「(そりゃそうだが……)」
「早起きは身体にとって良いことなんだぞ?それにこんなに良い景色も見れるんだし、ラッキーじゃないか?」
「(……まぁ、たまには良いか)」
「あれ、ソウハとテンブ?」
「ん?……リコか」
「おはよう、ソウハ、テンブ」
「(おはよう、リコ!)」
ソウハとテンブが誰もいないウィングデッキで話していると、後ろからまだ寝間着姿のリコが来ていた。
「おはよう……リコ起きるの早いな……ニャオハは一緒にいないのか?」
「うん、何だか暑くて……早く目が覚めちゃったから、風に当たりに来たんだ。ニャオハはまだ部屋で寝てるよ」
「そうか……(今日そんなに暑いか?)」
「隣いい?」
「あぁ、どうぞ」
リコはソウハの隣に並び、風に当たりながら一緒に空からの景色を見る。
「ソウハはいつもこれぐらいの時間に起きてるの?」
「まぁ、旅の時の習慣でな、野宿の時は朝早くからポケモン達の朝食や次の街に行くための準備とかをしなきゃいけなかったからな」
「そっか……(私達はこの飛行船に乗っていて、料理をしてくれるマードックや怪我を見てくれるモリーもいる……けど、やっぱり1人で旅をするっていうのはとても大変なんだ)」
「……なぁリコ?」
「ん?……どうしたの?」
「何か、顔赤くないか?」
「え?」
ソウハはスマホロトムを取り出し、鏡アプリを起動させてリコに確認させると、自身の両頬がリンゴのように真っ赤になっていた。
「まさか、熱でもあるんじゃないか?」
「ね、熱?(そういえば今も風に当たってるのに、あんまり涼しくないし、頭がクラクラするような……)」
「リコ、ちょっとごめんよ」
ピタッ
「えっ……////////!!?(ソ、ソソソソウハ!?)」
ソウハは右手でリコのおでこに触れ、左手で自分のおでこに触れる。
昔ながらの体温の確認方法に、リコは慌てふためくが
「(あれ……何だか、ぼっーとして……)」
「!!おいリコ、しっかりしろ!!」
「ミジュ!!(リコ!!)」
リコはソウハが熱を確認している時に、その場で意識を失ってしまった。
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医務室
「38度5分……完全に熱だね」
リコが倒れてしまい、ソウハは急いでリコを抱きかかえてモリーがいる医療室に向かった。
テンブは大人達を起こしに行き、事態の説明をしに行った。
ソウハによって起こされたモリーは状況を説明されると直ぐに仕事モードとなり、リコに適切な処置を行った。
一方でテンブに起こされたフリード達も状況を把握し、いつもより早めに起き、各々が出来ることを始めた。
今リコは医療室のベッドで横になり、安静にしている。
医療室にはいつの間にかドット以外のメンバー全員が揃っていた。
ポケモンではリコのニャオハとロイのホゲータ、ソウハのテンブがいた。
「ニャーッ」
ニャオハはベッドの上に乗り、リコを心配するかのように鳴いていた。
「モリー、リコの症状はどういうものだ?」
「もしかしてリコ、重い病気なの!?」
「ホンゲッ!?」
「違うよ、症状からして疲労による発熱だよ」
「疲労?」
「多分、学園を出てから今まで息つく暇もなくずっと気を張ってたんだろう。無理もない……」
旅に出る前の夜にはエクスプローラーズから逃げ、次の日はライジングボルテッカーズに加入し、島でまた襲われるという濃厚な日々を過ごし、リコの疲労が蓄積されたのだとソウハは思った。
「取り敢えず、今日1日はベッドから出ずに安静に過ごすこと、良いね」
「はい」
「フリード、この近くの街で医薬品とかを買いたいんだけど寄ってくれない?」
「勿論だ、各自上陸の準備をしといてくれ!」
こうして、ブレイブアサギ号は買い出しのために近くの街へ行くこととなった。
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ソウハの部屋
街に着くのは午後からということで、午前中ソウハとロイはオンライン授業を受けている。
リコは寝込んでいるため、ソウハが学校に連絡を入れて欠席となっている。
『本日の授業はここまでです』
「ありがとうございました」
授業は何事もなく終わり、ソウハはスマホロトムを切る。
「(午後はどうするか……買い物は行きたいけど……)」
「(リコが心配なんだろ、ソウハ!)」
「テンブ、まぁ……」
「ティニティニ!(だったらソウハが看病してあげなよ!)」
「ビクティニ……」
「(お前……
好きなんだろ、リコのこと?)」
「…………ッ!!……まぁ/////」
「(だったら、これはチャンスだぜ!俺達も協力してやるからよ!)」
「クッティ!(うん!)」
「いやでも、リコは俺の事、友達としか見ていないんだ。だから━━━━━」
「(たとえ今はそうであったとしても、好感度稼ぎは必要だろ?だったらこれをチャンスだと思えよ!)」
「ビクティ、ティー!(そうだよ、リコにアプローチしなきゃ!)」
テンブとビクティニはソウハがリコに異性としての好意を寄せていることには気付いており、くっつけさせようとしていた。だが、ソウハとリコがライジングボルテッカーズに入り、中々2人でいることが少なくなったため、こうして話したのだ。
「………分かった、頑張ってみる」
「(おう!)」
「ティーニ!(ファイトだよ!)」
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午後になり、ブレイブアサギ号は街に到着した。
「それじゃあ皆、くれぐれも気を付けて」
「うん!ソウハも留守番お願いね!」
「分かってる、ロイも羽目を外しすぎるなよ」
「はーい!」
「ホーンゲッ!!」
「それじゃあ行ってくる、やる事はスマホロトムに送っといたから頼んだぜ」
「はい」
ソウハとリコ、ランドウとドットを除いたメンバー達は各々買い物に行った。ロイは島を出たことがなく、初めて見る場所にワクワクしていた。だが、迷子になると困るためフリードとペアで買い物をすることとなっている。
ソウハは買い物に行かず、船の留守番をするため残っていた。またエクスプローラーズが船を襲撃する可能性と、リコが熱を出して動けないためペンダントを盗まれる可能性も考慮し、ソウハ自ら留守番を申し出ていた。
「よ~しやるか、皆も頼むぜ」
「ミジュ!」
「ティニ!」
「シャァ!」
「ダーク……」
「ピッカ!」
「ブーイ!」
「ミュミュ!」
「マーシャ」
「ウラ!」
テンブ、ビクティニ、ゾロアーク、ダークライ、ピカチュウ、イーブイ、ミュウ、マーシャドー、ウーラオスが返事をする。手分けしてソウハの手伝いを行うのだ。
ここにはいないラティアス、ラティオス、ゲノセクトは船の周囲を監視し、シェイミとメロエッタはリコのいる医務室で護衛兼看護を行っていた。
「ミージュ!」プシャー(軽めの『ハイドロポンプ』)
「マーシャ(それぐらいで良いぞ)」
シャッ……シャッ……シャッ……シャッ(ブラシで床を掃除している)
テンブとマーシャドーはウィングデッキにて掃除を行っていた。テンブは『ハイドロポンプ』を弱い威力で放ち、マーシャドーはデッキブラシで床をこすり、掃除を行っていた。
「ウーラララ♪ラーオス♪」
「………」
「シャァ!」
パシッパシッ(洗濯物を伸ばす)
ウーラオスとダークライ、ゾロアークは日当たりの良い場所で洗濯物を干し
「ピーカ、ピーカ(いちにー、いちにー)」
「ブーイ、ブーイ(いちにー、いちにー)」
ピカチュウとイーブイは船内の全てのゴミ箱を運び、ベトベトンに食べさせるゴミ捨てを行っていた。
「ミュミュ!(ソウハ準備出来たよ!)」
「ティニティニ!(こっちもだよ!)」
「よし、それじゃあビクティニとミュウは手分けして船のポケモン達のご飯を運んでくれ。俺は医務室にいるリコとシェイミとメロエッタにご飯を運ぶから」
「ビークッ!(分かった!)」
ソウハとビクティニとミュウはポケモン達のご飯とリコが食べるご飯を作っていた。因みにポケモン達のご飯はマードックが味や好みを考えてポケモンフーズや木の実を盛り付けた専用皿を運ぶだけだったが、リコの食事はソウハが1から作ったものである。
ソウハが作ったものはお粥と豆乳スープだ。食べやすく、消化にも良いものであるためリコも食べられるだろう。
ビクティニとミュウは『サイコキネシス』で盛り付けられた皿を浮かせ、船のポケモン達に配りに行った。
ソウハはリコの食事とメロエッタ、シェイミのご飯を持ち、医務室に持っていく。
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医務室
そこではリコがベッドから上半身を起き上がらせて、メロエッタの歌を聞いていた。
「メーロメロ♪メーロメロ♪メェーロメローメロメーロメロ♪メーロメロ♪メーロメロ♪メェーロメロメーメロメロ♪」
「綺麗な歌声……何だか心が落ち着く」
「(今のリコには、ぴったりかもでしゅね)」
リコはさっきまで寝ていたが、今しがた目を覚ましたのだ。シェイミはもうすぐお昼ご飯が来るからそれまでメロエッタの歌でも聞いたらどうかと言い、今に至る。
ドンドンドン(ドアを叩く音)
「メロエッタ、シェイミ、ソウハだ。昼ご飯持ってきたから、入っても良いか?」
「ソウハ、どうぞ~」
ガラガラッ(ドアを開ける音)
「リコ、起きてたのか」
「うん、ちょっと前に起きたとこ」
「そうか、昼ご飯持ってきたけど食べれるか?」
「うん、ありがとう」
「シェイミ、メロエッタのご飯も持ってきたぞ」
「ミィ~♪」
「ロメッタ♪」
リコとシェイミとメロエッタはソウハから昼食を受け取る。
「それじゃあな、ゆっくり食べろよ」
「うん、ありがとうソウハ」
「(あれ?ソウハはここで食べて行かないんでしゅか?)」
「えっ?」
「(ミィもメロエッタも、テンブ達と食事にしようかなって思ってたとこなんでしゅ)」
「ローメー!ローメー!(そうそう!だけどリコを1人にしちゃおけないから、ソウハが傍で話し相手になってあげて!)」
「お前ら……」
シェイミとメロエッタはソウハに向かってウィンクした。
ソウハは2匹の気遣いに感謝する。
2匹は自分の皿を持ち、医療室を出ていく。
医療室にはソウハとリコ、2人だけとなった。
「えっ~と……」
「……あ~リコ、ここで俺も食べて良いか?」
「う、うん……」
「じゃあ俺も、昼食を取りに行ってくる」
「わ、分かった」
ソウハはマードックが用意してくれた弁当を取りに行き、医療室に戻ってきた。
「「いただきます」」
「モグモグ……美味しい!!」
「そうか……口に合ったようで良かったよ」
「えっ、このお粥とスープはソウハが作ったの?」
「まぁな、出来たての方が良いかと思って」
「すっごく美味しいよ!やっぱりソウハって旅で料理するのに慣れてるの?」
「あぁ、1人旅だと野宿するときも多かったからな」
そうやってリコとソウハは会話を楽しみながら食事をした。
「ごちそうさま、とっても満足」
「お粗末様でした……リコ、体温の方はどうなってる?」
「えっと……ちょっとまって」
リコは脇の下に体温計を挟み、体温を測る
「36度5分!大分下がったよ!」
「そうか、よかったよかった。パルデアまでもうちょっとだから、熱を出したままじゃあ絶対家に送れないからな……」
「あっ……そ、そうだね……(そうか、もうちょっとでパルデアに着くんだ……)」
もうすぐ実家に到着する。セキエイ学園に通うようになって以来の久々の実家。帰れることや両親に会えるのは勿論嬉しい。しかし……。
「(皆とお別れに……)」
元々、ソウハと共にペンダントの秘密を解くためにパルデア地方に向かおうとしたところに、リコの両親から依頼されたライジングボルテッカーズと合流してメンバーに加わったのだ。
依頼を果たしたらライジングボルテッカーズとお別れになるのが道理なのだろう。
「(それに、ソウハと一緒に旅をするのも……もしかしたら終わりかも)」
実家にあるリコの祖母の部屋で、もしペンダントの秘密が分かれば……結果次第では旅が終わってしまうかもしれないということもあり得る。
リコはこの楽しかった旅が終わってしまうかもしれないということに思い悩んでいた。
「(……どうしよう)」
「リコ、大丈夫か?」
「えっ?」
「急に静かになって、まだどこか悪いのか?」
「あっ!ううん、大丈夫だよ!」
「……何か、悩み事か?」
「い、いや、そんなこと……」
「………1人で抱え込んだら、身体だけじゃなくて、心にも負担かけちまうぞ」
「…………」
「誰かに話せば楽になることだってある、俺で良ければ聞くぞ、リコ」
「ソウハ……じゃあ聞いてくれる?」
「あぁ」
それからリコはソウハに自分の悩みを話した。パルデアの実家に着いたら、ライジングボルテッカーズの皆との旅が終わってしまうこと、そしてペンダントの秘密を解き明かしてしまったらソウハとの旅も終わってしまうかもしれないということ。
旅が終わってしまったら……その時自分はどうすればいいのか分からずに悩んでいること。
「こんなところかな……」
「………」
ソウハはリコの悩みを静かに聞いていた。リコが話し終えたところでソウハは口を開く。
「話は分かった。1つ確認しておきたいことがあるんだが……リコ、お前はどうしたいんだ?」
「わ、私は……」
「実家に残るか、この船で旅を続けるのか……依頼のこととかペンダントのこととかは今は忘れても良い。リコの正直な気持ちを教えてくれ」
「(私の……正直な気持ち……)」
胸に手を当て、リコは目を閉じた。
リコの脳裏に浮かんできたのは、セキエイ学園で初めてソウハやニャオハと出会ってからここに至るまでの記憶だった。ペンダントをめぐり、エクスプローラーズに襲われ、その度にソウハやライジングボルテッカーズの皆に助けられながらここまで来ることが出来た。
怖い事や不安になった事もあったが、それ以上に楽しい日々であった。
そしてリコは、小さい頃に祖母から言われた言葉を思い出す。
『怖いのは最初の1歩だけ。踏み出せば見たことのない景色が広がっていて、怖かったことなんて忘れてしまうもんさ………ポケモンが一緒ならきっと大丈夫』
「(そっか……おばあちゃんの言ってた事の意味が……分かった気がする)」
リコは閉じていた目を開き、ソウハに向けて口を開ける。
「私は、ニャオハとソウハと、ライジングボルテッカーズの皆と、もっと旅がしたい!!」
「……ハハッ、やっぱそう言うと思ったぜ」
「ソウハ……ありがとう!私、もう迷わないよ!フリード達が帰ってきたら、この事を話してみる!」
「そうか……頑張れよ、リコ」
「うん!」ニコッ
「ッ!!///////」
悩みが吹っ切れたリコの満面の笑みに、ソウハは思わず見惚れてしまった。
「(リコは自分で悩んで考えて、正直な気持ちを話した。なら俺も、いつまでも悩んでいるわけにはいかない。俺も、自分に正直になるんだ)」
「ソウハ、どうしたの?」
リコはソウハが急に黙ってしまったことに疑問を持ちながらも、声をかける。
「……リコ」
「???」
「お前が正直な気持ちを話してくれたように、俺も自分の正直な気持ちを言おうと思う」
「えっ?ソウハの?」
ベッドに上半身だけ起き上がっているリコに対して、ソウハはベッドの隣の椅子に座りながらも真っ直ぐ見つめる。
リコは急に真剣な眼差しで見つめてきたソウハに少し驚く。
「……リコ
俺は君のことが好きだ」
「・・・・・・ヘっ?………ええっ!?//////////」
突然の告白に、リコは変な声をあげ、顔はぽんっと音を立てるようにして真っ赤になった。
「仲間とか友達としての好きじゃない。俺はリコのことを、1人の女の子として好きです//////」
「ッッ~~///////」
ソウハは今まで座っていた椅子から立ち上がり、リコに向かって頭を下げる。
「俺で良ければ、付き合ってください////」
頭を下げているソウハは、これ以上ないという程緊張していた。ひょっとすれば、ポケモンリーグでのバトルの時よりも心臓の鼓動が早いかもしれない。
そんなソウハをリコは顔を赤くしながらも、口を開く。
「ソウハ、頭を上げて」
「………」(ソウハは頭を上げる)
「その……私、こんなこと初めてで、上手く言葉に出来なくて……」
「……ごめん」
「ううん、謝らないで!!……ただその、聞きたいことがあって……」
「何だ?」
「どうして、私のことを好きになったの?」
リコは自分のことを内気でコミュ障な性格であり、どこにも好きになる要素なんて無いと思っていた。
「……リコ、お前は自分自身で気付いてないかもしれないけど、とっても優しくて頑張り屋な女性だ」
「へっ!?そんな、私なんて/////」
「いいや、夜の湖での特訓の時のニャオハへの思いやりを、俺は忘れてないぞ。自分のポケモンに対して、今出来ることを一生懸命やっているその姿に、俺は惹かれたんだ」
「ソウハ……/////」
「改めて言う。リコ、貴女のことが好きです。俺と付き合ってください」
今度はリコの目を見ながら、ソウハは言い放った。
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「…………」
リコは今までの人生の中で男性との付き合いは自分の父親ぐらいしかなかった。
ただでさえ、同性の友達と呼べる存在がいないに等しいかったのだ、異性の友達など以ての外であった。
だが、リコも年頃の女の子である。少女マンガのような恋愛に憧れを持っていた。
「(わたし……)」
それが今、学園にいた時から助けてくれた人に
「(わたし……)」
『好き』と想いを告げられ
「(今、物語のヒロインになったような気がする)」
嬉しくないわけがなかった。
「リコ?」
「うん……ソウハ」
リコもソウハを真っ直ぐ真剣に見つめた。
「私で良ければ、よろしくお願いします」
「ッ!!良いのか?」
「うん、私もソウハのことが好きだよ。多分、学園にいた時から……ずっと好きだったんだと思う」
「えっ?そうだったのか?」
「ソウハには、いつも助けられてもらってばかりだった。学園にいた時も、旅に出てからも……もしソウハがいなかったら、私はエクスプローラーズに連れ去られてたかもしれない……だけど、貴方がいつも守ってくれた」
「リコ……」
リコはソウハの両手を自身の両手で包み込む。
「優しくて強くて、誰よりもかっこいい貴方のことが━━━」
「……」
「━━━大好きです!!」
「リコ!!」
ソウハは思わず、リコの背中に手を回し抱き締める。
「ありがとう!」
「こっちこそ、いつもありがとう!」
リコもソウハのことを抱き締め返し、2人はお互いの温もりを共有し合った。
その温もりは決して疲労の熱によるものではなかったと断言できる。
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夕方
その後、フリード達が街から帰ってきた。
その頃にはリコの体調は充分回復しており、熱も下がっている状態であった。
「35度5分、熱下がってるし、顔色も良くなってるね」
「それじゃあ、大丈夫なのか?」
「うん、でも念のためこの後もベッドで横になってること。薬も飲んで安静にしておいて」
「うん、分かった」
モリーの診断でも問題は無いようであった。
「……ねぇフリード、皆も話したいことがあるの」
「うん?どうした?」
「私ね━━━━」
リコはパルデアに着いたとしても、この船で皆と一緒に旅をしたいことをこの場にいるメンバーに伝えた。
その言葉に反対するものはおらず、全員が笑顔で歓迎していた。
「皆、ありがとう!!」
「何言ってるんだ!リコは俺達ライジングボルテッカーズの一員だ!」
「ピーカピカ」
「そうだよ、リコ。あんたがはっきりそう言ってくれて私達も嬉しいよ」
「そうそう!」
「僕も!!」
「ホンゲッ!!」
「勿論、俺もだ!」
「リコ、そのことをお前の父親にも、はっきり言うんだぞ?」
「ミジュ!」
「うん!」
なお、リコとソウハがカップルになったことをこっそり盗見していたテンブがぽろっと話してしまい、ソウハとテンブの激しい鬼ごっこが発生したのは別の話だ。
ブレイブアサギ号
ウィングデッキ
「おいコラァ!!テンブ!!」
「(悪かったって、許してくれよ!!助けて、メロエッタ!シェイミ!!)」
「ロメッタ……(自業自得よ……)」
「(大人しくしばかれるでしゅね)」