ポケットモンスター ~少年が進む道はキズナによって切り開かれる~ 作:Kod
今回は最後にソウハのイーブイについて記しています
追記:7月改訂
ソウハ達はオリーヴァから地上に降りると、地上に残っていたモリーやテンブ達にこの森が予想以上に深く傷ついている現状を説明し、この森に住むポケモン達のかつての暮らしを取り戻す為に森を再生させることを提案した。
「森の再生か………異論は無いけど、本当に出来るの?」
モリーもソウハの案には賛成の様だが、現実的に可能なプランであるのかについては少々疑問を抱いている様子だった。それはモリーだけでなくリコやロイも同じらしい。
「あぁ、上手くいけば今日中に元に戻せるかもしれない」
「えっ!?」
「今日中に!?」
「あぁ、手順を説明するからよく聞いてくれ」
ソウハは3人にこの森を再生させるプランを説明していく。
まずは、リコとモリーの女性陣の役目は森にある木の実をたくさん集めることだ。この際、今後の森で生活するポケモン達の為に、オレンの実やオボンの実等の体力回復効果のある実やラムの実の様な状態異常を回復する実等を中心に運んで持ってきてもらう。
そして、ソウハとロイは焼け野原となった個所を耕す作業だ。焼け野原となった個所は広いため、2人だけでは当然不可能だが、そこはポケモン達の力を借りる。そこにリコ達が持ってきた木の実を植えて下準備を行うという内容だ。
「だけどソウハ、今日は雨降らないから肝心の水はどうするの?」
「大丈夫。テンブ、ミュウ、頼めるか?」
「(あぁ)」
「ミュウ!(任っかせて~!)」
テンブには『ハイドロポンプ』や『みずのちかい』、ミュウには『あまごい』でこの森一帯に雨を降らせ、作った畑に水を与えるのだ。
「……プラン自体は悪くないと思うけど、これだと森の再生には何年もかかるでしょ?どうやって今日中に森を再生させるつもりなの?」
「その鍵を握ってるのは………シェイミとビクティニだ」
「(その通りでしゅ!)」
PON!
「ビークティ!(やっと僕の出番だね!)」
モンスターボールの中からビクティニが出てきた。
「シェイミの大地を癒す力とビクティニのパワーを合わせれば、この森は完全に復活させられる」
「本当に、ソウハ!?」
「あぁリコ、その為に俺達で出来ることをやろう」
「うん!」
「ニャオハッ!」
「僕達も頑張ろう!なっホゲータ!」
「ホンゲッ!」
「まったく……ソウハやソウハのポケモン達には驚かされてばっかりだよ。でも、森が再生できるのなら私も協力するよ」
「ラッキ!」
3人はシェイミやビクティニの力に驚きながらも、ソウハの言葉には嘘偽りない言葉に本当になんとかなるかもしれないという期待に希望を抱く。そして、各々が担当された仕事に取り掛かる。
リコとモリーは木の実を集めに森の中へ、そしてソウハとロイは焼け野原を耕しに移動した
「ミュウーー!!」
「ティアーー!!」
移動した焼け野原をミュウは『じだんだ』で地面を踏みつけて耕し、ラティアスは『ウェザーボール』を地面に放ち耕していく。テンブは『なみのり』で土を柔らかくさせている。
シェイミとビクティニも手伝おうとしたが、最後の最後まで力を温存させておいてほしいとソウハに言われ、目を瞑って意識を集中させていた。
「ロイ、ホゲータ」
「どうしたの?」
「ホゲッ?」
ソウハに声をかけられ、ロイとホゲータは一旦手を止める。
「少し手を止めて良いから、ミュウの『じだんだ』をよく見ておけ」
「えっ?」
「この前のコルサさんとのバトルでホゲータは『じだんだ』を覚えたが、精度はまだ低い。だからミュウの完成型の『じだんだ』を見て、イメージを固めるんだ」
「成る程!分かった!」
「ホゲッホゲッ!!(覚える覚える!!)」
ロイとホゲータはミュウに近付き、『じだんだ』の真似をし始めた。
「ミュウ?」ズシッ,ズシッ、ズシッ
「ホンゲッ、ホンゲッ、ホンゲッ」ズシッ、ズシッ、ズシッ
「良いぞ、その調子だ!ホゲータ!」
「ミュミュ!ミュ~!(僕の真似か!もっと足を高くして地面を踏みつけて!)」
「ホゲ?(こ、こう?)」
「ミュー!(その調子!)」
最初こそ見よう見真似であったが、次第にホゲータの『じだんだ』は精度が上がっていき、技として成立する段階にまでなってきていた。
「良いぞホゲータ!ロイ、俺達も俺達で頑張って耕すぞ!」
「うん!!」
ソウハとロイも自分が出来ることを行っていく。だが、山火事の被害は思っていた以上に広いため自分達だけでは夜までかかるかもしれないと感じる。
「(仕方ない、フリード達にも応援を要請するか)」
スマホロトムを起動させ、フリードの番号に連絡を入れる。
「もしもしフリード?」
『ソウハか、何かあったか?』
「実は━━━━━」
ソウハはフリードに森で出会った巨大なオリーヴァの事、森が火事になった事、そして森を再生するために活動を始めたことを全て説明し、応援要請を行った。
『成る程……状況は分かった、任せておけ!俺を含めて何人か連れて直ぐに応援に行ってやるよ!』
「よろしく頼むよ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
フリードに連絡して暫くすると、ソウハ達の元にフリードとオリオ、そしてランドウも同行して応援に駆け付けてくれた。
フリード達はソウハ達が畑を耕している間にリコ達と合流し、木の実の採集と植え付けの作業を行っていく。人数が増えたこともあり、効率よく作業は進み、あっという間に畑は完成した。
「よし………こんなもんだな」
「あぁ、後は水だけだ。ミュウ、『あまごい』を頼む」
「ミュ!(うん!)」
ミュウは両手を擦り合わせ、上空に手を翳すと灰色の雨雲が発生し、徐々に森を覆うように拡がっていく。
「(よし!俺もやる!)」
「あぁ、テンブも頼む」
「どれ、わしも手伝おう」
「ん?ランドウさん?」
ソウハの隣にランドウがやってきた。ランドウは胸元に手を突っ込み、そこからみずタイプのポケモンのゲットに使用されるダイブボールを取り出した。
「枯れ木も山の賑わいと言うからの。わしも久しぶりに、なまくら刀を振るうとするか」
PON!
「ヌゥーオ!」
ランドウはダイブボールを宙に投げると、みずうおポケモンのヌオーが現れる。
「ヌオー!お主も大いなる恵みをもたらす手伝いをするのじゃ『あまごい』!」
「ヌ~オッ」
ヌオーは両腕を空に広げ叫ぶ。すると、ミュウよりも範囲は狭いが雨雲が発生し、雨が降り始める。
「ソウハ、お主のミュウ程ではないが、これで少しは負担も減らせるであろう?」
「ランドウさん……はい!これで更に捗ります!テンブは『ハイドロポンプ』や『みずのちかい』で大地を潤してくれ!」
「(了解!)」
テンブの力強い『ハイドロポンプ』と『みずのちかい』によって雨が染み込まれない地面の奥底にまで水が届く。
「よし皆!もう水は充分だ!!」
ソウハはミュウとヌオー、テンブに技を止めるように声を掛ける。
「ソウハ、次はどうするんだ?」
「次はいよいよ本命だ。シェイミ、ビクティニ準備出来たか!?」
「ティニ!!(何時でも行けるよ!!)」
「(ミィも!!)」
シェイミとビクティニは力を溜め終わったようで、ソウハの肩と頭に乗っかる。
「いよいよ……シェイミとビクティニが森を再生させる鍵ってソウハは言ってたけど……(一体何をするんだろう?)」
「ニャ~……」
「(シェイミとビクティニ……どちらも幻と呼ばれるポケモン。その力は一体どれほどのものか……)」
「ピーカッ」
リコとフリードはシェイミとビクティニが森をどうやって再生させるのか、気になっていた。ロイやモリー、オリオとランドウ、そしてオリーヴァも同じくらいソウハとビクティニ、シェイミを注目している。
「いくぞ、シェイミ!」
「ミィ!」
「
「ミィーーーー!!」
ピッカーーーーーン!!!
「ピカッ!?」
「こ、これは!!」
「シェイミ!?えっ、なになに!?」
「ニャッハー!(眩しい!!)」
「ヴァァ!?(この光は!?)」
シェイミが首元に巻いてある《グラシデアのスカーフ》を嗅ぐと、シェイミの身体が金色に輝き始めた。そしてシェイミの丸みを帯びたランドフォルムは━━━━━━
ピカーーーーーン!!!
「ミィーーーー!!!」
「!!!シェイミの姿が………」
「ニャッ!?」
「変わってる!?何あれ!?」
「ホゲッホゲッ!?」
━━━━スカイフォルムへとフォルムチェンジした。
姿はハリネズミの様な姿から四肢が伸び、犬のような姿となる。頭部にはまるで白い翼のような耳があり、首元にはスカーフのように生えている赤い花の花弁とピンク色のスカーフ《グラシデアのスカーフ》を巻いている。顔立ちも目が大きくなり精悍な顔つきとなり、リコ達は始めてみるシェイミの姿に驚きを隠せないでいた。
「シェイミーー!!」
シェイミはスカイフォルムになるとソウハの肩から飛び降り、リコ達の頭上をグルグルと飛び回る。
「あれが、シェイミ?」
「ラッキー……(さっきと雰囲気が全然違う……)」
「空を飛んでる……」
「ニャ……(本当に飛べたんだ……)」
「ほっほっほっ……花は地にだけでなく、空にも咲くということか」
「ヌゥ~(僕も空飛んでみたいな~)」
「シェイミの姿、何だか格好いい!!それに空飛んでる!!ソウハ、何で?」
「ホゲッ?(何で?)」
「あ~そう言えば、ロイには話してなかったっけ?シェイミのあの姿は《スカイフォルム》って言って、あの姿になればシェイミのタイプが変化するんだ。くさタイプにひこうタイプが加わって空を飛ぶことが出来るようになる」
「へぇ~!!そうなんだ!!」
「だがソウハ、シェイミはグラシデアの花の花粉を嗅がなきゃフォルムチェンジ出来ないんだろ?」
「えっ、そうなの?」
フリードはフォルムチェンジする前に、シェイミはグラシデアの花の花粉を嗅がずにスカイフォルムへとなったことに疑問を持ち、ソウハに質問する。
「それはシェイミが首元に巻いてるあのスカーフのお陰だ」
「スカーフ?」
「もしかして、あのピンク色のスカーフか?」
「そう、あれは俺が作ったんだ。《グラシデアのスカーフ》って言って、あれにはグラシデアの花粉を染み込ませた糸を編み込ませて作ったんだ。だからスカーフを巻いていれば、シェイミは自由にフォルムチェンジを行える」
「(その通りです!)」
シェイミは再びソウハの肩に乗った
「(このスカーフはソウハがミィの為に編んでくれた世界で1つの物です!ミィの宝物なんです!)」
「シェイミ……」
シェイミは肩に乗りながら、ソウハに甘えるように頬ずりする。その様子にリコ達は、シェイミはソウハのことが大好きなんだなぁと微笑みを浮かべる。
「マジかよソウハ、お前そんな道具まで作れるなんて……」
フリードはグラシデアのスカーフのことを聞き、再度驚く。
「(皆、驚くのはまだ早いです!)」
「クッティ!(いくよ!)」
シェイミとビクティニはオリーヴァよりも高く、森の全体を見渡せる場所まで飛び上がった。
「ビ~ク~ティ!!(シェイミ、僕の力を使って!!)」
ビクティニは両手をシェイミに翳すと、金色のエネルギーがシェイミに流れ出る。
ビクティニは体内で無限のエネルギーを作り出せる。そのパワーを触れたポケモンや人間に分け与え、力を何倍にも膨らませることが出来る。
「(ビクティニ、ありがとうです!!)」
「ビーク!(どういたしまして!)」
「よしシェイミ!ゼンリョクでいくぞ!」
「ミィ!!」
ソウハは右腕にZリングを嵌め、両手を胸の前でクロスする。Zリングには緑色のクリスタル、クサZが装填されており、光輝く。
「あれって……!」
「ニャッ!」
「ソウハとシェイミ……何でポーズ取ってるんだろう?」
「ホンゲ……?」
ソウハとシェイミは、両手を下から上へと、地面から芽が生えるようなポーズを取った。
「大地よ!……花よ!!……蘇れ!!」
「(この森は、みんなの家なんです!!)」
「これが俺達の!!」
「(ミィ達の!!)」
「「ゼンリョクだ!(です!)」」
「「ブルームシャインエクストラ!!!」」
ザザザザァァァァァ!!!
シェイミからくさタイプのZワザ『ブルームシャインエクストラ』が放たれた。周辺の草花の生命力を活性化させる程のエネルギーを放つこの技は、ビクティニのパワーによって力が増され、森全体に行き届いた。
空からはぼた雪のような緑色のキラキラが降ってきて、荒れた大地へと降り注がれる。
「うわぁ~……キレイ」
「ニャッ~」
「ポケモンの技にこんな凄い技があるなんて……」
「ホンゲー……」
「!?皆、地面から芽が生えてきている!!」
「ラッキ!!」
リコとニャオハ、ロイとホゲータは目の前の美しい光景に息を呑む。するとモリーは、緑色のキラキラが地面に触れた所から若葉が生え、その若葉はムクムクと育ち続け、やがて大きな木となり、草となり、花が咲き始め、森は以前のような姿を取り戻していった。
「凄いなぁ!森が元に戻った!!」
「ピーカー!!」
「見て!ポケモン達も戻ってきた!」
「ニャオハッ!!」
暫くすると、元に戻った森にポケモン達が次々と姿を現す。この復活した森があれば、ウパーの様に住処を失い傷を負うポケモンはいなくなり、安心して生きていけるだろう。
「(しかし、これ程とはなぁ)」
フリードはシェイミとビクティニの力をポケモン博士として知っていた。だがまさか、これ程まであっさりと森を復活させられるとは思っていなかった。
「………ヴァァァァ」
森にポケモン達が戻った姿を見届けると、オリーヴァは静かに声を上げる。すると、リコのペンダントが突如、輝き始めた。
ピッカーーーーン!!!
「!!?ソウハ、ペンダントが!」
「これって、ポケモンセンターの時と同じ!」
「レックウザの時とも一緒だ!」
ペンダントは光り始めたと思ったら、ポケモンセンターの時と同じように足の様な物が生え始め、少しずつ姿を変えていった。
「パ~ゴォ~」
光が収まるとそこには、ソウハとリコがポケモンセンターで出会った、ゼニガメでもプロトーガでもない亀のような姿をしたポケモンが姿を現した。
「また、ペンダントがポケモンに………」
「…………」
「本当にポケモンだったのか」
ペンダントがポケモンに姿を変えた。リコとソウハの目撃証言などから予想していなかった事ではないが、それでも実際に目の当たりにすると2人以外の全員が驚く。それはオリーヴァも例外ではなかった。ただ、オリーヴァはそのポケモンを見ても驚くことなく即座に行動を取り始めた。
「リィィヴァァ」
オリーヴァは謎のポケモンを見ると、身体を光り輝かせエネルギーを球体状に収縮するとそれを謎のポケモン、そしてソウハとリコとロイにゆっくりと被せる様に当てた。
「えっ!?きゃっ!?」
「うわっ!?」
「くっ!!」
「ソウハ!!リコ!!ロイ!!」
「ニャッ!(リコ!)」
「ホゲッ!(ロイ!)」
「(ソウハ!!)」
フリードは慌てて手を伸ばすが間に合わず、3人は球体に取り込まれてしまう。3人のパートナー達は外に弾き出されてしまった。
光の中
「わわっ!?何これ!?」
「今度はなに!?」
「2人とも落ち着け!そこから動くなよ!」
ソウハは慌てているリコとロイを落ち着かせようと声をかける。その時、突然周囲の光景がガラリと変わった。
「「「ッッ!!!」」」
周囲はまさに、五里霧中といった表現が合う風景。だが、3人の前に突然、人影とポケモンの影が現れた。
「……だれ?」
「あれは、オリーヴァか?」
リコとソウハが呟く。すると、人影は顔をこちらへと振り返った。まるでこちらに語りかけるかのように
『見つけて欲しい………』
「えっ?」
『見つけて欲しい………この世界を』
「(この世界?)」
そう呟くと人影はゆっくりと霧の中に消えていき
キューーーーン!!!
謎のポケモンも役目を終えたかのように光を放ち終え、ペンダントに戻っていった。そして3人は、元のオリーヴァの森へと戻ってきた。
「ソウハ!!リコ!!ロイ!!3人とも大丈夫か!?」
「ニャー!」
「ホンゲホンゲ!」
「(ソウハ!!)」
フリード達は光の中から出てきた3人に駆け寄る。3人の相棒達も足元に駆け寄った。
「う、うん……」
「大丈夫……」
「……俺達は問題ない………」
「???」
3人はあの光の中で見た光景に困惑していた。一体何がどうなっているのか理解できていなかったからだ。
「……ヴァァァァァァァ」
フリードは更に詳しい話を聞こうとするとオリーヴァは突然、大声を出し始める。するとオリーヴァの首元にあった古のモンスターボールが光り始め、オリーヴァは吸い込まれていく。古のモンスターボールはオリーヴァを吸い込むと地面に落ちた。
「自分から入っちゃった……私達に付いてきてくれるって事かな?」
「あぁ、オリーヴァの意思だ」
ソウハはオリーヴァが『私を連れていきなさい』と言いながらボールに入っていった。オリーヴァやペンダントのポケモンに聞きたいことは山ほどあったが、古のモンスターボールは開かないしペンダントも反応はなし。結局新たな謎が出てきただけであった。
「(まぁ、オリーヴァが認めてくれたことは確かみたいだから良かったか)」
ソウハは地面に落ちてある古のモンスターボールを拾うと
「リコ、ロイ……このボールはお前達2人で預かってくれ」
「「………えっ!?」」
ソウハはリコとロイの前に差し出した。
「ぼ、僕達が!?いやいや、絶対ソウハが持っておいた方がいいよ!」
「そうだよ!オリーヴァとバトルしたのも、森を再生させる方法を考えたのもソウハだもん!私達が持ってるよりもソウハが持っておいた方が絶対いい筈だよ!!」
リコとロイは両手を前にして振り、全力で拒否した。
「いや、気持ちは嬉しいが、この古のモンスターボールはリコのペンダントと何かしら関係があるのは確かだ。俺が持っていても有効活用してやれる自信はない」
「で、でも……」
「俺が持ってても役に立たないけど、リコ達が持っておけば役に立つかもしれない。いいから遠慮せずに貰っておけ」
そう言うとソウハは半ば強引にリコの右手に古のモンスターボールを持たせた。
「わ、分かった。それじゃあ持っておくね」
「あぁ、頼む」
「よし!それじゃあ一件落着ってことで、全員船に戻るか!」
ここでのやるべき事を全て果たしたライジングボルテッカーズは船に戻る。
「あれ?シェイミはまだスカイフォルムのままなのか?」
「ピカッ?」
「(元に戻ってない所があるか、空からチェックするためです!)」
「なるほど、頼もしいなシェイミは」
シェイミはスカイフォルムのまま、ビクティニはモンスターボールに戻らずソウハ達より少し高い所を見渡していた。シェイミはやり残しがないか確認するため空を飛んでいると言っていた。勿論、それもあるが
「(ソウハ……やっぱりこっちを見ているです)」
「(距離は?)」
「(ここから大体500メートルの所……小型のドローンのような物が見えたです)」
「ティーニ?(ソウハ、どうする?)」
「(破壊するか?)」
「ミュミュウ(またあの集団かな?)」
ソウハもテンブもシェイミもビクティニもミュウも、森の再生作業を行っていた時から誰かに見られているような視線を感じていた。ソウハはテレパシーでこっそり自分のポケモン達にそのまま気付いていないふりをして、どこから視線を感じるのかを調べていた。
「……(今すぐに襲ってくるような感じじゃないから、もう少し様子を見る。だが各自、警戒はしていてくれ。特にリコの周囲には気をつけてくれ)」
そのままソウハとソウハのポケモン達は謎の視線を警戒しながら、船まで戻っていった。
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ブレイブアサギ号
ソウハの部屋
「ロメ……ロメッタ(そう……そんなことがあったのね)」
「(でももう、あの森は大丈夫だ。なぁシェイミ!)」
「(テンブの言う通りでしゅ!ミィとソウハのブルームシャインエクストラ、皆にも見せてやりたかったでしゅ!)」
「ブイブーイ、ブー……(はいはい、調子に乗らない……)」
「ミュウ!(それに僕達も手伝ったんだよ!)」
「ラーティ(そうそう)」
ソウハの部屋では森に行ったシェイミ達と船で留守番をしていたメロエッタ達が今日あった出来事を話していた。それをソウハはベッドで寝転びながら聞いていた。因みに腹の上にはビクティニとピカチュウが横になっていた。
「……なぁゲノセクト、俺達が森に行ってた時、船の近くにいたレアコイルを追い払ったんだよな?」
「(アァ、ヤツハシュウイニデンジハノヨウナモノヲハナッテイタ)」
「ロメッタ、メロエッタ(ねぇソウハ、そのレアコイルなんだけど何かおかしいの)」
「おかしいって?」
「メーロエッタ、ローエッタ(レアコイルが電磁波を放っていた場所よ、まるでこの飛行船だけを狙い打ちにしていたみたいだったの)」
「…………」
ソウハはスマホロトムを取り出し、この辺りに生息しているポケモンを調べた。
「………この辺りには、野生のレアコイルはいないみたいだな」
「(ってことはソウハ!)」
「あぁ、そのレアコイルは野生じゃない。誰かのポケモンということになる」
「イブイブ(誰かってまさか)」
「十中八九、エクスプローラーズの誰かだろう」
もし、ゲノセクトがレアコイルを追い払ってなければ、周囲に放つ電磁波の影響によってスマホロトムが機能しなくなり、モリーやフリード達と連絡が取れなかったかもしれない。
ソウハだけなら空を飛べるラティアスを持っているため何とかなるかもしれなかったが、リコやロイ、モリーが迷っていたかもしれない。
「………チッ、姑息な手を使う奴か」
「ミュ?(姑息?)」
「あぁ、多分俺達を森の中で見ていた奴とレアコイルをこの船にけしかけた奴は同じ奴だ」
「ローメッタ、メッタ?(レアコイルで連絡を絶ち、孤立した森でソウハ達を襲おうとしたとか?)」
「それも考えられる。奴らの目的はリコのペンダント、そしてロイが持つ、ペンダントに関係している古のモンスターボール。2人はまだトレーナーになったばっかで、手持ちも1体ずつしか持ってないんだ」
「(たしかにそうでしゅ……)」
ソウハはまたアメジオらが率いているのかと一瞬思ったが、すぐに否定する。アメジオは正面から堂々と挑んでいくイメージであった。だが、今回のやり方はそれとは正反対な姑息なイメージである。
「皆、今度のエクスプローラーズは頭が回る姑息な奴だと思う。充分注意してくれ」
ソウハの呼び掛けに、今部屋にいる者も、ボールの中にいる者も頷いた。
ロトロトロト……ロトロトロト
「ん?」
ソウハのスマホロトムから着信音が鳴る。電話に出ると相手はロイだった。どうやらこの前、ロイが話していた『古の冒険者』について何か分かったことがあるらしく、ソウハは急ぎミーティングルームへと向かった。
中に入るとそこにはロイだけではなくリコもおり、更にテーブルの上には見覚えのある絵本が何冊か置かれている。
「ソウハ!この本だよ!この本に『古の冒険者』と黒いレックウザについて描かれてあったんだ!」
「えっ?間違いないのか?」
「うん!絶対そうだよ!」
「(古の冒険者………)」
ロイはその中から1冊の本を取り、ソウハに見せてくる。
ソウハはその本を手に取り、読み始めた。
「……『昔々、100年も昔の話 かつて、黒いレックウザを従えた1人の冒険者がおりました。その名をルシアス』」
「……ルシアス」
「『彼はあらゆる地方を旅して、強きポケモン達と出会い、彼らと深い絆を結びました。彼らはまだ見ぬ景色を夢見て、ポケモン達と世界の果てを目指し、旅に出ます』」
「………」
「『大地を走り、壁を砕き、空を駆け、傷を癒し、海を渡り、冒険を続けるうちに辿り着いたのは、とても豊かで美しい、光り輝く楽園でした』」
「(楽園?)」
「『冒険者と黒いレックウザ、そして仲間のポケモン達は、その楽園でいつまでも仲良く、幸せに暮らしました。その開くなき探求心と勇気を讃え、いつしか人々は彼をこう呼ぶようになりました………古の冒険者と』………」
ソウハは一通り読み上げる。普通に考えればよくあるおとぎ話なのだが、黒いレックウザも見たことのないモンスターボールも、そしてペンダントのポケモンも……思い返せば無視することの出来ない内容がいくつも存在する。
「この黒いレックウザって、私達が見たあのレックウザなのかな?」
「その可能性は高い。だとすると、この本の傷を癒したっていうのは、あのオリーヴァのことを言ってるのかもな」
そう考えれば色々と筋が通る。古の冒険者ルシアスには黒いレックウザとオリーヴァに加えて、あと4体のポケモンが存在したことになる。レックウザやオリーヴァの例から見て、恐らくその4体も普通のポケモンじゃないかもしれないとソウハは思った。
「凄い!!僕会ってみたい!!」
「ホゲッ!」
ロイとホゲータはそんなポケモン達がいると分かると興奮気味にそう言った。
「……リコ、アレックスさんって古の冒険者のこと知ってたのか?」
「あっ!待ってて、お父さんに電話で聞いてみる!」
リコがアレックスに聞いた話によるとあの絵本はリコの祖母であるダイアナから聞いた話を基にしアレックスなりに纏め上げたものを絵本にしたらしい。
「ってことは……作り話なのかな?」
「いや、黒いレックウザとオリーヴァは実在した。残りの4体も実在する。そう考えてみて良いかもな」
「そうだよね……私達がオリーヴァの森で見た人……何かを伝えようとしていたような気がするの……」
「……まだはっきりとしたことは分からないが、このルシアスっていう人が関係している可能性は高い」
あの時、3人が霧の中で見た人影、それはもしかしたらルシアス本人かそれに関係する人であるとソウハは思った。
━━━━━━━━━━━━━━━━
ミーティングルーム
「━━━━━という訳だ」
ミーティングルームではフリードが街でリコの母親であるルッカと再会し、そこでソウハとリコとロイが話した古の冒険者ルシアスと六英雄のことを話したという。
「やっぱり、ルシアスと黒いレックウザには繋がりがあった」
「あぁ、そしてロイ達が見つけた本に描かれていた六英雄も実在するものだと俺は思っている」
「…………」
「それで………これから、どうするのかはリコが決めてくれないか」
「…………」
リコは真剣そうな顔つきで考え始め、ドットを除いたメンバー達は全員黙ってリコの考えが纏まるのを見守る。
暫くすると、リコはペンダントを握り決意の籠った表情で話し出す。
「私はおばあちゃんに会いに行く。おばあちゃんに会えばこのペンダントの子の事が、黒いレックウザのことが何か分かるかもしれない!!」
リコは声を高くしてそう宣言した。
「そう言うと思った、だったら勿論俺も行くぞ、リコ」
「ミージュ!」
「僕も僕も!リコのおばあちゃんに会えば黒いレックウザのこともルシアスのことも分かるかもしれない!!」
「ホゲッ!」
「ソウハ、ロイ!」
「どのみち、リコのおばあさんには彼氏として挨拶しとかなきゃならないしな」
「ソ、ソウハ//////」
ソウハとしては、リコの母親のルッカ同様に何れはちゃんと挨拶に伺わなくてはいけないと思っていた相手の1人であるため、必ず会いに行かないといけないのだ。
「ねぇねぇ!リコのおばあちゃんってどんな人なの?」
「凄い人だよ!今も世界中を冒険してて、どこにいるのか………いつも分からないんだけどね……」
「えっ……ダメじゃん」
「いや、心配ない。リコのおばあさんがポケモンを使って居場所を教えてくれた」
「えっ!」
「今はガラル地方の古城にいるらしい」
「ガラル地方……」
「また知らない場所だ」
「(ガラルか……)」
「リコ、ロイ、ソウハ、3人の意思は固いようだな?」
「「うん!」」
「あぁ」
「目の前にある謎は、解けるまで追い求めるのが俺達のモットーだが……みんな、この航路に乗ってくれるか?」
「おう!」
「勿論!」
フリードが問いかけるとライジングボルテッカーズのメンバー達は1人、また1人とその案に賛成していく。目の前にある謎、見たことのないような景色がきっと待っている。誰1人として反対する者はいなかった。
「決まりだな!行くぞ!ガラル地方へ!!」
こうしてソウハ達はリコの祖母ダイアナがいるガラル地方に行くこととなった。
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「それで、どうしたんだ?」
緊急の会議を終えるとソウハはフリードに引き留められてミーティングルームに残っていた。
「あ~……実はな」
「………もしかして、リコのお母さん……ルッカさんに俺について何か伝言を頼まれたとか?」
「ッ!!」
「当たりか………ひょっとしてリコとの交際を認めないとかか?」
「ッ!!」
「ミジュ~(マジか~)」
「いやソウハ、たしかにそうなんだが………」
「……フリード」
「な、なんだ?」
「何時かは分からないけど、俺は俺自身の手でルッカさんに認めさせてみせる。だからフリード、手助けはいらない………伝言ありがとう」
ソウハはそう言い残し、テンブを連れてミーティングルームを出ていった。
「はぁぁ~…………」
ミーティングルームに1人残ったフリードは椅子に腰かけてフリードは大きくため息をついた。
「………」
上を向き、目を閉じればボウルタウンでの恩師でもあるルッカとの会話を思い出す。
それはルッカとの別れ際での出来事だ。古の冒険者や六英雄、ペンダントについてダイアナから話を聞く必要があると知られ、船に戻ろうとした時にフリードをルッカが引き留めた。
そしてルッカはまだリコとの交際を認めていないことをソウハに伝えてくれとフリードに言う。
『えっ!?何でですか!?アレックスさんは2人の交際を認めていたんですよ!?』
『あの人は誰に対しても優しいし、人当たりも良いから。でも私はそう簡単に認める訳にはいかない』
『なぜ?』
『あの子達はまだまだ子供なの。これからの人生は決して良い事ばかりだけじゃない、辛い事も悲しい事も沢山ふりかかってくる』
『…………』
『教師として、1人の母親として、きちんと見定めたいの。娘を本当に託しても良い人なのか……しっかり寄り添うことの出来る人なのか………』
『ルッカ先生………』
『フリード君、リコとソウハ君のことをしっかり見ていて!もしも娘を蔑ろにするようなことをしたら、私に直ぐ連絡して!!良いわね!?』
『は、はい!』
『ピッ、ピッ!?』
娘を想うルッカは笑顔だが……怖い。なぜなら背後にはまるで阿修羅のようなオーラを放っていたからだ。フリードとキャップは顔をひきつらせる。
結局フリードは逆らうことが出来ず承諾し、ソウハとリコに起こった出来事等をルッカに随一伝える事となった。
「ソウハ、リコ、すまん」
「ピカチュ………」
フリードは自分とキャップしかいないミーティングルームでそう呟いた。
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???
「船のシステム、通信手段、トレーナー達の実力、全ての分析が終わりました」
ライジングボルテッカーズが新たにガラル地方への旅立ちを決めていた頃、ソウハ達の様子を監視する1人の男がいた。アメジオから任務を引き継ぎ、ペンダントの回収を任されたエクスプローラーズの幹部の1人、スピネルであった。
「この中で厄介なのは、やはり…………彼ですか」
スピネルが端末を操作すると画面には森でオリーヴァと戦っているソウハやシェイミの写真、そしてZワザを放ち森を再生させている映像が映し出された
他にも船に送ったレアコイルをあっという間に追い払ったゲノセクトや他のソウハのポケモン達の映像も映し出され、スピネルはソウハのことを1番の脅威として認識していた。
「成る程。アメジオの言っていたことは嘘ではなかったようですね。任務でなければ、彼が持つ珍しいポケモン達を奪い、私の物にしたいですが………」
そう言うと今度はペンダントを持つリコの写真が映し出される。
「今のターゲットはこの少女とペンダント…………傍に彼がいてはとても厄介……ならば引き離せばいいだけのこと………フフッ」
「ブラッキ!」
スピネルはほくそ笑むと、自身の足元にいるブラッキーの頭を撫でる。スピネルはアメジオの様に積極的にバトルを行う様なことはせず、必要な情報を集め、作戦を練り、完璧に仕事をやり遂げる。それがスピネルのやり方であった。
「ペンダントを巡るあなた達の冒険も、ここで終了です」
そして、スピネルはモニタールームを暗転させ、作戦準備の為に部屋を出ていった。
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リコの実家
「すみませんアレックスさん。何の連絡もせずに訪問してしまって」
「それは別に構わないが、一体どうしたんだいこんな時間に?」
フリードの話を聞いたソウハはその後、自分の部屋に戻っていた。そしてミュウに頼み、『テレポート』で再びリコの家にやって来たのだ。因みに手持ちはミュウとテンブのみだ。
「実はアレックスさんにはまだ伝えていないことがあるんです」
「伝えてないこと?」
「あの時はフリードやリコ、ロイがいたので話せなかったのですが、こうして2人きりなら大丈夫だと思い、参りました」
「………一体どういうことかな?」
「今から言うことは、まだリコやフリード、メンバーの誰にも話していないものです。とても信じられないような話なので………信じてもらえるかどうかは分かりませんが、
「……………」
アレックスはソウハの真剣な眼差しを受けた後、口を開いた。
「分かった。君がそこまで真剣になってする話を、私は信じよう」
「ありがとうございます」
「話してくれ、君の過去を」
「はい。…………アレックスさん、貴方は
異世界という言葉を知っていますか?」
イーブイ
ノーマルタイプ
特性:???
技:とっしん アイアンテール まもる
シャドーボール ものまね のしかかり
⇓
???
???・???・???・???
???・???・???・???タイプ
特性:???
技:いきいきバブル びりびりでんき めらめらバーン
どばどばオーラ わるわるゾーン すくすくボンバー
こちこちフロスト きらきらストーム ブイブイブレイク
??? ??? ??? ??? ??? ???