ポケットモンスター ~少年が進む道はキズナによって切り開かれる~ 作:Kod
最後には、今回キズナ変化するポケモンのことを書いています。ソウハのどのポケモンがキズナ変化するか……どうぞ
夕方
ブレイブアサギ号
リコの部屋
ソウハがジュンサーさんの事情聴取を終え、ブレイブアサギ号に戻ってきた。ソウハはリコに呼ばれ、部屋へと招かれていた
「ソウハ、本当にどこも怪我とかしてないんだよね?」
リコはソウハが部屋に入ってすぐ、ペタペタと身体を触り怪我がないかどうかを確認する
「あぁ、念のため警察署の医者にも確認してもらって異常はないって診断だったから」
「ミジュミジュ」
「そう………はぁ~良かった~」
リコは安心したかのようにベッドの上にドサッと座り込む。その隣にソウハは座った
「リコ、改めて今日は心配かけて悪かったな」
「ううん、私を守ろうとしてくれてくれたことだったんでしょ?………嬉しかった。もしもあの時、私が街に出掛けてたらあの人に何をされていたか……」
「………ニャ~」
ニャオハはリコの胸に飛び込み、心配するかのような表情を浮かべていた
「ニャー、ニャオハ!!」
「ニャオハ……」
「『リコのことは、私が守る!!』ってニャオハが言ってるよ」
「ニャーオハ!」
「ニャオハ、ありがとう!!」
リコはニャオハを嬉しそうに抱き締める。ニャオハを笑みを浮かべ、頬をすりすりとしている。ソウハとテンブも、その様子を見て笑みを浮かべる。
「…………ねぇソウハ」
「なんだ?」
「私ね…………
あの時の続き……したいの」
リコは隣に座るソウハの方に顔を向けた
「ッ!!」
ソウハはリコの顔を見て、息を呑む。頬を赤らめさせ、瞳はいつもの青い瞳が、まるでクリスタルのようにキラキラと輝きを放っていた。『綺麗』『美しい』その言葉がぴったり当てはまるような表情でそんなことを言われ、ソウハは
「リコ」
ベッドに座りながら真正面で向き合う
「うん…………ッ」
リコはコクンと頷くと、目を閉じ、唇をソッと突き出した
「ッ………」
ソウハもゆっくりと唇を近付け、2人の唇が合わさる━━━━━
ロトロトロト……ロトロトロト……ロトロトロト
「「!!!」」
━━━━━━ことはなかった。ソウハのスマホロトムが鳴ったからだ
「(…………)」
「(…………)」
ソウハもリコも、またもやキスの邪魔をされ、イラッと来たが、スマホロトムに表示されている名前を見て、少し驚く
「あれっ?……ドットから?」
「えっ?ドット?」
リコもドットの名前を聞き、少しだけ落ち着きを取り戻す。ドットからソウハやリコに個人的に電話をするなど滅多にないからだ。緊急案件である可能性すらあるのだから、当然の反応だろう
だが、それはそれ、これはこれである。リコはまた、キス出来なかったことに目に見えて落ち込む
「(また、ソウハとキス出来なかった………)」
「………リコ」
「………なに?………ッ!!」
チュッ
2人の唇が、一瞬重なった
「…………へっ?………ッ!!?////////」
「恋人同士になったんだ……何時でもこういうことは出来る。だからリコ、またしよう」
「ソウハ……うん!!//////」
リコは唇に触れながら、嬉しそうにそう答えた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ナンジャモとのジム戦?」
『そう…………』
「いや、何でそうなったんだよ」
『実は………』
ドットはここのハッコウシティのジムリーダー、ナンジャモと知り合いであった
何度もビデオチャットでやり取りを行っている程の仲なのだが、ちょうどハッコウシティの近くまで来ているという会話の中で、『未来のチャンピオン』とも呼ばれているソウハがパルデア地方にいるらしいという情報をナンジャモが話し出した。その際、ドットがうっかり自分の船にいることを話してしまったのだという
「えっ!?ドットってあのナンジャモさんと知り合いなの!?」
『ま、まぁね……』
「ドット凄いよ!!ナンジャモさんて言ったらあの『エレキトリカル★ストリーマー』って言われてて、パルデアでも大人気のインフルエンサーだよね!!」
リコはぐるみんと同じくらいナンジャモのファンであった。ナンジャモはジムリーダーでもあるが、インフルエンサーでもある。それを利用し、自身のジム戦をチャンネルで生配信させたり、街の人達にもより迫力のあるバトルを間近に感じて欲しいため、敢えて街の中央にあるバトルステージで行うというバズるような事をし、絶大な人気を誇っている女性
『ま、まぁ……それでその……ナンジャモ姐さんから是非、自分の『ドンナモンジャTV』に出て欲しいってことでお願いされて………』
「………ハァッ、ドット」
『お願い!!』
「…………分かった。良いよ」
『本当!!?』
「だけどドット、分かってるかもしれないけど、親しい人だからって他人の情報は無闇に話さない方が良いぞ」
『うっ、分かってる。ごめん………』
「まぁ、分かれば良いさ……それでいつやるんだ?」
『まだ準備に時間は掛かるみたいだから、整ったらまたこっちから連絡する』
「了解。じゃあそれまでナンジャモさんの事でも調べておくか」
「あ、それなら任せて!ナンジャモさんが特集された雑誌があるから!」
「おっ!それは助かる!」
リコの部屋にいたソウハは、勝つための情報収集のため、リコが持っているナンジャモに関する雑誌を借り、対策を練った
「ニャ~~~(ねぇテンブ、完全に私達空気よね)」
「(中々2人きりになれるのは少ないんだ、我慢だ我慢)」
リコがソウハにキスしようした辺りから、空気を読んで部屋の隅にいたパートナー達が、そう愚痴った
━━━━━━━━━━━━━━━━
ソウハの部屋
リコからナンジャモの雑誌を借り、ソウハはバトル対策を自分の部屋で練っていた。今はバトルに出すポケモン達が入ったモンスターボールを準備している
「取り敢えず、これで準備は完了だな」
「……………(なぁソウハ)」
「ん?」
「(やっぱ俺出ちゃダメか?)」
「悪いが今回は駄目だ」
「(えぇ~~)」
「お前が出たら一方的なバトルになっちまうんだよ。今回のジムバトルは、バズることを目的としたバトルだから、あっという間に終わったらダメなんだ」
テンブは久しぶりのジムバトルに参加出来ると思い、ウキウキしていたが、ソウハは不参加にしていた
理由は簡単、テンブが強すぎるからだ。テンブはソウハの手持ちの中で、強さは不動のナンバーワン。バトルでは頼もしいことこの上ないが、今回の目的はあくまで動画をバズらせるために行うので、呆気なくナンジャモの手持ち全てがやられてしまうと、盛り上がりに欠けてしまうと思ったのだ
「(…………)」
「へそ曲げるなよテンブ」
「(分かったよ。今回は我慢する)」
「あぁ、ありがとな」
ソウハは何とかテンブを納得させることに成功する。ちょうどその時、ソウハのスマホロトムが鳴る
ロトロトロト……ロトロトロト……ロトロトロト
「ドットからか」
スマホロトムの通話ボタンを押し、電話に出る
「もしもし?」
『ドットだ、ナンジャモ姐さんからあと15分くらいで準備完了するから、ハッコウシティ中央のバトルフィールドに来てくれだって』
「分かった、こっちも準備は終わったからこれから向かう」
『了解』
「あ、そう言えばドット」
『なに?』
「今は関係ない話になるんだが、お前はいつまでリコに自分の正体を隠しておくんだ?」
『…………』
「昨日のピクニックの時にも言ったけど、俺は絶対ぐるみんだということは話さない。だけどこの船で一緒に過ごしてるなら、その内リコは気付く。それだったら自分から話しておいた方が、俺は良いと思う」
『……………』
ドットは昨日のピクニックのことを思い出す。クワッス以外と食事をしたのは、本当に久しぶりだった。最初はソウハとの勝負に負け、少し嫌々で来ていたが、リコとの会話を楽しみながら、自分で作ったサンドイッチはとても美味しく、心が確かに満たされた
『………今日中には言おうと思う』
「……本当か?」
『うん、いつか言わなきゃってずっと思ってたら。だからパルデアを出る前には、ちゃんと伝えるよ』
「そうか……頑張れよ、ドット」
『ありがとう。そっちもナンジャモ姐さんとのバトル……頑張れよ』
「あぁ」
ソウハとドットがお互いにエールを送り、通話を切った
「(ソウハ、そんじゃあそろそろ)」
「おう、テンブ、皆………行こう!」
ソウハはテンブと、6個のモンスターボールを持ってハッコウジムへと向かった
「あっそうだ、待ったテンブ!まだちょっと寄りたい所がある!」
「ミジュ?」
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ハッコウシティ
ハッコウジム
ハッコウシティの中央に存在するジム戦専用のバトルフィールド、円形の形をしたそのフィールドをこの街に住む大勢の人々が、今か今かと待ち遠しそうに見つめていた
やがて、時間が訪れるとバトルフィールドが色鮮やかな光を発し、中央にスポットライトの光が集まり出す
ピカッ!!
ピカッ!!
その光が集まった場所はエレベーターの様な仕組みをしており、そこからとある2人の人物と1体のポケモンが姿を現した
1人とポケモンは勿論ソウハとテンブ
もう1人はやや薄いピンクと水色の二色髪、明るく派手な風貌で歯がギザギザした女性、この街に住む人の中で彼女の事を知らない人は殆どいないだろう
「皆の者~!!準備は良ーい?あなたの目玉をエレキネット!!何者なんじゃ!?ナンジャモですー!!」
「「「「「WAAAA!!!」」」」」
ハッコウシティジムリーダーのナンジャモ、彼女が名乗りを上げると観客達は大歓声を上げ、彼女を迎え入れる
それと同時に、ナンジャモを囲むように大勢のスマホロトムが現れ、配信を開始し始めた
ロトロト!ロトロト!ロトロト!
「おっはこんハロチャオー!!」
「「「「「おっはこんハロチャオー!!!」」」」」
ナンジャモ特有の挨拶に続き、観客達もそれに応えるようにノリノリで返答していく。ここにいる大勢の人々は本当に楽しそうにナンジャモの事を見つめていた
「(何だか、カミツレさんやホミカさんのジム戦を思い出すな)」
「ミージュミジュ(たしかに、2人のジムもこんなフィールドで、観客が盛り上がってたよな)」
ナンジャモと一緒に出てきたソウハは、その光景を見て、昔挑んだジムのことを思い出す。モデルのカミツレはランウェイを、バンドリーダーのホミカはライブハウスをジムにしていたため、観客達の盛り上がり具合も凄かった記憶がある
「『ドンナモンジャTV』の時っ間だぞ~!!本日はなんと!!超スペシャルなゲストをお招きしてるよ~!!そいじゃ、どうぞーー!!」
ロトロト!ロトロト!ロトロト!
その合図とともに、ナンジャモを囲んでいたスマホロトムの内の何体かがその場を離れると、ナンジャモとソウハの両名を映し出せる位置に移動し、撮影を続ける
「今回のスペシャルゲストは~!!飛ぶカイデンを落とす勢いのソウハ氏だ~!!」
「どうも、ソウハです。今日のバトルではよろしくお願いします、ナンジャモさん」
「かった~い!いわポケモンみたいにかった~いよ!!ひょっとして、緊張してる?」
「えぇ、ナンジャモさん程の有名人と直接お会いし、この会場やスマホロトム越しに、大勢の人達の前でバトルをするのは久しぶりなので」
「なるほどねぇ~、ではそんなソウハ氏の経歴を簡単に説明しちゃうね~!!」
そう言い、ナンジャモはソウハから事前に聞いていた経歴を話し出した
「ソウハ氏はこれまで、イッシュやカントー、ジョウト、シンオウ、ホウエン、カロス、アローラ、ガラルのポケモンリーグや大会に参加し、優勝をおさめている将来有望なポケモントレーナーなんだよ!!特にガラルでのポケモンリーグは正に圧巻の一言!あのガラルチャンピオンであるダンデのポケモン達を、たった1体のミジュマルで全て倒したという凄いことをしたトレーナー!!そのあまりの強さから『未来のチャンピオン』と呼ばれ、最近非公式のバトルではあるけど、ここパルデアのチャンピオンクラスのネモ氏にも勝ったことがあるんだって!!」
ナンジャモがソウハの経歴を紹介すると、コメント欄がものすごい勢いで埋め尽くされる。ざっと見たところ、素直に驚いている者もいるが、否定的なコメントもそこそこ見られる様だ
「そんな凄腕トレーナーが相手だからね!!ボクも久々に本気出しちゃうぞ~!!どんだけバズる動画になるのか、今から数字が楽しみすぎる~!!ほんじゃ、そろそろ行ってみよう!!」
すると、ソウハとナンジャモが乗っていた舞台は下がり地面と同じ高さまで戻っていく。両者はそれと同時にフィールドに降りると、それぞれ反対側の陣地へと歩み始める
「観客も視聴者さんもお待ちかね!!そろそろバトルにいってみようか!!ルールは入れ替え自由のフルバトル!!今日の企画は『ジムリーダーナンジャモが!めったに見れない本気出してみた!!』本気ナンジャモはプレミアムだぞー!!目をコイルにして視聴せよ~!!」
「「「「「WAAAAAA~~!!!」」」」」
そのナンジャモの言葉と共にナンジャモはモンスターボールを取り出し、バトルフィールドに投げる
「行くよ!タイカイデン!!」
PON!
「カァーー!!」
ナンジャモが最初に出したのは、稲妻模様があしらわれた黒い海鳥の様な印象を受けるパルデアの鳥ポケモン
「あのポケモン……ロイが面倒見てたカイデンに似てる」ピッ!(スマホロトムをかざす)
『タイカイデン:ぐんかんどりポケモン でんき・ひこうタイプ カイデンの進化形。のど袋をふくらませて電気を増幅させる。風に乗って1日で700キロを飛行する』
「やっぱりカイデンが進化した姿か、しかもひこう・でんきタイプ、じめん技対策か……よし!」
ソウハもモンスターボールを取り出し、バトルフィールドに投げる
「頼んだぞ!ビクティニ!!」
PON!
「ティーニ!」
ソウハの最初のポケモンはビクティニだった。ビクティニはボールから出てきて、早速ピースサインを決める
「おぉ!!そのポケモンは!?」
「ビクティニです、知ってますか?」
「勿論知ってるよ!その子、幻のポケモンでしょ!やっぱり君が幻のポケモンを持ってるって噂、本当だったんだ!!」
「えぇまぁ、噂も今日までということになりますが」
ナンジャモや会場に来ている観客達、そしてスマホロトム越しに見ている視聴者達も興奮する。何しろ滅多に会うことすら難しい幻のポケモンが、この場に現れ、バトルをしてくれるのだから
「……では、始めましょう。先行は譲りますよ」
「おや、中々紳士的だね~!では遠慮なく、タイカイデン『おいかぜ』!!」
「カーーイ!!」
タイカイデンは翼を羽ばたかせると激しい吹き荒れる風の渦を作り出す。『おいかぜ』により、暫くの間はナンジャモのポケモン達は素早さが上がった
「バズるバトルって言ってた割には堅実ですね」
「フッフッ、バズる動画を作り出すためには事前の準備が何より大事なんだよ!それに本番はここから!『ほうでん』だよ!!」
「カーーイーー!!」
「ビクティニ『まもる』」
「ティニ!!」
タイカイデンはビクティニに向けて『スパーク』を放つ。タイカイデンの特性『ふうりょくでんき』により、攻撃力は上がっていたが、『まもる』のバリアにより防がれる
「ビクティニ『スピードスター』!!」
「ティ~~ニ!!」
「上昇して躱して!」
ビクティニの掌から無数の星形の光線『スピードスター』が放出される。ナンジャモはタイカイデンに空へ逃げるように指示を出すが、いくつか光線が命中してしまう
「カァッ!!」
「タイカイデン、大丈夫?」
「カアー!!」
「よし!反撃だ、『ぼうふう』!!」
タイカイデンは両翼をビクティニに向けて羽ばたかせ、激しい『ぼうふう』を浴びせる
ビューーーン!!!
「ティーニ!(ソウハ、どうする!)」
「(この風、利用させてもらうか)」
ビクティニは『ぼうふう』を受けながらも、両腕をクロスしながら顔を守っている。これからどうするかをソウハに尋ねると、何か思いついたのか、ソウハはビクティニに指示を出す
「ビクティニ、『マジカルフレイム』をこの『ぼうふう』に乗せるんだ!」
「クッティ!(分かった!)」
両掌からキラキラ輝く炎『マジカルフレイム』が出される。だが、『ぼうふう』や『おいかぜ』によってタイカイデンには届かず、後ろへといってしまう。だが、ビクティニは『マジカルフレイム』を出し続けている
「何してるんじゃ?……よく分からんけどこっちはどんどんいくよ!『ほうでん』!!」
「躱しながら『マジカルフレイム』を撃ち続けろ」
「ティニ!」
『ほうでん』により、フィールド中に電撃が流れる。普通のポケモンなら躱すのはまず不可能の必中技だが
「ティニ!ティニ!ティニ!」
シュッシュッシュッシュッシュシュ
「えっ、嘘!?」
ビクティニは『ほうでん』を見事に躱しながら、『マジカルフレイム』をそこかしこに撃っていた。ナンジャモはまるで、『みきり』でも発動してるんじゃないかと錯覚してしまうほどの身のこなしであった
「よし、ビクティニ!周囲の『マジカルフレイム』をタイカイデンへ浴びせろ!!」
「ティーーニーーー!!!」
「えっ!?」
「タイカァ!?」
ドッカァン!!
『ぼうふう』により、『マジカルフレイム』の火の粉はフィールド中に漂っていた。ソウハはビクティニに意味なく『マジカルフレイム』を撃たせていた訳ではない
『マジカルフレイム』は『かえんほうしゃ』のような炎ではなく、特別な炎である。その炎の火の粉は、再びビクティニが発生させた『マジカルフレイム』によって、周囲の火の粉に引火し、タイカイデンは『マジカルフレイム』の爆発に巻き込まれた
「な、なにこれ!?……タイカイデン!?」
ナンジャモは訳が分からず、混乱する。煙が晴れるとそこには地面に落ち、身体中が若干焦げ、目を回しているタイカイデンがいた
「タ………タァ……」
誰が見ても、戦闘不能であった
「やったな、ビクティニ!」
「ティッニ!」(片手でソウハに向かってピースサイン)
「タイカイデンお疲れ様。ゆっくり休んでね」
ナンジャモはタイカイデンを労いながらモンスターボールへと戻した
「いやぁ~、分かってはいたけど...……強いね君!あっという間に倒しちゃうなんて!しかもさっきの爆発、原理がまるで分からないや」
「ありがとうございます。でも、まだバトルは始まったばかりですよね?」
「フッフッフ、たしかにそうだね。それじゃあ次いくよ!でてきて、マルマイン!」
PON!
「マル!!」
ナンジャモの次のポケモンは、ボールポケモンのマルマインであった
「マルマインか……ビクティニ続けていくぞ」
「ビック!(了解!)」
「マルマイン『エレキフィールド』!!」
『エレキフィールド』によってフィールド上にスパークが発生し、でんきタイプの威力が上がった。しかも、タイカイデンの『おいかぜ』はまだ残っているため、ナンジャモのポケモンには有利な状況となった
「ビクティニ『スピードスター』」
「マルマイン躱して!」
マルマインは転がりながら、『スピードスター』を躱す
「マルマイン『あまごい』だ!」
「マァルゥ!!」
『あまごい』によってフィールド上空に雨雲が発生、雨が降り始める
「(『あまごい』……ほのおタイプの威力が下がったか)」
「『かみなり』だ!マルマイン!」
「マーール!!」
『かみなり』は命中率が低い、だが『あまごい』によって必ず命中する技となる。雨雲の中からビクティニへ『かみなり』が落ちてくる
「ビクティニ『サイコキネシス』で『かみなり』を受け止めろ!」
「クッティ!!」
ビクティニは自分に落ちてくる『かみなり』を『サイコキネシス』で受け止める。受け止めた『かみなり』は空中に浮き、『エレキボール』のような電気の塊となる
「はぁっ!?」
「マァルマ!?」
「その『かみなり』をマルマインにぶつけろ!」
「ティーーニィーー!!」
「マルマイン避けて!」
「マルッ!!」
ゴロゴロォーー!!!
「マーールゥァァァァ!!?」
「マルマイン!?」
『サイコキネシス』によって作り出された雷の塊はマルマイン目掛けて放たれる。フィールドは『あまごい』によって雨が降り、『エレキフィールド』によりでんきタイプの技が上がっているため、マルマインは一撃で戦闘不能となる
「マルマイン、ありがとう……(まさか、こっちの作戦を逆手に取っちゃうなんてね……)」
ナンジャモは、マルマインをボールに戻す
「まさか2タテされちゃうなんてねぇ~!……しかもソウハ氏何あれ!?『かみなり』を『サイコキネシス』で受け止めるなんて、聞いたこともないよ!?」
「俺のポケモン達は、こういうのに慣れているんです。ナンジャモさん、どんどん俺達のペースに飲み込まれてちゃあ、勝てませんよ」
「クッティ!!」(腕を前で組み、ドヤ顔となる)
「言ってくれるねぇ、でもそれでこそ倒しがいが湧いてくるもんじゃ!!」
ナンジャモは今まで見せたソウハのビクティニのトリッキーなバトルに驚きを隠せないでいた。このバトルをLIVEで見ているドンナモンジャTVのオーディエンス達やスマホロトムから見ている視聴者達も、普通では出来ないようなバトルを食い入るように見ている
ナンジャモは3個目のモンスターボールを取り出し、投げる
PON!
「バーリ!」
「今日の相手は強いから、気合い入れて頼むよ!僕の相棒!!」
「バリバーリ!!」
次に出てきたのは、ナンジャモの動画配信の際にいつも隣に居る相棒のポケモン、ハラバリーであった
「あのポケモン……」ピッ!(スマホロトムをかざす)
『ハラバリー:でんきがえるポケモン でんきタイプ ブヨンブヨンの体を伸び縮みさせると、お腹のへそダイナモが大電力を発生させる』
「………ビクティニ、一旦戻って休んでくれ」
ソウハはビクティニをモンスターボールに戻す
「マーシャドー、いくぞ!」
PON!
「シャッ!!」
ソウハが次に出したのはマーシャドーであった
「おやおや?その子は見たことがないね?」
「名前はマーシャドーです、こいつも強いですよ」
「マシャ!」(拳を構える)
「たしかに、只者じゃない佇まいだね。でも、こっちだって負けないよ!ハラバリー『リフレクター』!」
ハラバリーの前方に虹色のかべが出現した
「マーシャドー『はっけい』!」
「マシャッ!!」
「!?ハラバッ……バッ」
「ハラバリー!!大丈夫!?」
『はっけい』がハラバリーの腹に命中する。ナンジャモは物理攻撃の威力を弱めてくれる『リフレクター』を展開している筈なのに、まったく効果が発揮出来ていないようだった
「(でも、こっちのでんき技の威力が上がった)」
ハラバリーの特性『でんきにかえる』は攻撃を受けた時に『じゅうでん』状態になり、一度だけ次回使う自分の『でんき』タイプの技の威力が2倍になるのだ
『はっけい』により、ハラバリーのでんき技は2倍となった。しかも、現在は『あまごい』により雨も降っている
「ハラバリー『かみなり』!!」
「バリー!!」
「(また『かみなり』か)……マーシャドー『シャドースチール』!」
「シャー!」
マーシャドーは『シャドースチール』によって自分の影に潜り込み、『かみなり』を回避する。そして、ハラバリーの背後から、黒い一撃をお見舞いさせた
「バリ……バァ……」
「ハラバリー!!」
ハラバリーは目を回し、戦闘不能となる
「やったな、マーシャドー!」
「マーシャ」
「ハラバリー、ありがとう」
ハラバリーをモンスターボールに戻す。ナンジャモの手持ちはあと残り3体、対してソウハはまだ6体とも残っている。しかも、殆ど無傷の状態。フィールド状態もナンジャモに有利なものだった筈なのに、追い詰められていた
「ソウハ氏!もうちょいボクの事を立ててくれても良いんじゃない!3タテはやりすぎだぞー!!」
プンプンと頬を膨らませ、如何にも怒っていますよとアピールをしている
「すみませんね。でもこのバトル、今結構バズってるんじゃないですか?」
「ぐっ……た、たしかにそれはそうだけど、何か納得がいかないんだよ!」
スマホロトムを確認すると、ドンナモンジャTVの現在のライブ視聴者数は今までに見たことがない数字となっていた。ナンジャモ自身は嬉しい反面、自分がバトルで不利な状態であることに複雑な気持ちであった
「これでもハッコウシティジムリーダーとして、最後まで諦めるつもりはないよ!!いけ、レントラー!!」
PON!
「ラァ!!」
次に出てきたのはレントラーだった。出てきたことによりレントラーの特性『いかく』が発動したが、マーシャドーはその『いかく』を全く寄せ付けない
「マシャッシャ(このぐらいの『いかく』なんて僕達には効かないよ)」
「そうだな、マーシャドー」
「なんかレントラーの『いかく』……全然効いてないみたいに思えるけど…………いくよ!『サイコファング』!!」
「レンラァ!!」
「懐に『れいとうパンチ』!!」
「マシャ!!」
「レントォ!?」
『サイコファング』を躱され、近付いた時にレントラーの懐にマーシャドーの『れいとうパンチ』が突き刺さった
「くっ!『ワイルドボルト』だ!!」
「迎え撃て!『ブレイズキック』!!」
「レントラ!!」
「マシャッ!!」
2つの技がぶつかり合う。勝ったのは
「マーーァ!!」
ドカァン!!
「ラァーー!!?」
ガラガラン!!
「レントラー!!」
マーシャドーであった。体格では明らかにレントラーの方が大きい筈だが、マーシャドーの『ブレイズキック』はレントラーの『ワイルドボルト』よりも威力が高く、レントラーはナンジャモのフィールドの壁まで吹っ飛ばされてしまい、戦闘不能となった
「………レントラーお疲れ様……(強すぎでしょ、いくら何でも)」
「マーシャドー、まだいけるか?」
「マシャ(あぁ、いける)」
「ふぅ~...……落ち着くんだ、冷静に……よし!お願いね、エレキブル!!」
PON!
「ブルァ!!」
ナンジャモは気持ちを落ち着かせるために一旦深呼吸する。5体目のナンジャモのポケモンは、エレキブルだった
「エレキブル『れいとうパンチ』!!」
「走って躱せ、マーシャドー!」
エレキブルは『れいとうパンチ』を当てようとマーシャドーに接近するが、マーシャドーは走って躱す。それでも当てようとエレキブルも走り『れいとうパンチ』を連発するが、小さくスピードも速いマーシャドーに当てることは難しい
「マーシャドー『はどうだん』!」
「マシャ!!」
「躱して『サンダーダイブ』!」
「エレィ!!」
マーシャドーは走るのを止め、『はどうだん』を掌から撃つ。ナンジャモはマーシャドーが止まったタイミングを見計らい『サンダーダイブ』を指示する
エレキブルの『サンダーダイブ』はマーシャドーの『はどうだん』をかき消し、マーシャドーに迫ってきた
「いっけぇ!エレキブル!」
「マーシャドー、大きめの『はどうだん』を盾にしろ!」
「シャァ!!」
マーシャドーは両手で通常よりも大きい『はどうだん』を作り出し、『サンダーダイブ』の盾にした
ジリジリジリジリ
技と技同士が拮抗し合い、両者の間に稲妻のようなものが走る
「頑張れエレキブル!!『サンダーダイブ』だ!」
「マーシャドー!そのまま『インファイト』で『はどうだん』を押せ!!」
「マーシャシャシャシャシャ!」
『インファイト』による拳の連打を『はどうだん』越しに撃ち続けられ、エレキブルに次々と波動型エネルギーの拳が浴びせられた
「ブレェ!?」
「エレキブル!!」
「最後の1発かませ!!マーシャドー!!」
「マァーーシャァーー!!!」
『はどうだん』越しの『インファイト』の最後の拳の突きを、今までよりも力強い突きでエレキブルに喰らわせた
スガァァン!!!
「エレキブル!!」
「エ……エレェ……」
エレキブルは目を回し、戦闘不能となった。
「ありがとうエレキブル。ゆっくり休んでね」(ナンジャモはエレキブルをボールに戻す)
「大丈夫か、マーシャドー?」
「マーシャ、シャシャ?(あぁ、次も僕がいくか?)」
「……いや、最後に出たいって言う奴がいるんだ。マーシャドーはゆっくり休んでくれ」
「シャ(分かった)」
ソウハはマーシャドーをモンスターボールに戻した
「ボクのエレキブルまでやられちゃったよ~……ちょっと、いやかなりピンチかも!?皆の者ぉ~!!ボクの応援お願い~!!」
ナンジャモは『サンダーダイブ』を指示した時、やっと勝てると思っていた。それだけにこの敗北は精神的に重たくのしかかる筈なのだが、ナンジャモはそんな様子を微塵も感じさせない明るいテンションで、リスナーと観客達に呼び掛ける
「(ナンジャモさん……強いな)」
状況を見れば、ソウハにはまだ無傷のポケモンがあと4体もいる。バトルを行ったビクティニとマーシャドーも、まだまだ戦える状況だ。対して、ナンジャモの手持ちはあと1体………逆転は難しいのが現実だ
しかし、ナンジャモはそれを感じさせず、まだ勝てるのではないか?と周りに思わせている。今まで積み重ねてきた実績と信頼がそれを成り立たせているのだ
「それじゃあ行くよソウハ氏!!この子がボクの最後のポケモンだ!!お願いムウマージ!!」
PON!
「マージ」
ナンジャモの最後のポケモンはムウマージだった
「でんきタイプじゃなく、ゴーストタイプか……(いや、多分
コロッコロッ(カバンの中で1個のモンスターボールが震える)
「ん?……あぁ、大丈夫。お前を出すよ、久しぶりのでんきタイプのジムリーダーのポケモンと闘うって聞いて、テンブと同じくはしゃいでいたもんな」
コロッコロッ
「久しぶりに
コロッコロッコロッコロッ!!
「よし」
ソウハはカバンの中から、一際震えている、最後のバトルに出すポケモンが入ったモンスターボールを出し、ナンジャモの方を見る
「そのムウマージが、ナンジャモさんのエースポケモンですか?」
「その通りだ!勝負はここから!ボクのムウマージで絶対逆転しちゃうんだからね~!!」
「そうですか………じゃあ俺も、いや
ソウハはそう言うと、最後に出すポケモンが入っているモンスターを掲げ、投げた
「いくぞピカチュウ!キミに決めた!!」
PON!
「ピカッチュ!!」
ボールの中から元気に飛び出して来たのはピカチュウだった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ブレイブアサギ号
ミーティングルーム
「ソウハ凄い!ここまで2体のポケモンだけでナンジャモのポケモンを倒しちゃったよ!凄いねホゲータ!」
「ホゲッ!」
「分かってはいたけど……凄い……ナンジャモ姐さん、ジムリーダーの腕は良い筈なのに……圧倒してる……」
「クワッ~ス……」
「ソウハのポケモンバトル………改めて見ても凄いね、ニャオハ」
「ニャオハ!」
ミーティングルームでは、ライジングボルテッカーズの面々がミーティングルームの大画面モニターでドンナモンジャTVのライブバトルを見ていた。そこには、普段は部屋にいるドットの姿もある。リコが一緒に皆でソウハのバトルを見ようと誘ったのだ
「ねぇフリード!ビクティニとマーシャドーってあんなに強いんだね!!」
「あぁ、流石幻のポケモン……いや、それだけじゃない強さだな」
「ピカッ!」
フリードはビクティニとマーシャドーのバトルを見て思う。確かにあの2体は、普通のポケモンよりも凄まじい力を持っている。だが、その力をバトルでどう扱い、技をどのようにして繰り出すのかは別なのだ。ポケモンバトルでポケモンが力を上手く引き出せるのかは、トレーナーにかかっているのである
「ソウハはビクティニにも、マーシャドーにも、相手のポケモンがどう来たらどう攻撃・防御するのかを上手く指示している」
「ピカッピカッ!」
「あの2体はたしかに強いが、その2体の力を上手い具合に引き出しているソウハも、トレーナーとしての腕は凄い」
「フリード……」
「それに、ソウハとバトルしているジムリーダーのナンジャモも目を見張るものがあるな」
「………例えば?」
「1番目を見張る所は、まだ諦めていないということだ」
「「!!」」
「ナンジャモの手持ちはあと残り1体……ソウハにはまだ6体の闘えるポケモンがいる、ここから巻き返すのは難しい………」
「そう……だよね……」
「だが、それで諦めたら本当に負けてしまう」
「「「!!!」」」
「ポケモントレーナーは、常にポケモンの気持ちを考え、指示を出す。トレーナーとポケモンは一心同体、トレーナーが及び腰になっちまえば、ポケモンも及び腰になったり、本来出せる力が出せなくなってしまったりするんだ」
「…………」
「………リコ、ロイ、ドット、お前達は最後までソウハとナンジャモのバトルから目を離すなよ?ポケモントレーナーになったお前達には、必要なことだからな」
「「「はい!(うん!)」」」
フリードはポケモン博士として、先輩トレーナーとして後輩のトレーナー3人達にアドバイスを送った。モリー、オリオ、マードックも反対側の席で見て、感じたことを言う
「まさか『かみなり』を『サイコキネシス』で受け止めちゃうなんて、びっくりだよね~」
「というかあれ、やろうと思っても出来ないよ。そうでしょ、フリード」
「そうだなぁ~……『サイコキネシス』は発動させるポケモン自身の技量によって浮かせる物の大きさや数、重量が変わってくるが……俺も『かみなり』を『サイコキネシス』で受け止めて……しかも相手に打ち返すなんて聞いたこともないから……………分からん!」
「がくっ……分からないんかい」
「あっ、皆始まるよ!ナンジャモ姐さんの最後は、ムウマージだ!」
「えっ?ゴーストタイプのポケモン?」
「いや………正確には
「あっそうか!テラスタルか!」
「ムウマージがでんきテラスタイプになるってことは……じめんタイプの技が弱点になるってこと?」
「いやそれは違う」
「えっ?」
「ドット、違うって?」
「ムウマージの特性『ふゆう』は地面から浮くことでじめんタイプの技を受け付けない。だから実質、テラスタルしたムウマージには弱点がなくなるんだ」
「えっ!?そうなの!?」
「ニャオハ!」
「ナンジャモ姐さんだもん。きっちり相性対策はしてるに決まってる」
「クワックワッ」
「………(ソウハ、大丈夫だよね?)」
リコは少し不安そうにモニターに映るソウハを見つめる。すると、ソウハも最後にバトルするポケモンをモンスターボールから出した。出したポケモンは、何とピカチュウだった
「えっ!?ピカチュウ!?」
「ホゲー……」
「また幻のポケモンを出してくるのかと思った」
「クワ~ス」
「ソウハのピカチュウ………(特訓の時に、キャップとバトルした時以来)」
「ニャ~……」
「………なぁ皆」
「どうしたフリード?」
「実はな、ソウハがハッコウシティに行く前に俺とキャップの所に来たんだ」
「えっ、そうだったの?」
「何で?」
「何か、『ナンジャモさんとのバトルで、もしピカチュウが出たらそのバトルは絶対に見といてくれ。特にキャップには絶対』って言っててな」
「キャップには絶対?」
「ピカッチュ~?」(腕を組みながら首を傾げ、頭には?)
「このバトルに、何かあるのかな?」
「さぁな……まぁ見てりゃあ分かるだろう」
ソウハはハッコウシティに向かう前、フリードとキャップの所に寄っていた。自身のピカチュウが出てるバトルを絶対に見てくれと言った真意は何か、現状リコ達には分からなかったが………このバトル、絶対見逃さないようにしようとリコ、ロイ、ドット、そしてフリードとキャップは思った
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ハッコウシティ
ハッコウジム
「おぉ!!ソウハ氏の最後の子はピカチュウか!!でんきタイプのポケモン!!」
「えぇ……ナンジャモさん、俺達はこのまま勝利しますよ」
「いんや!ここからナンジャモの逆転劇を見せつけてやるんじゃ!!」
ナンジャモはテラスタルオーブを取り出した
「出でよ!ひらめき豆電球!《テラスタル》!!」
ナンジャモが投げたテラスタルオーブが頭上に来るとムウマージは無数のクリスタルに身体を包まれる。クリスタルが弾けると、そこには身体を宝石の様に輝かせ、頭に豆電球を生やした姿となり現れた
「(やっぱり、テラスタルか。あの形状から見て予想通りでんきテラスタイプで間違いない……それにムウマージの特性は『ふゆう』……つまりじめんタイプの技が効かない………このムウマージには、弱点がない)」
面白いことを考える………とソウハは思った
「………ナンジャモさん」
「ん?」
「こっちも、本気でいきますね」
「ピカピカッチュ!!」
「本気って……もしかして君もテラスタルを?」
「……いえ、テラスタルではありません」
「???」
「………(見てるかリコ、キャップ、フリード、皆)」
ソウハはこのライブを撮影している上空のスマホロトムの内の1台を無言で見る。そして、ずっと隣で見ていたテンブにチラッと視線を向けると、こっちの言いたいことが分かったのか、無言で頷いた
ソウハはピカチュウの方を見ると、ピカチュウも身体は前にしながらも、顔はソウハの方を向く
「(よしピカチュウ……
「ピカー!ピカピーカ!(分かった!僕も久しぶりに本気出す!)」
ピカチュウとソウハは、目線を相手のナンジャモとムウマージに向き直る
「俺達は!」
(右手を握り拳にし、胸に持ってくる)
「ピカッ!(僕達は!)」
(右手を握り拳にし、胸に持ってくる)
ピカチュウの両目が青白く光る
「「もっともっと!!高みを目指す!!(目指していく!!)」」
「ッ!!?」
「ピカチュウ!!フルパワーだ!!」
「ピカァ!!」
「「ハァーー(ピカァーーー)!!!」」
ビガビガビガビガビガビガァァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
「なっ!!?」
「ムゥマ!?」
ゴゴォォォーーー!!
その雷柱は、周囲に強い衝撃波を放ちながら、より激しさを増していく
「おいおい!?」
「なんだよアレ!?」
「かみなり……か?」
「いや、あのピカチュウから出てないか?」
「ピカチュウが、あんな電気を!?」
掛け声と共に、ソウハのピカチュウから青白い雷の柱が発生し、空へと向かって放たれる。ナンジャモはあの雷の柱が起こる前に、まるでピカチュウとソウハの残像が現れ、1つになったような現象を目撃する
ナンジャモとムウマージは近い場所にいるため衝撃波が強く、腕で目を守っている
「なんじゃあ~~アレ!?……ッ!?」
すると、雷柱の中にいる筈のピカチュウのシルエットが少しずつ変わっていき、ナンジャモが知っているピカチュウのシルエットとは明らかに違っていた
バッ!!
青白い雷柱が発生源のピカチュウの元に吸収されるように消えていく
ナンジャモも観客達も、ネットの視聴者達も、雷柱の発生源のピカチュウがいる筈の場所を見る━━━━━━━
ナンジャモ「ーーッッ!?!?!?はぁ!!?」
リコ「えっ!?」
ロイ「ナニアレ!?」
ドット「まさか、アレがピカチュウ!!?」
フリード「ーーッッ!?!?!?!?!?!?」
キャップ「ピッ………ピカッ……(あっ……あれが………)」
━━━━━━━━━━━そこにいたのは
「さぁ久しぶりのキズナ変化だ、いくぞピカチュウ!」
「ピカァァァ!!(おう!!)」
ピカチュウの尻尾は小さめの雷太鼓を縦に揃えたような物となり、手には金色の槍のような物を持っている。黄色い身体には所々に青白いライン模様のような物が刻まれ、金色の羽衣らしき物が両肩にあり、青白い雷で出来たような羽織を着ている。頭部は人の金髪のようものが生えて逆立っており、パチパチと青白いスパークが身体全体に纏っている*1
これこそがソウハのピカチュウのキズナ変化
ピカチュウ《ナルカミフォルム》である
「ソ、ソウハ氏……」
「はい?」
「な、なに……そのピカチュウ?っていうか、ピカチュウなのその子!?」
「えぇ、ピカチュウですよ。でも、只のピカチュウではありません、本気を出したピカチュウです」
「ピーカァァ!!」
ドンガラガッシャン!!(ピカチュウから発している青白いスパークが雷のような音をたてる)
「!!」
ナンジャモもオーディエンス達も、突如姿が変わったピカチュウに驚きを隠せない。メガシンカでも、テラスタルでもない……では一体あれは何だと、誰もが思った。そのピカチュウから放たれる熱気……いや電気は、この闘いを離れてみている観客達やスマホロトムから見ている視聴者達にもバチバチと感じていた
「……………………」
「ナンジャモさん!」
「!!」
「お互いの本気………出し合いましょう」
「!!………そうだ、いけないいけない……あまりの迫力に飲み込まれる所だったよ!ソウハ氏、そのピカチュウの姿はスッゴい気になるけど、まだバトルは終わってなかったね!」
ナンジャモはピカチュウの気迫に飲み込まれそうになったが、ソウハの言葉に何とか持ちこたえ、目の前のバトルに意識を集中させる
「いくよ!ムウマージ『テラバースト』!!」
「ムゥマーー!!」
ムウマージの口から、黄色の電気エネルギー砲がピカチュウに向かって放たれる。『テラバースト』は、テラスタルしたポケモンが使ったとき、技のタイプがテラスタイプへと変わる。今回はでんきテラスタイプのため、『テラバースト』はでんきタイプとなる
「ピカチュウ、そのまま受け止めろ」
「ピカッ!」
ピカチュウは真正面から『テラバースト』を受けた。だが
「……ピーカピカッ!」
ピカチュウには全く効いていない
「何となく分かってたけど、テラスタルして威力はかなりある筈なのに、全然通用してなそうだと……自信なくしちゃうよ!ソウハ氏!」
「フフッ、では次はこっちの番です!」
「ピカッ!!」
「来るよムウマージ!警戒して!!」
「マァー!!」
ナンジャモは、あのピカチュウがどんな攻撃をしてくるのか分からない。テラスタルしたムウマージでも対抗できるか分からないため、技を回避し、ダメージを受けないようにしようとする
「ピカチュウ『3000万ボルトォォ』!!」
「ピカッ!!ピカッ!!ピカッ!!ピカッーー!!」
ピカチュウから青白い稲妻が放出された、それはまるで生き物のようにうねり、形を変え━━━━━━
「なっ、あれは!!?」
「ムゥマ!?」
フリード「まさか!!」
ドット「あれって!!」
「
「チュッピッーーー!!!」
キュワァァーーン!!!
━━━━━━伝説の鳥ポケモンの1体、サンダーの形となり、ムウマージへと降りかかる
「ムゥマァァーーー!!!」
「ムウマージ!!」
ムウマージは避けることが出来ず、サンダー形の稲妻をダイレクトに喰らう。その衝撃はバトルフィールドだけではなく、フィールド外にいる観客達にも伝わる。ナンジャモがムウマージの方へ視線を向けると
「ムウマージ………」
「マ……マ~………」
テラスタルが解け、身体から煙を出して地面に横たわっているムウマージがいた、誰がどう見ても戦闘不能である
「ムウマージ、ありがとう」
ナンジャモはムウマージをモンスターボールに戻す
「………」
シュッ……(ピカチュウの身体を白い光が包み、姿が元に戻る)
「お疲れ様、ピカチュウ」
「ピカチュウ!!」
ソウハはピカチュウをモンスターボールに戻す
「(お前もな。お疲れ様、ソウハ)」
「テンブ……ありがとう」
こうして、ナンジャモとのバトルはソウハの完全勝利で幕を閉じた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
留置場
「……………」
警察署の留置場には、最近犯罪を犯した犯罪者達が牢屋の中に居た。その中には、今日ジュンサーに捕まったスピネルも、ベッドに座り俯いていた。服装はエクスプローラーズで着ていたような服ではなく、灰色の囚人服
「……………」
ドカァン!!
ウー!ウー!ウー!ウー!
遠くから爆発音が聞こえる。警察署や留置場の中のサイレンが鳴り響き、牢屋を見張っていた警察官も爆発音がした方向へと走っていく
「……………」
囚人しかいない留置場に、カッカッというヒールの足音が鳴り響く。その者は色黒の肌を持ち、スピネルに並ぶ程の高い身長の女性であった。その女性はスピネルがいる牢屋の前に立つと、モンスターボールを投げた
PON!
「チャーレ!」
「チャーレム『ねんりき』」
「チャァァ!!」
ボールから出てきたのはチャーレムだった。チャーレムは『ねんりき』でスピネルの牢屋の扉をグシャグシャにする
「ご苦労………さっさと出なさい、スピネル」
「………アゲートですか」
「貴方ともあろう者が………随分とまぁ、敵の策に嵌められて、不様な姿になりましたね。『策士策に溺れる』とはまさにこのこと」
「ッッ!!」
「まぁ、言い訳は後で聞くとして……貴方のポケモン達は既に回収してますので安心してください……向こうに車を用意してます。オニキスとサンゴが向こうで暴れまわっていますが、長くは持ちません。さっさと行きますよ」
アゲートと呼ばれた女性は刺々しい言葉をスピネルに浴びせた。彼女もまた、アメジオやスピネルらと同じエクスプローラーズの幹部であった
さっきの爆発は、スピネルを脱獄させるための囮であった。作戦は単純なものだが、警察署を襲撃しようとする者はそうそう居ないため、ポケモンポリスも対応に手間取っていた。アゲートはスピネルを車まで案内し、騒ぎを起こしている2人の幹部に撤収するよう無線で指示を出した。
それからアゲートとスピネルはエクスプローラーズの下っ端が運転する車に乗り、留置場を後にする
「念のため聞いておきますが、何も話していませんよね?」
「………えぇ、黙秘を貫きましたよ」
「なら結構です。喋ってたら貴方は、組織からも会社からも、ギベオン様からも見放されていましたからね」
「…………」
アゲートの嫌味は、今のスピネルの中には入ってきていなかった
「………ソウハ」
「………ん?何か言ったか?」
「……いえ…………アゲート、私の組織としての立ち位置はどうなるでしょうか……」
「………さぁ?ギベオン様からはお前を脱獄させろと言われたから脱退は無いと思うが、幹部ではなくなると思うがな。何せ、あれほど期待させておいて、結果がこれではな」
「………甘く見ていました、あのソウハというトレーナーを……」
「『未来のチャンピオン』か………ハンベル様もギベオン様も、あのトレーナーには細心の注意を払うよう、メンバー全員に言われた」
「そうでしょうね……」
ハッコウシティの港に着いた車は、そのまま貨物船に乗船し、街を離れて行く
「(………覚えておきなさい、この屈辱は必ず……最後に笑うのはこの私です)」
スピネルは車窓からハッコウシティを見ながら、ソウハ個人に対して、憎しみを抱き、自分のこれからの行動を考えていた
ピカチュウ
でんきタイプ
特性:ひらいしん
《でんきタイプの技を受けるとダメージが無効化され、自分のとくこうが1段階上がる。》
技:10万ボルト アイアンテール エレキネット
がむしゃら ボルテッカー めざめるパワー
⇓
ピカチュウ《ナルカミフォルム》
でんき・かくとう・はがねタイプ
特性:天災【オリジナル】
《でんき・ほのお・みず・じめん・こおり・くさタイプの技を受けるとダメージが無効化され、自分のとくこうととくぼうが上がる》
技:エネルの技全て《でんきタイプ》
雷の呼吸全て《でんきタイプ》
クロスサンダー インファイト なみのり
アイアンテール めざめるパワー いあいぎり
ムーンフォース