ポケットモンスター ~少年が進む道はキズナによって切り開かれる~ 作:Kod
今回、ソウハの手持ちポケモンの一部が出てきます。
それはあの、幻のポケモンです。
ソウハとリコはセキエイ学園行きのバスに乗り、お互いの出身について話をしていた。
「それじゃあ、リコはパルデア地方から来たのか。」
「うん、ソウハは何処の出身なの?」
「イッシュ地方だよ。ポケモン博士である、アララギ博士がここで色々と学んで自分の才能を伸ばして欲しいって言ってくれたんだ。」
「へ、へぇ……そうなんだ。(ポケモン博士からの推薦で入学するって………ひょっとしてソウハって結構凄い人?)」
「リコ?どうかしたか?」
「あ!ううん!何でもないから!」
「…………本当に大丈夫??」
「うん、大丈夫。(また、私の悪い癖が出ちゃった。)」
人と話をしている最中にもかかわらず、自分の心の中で様々なことを考えてしまう。それがリコの昔からの悪い癖であった。
「おっ!リコ、ほら窓の外!!ポケモンだよ!」
「え?………わぁ!!本当だ!!」
数分前から入っていた長いトンネルを抜けると、そこにはイワークやマンキー、ケンタロス達が走っている。空にはオニドリルやバタフリーといったカントー地方のポケモン達が見えた。
「ミジュジュ!!」
テンブも思わず、窓にはりつく勢いで見ようとする。
リコはポケモン達の姿を目をキラキラさせながら眺めている。
「もしかしてリコは、カントー地方のポケモンを見るのは初めて?」
「ミジュ?」
「うん、初めてカントーのポケモン達を見た……ちょっと感動してる。」
「そうか。」
「ソウハはカントーに来たことはあるの?」
「まぁね。今までは色々な地方を旅してて、カントーも旅したことがあるよ。」
「凄いなぁ。」
ソウハはリコの、初めてカントー地方のポケモンを見て感動している表情がとても新鮮で綺麗だなと思えた。
それから程なくして、バスはセキエイ学園に到着した。
「ここがセキエイ学園か。」
「(結構立派な建物だなぁ。トレーナーもポケモンも沢山いる。)」
「そうだな、テンブ。」
「ソウハは緊張してない?」
「緊張よりも、ワクワクが勝ってる感じかな?リコは?」
「私は、ちょっと緊張してる。」
セキエイ学園は全寮制の学園。男子寮と女子寮、生活空間は別れており、異性が別の寮に入ることは許されていない。ソウハとリコはお互いの寮へと続く分かれ道の前で立ち止まった。
「じゃあ一旦ここで解散か。」
「ミジュ。」
「そうだね、次に会うのは明日の入学式だね。」
「あぁ。」
セキエイ学園の寮は同じ学年の人と相部屋になる。つまり、これからお互いルームメイトと会う事になるのである。ルームメイト同士の自己紹介や荷物の整理、他にも寮の説明等があることを考えれば、今日またお互いに会うのは難しいと考え、ソウハとリコは一旦解散することとなった。
「じゃあ、また明日な!」
「うん。また明日。」
「ミ~ジュ~!!」
ソウハは男子寮へ、リコは女子寮へと歩いて行った。
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男子寮
「え~と、402は何処だ~?」
「(おい、あそこじゃねぇか?)」
「あ、ホントだ。」
ソウハはテンブが乗っているキャリーケースを転がしながら、『402』と書かれた部屋の前に行く。
「(ルームメイトはどんな人だろ?)失礼しまーす。」
ソウハは部屋のドアを開けたが、部屋には予め用意されていた家具しか置いておらず、誰の姿も見られなかった。
「あれ、誰もいない。」
「(おぉ!!中々良いベッドじゃねぇか!!)」
「おいテンブ。」
テンブは長旅で疲れたのか、キャリーケースから降りてベッドへとダイブし、ゴロゴロと転がっている。
そんな時、ドアのノックする音が聞こえた。
トントントン
「(ルームメイトか?)はーい、どうぞ。」
ガチャ
「どうも、こんにちは。貴方はここ402号室のソウハさんですね?」
「はい、そうですけど……貴方は?」
「あたしはここの寮の寮母だよ。実は貴方に伝えておかなきゃいけないことがあってね。」
「はい?」
「実は、この部屋に入る予定だったもう1人の新入生が入学を辞退してしまって、この部屋だけソウハさん1人ということになりました。」
「え…………そ、そうなんですか。(ちょっと楽しみにしてたんだけどなぁ。)」
「ごめんなさいねぇ。」
「いえ……なってしまったものはしょうがないですから。」
寮母さんはこの部屋がソウハ1人だけの部屋ということを伝え、部屋を後にした。
本来2人部屋だったのを1人で使える。決して悪いことではないが、ルームメイトの存在を楽しみにしていたソウハは何とも言えない顔をした。
「ハァッ……」
「(ソウハ、何がっかりしてんだよ!別に良いだろ他のクラスメイト達と友達になりゃあ。)」
「まぁそうだけどさぁ……」
「(ほら俺達も手伝うから、早く部屋の準備済ましちまおうぜ!)」
「そうだな。」
キャリーケースと背負っているリュックをベッドに置き、中から2つのモンスターボールを取り出した。
ポ~~ン‼
「ティニ!!」
「ロメッタ!!」
中から出てきたのは
額がアルファベットの『V』のような形をしており、尻尾はまるで天使の小さな羽根が付いている、しょうりポケモンのビクティニと
五線譜を思わせるような緑の長髪に音符のようなインカムを頭に付けている、せんりつポケモンのメロエッタ《ボイスフォルム》であった。
ビクティニとメロエッタはモンスターボールから出ると、辺りをキョロキョロと見回している。
「ロメッタ?(ここは?)」
「ティー二?(どこ?)」
「ビクティニ、メロエッタ、ここは俺が新しく住むことになる部屋だよ。」
「ローメ(そう言えば、そんなこと言ってたわね。)」
「ティニティニ!!(結構広い部屋だね!!)」
「本当だったらもう1人この部屋に来る筈だったんだけど、入学辞退して1人で使うことになってね。悪いんだけど、部屋に家具を置くの手伝ってくれないか?」
「ティニティニ!!(オッケー!!)」
「メッタ。(分かったわ。)」
「テンブも頼む。」
「(はいはい。)」
そうして、ソウハはポケモン達の手も借りながら部屋の中の整理と明日の入学式に向けた準備を行っていった。
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ポケモン達の手を借りて、荷解きを早く終えたソウハはテンブと一緒に学園の中を歩いていた。
「はぁ、本当だったらルームメイトと親睦を深める筈だったんだけどな。」
「(まだ言ってるのか?別に良いじゃねぇか、部屋を広く使えると思えば、それに俺やあんまり人目に見せられない奴らだって居るだろ?それだったら1人部屋の方がむしろ好都合じゃん。)」
「………まぁな。」
ソウハとテンブはそんな会話をしながら中庭の方に歩いて行った。
「(お!?ソウハ、ポケモンバトルやってるぞ!!)」
「あ、ホントだ。」
「(戦ってるのは、ゴーリキーとエーフィか。)」
「ん?………あそこに座ってるの、リコか?」
「(おぉ、そうみたいだな……隣にも誰かいるみたいだぞ?)」
「リコのルームメイトか?」
近くのベンチにてポケモンバトルを見ているリコと八重歯にルーズソックスが特徴の少女が座っていた。
「おーい、リコ!」
「あ、ソウハ!」
「ん?誰?リコの友達?」
「う、うん、友達?のソウハだよ。」
「疑問形なの?」
「ご、ごめんね!私、男の子の友達なんて初めてで……距離感とかよく分からなくて……」
「それじゃあ改めて、友達ってことでよろしく頼むよ。」
「う、うん。」
「アハハ!!やっぱりリコの友達なんじゃん!私、リコと同室になったアン!よろしくね!!」
「俺はソウハだ、よろしくアン。」
ソウハとアンはお互いに握手をした。すると、アンは握った手を上下にブンブンと揺らしてくる。
「(元気な子だな。)」
「(何て言うか……リコとは正反対だな。)」
「良いルームメイトで良かったじゃん、リコ。」
「う、うん、アンとなら仲良くやっていけそう……かな?」
「ソウハのルームメイトはどんな人なの?」
「それが、俺1人だけなんだ。」
「え!なんで!?」
「実はルームメイトになる筈だった人が入学を辞退したみたいでさ、俺は1人部屋になったって訳。」
「え~~そんなの寂しくない?」
「いや、そんなに寂しくはないぞ。テンブ……このミジュマルや手持ちのポケモン達がいるからな。」
「ジュマジュマ!!」
「え!?その子、ソウハの手持ちポケモン!?もうポケモン持ってるの!?」
「あぁ、俺はこの学園に来る前に、色々な地方をポケモントレーナーとして旅してたからな。」
「へぇ~!!ねぇねぇ、旅の話聞かせてくれない!!」
「え、あぁ、良いけど。」
「やったー!!リコも一緒に聞こうよ!!」
「へ!?う、うん。(アン凄いなぁ、もうソウハと打ち解けあってる。)」
それから3人はソウハの旅の話を聞き、盛り上がった。リコも最初はしどろもどろだったが、徐々に話に加わっていき、笑ったり驚いたりしていた。
特にリコとアンが驚いたのは
「「え!?ソウハってポケモンリーグ優勝者なの!?」」
「あぁ……一応そうなってる。」
「凄いじゃん!有名人じゃん!なんで、この学園に入学することになったの!?」
「アララギ博士が推薦してくれたんだ。旅をするだけじゃ、得られないこともあるからってこの学園に入学してみないかってね。」
「(ソウハってやっぱり凄い人なんだなぁ。)」
そう話していると明日の入学式が終わった後の相棒ポケモンの話題となった。
「ソウハは入学が決まった時に先生とオンラインで面談とかしなかったの?」
「俺はやってない、この学園には推薦で入ったから面談とかはパスしてもらったんだ。」
「じゃあポケモンは貰わないの?」
「あぁ、もう相棒はコイツがいるからね。」
「ミージュ!!」
「うわぁ!!やっぱりテンブがソウハの相棒なんだね!!やっぱり何だか心が通じ合ってる感が凄いする!!」
「私も、そう思う。(バスの時から2人は凄い仲良しだって、私も感じた。)」
「2人は面談とかしたんだよな?どうだった?」
「私は先生と話した時はちょっと緊張しちゃったけど、ポケモンともオンラインで喋った時は楽しかったよ。リコはどうだった?」
「わ、私もその……緊張した……かな?」
「だよねぇ。」
「(俺もアララギ研究所でテンブを貰う前の日は、緊張して夜も眠れなかったから気持ちはよく分かる。)」
「良いパートナーに出会えれば良いな。」
「うん!!楽しみだね、リコ!!」
「う、うん。(私に相棒………不安だ。)」
3人の話は夕方になるまで続いた。
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夜 男子寮
402号室
ソウハはその夜、明日に備えて早めにベッドで寝ていた。
テンブはモンスターボールに戻らず、ソウハが持ってきた彼専用の小さなポケモンベッドで寝ていた。
ビクティニとメロエッタも今日はソウハと一緒に寝たいと言ったため、ソウハのベッドで一緒に寝ていた。
「ティニ。」
「ロメ。」
「(スゥゥスゥゥ。)」
「(明日は入学式か……出来ればリコやアンと同じクラスが良いけど。)」
そう思いながら、ソウハも夢の中に行った。
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夜 女子寮
303号室(アンとリコの寮部屋)
アンはベッドでイビキをかきながら爆睡していた。余程、疲れが溜まっていたのだろう。
それに対してリコは緊張で眠れず、机に向かってスマホロトムに日記を書いていた。
「(初めてばっかりの1日だったし、家からも離れて1人での学園生活………ね、眠れない。明日は入学式……私の相棒ポケモンと出会える日……どんな子が相棒になってくれるんだろう?………ソウハとも一緒のクラスになれたら心強いんだけどなぁ。)」
バスの中でソウハがもうポケモンを持っていることからポケモントレーナーではないのかと思っていたが、まさかポケモンリーグの優勝者であったというのは本当に驚いた。
そんな同い年だけど、旅の話を聞いてポケモンの知識やバトルでのコツを聞き、トレーナーとしては遥かに先輩だということがリコには分かった。
そんな彼が一緒のクラスになってくれたらどれ程心強いか……
「(男友達なんて初めてだったけど、ソウハ優しかったな。/////)」
リコは無自覚に芽生えたソウハに対する感情に気付かぬまま日記を書いていった
手待ちポケモンはビクティニとメロエッタでした。
ソウハの地元イッシュ地方の幻のポケモンです。
私も特に好きな幻のポケモンです。