ポケットモンスター ~少年が進む道はキズナによって切り開かれる~ 作:Kod
今回はONE PIECE要素が少し入ってます。
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真夜中
ガラル鉱山の近くの森
「………ッ!!」
ソウハ達が次の目的地をガラル鉱山に決めた夜。雲がどんよりとし、雷が鳴り響いていた。鉱山の近くの森の中では、生息している沢山のポケモン達が怯えていた
なぜなら、普通じゃない大きな力が近くにいたからだ。ポケモン達は恐れ、そこから出来るだけ離れるために逃げていた
「ミッ、ミッ~……」
そのポケモン達の中に、一際怯えている小さいポケモンがいた
「ミミッ!!」
そのポケモンは森にある小屋を見つけ、扉が開いていることに気付くとそこに逃げ込むようにして入った
だが、うっすら遠くから甲高い雄叫びのような声が聞こえてくると、そのポケモンは恐怖で縮こまりブルブルと震える
「ミミッ…………ミ、ミッ……」
そのポケモンの名はミブリム。人やポケモンの感情を敏感に感じ取ることが出来るポケモンである
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ブレイブアサギ号
バトルフィールド
そこにはロイとソウハ、ホゲータとビクティニがバトルの特訓を行っていた。昨日カブとのバトルを見たロイが、自分達をもっと鍛えて欲しいと頼み込み、ソウハが主体となって特訓を行っていた
「ホゲータ『かえんほうしゃ』!」
「ホォゲェー!!」
「ビクティニ『マジカルフレイム』」
「ティニ!」
『かえんほうしゃ』と『マジカルフレイム』がぶつかり合い、爆発が起こる。その隙にビクティニはホゲータに近付いた
「軽めに『かえんだん』」
「ティーニ」
「ホゲッ!?」
「ホゲータ!!」
至近距離からビクティニが小さめの『かえんだん』をホゲータに当てる。ビー玉程の大きさであったが威力は高く、ホゲータはバリアまで吹っ飛び倒れた
「あぁ、ホゲータ!」
「バトル終了……ほら、オボンの実だ」
「うわっと、ありがとうソウハ!」
ロイはソウハが投げたオボンの実を受け取り、ホゲータに食べさせる
「ホゲータの『かえんほうしゃ』、やっぱまだ覚えたてだから溜めの時間は長いし、威力もちょっと足りないな」
「そうなの?」
「まぁ個体差にもよるが、ホゲータだったらもっと早く力を溜めて高い威力の『かえんほうしゃ』を撃てるはず」
「やっぱり!!」
「そうなるようにするためには、日頃からの特訓と」
「特訓と?」
「お前自身の勉強が必要だ」
「えっ?……えぇ!?」
「何を驚いてるんだよ、ポケモンが頑張ってんのに俺達トレーナーが頑張らない訳がないだろ」
「で、でも……」
「ロイ、お前はポケモンが好きなんだろ?だったらポケモン達の技や特性、習性を最低限知っておかなきゃな」
カブとのバトルで知ったロイの知識不足。それを直接伝える
「う~~……わ、分かったよ」
「うむ、素直でよろしい。心配するな、何か分からないことがあれば聞いてこいよ」
「ほんと!?ありがとう!!」
ロイは笑顔でお礼を伝えた
「よし……そろそろリコの授業も終わる頃だし、ロイはフリードを呼んできてくれ。俺はリコを呼んでくる」
「オッケー!行こ、ホゲータ!」
「ホンゲ!」
「いくか……」
「ティーニ!」
リコの部屋
「ふぅ……授業終わったよ、ニャオハ」
「ニャオハ!」
リコはスマホロトムを使い、リモート授業を受けていた。それもようやく終わり、リコは友人のアンと作文について話していた
『ねぇねぇリコ、作文出来た?なりたい自分についてのやつ!』
「あっ……まだ出来てないんだ。なに書いて良いのか分からなくて」
『そっか……私はさ!ミジュマルとバトルで勝ちまくるって書いたんだ!ソウハみたいにさ!』
「フフッ、アンはぶれないね」
『ササッ?』
ドドーン!(アンの画面にいきなりサンドが現れる)
「「へっ!?(ニャッ!?)」」
『あははっ、ごめんごめん!私のサンドだよ、新しくゲットしたんだ!』
「へぇ~ゲットしたんだ!」
『うん、ミジュマルが気に入っちゃってさ!この通り、仲良し!』
アンのミジュマルとサンドはお互いじゃれ合っていて、とても仲良しのようだ
『リコは新しいポケモンゲットしないの?』
「私?私は……まだ良いかな……しっかりニャオハを見てあげたいし」
「ニャッハ!」
『そっか……あっ、それでそれで!ソウハとはどんな感じ!?』
「えっ!?/////」
『もう恋人になった!?キスした!?デート行った!?』
「えっ、えっと………キスは、しました//////」
顔を真っ赤にしながらリコは答える
『キャーー!!もうそこまで進んでたんだ!!//////ねぇキスってマウストゥーマウス!?それとも頬にチュってやつ!?』
「ア、アン~~!!」
アンはニヤニヤしながらリコをからかい始める
『アハハッ、ごめんごめん。だけど2人ともカップルとして順調そうで良かったよ!』
「アン……ありがとう」
『フフッ!それじゃ、またね!』
「うん、また!」
手を振りながらリコとアンは通信を切った
「………新しいポケモンか」
ドンドンッ(ドアをノックする音)
「リコーー!!授業終わった!?」
「これからガラル鉱山に出発するぞ~」
「あっ、分かった今行くからちょっと待ってて!」
ロイとソウハの声が聞こえ、リコは急いで支度をした
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ガラル鉱山近くの山道
カブの情報によると、黒いレックウザはガラル鉱山の方向へと飛んで行ったため、ソウハとフリードとロイとリコは調査のためガラル鉱山へ続く山道を歩いていた
「しばらく山道が続くな……お前達大丈夫か?」
「うん!レックウザが待ってるって思うと、全然平気!」
「ホンゲッ!」
フリードの問い掛けに対し、ロイもホゲータも元気よく返事をする
「ロイはやっぱりぶれないね」
「ロイらしいな」
「元気が良いのはいいことだが、相手はレックウザだ。強敵だぞ」
「大丈夫!このためにソウハに特訓をつけてもらってるんだから!あとは全力でぶつかるだけさ!」
「フフッ……(真っ直ぐに生きるロイは何ていうか凄いなって思います)」
そんなロイに対し、リコは自分自身がどんなトレーナーになりたいのかを改めて考える。パートナーポケモンのニャオハは、ロイやホゲータみたいに強くなりたいのかと思い、ニャオハを見つめる
「ニャッ?」
「リコ、どうした?大丈夫か?」
「えっ?……あぁその……私、将来どんなトレーナーになりたいのかなって考えちゃって」
「ん~~……良いんじゃない、どんなトレーナーでも?」
「トレーナーって言ってもいろんな奴がいるからな。強くなりたい人、沢山ポケモンを集めたい人、見たことのないポケモンを見つけたい人、やりたいことを追い求めれば自分らしいトレーナーになれる筈だ」
「ピーカ!」
フリードはリコにそうアドバイスを送る
「フリード………うん、ありがとう!!」
「トレーナーはトレーナーでも、エクスプロラーズとポケモンハンターみたいな奴らにはなるなよ、リコ」
「ミージュ」
「ならないよ流石にそれは!」
ソウハの何気なく言ったことにリコは過剰に反応した
「冗談、冗談だって」
「もう!………(やりたいこと……か)」
自分のやりたいこと………目指したい、なりたいトレーナーとは何かを考えながら進んでいると
「あっ、別れ道」
「ちょっと待ってろ、スマホロトムの地図で確認するから」
「じゃあこっち!!」
「ちょっ、おい!」
ソウハが地図を確認する前にロイは左右に別れた道の右側の方へ走って行ってしまった
「ったく、オリーヴァの森みたいに迷ったらどうすんだよ」
「まぁ大丈夫だろ。ここら辺はあの森程の広さじゃないし、もし迷ったら戻って別の道を行けば良いだけだ。こういうのも、冒険の醍醐味だ」
「……はぁっ」
「アハッ、アハハッ………(その真っ直ぐさ……見習いたい……)」
そう言いながらフリードも右側の道を歩いて行く。ため息をつきながらも、ソウハも着いていく。リコも苦笑いしながら続くようにして歩いて行った………のだが
「わぁーー!!雨降って来た~~!!?」
「急げ!逆の道に行くぞ!山小屋で雨宿りだ!」
右側の道は外れだった。それに気付いたのもつかの間……突然の大雨にソウハ達は急いで来た道を戻って左側の道にある山小屋の中に入った
「びしょ濡れだ」
「ミージュ」
「いきなり降ってきたね」
「山の天気は変わりやすいって言うからな」
「こりゃ暫くは止みそうにないな……」
「えぇ~そんな~……早く鉱山に行きたいのに」
「ホンゲッ~」
ロイはハンカチでホゲータの身体を拭き、ニャオハは身体を震わせて乾かしていると……山小屋の中にある荷物の中に何か入ってることに気付いた
「ニャッ?」
「ニャオハどうしたの…………あれ、何か入ってる……ポケモン?」
ソウハ達も集まって姿を確認する。そのポケモンは全く動いていなかったぐったりしていた
「このポケモンはミブリムだ。こんなところにいるなんて珍しいな」
ピッ!(スマホロトムをかざす)
『ミブリム:おだやかポケモン エスパータイプ 生き物の気持ちをキャッチする。強い感情を浴び続けてしまうとくたびれてしまうため要注意』
「強い感情……泣いたり怒ったりすることとか?」
「近くで泣いてる人がいたら、自分も悲しくなったりするみたいなことかな」
「まぁイメージとしたらそんな感じだ。ミブリムはそういう感情を人一倍感じ取ってしまうポケモン………(だがこれは……)」
ソウハは箱の中から優しくミブリムを取り出し、抱き抱える
「寝てるのかな?」
「(いや違う、こいつ大分弱ってるぞ)」
「えっ?」
「理由は分からないがこのままだとこの子が危険だ。一旦船に戻ってモリーに見せた方が良いな」
テンブとソウハは今までの経験から、ミブリムが危険な状態であることを感じ取っていた。ソウハはミュウをモンスターボールから出す
「ミュウ、『テレポート』でこのポケモンとリコ達を連れて先にブレイブアサギ号に戻っててくれ」
ソウハはミブリムをリコに渡す
「えっ?ソウハは戻らないの?」
「ニャ?(テンブも?)」
「あぁ、俺達はちょっと調べておきたいことがあるからな。先に戻っててくれ」
「調べておきたいこと?」
「なに、ちょっと気になったことがあったから少しその辺を調べるだけだ」
「分かった。すぐ帰って来いよ」
「あぁ、リコ、その子を頼むよ」
「うん、分かった」
「それじゃあミュウ、頼む」
「ミュッ!!」
ミュウの『テレポート』によってリコ達はミブリムを連れ、ブレイブアサギ号へと戻っていった。山小屋に残ったのはソウハとテンブ
「………なぁテンブ、お前の『見聞色の波動』から見てこの辺りにあのミブリム以外のポケモンっていたか?」
「(いや………なかった)」
「………やっぱりおかしいぞ。ここら辺は普通に野生のポケモンも生息している地域の筈。なのに見かけたのはミブリムだけって………」
「(何か起きてる……間違いなく)」
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ソウハとテンブは山小屋に戻ってきたミュウが持ってきてくれた合羽を着てポケモン達がいなくなった理由を調べるために森を探索している
「………ポケモン達が森で暮らしていたような痕跡は沢山見つかった」
「(でも、肝心のポケモン達がどこにもいない)」
「………」
森のポケモンは樹木の上や地面の下に巣を作るため、そこをあたってみたのだが、姿はどこにもなかった。森が荒らされた形跡もない、まるでつい数日前までは普通に暮らしていたがある日パッと消えてしまったかのような
「ポケモン達が消えた………」
「(もしくは一斉に移動した……とかか?)」
「移動した………何処に……?」
「(………もしかすれば、ガラル鉱山かもしれない)」
「なに?」
「(実は昨日の夜、ガラル鉱山のある方向から何か異質なものを感じたんだ………しかも沢山)」
「ガラル鉱山に?何でそんなとこに、森のポケモンがいくんだ」
「(分からん。それにまだその複数の気配が森のポケモンだと決まったわけじゃねぇし)」
「………今もまだその気配は感じるか?」
「(いや、今はもう感じない。だが………3つあった大きな気配のうちの1つの気配が今も感じ取れるんだ)」
「大きな気配………まさかレックウザか?」
「(………いや、レックウザとは違う。もしかしたらだが、レックウザ以外の伝説ポケモンかもしれない)」
「そんな奴らが3体も……そいつらが森のポケモン達を?」
「(まだ分からん……だが昨日まであった大きな気配が伝説や幻クラスのポケモンで、そいつらが森のポケモン達を拐ったんだとすると、その内の2体の気配も消えてることに疑問が残る………)」
「…………仕方ない、一旦船に戻ろう。雨も強くなってきたし」
「(分かった)」
森のポケモン達がもしかしたらガラル鉱山に一斉に移動したのかもしれない……ソウハとテンブはそう推理したが証拠も何もないないため一旦ブレイブアサギ号へと戻っていった
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ブレイブアサギ号
医務室
「━━━━ってことだ、フリード」
「ミージュ」
「森のポケモンが突然いなくなったか………」
「つい最近まで生活していた形跡はあったんだ。巣も卵もそのまま……こんなこと普通じゃありえないだろ?」
「たしかにな……ソウハやテンブの見立てじゃあガラル鉱山に何かあるんだな?」
「あぁ……確証はないが、これまで旅してきた中での勘ってやつかな」
「ミジュミージュ」
「勘か……そりゃ頼もしいな。明日も頼りにしてるぞ、ソウハ」
「頼りにしてくれるのはありがたいんだが、フリード…………お前の方は大丈夫なのか?」
「あ、あぁ……ゴホッゴホッ」
「………ピーカチュ」
ブレイブアサギ号に戻ったソウハとテンブはフリードに森の状況を伝えに行ったのだが、いつもいる操舵室におらず、医務室のベッドで横たわっていた。傍らにはキャップが心配そうに顔を覗き込んでいる
フリードはいつかのリコのように顔が赤く息苦しそうに咳をしていた
「だ、大丈夫だ……ちょっと雨に濡れたから、熱を出しただけだ……ゴホッゴホッ……」
「ほら、安静にしてなさいフリード。ただの風邪だとしても甘くみちゃ駄目」
「ラッキラッキー」
モリーとラッキーは桶に水を入れたり、おでこのガーゼを取り替えたりとフリードの看護をしていた
「なぁモリー、明日には治るか?」
「ピカピカッ?」
「無理。暫くはベッドの上で寝とかなきゃ駄目」
「えぇ~!!マジか!?」
「マジッ!医者として、絶対安静にしとくこと!いいね!?」
有無を言わさないモリーの発言に、フリードは首を縦にふるしかなかった
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「あっ、ソウハ!帰って来てたんだ!」
「ニャッハ!(お帰り!)」
「ただいま、リコ」
「ミジュマ!」
医務室を出たあと、ミブリムを抱えニャオハを連れたリコが廊下にいた。2人は何故森に残ったのかやミブリムの状況等を話した
「そうだったんだ……でもなんでポケモン達が鉱山に?」
「それはまだ分からん。それより、ミブリムの方はどうだ?」
「まだ元気ないみたい、一言も鳴かないし………あっそうだ!ソウハならミブリムの言うこととか気持ちって分かるんじゃないかな、ポケモンの言葉分かるんだよね!」
「…………悪いがそれは無理だな」
「えっ……」
「たしかに俺にはポケモンが何を言っているのか分かるが、その子は今心を閉ざしているんだ。その状態じゃあ俺もテンブ、シェイミやゲノセクトでも聞くことは出来ない。話しかけたとしても、無反応で終わる」
「そうなんだ……(じゃあ、どうしたら……)」
「ドットにでも聞いてみたらどうだ?」
「えっ?」
「何か手掛かりを掴めるかもしれないぞ」
「わ、分かった。行ってみる、ありがとうソウハ」
リコは急ぎ足でドットの部屋へと向かった。その後ろ姿をソウハが見ていた。テンブはちょんちょんと脚をつつく
「(あれで良かったのか?)」
「何がだ?」
「(お前だったらもっと的確なアドバイスが出来たんじゃないかと思ってな)」
「………リコの為だ」
テンブとさっきのことを話しながら自分の部屋へと足を進める
「俺がアドバイスしたら、リコはそれを迷いなく行う。だけどそれじゃ駄目だ」
「(敢えて自分で考えさせて、トレーナーとして成長させるってことか)」
「ポケモントレーナーになったからには、ポケモンにどう接し、どうコミュニケーションを取っていくか、それで将来が決まってくる。ましてや今はエクスプローラズっていう集団に狙われている状況………早い内に道を見つけておいた方が、大事な時にしっかり前を見れる」
「(………)」
そう言うとソウハは部屋に入り、スマホロトムであることを調べ始めた
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「ミブリム~~!!何処にいるの!!」
「お~~い!!」
「何処行ったんだよ」
ソウハが部屋の中で調べ物をしてる最中、リコはロイとドットと共にいなくなったミブリムを探し、走り回っていた
リコはあの後、ドットの部屋に行き相談した。そこでドットがネット配信における色んなコメントの対応で感情が爆発したことを思い出した時、ミブリムがビックリして部屋を飛び出して行ったのだ
それに気付いた2人は慌てて探したのだが見つからず、途中でロイにも手伝ってもらったが、未だに行方が分からなかった
因みにロイが考えた餌で釣る作戦も失敗に終わっている
「見つかんないなぁ」
「ホンゲェ~」
「船から出てっちゃったのかな?」
「この雨だからそれはないと思うんだけどなぁ………」
「クワ~……」
外は未だに灰色の雲がどんよりと空一面を覆い尽くし、激しい雨が降っていた。外に行く可能性はないと考え、ロイとドットはそれぞれまた手分けして探しに行った。だがリコは、すぐに探しに行かず窓の外を見ていた
「(寂しいって思う気持ち……1人ぼっちだった昔の私の時と……一緒)」
昔から引っ込み思案で自分から声を掛けには行けなかったリコ。それで友達は出来ず、周囲から孤立してしまうことも多かったのだ
「(1人になって……心細かった……何処にも居場所がないって思った)」
「ニャ?」
「きっとあの子も……」
その時、展望デッキからヨルノズクの鳴き声が聞こえ、リコはニャオハを連れ急いで向かった
展望デッキ
「(あっ、いた)」
「ッ!………ッッ~」
エレベーターを使って行くと、ヨルノズクと外を見ているミブリムがいた。だが、ミブリムはリコがやって来ることに気付くとすぐさま走って反対側へと逃げてしまった
リコは無理に追おうとはせず、その場で優しく話し始めた
「ミブリム………そのままで良いから、私の話聞いてくれないかな」
「………」
「私ね、考え事をしたい時はよくここに来るんだ。静かで見張らしも良いから」
「………」
「ごめんね、あなたは森で暮らしていたのに突然知らない場所に連れて来ちゃって。周りは知らない人やポケモン、外は嵐だし、森のポケモン達も全然いないし、凄く不安になっちゃったんだよね……」
「ッ……」
「あなたの気持ち、私も分かる気がする。私も同じだったから……」
「………」
「明日、元の場所に帰してあげるから。落ち着ける場所でゆっくり休んで」
リコはそう言うとエレベーターに乗ろうとした時だった
「……ミッ」
「えっ、ミブリム?」
「ミーッ!」
ミブリムはリコの前に行くと、笑顔を浮かべてリコに抱き付き、フードの中へと入り込んだ
「ハハッミブリム、くすぐったいよ~」
ミブリムはリコの肩に乗ると頬ずりを行った。リコも笑顔となり、2人の気持ちが通じ合った瞬間であった
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ソウハの部屋
「そうか……ミブリムの気持ち、理解出来たか」
「うん、今は私のフードの中でぐっすりだよ」
「たしかに、最初の時よりも随分リラックス出来ている。凄いぞリコ」
「そ、そうかな……?」
「(胸を張って良いぞ。おんなじポケモンだから分かる、あいつはリコに心を開いたんだ。それもこんな短時間でな、中々初心者で出来る奴はいない)」
「テンブ……ありがとう!」
リコはソウハの部屋に来て、ミブリムの様子を確認して貰っていた
「取り敢えず、俺が見る限りではこの子はもう大丈夫だと思うぞ」
「良かった……」
「それと、明日の探索だがフリードは熱を出して行けそうにないから明日は3人で向かうことになりそうだ」
「そっか、あとでフリードの所にも寄ってみるね」
そう言い、リコはミブリムの入ったフード服を持って部屋を出て行った
「(良かったのか?)」
「なにが?」
「(なにって……あのミブリムから話聞けたんじゃねぇのか?リコに心開いたんだから、話も聞きやすいだろうし)」
たしかに、ミブリムから話を聞ければ何故森のポケモン達が突然いなくなったのかが分かるかもしれない……だが
「………あの場所で何があったのかは分からないが………ミブリムからしたらすれば、それは思い出したくないことなのかもしれない」
「…………」
「折角リコに心を開いてくれたんだ……また閉ざしてしまうようなことはしたくない」
「(そうか……そうだな、お前はそう言う奴だったな)」
ソウハはミブリムが嫌なことを思い出してしまい、また心を閉ざしてしまうことを恐れ敢えて言わなかった。テンブもそれに納得する
「それでテンブ、明日の探索に連れていくメンバーだが、今回はもしかすれば……………メロエッタの力が必要になるかもしれない」
「(メロエッタを?)」
「あぁ、メロエッタの歌の力が必要になると思う………俺の考えてることが杞憂であれば良いんだけど……」
「(……分かった。あとは?)」
「テンブとミュウ、ビクティニとマーシャドーを連れていく」
「(他の奴らは全員船の守りか)」
「あぁ、フリードが満足に動けない以上はここの守備を固めないといけない」
「(そうだな~………もしもまた奴らが攻めてきたらたまんないもんな~)」
「取り敢えず、皆に明日のことを伝えるか」
ソウハはオリーヴァの森の時と同様にガラル鉱山探索の準備を行う
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ガラル鉱山の近くの森
翌日、雨はすっかり止んでいた。フリードはやはり熱で寝込み、今日1日は安静にしておかなければならない状態であった。そのため、探索はソウハとリコとロイとそのポケモン達になった
まずは保護したミブリムを帰すため、ミュウの『テレポート』によって山小屋までやって来た
リコはフードからミブリムを取り出し、そっと地面に置く
「元気でね………さようなら」
「…………」
ミブリムは木々のある方向へ歩いていこうとした、だが
「ミッ!」
「えっ?」
くるりと引き返し、リコの胸元へと抱き付いてきた
「ミブリム?」
「ミ~~ッ……」
「リコ、ミブリムが『一緒にいたい』ってさ」
「ほんと!!ミブリム、一緒に来てくれるの!」
「ミッミッミーー!!」
ミブリムはその通りだと言わんばかりに笑顔を浮かべ、脚をドタバタとさせ、喜んでいた。リコの方も嬉しそうにミブリムを両手で掲げ笑顔となる
「ミージュ………(リコの初ゲットだな………)」
「あぁ………リコ、ほら!」
ソウハは鞄からモンスターボールを取り出し、リコに投げて渡した。受け取ったリコはミブリムの前にボールを持ってくる
「ミブリム、1歩踏み出してくれてありがとう。これからいっぱい、あなたに嬉しい気持ちを届けるね!」
「ミーミッ!」
リコの純粋な気持ちを感じ取ったミブリムは、自らボールのボタンを押して中へと入っていった
ホワン……ホワン……カチャン!
「ミブリム、ゲットです!」
リコはミブリムをゲットした。リコは早速ミブリムをボールから出した
PON!
「ミーッ!」
するとニャオハがミブリムに近付き、右足を前に出した
「ニャハ~!(これからよろしく!)」
「ミーッ!(こちらこそ!)」
ミブリムも手を差し出し、お互いに握手を交わした
「リコ、初ゲットおめでとう!」
「ミージュ!」
「リコじゃなきゃミブリムがこんなにも懐かなかったよ!」
「一種の才能だな!」
「ミージュマ!」
「ホーンゲ!」
「(私の得意なこと、やっと見つけられた。ミブリムに会って、ミブリムのことを考えていたら、自分のことも少し分かったような気がします)………私、ポケモンが好き!もっとポケモンの気持ちを知りたい!だから、そんなトレーナーになりたい!」
「うんうん。良い目標だな、リコ。頑張れよ」
「ミージュマッ!」
「よ~し!それじゃあ改めて、レックウザを探しにレッツゴー!!」
「ホォゲッ!!」
リコはミブリムと気持ちを通わしながら自分自身がどんなトレーナーになりたいのかが分かった。この先何が起ころうとも、ポケモンと一緒に乗り越えていこうとリコは決心した
ガラル鉱山
普段、鉱山の中にはそこで取れる鉱石を採掘するための作業員や洞窟に住むポケモン達がいるのだが
「さぁ……来いよ。未来のチャンピオン殿」
今日に限っては、1人の男と
無数のポケモン達が、赤く眼を染め佇んでいた