ポケットモンスター ~少年が進む道はキズナによって切り開かれる~ 作:Kod
入学式当日、生徒達は講堂に集まり校長先生からの挨拶を聞いた後にそれぞれのクラスへと移動した。
ちなみに、ソウハはリコとアンとは………
「(違うクラスかよ~)」
2人とは別のクラスとなってしまった。
「何でこんなについてないんだろうなぁ。」
「(前向きに考えろって、リコやアン以外にも友達を作れる良いチャンスと思えよ。)」
「…まぁ……そう思うか。」
テンブと会話しているとソウハのクラスの担任が教室に入って来た。軽く自己紹介をした後に、クラス全員にスマホロトムが配られる。
「それでは皆さん、スマホロトムを再起動してください。それで皆さんのポケモン図鑑が使えるようになります。」
「(ポケモン図鑑もポケモンの転送もスマホとしても使えるなんて、便利になったなぁ。)」
「それでは、次に皆さんの相棒ポケモンをお渡しします。順番に名前を呼びますので呼ばれた方はポケモンを取りに来てください。」
先生がそう言うと、ソウハを除いたクラスメイト全員から
緊張と興奮が伝わってくる。その様子を見て、ソウハは少し懐かしさを感じる。
「(俺も初めてポケモンを貰いに行く日は、こんな感じだったかな?研究所の前でもまだかまだかって待ちぼうけしてたっけ?)」
ソウハはイッシュ地方で初めてのポケモンを貰ったときのことを思い出していた。
草タイプのツタージャ、炎タイプのポカブ、そして水タイプのミジュマル、この3匹がモンスターボールの中から出てきたのを今でも覚えてる。
ソウハが思い出に浸っている間にもクラスメイト達は次々と貰っていった。
「最後にソウハ君ですが、君はポケモンを既に持っているとの事でよろしいんですね?」
「はい、大丈夫です。」
「分かりました。皆さん、ここにいるソウハ君は皆さんよりも早くポケモントレーナーとしてポケモン達と各地を旅したことがある子です。ソウハ君は皆さんの手本となれるような行動をお願いしますね。」
「はい。」
先生がそう言うと、クラスメイト達の好奇な視線がソウハに集中してくる。尊敬の眼差し、挑戦的な眼差し等、多種多様な視線をソウハは感じ取る。
「はい、それでは皆さん。今日はここまでです。パートナーポケモンと仲良くしてあげて下さいね。」
「「「「「はーい!!」」」」」
先生の話が終わり、ソウハは廊下に出る。
リコやアンのパートナーポケモンは誰になったのか、気になったのだ。
すると、階段のある方に見覚えのある髪型の子が下りて行ったのが見えた。
「(今のってリコか?)」
何故階段を走って降りて行ったのか、少し気になった。旅で培った経験が嫌な予感を感じ取り、気になって追いかけることにした。
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「この辺りに来たと思ったんだけどなぁ」
ソウハはリコを追いかけ、階段を降りたが途中で見失ってしまった。学園の生徒は皆同じ制服を着て、リコと同じような背丈の人が大勢いるため、見つけるのが難しい。
一旦探すのを諦めようとした時だった
「………!?なにやってんだアイツ?………!?(ヤベェ!!)」
ソウハがふととある建物の屋上を見上げると、そこにはリコと草タイプを思わせるような緑色の小柄なポケモンがいた。
だが、ポケモンはリコがいる隣の建物の屋根におり、距離があった。だがそんなことお構い無しとでも言うかのようにポケモンはリコのいる建物の屋上にジャンプした。
「(ヤバい!!リコが落ちる!!)」
そのポケモンを咄嗟に手を伸ばして受け止めようと、柵から身を乗り出したしたリコが屋上から落ちる。
「間に合えぇぇ!!」
ソウハは2人の落下地点に向かってスライディングを決め、受け止めようとする。
「きゃあ!!」
「ぐほっ!!」
ギリギリの所で、受け止めに成功
「(痛ったぁ………くない?え?……え!?)ソウハ!?」
「よぉ……リコ……大丈夫か?」
「う、うん……大丈夫……って、ごごごごめんなさい!!ソウハこそ大丈夫!?怪我してない!?」
リコは大慌てで下敷きになっているソウハから降りる。
「あぁ、おれは大丈夫だ。旅で自然と身体が鍛えられたからね。それより、リコとその子が無事なようで良かったよ。」
「ありがとう、ソウハ。」
2人はお互いに怪我がないことを確認し合い、笑った。
「あれ?そういえば、どうしてソウハがここに?」
「教室から走って階段を降りていくリコの姿が見えたから、ちょっと嫌な予感がして探してたんだよ。まさか、屋上から落ちてくるとは思わなかったけど。それより、何で慌ててたんだ?」
「それが……あれ?………あ!?ニャオハ!!ニャオハは!?」
リコはキョロキョロと首を回して辺りを見回す。
「ニャオハってさっきのポケモンか?」
「そうなの!!さっき教室で相棒ポケモンとしてさっきのニャオハっていうポケモンが渡されたんだけど!!あの子が突然逃げ出しちゃって………」
「それで追いかけて来たってことか?」
「うん……でも……また見失っちゃった」
「いや、さっきあの子があそこの茂みの向こう側に歩いて行ったのを見てたから、そこら辺にいるんじゃないか?俺も一緒に探すからさ」
「ホント!?重ね重ねありがとうね、ソウハ」
「良いさ、友達だろ?」
「!!……うん////」
それからソウハとリコはニャオハを探しに茂みの向こう側に探しに行く。
「………」
「(リコ?)」
茂みをかき分け、歩いていく中でふと、リコを横からチラッと見ると何やら難しい顔をしているようであった。
「お!リコ、見てみろ!」
「へ!?……うわぁ!!」
茂みを抜けた先にあったのは空一面に広がる、赤く黄色く微かに黒を含んだ綺麗な夕焼け空であった。
「きれい」
「あぁ」
リコは目の前に広がる美しい景色に心奪われ座り込む。
ソウハはニャオハがいないか辺りを探していると
「(ニャオハ、ニャオハ、ニャオハ………あ、いた。)」
ニャオハはどうやらまだ茂みの中にいたようで、2人の後ろから茂みを抜け、座っているリコの隣に座った。
「リコ、ニャオハがいたぞ」
「え?あ!ニャオハ!!良かったぁ~、良い香り~」
リコはニャオハを抱き抱えほっぺスリスリを行い、匂いを嗅いでいた。だが、ニャオハはそれが嫌だったのか
「ニャ!!」
「あ痛!!」
リコの瞑っている片目にパンチをお見舞いし、またどこかに行ってしまった。
「おい、大丈夫か?」
「うぅ~、なんで~?」(涙目)
「ほら、目を見せてみろ。…………赤く充血はしてない、目を閉じてて良かったな。」
「う、うん。」
「あれ?手も怪我してる?」
「あ、これは教室でニャオハを撫でようとした時にひっかかれて」
「ほら、そっちも見せてみろ」
「え?」
「早くしないと、菌が身体の中に入り込む。絆創膏とキズ薬持ってるから見せてみろ。」
「あ、ありがとう//////」
ソウハはリコのひっかかれた右手にキズ薬を吹き掛け、絆創膏を貼った。
「これで良し。」
「…………ねぇ、ソウハ。」
「うん?」
「私………ニャオハと上手くやっていけるかな?」
「……………」
「アンも他のクラスメイト達も自分の相棒とは意気投合している感じだったけど、私とニャオハだけ全然で……これから先が不安なの」
「……リコ、ちょっとこっち向いて」
「え?」
「えい!」ピシッ‼
「ンギャ!?」
ソウハはリコのおでこ目掛けてデコピンをお見舞いした。
「しっかりしろ、まだ初日だぞ!トレーナーがそんな感じでどうする!」
「い……痛い……えぇ?」
「今日の出来事だけで、これから先のことを思い浮かべるなんて出来るわけない。ましてや、ニャオハのことをまだ何も知らないんだろ?」
「う、うん。」
「だったらまずは、あの子がどんな子なのかを知って、リコがどういう風にあの子と接していくのかを決めるんだ。」
「わ、私が?」
「そうだ、リコ自身がニャオハと向き合わなければならないんだ。自分の
「………そっか、そうだよね!うん、私、ニャオハのことをもっと知るね!」
「おう!その意気だ!!俺も、何か手伝えることがあれば手伝うよ!」
「ホント!!ありがとう!!」
リコはソウハのお陰で、ニャオハと向き合う決心を固めた。だが、2人は忘れていた。もうすぐ寮の門限の時間になってしまうことに
気付いた2人はニャオハを急いで探し、抱き抱え、全速力で走り、何とか門限までに間に合った。
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あれから何日か経ち、リコはソウハが言った通りニャオハの色々なことを知ろうとしていた。
ニャオハの行動パターンや仕草、日向ぼっこをする場所等をメモし、自分なりにニャオハのことを調べていた。
ソウハやアンも時々アドバイスをしたりするが、なるべく遠くから見守ることにしていた。
今、ソウハとリコは学園の寮からこっそり抜け出し、ニャオハの技の特訓をしていた。
「ニャオハ、『このは』!!」
「ニャ?ニャアァァ!!……ニャ?」
「う~ん、ダメか。」
「ニャオ……」
「ニャ」ガリガリガリ
「ハァ……また飽きて爪研ぎしちゃってる。」
リコはニャオハにこのはを指示したが、上手く発動出来ず、不発になった。
「ごめんねソウハ、貴方にも付き合わせちゃって」
「それは別に良いけど、ニャオハが何で技を出せないのか………リコは心当たりある?」
「ううん、分からないの」
「ニャァァ~」
「………ちょっと待ってて」
「ソウハ?」
ソウハは向こうの岩で爪研ぎをしているニャオハに近付き、視線を合わせるように膝を曲げた。
「ニャオハ、1つ聞いても良いか?」
「ニャニャ?(なに?)」
「君は何で技を打とうとしないんだ?」
「ニャオハ、ニャオ(貴方に喋っても私の言ってることなんて分からないくせに)」
「いや、分かるよ。君の言ってること」
「!?ニャァ!?(え!?うそ?)」
「ホントさ、それじゃあニャオハがとっても複雑なことを言ってみてよ」
「…………ニャ!!ニャオ!!ニャニャニャ!!」
「へぇ、そうなんだ。」
「えっと?ソウハ、さっきから何してるの?」
「リコ、最近この特訓終わっても、机に向かって夜遅くまで日記を書いているだろ?」
「…………へっ?」
「それでニャオハが、『机の灯り!!眩しすぎ!!寝れないでしょうが!!』って言ってるよ。」
「…………………ええええぇ!?」
「ニャニャ……(まさか、本当に私の言葉が……)」
「そう言うこと。リコもこの際知っておいてくれ、俺はポケモンの言葉が分かるんだ。」
「えええぇぇぇ!?」
リコの驚く声は静まり返っていた夜の空間に思いっきり響いた。
「ちょっとリコ、静かに!警備員の人が気付く!」
「あ、ごめん。でも、本当にポケモンの言葉が分かるの?」
「まぁね……(余程、特殊なポケモンでない限り)」
「凄い、ソウハってやっぱり凄いね!」
「………ありがと」
「???」
「さぁ、それよりもリコ、ニャオハがあぁ言ってたから、なるべく早めに灯りを消して寝な、ニャオハが寝れるように」
「うん!分かった、ニャオハごめんね」
「ニャオ」
「『分かったなら良い』って言ってるよ」
「良かったぁ~!!」
「それで話を戻すけど、ニャオハはどうして技を出さないの?」
「…………」
「ニャオハ?」
「…………」
「(喋らなくなった?余程喋りたくないのか?………過去に何かあったのか?)」
「ニャオハ、どうしたの?」
「………リコ、これ以上ニャオハに聞くのはよそう」
「え?どうしかしたの?」
「どうやらニャオハが技を出したくないのは……余程深い理由があるみたいなんだ。」
「え!」
「理由を尋ねたらニャオハが黙り込んでしまった。これは俺の予想だけど、ニャオハがリコと出会う前に、技を出したくない何かあったんだと思う。」
「………」
「ニャオハに何かが?」
「俺の予想だけど」
「……………」
「ねぇソウハ、私はニャオハが何を言っているのかは分からないけど、私はニャオハが無理に技を出してくれなくても良いよ。」
「!!ニャァ?」
「……………どうしてだ?」
「私のパートナーだもん。ニャオハが何かを抱えているんだったら、無理に話してくれなくても良い。私はニャオハの相棒でパートナーだから、ニャオハがいずれ話してくれるときまで、私は待つ。技を出す練習はそれからでも良い。たとえ話してくれなくても、
ニャオハが私のパートナーであることには変わりないから」
「!!!」
「リコ………(凄いや)」
「ニャァァ~」
「ニャオハ?」
「ニャニャニャ、ニャオ~」
ニャオハはソウハに向かって何かを伝えた。
「分かったよ、ニャオハ。」
「ニャオハは何て?」
「『いつか話すから、それまで待ってて欲しい』だってさ」
「!!分かった!!待ってるからね、私!!」
「ニャ!!」
リコはニャオハの頭を優しく撫で、ニャオハも笑顔を浮かべていた。
リコとニャオハ、2人の間には確かに絆が生まれていた。
「(良かった。)リコ、そろそろ戻ろう。流石にこれ以上は明日に堪える。」
「そうだね、戻ろうニャオハ」
「ニャァ~」
「ねぇソウハ」
「ん?」
「本当にありがとう!!」
「!?//////あ、あぁ、どういたしまして……」
ニャオハを抱き抱えながらリコはソウハに向かって感謝の言葉をかけた。
そのときの笑顔は、ソウハにとってとても美しいものであった。
次回は、原作と思いっきり違う方向に行くかもしれません。