ポケットモンスター ~少年が進む道はキズナによって切り開かれる~ 作:Kod
めっちゃ長くなってしまいました。
自分でもびっくりです。今回はソウハのポケモン達が続々と登場します。
最後の方にソウハの手持ちポケモンの技や特性を記入しました。今回はソウハの相棒、テンブです。
ソウハがリコにポケモンの言葉が分かるという秘密を打ち明け、リコとニャオハ2人の絆が深まったあの夜から、何日か経過した。
ソウハとリコは今日も夜中に寮をこっそり抜け出し、湖の近くで特訓をしていた。
「ニャオハ、『このは』!!」
「ニャー!!」
ニャオハから大量の緑の葉っぱ状のエネルギーが放たれた。
放った先にいるのは、ソウハとテンブ。
「テンブ、『シェルブレード』!!」
「ミージュ!!」
ガキガキッガキガキッ‼
向かってきたこのはをテンブは余すことなく全てシェルブレードでかき消した。
「ニャオハ『ひっかく』!!」
「ニャ!!」
「それは悪手だ、『シェルブレード』で受け流せ!!」
「ミジュマ!!」
「ニャ!?」
爪でひっかくを繰り出すためにテンブに近付いたニャオハであったが、テンブはニャオハの突っ込んでくる勢いを利用し、ホタチの刃でニャオハの爪を受け流した。それにより、ニャオハはバランスを崩し、無防備な体勢になる。
「ニャオハ!」
「テンブ、軽めに『ハイドロポンプ』!」
「ミ~ジュマァ!」
ズゴォォォン‼
「ニャァァ!?」
「ニャオハ!?」
テンブはよろけたニャオハの背後に向かって、手から威力低めのハイドロポンプを繰り出した。ニャオハは避けられず、身体に当たってしまい、軽く吹き飛んだ。その様子を見たリコは、一目散にニャオハに近付き、怪我の具合を確認した。
「ニャオハ、大丈夫!?」
「ニャ~ニャ」
「ニャオハは『大丈夫』って言ってるよ。テンブも手加減してたし、怪我は無いと思うけど一応、オボンの実を持ってきてるから、食べさせると良いよ。」
「ありがとう、ソウハ」
「ニャ!!」
ソウハは鞄の中から体力を回復させるオボンの実を取り出し、リコに渡すとニャオハに食べさせた。美味しそうに食べるニャオハの頭を、リコは嬉しそうに頭を撫でる。
あの夜の一件から、ニャオハは技を出す練習を真剣にやるようになった。日常生活の中でも、リコとニャオハは上手くコミュニケーションを取れている様子。
「やっぱり、ソウハとテンブは強いね。息ピッタリだし、流石ポケモンリーグ優勝者だよ」
「リコとニャオハも初めの時よりは大分良くなったと思うぞ。ニャオハもあの夜からリコの指示を聞いて動いてくれるようになったしさ、あとは経験だな」
「経験か………やっぱり何回もバトルをするしかないってこと?」
「それもあるけど、バトルだけが全てじゃないさ、俺やテンブ、他のポケモン達は一緒に旅しながら料理したり、運動したり、遊んだり、喧嘩したりして、お互いのことを知っていったんだ」
「ミジュジュマ!」
「だからさ、そんな感じでリコもニャオハと一緒に何かをやって、お互いを知っていったらどうだ?そうすれば、バトルでも有利に立ち回れるんじゃないかって、俺は思う」
「一緒に何かを………」
リコは考える。何をすれば、もっとニャオハとの絆を深められるか。
「(どうしよう……私ってあんまり夢中になる趣味とか特技とか無い。ソウハが言っていた料理とか運動とかもあんまり得意じゃないし……)」
「あ、そうだ。リコは大型連休、何か予定はあるか?」
「え?」
セキエイ学園はあと何日かで大型連休に突入する。実家に帰省したり、寮に残ってのんびり過ごしたりして、ゆっくり休めるのだ。
「わたしは特に予定とかは無いかな?実家に帰ってもお父さんとお母さんは忙しそうだし、学園に残ってニャオハと過ごそうかなって」
「それじゃあ、大型連休の間だけ旅に出てみないか?」
「え?………た、旅?」
「そう、旅。俺は大型連休中はカントー地方のジムをもう1回やろうかなって思ってたからさ、リコとニャオハさえよければ、一緒に旅をしながらジム巡りしようかなって思ってたんだけど、どうだ?」
「そ、それって、つまり………(2人っきり)//////」
リコはソウハと2人っきりになることを想像し、頬を赤く染める。ニャオハやテンブ、他のポケモンもいるから厳密に言うと2人っきりではないが。
「(リコ?どうしたんだ?)」
「ミ~ジュッジュ~!(はっは~ん、なるほど~!)」
一方ソウハは、リコが黙り込んでしまったため、また何か悩んでいるのかと思っていた。テンブはニヤニヤ顔でリコを見ている。
「ジムリーダーとのバトルとか参考になると思うけど?……やっぱり不安か?」
「へっ!?い、いや!!そんなこと思ってないよ。私1人だけだったら不安だけど、ソウハが一緒だったら心強いし!」
「ニャ~(確かに)」
ニャオハも賛成しているようである。
「ソウハさえよければ………い、行こうかな?」
リコは少し考えた後に、旅へ行くことを了承した。
「よし!そうと決まれば、旅の準備をしないとな!!」
「準備……ってどうすれば?」
「大丈夫、これでも長年旅してきたからな。最低限準備するものはちゃんと知ってる。今日の放課後にでも、買いに行くか!!」
「は、はい!お願いします、ソウハ先生!!」
「リコよしてくれ!先生だなんて(笑)」
「フフッ、冗談だよ。でも、よろしくねソウハ」
「ニャオ!!」
「おう、任しとけ」
「ミ~ジュ!!」
そんな会話をしながら、2人は特訓を終え、寮に戻っていった。
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リコとアンの部屋 303号室
リコはソウハとの特訓を終えると、パジャマに着替え、日記を書いていた。ニャオハに注意された日から、日記を書くのは出来るだけ短時間で済ませ、最低限の明かりで書くようにしている。今日の特訓のことやソウハからのアドバイス等を書き込んで日記帳を閉じた。
「(今度の大型連休は、ソウハと一緒にジムを巡っての旅………か……)」
ベッドに入って寝ようとしたとき、リコはふとベッドの下に置いてある箱の中身を開けた。
リコはそこに入っていた、青みがかった緑の宝石が組み込まれているペンダントをじっと眺める。
「(これも旅に持っていこうかな?)」
「どうしたの?」
「うわっ!?」
物音で起きたのか、ルームメイトのアンがリコの背後から話し掛けてきた。
「ご、ごめん!起こしちゃった?」
「気にしないで~、何それ?」
「えっと……お守り」
「お守り?」
「おばあちゃんから貰ったんだ。私のこと、護ってくれてるんだって」
「へぇ~触っても良い?」
「うん」
アンは箱からペンダントを取り出すと、リコの前に持っていき、垂らしつけている所を想像する。
「何でしまってるの?絶対にリコに似合うのに?」
「うん……私にはまだ早いかなって」
「そうかな?これ付ければ、ソウハに綺麗って言われるかもよ?」
「ふぇ!????」
アンの発言にリコは顔を赤くし、うろたえる。
「な、なな何言ってるのアン!?」
「だってリコ、ソウハのこと好きなんじゃないの?」
「好き!?ち、違うよ!!ソウハとはただの友達だって!!」
「えぇ~!!夜一緒に湖でデートしてるのに?」
「あ、あれは特訓で……って何でアンがそれ知ってるの?」
「えへへ、ごめんね。実はリコの後をこっそり付いて行っちゃって」
アンは右手で頭をかき、苦笑いしながら謝罪した。
「だけどね、リコ。こっちから見るとソウハとお似合いだと思うよ?」
「そ、そんなこと無いって。それにソウハは今まで色んな所を旅して来たんだよ?だったら私なんかより、良い女性にだって……巡り合ってる筈だよ……」
「リコ……(やっぱりリコは、顔に出やすいよね。)」
リコもアンも休み時間や放課後にはソウハから旅の話を聞くことがあった。話では、途中まで旅に同行した仲間達のことや立ち寄った村や街で出会った人達と交流を深めたという。
その中には女性もおり、その人達とともに過ごしたことを楽しそうに話していた。リコはひょっとして、その中にはソウハが好意を持っている人がいるのではないかと思ってしまっていた。
アンはこの短い期間であるが、リコは感情が顔に出やすい癖があるということを知っている。そのため、急に顔が曇ってしまったリコが今、どんな心情であるのか、何となく想像が付いてしまっていた。
「私はね、リコは充分可愛い女の子だって思うよ!!」
「へっ!?/////////」
「だから、リコは余計なことは考えずにソウハに思いを伝えれば良いの!!」
「だ、だけど……」
「この大型連休はチャンスだよ!どこかデートとかに誘えばきっと距離を近付けられるよ!」
「デデデ!?デート……ではないけど……実は大型連休中は、ソウハと旅をすることになったんだ」
「え!そうなの!?じゃあチャンスじゃん、それ!!」
「チャンス……かな?」
「そうだよ!!この機会を生かさなきゃ!!大丈夫!!私は応援してるから!!」
「そ、そうだよね!アン、ありがとう!!」
そうしてリコとアンは友情を深めた後に、旅に御守りのペンダントを持っていくことを決め、深い眠りについていった。
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あっという間に日が流れ、大型連休の前日となった。
セキエイ学園のバス駐車場には多くの生徒が荷物を持って集まっていた。明日からの大型連休の為、帰省する生徒達だ。ソウハとリコは学園に残るが、実家に帰るアンを見送るため来ていた。
「ひっさしぶりの実家だ~!!ゴロゴロしよっと!!あと、ミジュマルも紹介しないと!!」
「ミジュミジュ!」
アンは相棒となったミジュマルとともにいた。ミジュマルはアンの鞄に乗りながらアンの実家に行くのが楽しみなのか、元気一杯である。
「リコとソウハはカントー地方を旅するんだよね?」
「まあね、ジム巡りだったり気になる所に行ったりして、旅を楽しもうと思ってる。な、リコ?」
「うん、旅なんて初めてだから少し不安だったけど、ソウハがいれば不思議と不安が消えちゃってて、とっても楽しみなんだ」
「ふふ~ん……ソウハ、リコのことちゃんと守ってあげてね!」
「言われなくても、分かってるよ」
「リコ、ちょいちょい!」
「?」
アンはリコを手招きし、ソウハに聞こえない音量で話し掛けた。
「ちゃんとソウハのハートをゲットしてきなよ!!」
「ふぇ!?///////ア、アン~~!!」
「えへへ、それじゃあね~!!」
「ミ~ジュ!!」
アンは怒ったリコから逃げるようにして、バスの中に乗り込んで行った。
「も~う!!……もう……(ありがとう)」
リコとソウハはアンが乗ったバスが出発したのを見送ると、それぞれ明日の準備のために一旦寮へ戻ることにした。毎晩、湖近くで行っている特訓も今夜は無しということになった。
「そう言えばさっき、リコとアンは何話してたんだ?」
「………内緒」
ソウハは結局教えてもらえず、モヤモヤした気持ちで寮に戻っていった。
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女子寮
ソウハと一旦別れた後、リコは自分の部屋に戻り、明日の旅に向けての荷物の最終チェックをやろうと思っていた。
「(着替え、医薬品、食料、モンスターボール、お金……準備したけど部屋に戻ったらもう一回確認しよう)」
リコは予めソウハに言われたものを準備し、旅用のリュックに纏めて入れていたが、万が一忘れ物があればソウハに迷惑がかかってしまうため、もう一度確認しようと部屋に向かおうとした時であった
「あ、リコさん、お客さんですよ」
「えっ?」
寮の玄関に入ると寮母さんに話し掛けられる。
寮母さんの隣にはスーツを着込み、白と黒のツートンカラーの髪型が特徴的な少年がいた。年齢はリコより少し年上のようである。
「初めまして……リコさんですね?」
「は、はい。どちら様でしょうか?」
「おばあ様の代理の者です。手紙を預かってきました」
「手紙……(え?おばあちゃんから?)」
少年はスーツの内側のポケットから手紙を取り出し、リコに渡す。
「あ、あの?これは一体?」
「事情は後程、大切なペンダントをくれぐれも忘れずに持ってきて欲しいということです。」
「シャーッ!!」
リコの祖母の代理人と名乗る少年が近付くと、ニャオハが突然威嚇した。ポケモンの本能が少年の何かを感じ取ったようである。
「ニャオハ、失礼でしょ!すみません、準備してきますので、ここで待っていて下さい」
「・・・分かりました」
ニャオハを注意したリコは少年に待ってもらうように言って、自分の部屋に戻る。部屋に戻るとリコは直ぐに扉を閉め、考え込む。
「(いや、いやいやいや!!何あの人!?怪しいでしょ!?おばあちゃんが手紙だなんて変だよ!!それにペンダントを持ってこいだなんて、絶対おかしい!!)」
ニャオハが本能的に感じ取った敵意を、リコも薄っすらと感じ取っていた。リコはベッドの下からペンダントを取り出し、首にかける。
「(まずはあの人から逃げないと!!え~と明日の旅のために準備していたバッグを持って、次は……そうだ!!ソウハに、ソウハに電話を!!)」
リコはスマホロトムを取り出すと、ソウハの番号にかける。
ロトロトロト……ロトロトロト……ロトロトロト ……ロトロトロト ……
「ソウハお願い!早く出て!!」
数コールの後、ソウハが出た。
『もしもし、リk「ソウハ、助けて!」……落ち着いて、何があったんだ?』
ソウハが電話に出た瞬間、助けを求めてしまうリコ。得体の知れない恐怖感と電話に出てくれた安心感からの言動であった。
ソウハはリコが本気で助けを求めていることを感じ取り、リコに何があったのか問い掛ける。
「寮に怪しい男の人が来てて、私のおばあちゃんから頼まれて迎えに来たって言ってるんだけど、怪しくて、ニャオハも警戒していたし」
「リコは今どこにいる?」
「ま、まだ私の部屋の中、その人には外で待っててもらってるんだけど」
コンッコンッコンッ
「ッ!!」
突如、部屋のすぐ外からドアをノックする音が聞こえる。このタイミングでのノック、先程の怪しい少年が部屋の前まで来たことに、リコは恐怖を隠せなかった。
「き、来た!怪しい人が部屋の前まで!!」
『リコ、落ち着いてよく聞け』
「ソウハ?」
『部屋に窓があるな?それを全開にするんだ、リコとニャオハはベッドの下に潜って音を立てずにいろ!その男が立ち去るまで隠れているんだ!!』
「わ、分かった」
『電話はこのまま繋いだままにしてくれ、男が部屋を出ていくのを確認したら、ベッドから出ずに知らせてくれ。俺がそっちに行くから、それまでそこで隠れているんだ。いいな?』
「うん、分かった」
リコはソウハに言われた通り、急いで部屋の窓を全開にし、ニャオハと共にベッドと床の隙間部分に隠れた。
「ニャオハ、ちょっとの間だけ我慢してて」
「ニャ!」
ベッドの隙間にリコとニャオハが入って数秒後。
「失礼!」ガチャ
「「ッ!!」」
部屋の扉が開き、あの少年が入ってきた。少年は部屋を見回し、窓が開いていることに気が付くと
「チッ、大人しくついてくれば良いものを」
「(やっぱり……おばあちゃんの知り合いってわけじゃなさそう)」
先程対面してきた時とは打って変わった物言いに、リコは自分の勘が合っていたことに安堵する。
少年の方はスマホロトムを取り出した。
「周辺を固めろ、まだこの近くにいる筈だ」
「!?(あの人の他にも、まだ誰かいる?)」
あの人のような人が1人では無かったことに驚きつつも、リコはニャオハを抱きしめながらベッドの下で息を殺す。少年はスマホロトムで仲間へ指示を送りながら、部屋を出ていった。
「・・・・・・(出ていった?)」
ベッドの隙間から少年の足が無いことを確認し、リコは自分のスマホロトムをポケットから取り出す。
「ソウハ、私の部屋にもうあの人はいなくなったよ」
『分かった。そいつかそいつの仲間が戻ってくるかもしれないから、そのまま隠れていてくれ。直ぐに行く。リコの部屋の番号は何だ?』
「うん、お願い。番号は303だから」
「分かった」
リコとニャオハは引き続き、ソウハが来るまでベッドの下でじっと息を潜める。
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ソウハside
リコの助けを聞き、ソウハは女子寮の前まで来ていた。だが、同じ学生の男が女子寮に入るのは禁止されている。事情を話しても、そんな暇は無い。だからソウハはある方法で女子寮に入ろうとしていた
「(この方法はちょっと気が引けるが、緊急事態だ。大目に見てくれ)」
ソウハは1つのモンスターボールを投げた。
PON!!
「シャァー!!」
モンスターボールから出てきたのは、黒い身体を基調とした大きい二足歩行の狐の姿、膝まで伸びている赤黒いタテガミに鋭い爪が特徴のばけぎつねポケモン、ゾロアークであった。
「ゾロアーク、早速なんだが俺を他の人から見たら女子生徒に見えるように幻影をかけてくれ」
「ガウッ!!(何か急いでるようだな、分かった。それくらいお安い御用だ)」
ゾロアークの両目が光り、ソウハに幻影を施していく。
「ガァウ!ガヴ!(完了したぞ、ソウハ)」
「ありがとう、ゾロアーク」
ソウハはゾロアークをボールに戻し、女子寮の中へ入っていった。途中で何人かの女子生徒とすれ違ったが、幻影によって女子に見えているため、気にされなかった。
「303号室はここだな」
開けっ放しのドアから中に入ると、自分が指示した通り窓が全開で開いていた。
「リコ、ソウハだ。出てきて良いよ」
ソウハはベッドに向かってそう言うと、隙間からリコとニャオハが出てきた。
「ソウハ!!良か・・・誰?」
「ニャア!!」
「俺だよ、ソウハだよ。」
ソウハは再びゾロアークをモンスターボールから出すと、幻影を解除してもらう。
「良かった~本当にソウハだった……でも、どうして女子の姿に見えてたの?」
「俺のポケモン、ゾロアークは幻影を見せることが出来るポケモンでな、人やポケモンを化かすことが出来るんだ。それより、安心するのはまだ早い。電話越しから聞こえたが、男には仲間がいてリコを見つけるために周辺を探しているみたいだからな、急いでここから逃げよう。ゾロアーク、俺とリコに幻影をかけてくれ」
「ガア"ア"(分かった)」ピカーン (ゾロアークの両目が光る)
ゾロアークはソウハとリコに幻影をかけ、顔も背丈も全くの別人のように見えるようにした。ソウハは女子寮に侵入したときの女性の姿となり、リコは白いロングヘアーに背が少し高い女性の姿となった。
「うわ、す、すごい!私ホントに姿が変わっちゃった!!」
「あくまで幻だからな、この姿ならあの男やその仲間に気付かれることはなくなると思うけど、油断は出来ない。リコ、必要な荷物を持って直ぐに近くの街まで行こう」
「う、うん分かった。明日に備えてもう荷物は纏めてたから、このリュックさえあれば大丈夫!」
「よし、それじゃあ行くぞ。俺が先導するから、なるべく自然体でついてきてくれ」
「分かった、お願い。」
そして、ソウハとリコは女子寮を後にし、外に出た。ニャオハは一旦モンスターボールに入ってもらってる。
「(し、しぜんたい……しぜんに怪しまれないように)」
「リコ、そうガチガチにならなくて大丈夫だぞ?」
「う、うん……」
「・・・(リコ、足と手が一緒に出てるぞ)」
リコとソウハは今のところ、誰にも怪しまれないように学園の校門に向かって歩いている。だが、リコはこういう場面に慣れておらず、顔がガチガチに強張り、手足が一緒に出てしまっていた。
そう思っていると、ソウハの手持ちポケモンであるビクティニとメロエッタが身体を透明化させた状態で、近くに寄ってきた。ソウハは予め、透明になることが出来る2体をボールから出し、学園の中に不審な人物がいないかどうかを見て回ってもらっていた。
「(ビクティニ、メロエッタ、俺達を付けてきている奴はいないか?)」
「ティニーティニ(誰もいなかったよ)」
「メロッタ、ロメロメ(同じく、だけど普段学園では見ない人達が結構いたわ。多分、その男の仲間だと思う)」
「(やっぱりか・・・)」
「ティニ?(これからどうするの?)」
「(取り敢えず、近くの街のポケモンセンターまで行く。そこで今日は泊まろう)」
「ロメロメッタ(分かったわ、私達はこのまま周囲を警戒するわね)」
「(ありがとう、頼むよ)」
ビクティニとメロエッタは引き続き、ソウハとリコの周囲を飛びながら、監視する。
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学園の近くの街
リコとソウハは誰にも気付かれることなく、学園を出て一番近くの街のポケモンセンターまでやって来た。
到着すると、ソウハはゾロアークに幻影を解除させた。
「ありがとな、ゾロアーク。」
「ガウッ!!」
ソウハはゾロアークにお礼を言い、再びボールに戻した。
「(ビクティニ、メロエッタもありがとう)」
「ティニ!」
「ロメ!!」
ビクティニとメロエッタもボールに戻す。
「よし、ここまで来れば問題ないだろう。リコ、大丈夫か?」
「う、うん。ちょっと疲れちゃったけど」
「まぁ、立て続けに色々あったからな無理もないだろ。今日はここのポケモンセンターに泊まろう」
「うん、分かった」
ポケモンセンターはバトルで疲れ、傷付いたポケモンを回復させてくれるだけでなく、ポケモントレーナーが寝食できる施設もある。ソウハは慣れた手つきでジョーイさんと話し、泊まる手続きをとる。
だが、ここで1つ問題が生じた。
「すみません、実は部屋があと1部屋しか空いていないのですが……」
「「………え?」」
「ベッドは2つあるのですが……相部屋でもよろしいでしょうか?」
「「・・・・・・」」
今はもう夕日が沈み、19時を過ぎている。近くのホテルは時間帯的に、もう予約をとることは出来ない。野宿はあの男率いる仲間達に見つかる可能性があるため危険だ。
「(どうしよう相部屋なんて!!男の人だとお父さんとしか一緒に寝たことないのに////////)」
「あぁ~リコ?」
「へぇあ!?」
「(やっぱり顔に出やすいなリコは)その~リコが嫌なら俺は野宿する。旅でこういうのは慣れっこだしな」
「え!?でもでも、ソウハも疲れてるんじゃ?」
「俺はそこまででも無いから。それよりリコの方が慣れない出来事の連発で疲れているだろ?だから部屋でゆっくり休んだ方が良いさ。男の俺がいたら、落ち着かないだろ?」
「ううん、ソウハは私とニャオハの為に頑張ってくれたんだもん、私は全然構わないからソウハも一緒に、部屋に泊まろう?」
PON!!
リコのモンスターボールが勝手に開き、ニャオハが出てきた。
「え!?ニャオハ?」
「ニャー、ニャーニャオハー」
ニャオハはソウハに向かって何か伝えるようにして鳴いている。
「ソウハ、ニャオハは何て?」
「『私からも言わせて、リコをあの男から助けてくれてありがとう』だってさ」
「ニャオハ……」
「ニャーニャー」
「あ~そうだな、頼むよニャオハ。そうなったら俺に攻撃しても良いからさ」
「え、攻撃!?ニャオハ何て言ったの!?」
「『もしもアンタがリコに危害を加えようとしたら、容赦なくひっかくから』だって。その方がリコも安心できるだろ?」
「いやいやいや、ソウハがそんなことするわけないでしょ、ニャオハ!!」
「ニャーオ(さぁ、どうかしら?)」
「ハハッ、まぁ取り敢えず、ありがとうリコ。それじゃあ俺も部屋に泊まろっかな?」
「うん!」
「ジョーイさん、その空いてる部屋に1泊お願いします」
「分かりました。こちらがその部屋の鍵です」
「どうも!」
「ありがとうございます!」
部屋の鍵を受け取り、2人は部屋に入った。
リコはベッドに倒れ込むようにして、ダイブする。
「ハァ~疲れた」
「ニャ~」
「リコ、疲れてるとこ悪いんだけど、ちょっと良いか?」
「どうかしたの?」
「リコを訪ねてきた男についてなんだ」
「あ!そうだった、ソウハにまだ話してなかった」
「何があったのか、詳しく話してくれないか?」
「うん、実は━━━━」
リコは自分の祖母の知り合いだと名乗る、白と黒のツートンカラーの髪型をした男に、お守りとして持っていたペンダントを持ってきてくれと祖母がその男を通じて頼んできたということであった。
「その男はペンダントを持ってきてくれって言ってたんだな?」
「うん………でも、おばあちゃんがそんなこと言うなんて可笑しいの!手紙だって、全然おばあちゃんらしくないし!」
「そうなのか……その男が言ってたペンダントってリコ持ってるのか?」
「うん、ちょっと待ってて」ゴソゴソゴソ
リコはリュックの中から白い小さな箱を取り出し、その中からエメラルドのようなものが埋め込まれているペンダントを取り出した
「それが、奴らが狙ってたものか」
「多分、だけど何で狙っていたのかは私にもさっぱり……」
「・・・リコ、そのペンダントについて、君のおばあさんから何か伝え聞いているものって何かないか?」
「う~ん………あ、そう言えばおばあちゃんが言ってた。『このペンダントはお前を危険から守ってくれるから、大事にしなさい』って」
「守ってくれる?」
「うん……それぐらいしか……」
「ちょっと持ってみても良いか?」
「うん、良いよ」
そう言って、リコがソウハにペンダントを渡した途端
ピカァァァァァァーーーン!!
「「!?」」
突然、ソウハとリコの手が重なった瞬間、ペンダントから発せられた眩しい光が2人を包み込む。
「うわわわ!?な、なになになに!?」
「なんだなんだ!?」
眩しすぎて2人が目を閉じていると
「んっん~……ん?」
「ッッッ………な、なんだ?………ん?」
光が収まったと思い、2人が目を開けると、そこには
「パ~ゴォ!!」
1匹のポケモンがいた。
「ポ、ポケモン?」
「なんだ?このポケモン?」
「え、ソウハも分からないの?」
リコは今まで色んな地方を旅してきたソウハが知らないという事実に驚く。
そのポケモンは、一見すると亀の姿をしている。背中の甲羅部分はペンダントの宝石と同じエメラルド色のような輝きを放っており、甲羅から生えている手足や顔は深い藍色で、どことなく首長竜を連想させるような姿。
「まさか!!さっきのペンダントがこのポケモンか?」
「え!?ペンダントが!?」
「パ~ゴォ?」
そのポケモンは、2人の会話が理解できないのか、首をかしげている。
「えっとぉ~、取り敢えず自己紹介だ。俺の名前はソウハって言うんだ。それでこっちの子が」
「わ、私はリコって言うの、よろしくね?」
「パゴ?」
「ソウハだ、ソ・ウ・ハ」
「リコだよ、リ・コ」
「パゴォ~ス?(そーは、りーこぉ?)」
「そうそう!!ソウハだ!!」
「パゴパゴォ~ス!!(そーは!!りーこ!!)」
ピカァァァァァァーーーン!!
「うぉ!?」
「きゃ!!」
そのポケモンは、ソウハとリコの名前を叫んだと思えば、再び眩しい光が2人を包み込み、暫くすると光が収まった。
2人がまた目を開けると、そこにはさっきのポケモンがおらず、ペンダントのみがあった。
「ソウハ……さっきのって?」
「分からない………けど」
ソウハは床に落ちているペンダントを拾い上げる。
「このペンダントには何か秘密がある。そして、このペンダントもといさっきのポケモンが奴らの目当てなんだと思う」
ソウハはリコに自分の推測を述べる。唯のペンダントと思っていたものが、見たことのないポケモンだったとは、ソウハもリコも驚きを隠せなかった
「・・・リコ、お前のおばあさんって今どこにいるか知っているか?」
「え?……分からない、おばあちゃんはソウハみたいに色んな地方を旅しているから、家にもあまり帰って来なくて……」
「そうか……リコの実家はたしか、パルデア地方だっけ?」
「う、うん、そうだけど……」
「リコ、俺はリコの実家に行って、そのペンダントのことについて調べる必要があると思う」
「え!?」
「アイツらは、多分大きな組織に所属してると思う。そんじょそこらのポケモンハンターなんかじゃなくて、100や200と言った人数のいる組織が、そのペンダントを狙ってるんだと思う」
「え、えぇ!?どうしてそんなことが分かるの!?」
「これは俺の推測だけど、あの男はリコがおばあさんからペンダントを貰ってお守りとして持っていることを知ってたんだよな?」
「う、うん」
「リコはおばあさんからペンダントを貰ったことを、誰かに話したことはあるか?」
「う、ううん。ペンダントを貰って直ぐにセキエイ学園に来たから、同室のアンにしか教えてないけど」
「だったら、何であの男が知っていたのか、疑問に思わないか?」
「た、たしかに……」
「今のところ、考えられるのは2つ。1つは本当にリコのおばあさんが、あの男にリコがペンダントを持っていると教えた場合。2つ目は、ペンダントの所在を調べ上げてしまう程の情報網を持っている組織や団体が、リコがペンダントを持っていると突き止めた場合だ」
「う、うん...…1つ目は無いと思う」
「あぁ、2つ目の方が可能性が高い。だけどそうなると、リコ……」
「え?」
「お前の身が危ない」
「!?あ、そ、そっか」
「この連休が終わって学園に戻ったりすれば、奴らは間違いなくペンダントを奪いに来る筈」
「・・・・・・」
「普段生徒と教師しか入れない学園の中に、平気で入ることが出来る連中だとすると、一筋縄じゃいかない」
「・・・・・・」
リコはことの重大さに気付き、身震いする。
「だけど、解決できるかもしれない可能性が1つだけある」
「え?」
「そのペンダントの謎を解くことだ」
「これの?」
リコはソウハからペンダントを受け取る。
「奴らの目的は、このペンダント。だとすると、これを調べれば奴らの正体や解決策も見つかるかもしれないだろ?」
「そ、そっか!」
「だからまず、リコの実家があるパルデア地方に向かうべきだと思う。そこに行けば、何か分かるかもしれない」
「うん!絶対に何か手掛かりはあると思う!!おばあちゃんの部屋には世界中を旅して集めた物があったから!!」
「なら決まりだな。旅の予定を変更して、パルデア地方に向かおう」
「うん、分かった!」
ソウハとリコは予定を変更して、パルデア地方に向かうことを決めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
パルデア地方に向かうことを決めたソウハとリコは、明日の段取りを決めた後に、シャワーを浴びようとしていた。
だが、2人は気付く。同じ部屋で同じシャワーを使うとなると、順番はどうすれば良いのか
「リコ、先に入れよ。男が使ったシャワーを使うのはちょっと気が引けるだろ?」
「え?だ、だけど...…」
「良いから、ほら早く」
「あ、ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えて/////」
リコは自分の着替えを持って、脱衣所の方に行く。
「(やべぇ、完全に失念していた。部屋が一緒なら当然シャワーも同じの使うんだ。今まで途中迄旅してきた人の中には女性もいたけど、別部屋だったからなぁ)」
ソウハは心の中でそう呟く。
その時、ソウハのモンスターボールの1つが勝手に開く。
そこから出てきたのは、相棒のテンブであった。
PON!!
「(あれ、ここどこだ?)」
「あ、テンブ」
「(ソウハ、ここどこだ?)」
「ポケモンセンターだ、実はな━━━━━」
ソウハはテンブにこれまでの出来事を伝え、パルデア地方に向かうことを話した。
「━━━━━と言う訳だ」
「(マジか、また大変なのに巻き込まれたなぁ、相棒)」
「な~に、こういうことには慣れてるさ。それに何だかんだで、皆で力を合わせて乗り越えて来たんだ、今回もテンブや皆の力が必要になってくると思う。力を貸してくれ」
「(おう、当たり前だ!お前らもそうだろ?)」
テンブがモンスターボールが入っているリュックに向かって言うと、それに答えるように現在のソウハの手持ちポケモン達が一斉に出てきた。
PON!PON!PON!PON!PON!PON!PON!
「ティニティニー!!」
「ロメッタ!!」
「グゴォカァァ!!」
「シャアア!!」
「ダークゥ」
「ピッカー!!」
「ブイブーイ!!」
「皆!!ありがとな!!」
出てきたポケモン1体1体の頭を撫でてると、シャワーを浴び終わったリコが脱衣所から出てきた。
「ソウハ、上がったよ………えぇ!?なになに!?このポケモン達!?」
「あ、リコ。そう言えば、テンブとゾロアーク以外の俺のポケモン達を見せるの、今まで無かったっけ」
「え?この子達、ソウハのポケモンなの?」
「そうだ、この際だし紹介しとくか」
リコはスマホロトムを取り出し、ソウハは順番に紹介していった。
「まず、学園から脱出劇するのに手助けしてくれた、ばけぎつねポケモンのゾロアークだ」
「シャア!!」
ピッ!!(スマホロトムをかざす)
『ゾロアーク:ばけぎつねポケモン あくタイプ いっぺんに大勢の人を化かす力を持つ。幻の景色を見せて住みかを守る』
「学園の時はありがとうね、ゾロアーク!」
「シャー!!」
「『どういたしまして』だってさ」
リコがゾロアークに向かってお礼を言うと、ビクティニとメロエッタがソウハの肩に乗ったまま、ジタバタと暴れだす。
「ティニティニ!!(ちょっとちょっと!!)」
「ロメロメ、ロメッタ!!(私たちも手助けしたんですけど!!)」
「おっとっと、お前達のことも忘れてないよ。リコ、この子達は学園からこの街に来るまで、俺達の周囲を警戒して守ってくれてたんだ」
「えぇ!?そうなの?全然気付かなかった……」
「この子達は自分の姿を消すことが出来るからな」
「そんなことも出来るんだ………うわぁ~!!とっても可愛い!!」
「ティニ?ククッティーニ!(ホント?やったぁ、可愛いって言われたぁ!!)」
「ロメロメ(落ち着いて、ビクティニ)」
ビクティニは可愛いと言われて嬉しかったのか、羽根をパタパタと羽ばたかせ、部屋中を飛び回る。それを見て、落ち着かせようとするメロエッタ。
「飛び回っている元気な子がビクティニ、緑髪の子がメロエッタだよ」
「どっちも可愛い!!」ピッ!(スマホロトムをかざす)
『ビクティニ:しょうりポケモン エスパー・ほのおタイプ 勝利をもたらすと呼ばれるポケモン。ビクティニを連れたトレーナーはどんな勝負にも勝てるという伝説がある。ビクティニの体内で生み出されるエネルギーは無限大であり、分け与えてもらうと全身にパワーが溢れる』
『メロエッタ:せんりつポケモン ノーマル・エスパータイプ メロエッタの奏でる旋律は、周りのポケモンを喜ばせたり悲しませるほどのパワーがある。』
リコはスマホロトムは説明を聞き、驚く。
「この子達、そんなに凄いポケモンなの!?」
「あぁ、世間では幻のポケモンって呼ばれる程の力を持ったポケモン」
「そ、そうなんだ……(幻のポケモン、ソウハはそんなポケモンも持っているんだ)」
滅多に見ることが機会が少ないと呼ばれるポケモンのことをしている。リコも授業で聞いたことはあったが、まさか身近に持っている人がいるとは思わなかったため、ソウハの凄さを再認識する。
「ちなみに、こっちも幻のポケモンと呼ばれているダークライだ」
「ダークゥ」
「ダークライ……」ピッ!!(スマホロトムをかざす)
『ダークライ:あんこくポケモン あくタイプ 人々を深い眠りに誘い、悪夢を見せると言われるポケモン。新月の夜に活動することが多い。』
「悪夢を見せるポケモン?」
「そう。ダークライの特性『ナイトメア』の影響で、ダークライを手持ちに持つトレーナーは悪夢を見てしまうんだ。」
「えぇ!?ソウハ大丈夫なの!?」
「大丈夫。この『みかづきのはね』っていう道具を持っていれば悪夢を見ることはないから」
「そうなの、良かったぁ~」
「ダークゥ、ダークラ。」
「ダークライが『よろしく』ってさ」
「うん!こちらこそよろしくね、ダークライ!」
「ダークダーク!」
「ピカピッカー!!」
「ブーイ!!」
ソウハの両肩に2体のポケモンが上ってくる。
「こっちの2体は見たことないか?」
「うん、知ってる!ピカチュウとイーブイだよね!」ピッ!(スマホロトムをかざす)
『ピカチュウ:ねずみポケモン でんきタイプ 頬っぺたの両側に小さい電気袋を持つ。ピンチの時に放電する』
『イーブイ:しんかポケモン 暮らしている環境で突然変異する不安定な遺伝子を持つため、様々な進化の可能性を持つポケモン。現在の調査では8種類ものポケモンへ進化する』
「ピカチュウもイーブイも、見た目によらず結構強いよ」
「ピーカ!」(胸をドン!)
「ブイ!」(キメ顔!)
2体は『任せろ!!』と言いながらピカチュウは右手で胸の部分をドン!と叩き、イーブイはキリッとしたキメ顔をしている。その様子に、リコはクスッと笑った。
「フフッよろしくね、ピカチュウ、イーブイ!」
「ピッピカチュー!!(よろしくね!)」
「ブイブーイ!!(リコは僕達が守るからね!!)」
「それで、次はコイツだ」
「グギュルル」
そのポケモンは全身が赤色で、ロボットを思わせるようなボディをしていた。背中には砲台のような物が取り付いている。リコは1体だけ異質なポケモンがいると思っていた。
「この、ポケモンは……」ピッ!(スマホロトムをかざす)
『現存データ無し』
「え!?データ無し!?」
リコはスマホロトムをかざしても、何のポケモンなのか分からず驚く。
「やっぱり、そのポケモン図鑑にはゲノセクトのデータは載っていないか」
「ゲノ…セクト?」
「あぁ、このポケモンの名はゲノセクト。3億年前に絶滅したポケモンだ。」
「・・・え?ぜつ・・・めつ?」
「そう、ゲノセクトはとある悪の軍団が化石から復元させて、戦闘兵器として改造した、古代のむしポケモンなんだ。」
「グガァァァ」
「えぇ!?」
それからソウハはリコにゲノセクトをゲットした経緯を説明した。
ソウハがイッシュ地方を旅していた時、『プラズマ団』というイッシュ地方を支配しようとする軍団がおり、ソウハはその組織と対決した。その過程で、プラズマ団の研究所から見つけたのが、この赤いゲノセクトと紫色のゲノセクト達であった。
プラズマ団の研究員によって命令を忠実に聞くよう改造されていたため、最初はソウハに襲い掛かってきたが、ソウハ達は仲間と協力して何とか倒した。
その後、プラズマ団の研究所を制圧した後に、研究員にゲノセクトのことを聞き、ソウハはゲノセクトを支配から解放した。
「俺はゲノセクト達に、『お前達はもう自由だ。仲間と協力しながら、この世界で平和に暮らすんだぞ』って言ったんだけど、ゲノセクト達は俺に恩義を感じたみたいで、5体共俺のポケモンになったんだ。」
「そんなことがあったんだ」
「この赤のゲノセクトは他のゲノセクト達のリーダーみたいな存在で、他のゲノセクト達は今はアララギ研究所の方でのんびり暮らしてる。リコも仲良くしてやってくれ」
「もちろん!よろしくね、ゲノセクト!!」
「グガァ、グキュルル(アリガトウ、ヨロシク)」
「あと、最後はコイツだな」
「え?」
「コイツだよ、コイツ」
リコは、ソウハの手持ちポケモンの最後はゲノセクトで最後だと思っていたが、あともう1体いるようで誰のなのかとソウハが指差す方向を見ると
「ミージュ!!」
「え、テンブ?」
「あぁ、この際、テンブのことも教えておこうと思ってな」
「???テンブのこと?」
「テンブ、お前の秘密のことリコに喋っても良いか?」
「(そう言う時点で喋っているようなものだが、まあ良いぜ。よう、リコ!俺の声聞こえるか?)」
「・・・・・・・・・へっ?
えぇ!!?テンブが喋ったぁぁ!!?」
リコは大声を出して驚く。
「リコ、落ち着いて。夜中にそんな大声出したら隣に聞こえる」
「いや、だって!ソウハ、どういうこと!?さっきの声ってテンブの!?」
「だから落ち着けって、順番に説明するから」
ソウハとリコは同じベッドに座り、テンブもベッドの上にチョコンと立つ。
「まず、さっきのやつだけど、『テレパシー』って知ってるか?」
「テレパシー?」
「ポケモンの中には、俺達人間と同じように言葉を話すぐらい知能が発達したポケモンもいるんだ。テンブやゲノセクトのようにな」
「え!?ゲノセクトも!?」
「(・・・オレモ、シャベレル)」
「うわ!?ホントだ!!」
「とまぁ、こうやって人間の頭に直接言葉を話す能力をテレパシーって言うんだ」
「(俺達は人間とコミュニケーションを取れる、だけどテレパシーを使えるポケモンは本当に珍しいんだ。だから、無闇に話して騒ぎにならないよう、信用できる奴にしか、俺達の秘密は明かさないようにしていたんだ)」
「ごめんな、リコ。秘密にしてて」
「ううん、ちょっとびっくりしたけど、話してくれて嬉しいよ、ありがとう!」
「リコ……」
「(良かった良かった)」
「(ヨカッタ)」
「リコ、こっちこそありがとう。受け入れてくれて、パルデア地方には俺も最後まで付き合うから、安心してくれ」
「うん!ソウハや皆が居ればとっても心強いよ!!改めてよろしくね、ソウハ!!」
「おう!こっちこそよろしくな!!」
そうして2人は握手を交わし、絆を更に深めた。
そして明日に備えて早く寝たのだった。
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夜中
セキエイ学園近くの森
そこには、リコを訪ねてきたスーツの男と灰色の独特な柄の服を着た女性と男性が話し合っていた。
「アメジオ様、申し訳ありません。ここら一帯を探しましたが、リコという少女の足取りは見つかりませんでした」
「同じく、学園も隅からすみまで探しましたが、見つかりませんでした。」
「・・・学園にも、この近くの森にもいない……仕方ない、今日は一旦撤収する。ジル、コニア、明日この近くの街まで捜査範囲を広げる。いいな?」
「「了解しました!!」」
アメジオと呼ばれた黒と白のツートンカラーの男は部下のジルとコニアに指示を出すと、2人はエアームド、アメジオはアーマーガアを出して乗り、基地へ戻っていく。
「・・・・・・失敗は許されない、必ず任務を成し遂げる」
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空の上
そこには、オレンジ色の旗を掲げている巨大な飛行船が、学園近くの上空を飛んでいた。
飛行船の中では、会議室のような場所に乗組員が話し合っていた。
「そうか、結局学園では見つけられなかったか」
「あぁ、その子の母親から依頼を受けたは良いものの、肝心のその子が行方不明ってなると、シャレにならんな」
「フリード、どうするの?」
「・・・捜索範囲を近くの街まで広げる。もしかすれば、奴等から逃げるために、街に逃げ込んだ可能性もあるからな。明日、俺とマードック、モリーは街の中を捜索する。奴等に気付かれないように、皆注意して探すんだ」
「・・・エクスプローラーズか、フリードが学園でアイツらを見たって言ってたっけ」
「その子、捕まってなきゃ良いんだけど」
「おいモリー、不吉なこと言うなって」
「冗談だよマードック。フリード、悪いんだけど、明日私はポケモンセンターに注文してたものを取りに行く予定があるから、その後にあんた達と合流してその子を探すよ」
「分かった。今日の捜索はここまでにして、皆休んでくれ」
「「「おぅ!(了解!)」」」
フリードと呼ばれる男は全員に明日、街の方でリコを捜索すると全員に話す。
果たして、この者達は、ソウハ達の敵か味方か?
テンブ(ミジュマル)
みずタイプ
特性:シェルアーマー(相手の攻撃が急所に当たらない)
↓
???
技:ハイドロポンプ ??? ???
シェルブレード ??? ???
みずのちかい ⇒ ???
うずしお ???
??? ???
??? ???